1 時間に関係ある言葉
(1)時間の長さを表す
しばらく ①少しの間
→後でお呼びしますので、しばらくお待ちください。
②長い間
→あの人からしばらく手紙が来ない。
まもなく ●あまり時間がたたないうちに
→先生はまもなくお見えになるでしょう。
※過去の話のときにも使う。 →彼が出かけてまもなく、山田さんが来た。
もうすぐ ●短い時間の後に
(むうじき) →もうすぐクリスマスです。
→もうじきお父さんが帰ってくるよ。
※過去形には使えない。
そのうち ●近いうちに、短い時間のあとで
→この雨もそのうちやむでしょう。
やがて ●あまり時間がたたないうちに
→この子もやがて結婚するだろう。
すぐ ●時間をおかないで早く
→急用があるからすぐ来てください。
さっそく ●時間をおかないですぐ行う
→ご注文の品はさっそくお届けします。
ただちに ●時間を少しもおかないで
→準備ができたら、ただちに始めよう。
たちまち ●非常に短い時間のうちに
→飛び立った飛行機はたちまち見えなくなった。※あとに意志表現はこない。
そろそろ ●あることにとってちょうど良い時期になる
→10月に入ると北海道はもう冬の季節になる、そろそろ雪が降るようになる。
いよいよ ●期待していたことが、すぐ来ようとしている
→明日はいよいよ試験の結果が発表される。
いまにも ●あることが、すぐにも起こりそうだ
→急に空が暗くなり、今にも雨が降りそうだ。
※後に「~そう」という表現がくる。
(2)ある時を表す
たまたま ●偶然に
→銀座で、たまたま山田さんに会った。
いったん ●一時的に
→いったん家に帰って、また出かけた。
※仮定の意味もある。
いまだに ●今になってもまだ
→それはいまだに忘れられない光景だ。
いまさら ●今になっては遅すぎる
→いまさらその計画を変更できない。
(3)過去の時を表す、ある物事の前後の時を表す
かつて ●以前、むかし
→かつて、このあたりは畑だった。
さきほど ●少し前の時
→さきほどお電話いたしました山田です。
すでに ●それよりまえに
→駅についた時、すでに電車は行ってしまったあとだった。
とっくに ●「すでに」の話し言葉
→山田君、とっくに帰っちゃったよ。
たった今 ●非常に近い過去
→たった今、電話を切ったところです。
前もって ●何かをする前に準備する
→品物の納入日は前もってご連絡差し上げます。
あらかじめ ●物事が起こる前に
→来週の会議の議題をあらかじめお知らせしておきます。
のちほど ●少し時間がたってから
→では、のちほどお伺いします。
(4)ある時間の後で、結果、あるいは結果の予測をする
やっと ●長い間や苦労のあとで目的に達するようす
→3時間も掛かって、やっと宿題ができた。
ようやく ●「やっと」と同じような意味
→彼は3度目の試験でようやく合格した。
どうにか ●苦労や困難のあとで一応目的に達する様子
→体もだいぶ回復し、どうにか自分のことは一人でできるようになった。
とうとう ●いろいろの事があり最後に(悪い結果のほうが多い)
→父は働きすぎて、とうとう病気になってしまった。
結局 ●いろいろなことがあったが、最後に
→いろいろやってみたが、結局全部失敗した。
ついに ●とうとう、やっと
→何度も失敗したが、ついに成功した。
2 動作などの回数に関係がある言葉
(1)回数が多い場合
絶えず ●ずっと続いて
→あのビルは絶えず電気がついている。
常に ●「いつも」の書き言葉
→健康には、常に注意するようにしましょう。
年中 ●いつもいつも
→田中さんは年中忙しいと言っている。
始終 ●いつも何かをする
→母は始終、父の帰りが遅いと文句を言っている。
しょっちゅう ●いつも何かをしている
→授業中、彼はしょっちゅう居眠りをしている。
ひっきりなしに●次から次へと続く様子
→この道はひっきりなしに車が通る。
ひんぱんに ●何度もしたり、あったりする
→交通事故は二 頻繁に起きている。
しばしば ●何度も繰り返してする
→その頃、しばしば学校を休んだものだ。
たびたび ●何度もくり返して
→用もないのにたびたび電話しないで下さい。
(2)回数が少ない場合
たまに ●あまりないが時々ある
→私はたまに映画を見に行きます。
