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《出生的苦恼》六

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发表于 2005-10-24 09:50:34 | 显示全部楼层 |阅读模式
  六  それはある年の三月に、君が遭遇した苦(にが)い経験の一つだ。模範船からすぐ引き上げろという信号がかかったので、今までも気づかいながら仕事を続けていた漁船は、打ち込み打ち込む波濤(はとう)と戦いながら配縄(はいなわ)をたくし上げにかかったけれども、吹き始めた暴風は一秒ごとに募るばかりで、船頭はやむなく配縄を切って捨てさせなければならなくなった。  「またはあ銭(ぜに)こ海さ捨てるだ」 と君の父上は心から嘆息してつぶやきながら君に命じて配縄(はいなわ)を切ってしまった。 那是某年三月你遭遇的一次惨痛经历。示范船发出了紧急撤退的信号,你们欲罢不忍,一边与迎面打来的波浪搏击一边从海里收起渔网。但是刚刚吹来的狂风一秒胜似一秒,万般无奈之下,船头不得不让人切断渔网。 “钱又打水漂了。” 你的父亲由衷地嘟噜道,命令你切断渔网。  海の上はただ狂い暴(あ)れる風と雪と波ばかりだ。縦横に吹きまく風が、思いのままに海をひっぱたくので、つるし上げられるように高まった三角波が互いに競って取っ組み合うと、取っ組み合っただけの波はたちまちまっ白な泡(あわ)の山に変じて、その巓(いただき)が風にちぎられながら、すさまじい勢いで目あてもなく倒れかかる。目も向けられないような濃い雪の群れは、波を追ったり波からのがれたり、さながら風の怒りをいどむ小悪魔のように、面憎(つらにく)く舞いながら右往左往に飛びはねる。吹き落として来た雪のちぎれは、大きな霧のかたまりになって、海とすれすれに波の上を矢よりも早く飛び過ぎて行く。 海面上狂风呼啸,大雪纷飞,波浪汹涌。纵横交错的狂风恣意翻卷着大海,高举的三角形波浪就像吊起来似的,竟相扭打在一起,霎时变成一座座白色的浪花。浪尖被狂风撕成碎片,漫无目标猛然坍塌下来。一团团大得让人不能睁眼的雪片时而追击波浪,时而又被波浪追击,宛如激怒狂风的小恶魔,在渔船的周围面目狰狞地狂舞着,乱窜着。雪片在狂风吹动下变成一团团大雾,在风口浪尖上比弓箭还要快地呼啸着。  雪と浸水(あか)とで糊(のり)よりもすべる船板の上を君ははうようにして舳(へさき)のほうへにじり寄り、左の手に友綱の鉄環(かなわ)をしっかり[#「しっかり」に傍点]と握って腰を据(す)えながら、右手に磁石をかまえて、大声で船の進路を後ろに伝える。二人の漁夫は大竿(おおざお)を風上になった舷(ふなべり)から二本突き出して、動かないように結びつける。船の顛覆(てんぷく)を少しなりとも防ごうためだ。君の兄上は帆綱を握って、舵座(かじざ)にいる父上の合図どおりに帆の上げ下げを誤るまいと一心になっている。そしてその間にもしっきりなしに打ち込む浸水(あか)を急がしく汲(く)んでは舷から捨てている。命がけに呼びかわす互い互いの声は妙に上(うわ)ずって、風に半分がた消されながら、それでも五人の耳には物すごくも心強くも響いて来る。 你趴在因大雪和渍水冻在一起比浆糊还要光滑的船板上,艰难地向船头爬去。你的左手紧握缆绳的铁环,把自己的身体稳住;右手抱住磁盘,大声向后面传达船只行进的航向。为了防止船体倾斜,二名渔夫从上风口的船舷上挺出二根竹竿,紧紧绑在船舷上不让它松动。你的哥哥手握帆绳,按照坚守在船舱中的父亲传出的信号密切调整白帆的起降。除此之外,那时候还要把随时打进来的渍水紧张地舀起来从船舷上倒出去。你们相互大声呼喊,异常高亢的声音虽然被狂风抵消了大半,但是却激烈回荡在五个人的耳朵里。  「おも舵っ」  「右にかわすだってえば」  「右だ‥‥右だぞっ」  「帆綱をしめろやっ」  「友船は見えねえかよう、いたらくっつけやーい  どう吹こうとためらっていたような疾風がやがてしっかり方向を定めると、これまでただあてもなく立ち騒いでいたらしく見える三角波は、だんだんと丘陵のような紆濤(うねり)に変わって行った。言葉どおりに水平に吹雪(ふぶ)く雪の中を、後ろのほうから、見上げるような大きな水の堆積(たいせき)が、想像も及ばない早さでひた押しに押して来る。 “主掌舵。” “右转舵。” “左……右。” “帆绳,再紧些。” “没有友船,一旦发现友船,注意靠拢。” 