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戦後の日本では、平等な競争によって誰でも階層のハシゴを登る機会が与えられている。これには教育制度が大きな役割を果している。しかし、学校段階のどのレベルまで到達したかということが、その人の社会における地位を決める大きな要因になっているために個人の学歴が過度に重んじられ、就職などの際、「どの大学を卒業したか」がものをいう学歴偏重の考え方も根強い。
戦後日本の社会の特徴は、教育水準が急速に上昇したことである。1993年の高校進学率は96.2%であり、大学?短大の進学率は40.9%(男子=38.5%、女子=43.4%)であった。これに対して、1955年の大学進学率は、男子15%、女子5%だった。
中等教育(中学校、高校)の進学率を押上げたは、主としてブルーカラーと農業水産関係の職業である。それによって、中等教育の機会における階層間の格差が縮小した。一方、高等教育(大学、大学院)の進学率を押上げたのは、主として、専門的あるいは管理的職業とホウイトカラーである。つまり、高学歴化は従来の階層間の序列関係を一定に保ちながら、いわゆる「学歴エスカレーション」として進化していった。
親の出身階層によって子供の職業が影響を受けることはほとんどなくなっいてる。そのことは、社会の地位の上下の移動が活発に行われていることを表す。しかし、それは他方、別の一面を生み出している。人並みの安定した生活を送るために、せめて子供は良い学校に進学させたいと思う。それゆえに、進学競争は激化の道をたどることになる。
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