世界は丸い、地球も宇宙も、月日も歴史も、空間も時間も、だから僕は言える、僕はここにいまに世界の中心に立っている。だから僕は言える、僕を中心に世界は回っている。一代の偉人になれるかもしれぬ、地球の隅々まで名の聞こえる達人になれるかもしれぬ、末代まで朽ちず芳しい名声を保ち続ける者になれるかもしれないが、たとえ、天の川の果てに僕の目が届かないとしても、たとえ万年前先祖たちの活躍だった記憶に遡れないとしても、たとえ千年のちの世に辿り付けないとしても、たとえ黄泉冥途のこと一切知らずとしても、たとえ心の底の知れぬ穴に落ち果てないとしても、僕は依然としてここで宣言する、世界の心臓、ここで躍動している。
諸々の衆生を支配する神よ、僕は分かるさ、貴方は必ずや円満な結局を願っているだろう。だから僕はその望みに応じて言いたい、世界は回っている、なにもかも、なんでもかんでも、なにからなにまで、と。
先人よ、吾が使いとして、後輩よ、吾が証しとして、僕の前に往者もなければ来者もない、さあ、誰が僕のために記録するか。 |