まれに ●めずらしいほど少ない
→あの厳しい先生もまれに冗談を言うこともある。
めったに ●ほとんど~ない(~ない、という形で)
→めったにないことだが、電話が故障することがある。
3 数量や程度に関係がある言葉
(1)数量が多い場合
いっぱい ①数量が多い
→原宿はいつも若い人でいっぱいだ。
②ある時間全部
→今月いっぱい、仕事を休むつもりです。
たくさん ①数量が多い
→ある店には安いものがたくさんある。
②これ以上は必要でない
→二日酔いで頭が痛い。酒はもうたくさんだ。
たっぷり ●かなり多めにある
→出発までに時間はたっぷりある。
じゅうぶん ●たくさんあって足りている
→約束の時間には十分間に合います。
(2)数量が少ない場合
ちょっと ●少し
→もうちょっと待ってね。
ほんの少し ●少しを強めて言う
→本の少ししか話せません。
わずか ●少し、少ない
→わずかのお金で生活している。
たった ●とても少ないようす
→この夏のボーナスは、たったこれだけです。
(3)だいたいの数量を表す
およそ ●だいたい
→この中は、およそ300万円はするだろう。
※「おおよそ」ともいう。
約 ●だいたい、ぐらい
→東京から大阪まで約3時間です。
ざっと ①だいたい
→このビルは完成までに、ざっと1年ぐらいかかるだろう。
②簡単に、おおまかに
→ざっと読んだが、これはいい本だ。
ほぼ ●ほとんど
→卒業論文は、ほぼできあがっている。
(4)100パーセントの状態を表す
全部 ●ある物事すべて、みんな
→お金を全部使ってしまった。
すべて ●全部、のこらず
→今日の仕事はすべて終わりました。
すっかり ①のこらず、みんな
→おいしかったのですっかり食べてしまいました。
②完全に、本当に
→電話することをすっかり忘れていた。
そっくり ●そのまま全部
→給料をすっくり落としてしまった。
(5)程度が普通より大きいことを表す
だいぶ ●程度が大きい
→前よりだいぶ体が丈夫になった。
なかなか ●程度が思っていたよりいい
→この本はなかなかおもしろい。
かなり ●普通以上の程度
→私の家から駅までかなり遠いです。
相当 ●思ったよりもっと
→あの会社は、相当苦しいらしいです。
よほど ●ずいぶん、かなり
→これより、それの方がよほどましです。
※「よっぽど」は話しことば
→あなたはトマトがよっぽど嫌いなのね。
(6)程度の強調を表す
非常に ●とても
→今年の夏は非常に暑かった。
ずいぶん ●思ったよりもっと
→この問題はずいぶん難しいですね。
実に ●本当に
→ここからの景色は実にすばらしい。
きわめて ●これ以上ないほど
→病状はきわめて悪い状態です。
ごく ●きわめて、特に
→この話は、ごく親しい人にしか話していません。
すごく ●とても、ふつうでは考えられないほど
→彼女はピアノがすごくうまい。
(7)程度の進行を表す
ますます ●前よりももっと
→この町の人口はますます増えている。
さらに ①ますます、もっと
→今夜から、風雨は更に強くなるでしょう。
②その上に
→大学卒業後、さらに大学院に進みたい。
いっそう ●程度がはげしい、もっと
→これからもいっそう努力いたします。
なお ●さらに、もっと
→今日でもけっこうですが、明日ならなお都合がいいです。
なおさら ●「なお」の強調
→手術の不成功で病状がなおさら悪化した。
よけい(に) ●前よりも、ますます
→だめだと言われるとよけいにしたくなる。
4 否定語と一緒に使うことば
ちっとも ●少しも~ない
→この本はちっともおもしろくない。
さっぱり ●少しも~ない
→あの人の名前がさっぱり思い出せない。
いっこうに ●少しも~ない
→薬を飲んでもいっこうによくならない。
たいして ●それほど~ない
→たいして勉強しなかったけれど合格した。
めったに ●ほとんど~ない
→彼はまじめで、めったに授業を休まない。
一切 ●全然~ない
→私はそのことと一切関係がありません。
決して ●絶対~ない
→私は決してうそは言っていません。
とうてい ●どうしても~ない
→こんな難しい問題は、いくら考えてもとうてい出来ないよ。
とても ●どうしても~ない
→彼はとても30才には見えないね。
