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化合物命名法

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发表于 2006-12-21 21:22:57 | 显示全部楼层 |阅读模式
转自岩波理化词典

化合物命名法
はじめに
 100種あまりの元素から組み立てられる化合物の数は1000万種にも及び,そのおのおのに名前がつけられている.古くは,発見者や合成者によって個別に命名されていたが,化合物の数が増加するにつれて,合理的で一貫した体系に基づく命名法が必要とされるようになった.世界的な規模での命名法の規約の制定は1892年に始まり,その後整理・拡張の作業がつづけられ,現在のIUPAC命名法に至っている.
 以下に,無機化合物,有機化合物,生体物質に分けてその命名法を解説するが,化学式をみてそれをどのように命名するかということと共に,化合物名から化学式(構造式)を知ることが必要である.いうまでもなく,これらは表裏の関係にあり,この付録においては,命名法を解説するとともに,いくつかの例を挙げながら化合物名から化学式を導く手順についても述べることとする.紙数の関係からも,複雑多岐にわたる命名法のすべてを述べることはできないので,ここでは命名法の主要部分の解説だけにとどめた.

1 一般事項

1.1 日本語による命名
 IUPAC命名法は,国際純正および応用化学連合(International Union of Pure and Applied Chemistry,IUPAC)の関係委員会で英語によって決めたものが基準となっている.日本ではそれをもとに,日本化学会の命名法委員会がアルファベットの字訳規準をはじめとする日本語化のための規則を定め,それに基づいた命名がなされている.(本辞典本文における化合物名の表記も原則としてその命名法によっているが,慣用にしたがった場合もある).
 アルファベットの字訳は表1.1の規準によってなされるが,慣用にしたがういくつかの例外がある.
 例 salicylic acid サリチル酸
   cresol クレゾール
   bismuth ビスマス
   iodoform ヨードホルム
 また,語尾として,al,ase,ate,ose,ol,ole,oll,otなどは(ア)ール,(ア)ーゼ,(ア)ート,(オ)ース,(オ)ール,(オ)ートなどと長音化し,it,ite,ytは(イ)ットと促音化する.このほか,複合語には次のような約束が設けられている.
__複合語は,語の構成単位ごとに字訳する.
例 acetamide アセトアミド (×アセタミド)
__構成語が融合短縮してできた場合はそのまま字訳する.
例 hydroxy ヒドロキシ (×ヒドロオキシ)
__異性,異量,ベンゼン環の縮合(benzo)などを表わす接頭語で母音で終わるものに,母音で始まる語がつづくために脱落した母音は,もとの形で読む.
例 paraminosalicylic acid パラアミノサリチル酸
(×パラミノ…)
benzanthracene ベンゾアントラセン
(×ベンザントラセン)
表1.1 化合物名の字訳基準表

1.2 命名に用いる文字と記号
 化合物の表わし方には,化学式によるものと名称によるものがある.組成式だけで化合物が同定できることの多い無機化合物は化学式で示されることが多く,異性体が数多く知られる有機化合物や,複雑な構造をもつ生体物質は名称を用いて表わすことが多い.いずれの表示による場合でも,種々の文字や記号は一定の約束のもとに使用することが決められている.表1.2にその主なものを示す.
 なお,化合物の成分比を示すときなどに使われるギリシア数詞を表1.3に示す.
表1.2 化学式・化合物名に用いる文字と記号

表1.3 化合物の成分比を示すギリシア数詞
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 楼主| 发表于 2006-12-21 21:24:10 | 显示全部楼层
2 無機化合物の表示法・命名法

 無機化合物の名称は元素名に基礎をおいており,元素名,イオン名,基名を組み合わせて化合物名とする.基名,イオン名も元素名に基づいているものが多い.無機化合物は化学式,名称ともに,原則として電気的に正の成分と負の成分からなるという伝統的な観点に立っている.
 
2.1 元  素
 a)元素の名称
 元素名の語源は,その元素の発見の場所,国,色調,特性などによっており,発見者によって個々別々に命名されたものである.したがって元素名から,どのような元素であるかを推定することはできない.なお,人工的に合成した元素のうち110番以上については,暫定的にラテン語の数値表示に基準を置いて元素名を決めている.
 日本語による元素名のうち,金,銀,銅,鉄,硫黄,リン(燐)など日本古来からの名称を利用するものの他は,主としてドイツ語の元素名の音訳を利用している.
 例 カリウム (独Kalium)
 b)元素記号
 元素のラテン語名の頭字または,頭字と綴字中の適当な文字を組み合わせ,アルファベットローマン体の大文字または大文字と小文字の組み合わせで表わす
 c)元素の特性表示
 元素(E)中の原子の質量数(a),原子番号(b),また分子や化合物の構成要素としての原子の状態(イオン価や酸化数,c)およびその数(d)は,元素記号の上下左右の4隅に次のように示す.

例 35Cl2 (質量数35の塩素原子2個からなる塩素分子)
63Cu2+ (質量数63の銅の2価の陽イオン)
FeⅡFeⅢ2O4 (Fe3O4を構成する鉄原子の酸化数が2と3のものが1:2であることを示す)
 なお,一般に同位体には特別な名称がつけられていないが,例外として重水素(またはD)はデュウテリウム,三重水素(またはT)はトリチウムという.
 
