|
七
君は漁夫たちとひざをならべて、同じ握り飯を口に撙婴胜椤⑿膜坤堡悉蓼毪钱惏钊摔韦瑜Δ烁簸郡盲皮长螭胜长趣蛩激こ訾埂¥胜螭趣いφ鎰嚖胜饯筏脐摛筏O夫の生活だろう。人間というものは、生きるためには、いやでも死のそば近くまで行かなければならないのだ。いわば捨て身になって、こっちから死に近づいて、死の油断を見すまして、かっぱらいのように生の一片をひったくって逃げて来なければならないのだ。死は知らんふりをしてそれを見やっている。人間は奪い取って来た生をたしなみながらしゃぶるけれども、ほどなくその生はまた尽きて行く。そうするとまた死の目の色を見すまして、死のほうにぬすみ足で近寄って行く。ある者は死があまり無頓着(むとんじゃく)そうに見えるので、つい気を許して少し大胆に高慢にふるまおうとする。と鬼一口だ。もうその人は地の上にはいない。ある者は年とともにいくじがなくなって行って、死の姿がいよいよ恐ろしく目に映り始める。そしてそれに近寄る冒険を躊躇(ちゅうちょ)する。そうすると死はやおら物憂(ものう)げな腰を上げて、そろそろとその人に近寄って来る。ガラガラ蛇(へび)に見こまれた小鳥のように、その人は逃げも得しないですくんでしまう。次の瞬間にその人はもう地の上にはいない。人の生きて行く姿はそんなふうにも思いなされる。実にはかないともなんとも言いようがない。その中にも漁夫の生活の激しさは格別だ。彼らは死に対してけんかをしかけんばかりの切羽(せっぱ)つまった心持ちで出かけて行く。陸の上ではなんと言っても偽善も弥縫(びほう)もある程度までは通用する。ある意味では必要であるとさえも考えられる。海の上ではそんな事は薬の足(た)しにしたくもない。真裸な実力と天撙肖辘工伽皮螡O夫の頼みどころだ。その生活はほんとに悲壮だ。彼らがそれを意識せず、生きるという事はすべてこうしたものだとあきらめをつけて、疑いもせず、不平も言わず、自分のために、自分の養わなければならない親や妻や子のために、毎日毎日板子一枚の下は地獄のような境界に身を放(な)げ出して、せっせと骨身を惜しまず働く姿はほんとうに悲壮だ。そして惨(みじ)めだ。なんだって人間というものはこんなしがない苦労をして生きて行かなければならないのだろう。
你和渔夫们并膝向嘴里送着同样的饭团,心里却有一种自己是外国人的隔阂开始这样思考到,这是多么严肃而危险的渔夫生活啊。所谓人,为了生存下去,即使不愿意也必须伴随在死神附近。也就是说必须奋不顾身地走近死神,瞄准死神的疏漏,像扒手那样攫取一点儿生逃出来。死神佯装不知注视着人们的举动。尽管人们小心地吮吸偷来的一点儿生,但是转眼消磨殆尽。于是,人们又瞅着死神的眼色,蹑手蹑脚地向它靠近。有的人因为看见死神漫不经心,所以放松了警惕,试图采取更大胆更高傲的行动,结果被鬼一口咬住,那人便从地上失去了踪影;有的人随着年龄增长变得意志消沉,死神开始可怕地出现在眼前,而且在死神临近时不果敢地采取冒险的行动,死神于是从容不迫地伸开慵懒的腰,慢慢向那人走去,那人便成了响尾蛇眼中的小鸟,瑟缩一团,在劫难逃,接着就从地上失去了踪影。你这样思考着人生的命运。老实说,人生的命运是不能简单地说成是不可琢磨和其它什么,其中尤以渔夫的生活最为动荡。他们怀着一颗走投无路的心情,只有出海与死神激烈争执。总之,在陆地上尚有伪善和弥补等措施勉强应付过去,在某种意义上甚至可以认为是必要的。但是,在海上却于事无补,所有的渔夫只有依靠自己赤裸裸的实力和天运。这种生活的确是很悲壮的。他们没有那种意识,脑子里只认这种死理:要生存就必须如此。没有疑问,没有不平,为了自己,为了父母家口,每天必须面临葬身鱼腹这种地狱般的境地,不惜生命努力劳作。那种场景实在悲壮,也是凄惨的。总之,所谓人也许只有付出这种无谓的辛劳才能生存下去吧。
世の中には、ことに君が少年時代を過ごした都会という所には、毎日毎日安逸な生を食傷するほどむさぼって一生夢のように送っている人もある。都会とは言うまい。だんだんとさびれて行くこの岩内の小さな町にも、二三百万円の富を祖先から受け嗣(つ)いで、小樽(おたる)には立派な別宅を構えてそこに妾(めかけ)を住まわせ、自分は東京のある高等な学校をともかくも卒業して、話でもさせればそんなに愚鈍にも見えないくせに、一年じゅうこれと言ってする仕事もなく、退屈をまぎらすための行楽に身を任せて、それでも使い切れない精力の余剰を、富者の贅沢(ぜいたく)の一つである癇癪(かんしゃく)に漏らしているのがある。君はその男をよく知っている。小学校時代には教室まで一つだったのだ。それが十年かそこらの年月の間に、二人の生活は恐ろしくかけ隔たってしまったのだ。君はそんな人たちを一度でもうらやましいと思った事はない。その人たちの生活の内容のむなしさを想像する充分の力を君は持っている。そして彼らが彼らの導くような生活をするのは道理があると合点がゆく。金があって才能が平凡だったら勢いああしてわずかに生の倦怠(けんたい)からのがれるほかはあるまいとひそかに同情さえされぬではない。その人たちが生に飽満して暮らすのはそれでいい。しかし君の周囲にいる人たちがなぜあんな恐ろしい生死の境の中に生きる事を僥倖(ぎょうこう)しなければならない呙摔ⅳ毪韦坤恧Α¥胜急摔椁悉饯螭示秤雳D―死ぬ瞬間まで一分の隙(すき)を見せずに身構えていなければならないような境遇にいながら、なぜ生きようとしなければならないのだろう。これは君に不思議ななぞのようなここちを起こさせる。ほんとうに生は死よりも不思議だ。
