電子メールとトラブル

fanyi

     いつでも簡単に連絡が取り合えると、その便利性がもてはやされる電子メール。利用者のすの野が広がるにつれ、トラブルや戸惑いの声も目立ってきた。書き手の内面が想像以上にストレートに伝わり、相手に不快感を与えるしまう。電子メールには日ごろの自分抑制を解き放ち、喜怒哀楽や本音をついさらけ出してしまう“感情増幅機能”があるようだ。
　「さほど緊密につき合っていない人から、愛だが友情だとかを熱く語ったメールをもらっても困りますよね」と通信機器メーカーに勤務するAさんは話す。先日、大学の同窓会で久しぶりに再開した女性にある映画を紹介した。その後、女性はレンタルビデオ見て、感想を電子メールで送ってきた。
　それも100行近い長文で、映画の長文で、映画の主人公と自分を重ね合わせ、過去の体験などを詳細に織り交ぜた生々しい内容、今も時折、本や映画の感想が届く。実害もないし、送らないでといえないけど、読むにきになれなくて、…」と対応に苦慮している。
　こうした送り手微妙な感情のズレは、時にトラブルのものになる。京都都内の高校教師Bさんは2年前から、北海道にUターンした大学時代の同級生と電子メールをやり取りしていた。今年の三月ごろ、仕事に疲れたB氏が「北海道はのんびりしていていい」と書いたら、「教師こそ休みばかり楽」と返事がきた。
　　ここから互いに感情的になり、激しい応酬を繰り返した後、ついに絶縁状画が届いた。「昔の仲間だから弱音を聞いてくれると思っただけ。なぜこんな異なったのか」と半年を経て、B氏は子後悔している。
　都内の編集プロダクションに勤務する編集者（38）は「電子メールと手紙とでは、読者の意見の質が全く違う」と証言する。
生活関連の記事いくつかの雑誌に執筆しているが、電子メールで寄せられる読者の意見は、例えば「ほかの雑誌で似た企画を読んだ」結論がおかしい。書いた奴は頭が悪い。」という辛らつなものが多い。同じ記事に対する反応するでも、フアクスだと、批判するにしても、「こういう視点を盛り込んで欲しい」と言った建設的な意味が多い。
なぜ、こういったことがおきるのか。ネット上の匿名性が人の悪意増幅させるという指摘もあるが、通常，1対1で情報をやりと利する電子メールではそれだけが原因とは言えない。最近になって、コンピューターが媒介するコミュニケーションCMCを研究する動きも広がっている。
東京大学社会情報研究所の橋元教授は「思い立って時にすぐ出せる電子メールの所長が裏目に出るから」と指摘。手紙と比較して、こう説明する。
「相手が目の前にいない状況で書く点に変わりはないが、手紙だと、封筒に入れる、切手を入れる。ポストも投函する-実際に送付するまでいくつもの段階があり、時間もある。出しては無意識のうちに、打ち手側理立場に立って根内容を反すうしている。電子メールは逡巡する間がない分、感じたまま思ったままの欲求や感情がストレートに出やすい指摘する。
「書いたけど投函しなかった手紙ってありますよね。電子メールにはそれがない。感情が高ぶったまま書かれたメールがボタン操作一つで瞬時に送られる。後悔したときはもう遅い。」