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[其他翻译] 原+译《欢迎来到NHK》(第六章) 泷本龙彦 著/INVATER 译

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发表于 2015-10-10 12:41:15 | 显示全部楼层 |阅读模式
    六章 追憶、そして誓約
        第六章  追忆,以及誓约

      1

 ゴールデンウィークが来たと思ったら、いつの間にやら梅雨が終わっていた。月日が素晴らしいスピードで、俺の目の前を流れ流れ流れ過ぎていった。
黄金周悄然来临,连月不开的梅雨亦倏然收敛起了行迹,时光飞逝,不知不觉间,一个月已经过去了。

 しかしこの一ヵ月、それなりに様々なイベントが発生した。
但是这在一个月里,也相应地发生了一些杂七杂八的事件。

 たとえばこの前、深夜のコンビニで岬ちゃんとバッタリ会った。岬ちゃんは、俺に一枚のワープロ用紙を手渡した。その紙は契約書だった。黒いボールペンで大きく『契約書』と書かれていたので、それはおそらく契約書に違いない。
譬如就在之前,于深夜的便利店中恰巧遇到小岬。之后小岬给了我一纸文书。其实就是一张普通打印纸。上面大大的“契约书”三字是用黑色圆珠笔所写。看上去确是一封像那回事儿的“契约书”。

 あと、一週間ほど前に、高校の頃の先輩と渋谷で待ち合わせをした。喫茶店などに入って、ちょっとばかり歓談などをした。だいぶドキドキしたが、それほど特筆するべきこともない。
之后,大约就是一周前,和高中时的学姐在涩谷碰了面。去咖啡店坐了坐,相谈甚欢。尽管也有些让人脸红耳热的情节,但也没什么特别值得描述的。

 それと、親がリストラされた。来月から仕送りが止まる。
还有就是,爹妈那边将调整方略。下月起便停止打钱过来。

 一方、俺の隣人、山崎の方も、最近になってにわかに発生してきた世知辛い事態に、かなりいろいろ参っているらしかった。
另一方面,我的邻居兼小老弟山崎,近期也陷入了前所未有的困境,目前好像正处于忧心如焚的状态。

『第一次産業を営む父親が、肝臓を悪くして入院』
经营农庄的父亲,因肝病恶化住院

『そして山崎は、長男である』
然后山崎,是家中的长子

『実家の仕事を継ぐべきか、否か?』
是回老家继承家业,抑或置之不理?

 しかし実際、もはや彼には選択肢が残されていないように見える。今すぐ実家に帰って、酪農とワイン造りを引き継ぐのがベストな選択だろうと思う。
但实际上,他根本没有选择的余地。现在摆在他面前的,只有回老家当奶农以及继承酒厂这一条路了。

 が──なにやら彼には、両親との間に深い葛藤《かっとう》が存在しているらしい。
可是——他和爹妈之间,似乎势同水火,存在着极其深刻的矛盾。

『あいつら、金があるクセに、僕を進学させてくれなかった』
“那些老东西,仗着自己有几个臭钱,就擅自决定我的未来”

『酪農学校に、勝手に願書を出しやがった』
“连声招呼也不打,就他妈给我报了奶农学校”

『それで僕は、自分で一年間、コンビニと警備員のバイトをして夜アニの学費を稼いだ』
“然后我呢,就在那一年里,起早贪黑四处找地方打工,总算赚足了上夜校的学费”

『それを、いまになって、ふざけるなよ!』
“结果,现在又给我来这套,开什么玩笑啊!”

 よくわからないが、山崎は怒っているようだった。
虽然越听越糊涂,但山崎确是正在气头上。

 それでも彼は、激しく怒りつつも、すべての問題を先送りにすることに決めたらしい。問題が破局を迎えるその瞬間まで、知らないフリをしておくことに決めたらしい。俺もとりあえず、彼に倣って現実逃避することにした。
他既然暴跳如雷到如此程度,看样子已是下定决心破罐破摔,跟家里人周旋到底了。除非事端真的到了无可收拾的地步,他就打算一直装作漠不关心的样子。无奈之下,我也只好纵容他如是逃避下去了。

 現実逃避と言えば、エロゲー作りである。
所谓逃避现实,便是制作黄游。

 もはや今となってはほとんど意味のない、まったくもって無駄で無意味な創作活動に邁進《まいしん》する俺たちだった。
都死到临头了,我们却还为此踌躇满志,整日做着毫无意义的事,还恬不知耻地自封为游戏制作人,搞着永远不可能入流的低级创作。

 本当ならば、一刻も早くひきこもりから脱出して、就職活動しなきゃいけないのに……
说实在的,现在已是危急存亡的时刻了,当务之急是找个能够糊口的工作才对呀......