不久,游移不定的狂风稳定了风向,刚才还是四面狂吠的三角形波浪也逐渐变成了丘陵似的巨浪。这些张着浪头的大水堆尾随在渔船的后面,在雨横风狂般的暴风雪中,气势汹汹地猛扑过来。  「来たぞーっ」  緊張し切った五人の心はまたさらに恐ろしい緊張を加えた。まぶしいほど早かった船足が急によどんで、後ろに吸い寄せられて、艫(とも)が薄気味悪く持ち上がって、船中に置かれた品物ががらがらと音をたてて前にのめり、人々も何かに取りついて腰のすわりを定めなおさなければならなくなった瞬間に、船はひとあおりあおって、物すごい不動から、奈落(ならく)の底までもとすさまじい勢いで波の背をすべり下った。同時に耳に余る大きな音を立てて、紆濤(うねり)は屏風倒(びょうぶだお)しに倒れかえる。わきかえるような泡(あわ)の混乱の中に船をもまれながら行く手を見ると、いったんこわれた波はすぐまた物すごい丘陵に立ちかえって、目の前の空を高くしきりながら、見る見る悪夢のように遠ざかって行く。  ほっと安堵(あんど)の息をつく隙(すき)も与えず、後ろを見ればまた紆濤(うねり)だ。水の山だ。その時、  「あぶねえ」  「ぽきりっ」 “到了。” 五个人本来已经紧绷的心弦这时绷得更紧。快得令人目眩的渔船陡然停下来,被后面吸过去,船尾可怕地翘起来,船上的物品“咣当咣当”纷纷前倒,你们必须抓住什么东西才能稳住自己。同时,渔船在余波的带动下,随着波涛死死地向着无底深渊滑下去。与此同时,波涛发出震耳的巨响山崩地裂一般仰面坍塌下来,剧烈翻滚的水泡激烈地搓揉渔船。眼望前方,刚刚坍塌的波涛霎时又形成一个恐怖的丘陵,挡住眼前的天空,仿如恶梦一般迅速离去。你来不及放心地喘口气,扭头向后望去,又是一个波涛,大得像座水山。正当这时,你听到二声大吼: “危险!” “躲开!” というけたたましい声を同時に君は聞いた。そして同時に野獣の敏感さをもって身構えしながら後ろを振り向いた。根もとから折れて横倒しに倒れかかる帆柱と、急に命を失ったようにしわになってたたまる帆布と、その陰から、飛び出しそうに目をむいて、大きく口をあけた君の兄上の顔とが映った。  君は咄嗟(とっさ)に身をかわして、頭から打ってかかろうとする帆柱から身をかばった。人々は騒ぎ立って艪(ろ)を構えようとひしめいた。けれども無二無三な船足の動揺には打ち勝てなかった。帆の自由である限りは金輪際(こんりんざい)船を顛覆(てんぷく)させないだけの自信を持った人たちも、帆を奪い取られては途方に暮れないではいられなかった。船足のとまった船ではもう舵(かじ)もきかない。船は波の動揺のまにまに勝手放題に荒れ狂った。  第一の紆濤(うねり)、第二の紆濤、第三の紆濤には天撙蝾嵏菠椁肖盲皮欷俊¥筏诽貏eに大きな第四の紆濤を見た時、船中の人々は観念しなければならなかった。 你像猛兽一般敏捷地护住身子回过头来,只见阴影里桅杆连根折断倒下来,帆就像突然泄了气似地打着皱纹滑落下来,你的哥哥被吓得目瞪口呆。 说时迟那时快,你刚一闪身,桅杆就从你的头前砸下来,你保住了自己的身体。人们大嚷大叫纷纷架橹,然而根本不能阻止渔船摇晃。只要白帆可以自由升降,就决不能让渔船倾斜,充满自信的渔夫们由于白帆被夺,穷于应付,一筹莫展。渔船停滞不前,船舵不起作用,渔船随着波涛在剧烈地颠簸。 第一个波涛,第二个波涛,第三个波涛,在苍天的保佑下,渔船没有倾斜。然而,当看到格外大的第四个波涛时,渔船上的人们不得不作最坏的打算。  雪のために薄くぼかされたまっ蚀螭噬健ⅳ饯雾敜椁稀⒒黏激ⅳ膜瑜Δ恕ⅳ沥椁辘沥椁臧驻げ^(なみがしら)が立っては消え、消えては立ちして、瞬間ごとに高さを増して行った。吹き荒れる風すらがそのためにさえぎりとめられて、船の周囲には気味の悪い静かさが満ち広がった。それを見るにつけても波の反対の側をひた押しに押す風の激しさ強さが思いやられた。艫(とも)を波のほうへ向ける事も得しないで、力なく漂う船の前まで来ると、波の山は、いきなり、獲物に襲いかかる猛獣のように思いきり背延びをした。と思うと、波頭は吹きつける風にそりを打って※(どう)とくずれこんだ。  はっと思ったその時おそく、君らはもうまっ白な泡(あわ)に五体を引きちぎられるほどもまれながら、船底を上にして顛覆(てんぷく)した船体にしがみつこうともがいていた。見ると君の目の届く所には、君の兄上が頭からずぶぬれになって、ぬるぬると手がかりのない舷(ふなべり)に手をあてがってはすべり、手をあてがってはすべりしていた。