2.2 無機化合物の化学式による表示
 a)一般の無機化合物
 電気的陽性成分をつねにはじめ(左側)におく.
 例 NaCl Naが陽イオンで,Clが陰イオン
 多原子イオンや基は( )でひとまとめにして正または負成分として扱う.ただし,その成分が化学式中でただ1つであれば( )をつけない.
 例 Ca(OH)2,NaOH
 正,負の各成分が2種以上のときは,元素記号のアルファベット順に並べる.
 例 KMgCl3,PbClF
 また,多原子イオン,基の配列の順序は,中心となっている原子の元素記号のアルファベット順とする.なお,陰イオンでない多原子の基は,正成分とみなす.
 例 NH4NaHPO4 HPO42-が負成分
   POCl3 POが正成分
 一般に,化学式において陽イオン性の強いものを左側に並べることは,非金属元素のつくる分子にも拡大されている.その順は,B,Si,C,Sb,As,P,N,H,Te,Se,S,At,I,Br,Cl,O,Fとなる.
 b)錯  体
 錯体は角カッコで表示する.[ ]の中では,はじめに中心金属イオンを示し,次に配位子を陰イオン,中性分子の順で示す.配位子が多原子なら( )に入れる.さらに,陰イオンどうしの間,中性分子どうしの間では,化学式の先頭の元素記号のアルファベット順に並べる.
 例 [PtCl2(C5H5N)(NH3)]
   cis[CoCl(OH)(NH3)4]+
 cis[CoCl(OH)(NH3)4]+では,コバルトの3価イオンにCl-,OH-各1個が隣りあい,さらに中性のアンモニア4分子が配位している.ClやOHは配位子としては例外なくCl_,OH_になるので,Coが3+であることがわかる.配位子によっては結合状態がまぎらわしいこともあり,CoⅢのように酸化数を示す.
 錯体の表示にとっては構造を示さないと物質を同定できないことが多いので,そのための様々な記号が考えられ化学式と合わせて使用される(->2.3d)錯体の名称).
 c)固溶体型不定比化合物
 一般に不定比化合物の原子数を表わすときは,原子数を非整数で表わしたり,xを用いてNOx,CeO2-xなどと表わす(その際,xの範囲を必ず示す).固溶体型不定比化合物では,化学式中に( )で不定比に混合している元素をコンマで区切って示す.
 例 (FeⅡ,Mg)2SiO4かんらん石型化合物で,Mg2+とFe2+が不定比に混合していることを示す.
 なお(FeⅡ・Mg)のような中黒点は,慣用的に,FeⅡとMgの原子比が1:1のとき使われる.
 d)固体化合物の変態
 化学式のあとの( )の中に晶系を示す斜体ローマ字記号を記し,その化合物のどの変態であるかを表わす.
 例 ZnS(c) 立方晶系(cubic)の硫化亜鉛(閃亜鉛鉱型構造)
   CaCO_(hexa) 六方晶系(hexagonal)の炭酸カルシウム(方解石)
 e)包接・付加化合物と水和物
 包接化合物,付加化合物または水和物は,それを構成する2種以上の化学式を中黒点で結んで示す.
 例 CuSO4・5H2O 硫酸銅の五水和物
2.3 無機化合物の命名法
 a)命名の基礎
 無機化合物の命名は,化合物が正成分と負成分の2元からなるとの考えに立つが,日本語の名称においては負成分を先に,正成分をあとに書く.したがって化学式と順序が逆になる.
 負成分が単原子かごく簡単な原子団(例えばOH-,CN-,N3-,O22-,O2-)のときは**化(原子団の例ではそれぞれ,水酸化,シアン化,アジ化,過酸化,超酸化),一般には△△酸と書き,正成分には何もつけない.
 例 KCl 塩化カリウム(負成分の元素名から素をとる)
   BaSO4 硫酸バリウム
 b)組成の表わし方
 組成を示す数は漢数字で表わし,負または正成分を示す名称の前につける.すなわち次の順序が守られる.
負成分の数+その名称+正成分の数+その名称
 例 N2S5 五硫化二窒素
   S2Cl2 二塩化二硫黄
 成分数が1個のとき,混乱を生じなければ漢数字を省略する.
 例 NO 一酸化窒素(一酸化一窒素とはいわない)
 各成分のイオン価や原子価が常に一定で,正,負成分の組合せによって物質量の比が定まり,混乱を生じるおそれのないときには数を省略する.
 例 CaCl2 塩化カルシウム(Caはつねに2+イオン,Clはつねに1-イオンであるから塩化カルシウムといえば一義的にCaCl2の組成が決まる)
 逆に成分中の原子数比が1であっても,まぎらわしいときは,漢数字を入れる.
 例 N2O 一酸化二窒素(一酸化を強調する)
 化合物を構成する原子団の名称が,別種の物質と混同されるおそれのあるときは,ギリシア数詞ビス(bis),トリス(tris),テトラキス(tetrakis)などを用いる(原子団名は( )に入れる).また原子団,多原子イオンの数にギリシア数詞が含まれているときや,原子団中の特定原子の数を示すと誤解されるおそれのあるときにもこれらのギリシア数詞を用いる.
 例 [Pt(en)2]2+ ビス(エチレンジアミン)白金(Ⅱ)
     イオン
   Ca5F(PO4)3 フッ化トリス(リン酸)カルシウム(三リン酸,トリリン酸というとP3O10^5-イオンの塩とまぎらわしい)
 化合物を構成する原子の酸化数を明示するときは,元素名の直後の( )中に酸化数をローマ数字で示す.
 例 FeⅡFeⅢ2O4 四酸化鉄(__)二鉄(__)
 なお,この例の場合,酸化数でなく四酸化三鉄(逆スピネル型)のように結晶型を明示することによって物質種を確定することも行なわれる.
 c)原子団の名称
 原子団にはきわめて多くの種類があり,中心とみなされる元素の名称にちなんだ固有名が与えられている.同一の原子団でも中性分子あるいは,陽イオン的,陰イオン的な状態,さらに錯体の配位子や有機化合物中の置換基となっている場合などに応じて名称は異なる(表2.2).
 例 NO 中性としては一酸化窒素(nitrogen oxide),陽イオンまたは配位子としてはニトロシル(nitrosyl),陰イオンとしてはオキソ硝酸(oxonitrate),有機化合物中の置換基としてはニトロソ(nitroso).
 なお,有機化合物中の置換基としての名称は「化合物命名法」末尾の主要基名表を参照のこと.
 陰イオンになる原子団には,H_と結合して安定な酸をつくりやすいものがある.これらは複数の酸素原子を含むものが多く,とくにオキソ酸イオンとよばれる.オキソ酸の名称は慣用名が多く,記憶にたよる必要がある.その主なものを表2.1に示した.命名の一般的規則は次のようなものである.
 1)中心原子の酸化数の低い順に次亜,亜,(何もつけない),過という接頭語をつける.
 2)表の化学式から解離しうるH+をすべて除いた陰イオン(オキソ酸イオン)はオキソ酸と同一名称をもつ.
 例 HClO4 過塩素酸
   ClO4- 過塩素酸イオン
 3)オキソ酸のOHをハロゲン原子で置き換えたものは,そのハロゲン元素名を冠し,NH2で置換したものはアミドを冠して命名する.
 例 ClSO3H クロロ硫酸
   NH2SO3H アミド硫酸
 なお酸は非金属原子またはイオン価の高い金属原子のまわりに酸化物イオンO2-および水酸化物イオンOH-が配位した錯体とみなすこともできる.
 例 H2WO4=[W(OH)2O2] タングステン酸,またはジオキソジヒドロキソタングステン(Ⅵ)
表2.1 オキソ酸の名称