一概に ●全部がそうだとは決められない
→一概に日本人がまじめだとは言えない。
必ずしも ●いつもそうだとは決められない
→お金持ちが必ずしも幸せだとは限らない。
※必ず ①100%絶対に
→人間は必ず死ぬ。
②きっと~する
→必ずお手紙くださいね。
二度と ●もう一度~ない
→もう二度とこんなことはいたしません。
※再び ●もう一度
→大学受験に、再び挑戦するつもりだ。
まさか ●そんなことはあるはずがない
→まさか、うちの子がそんな悪いことをするはずがありません。
5 意味が似ていることば(類義語)
(1)希望や願いを表す
ぜひ ●とても強く願うようす
→またぜひいらっしゃってください。
※あとに依頼や希望の表現がくる。
→ぜひオーストラリアに行きたい。
なんとか ●何か方法を使って、ぜひ
→なんとかピアノがうまくなりたい。
なんとしても ●どのようなことをしても
→なんとかしても彼と結婚したい。
どうしても ●たいへんでも絶対に
→どうしてもあの大学に入りたい。
どうか ●ていねいに、強く頼む
→どうかお金を貸してくださいませんか。
(2)仮定形と一緒に使う
万一 ●可能性は少ないが、もしもそんなことがあったら
→万一、大地震が起きたら、この公園へ避難してください。
たとえ ●もし~しても、仮に
→たとえどんなに高くてもそれを買うつもりだ。
たとえば ●たとえて言えば
→たとえばあなたが女性だったら、どうしますか。
もしかすると ●あるいは~かもしれない
→もしかすると、彼は来ないかもしれない。
いったん ●あることをした以上、した場合はどこまでも
※「一時的に」の意味もある。
→いったん約束をしたら、絶対にそれを守るべきだ。
(3)たとえて表現する時に使う
ちょうど ●~とよく似ている
→生まれたばかりの赤ちゃんは、顔が赤くてちょうど猿のようだ。
まるで ●ちょうど~のようだ
→まるで雪のように桜の花が散る。
※「まったく」の意味もある。
→お酒はまるでだめです。
いわば ●たとえて言えば
→子供の時から住んでいるから、この辺りは、いわば私の庭のようなものです。
いわゆる ●よく一般に言われているという意味を表す。
→彼はいわゆる本の虫です。
いかにも ●どう見てもそう見えたり、思えたりする時に使う
→山田さんは、いかにも都会人らしい格好をしている。
さも ①「いかにも」と同じ意味
→その子供はさもうれしそうに飛びながらよろこんだ。
②確かにそのように感じられること
→かれはいつもさも知っているように話す。
(4)言いかえるときに使う
たとえば ●例を出して言えば
→楽器、たとえばギターやピアノなどひけますか。
いわば ●分かりやすく説明すると
→この着物は特に豪華なものではない。いわば、普段に着るものである。
※たとえて言う時にも使う。
要するに ●まとめて簡単に言えば
→長い話だったが、要するに「土地は高くて買えない」という話だった。
(5)無意識で何かをするようすを表す
うっかり ●不注意で
→うっかり、電車の中に傘を忘れてきてしまった。
※反対語は「わざと」
→知っているけれど、わざと教えなかった。
つい ●よく考えずに、気がつかないようす
→秘密だったのに、つい言っちゃった。
ふと ●何も考えずに、偶然に
→昔のことを、ふと思い出した。
なんとなく ●何かの考えもなく、ふと
→なんとなく外を見たら、変なものが見えた。
知らず知らず ●自分では気がつかないうちに
→甘やかして育てると、子どもは、知らず知らず悪くなっていく。
思わず ●自分でそうするつもりでなく
→とてもうれしかったので、思わず、電話におじぎをした。
いつのまにか ●知らない間に
→いつのまにか冬になっていた。
(6)結果が予想できる時に使う
いずれ ●どちらにしても最後には
→かくしていても、いずれみんなに分かってしまうでしょう。
※「近いうちに」の意味もある。
→いずれご挨拶におうかがいします。
遅かれ早かれ ●遅い早いのちがいはあっても、いつかはそうなる
→君たちも、おそかれはやかれ結婚をして、父親、母親になるだろう。
どうせ ●(いやだけれど)終わりには
→今から行っても、どうせ間に合わない。
(7)くらべるときに使う
かえって ●考えていたこととは反対に