 だけどなぜだか、俺は笑顔で呟くのだ。
可是,我们仍旧沉浸内中,乐不思蜀。

「やっぱりロリータ系は、かんべんな」
“果然幼齿啥的,还是饶了我吧”

「ええ、佐藤さんの好みで結構ですよ。この前の小学生盗撮会は、ホントに捕まるかと思いましたからね」
“没问题,按佐藤哥的喜好走就行了。之前偷拍小学生那次,我真以为你会被逮捕呢”

 んなことはどうでもいいんだよ、いますぐ就職活動しなきゃ身の破滅なんだよ! と叫ぶべきなのに……
逮捕不逮捕都无所谓啊,说真的再不找个工作的话还不如被拷上呢!尽管我想把这些话竭力呐喊出来......

 俺はまたもや笑顔で言うのだ。
但我却笑得更沉醉了。

「今日からシナリオ書くよ」
“今天就开工写剧本啦”

「よろしくお願いしますよ。ゲームの出来は、佐藤さんのシナリオにかかってます」
“那就拜托了啊。咱们游戏的好坏,可就全看佐藤哥你剧本的成色了”

「わかってるさ。気合いを入れて書くよ。全力でエロゲー作るよ!」
“我当然心里有数。肯定会用心去写啦。为了黄游,定当全力以赴!”

 ……あぁ。
......唉。

 モラトリアムここに極まれり。
我们业已逃至现实的天涯海角。

 天晴!
周围尽是璀璨辉煌!

 というか最低!
但也狗彘不如!

   *

 事実、辛《つら》い現実から目を背ける逃避活動には、エロゲー製作こそがまさに最適なのだった。そもそもエロゲーというゲームのジャンル自体に、現実逃避的要素が限りなく多分に含まれている。
事实上,对于厌倦现实,想要远远避开现实的人来讲,制作黄游无疑是最佳的选择。并且黄游作为一个游戏种类,本身亦在现实逃避的元素上有着得天独厚的优势。

 二台の巨大なタワー型パソコンに腰を下ろした山崎が、演説を始めた。
山崎坐在两台大腹便便的电脑前,开始了他的演说。

「そうなんですよ。現実逃避こそがエロゲーの本質です。そこで我々クリエイターは、楽しい現実逃避体験をプレイヤーに提供しなければなりません。
“就是那样没错。逃避现实正是黄游的本质。而我们制作人的职责,说白了就是为玩家们提供能够使他们醉生梦死的现实逃避体验”

 ……現実世界には、辛いことが溢れかえっています。我々男子をバカにする女子。我々男子を軽んじる女子。コンビニの店長と二股《ふたまた》をかけやがってたあのクソ女。僕の青春を弄《もてあそ》びやがった短大生。それら様々な辛いことで、この世の中は、大変です」
“......现实世界中,无处不充斥着辛酸与不快。玩弄我们男人的女人们,不把我们男人放在眼里的女人们。那个跟便利店店长鬼混而且还到处搞‘多边外交’的臭婊子。践踏了我宝贵青春的短大学生。那类不顺心的事情早已不可胜数。这个世界,是一座活生生的地狱啊”
※短大:短期大学,日本国内的一种教育机构(多为私立),一般两三年即可毕业,类似国内大专院校。

 後半はずいぶんと具体的な話だったが、俺は無言で次のセリフを促した。山崎は烏龍《ウーロン》茶で一息ついてから、さらに朗々と声を張り上げた。
虽说后半段是较为具体的内容,但我对此完全无言以对。山崎咕咚咕咚地灌了几口乌龙茶,朗声继续他的话题。

「つまり、現実の女は、ろくなもんじゃありません。限りなくモンスターに近い生き物なんです。──そこで!」
“也就是说,现实中的女人,净是些贱货。好似一群披着人皮的天外来客。——但是!”