表2.2 主な無機イオンと基(原子団)の名称

 d)錯体の名称
 英語の名称を字訳する.名称の各要素は次の順に並べる.
 1)全体として配位子の配列を示す必要があるときはその記号(cis‐,trans‐,Δ‐,Λ‐など).
 2)各配位子について,その数を示すギリシア数詞(ジ,トリ,ビス,トリスなど,->2.3b)),必要なら配位子の中心金属との結合状態を示す記号(μ,ηなどと配位子を( )に入れる),配位子名の順に書く.配位子の配列の順序は,陰イオン,中性分子にかかわらず英語のアルファベット順(配位子の数を示す接頭語を除いて)とする.この順序は化学式の配位子の順序と必ずしも一致しない.
 3)中心金属の元素名.MgやAlのように酸化数の一定しているもの以外は酸化数を元素名の後にローマ数字を( )に入れて示す.または,錯体の電荷をアラビア数字で( )に入れるか,対向イオンの数を漢数字で示す.
 4)錯陽イオンの場合:対抗陰イオンを,単原子イオンの場合は塩化物,臭化物のようにイオン名で,多原子イオンの場合は硫酸塩,硝酸塩のようにイオン名の後に塩をつけて示す.
 例 cis‐[CoCl2(NH3)4]Cl cis‐ジクロロテトラアンミンコバルト(Ⅲ)塩化物
   K[PtCl3(C2H4)] トリクロロ(η2‐エチレン)白金(Ⅱ)酸カリウム
 5)錯陰イオンの場合:元素名の後に酸をつけ,その後に陽イオン名がくる.
 例 K4[Fe(CN)6] ヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸カリウム,またはヘキサシアノ鉄酸(4‐)カリウム,ヘキサシアノ鉄酸四カリウム
 6)多核錯体の場合は中心原子数を示す漢数字を元素名の前につける.
 例 [MoⅡ2(CH3COO)4] テトラアセタト二モリブデン(Ⅱ)

Δ,Δ‐μ‐アミド‐μ‐ペルオキソビス[ビス(エチレンジアミン)コバルト(Ⅲ)]過塩素酸塩
表2.3 錯体の化学式・名称に用いられるおもな記号


[ 本帖最后由 kuni 于 2006-12-21 14:44 编辑 ]
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发表于 2006-12-26 00:50:54 | 显示全部楼层
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 楼主| 发表于 2006-12-26 06:59:51 | 显示全部楼层
3        有機化合物の命名法
 すべての有機化合物は基本化合物と特性基(置換基)から組み立てられているとみなすことができ,その組み合せとして命名される.
 
3.1 基本化合物
 数百万種におよぶ有機化合物の基本化合物は,脂肪族および芳香族の炭化水素化合物と,環の構成元素として炭素以外(窒素,酸素など)を含む複素環化合物に集約される.
 a)脂肪族化合物
 この命名法においては,脂環式化合物,架橋環式化合物,スピロ化合物なども便宜上,脂肪族化合物に含めることにする.
 i)鎖式化合物
 脂肪族化合物は炭素が鎖状に結合した構造をもち,炭素‐炭素の結合の種類(単結合,2重結合,3重結合)と炭素の数で名称がつけられている.
 ①C1からC4までの4つの炭化水素だけは慣習にしたがって古来からの名前をそのまま用いる.
 ②C5以上はギリシア語数詞(ただしC9だけはラテン語)の末尾のaを除いたものに③に記す語尾を付けて用いる.
 ③骨格の中にある結合の種類は化合物名の語尾で表わす.
 単結合のみの化合物の語尾は-ane(表3.1参照).この炭化水素の類名はアルカン(alkane).
 例 CH3‐CH2‐CH2‐CH2‐CH3 ペンタン(pentane)
表3.1 直鎖飽和炭化水素CnH2n+2の名称

 2重結合を含むときの語尾は‐ene.この炭化水素の類名はアルケン(alkene).これまで,不飽和結合や接尾語で表わす特性基の位置番号は母体化合物の前につける記法がとられていたが,IUPACの1993年の修正では,不飽和結合や特性基の直前に記すよう指定されている.
 例 CH2=CH‐CH2‐CH2‐CH3 ペンテン(pentene),ペンタ‐1‐エン(pent‐1‐ene)
 2重結合が2つ以上あれば‐adiene,‐atrieneなどとする.
 例 CH2=CH‐CH=CH2 1,3‐ペンタジエン(1,3‐pentadiene),ペンタ‐1,3‐ジエン(penta‐1,3‐diene)
 3重結合を含むときの語尾は‐yne.この炭化水素の類名はアルキン(alkyne).
 例 CH≡C‐CH2‐CH2‐CH3 ペンチン(pentyne),ペンタ‐1‐イン(pent‐1‐yne)
 3重結合が2つ以上あれば‐adiyne,‐atriyneなどとする.
 ii)環式化合物
 1)脂環式化合物 鎖式炭化水素の炭素の鎖が環をつくった化合物は,同じ炭素数の鎖式化合物の名称の前にシクロ(cyclo‐)を冠して命名する.(簡単のために炭素,水素を省略し骨格だけで構造を表わすことが許されている.)

