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3 続 耳の開放について(2)
彼女は時折耳を見せたが、その殆んどはセックスに関する場合だった。耳を出した彼女とのセックスには何かしら奇妙な趣きがあった。雨が降っているときちんと雨の匂いがした。鳥がさえずっているときちんと鳥のさえずりが聞こえた。うまく言えないけれど、要するにそういうことだ。
「他の男と寝る時は耳を出さないの?」と僕はある時彼女に質問してみた。
「もちろんよ」と彼女は言った。「みんな私に耳があることすらしらないんじゃないかしら」
「耳を出さない時のセックスってどんなものなの?」
「とても義務的なものよ。まるで新聞紙をかじってるみたいに何も感じないの。でもいいのよ。義務を果たすのって、それはそれで悪くないから」
「でも耳を出した時のはずっとすごいんだろ?」
「そうよ」
「じゃあ出せばいい」と僕は言った。「なにもわざわざつまらない思いをすることはないじゃないか」
彼女はまじまじと僕の顔を見つめ、それからため息をついた。「あなたって、本当に何もわかっていないのね」
たしかに僕にはいろんなことがまるでわかってなかったと思う。
まずだいいちに僕は特別扱いしている理由がよくわからなかった。他人に比べて僕にとくに優れたり変ったりしている点があるとはどうしても思えなかったからだ。
僕がそう言うと彼女は笑った。
「とても簡単なことなのよ」と彼女は言った。「あなたが私を求めたから。それがいちばん大きな理由ね」
「もし他の誰かが君を求めたとしたら?」
「でも少なくとも今はあなたが私を求めてるわ。それにあなたは、あなたが自分で考えているよりすっと素敵よ」
「なぜ僕はそんな風に考えるんだろう?」と僕は質問してみた。
「それはあなたが自分自身の半分でしか生きてないからよ」と彼女はあっさりと言った。
「あとの半分はまだどこかに手つかずで残っているの」
「ふうん」と僕は言った。「そういう意味では私たちは似ていなくもないのよ。私は耳をふさいでいるし、あなたは半分だけしか生きていないしね。そう思わない?」
「でももしそうだとしても僕の残り半分は君の耳ほど輝かしくないさ」
「たぶん」と彼女は微笑んだ。「あなたには本当に何もわかってないのね」
彼女は微笑を浮かべたまま髪を上げ、ブラウスのボタンをはずした。
她偶尔也让看耳朵,但那几乎只是在做爱的时候。在和露出耳朵的她做爱时总有一点奇妙的乐趣。下雨的时候当然会有雨的味道。在鸟鸣叫的时候当然会听的鸟的歌声。虽然不能用美好的语言来表达,但总之就是这样。
“和别的男人睡觉时不露耳朵吗?”我有时候质问她。
“那是当然的了。”她说。“也许他们并不知道我有耳朵。”
“不露出耳朵的时候做爱那是什么感觉?”
“那也非常义务性的。就像咬报纸那样没有任何感觉。这样也不错,只是为了尽义务罢了,也无所谓了。”
“但是,露出耳朵的时候做爱就很刺激吗?”
“大概是这样的。”
“那么还是露出来好。”我说。“做什么也并不需要特意没有趣。”
她认真地盯着我的脸,喘一口气。“你真的什么都不懂吗?”
我想了一下,的确我对很多事情几乎都不明白。
首先,第一,我不明白特殊对待我的理由。我怎么也想不到,自己和别人相比,有什么特别优秀或变化之处。
这样说过之后她笑了。
“这是很简单的事情了。”她说。“是因为你在求我。这就是最大的理由。”
“假如是其他人谁也来求你会怎么样?”
“至少现在是你在求我。而且你自己,和你的看法相比会更帅。”
“我怎么会那样地考虑问题呢?”我质问了一下。
“这就是你只用自身的一半在生活着。”她坦率地说。
“那另一半还残留在什么地方根本不发挥作用。”
“嗯,”我说。“那样说的话我们不太相似的地方是不存在的。我捂住你的耳朵,你也只是一半在生活。不是这样吗?”
“可是即便是这样我所剩余的那部分并不像你的耳朵那样绚丽。”
“大概,”她笑了笑。“对你来说,真是什么都不明白。”
她一边笑着把头发掀起来,把衬衫的扣子解开。
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