在这个世界里,特别是在你度过少年时代的那个都市里,有人每天暴殄天物,对安逸的生甚至产生了厌倦,一生都生活在梦中。我不想说都市里的情况,就是在日渐萧条下去的这个岩内小镇,也有一位授予官爵,奢侈无度的巨富。他从祖先那里继承了二、三百万元的巨产,在小樽建有豪华的别墅,藏娇纳妾。自己从东京某高等学校好歹混了一张文凭,虽然谈吐之间不乏敏慧,可是一年中没有做过一件像样的事情。为了打发无聊,每天过着酒池肉林的生活,以此来排泄用之不尽的过剩精力。你对他了如指掌,因为你读小学时和他同在一个教室。在十年左右的学生时代里,二人的生活悬殊得令人惊讶,你从来没有羡慕过那种人。你具有丰富的想象力,可以想象那种人生活内容的空虚。你对他们的那种无聊生活毫不感到意外,并认为是理所当然的事情。腰缠万贯却平庸无能,势必坠入生的倦怠中不能自拔,你甚至对他们暗自同情。那些人在生的倦怠中饱食终日未尝不可,可是,你周围的人们为什么要处在必须生活在那种恐怖的生死境地的侥幸命运中呢?那种人为什么却处在这种境地——对死亡没有一分钟闪念的境地,那种人为什么非要活着不可呢?所有这些都让你觉得困惑,是不可思议的谜。的确,那种人的生比死更让人不可琢磨。
その人たちは他人眼(よそめ)にはどうしても不幸な人たちと言わなければならない。しかし君自身の不幸に比べてみると、はるかに幸福だと君は思い入るのだ。彼らにはとにかくそういう生活をする事がそのまま生きる事なのだ。彼らはきれいさっぱり[#「さっぱり」に傍点]とあきらめをつけて、そういう生活の中に頭からはまり込んでいる。少しも疑ってはいない。それなのに君は絶えずいらいらして、目前の生活を疑い、それに安住する事ができないでいる。君は喜んで君の両親のために、君の家の苦しい生活のために、君のがんじょうな力強い肉体と精力とを提供している。君の父上のかりそめの風邪(かぜ)がなおって、しばらくぶりでいっしょに漁(りょう)に出て、夕方になって家に帰って来てから、一家がむつまじくちゃぶ台のまわりを囲んで、暗い五燭(しょく)の電燈の下で箸(はし)を取り上げる時、父上が珍しく木彫のような固い顔に微笑をたたえて、
在旁人看来,那种人无疑是非常不幸的人,但是与你自身的不幸相比,你觉得他们要幸福得多。总之,他们就是那样平平安安地生活着。他们完全丧失了思想,始终埋头在那种生活当中,从来也不怀疑。相反,你每天都生活在焦躁中,对眼前的生活抱着疑虑,没有一天不是生活在动荡中。为了你的双亲,为了你家庭的苦难生活,你乐于提供你强健有力的肉体和精力。你的父亲的短暂感冒好了之后,不久又同你们一起出海捕鱼。傍晚回家之后,一家人和睦地围着炕上的桌子,在黑暗的五烛光的电灯下拿起筷子的时候,父亲木雕一般坚固的脸上难得露出了微笑。
「今夜ははあおまんまがうめえぞ」
と言って、飯茶わんをちょっと押しいただくように目八分に持ち上げるのを見る時なぞは、君はなんと言っても心から幸福を感ぜずにはいられない。君は目前の生活を決して悔やんでいるわけではないのだ。それにも係わらず、君は何かにつけてすぐ暗い心になってしまう。
“谢谢赐给我们今晚的饭食。”
说着,你的父亲虔诚地将饭碗举到眼前。看到这里,你心里油然生起幸福之感。你决不是后悔眼前的生活,尽管如此,你心里却像被什么牵挂似地开始暗淡下来。
「絵がかきたい」
君は寝ても起きても祈りのようにこの一つの望みを胸の奥深く大事にかきいだいているのだ。その望みをふり捨ててしまえる事なら世の中は簡単なのだ。
恋――互いに思い合った恋と言ってもこれほどの執着はあり得まいと君自身の心を憐(あわ)れみ悲しみながらつくづくと思う事がある。君の厚い胸の奥からは深いため息が漏れる。
“我想画画。”
你就像祈祷似地,无论在睡着的时候,还是在醒来的时候,在你的内心深处都郑重地怀着这个愿望。倘若抛弃这个愿望,那么,这个世界也就单调乏味了。
即使说到爱——互相思念的爱也没有这样执着。你在内心里时常那样哀怜,那样痛切地思考着,在你博大的胸怀深处呼出深深的叹息。
雨の日などに土間にすわりこんで、兄上や妹さんなぞといっしょに、配縄(はいなわ)の繕いをしたりしていると、どうかした拍子にみんなが仕事に夢中になって、むつまじくかわしていた世間話すら途絶えさして、黙りこんで手先ばかりを忙(せわ)しく働かすような時がある。こういう瞬間に、君は我れにもなく手を休めて、茫然(ぼうぜん)と夢でも見るように、君の見ておいた山の景色を思い出している事がある。この山とあの山との距(へだた)りの感じは、界(さかい)の線をこういう曲線で力強くかきさえすれば、きっといいに違いない、そんな事を一心に思い込んでしまう。そして鋏(はさみ)を持った手の先で、ひとりでに、想像した曲線をひざの上に幾度もかいては消し、かいては消ししている。