 2)架橋環式炭化水素
 イ)2環系(双環系) 2環化合物はビシクロ[x.y.z]アルカン(bicyclo[x.y.z]alkane)と表記される.x,y,zは,2つの橋頭位原子(下の例で1,6の炭素原子)に架かった3つのブリッジに含まれる原子数を大きい順に並べたものである.アルカンの名称は,2環骨格を構成している原子数と同じ炭素数をもつ鎖式飽和炭化水素のそれを用いる.骨格炭素原子に番号を付けるには,1つの橋頭位から出発し,もっとも長いブリッジに沿ってもう一方の橋頭位まで進み,次のブリッジを出発橋頭位へと向い,最後にもっとも小さいブリッジに出発橋頭位に近い側から番号を付ける.置換基や不飽和結合が存在するときは,これらの位置番号が小さくなるように出発橋頭位を選ぶ.

 ロ)多環系化合物 つぎの規約と手順を追加して,本質的にはすでに記した2環系に対する命名法にしたがう.
 ①主環(main ring)として最大原子数を含む環を選定する.
 ②主環に架かるもっとも大きい主橋(main bridge)を選定する.もし同じ原子数の主橋が複数ある場合は,主環をもっとも対称性よく分割するものを主橋に選ぶ.
 ③以上のように選定した主環と主橋で2環系が形成されるので,規約にしたがって各原子に番号を付ける.
 ④残りのブリッジについて原子数の多いものから順に番号を付ける.
 ⑤2環系にさらにブリッジが1個,2個と加わるとトリシクロ,テトラシクロなどと表記し,[ ]内の2環系のブリッジに含まれる原子数を表わす数字に続いて残りのブリッジに含まれる原子数を追加表記し,ブリッジが架かっている原子の番号をこれらの数字の右肩に記す

 3)スピロ炭化水素 2つの環がただ1つの原子を共有しているものをスピロ化合物という.脂環式の2つの環からなるスピロ化合物は,その総原子数に相当する鎖式炭化水素の名称にスピロの接頭辞をつけて表記する.各環の共有された原子を除く原子数を角カッコ内に小さいものから順に記す.詳しくは参考文献を参照されたい.

b)芳香族化合物
 i)ベンゼン
 芳香族化合物の基本構成単位をなす化合物はベンゼンである.ベンゼン以外にも芳香族性をもつ化合物が多数知られているがここでは触れないことにする

 ii)縮合多環式炭化水素
 2つ以上ベンゼン環が縮合した化合物はきわめて多数ある.それらは慣用名でよばれることが多く,35種の慣用名の使用が許されている.

 このような基本化合物が組み合わさって,縮合多環芳香族化合物の母体が形成されている.たとえば,アントラセンに2つのベンゼン環が縮合してジベンゾアントラセンとなる.

また,2個の環が1つの単結合で結ばれた化合物を環集合炭化水素とよぶ

 c)複素環化合物
 環状の有機化合物の環の構成要素として炭素以外に酸素,硫黄,窒素など(異種原子,heteroatom)を含む化合物を複素環化合物という.
 i)複素単環化合物
 単環の基本化合物として代表的なものにはつぎのようなものがあり,慣用名が用いられている.

 これらの慣用名によらない一般の複素環化合物では,異種原子の種類と数を表わす接頭語に環の大きさを表わす語幹をつけ,さらに2重結合の数などを組み合わせて命名する.たとえば窒素を含む3員環化合物アジリジンは,3価の窒素原子を表わすazaという接頭語に,窒素を含む飽和3員環を表わす語幹iridineを組み合わせたものである.同様にジオキサンは,2個の酸素を表わす接頭語dioxaと,窒素以外の飽和6員環化合物に用いる語幹‐aneを組み合わせたものである.

 ii)縮合複素環化合物
 縮合した複素環にも慣用名の使用が許されているものが多い.つぎの2種が代表的である.

 慣用名のない化合物の名称は,縮合多環化合物と同じように組み合わせてつくる.
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 楼主| 发表于 2006-12-26 07:01:30 | 显示全部楼层
3.2 特性基
 さきに述べた3種の基本となる化合物に特性基が置換(炭化水素の水素原子1個が基で置き換えられる)されて,新たな有機化合物ができあがる.このような観点から,置換された特性基を接頭語(または接尾語)として基本構造の化合物と組み合わせて呼称する命名法を置換命名法という.命名法としてはほかに,基官能式,付加式,除去式,接合式などがあるが,それらについては参考文献を参照されたい.
 特性基の中には,接頭語としてしか用いられないものが決められている(表3.3).これら以外の特性基は,接頭語にも接尾語にも用いられるが,接尾語として用いられる特性基を主基という.2つ以上の特性基が含まれる化合物では,いずれを接尾語に用いるべきかの順位を決める必要がある.主基として呼称される順位を含めた主な特性基を表3.2に示す.
表3.2 置換命名法で用いられる特性基の接尾語と接頭語

表3.3 接頭語としてのみ呼称される特性基

 a)置換の位置と数の表わし方
 基本の化合物の炭素原子に番号をつけ,どの炭素に置換がおこっているかを示す.また,1つの化合物に同種の特性基が2つ以上ある場合はその数に応じて特性基の呼称の前にジ(di),トリ(tri),テトラ(tetra)などのギリシア数詞をつける.
 i)脂肪族化合物
 鎖式炭化水素では,側鎖や置換の位置を示す番号が最小になるように直鎖の炭素の端から番号をつける.

