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(1)
達也:また中学生がいじめで自殺だってよ、一体世の中どうなってんだかな。
小雪:あんちゃんが先生だったら、そんなことないだろうにね。
達也:いや、いや、先生方って大変な仕事なんだ。一人一人の生徒さんの心の中を流 れる川、川の流れはなかなかお前はしねえもんだぞ。
和也:はい、プリン。
達也:悪いな。
文也:あんちゃんならさ、先回りした溺れる子供達にぽんと浮きを投げれる。
達也:ははは、そのぽんが難しいのさ、マージャンじゃあるめしよ、ポンチーとはいかないぞ。
小雪:大丈夫よ、あんちゃんはそこに愛があるから。
達也:結局そこに気づけるのよ、結局な、その人間の価値というものはよ、そこに愛があるからよ、心にダムがあるからよ、他人のために流せる涙のダムが深いか、浅いかねな。
皆 :いよ、あんちゃん!
達也:いよ!
和也:そういうことでさ、そろそろこの贅沢禁止令っていうのを水流してもらおうかね。
達也:ああ、そうだな、心のダムの水を……
達也、和也:とば、とな、ははは……
達也:なあ、ははは……ちょっと待って、ははあ、お前ら妙に朝っぱらから俺を褒め称えると思ったら、そういうことか?
小雪:何のこと?
達也:恍けるんじゃないよ、さくら吹雪は見通しよ。
小雪:育ち盛りが多いんだから、一日二千でみんなの食費は無理なのよ。
達也:どうせ一人で大福でも買い食いしてんだろう、意地汚なやつだな。
小雪:ひどい、最近やせたって評判なのに。
小梅:お姉ちゃん……
和也:な、見てくれよ、すりきれで穴に孔が空いちゃってんだよ。ほら、かなりじゃないだぞ。
達也:お前な、誰に見せるパンツじゃあるまいしな、色気ついたんじゃないよ、もてはしねえのに。
和也:なんだよ、カンガルーだって恋はするんだぞ。文也。
文也:あ?
和也:行け!
達也:何だよ?
文也:あ、絵筆の毛がなくなってさ、まるでお化けのきゅうちゃんなんでね。
達也:何が、お化けのきゅうちゃんだ、この金喰い虫のドロンパ。
文也:ひどいと、僕だって展覧会目指して必死にやってんのに。
達也:お前らが、俺がなぜ贅沢を諌めているのかまだ分からないのか。
小梅:分かるわよ、みんなあたしの大学私費にだって。
達也:だったら、もう何も言うな。
小梅:言うわよ、あたしが言うわよ。気持ちは有り難いけど、そんなことでみんなを締め付けるのはやめてよ。家は贅沢なんかしてない、誰もしてない、ろうさむがおやつにでる角の前川さんの家よりずっと質素なのよ。あたし行きたくない、犬以下の生活、みんなにさせてまで大学なんか……
達也:分かったよ、全部俺が癌なんだな。小雪、俺の生命保険だってな、それ、引き出してくれ。
小雪:何言ってるのよ。
達也:死んでやるのさ、お前らが見ている前で首吊って死んでやるのさ、その金で贅沢使うだろう、贅沢、贅沢しろうぜ、贅沢、ロープはねえのか、ロープは、ロープはないのか、あげよ、ロープ、ロープねえのか、ロープ、ロープ、あるんじゃないか、あるんじゃないか。
和也:やめろうよ!
小梅:あんちゃん!
達也:心のダムはからからなんだね。
和也:あんちゃん…
達也:放せ!
和也:やめろう!
達也:放せ!放せよ!放せ!
達也:馬鹿、放すか、痛い。
( 未完, 回应续贴 ) |
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