下雨的日子,你有时坐在没有“榻榻咪”的房间里,同你的哥哥和妹妹一起修补渔网。那是一种怎样的情形呢?大家聚精会神地干着活儿,甚至连和睦的交谈也中断了,一声不吭,只有手指在忙碌。在这个瞬间,你不知不觉停下手来,像做梦似地,茫然想起你所见的山姿,这座山和那座山之间的距离感。如果用这样的曲线着力描绘分界线的话,一定很好。你聚精会神地陷在这样的沉思中,拿着剪刀的手指不觉在膝盖上画着想象中的曲线,来回地画着,擦拭着,画着,擦拭着。
またある時は沖に出て配縄をたぐり上げるだいじな忙(せわ)しい時に、君は板子の上にすわって、二本ならべて立てられたビールびんの間から縄をたぐり込んで、釣(つ)りあげられた明鯛(すけそう)がびんにせかれるために、針の縁(えん)を離れて胴の間にぴちぴちはねながら落ちて行くのをじっと見やっている。そしてクリムソンレーキを水に薄く溶かしたよりもっと鮮明な光を持った鱗(うろこ)の色に吸いつけられて、思わずぼんやりと手の働きをやめてしまう。
有时,你在海上忙着捯网的时候,你坐在船板上,两眼注视着从二个并立的啤酒瓶之间将钓鱼线捯上来。明鲷由于酒瓶阻挡脱离鱼钩,蹦蹦跳跳闪动鳞光,落在船舱里。你被那种比溶入水中的大红颜料还要鲜艳的鱼鳞光泽吸引住了,不由得发起呆来,停下了手中的活儿。
これらの場合はっと我れに返った瞬間ほど君を惨(みじ)めにするものはない。居眠りしたのを見つけられでもしたように、君はきょとんと恥ずかしそうにあたりを見回して見る。ある時は兄上や妹さんが、暗まって行く夕方の光に、なお気ぜわしく目を縄(なわ)によせて、せっせとほつれを解いたり、切れ目をつないだりしている。ある時は漁夫たちが、寒さに手を海老(えび)のように赤くへし曲げながら、息せき切って配縄(はいなわ)をたくし上げている。君は子供のように思わず耳もとまで赤面する。
你没有感到比从这种情况下幡然醒来更加悲哀了。你好像怕别人发现自己打着瞌睡,不好意思怔怔地环视四周。有时,你的哥哥和妹妹在暗下去的夕阳下还在紧张地织网,缝补开线和裂口的地方;有时,渔夫们弯着虾米那样被冻得通红的手,气喘吁吁地托起渔网,你便像孩子一样羞得红到了耳根。
「なんというだらしのない二重生活だ。おれはいったいおれに与えられた呙紊瞍四肖椁筏䦶兢工胍櫸颏扦い毪螭袱悚胜い¥饯欷坤韦摔蓼坤沥盲荬堡什拍埭宋淳殼虿肖筏啤⒈摔猡胜ひ靶膜驋韦皮亭皮い毪纫姢à搿¥欷悉嗓盲沥紊瞍摔庹鎰嚖摔悉胜欷胜い韦馈¥欷谓}に対する熱心だけから言うと、絵かきになるためには充分すぎるほどなのだが、それだけの才能があるかどうかという事になると判断のしようが無くなる。もちろんおれに絵のかき方を教えてくれた人もなければ、おれの絵を見てくれる人もない。岩内の町でのたった一人の話し相手のKは、おれの絵を見るたびごとに感心してくれる。そしてどんな苦しみを経ても絵かきになれと勧めてくれる。しかしKは第一おれの友だちだし、第二に絵がおれ以上にわかるとは思われぬ。Kの言葉はいつでもおれを励まし鞭(むち)うってくれる。しかしおれはいつでもそのあとに、うぬぼれさせられているのではないかという疑いを持たずにはいない。どうすればこの二重生活を突き抜ける事ができるのだろう。生まれから言っても、今までの呙檠预盲皮狻ⅳ欷蠞O夫で一生を終えるのが相当しているらしい。Kもあの気むずかしい父のもとで調剤師で一生を送る決心を悲しくもしてしまったらしい。おれから見るとKこそは立派な文学者になれそうな男だけれども、Kは誇張なく自分の呙颏ⅳ椁幛皮い搿1筏猡ⅳ椁幛皮い搿4皮琛⒈筏い趣いΔ韦悉郅螭趣Δ希摔问陇扦悉胜ぁ¥饯λ激盲皮い毪熳陨恧问陇馈¥欷悉郅螭趣Δ吮筏つ肖馈SH父(おやじ)にも済まない。兄や妹にも済まない。この一生をどんなふうに過ごしたらおれはほんとうにおれらしい生き方ができるのだろう」
“这是一个多么难受的双重生活啊。我为什么不能有这样的觉醒,做一个真正的男子汉,服从命运给予我的生活呢?相反,还对那种区区的才能恋恋不舍,割舍不掉渺茫的野心。我对哪种生活都不能认真做好。仅从我对画画的热情而言,只是为了当一名画家就心满意足了;可是,却不能了解自己是否具有相应的才能。不用说没有人教我绘画的知识,也没有人看我的画。在岩内镇只有一个谈得来的朋友K,每次见到我的画都啧啧称许;而且劝告我无论经受多少磨难也要当一名画家。但是,K到底是我的朋友,其次他的绘画知识并不比我高。虽然K的话任何时候都在鞭策着我,可是我却总是怀疑自己是否妄自尊大。怎样才能挣脱这种双重生活呢?无论从出身还是从以前的生活而言,以渔夫来了断一生才符合我的身份。K也是在父亲的威逼下伤心地下定决心,一辈子从事配药师的工作。在我看来,只有K才能真正成为一名优秀的文学家,但是K却很现实地明确了自己的命运,痛苦地做出选择。等着瞧吧,最后悲伤的决不是K,而是那样思考的我。我才是真正悲惨的人,即对不住自己的父亲,也对不住哥哥妹妹。至于如何度过此生,我能完全按照自己的方式生活吗?”