君は大声を揚げて何か言った。兄上も大声を揚げて何か言ってるらしかった。しかしお互いに大きな口をあくのが見えるだけで、声は少しも聞こえて来ない。 那个波涛就像是淡雪中的一座黑沉沉的大山,白色的波峰是熊熊燃烧的火焰,抬起来,低下去;低下去,抬起来。波峰在一秒一秒地长高长大,连凶猛的狂风也被挡在外面,渔船的周围弥漫着可怕的宁静。望着眼前的一切,可以想象波涛背面来势汹汹的狂风。小山似的波涛没能接近船尾,刚一转到无力漂荡的船前,顿时犹如饿狼扑食一般,狠狠地舒展了一下筋骨,霎时被狂风卷起,打了个弯,“扑嗵”一声塌陷下来。 不等反应过来,你们已经被打在白色的浪花里。你们五人在撕咬的浪花中挣扎,死死地抓住船底朝上那边倾斜的船体。你左顾右盼,在视野所及的地方,你的哥哥全身湿透,手刚搭在光滑的没有抓手的船舷上马上又滑下来;搭上去马上又滑下来。你大声地叫喊,你的哥哥也大声叫喊,但是二人只看见对方张着大嘴,却听不见任何声音。  割合に小さな波があとからあとから押し寄せて来て、船を揺り上げたり押しおろしたりした。そのたびごとに君たちは船との縁を絶たれて、水の中に漂わねばならなかった。そして君は、着込んだ厚衣(あつし)の芯(しん)まで水が透って鉄のように重いのにもかかわらず、一心不乱に動かす手足と同じほどの忙(せわ)しさで、目と鼻ぐらいの近さに押し迫った死からのがれ出る道を考えた。心の上澄(うわず)みは妙におどおどとあわてている割合に、心の底は不思議に気味悪く落ちついていた。それは君自身にすら物すごいほどだった。空といい、海といい、船といい、君の思案といい、一つとして目あてなく動揺しないものはない中に、君の心の底だけが悪落ち付きに落ち付いて、「死にはしないぞ」とちゃんときめ込んでいるのがかえって薄気味悪かった。それは「死ぬのがいやだ」「生きていたい」「生きる余席の有る限りはどうあっても生きなければならぬ」「死にはしないぞ」という本能の論理的結論であったのだ。この恐ろしい盲目な生の事実が、そしてその結論だけが、目を見すえたように、君の心の底に落ち付き払っていたのだった。 稍小的波涛从后面滚滚而来,把船掀起来,又推下去,在一掀一推之间,把你们从船体上掀开抛入水中。海水浸透了你身上的厚衣,就像铁块一般沉重;尽管如此,你方寸不乱地迅速划动着四肢,头脑里急促地琢磨从近在咫尺的死神中寻找一条逃路。在你的心里,上升的是异常恐惧的慌张,下沉的是异样苦涩的沉着,连你自己都感到毛骨悚然。你在茫茫地寻找逃路,无论是天空、大海、渔船,还是在你冥思苦想的其它逃路中,你只有一个微觉苦涩的目标,那就是你异常冷静的决心:“决不能死”。它来自于本能的逻辑推论,“我不要死”,“我要活下去”,“只要有一线希望就必须活下去”,“决不能死”。这种强烈的盲目的生的事实虽然只是一种推论,但却牢牢地扎在你的心底。  君はこの物すごい無気味な衝動に駆り立てられながら、水船なりにも顛覆した船を裏返す努力に力を尽くした。残る四人の心も君と変わりはないと見えて、険しい困苦と戦いながら、四人とも君のいる舷(ふなべり)のほうへ集まって来た。そして申し合わしたように、いっしょに力を合わせて、船の胴腹にはい上がるようにしたので、船は一方にかしぎ始めた。  「それ今ひと息だぞっ」  君の父上がしぼり切った生命を声にしたように叫んだ。一同はまた懸命な力をこめた。 受这种强烈的苦涩的冲动所驱使,你竭力要把倾斜成水船的渔船重新摆正过来。其余的四人看来也同你的想法一样,一边与险境斗争一边向你所在的船舷这边游来。而且,就像预先商量好了似的,一齐合力爬进船舱,渔船更加倾斜了。 “再加把劲。” 你的父亲倾其整个生命的力量大声嚷道。五个人再次全力以赴。  おりよく――全くおりよく、天撙括D―その時船の横面(よこつら)に大きな波が浴びせこんで来たので、片方だけに人の重りの加わった船はくるり[#「くるり」に傍点]と裏返った。舷までひたひたと水に埋もれながらもとにかく船は真向きになって水の面に浮かび出た。船が裏返る拍子に五人は五人ながら、すっぽりと氷のような海の中にもぐり込みながら、急に勢いづいて船の上に飛び上がろうとした。しかししこたま着込んだ衣服は思うざまぬれ透っていて、ややともすれば人々を波の中に吸い込もうとした。それが一方の舷に取りついて力をこめればまた顛覆(てんぷく)するにきまっている。生死の瀬戸ぎわにはまり込んでいる人々の本能は恐ろしいほど敏捷(びんしょう)な働きをする。