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日常生活の旅

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发表于 2003-12-4 23:00:00 | 显示全部楼层 |阅读模式
日常生活の旅   ある書物を読んでいて、それはかなり長いもので、これを読み終わるのはいったいいつのことだろうと思う。   けっして早く読んでしまわなくてはいけない本ではなくて、一年かかろうが二年かかろうが、誰でもせかされることはない。休みたくなれば、途中でいくらでも休んで、また続きを読めばいい。   来る日も来る日も、同じ地平線が見えている。まあ、そういった気持ちがする。   それでも、読むのをやめてしまわないかぎりは、少しずつ先へ進んでいく。そして、いつになったらそこまで来るだろうと思っていたおしまいのページに、とうとう、ある日、きてしまっていて、感慨無量といった気持ちになる。   もうそこから先は、開くべきページは一枚も残っていないのである。   私はまだ実際にいつ終りになるかわからないような大旅行はしたことはない。しかし、たぶんそれは、長い本を読みだした時の感じに似ているだろうという気がする。   長い短いということは別にして、好きな書物のことを考えると、私は縁があってその本をてにしたのだというふうに考える。一生のうちにほんとうに好きになる本は、そう多くはないのかもしれない。多くなくてもいいのだ。  私たちは、自分と縁のあったと思う本を、これだけは手元から話さずに置こうと思って、何十年もなくさずに持っている。しかし、どうしてあの本を古本屋に持って行ったんだろう、バカなことをしたものだ、と昔のことを悔やむこともある。  私たちは、本ひとつに限っても、自分の愛着のあるものをいつまでも手元に留めておくことはできない。本も生き物のようにどこかへ行ってしまったり、隠れてしまったりする。   毎日、同じような生活をしていると、きょうはきのうとだいたいのところでかわりはなかったように、あしたもきょうとだいたいのところで変わりはないと言うふうに考える。  それでも、何かしら、思いがけないいいことがあるかも知れない。  ちょっとしたことでも、いいことがあるとうれしい。なんといってもそれは思いがけないことであるから、不意打ちのよろこびがある。それは、いつみずみずしい。  先のことがわからないで、みんな生きている。わからないからよいので生きていくことができる。明日、ちょっとしたいいことがあるか、どうにもかわしようのない災難が降りかかるか、それは誰にもわからない。  「今日の一日も、これで終わった。」   と、独り言を言って、寝床へ潜り込む人は、明日のことを考えるないで、そのまま眠るのがいいのである。 「作者紹介」     庄野潤三、小説家。日本大阪の人です。九州大学に卒業した?主の小説は「プールサイド小景」、「静物」、「夕べの雲」などである。
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