「そこで?」
“但是?”

「そこで我々エロゲークリエイターは、現実には決して存在しない、どこまでも都合のいい女性キャラクターを創造する必要があるんです」
“但是我们作为游戏制作人,要创作出来的就是现实中绝不存在,广大玩家喜闻乐见的女性角色”

 ──都合のいい女性キャラ。
——大众喜闻乐见的女性角色。

 山崎は説明した。
山崎开始讲解。
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 楼主| 发表于 2015-10-10 12:46:46 | 显示全部楼层
「理由もなく主人公を好きになり、純粋な好意のみによって主人公に近づいてくる、そんなキャラクターです。なにひとつ下心を持っていない、そのうえ、決して主人公を裏切らない──そのような、現実には決して存在しえないキャラクターです」
“比如不需理由便喜欢上主角,怀着纯粹的好意慢慢接近主角,就是像我说的现在说的。不抱有任何异心,更不会弃主角于不顾——就是像这样,现实中绝对不可能存在的人物”

「だけど、それほどに現実離れしたキャラを登場させたら、リアリティーがなくなってしまうんじゃないか?」
“可是,假如人物形象太不切实际,偏离现实,玩家们会接受吗?”

「いいんですよ。プレイヤーはエロゲーにリアリティーなんて求めてません。ヘタにリアリティーを出そうなんて考えても、結局はプレイヤーをゲンナリさせてしまうだけです。現実的なキャラクターと恋愛がしたかったら、エロゲーなんかやらずに、本物の女に声をかければいいんですよ」
“用不着想那么多啦。玩家们才不会在意游戏是否切合实际。一味地追求真实性,只会适得其反,使玩家玩着玩着就烦了。若是真想跟现实中的女人谈情说爱,那还要黄游作甚,满大街不都是女的等你找么”

「なるほど」
“原来如此”

「とはいえ一応、キャラクター創造におけるテクニックというものも、あるにはあります」
“话说回来,关于塑造人物形象,还是有一些经典套路的”

「というと?」
“说来听听?”

「普通の女性キャラをポンと登場させて『彼女こそが最高の理想的ヒロインだ!』などと宣言してみても、さすがにそんな言葉には真実味のかけらもありません。ですから『理想的ヒロイン』が理想的であるがゆえの、その理由付けを、設定上のテクニックによって、しっかりと補強しなければならないのです。
“假使把普通的女性角色直接代入进游戏,然后只干巴巴地宣扬‘她就是最好最理想的女主角!’,那种空口白牙的话谁会相信?所以咱们应该去注重的是‘理想的’女主角,再在那之上,加入些更有角色特征的设定。这样一来,人物塑造就能够臻于完美了”

 たとえばテクニックその一、幼なじみ。
“那就举例说明吧——经典套路一,青梅竹马。”

 主人公の幼なじみをヒロインにすることによって、小さい頃からの仲良しという強い絆《きずな》が発生します。その幻想によって、どこまでも都合のいい理想的ヒロイン像に、ある種の説得力が生じます。
“把主人公的青梅竹马设定为女主角,至真至纯的感情在两人童年时便已植根,太美妙了,两小无猜呀。作为女主角天时地利人和均占,各种优势不言自明。”

 そしてテクニックその二、メイド。
“然后就是经典套路二,女仆。”

 メイドさんをヒロインにします。メイドという職業特性によって、ヒロインと主人公との間に主従関係が発生します。その幻想によって、どこまでも都合のいい理想的ヒロイン像に、ある種の説得力が生まれます。
“把女仆设为女主人公。由于女仆的职业特性,女主角和主人公之间有着主从关系。主仆之间不存在任何背叛与猜忌,故女仆在治愈人心上是首屈一指的。称其为最理想的女主角身份,自是毋庸多言”

 さらにテクニックその三、ロボット。
“再有就是经典套路三,机器人”

 ロボットをヒロインにします。ロボットは人間に逆らえないので、『下心を持っていない』『主人公を裏切らない』という理想的ヒロイン像に、ある種の説得力が──」
“把机器人设为女主角。因为机器人根本不可能违抗人类,所以不会怀有异心,更不会做出背叛主人公的行为。同样是一种极为理想的女主角身份,不容置疑——”

「……ろ、ロボットって?」
“......机,机器人?”

