「新積極財政政策」
――その新しさはどこに?
積極財政政策が採られるようになってから6年が経つが、2004年も継続的に実施される。しかし、内容的には過去のそれとは異なる。政策的な調整と変化があったためで、これは「新積極財政政策」と呼ぶ声もある。
財政のてこ入れは国民経済の全局を左右する重要な要素だ。2004年の財政政策の新規導入のポイントを把握すれば、マクロ経済政策の重点も明確になってくる。
積極財政政策は1998年、アジア金融危機の時期に、中国が経済の低迷を抜けるために採った特殊な政策である。主な特徴は、国債の増発、投資需要の促進、その上での消費需要のけん引などで、経済に対して反周期的な調節を行った。同年、中国は長期国債を1000億元増発し、インフラ建設などの資金を調達した。本格的な積極財政の始まりである。翌1999年には1100億元、2000年から2002年にかけては毎年1500億元、2003年には1400億元の国債を増発した。6年間に8000億元近く増発したことになる。国債発行資金は毎年のGDP成長率を1.5~2パーセンテージ・ポイント引き上げた。この間、国債資金はその投資額の数倍の経済効果を発揮した。財政部の予測によると、1元の国債投資が10元の社会投資を促進した。6年間に、都市インフラや農村の電力供給ネットワークは改善され、交通・通信は発展し、穀物の国家備蓄は増加したが、いずれも積極財政政策の成果である。
現在の国内外の経済情勢を、5年前と同様に語ることはできないが、1998年に中国経済が発展において臨んでいた主要課題は経済の低迷で、消費・投資・輸出のいずれも不振だった。2003年の中国の経済成長率は8.5%と予測されており、すでに低迷期は脱したと言える。また、迅速な投資発展の兆しを見せ、局部的な経済過熱現象も経済学会の主流が予測している。
アジア開発銀行がまとめた最新統計によれば、物価変動の要素を除いた現在の中国投資の実行ベースの成長率は、経済が過熱した1992年から1993年の水準を上回っている。調整を実施しなければ、再度経済が過熱する可能性は十分である。また、積極財政政策は国債の増発を柱としている。6年間で8000億元近くの国債を増発したが、これは償還する必要のある資金である。長期債権の償還期限が迫った時の財政全体のリスクを憂慮する声も大きい。さらに、中国の経済成長が財政支出の拡大に依存している部分が大きいのも憂慮される点である。過去5年間の経済成長を見ても、毎年1.8パーセンテージ・ポイントは積極財政政策により引き上げられたものである。
ある有識者は、最近になって、次のような認識を示している。「現在の中国経済は景気の上昇周期にある、インフレ防止と共にデフレ防止策が必要、つまり、熱すると共に冷ますことが必要とされている」。こうした情勢の中、理想的な経済発展を確実なものとするため、中央政府は近く、積極財政政策の連続性を保つと同時に、適度な調整を実施する決定をした。
それでは、新積極財政政策の新しさはどこにあるのだろうか?財政部の金人慶部長は、3点に分類できると説明する。第1に、積極的な財政政策を継続することで、短期間での赤字規模の大幅な縮小は困難でも、経済の全体的な規模と財政総収入の継続的な増加により、GDP及び財政収入に占める赤字の比率を徐々に下降させることができる。第2に、豊富で整備された積極財政政策の実施方式。第3に市場メカニズムの役割を十分に発揮させると同時に、国債投資と予算内の基本建設資金を整合し、財政資源配分の見直しを実施する。その使用方向と構造の調整に尽力し、一般競争と経営の直接投資を段階的に減少させ、公共サービスと公共製品への投資を増加させ、経済と社会の全面的な発展を促す。
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