そこに居ならんだ漁夫たちの間に、どっしりと男らしいがんじょうなあぐらを組みながら、君は彼らとは全く異邦の人のようなさびしい心持ちになって、こんなことを思いつづける。
やがて漁夫たちはそこらを片付けてやおら立ち上がると、胴の間に降り積んだ雪を摘まんで、手のひらで擦(こす)り合わせて、指に粘りついた飯粒を落とした。そして配縄(はいなわ)の引き上げにかかった。
西に舂(うすず)きだすと日あしはどんどん歩みを早める。おまけに上のほうからたるみなく吹き落として来る風に、海面は妙に弾力を持った凪(な)ぎ方をして、その上を霰(あられ)まじりの粉雪がさーっと来ては過ぎ、過ぎては来る。君たちは手袋を脱ぎ去った手をまっかにしながら、氷点以下の水でぐっしょりぬれた配縄をその一端からたぐり上げ始める。三間四間置きぐらいに、目の下二尺もあるような鱈(たら)がぴちぴちはねながら引き上げられて来る。
你以男子汉的稳健盘腿坐在一字排开的渔夫中间,心里却感到非常孤独,觉得自己是外国人似的,难以与他们交流。
过了一会儿,渔夫们收拾好碗筷从容站起来,从船舱里抓起一把雪团,搓动手指,把粘在上面的饭粒搓掉,然后开始起网。
太阳一偏西就加快了步伐,寒风不知疲倦地从天空中吹落下来,海面异常平静地张着弹力,小雪夹着霰子时断时续。你们脱去手套的双手冻得通红,从渔网的一端开始,在冰点以下的海水中打捞着湿淋淋的渔网。每隔七、八米左右就有一条二尺左右的鳕鱼闪着鳞光被打捞上来。
三十町に余るくらいな配縄をすっかりたくしこんでしまうころには、海の上は少し墨汁(ぼくじゅう)を加えた牛乳のようにぼんやり暮れ残って、そこらにながめやられる漁船のあるものは、帆を張り上げて港を目ざしていたり、あるものはさびしい掛け声をなお海の上に響かせて、忙(せわ)しく配縄(はいなわ)を上げているのもある。夕暮れに海上に点々と浮かんだ小船を見渡すのは悲しいものだ。そこには人間の生活がそのはかない末梢(まっしょう)をさびしくさらしているのだ。
君たちの船は、海風が凪(な)ぎて陸風に変わらないうちにと帆を立て、艪(ろ)を押して陸地を目がける。晴れては曇る雪時雨(ゆきしぐれ)の間に、岩内(いわない)の後ろにそびえる山々が、高いのから先に、水平線上に現われ出る。船歌をうたいつれながら、漁夫たちは見慣れた山々の頂をつなぎ合わせて、港のありかをそれとおぼろげながら見定める。そこには妻や母や娘らが、寒い浜風に吹きさらされながら、うわさとりどりに汀(みぎわ)に立って君たちの帰りを待ちわびているのだ。
三、四百米长的渔网打捞起来之后,海上迎来了牛奶中加了些墨汁似的朦胧暮色。放眼四周的渔船,有的在扬帆回港,有的喊着悲怆的号子还在紧张地起网。夕阳下,望着漂浮的点点小船真是悲伤。在那里,人的生活凄凉地漂泊着那些茫然的末梢。
那时,还没有被陆风取代的海风轻轻地吹拂你们的渔船。你们扬起船帆,摇着橹,向陆地返回来。在时断时续的雪花中,耸立在岩内后面的山峰最先出现在水平线上。渔夫们哼着小调,向熟悉的山峰行进,虽然看不太清楚,但那的确是渔港的所在。在那里,妻子、母亲、女儿们站在海岸上,在寒风的吹袭下互相交谈,等待你们的返航。
これも牛乳のような色の寒い夕欤à妞Δ猡洌─税蓼欷坷纂妽gの突角がいかつく大きく見えだすと、防波堤の突先(とっさき)にある灯台の灯(ひ)が明滅して船路を照らし始める。毎日の事ではあるけれども、それを見ると、君と言わず人々の胸の中には、きょうもまず命は無事だったという底深い喜びがひとりでにわき出して来て、陸に対する不思議なノスタルジヤが感ぜられる。漁夫たちの船歌は一段と勇ましくなって、君の父上は船の艫(とも)に漁獲を知らせる旗を揚げる。その旗がばたばたと風にあおられて音を立てる――その音がいい。
だんだん間近になった岩内の町は、黄色い街灯の灯(ひ)のほかには、まだ灯火もともさずに丹婴筏幛郡铯盲皮い搿Q─韦啶橄à可颁氦摔稀ⅳ堡丹韧瑯敜伺郡沥筏长长长摔い膜喂踏と氦欷摔胜盲啤⑹长恧韦瑜Δ摔长沥螭攘ⅳ盲皮い搿0撞à工食堡蜗悚纫簸趣颏郡皮啤ⅳ饯巫悚猡趣诵肖盲皮舷ā⑿肖盲皮舷à工毪韦姢ǘ嗓搿
雷电岭的突角在牛奶色的寒幕下威严地露出来。这时,防波堤最前端的信号灯一闪一闪地开始照亮航线。它虽然是每天的事情,但是,只要见到它,在所有人的心中,尤其是你,更是情不自禁地涌起今日平安无事的喜悦,对陆地的奇特怀念油然而生。渔夫的号子更加激昂,你的父亲在船尾举起通知收获的小旗。那面小旗随风飘荡,发出猎猎的声音——那声音是十分美妙的。