「ロボットはロボットですよ。ロボットをエロゲーのヒロインにするんです」
“机器人就是机器人啊。机器人可以是黄游的女主角呀”

「……………」
“............”

 ずいぶんとシュールな話だが、山崎はさも当然という顔をしていた。
尽管话题早已跳出现实十万八千里,山崎却是一副理所当然的样子。

「つまり、エロゲーキャラクター製作のポイントはですね、ヒロインが主人公に逆らえない理由を、ヒロインのキャラ設定中に織り込んでしまうことなんです。主人公の命令ならば何でも聞く、聞かざるを得ない、そして無条件に主人公を好きになる──そのような理由を、できる限り物理的に設定してやればいいんです」
“也就是说,黄游中角色设计的重中之重,就是在人物形象的原案中,穿插进一些不可能违抗,背离主人公的理由。女主角要为游戏本身服务,服从主人公的一切命令,并顺从其一切想法,绝不违抗主人公——基本上就是这样,你只要把这些要素整合到角色原案中即可”

 俺は、あまり深く考え込まないようにしようと思った。
我暗忖,这东西还是别往深层面想为好。

 やけくそ気味に言ってやる。
于是便信口胡诌道。

「同級生で幼なじみのメイドロボットってのはどうだ?」
“既是同级生也是青梅竹马又是女仆机器人怎么样?”

「いいですね、その設定!」山崎は真顔で答えた。
“不错哇,这设定!”山崎认真地点头。

「……さらに前世で、主人公と恋人同士だったって設定は?」
“......而且在前世,就和主人公是恋人关系的设定,你看怎样?”

「さ、最高っすよー」
“太,太厉害了——”

「そのうえ病弱で、目も見えない、口も利けない。頼れる人は主人公だけ──ってのは?」
“而且还身患绝症,眼睛看不见,又是个哑巴。能够依靠的人只有主人公一个——怎么样?”

「完璧《かんぺき》じゃないですか!」
“无懈可击!”

「さらにアルツハイマーで──」
“再加上患有脑退化症——”

「ナイスですよ!」
“好耶!”

「しかも分裂病」
“而且还精神分裂”
※精神分裂症:台湾在2014年改称“思觉失调症”

「パーフェクト!」
“漂亮!”

「だけど本当は宇宙人だった」
“但实际上是个外星人”

「グレイト!」
“牛逼!”

その後数時間に及ぶ打ち合わせの結果、我々が製作するエロゲーのヒロイン設定が、ついに決定した。
之后数小时,经我们一番磋商后,终于就黄游女主角的人物设定,定下了一个原案。

『主人公の幼なじみのメイドロボット。だが彼女は、盲目で聾唖《ろうあ》で病弱で、しかもアルツハイマーで分裂病の宇宙人だった。だけど本当は幽霊。主人公とは、前世からの絆がある。しかしその実、正体は狐』
“和主人公是青梅竹马的女仆机器人。但是她又盲又聋又哑,兼之体弱多病,是个既患有脑退化同时也有精神分裂症的外太空宇宙人。但是其实是幽灵。和主角有着说不清的前世因缘。然而正体,是一只狐狸所化”

「すんげーっすよ! カンペキッすよ! 萌《も》え萌えっすよ!」
“牛逼啊!太完美了!撩人之极!”

「こ」
“这”

「なんですか佐藤さん? さっそく今日からシナリオ書いて──」
“咋着了佐藤哥?事不宜迟,你就赶快开始——”

「こ、こ」
“这,这”

「……こ?」
“......这?”