五人の中の二人は咄嗟(とっさ)に反対の舷に回った。そして互いに顔を見合わせながら、一度にやっと声をかけ合わせて半身を舷に仱晟悉菠俊W悚韦郅Δ虼驻宋ぜ膜护椁欷胜椁狻肷恧蛩榫趣こ訾筏咳恕─晤啢爽Fわれたなんとも言えない緊張した表情――それを君は忘れる事ができない。次の瞬間にはわっと声をあげて男泣きに泣くか、それとも我れを忘れて狂うように笑うか、どちらかをしそうな表情――それを君は忘れる事ができない。 巧合——完全是苍天赐与的巧合——就在这时,一个大浪向渔船的另一侧掀来,一侧施加了五人重量的渔船猛然翻过来。虽然海水已经浸到船舷,但是,渔船总算翻过来浮出了水面。就在渔船翻过来的一刹那,你们五人又奋不顾身地潜入冰冷的大海里,然后迅猛地跳到渔船上去。然而,鼓鼓囊囊的衣服由于浸透了海水,你们轻易又被打入波浪中。如果只在一侧用力的话,渔船势必又会重新倾斜。处在生死紧要关头的时刻,人们的本能通常会发挥惊人敏捷的效果。你们五人中的二人立即游到对面的船舷附近,互相对视着,同时大吼一声,将半截身子探在船舷上。虽然下肢还被海水吸在船底,但是已经从海水中探出了半截身子。你们的脸上那时露出无法形容的肃穆——那种表情令你终身难忘。接着你们放声大叫,这种叫声不知是男子汉的放声悲歌呢?还是沉浸在忘我的畅笑中?或者两者兼而有之?——那种表情同样令你终身难忘。  すべてこうした懸命な努力は、降りしきる雪と、荒れ狂う水と、海面をこすって飛ぶ雲とで表わされる自然の憤怒(ふんぬ)の中で行なわれたのだ。怒った自然の前には、人間は塵(ちり)ひとひらにも及ばない。人間などという存在は全く無視されている。それにも係わらず君たちは頑固(がんこ)に自分たちの存在を主張した。雪も風も波も君たちを考えにいれてはいないのに、君たちはしいてもそれらに君たちを考えさせようとした。 所有这些殊死的努力都是在飞雪、巨浪、低垂在海面的乱云的大自然的愤怒中进行的。在愤怒的大自然面前,人类不啻一颗小小的尘埃,全然没有放在眼里。尽管如此,你们却顽强地伸张自己的存在。大雪、狂风、波浪无视你们的存在,你们偏要强烈地迫使它们思考你们的存在。  舷(ふなべり)を仱暝饯筏票捡Rのような波頭がつぎつぎにすり抜けて行く。それに腰まで浸しながら、君たちは船の中に取り残された得物をなんでもかまわず取り上げて、それを働かしながら、死からのがるべき一路を切り開こうとした。ある者は艪(ろ)を拾いあてた。あるものは船板を、あるものは水柄杓(みずびしゃく)を、あるものは長いたわしの柄を、何ものにも換えがたい武器のようにしっかり握っていた。そして舷から身を仱瓿訾筏啤⒆庸─工毪瑜Δ恕⑺蜾睿à常─い坤辍⒔àⅳ─颏訾筏郡辘筏俊 波浪越过船舷犹如万马奔腾,纷纷挤压着向前奔去。你们在浸至腰深的渔船里,抓住渔船中的残存物品挥舞着,用它们开辟一条逃生的道路。一个人抓住了橹,一个人拾到了船板,一个人拾到了水勺,一个人拾到了一根长刷柄,你们紧握无可替代的武器;还从船舷上探出身子,像孩子们那样,又是用双腿打水划船又是把渍水舀出船外。  吹き落ちる気配(けはい)も見えないあらしは、果てもなく海上を吹きまくる。目に見える限りはただ波頭ばかりだ。犬のような敏捷(すばや)さで方角を嗅(か)ぎ慣れている漁夫たちも、今は東西の定めようがない。東西南北は一つの悖à悉粒─沃肖扦工辘蓼激郡瑜Δ藴嗐纾à长螭趣螅─趣筏皮筏蓼盲俊  薄い暗L欷椁趣猡胜丐椁趣猡胜铯黏长氪蠼袉尽¥郅摔悉胜螭摔猡胜ぁ  「死にはしないぞ」――そんなはめになってからも、君の心の底は妙に落ち着いて、薄気味悪くこの一事を思いつづけた。  君のそばには一人の若い漁夫がいたが、その右の顳※(こめかみ)のへんから生々しい色の血が幾条にもなって流れていた。それだけがはっきり君の目に映った。「死にはしないぞ」――それを見るにつけても、君はまたしみじみとそう思った。 暴风雪没有停止的迹象,在无际的海面上猛烈地刮着,眼前全是茫茫的波涛。有着猎犬般灵敏嗅觉的渔夫们眼下也不能把渔船固定在东西方向上。东西南北就像烩在一个坛子里浑然连成了一体。 在昏暗的天空下,波涛除了咆哮还是咆哮,雄浑的涛声连成一片响彻在天地之间。 “决不能死!”——即使在这样艰险的窘境,你依然异常沉着,并有点儿苦涩地想起了这样一件事情。 在你的身边有一位年轻的渔夫,鲜血变成几条细流从他右边的太阳穴旁边流淌下来。那是殷红的鲜血。你看在眼里,心里更加坚定了自己的决心:“决不能死!”。  