→薬を飲んだら、かえって病気が悪くなってしまった。
→ひどくしかりすぎると、かえって子どものためによくない。
※「逆に」「反対に」に言い換えられるが、順序や方向が反対に、という意味の場合「かえって」は使えない。
→今の方法を、逆にしてやってみよう。
むしろ ●2つをくらべて、どちらかと言えば
→そんなことするくらいなら、むしろ死んだ方がましだ。
6 形が似ていることば(類義語)
どうか ①ていねいに強く頼む時に使う
→どうかよろしくお願いします。
②ふつうではない、変だ
→あの人、頭がどうかしているよ。
どうにか ●十分ではないか
→日常会話ならどうにか話せます。
どうせ ●(いやだけど)終わりには
→人間はいつかはどうせ死ぬんだよ。
どうも ①どんなに頑張っても
→何回も練習したが、どうもできない。
②どうしてかよくわからない
→その答えは、どうもちがうようだ。
③本当に
→どうもありがとう。
どうやら ●はっきり分からない
→どうやら明日は雨らしい。
どうしても ①どんなふうにやってみても
→練習したけれどどうしてもできない。
②必ず、たいへんでも絶対に
→どうしても行かなければならない。
なんと ●おどろさ、感心した時に使う
→なんと大きな家なんでしょう。
なんとか ①十分ではないが
→それくらいはなんとか1人でできます。
②何か方法を使って、強い希望や意志和表す
→何とか今日中にこの仕事をしてしまいたい。
なんとしても ●どのようなことをしても
→必要なものだからなんとしても買いたい。
なんといっても●いろいろ言ってもこれが一番
→なんといっても、若いということはいい。
なんだか ●はっきりした理由がなく
→今度の旅行にはなんだか行きたくない。
なんとなく ①はっきりした理由がなく
→秋はなんとなくさびしい季節だ。
②なんとなくテレビを見ると、友達がうつっていた。
思わず ●自分でそうするつもりでなく、つい
→あまりにも驚いたので、思わず大声を上げてしまった。
思いがけず ●まったく予期していなかったこのことに、「思いがけなく」も同じ
→銀座のレストランで、思いがけず、昔の友人に会った。
思い切って ●よし、やろうと強く思って
→思いきって、彼女にプロポーズした。
※何か新しいことを始めようとする時に使う。
思いきり ●力のあるだけ、十分に
→試験が終わったら、思いきり遊びたい。
一人で ①1人で(人数)
→夜道を一人で歩くのは危険だ。
②自分だけの力で
→あの子は、まだ2才だが、一人で、服を着がえられる。
ひとりでに ●何もしないのに、自然に
→ろうそくの火が、ひとりでに消えた。
※自ら ●人に言われたのではなく、自分からしようと思って
→自ら進んで勉強するのでなければ、本当には身につかない。
確か ●過去のことや前に聞いたことを思い出すときに使う(=たぶん)
→夏休みは確か7月10日からだったね。
確かに ●間違いなく
→この品は明日確かにお届けします。
※おそらく ●たぶん~だろう
→おそらく明日も雨だろう。
もしか ●「もし」の強調(=もしも)
→もしか、だめだったらどうしよう。
もしかしたら ●あるいは~かもしれない(=ひょっとしたら)
→もしかしたら、大阪に転勤になるかもしれない。
もしかして ●こうだろうと思うことに自信のないようすや疑うようすを表す(=もしや)
→もしかして、忘れてきたんじゃないでしょうね。
まさか ①そんなことあるはずがない
→あの夫婦がまさか離婚するとは思いませんでした。
②ふつうでは考えられない最悪の事態「まさかの時」の形で使う
→まさかの時を考えて、遺言を書いておいたほうがいいでしょう。
まさに ①本当に、確かに
→まさにその通りです。
②ちょうどその時
→飛行機が、まさに飛び立とうとしている。
まして ●この場合でもこうなのだから、他の場合はもちろん同じようになる
→大人でも持てないのに、まして子どもに持てるわけがない。
さすが ①やはり、予想していた通り
→さすが先生だから、よく知っているね。
②結果がいつも通りではない
→いつも元気なこの子も、1日中歩き回ったので、さすがに疲れたようだ。
さては ●はじめて気がついた時に使う
→さては、あいつが犯人か…。 |