岩内镇渐渐临近了。除了蜡黄的路灯外,没有其它灯火,黑森森、寂静地横亘在眼前。同清晨一样,妇女们站成几堆,像石子一般伫立在积雪消失的沙滩上。白色的波浪散发出微弱的海腥和潮声,一阵一阵地向岸边传去。
帆がおろされた。船は海岸近くの波に激しく動揺しながら、艫を海岸のほうに向けかえてだんだんと汀(みぎわ)に近寄って行く。海産物会社の印袢天(しるしばんてん)を着たり、犬の皮か何かを裏につけた外套(がいとう)を深々と羽織ったりした男たちが、右往左往に走りまわるそのあたりを目がけて、君の兄上が手慣れたさばきでさっと艫綱(ともづな)を投げると、それがすぐ幾十人もの男女の手で引っぱられる。船はしきりと上下する舳(へさき)に波のしぶきを食いながら、どんどん砂浜に近寄って、やがて疲れ切った魚のように幛郡铯盲苿婴胜胜搿
帆降了下来,渔船在海岸附近的波涛的撞击下激烈地摇晃起来。你们把船尾重新调向海岸,缓慢向海水边靠近。你们看到身穿海产公司徽号,紧裹内衬狗皮外套的人们在海滩上来回奔跑。你的哥哥熟练地把缆绳向岸上扔过去,几十名男男女女用力拉着。渔船的船头一上一下地越过浪花,迅速靠近沙滩,不久就像疲惫的鲜鱼黑沉沉地躺在那儿不动了。
漁夫たちは艪(ろ)や舵(かじ)や帆の始末を簡単にしてしまうと、舷(ふなべり)を伝わって陸におどり上がる。海産物製造会社の人夫たちは、漁夫たちと入れ替わって、船の中に猿(ましら)のように飛び込んで行く。そしてまだ死に切らない鱈(たら)の尾をつかんで、礫(こいし)のように砂の上にほうり出す。浜に待ち構えている男たちは、目にもとまらない早わざで数を数えながら、魚を畚(もっこ)の中にたたき込む。漁夫たちは吉例のように会社の数取(かずと)り人に対して何かと故障を言いたててわめく。一日ひっそりかんとしていた浜も、このしばらくの間だけは、さすがににぎやかな気分になる。景気にまき込まれて、女たちの或(あ)る者まで男といっしょになってけんか腰に物を言いつのる。
渔夫们简单收拾了船尾,舵和帆,沿着船舷跳到岸上。海产制造公司的职员们代替渔夫像猴子一般敏捷地窜向渔船,抓住没有僵死的鳕鱼的尾巴,像扔小石子似的扔到沙滩上。等候在沙滩上的人们动作神速,令人眼花缭乱地清点鱼尾,扔进畚箕里。渔夫们为了多挣几文钱,向清点鱼尾的人们大声讲述海上的艰辛。整日死气沉沉的海滨也只是在这个短暂的时候气氛热烈。女人们甚至也混在里面帮渔夫们大声地讨价还价。
しかしこのはなばなしいにぎわいも長い間ではない。命をなげ出さんばかりの険しい一日の労働の結果は、わずか十数分の間でたわいもなく会社の人たちに処分されてしまうのだ。君が君の妹を女たちの群れの中から見つけ出して、忙(せわ)しく目を見かわし、言葉をかわす暇もなく、浜の上には乱暴に踏み荒された砂と、海藻(かいそう)と小魚とが砂まみれになって残っているばかりだ。そして会社の人夫たちはあとをも見ずにまた他の漁船のほうへ走って行く。
こうして岩内じゅうの漁夫たちが一生懸命に捕獲して来た魚はまたたくうちにさらわれてしまって、墨のように煙突から煙を吐く怪物のような会社の製造所へと撙肖欷菩肖
然而,这种喧闹的场面持续不了多长时间。豁出性命在险恶中劳动了一天的果实在短短十几分钟内就被公司的职员们轻易处理完毕了。你从妇女的人群中发现了你的妹妹,二人匆匆交换了一下眼色,来不及打招呼,沙滩上的海藻、小鱼和沙砾早已被踩得目不忍睹了,公司的职员们留下乱摊子头也不回地向其他的渔船涌去。
岩内港的渔夫们辛勤捕获的海产转眼间就这样被抢得干干净净,向着公司的工厂运去。那是从烟筒里喷吐墨汁一样浓烟的怪物。
夕焼けもなく日はとっぷりと暮れて、雪は紫に、灯(ひ)は光なくただ赤くばかり見える初夜になる。君たちはけさのとおりに幾かたまりのび挨摔胜盲啤⑵¥烨肖盲课逄澶颏幛い幛い渭衣筏诉んで行く。寒気のために五臓まで締めつけられたような君たちは口をきくのさえ物惰(ものう)くてできない。女たちがはしゃいだ調子で、その日のうちに陸の上で起こったいろいろな出来事――いろいろな出来事と言っても、きわだって珍しい事やおもしろい事は一つもない――を話し立てるのを、ぶっつり押し黙ったままで聞きながら歩く。しかしそれがなんという快さだろう。