「こんなん書けるかぁ!……俺の好きにやらせてもらうからな」
“这上哪儿写得出来啊啊!......这事没有你过问的资格”

 俺は山崎を足蹴《あしげ》にすると、自室に戻った。
我一脚蹬开山崎,径自回了房。

 すでに時刻は深夜二時。
时近午夜二时。

「どうなってしまうんだろう? 俺たちは」などと悩んでみることもあるが、しかし結局はひきこもりのダメ人間だ。限界が来るまで、現実逃避を続けることにした。
心中烦恼着现在,过去和未来,但不论怎么想,自己仍旧是个不折不扣的家里蹲废物。只要头顶上的天一天不塌下,自己就会永无休止地躲藏在阴影之中。

 そう! 現実逃避と言えばエロゲー製作である。
对!要想逃避现实,为什么不去制作黄游呢。

 だからさっそくシナリオを書くぜ!
写剧本去!
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 楼主| 发表于 2015-10-10 12:47:23 | 显示全部楼层
      2

 あっさりと数日が経過した。
一晃过了数日。

『悪の巨大組織に立ち向かう戦士たちの、愛と青春の旅立ち』云々《うんぬん》の、極めて適当なストーリーを、俺は思うがままに書き散らしていた。
“向邪恶的幕后组织发起抗争的勇士们,爱与青春的冒险”我顺其自然地拟了个像模像样的故事主干,便开始随心所欲地大书特书起来。

 最初のうちは驚くほどに順調だった。スラスラと書けた。自らの文才に打ち震えた。
起初文本的进展一帆风顺。我文思泉涌,下笔有如行云流水,一气呵成。顺利得自己都觉得不可思议。

 が、すぐに俺は、大きな問題に気がついた。
但,没过多久,我便意识到了一个极为棘手的问题。

 俺が書いているこのテキスト、それはすなわちエロゲーのシナリオだ。
我正在执笔的文本,说白了就是黄游的剧本。

 エロゲーのシナリオである限りは、エロいシーンが必要になる。
但凡为成人游戏的剧本,总会多多少少地涉及到“黄色”部分。

 つまり、エロ小説的な文章で、イヤらしいシーンをしっかりと描写しなければならないのだ。
说白了,就是要像色情小说那样,把色情场面写得绘声绘色,让看者读了达到脸热心跳的感觉才行。

 濡《ぬ》れ場をじっくり描かなければならないのだ。
必须要让咸湿场面跃然纸上啊。

 ……それは、辛い。
......但那也,太艰难了。

 何が悲しくて、二十二歳のこの俺が、エロ小説もどきを書かなければならないのか? 辛すぎる。
为何年仅二十二岁的我,非要去写色情小说那种不伦不类的玩意?想到此处,不禁悲从中来。

 部屋に籠《こ》もって早三日。
闭门苦思三日后。

 すでに作業は困難を極めていた。シナリオは一時間に一行も進まない。
作业已变得困难至极。以致于一个小时下来,竟连一行剧本也憋不出来。

 語彙《ごい》が。語彙がないのだ。
词汇。找不到词汇啊。

 エロ小説における特殊な比喩《ひゆ》。それが俺の脳内に整備されていなかった。
适用于色情小说的修辞。在我脑中压根就没有存在过。

 まったく、迷ってしまう。
我举目茫然,无计可施。

 単語ひとつ選ぶのに、えらく手間取る。
用上半天,也很难挤出一个字来。

 そしてなにより──恥ずかしい。こんなにも恥ずかしい文章を書いているこの俺は、一体ぜんたい、何を考えているのだろう。現実逃避にもほどがある。
更何况——还有羞耻心在作怪。敢情我绞尽脑汁,全是为了给色情小说凑字数?我究竟是在想些什么啊。即使是逃避现实,也得讲究个分寸吧。

 暗い部屋で一人、赤面してしまう。心拍数があがる。冷や汗をかく。キーボードを打つ手が止まる。……もうイヤだ。
黑漆漆的小屋里,自己一人在那儿扭捏不安。心跳紊乱。冷汗遍体。打字的手不自觉地停了下来。......我受够了啊啊。

 エロシナリオなんて書きたくない。あぁ、もうイヤだ。
我不想写什么黄色剧本。啊啊受不了啊啊。

 本当に、イヤだ。
真的,我受够了。

 だけどそれでも俺は勇気を振り絞り、全身全霊をかけて文章を構築する。
但人在屋檐下不能不低头啊,我只好拼尽全力,为了十八禁,与自身的羞耻心血战到底。

 なぜならば、エロゲー製作をやめた瞬間、必死で忘れようと努めている現実の問題が、大迫力で目の前に迫って来るに違いないからだ。辛い現実を直視せざるを得なくなるに違いないからだ。
其中的另一原因,就是在我放弃制作黄游的那一念闪过时,心中极不想顾及的现实问题,便势如怒涛地再次卷集而来。我逃跑还来不及,哪里有心思应战现实呢。