 アミンは,位置番号を記さない特定の置換基である.すなわち,本来は炭化水素を基本化合物とすべきであるが,アミンの場合に限っては,アンモニアを母体化合物に用い,その誘導体として表記する.
例 CH3CH2NHCH3 エチルメチルアミン(ethylmethylamine)
   H2NCH2(CH2)4CH2NH2
   1,6‐ヘキサンジアミン(1,6‐hexanediamine)
   ヘキサン‐1,6‐ジアミン(hexane‐1,6‐diamine)
      ただし,ヘキサメチレンジアミン(hexamethylenediamine)という名称も認められている.
 さらに,非対称の第2級および第3級アミンの場合には,その中で最も複雑な基を選び,その第1級アミンの窒素原子(N)にさらに置換基を導入したものとして命名することがある.その場合,置換基の位置を大文字のイタリック体Nで示す.
 例 CH3CH2CH2N(CH3)2 N,N‐ジメチルプロピルアミン(N,N‐dimethylpropylamine)
 脂環式化合物の場合も,鎖式化合物と同様に置換のおこる位置の番号が最小になるように番号づけを行なうが,不飽和結合があるときはその位置が最小となるようにする.

 ii)芳香族化合物
 ベンゼンでは,二置換体に対しては1,2‐,1,3‐,1,4‐のかわりに特にオルト(ortho,o‐と略記),メタ(meta,m‐),パラ(para,p‐)を用いる.

 三置換体は,脂環式化合物と同じように1,3,5‐トリメチルベンゼンなどと呼称する.
 縮合環の位置番号は次の方法で決める.まず,ベンゼン環を縦にして縮合環が水平方向になるべく多く並ぶようにし,さらになるべく多数の環が右上の区画に入るようにする.このような配置が2つ以上ある場合は左下の区画にくる数をなるべく少なくする.炭素の位置番号は,一番上で一番右の環の縮合位置の隣の原子から時計まわりの方向につける.2つ以上の環に共有されている炭素原子には番号をつけない.ただし,アントラセンとフェナントレンの位置番号は,この規則の例外である.

 また,環が縮合した位置を表わすには基本骨格につけた番号の1‐2の位置をaとし,環にそってアルファベットを当てはめていく.

 また非隣接2重結合が多い縮合環系では,2重結合の位置によって複数の異性体が存在することがある.その中で水素原子の位置さえ示せば同じ名称が使えるときは,水素原子の位置番号の次にイタリックのH(指示水素,indicated hydrogenとよぶ)をつけて区別する.

 iii)複素環化合物
 異種原子から番号をつける.異種原子が複数あるときは,片方からつけはじめ相手の番号がなるべく小さくなるようにつける.

 縮合複素環化合物の番号は,芳香族の縮合環に準じてつけられる.
 b)炭素原子を含む特性基
 COOH,CHO,CN,CONH_などは,炭素原子を特性基のものとみなすか,基本化合物に属すとみなすかによって2通りの命名が可能である.表3.4の( )でくくったCまたはCHは,基本化合物に属しているとみなす.
表3.4

 カルボン酸では,非環式のものは表の命名法Ⅱに従い,環式のものはⅠに従うのがふつうである.

同様にアルデヒドでも,環状アルデヒドはⅠに従い,非環状のものではⅡによって命名されるのがふつうである.CN,CONH2についても同様である.これ以外にも2通りの命名が可能なものがある(表3.2).

 c)特性基が2つ以上ある場合
 1つの化合物に2つ以上の特性基があるとき,どれを主基とすべきかという順位についてはすでに述べた(表3.2).主基を決めた後は,基本名から分離可能な接頭語をアルファベット順に(位置や数を示す語を冠して)並べる.

3.3 化合物名から化学式の誘導法
 与えられた有機化合物名から,どのようにして化学式を誘導するかについて,その手順を簡単に述べる.
 まず,化合物名を次の3つの部分にわける.
     母体化合物+接尾語+接頭語
 次に各部分について母体化合物は脂肪族,芳香族,複素環化合物のどれに属するかを見分け,接尾語から判明する主基または母体化合物の不飽和度を確定し,接頭語から残りの特性基(およびその位置と数)を知る.
 例1 2‐メチル‐2‐ペンテン酸(2‐methyl‐2‐pentenoic acid),または2‐メチルペンタ‐2‐エン酸(2‐methylpent‐2‐enoic acid)
 母体化合物は2‐ペンテン(2‐pentene,ペンタ‐2‐エンpent‐2‐ene)である.

 接尾語から1位がカルボン酸になっていることがわかる.
CH3‐CH2CH=CH‐COOH
 さらに接頭語から2位のHがメチル基で置換されていることがわかり,結局次の化学式が導かれる.

 例2 o‐ホルミルベンゼンスルホン酸(o‐formylbenzenesulfonic acid)
 母体化合物はベンゼン.接尾語からSO3Hが置換していることがわかり,さらに接頭語からSO3Hに対してオルトの位置にCHOが結合していることがわかる.ゆえに図のような手順で化学式が求められる.

 例3 1‐メチル‐5‐アザ‐2,8,9‐トリオキサ‐1‐シラ‐トリシクロ[3.3.3.1_4,7]ドデカン
(1‐methyl‐5‐aza‐2,8,9‐trioxatricyclo‐1‐sila‐[3.3.3.1_4,7]dodecane)
 母体となる化合物は,トリシクロ[3.3.3.1_4,7]ドデカンである.このことから,炭素原子12個からなる3環式化合物であることがわかる.3環式化合物は,基本となる2環式(この場合はビシクロ[3.3.3])化合物に,さらに架橋してできるものであるから,ビシクロ[3.3.3]ウンデカンをまず描き,番号を入れる(a).3環式にするための架橋は4と7を結び,間に1つ炭素が入る(b).さらに接頭語から,5位にN,1位にSi,2,8,9位に酸素原子3個が炭素を置換して入り,1位のSiには1個のCH_が結合していることがわかる(c).