在没有晚霞,薄暮幂幂的入夜时分,白雪发出紫光,灯火失去了光线,只见一点点红火。你们又和清晨一样变成了几团黑影,拖着疲惫的身体各自行走在回家的路上。你们被冻得恨不得勒住五脏,连话也懒得讲。女人们跟在你们身边,絮絮叨叨讲述当天发生的各种事情——尽管很多,但没有一件能够明显提起你们的兴趣和感到稀奇——你们骤然一言不发,一路走着听着,不过还是很愉快的。
しかし君の家が近くなるにつれて妙に君の心を脅かし始めるものがある。それは近年引き続いて君の家に起こった種々な不幸がさせるわざだ。長わずらいの後に夫に先立った君の母上に始まって、君の家族の周囲には妙に死というものが執念(しゅうね)くつきまつわっているように見えた。君の兄上の初生児も取られていた。汗水が凝り固まってできたような銀行の貯金は、その銀行が不景気のあおりを食って破産したために、水の泡(あわ)になってしまった。命とかけがえの漁場が、間違った防波堤の設計のために、全然役に立たなくなったのは前にも言ったとおりだ。こらえ性(しょう)のない人々の寄り集まりなら、身代が朽ち木のようにがっくりと折れ倒れるのはありがちと言わなければならない。ただ君の家では父上といい、兄上といい、根性(こんじょう)っ骨(ぽね)の強い正直な人たちだったので、すべての激しい呙蛘嬲妞槭埭比·盲啤⒐巧恧蛳Г筏蓼簝Pいていたから、曲がったなりにも今日今日を事欠かずに過ごしているのだ。しかし君の家を襲ったような呙螆R迫はそこいらじゅうに起こっていた。軒を並べて住みなしていると、どこの家にもそれ相当な生計が立てられているようだけれども、一軒一軒に立ち入ってみると、このごろの岩内の町には鼻を酸(す)くしなければならないような事がそこいらじゅうにまくしあがっていた。ある家は目に立って零落していた。あらしに吹きちぎられた屋根板が、いつまでもそのままで雨の漏れるに任せた所も少なくない。目鼻立ちのそろった年ごろの娘が、嫁入ったといううわさもなく姿を消してしまう家もあった。立派に家框(いえがまち)が立ち直ったと思うとその家は代が替わったりしていた。そろそろと地の中に引きこまれて行くような薄気味の悪い零落の兆候が町全体にどことなく漂っているのだ。
然而,随着离家越来越近,一种莫明其妙的东西开始压迫你的心头。那是你家近年来相继发生的种种不幸事件。最先是你久病的母亲抛下丈夫撒手人间;接着,死亡奇怪地死死纠缠在你的亲人身边,夺走了你哥哥初生儿的生命;银行受到不景气的拖累而倒闭,你家存在银行里的血汗钱变成了泡影;视若命根的渔场由于防波堤的错误设计就像前面说的那样完全失去了作用。要是没有耐性的人家,财产无疑会像朽木一样折断,只是在你的家庭,无论父亲、哥哥都是意志坚强、正直的人,敢于正面迎接所有激烈动荡的命运,不惜身骨努力劳作,即使累弯了腰也仍然勤勤勤恳恳地生活。但是,正如不幸袭击你家一样,那一带一直遭受着命运的摧残。左邻右舍的人们表面上都过着相似的生活,可是走进一看,这时的岩内镇到处都在诉说令人心酸的事情。有的人家迅速衰败了,不少地方被暴风雪吹露了屋顶,经年累月那样任凭风吹雨打;在有的人家,眉清目秀的闺女没有听说嫁到谁家就那样失去了踪影;刚以为新盖了一幢漂亮的房子转眼间抵押给了别人。徐徐陷入泥沼,令人不安的零落兆头笼罩在整个小镇的上空。
人々は暗々裏にそれに脅かされている。いつどんな事がまくし上がるかもしれない――そういう不安は絶えず君たちの心を重苦しく押しつけた。家から火事を出すとか、家から出さないまでも類焼の災難にあうとか、持ち船が沈んでしまうとか、働き盛りの兄上が死病に取りつかれるとか、鰊(にしん)の群来(くき)がすっかりはずれるとか、ワク船が流されるとか、いろいろに想像されるこれらの不幸の一つだけに出くわしても、君の家にとっては、足腰の立たない打撃となるのだ。疲れた五体を家路に撙婴胜椤ⅳ饯筏皮肖私ㄎ铯未螭矢詈悉恕ⅳ饯欷摔栅丹铯胜ぐ丹さ疲à遥─扦饯长戎椁欷霒洼荩à蓼丹郑─尉紊蓼欷考椅荬蚰郡吻挨艘姢浃辘胜椤⒕涡膜线命に対する疑いのために妙におくれがちになる。
人们暗自提心掉胆,说不定什么时候就要发生什么事情——这种不安无时无刻都沉重地压在你们的心上。什么家里着火啦,什么邻居的火事延烧过来啦,什么当家的渔船翻沉啦,什么正值壮劳力的兄弟被疾病夺去生命啦,什么鲱鱼群根本没来啦,什么框(?)船被冲走啦,只要遭受想象中的一种不幸,对你都是沉重的打击。你拖着疲惫的身体行走在归路上,在昏暗的灯光下,眼前出现一栋冬青茅草屋顶的大房子,那是你生活的家。你暗地里怀着对命运的疑虑,意外地放慢了脚步。