こういう必死な努力が何分続いたのか、何時間続いたのか、時間というもののすっかり無くなってしまったこの世界では少しもわからない。しかしながらとにかく君が何ものも納(い)れ得ない心の中に、疲労という感じを覚えだして、これは困った事になったと思ったころだった、突然一人の漁夫が意味のわからない言葉を大きな声で叫んだのは。今まででも五人が五人ながら始終何か互いに叫び続けていたのだったが、この叫び声は不思議にきわ立ってみんなの耳に響いた。  残る四人は思わず言い合わせたようにその漁夫のほうを向いて、その漁夫が目をつけているほうへ視線をたどって行った。 在完全丧失时间观念的这个世界里,这种殊死的努力大约持续了几十分钟,也许是几个小时。突然,一位渔夫大声喊出了一句不明究理的话,你全神贯注的身心顿时疲倦下来,心想:大祸临头了。在五个人自始至终互相叫嚷的声音当中,刚才的那句叫声格外刺耳,回响在大家的耳畔。 其余四人不约而同地扭向那名渔夫,顺着他凝视的方向望去。   船! ‥‥船!  濃い吹雪(ふぶき)の幕のあなたに、さだかには見えないが、波の背(そびら)に仱盲扑氖宥趣椁い谓嵌趣舜驻蛳陇讼颏堡胜椤⒎颏い盲绚い碎_いて、矢よりも早く走って行く一艘(そう)の船!  それを見ると何かが君の胸をどきん[#「どきん」に傍点]と下からつき上げて来た。君は思わずすすり泣きでもしたいような心持ちになった。何はさておいても君たちはその船を目がけて助けを求めながら近寄って行かねばならぬはずだった。余の人たちも君と同様、確かに何物かを目の前に認めたらしく、奇怪な叫び声を立てた漁夫が、目を大きく開いて見つめているあたりを等しく見つめていた。そのくせ一人として自分らの船をそっちのほうへ向けようとしているらしい者はなかった。それをいぶかる君自身すら、心がただわくわくと感傷的になりまさるばかりで、急いで働かすべき手はかえって萎(な)えてしまっていた。 船!……,船! 在暴风雪形成的厚幕对面,隐隐约约有一只渔船船头向下倾斜四十五度左右的角,张满白帆,乘风破浪,比弓箭还要快地运动着。 你望着它,感到某种东西从心底一下子提到了胸口,不由得抑制不住自己的感情,泪水都要流出来了。按理,你们必须马上向那只船靠拢寻求帮助,其余的渔夫同你一样,目光中好像在辨别眼前是一只什么样的渔船,目不转睛地注视着刚才发出怪叫,目瞪口呆的那名渔夫所望的方向。为此,没有一个人想把渔船向那边移去。你不敢相信那是真的,陷在激动不安的悲伤中。本应该紧张劳动的双手反而失去了力量。  白い帆をいっぱいに開いたその船は、依然として船首を下に向けたまま、矢のように走って行く。降りしきる吹雪(ふぶき)を隔てた事だから、仱杲Mみの人の数もはっきりとは見えないし、水の上に割合に高く現われている船の胴も、木の色というよりは白堊(はくあ)のような生白さに見えていた。そして不思議な事には、波の腹に仱盲皮獠à伪长藖っても、舳(へさき)は依然として下に向いたままである。風の強弱に応じて帆を上げ下げする様子もない。いつまでも目の前に見えながら、四十五度くらいに船首を下向きにしたまま、矢よりも早く走って行く。 白帆满张的那只渔船一直船头向下,快如弓箭地运动着。因为隔着漫天飞雪,看不清船上有多少人,浮出水面较高的船体呈现出白墙那样的苍白颜色,而不是船体本身的颜色。更叫人奇怪的是,无论跃上波峰还是跌入波谷,船头总是向着下面一个方向。白帆依然如故,不见它随着风力大小上升和下降。船头永远以向下四十五度左右的倾角在你们面前比弓箭还要快地运动着。  ぎょっとして気がつくと、その船はいつのまにか水から離れていた。波頭から三段も上と思われるあたりを船は傾(かし)いだまま矢よりも早く走っている。君の頭はかあんとしてすくみ上がってしまった。同時に船はだんだん大きくぼやけて行った。いつのまにかその胴体は消えてなくなって、ただまっ白い帆だけが矢よりも早く動いて行くのが見やられるばかりだ。と思うまもなくその白い大きな帆さえが、降りしきる雪の中に薄れて行って、やがてはかき消すように見えなくなってしまった。 你惊讶地发现,那只渔船不知什么时候脱离了水面。倾斜的渔船在高出波峰三级台阶的上方比弓箭还要快地运动着。你的头嗡的一下发懵了。同时,渔船渐渐变大,变得模糊不清,不知不觉失去形体消失了。只有雪白的帆比弓箭还要快地运动着。不久,那白色的帆也在漫天雪花中变得稀薄,转眼之间从视线中抹掉消失得无影无踪了。  怒濤(どとう)。白沫(しらあわ)。