3.4 慣用名(通俗名)
 すでに記した複素環化合物などの他に,古くから知られている脂肪族や芳香族化合物に対してもIUPAC命名法によらない慣用名が認められているものがある.表3.5にそれらのうちのごくわずかの代表例を示す.これらの慣用名から化学式を系統的に書き出すことは不可能である.
表3.5 慣用名
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 楼主| 发表于 2006-12-26 07:03:31 | 显示全部楼层
3.5 有機金属化合物の命名法
 炭素原子に水素,炭素,窒素,酸素,硫黄,ハロゲンなど以外の原子が結合している化合物を有機金属化合物として扱い,次の命名法のいずれかを適用する(なお,④⑥⑦は2.3のd)錯体の名称で述べた配位方式によるものである).
 ①有機基と陰イオンの名称を接頭語としてアルファベット順に記す.
 例 (CH3)2SiHCl クロロヒドリドジメチルシラン(chlorohydridodimethylsilane)
   (C6H5)2SbCl クロロジフェニルアンチモン(chlorodiphenylantimon)
   (CH3Li)n メチルリチウム(methyllithium)
 ②水素化物の置換体として命名する.
 例 (CH3)2SiHCl クロロジメチルシラン(chlorodimethylsilane)
   (C6H5)2SbCl クロロジフェニルスチビン(chlorodiphenylstibine)
 ③有機基に金属元素の名称を続けて,つぎに陰イオン名を記す.
 例 (CH3)2SiHCl ジメチルシランクロリドヒドリド(dimethylsilane chloride hydride)
   (C6H5Ge)2O3 三酸化ビス(フェニルゲルマニウム)(bis(phenylgermanium)trioxide)
 ④中性配位子をもつ有機金属化合物では,金属元素の名称の前にアルファベット順に配位子の名称を記す.

  ブロモ(メチル)ビス(トリフェニルホスフィン)白金
  (bromo(methyl)bis(triphenylphosphine)platinum)
  ⑤有機金属化合物の基は配位子の名称のつぎに金属元素名の語尾を変えて表記する.

有機金属の1価の基が炭素に結合している場合は相当する金属元素の水素化物に由来する名称を用いる.‐PH2(ホスフィノ,phosphino),‐SiH3(シリル,silyl),‐SnH3(スタニル,stannyl),‐PbH3(プランビル,plumbyl)などがある.
 例 ‐SnH(CH3)2 ジメチルスタニル(dimethylstannyl)
 水素化物から導かれる多価基に対しては水素化物の名称にdiyl,triylなどを付ける

 ⑥有機金属陰イオンは相当する基の末尾を‐ateとして表わす.その際カッコ内に金属元素の酸化数または陰イオンの電荷数を付記することが多い.
 例 [(CH3)3Cu]- トリメチルクプラート(Ⅱ)(trimethylcuprate(Ⅱ)),電荷数では(1-)とする.
   [(CF3)3Sb(OH)3]- トリヒドロキソトリス(トリフルオロメチル)アンチモナート(Ⅴ)(trihydroxotris(trifluoromethyl)antimonate(Ⅴ))
 塩類は陽イオン,陰イオン名の順に記す.
 例 Li[AlH(C2H5)3]- リチウムトリエチルヒドリドアルミナート(Ⅲ)(lithium triethylhydridoaluminate(Ⅲ))
 ⑦有機金属陽イオンは①~③の命名法にしたがう.末尾に金属元素の酸化数か陽イオンの電荷数を示す.
 例 [(C2H5)3Sn]+ トリエチルスズ(Ⅳ)(triethyltin(Ⅳ))
   [(C2H5)3Sn][B(C6H5)4]トリエチルスズ(Ⅳ)テトラフェニルホウ素酸塩(triethyltin(Ⅳ)tetraphenylborate)
 RnM形の化合物(n=4,M=P,As,Sb,Bi;n=3,M=Te)では母体がヒドリド陽イオン[PH4]+(ホスホニウム,phosphonium),[AsH4]+(アルソニウム,arsonium),[SbH4]+(スチボニウム,stibonium),[BiH4]+(ビスムロニウム,bismuronium),[TeH3]+(テルロニウム,telluronium)の置換体として命名することもある.
 例 [(C6H5)3CH3P]+ メチルトリフェニルホスホニウム(methyltriphenylphosphonium)
3.6 立体構造表示法
 同じ分子式をもつが,原子間の結合の様式が異なっていたり,原子の3次元的組立が異なる化合物を互いに異性体(isomer)の関係にあるという.ここでは後者のいわゆる立体異性体(stereoisomer)の表記法について簡単に記す.
 a)シス,トランス(cis,trans)異性体
 原子または原子団が立体異性体間に共通に存在する基準平面の同一側にあるときにcis,反対側にあるときにtransであるという.たとえば,炭素‐炭素の2重結合をもつ化合物では2つのsp^2炭素を含み,sp^2炭素平面に垂直な面が,また環式化合物では環を構成する原子を含む仮想的な面が基準平面である.この場合複数の置換基のうちいずれを対照の基準とするかによってcisまたはtransの関係が異なり注意が必要である.

 b)2重結合に関する立体異性体
 2重結合に含まれる2つの原子に結合している原子,原子団のうち,それぞれ順位則(表3.6)で最優位にあるものどうしがcisの関係にある場合に(Z)(ドイツ語のzusammen(いっしょに)にもとづく),transの関係にある場合に(E)(entgegen(逆に)による)の接頭語を用いる.

 c)配座異性体(conformational isomer)
 分子内の単結合を軸とする回転によって互いに変換ができるような関係にある異性体を配座異性体とよぶ.例のAとBは配座異性体の関係にある.また,反応の遷移状態などではC,Dのようなエネルギーの高い配座もとりうる.立体的関係はEからHのようにニューマン投影式を描くとよくわかる.