それでも敷居(しきい)をまたぐと土間のすみの竈(かまど)には火が暖かい光を放って水飴(みずあめ)のようにやわらかく撓(しな)いながら燃えている。どこからどこまでまっ摔工工堡胜椤ⅳ坤坤脦冥炻Yの間(ま)はきちんと片付けてあって、居心よさそうにしつらえてある。嫂(あによめ)や妹の心づくしを君はすぐ感じてうれしく思いながら、持って帰った漁具――寒さのために凍り果てて、触れ合えば石のように音を立てる――をそれぞれの所に始末すると、これもからからと音を立てるほど凍り果てた仕事着を一枚一枚脱いで、竈(かまど)のあたりに掛けつらねて、ふだん着に着かえる。一日の寒気に凍え切った肉体はすぐ熱を吹き出して、顔などはのぼせ上がるほどぽかぽかして来る。ふだん着の軽い暖かさ、一椀(わん)の熱湯の味のよさ。
虽然如此,一旦跨进大门,在没有铺“榻榻咪”的房子的一角,灶火发出麦芽糖那样蜡黄的火光,温暖地燃烧着。虽然到处都被烟熏得黑乎乎的,但是,宽敞的地炉周围收拾得干干净净,令人心情舒畅。你感到了嫂子和妹妹所费的心思,心里蓦地愉快起来。同时,你把拿回来的渔具——因寒冷被冻得僵硬,相互碰在一起就发出石头相碰那样的声音——安放在各自的位置上;然后,一件一件脱下冻得硬绑绑、咔嚓咔嚓作响的工作服,把它们悬挂在灶口,换上平时的衣服。被一天的寒气冻透了的身体不久冒出热气,脸上也暖烘烘的,感到有些发烫了。换上的衣服轻松、暖和,端上来的热汤也是有滋有味。
小気味のよいほどしたたか夕餉(ゆうげ)を食った漁夫たちが、
「親方さんお休み」
と挨拶(あいさつ)してぞろぞろ出て行ったあとには、水入らずの家族五人が、囲炉裏の火にまっかに顔を照らし合いながらさし向かいになる。戸外ではさらさらと音を立てて霰(あられ)まじりの雪が降りつづけている。七時というのにもうその界隈(かいわい)は夜ふけ同様だ。どこの家もしんとして赤子の泣く声が時おり聞こえるばかりだ。ただ遠くの遊郭のほうから、朝寝のできる人たちが寄り集まっているらしい酔狂のさざめきだけがとぎれとぎれに風に送られて伝わって来る。
津津有味地吃完晚饭后,你们向父亲寒暄道:
“爸爸,我们休息去了。”
说完,全家五口人鱼贯走出来,围着地炉烤火,脸上被炉火照得通红。户外发出沙啦沙啦的声音,雪花夹着雪霰不停地下着。虽说才七点,这一带却同深夜没有多少分别,无论哪户人家,除了偶尔传来孩子的几声哭泣外,都是静悄悄的。只有远处的烟花柳巷,能够睡懒觉的人们聚在那里,发出醉汹汹地喧哗,被风时断时续地送来。
「おらはあ寝まるぞ」
わずかな晩酌(ばんしゃく)に昼間の疲労を存分に発して、目をとろんこにした君の父上が、まず囲炉裏のそばに床をとらして横になる。やがて兄上と嫂(あによめ)とが次の部屋(へや)に退くと、囲炉裏のそばには、君と君の妹だけが残るのだ。
時が静かにさびしく、しかしむつまじくじりじりと過ぎて行く。
「寝ずに」
針の手をやめて、君の妹はおとなしく顔を上げながら君に言う。
「先に寝れ、いいから」
あぐらのひざの上にスケッチ帳を広げて、と見こう見している君は、振り向きもせずに、ぶっきらぼうに傍点]にそう答える。
“我先去睡了。”
你的父亲喝过半盏酒,充分恢复了疲劳,睡眼惺忪,第一个从火炉旁离开进到被窝里躺下了。不久你的哥嫂也回到另一间房里去了。火炉旁只剩下你和你的妹妹。
时间在寂静和睦的气氛中一分一秒地消失着。
“还在画呀。”
你的妹妹停下手里的针线活,抬头温和地对你说。
“你先睡吧,我马上就好。”
你把速写本翻开放在盘腿的膝盖上,认真打量,头也不抬沙哑着嗓子回答。
「朝げにまた眠いとってこづき起こされべえに」にっと片頬(かたほお)に笑(え)みをたたえて妹は君にいたずららしい目を向ける。
「なんの」
「なんのでねえよ、そんだもの見こくってなんのたしになるべえさ。みんなよって笑っとるでねえか、※(やまさ)の兄(あん)さんこと暇さえあれば見ったくもない絵べえかいて、なんするだべって」
君は思わず顔をあげる。
「だれが言った」
「だれって‥‥みんな言ってるだよ」
「お前もか」
「私は言わねえ」
「そうだべさ。それならそれでいいでねえか。わけのわかんねえやつさなんとでも言わせておけばいいだ。これを見たか」
「見たよ。‥‥荘園(しょうえん)の裏から見た所だなあそれは。山はわし気に入ったども、雲が工毪扦亭à筡
「さし出口はおけやい」
“早饭前不要捅醒我。”妹妹莞尔一笑,向你投来调皮的目光。
“为什么?”