さっさっと降りしきる雪。目をかすめて飛びかわす雲の霧。自然の大叫喚‥‥そのまっただ中にたよりなくもみさいなまれる君たちの小さな水船‥‥やっぱりそれだけだった。  生死の間にさまよって、疲れながらも緊張し切った神経に起こる幻覚(ハルシネーション)だったのだと気がつくと、君は急に一種の薄気味悪さを感じて、力を一度にもぎ取られるように思った。  さきほど奇怪な叫び声を立てたその若い漁夫は、やがて眠るようにおとなしく気を失って、ひょろひょろとよろめくと見る間に、くずれるように胴の間にぶっ倒れてしまった。 怒涛汹涌,浪花飞溅,大雪纷纷。乱飞的云雾在眼前掠过,天地发出怒吼……。在这种险恶的环境中,你们的小水船无依无靠,在颠簸着,蹂躏着……,你们毫无办法。 徘徊在生死之间,当你发现那是因为疲惫和紧张的神经产生的幻觉时,心中顿时有一种淡淡的苦涩,全身的力气仿佛一下子消失殆尽。 刚才发出怪叫的那位年轻渔夫不久就像安睡在梦中一般,神志不清地迈着踉踉跄跄的步子,看着看着,身子一歪,撞倒在船舱上。  漁夫たちは何か魔でもさしたように思わず極度の不安を目に現わして互いに顔を見合わせた。  「死にはしないぞ」  不思議な事にはそのぶっ倒れた男を見るにつけて、また漁夫たちの不安げな様子を見るにつけて、君は懲りずまに薄気味悪くそう思いつづけた。  君たちがほんとうに一艘(そう)の友船と出くわしたまでには、どれほどの時間がたっていたろう。しかしとにかく呙暇郡沥摔蠠o関心ではなかったと見える。急に十倍も力を回復したように見えた漁夫たちが、必死になって君たちの船とその船とをつなぎ合わせ、半分がた凍ってしまった帆を形ばかりに張り上げて、風の追うままに船を走らせた時には、なんとも言えない幸福な感謝の心が、おさえてもおさえてもむらむらと胸の先にこみ上げて来た。 渔夫们宛如魔鬼附身,不由自主地露出极度不安的神色,你望着我,我望着你。 “决不能死!” 奇怪的是,不论是面对栽倒下去的那位渔夫,还是面对渔夫们的焦虑神色,你仍然那样固执、略带苦涩地告诫自己。 不知过了多长时间,你们到底遇到了一只友船。看来命运之神还是向你们伸出了关怀之手。渔夫们顿时恢复了十倍的力量,竭力把二只渔船连在一起,又将冻得快要结冰的白帆如同虚设一般升起来,在海风的吹动下破浪前进。这时候,一种难言的幸福和感激之情难以抑制地向心头滚滚涌来。  着く所に着いてから思い存分の手当をするからしばらく我慢してくれと心の中にわびるように言いながら、君は若い漁夫を卒倒したまま胴の間の片すみに抱きよせて、すぐ自分の仕事にかかった。  やがて行く手の波の上にぼんやりと雷電峠の突角が現われ出した。山脚(やまあし)は海の中に、山頂は雲の中に、山腹は雪の中にもみにもまれながら、決して動かないものが始めて君たちの前に現われたのだ。それを見つけた時の漁夫たちの心の勇み‥‥魚が水にあったような、野獣が山に放たれたような、太陽が西を見つけ出したようなその喜び‥‥船の中の人たちは思わず足爪立(つまだ)てんばかりに総立ちになった。人々の心までが総立ちになった。 “再坚持一会,到达目的地之后好好养伤。”你抱起晕厥的年轻渔夫把他放在船舱的一角,心情难过地安慰道,接着又投入到自己的工作中去了。 不久,前方的波浪上隐隐约约露出雷电岭的突角。雷电岭的山脚踏在海里,山顶伸在云中,山腹白雪皑皑,巍然不动地开始屹立在你们的面前。见到它,渔夫们的心情是何等振奋和喜悦啊……。那种喜悦的心情就像鱼儿遇见水,猛兽放归深山,太阳从东方升起……,渔船上的人们情不自禁,恨不得连脚尖也踮起来,激动的心都要飞出来了。   「峠が見えたぞ‥‥北に取れや舵(かじ)を‥‥隠れ岩さ仱晟悉菠螭狮E‥雪崩(なだれ)にも打たせんなよう‥‥」  そう言う声がてんでんに人々の口からわめかれた。それにしても船はひどく流されていたものだ。雷電峠から五里も離れた瀬にいたものが、いつのまにかこんな所に来ているのだ。見る見る風と波とに押しやられて船は吸い付けられるように、吹雪(ふぶき)の間からまっ颂欷蓼扦饯饯炅ⅳ亩蠉帲à坤螭ぃ─私膜盲菩肖韦颉O夫たちはそうはさせまいと、帆をたて直し、艪(ろ)を押して、横波を食わせながら船を北へと向けて行った。 “看见雷电岭了……;方向,向北掌舵……;注意暗礁……;注意雪崩……” 你们发出高亢的叫声。尽管如此,渔船还是受到激流的猛烈冲击。距离雷电岭二十公里的浅滩上的东西不知什么时候也来到了这儿。