060109天声人語
山下寿明さんは自力では起き上がれない。言葉を話すこともできない。食べものは、おなかに小さな穴をあけて直接胃に入れている。
山下寿明独自站不起身来。话也不会说。食物是通过他肚子上开的小洞,直接放到胃里去的。
東京都世田谷区にある重症心身障害児の通所施設「あけぼの学園」でも今週、成人式が開かれる。今年お祝いする2人のうち、1人が山下さんだ。この20年間に、山下さんは知的な成長を確実にしてきた。だれも教えていないのに、テレビを見たいときにはテレビに視線を向けて声を出すようになった。ビデオが終わりそうになると、声を出して家族を呼ぶ。
本周,坐落于东京都世田谷区的严重残疾儿童的走读福利设施“曙光学园”也将举行成人仪式。在今年被祝贺成人的2人中,有1个就是山下。在这20年里,山下的智力发育倒是不折不扣的。尽管没人教,他想看电视的时候会眼睛盯着电视出声喊。录像快放完的时候,就依依呀呀地提醒家人。
初めて会う人には、ニコッと笑顔を見せる。そのあと、家族に向かって、頭を上下に動かし、目をパチパチさせる。「よその人にちゃんと気を使ったよ」という合図だ。
遇到初次见面的人,会婉尔一笑。然后转向家人,将脑袋上下晃动,还眨巴眨巴眼晴。那是在示意:“我对外人也很有礼貌哦。”
その一方で、からだはしだいに動きにくくなっている。おさないころは腹ばいや背ばいで移動していたのに、いまはできない。たんがつまりやすいのも心配だ。母親の絹子さんは「ここまで生きてくれたことに感謝しています。育てることは大変ですが、私の生きがいになっています」と語る。
然而,他的身子却越来越不听使唤了。小时候还能连爬带滚的,现在已做不到了。还有一个叫人担心的是,容易积痰。他的母亲娟子夫人说:“要感谢他能活到现在。扶养他虽然很累,可已经成了我生活的全部意义了。”
やはり、あけぼの学園に通っている岩城明子さんが成人式を迎えたのは6年前だった。赤い晴れ着を着て、ちょっとはにかむ当時の写真を母親の節子さんに見せてもらった。節子さんは「あなたはもう大人なのよ、と声をかけると、にっこり笑って応えてくれた。本当に大人に見えました」と話す。
同样走读于曙光学园的岩城明子的成人仪式,己是6年以前的事了。她母亲给我看了,她当时身着红色盛装、略带羞色的相片。节子夫人说:“我对她说,你也是大人啦,她回了我一笑。真的像个大人了。”
あけぼの学園の成人式では、話すことができない子どもに代わって、ともに歩んだ20年を親が語る。その言葉が毎年、積み重なっていく。
在曙光学园的成人仪式上,那些不会说话的孩子的父母们,都会代替他们的孩子来回顾共同渡过的20个年头。而那些话语,将年年累积下去。 |