 飽和6員環化合物には図のようないす形配座(chair conformer)と舟形配座(boat conformer)がある.環を構成する原子から出ている結合は,環を構成する原子の大多数を含む平面との角度が小さいときにエクアトリアル(equatorial,図のe),大きいときにアキシアル(axial,図のa)とよばれる(いす形配座に限る).

表3.6絶対配置を決めるための置換基の順位

 d)光学異性体(optical isomer)
 ある分子をその鏡像に重ね合わせることができないとき,このような性質をキラリティ(chirality)といい,その分子はキラルであるという.その鏡像と合致するとき分子はアキラル(achiral)であるという.また鏡像関係にある分子を鏡像異性体(エナンチオマー,enantiomer)または対掌体という.キラルな分子はすべて光学活性であり,このような異性関係を光学異性という.一方,何らの対称要素ももたない分子を,不斉(asymmetric)分子という.炭素原子にすべて異なった4つの原子または原子団が結合しているとき,この分子は不斉分子であり中心炭素を不斉炭素という.不斉炭素を含む分子は鏡像と重ね合わせることができない(キラルである)ので,その炭素原子をキラル中心にあるという.分子に2つ以上のキラル中心があり,互いに鏡像異性でない立体異性体をジアステレオマー(diastereoisomer)という.

 メソ酒石酸は光学不活性である(紙面内の回転操作で鏡像を互いに重ね合わせることができる).これは2つの不斉炭素に結合している原子および原子団が同一であり,しかもキラリティが逆であるので分子全体としてはアキラルであるからである.
 このような問題を考えるには,キラル中心のまわりの原子または原子団の配置(これを絶対配置という)を一義的に表わす(キラリティの表示)ことが必要である.その表示には,接頭辞(R),(S)が用いられる.表示の手順は次のように行なう.
 __まずキラル中心原子に結合している原子または原子団に順位則(表3.6)にしたがってa>b>c>dと順位をつける.
 __順位がもっとも低いdに相当する原子または置換基の反対側から分子をながめ,a→b→cの方向が時計回りの配置であれば(R)(ラテン語のrectus(右)に由来する)を,反時計回りの配置であれば(S)(sinister(左)に由来する)で示す.

 なお,分子の相対的な立体配置を表わすために古くは接頭語_および_が用いられた.(+)‐グリセルアルデヒドの立体配置をまったく任意にAと決め,これを_‐グリセルアルデヒド,また(-)‐グリセルアルデヒドの立体配置をBとし_‐グリセルアルデヒドと表記した.そして_‐グリセルアルデヒドに関連づけられた化合物には接頭語_を,またその鏡像異性体には接頭語_を付けてその立体配置が示された.なお,この仮に選ばれた立体配置は後になって幸いにも実際に正しい絶対立体配置であることが,すなわち_‐グリセルアルデヒドは(R)‐(+)‐グリセルアルデヒドであることが明らかになった.
 キラル軸をもつ図のようなビフェニルやアレン誘導体の場合には,正4面体構造がたてに引き伸ばされた形とみなせばよい.長軸(2個のベンゼン環を結ぶ結合と一致)に沿って構造を眺めたとき,手前の2つの置換基(順位則でa>bとする),後方の2つの置換基(c>dとする)に順位則を適用し,さらに前方の置換基は後方のものよりも優先とする.ただしどちらを前方とするかは任意である.その結果,Aではa>b>c>d,Bではc>d>a>bとなる.このように順位を決めた上で,最下位の置換基を反対側から眺めるとAではa→b→c,Bではc→d→aと時計回りになるので,この配置を(R)とする.この例でわかるように,キラル軸をもった化合物では,軸のどちら側から見ても配置の記号は同じになる.反時計回りの場合を(S)とする.

 正8面体構造やらせん構造をもつ化合物の絶対構造の表記については専門書を参照されたい.
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 楼主| 发表于 2006-12-26 07:33:25 | 显示全部楼层
4 生体物質命名法

 生体を構成する有機物には,タンパク質,核酸,多糖,脂質など,いくつかの構成単位が脱水縮合して形成されるポリマーが多い.これらの構成単位がどのような順序・様式で結合しているかを正しく簡潔に表示するための規則の概要を示す.この規則は,国際生化学連合(International Union of Biochemistry,IUB)の命名法委員会で審議されたものである.
 
4.1 ペプチドとタンパク質
 天然タンパク質は表4.1に示す20種のα‐アミノ酸およびその誘導体より構成される.タンパク質には,D‐アミノ酸は含まれないのでD,L‐の表示は省くが,D‐アミノ酸またはDL‐アミノ酸を含むペプチドについては必ずこれを明記しなければならない.
 ポリペプチド鎖を構成する個々のアミノ酸を残基とよぶ.α‐アミノ基をもつ残基をアミノ末端またはN末端,以後順々に第2残基,第3残基と数え,最後尾のα‐カルボキシ基をもつ残基をカルボキシル末端またはC末端という.ペプチドのアミノ酸残基の配列は,表4.1の3文字略号を用い,N末端残基を左端に,順次アミノ酸残基の記号をダーシでつなぎ,C末端が右端で終るように表示する.
表4.1 アミノ酸とその略号

 例 Gly‐Thr‐Lys
トリペプチドのアミノ酸配列を示す.N末端はグリシン,C末端はリシン
   Ala‐Pro‐Lys‐
長いペプチドのN末端側第3残基までの配列を示す.
   ‐Lys‐Cys‐His‐Ser
長いペプチドのC末端側第4残基までの配列を示す.
 逆向きに表示する必要がある場合にはN末端,C末端を明示するかまたは,矢印で方向を表示する.修飾された側鎖を表示するためには,3文字略号の上または下に修飾の様式を示す記号をつける.