在风吹浪打下,渔船仿佛被吸住一般,眼看要向暴风雪中耸立在天空的黝黑悬崖移去。为了阻止渔船移向悬崖,渔夫们调整着帆,摇着橹,横过波浪,向北方驶去。  陸地に近づくと波はなお怒る。鬣(たてがみ)を風になびかして暴(あ)れる野馬のように、波頭は波の穂になり、波の穂は飛沫(ひまつ)になり、飛沫はしぶきになり、しぶきは霧になり、霧はまたまっ白い波になって、息もつかせずあとからあとからと山すそに襲いかかって行く。山すその岩壁に打ちつけた波は、煮えくりかえった熱湯をぶちつけたように、湯げのような白沫(しらあわ)を五丈も六丈も高く飛ばして、反(そ)りを打ちながら海の中にどっとくずれ込む。 波涛越靠近陆地越是汹涌。波涛宛如一匹鬃毛迎风披靡,桀骜不驯的野马,波峰变成了波舌,波舌变成了水花,水花了变成飞沫,飞沫变成了水雾,水雾又重新变成了白花花的波涛,永不停息地滚滚侵袭着山脚。拍打在山脚石壁上的波涛就像煮沸的开水,高高地扬起五、六丈高,犹如蒸汽一般的白沫,打着弯儿轰然跳回海中。  その猛烈な力を感じてか、断崕(だんがい)の出鼻に降り積もって、徐々に斜面をすべり下って来ていた積雪が、地面との縁(えん)から離れて、すさまじい地響きとともに、何百丈の高さから一気になだれ落ちる。巓(いただき)を離れた時には一握りの銀末に過ぎない。それが見る見る大きさを増して、隕星(いんせい)のように白い尾を長く引きながら、音も立てずにまっしぐらに落として来る。あなやと思う間にそれは何十里にもわたる水晶の大簾(おおすだれ)だ。ど、ど、どどどしーん‥‥さあーっ‥‥。広い海面が目の前でまっ白な平野になる。山のような五百重(いおえ)の大波はたちまちおい退けられて漣(さざなみ)一つ立たない。どっとそこを目がけて狂風が四方から吹き起こる‥‥その物すさまじさ。  君たちの船は悪鬼におい迫られたようにおびえながら、懸命に東北へと舵(かじ)を取る。磁石のような陸地の吸引力からようよう自由になる事のできた船は、また揺れ動く波の山と戦わねばならぬ。 也许是感到了这种猛烈的力量,积雪在悬崖突出海面的地方缓缓向下滑出一个斜坡,与地面失去了联系,从几百丈高的地方一气雪崩下来,同时伴随一阵惊天动地的沉响。积雪离开山顶的时候只不过是饭团大小的银色碎屑,霎时迅速增大,像流星一般拖着长长的白尾,不声不响,气势如虹地落下来。不等人们完全反应过来,已经变成了长达几十公里的水晶大帘。“咚,咚,咚咚咚……刹……”,眼前的宽阔海面变成了银白的平野。重重叠叠,如山的大浪转眼被埋在雪原里,驯服地收住了浪花,狂风从四面八方呼啸而来……。那是多么的惊险! 你们的渔船好似魔鬼附身,畏缩着,吃力地向东北方向驶去。渔船渐渐脱离陆地的吸引,最终获得自由,又重新战斗在汹涌澎湃的波涛之间。  それでも岩内の港が波の間に隠れたり見えたりし始めると、漁夫たちの力は急に五倍にも十倍にもなった。今までの人数の二倍も仱盲皮い毪瑜Δ舜蟿婴い俊0钉榇颏辽悉菠肽繕摔畏榛穑à韦恧罚─悉坤盲瓢迭な空の中でぱっとはじけると、※々(さんさん)として火花を散らしながら闇(やみ)の中に消えて行く。それを目がけて漁夫たちは有る限りの艪(ろ)を黙ったままでひた漕(こ)ぎに漕いだ。その不思議な沈黙が、互いに呼びかわす惨(むごた)らしい叫び声よりもかえって力強く人々の胸に響いた。 不久,岩内港开始隐约出现在波涛之间。渔夫们顿时增添了五倍、十倍的力量,渔船也像多了一倍的渔夫开始快速前进。海岸上燃起烽火,那是靠岸的目标。虽然是不太明亮的紫光,却在黑暗的天空中劈劈叭叭地燃烧,发出灿烂的火星,然后消失在黑暗里。渔夫们瞄准目标,一声不吭地奋力摇动所有的橹。与人们的尽情欢呼相比,这种奇异的沉默更加有力地回荡在人们的胸中。  船が波の上に仱盲繒rには、波打ちぎわに集まって何か騒ぎ立てている群肖姢浃椁欷毪蓼扦摔胜盲俊¥浃皮ⅳ椁筏伍gにも大砲のような音が船まで聞こえて来た。と思うと救助縄(きゅうじょなわ)が空をかける蛇(へび)のように曲がりくねりながら、船から二三段隔たった水の中にざぶり[#「ざぶり」に傍点]と落ちた。漁夫たちはそのほうへ船を向けようとひしめいた。第二の爆声が聞こえた。縄はあやまたず船に届いた。 渔船行驶在波涛上,眼前已经可以见到拥挤在海岸线上嘈杂的人群了。过了一会儿,暴风雪中响起大炮般的响声,向渔船传来。接着,天空中飞驰的救生绳宛如银蛇,一边划着曲线,一边噗嗵落在了离船二、三级台阶的海水里。渔夫们纷纷把渔船向这边划来。这时,又听见第二声炮响,救生绳准确无误地落到了渔船上。  