“不为什么。老看那些东西有什么用啊,不怕别人聚在一起笑话你吗?某某的哥哥有空就画些没人看的东西,也不知想干什么。”
你不由得抬起头来,
“谁说的?”
“谁说的?大家都这么说。”
“你也那样想?”
“我没有那种想法。”
“那就对了。这么做不好吗?别人不知道就让他们瞎说好了。你看过这幅画吗?”
“看过……,好像是庄园后面的风景。山画得不错,不过,云太黑了。”
“不要多嘴。”
そして君たち二人は顔を見合って溶けるように笑(え)みかわす。寒さはしんしんと背骨まで徹(とお)って、戸外には風の落ちた空を黙って雪が降り積んでいるらしい。
今度は君が発意する。
「おい寝べえ」
「兄(あん)さん先に寝なよ」
「お前寝べし‥‥あしたまた一番に起きるだから‥‥戸締まりはおらがするに」
你们二人你望着我,我望着你会心地笑了。寒气窜到了脊梁。户外虽然风停了,天空中却仍在静静地飘着雪花。
你这时开口说:
“你该睡了。”
“哥哥,你先睡吧。”
“你也该睡了……明天还要最早起床……我来关门。”
二人はわざと意趣(いしゅ)に争ってから、妹はとうとう先に寝る事にする。君はなお半時間ほどスケッチに見入っていたが、寒さにこらえ切れなくなってやがて身を起こすと、藁草履(わらぞうり)を引っかけて土間に降り立ち、竈(かまど)の火もとを充分に見届け、漁具の整頓(せいとん)を一わたり注意し、入り口の戸に錠前をおろし、雪の吹きこまぬよう窓のすきまをしっかりと閉じ、そしてまた囲炉裏座に帰って見ると、ちょろちょろと燃えかすれた根粗枺à亭饯溃─位黏摔埭恧苏栅椁丹欷啤⒕胃干悉让盲趣F(ろぶち)の二方に寝くるまっているのが物さびしくながめられる。一日一日生命の力から遠ざかって行く老人と、若々しい生命の力に悩まされているとさえ見える妹の寝顔は、明滅する炎の前に幻のような不思議な姿を描き出す。この老人の老い先をどんな呙盲皮い毪韦坤恧Α¥长蝿I女(おとめ)の行く末をどんな呙盲皮い毪韦坤恧ΑN蠢搐悉工伽瓢丹ぁ¥饯长扦悉嗓螭适陇扦馄黏长辘Δ搿>隙摔吻揞啢蛞姢膜幛胜椁膜扭趣饯λ激盲俊¥饯λ激Δ摔膜堡啤ⅳ饯稳摔郡沥涡肖─摔膜い皮稀⑺刂堡市膜切遥à丹粒─ⅳ欷筏绕恧毪郅悉胜盲俊H摔瘟Δ趣いΔ猡韦长螭蕝椈崵仕查gにはいちばんたよりなく思われる。
二人逗趣地说了一会后,最终还是妹妹决定先睡觉。你又专心看了半小时速写本。因为不能忍受寒冷,不久便起身趿上草鞋来到没有铺“榻榻咪”的房间,对着灶火大致整理了渔具,把出入的门上了锁。为了防止雪吹进来,你又关紧了窗缝。然后,你重新回到地炉的座位,在快要燃尽的微弱薪火照耀下,你有点儿惆怅地望着在炉炕边沿二侧裹着睡觉的父亲和妹妹。一天一天从生命中远离而去的老人和看上去躁动着旺盛活力的妹妹在忽明忽灭的火焰面前描绘着奇异的身影。既不知道什么样的命运等待着这位老人的终老,也不知道什么样的命运迎接着这位少女的前程,他们的未来都是渺茫的,什么样的事情都可能发生。你望着二人的睡姿,那样深切地思考着。然而,在你善良的心里还是祈求他们有一个幸福的前途。人的力量在这样庄严的瞬间是最值得信赖的。
君はスケッチ帳を枕(まくら)もとに引きよせて、垢(あか)じみた床の中にそのままもぐり込みながら、氷のような布団(ふとん)の冷たさがからだの温(ぬく)みで暖まるまで、まじまじと目を見開いて、君の妹の寝顔を、憐(あわ)れみとも愛ともつかぬ涙ぐましい心持ちでながめつづける。それは君が妹に対して幼少の時から何かのおりに必ずいだくなつかしい感情だった。
それもやがて疲労の夢が押し包む。
今岩内の町に目ざめているものは、おそらく朝寝坊のできる富んだ惰(なま)け者と、灯台守(とうだいも)りと犬ぐらいのものだろう。夜は寒くさびしくふけて行く。
你把速写本放在枕边,钻入肮脏的被窝里。冰冷的被子在体温没有温和过来之前,你直楞楞地睁着眼睛,也不知是悲哀还是爱怜,怀着满腹的泪水打量你妹妹的睡相。那种爱是你从小无时无刻都抱有的令人不能忘怀的爱。
不久,你因疲劳进入到梦乡中去了。
现在,在岩内港没有睡觉的恐怕只有可以睡懒觉的生活富有的懒汉,看守灯塔的人和狗。夜色进入到更加寒冷寂静中去 |
|