 多くのタンパク質のアミノ酸配列を比較するには1文字略号が便利である.この場合もN末端を左端とするが,各略号をハイフンではつながずに1タイプスペースを空けて配列するほか,コンピューターに記憶させるためのいろいろな約束事が決められている.
4.2 ポリヌクレオチドと核酸
 核酸(DNAとRNA)はヌクレオシドとリン酸が3_‐OHと5_‐OH間のホスホジエステル結合で多数つながったものである(RNAについて表4.2に塩基とヌクレオシドおよびその略号を示す).核酸におけるヌクレオシドの配列,すなわち,各ヌクレオシドについている塩基の並び方を示すには略号を用いる.遊離の5_‐OHをもつヌクレオシド(5_‐末端)を左端に,以下順々に並べていき,3_‐末端を右端に置く.
表4.2 RNAを構成する主な塩基,ヌクレオシドとその略号

 遺伝子はDNAそのもの,すなわち,極端に長いポリデオキシリボヌクレオチドであり,その塩基配列の中にその生物の全形質を支配するすべての情報が含まれている.塩基配列を決定する研究がすすみ,多くの遺伝子の中の塩基配列が遺伝子バンクに登録されている.この配列の中で,特定のヌクレオシドに注目したとき,これより5‘‐末端側(左側)を上流,3‘‐末端側(右側)を下流とよぶ.DNAの塩基配列を表示するため,従来,RNAと同様に大文字(A,G,C,T)が用いられていたが,CとGの誤読(不鮮明なコピーなどで)を避けるため一部のデータバンクでは小文字(a,g,c,t)による表示法が採用され,普及しつつある.
 RNAの中の塩基配列も同様の方法で表示される.RNAに含まれる特殊塩基に対しては,それぞれ独特の略号が考案されている.リボヌクレオシド配列かデオキシリボヌクレオシド配列か誤解を招くおそれがある場合には,後者にdの接頭語をつけて区別することができる.
 例 A‐G‐U‐C アデノシンを5‘‐末端,シチジンを3‘‐末端とするテトラヌクレオチド
   d(A‐G‐T‐C) デオキシアデノシンを5‘‐末端,デオキシシチジンを3‘‐末端とするテトラデオキシヌクレオチド
 ポリヌクレオチドの5‘‐末端のOHがリン酸化されているときは,ヌクレオシド略号の左にpをつける.また,3‘‐末端のOHのときは右につける.
 例 pA アデノシン5‘‐リン酸
4.3 多  糖
 多数の単糖がグリコシド結合でつながることで多糖を形成する.この構造は各構成単糖を示す3文字略号(表4.3),環状構造を示すp(ピラノース環)またはf(フラノース環)の記号,アノマーの立体配置を示すα,βの記号,結合の場所を示すアラビア数字の組み合わせで表示される.立体配置を示すD‐,L‐の記号も必要ならばつける(D‐のときはつけないのが普通).単糖の配列順序は,一般に非還元末端を左端におく.場合によっては矢印も併用される.なお,単糖の3文字略号は単糖名の頭3文字よりなるが,アミノ酸の3文字略号と重複しないよう調整されている(例えばグルコースはGluでなくGlc).
表4.3 単糖およびその誘導体の略号


4.4 脂  質
 自然界には多種多様な脂質が存在するが,ここではグリセリン(グリセロール)誘導体のみ扱う.
 中性脂肪はグリセリンと高級脂肪酸のエステルである.エステル化の程度により,モノアシルグリセリン,ジアシルグリセリン,トリアシルグリセリンとよぶ.従来のモノグリセリド,ジグリセリド,トリグリセリドの名称は,化合物の構造を正しく表示していないので廃止された.
 グリセリン自身はアキラルな対称分子であるが,非対称に置換されれば2位の炭素がキラルになる(__3.5d)).脂質の命名法によれば,フィッシャー投影式で2位の炭素がL‐型になるような立体特異的番号づけ(stereospecifically numbered)を採用し,グリセリンに接頭語sn‐をつけて表示する.
 自然界のグリセロリン脂質は,一般に,1,2‐ジアシル‐sn‐グリセロ‐3‐リン酸(3‐sn‐ホスファチド酸)の誘導体であり,多くの糖脂質も1,2‐ジアシル‐sn‐グリセロールの3位が糖とグリコシド結合している.

 脂質を構成する高級脂肪酸に対しては,炭素の数と2重結合(シス型cis)の数だけを示す簡潔な表示法がある.その場合,最も単純な直鎖脂肪酸を念頭において表記する.例えば,18:0はC18個の飽和脂肪酸(ステアリン酸),18:3はC18個のトリ不飽和脂肪酸(リノレン酸)を示す.2重結合の位置を示す必要のある場合は,それを( )の中に入れて記載し,また2重結合の位置がトランス型(trans)のときは,その( )の中にtを加える.
 例1 18:3(9,12,15) リノレン酸
     CH3CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)7COOH
 例2 18:1(9t) エライジン酸
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 楼主| 发表于 2006-12-26 07:54:40 | 显示全部楼层
主要基名表
 この表は主要基名を基の構造によって分類したものである.基に異性がある場合は,代表的なものを挙げて基に位置番号を示したものと,すべての異性基を基名の後の括弧で示したものとがある.1993年IUPAC Guideによるものには*を付した.








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发表于 2009-2-5 13:38:22 | 显示全部楼层
收藏走了
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发表于 2009-2-16 10:43:11 | 显示全部楼层
收藏了,谢谢阿
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发表于 2009-4-12 09:42:33 | 显示全部楼层
啊啊太感謝了
我一直很想知道有機化合物的命名方法
終於看到了
但是……好難記啊……
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发表于 2009-4-25 08:12:21 | 显示全部楼层
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发表于 2014-3-20 12:31:21 | 显示全部楼层
难得一见的专业营养贴,谢谢楼主!
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