二三人の漁夫がよろけころびながらその縄のほうへ駆け寄った。  音は聞こえずに烽火(のろし)の火花は間を置いて怪火のようにはるかの空にぱっと咲いてはすぐ散って行く。  船は縄に引かれてぐんぐん陸のほうへ近寄って行く。水底が浅くなったために無二無三に乱れ立ち騒ぐ波濤(はとう)の中を、互いにしっかりしがみ合った二艘(そう)の船は、半分がた水の中をくぐりながら、半死のありさまで進んで行った。 二、三名渔夫跌跌撞撞地向救生绳跑过去。 没有声响的烽火像鬼火似地,每隔一会儿便在远处的天空中开花,消失。 渔船在救生绳的牵引下迅速向陆地方向靠过去。由于海底变浅,紧紧连在一起的二只渔船在咆哮的波涛中一半潜在水里,半死半活地前进着。  君は始めて気がついたように年老いた君の父上のほうを振り返って見た。父上はひざから下を水に浸して舵座(かじざ)にすわったまま、じっと君を見つめていた。今まで絶えず君と君の兄上とを見つめていたのだ。そう思うと君はなんとも言えない骨肉の愛着にきびしく捕えられてしまった。君の目には不覚にも熱い涙が浮かんで来た。君の父上はそれを見た。 你终于想起你的父亲,向那边望去,年迈的父亲膝盖以下浸在水中,坐在舵位上,直盯盯地望着你。父亲大概一直这样注视着你和你的哥哥吧。想到这儿,你不禁感到一种无法形容的深切的骨肉之爱,面对父亲,你眼眶里不由得浮出了热泪。你的父亲目睹着你的激动表情。  「あなたが助かってよござんした」  「お前が助かってよかった」  両人の目には咄嗟(とっさ)の間にも互いに親しみをこめてこう言い合った。そしてこのうれしい言葉を語る目から互い互いの目は離れようとしなかった。そうしたままでしばらく過ぎた。 “终于得救了,爸爸。” “是的,得救了。” 二人的目光顷刻间饱含亲情互相祝贺道。在充满喜悦互道平安的目光中,二人的眼睛都舍不得离开,就那样相视了许久。  君は満足しきってまた働き始めた。もう目の前には岩内の町が、きたなく貧しいながらに、君にとってはなつかしい岩内の町が、新しく生まれ出たままのように立ち列(つら)なっていた。水難救済会の制服を着た人たちが、右往左往に駆け回るありさまもまざまざと目に映った。 なんとも言えない勇ましい新しい力――上げ潮のように、腹のどん底からむらむらとわき出して来る新しい力を感じて、君は「さあ来い」と言わんばかりに、艪(ろ)をひしげるほど押しつかんだ。そして矢声をかけながら漕(こ)ぎ始めた。涙があとからあとからと君の頬(ほお)を伝って流れた。 唖(おし)のように今まで黙っていたほかの漁夫たちの口からも、やにわに勇ましいかけ声があふれ出て、君の声に応じた。艪は梭(ひ)のように波を切り破って激しく働いた。 你心满意足地又开始劳作。岩内城尽管肮脏、贫穷,但对你来说却是那样依依难舍,它像一个新生的小镇站立在你的面前。身穿海难救济会制服的工作人员东奔西跑的场面也历历在目。 你重新感到了一种难以形容的勇敢力量——就像涨潮时那样,从心底滚滚涌起新鲜的力量。你恨不得大叫一声,“过来”,用力抓起橹。那劲头好像要把它折断似的,发出飞箭般的声音开始划起来,无尽的泪水沿着你的面颊流淌下来。 刚才沉默得像一群哑巴的其余渔夫顷刻间发出勇猛的喊声和着你的节奏,橹就像梭子一样划破波浪,飞快地运动着。  岸の人たちが呼びおこす声が君たちの耳にもはいるまでになった。と思うと君はだんだん夢の中に引き込まれるようなぼんやりした感じに襲われて来た。  君はもう一度君の父上のほうを見た。父上は舵座にすわっている。しかしその姿は前のように君になんらの迫った感じをひき起こさせなかった。  やがて船底にじゃりじゃりと砂の触れる音が伝わった。船は滞りなく君が生まれ君が育てられたその土の上に引き上げられた。  「死にはしなかったぞ」 と君は思った。同時に君の目の前は見る見るまっ暗になった。‥‥君はそのあとを知らない。 你的耳边甚至听到了岸上人们的呼喊,此时,你感到自己宛如置身在梦中,渐渐陷入模糊的意识中去了。 你又一次向你的父亲望去。父亲仍然坐在舵位上,但是神态又恢复到了以前的慈祥,你感觉不出任何威严。 不久,船底触到泥沙发出“叽哩叽哩”的声音。渔船准确地回到了生你养你的那片土地。 “我没有死。” 想到这里,你的眼前顿时变成一片漆黑……,你不清楚后面还将发生什么事情。
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