 それはマズイ。それはダメだ。
这样下去,早晚会死透的啊。

 だからこそ俺は、以前購入したフランス書院文庫を参考にして、ひたすらエロシナリオを書く。
于是我就,翻出了之前购入的法兰西书院丛书,一意专心地写起剧本来。

 単語を探せ! 比喩を見つけろ!
调动起全体脑细胞!强迫它们遣词造句!

 しかし……なんとも疲れる作業だった。書いては削除。書いては削除。
然而......这作业弄得我我身心俱疲。写了又删,删了又写。写写删删,删删写写。

 そろそろ頭が変になりそうだ。
折腾地头都大了。

『男はジッパーを下ろし、ジーンズを膝《ひざ》まで』
“男的弄下拉链,裤子顺势滑到膝盖处”

『い、いやあぁ』
“‘咿,咿呀’”

『──姉さん姉さん姉さん』
“‘——好姐姐好姐姐好姐姐’”

『柔らかな乳房を』
“将柔软的乳峰”

『しごきあげた』
“揪了起来”

 ダメだ。削除。
不行。删掉。

『怒張した』
“怒张开来”

 違う。削除。
不对。删掉。

『雄々しくそそり立った』
“雄然傲立”

 ダメだ! 削除削除。
不行!删除删除。

『天を貫く』
“贯穿天际”

 ふざけるな! 削除だ削除だ削除だ。
贯穿你妹!删删删删删。

『濡れそぼった』違う!
“湿了一地”不对!

『毒々しいサーモンピンク』違うってば!
“一片艳紫妖红”都说了不对啊!

『てらてらと光る』ダメだ!
“闪着熹微的光”啊啊啊!

『べっとりと下腹部に張り付いた』やめろ!
“下腹部紧密贴合在一起”够了!

『ぬるぬると』もうイヤだ!
“湿漉漉的”啊啊啊啊!

『脈打ち』もうダメだ!
“脉动急促”够了啊啊啊啊啊啊啊啊!

『ラヴィアが』俺は。
“阴唇”我。

『シェル?ピンクの』俺は、俺は。
“泛着粉红色的”我,我。

『白濁した』俺は……
“染上白浊”我.....

『小ぶりの乳房を』
“小小的乳房”

『みずみずしい』
“娇艳欲滴”

『汗ばんだ』
“出着汗”

『もっと強く』
“加大力道”

『い、いやぁ』
“‘嘤咛’一声”

『甘い吐息が』『ふくらみをこすりつけ』
“甜蜜的吐息”“搓弄隆起的部位”

『ツンと尖《とが》った』『揉《も》みしだく』『起伏』
“硬化凸起”“揉啊揉”“起伏”

『入力される』『ヒップが』『唇から』
“运力”“下身”“从唇间发出”

『グラインド』『甘えた』『子猫のような』
“扭起腰肢”“撒娇”“小猫般地”

『女体の』『張りつめた』『俺は、俺は……』
“女体”“在怀中瑟瑟发抖”我,我......

『怒張』
“怒张”

『股間《こかん》への』『可愛い』『切迫』
“股间传来”“可爱的”“胁迫”

『硬くしこった』『淡いピンクの』『見たいんだ』
“硬了起来”“淡粉色的”“‘让我瞧一瞧’”

『うん、いいよ』『あられもない』『何ひとつ覆う物がなくなった』
“‘嗯,好的’”“不成体统地”“毫无遮拦的土地尽收眼底”

『船底形のシミが』『恥丘に』『秘裂が』『もうイヤだ』
“船底形的轮廓”“耻丘处”“一道蜜裂”我受够了

『ヘソのすぐ下に』『秘部が』『胸を高鳴らせ』『もうおしまいだ』
“肚脐的正下方”“秘处”“胸中一阵轰鸣”没救了

『怒張』
“怒张”

『秘めやかに息づいている』『シンプルな』『茂みが』
“娇喘连连”“稀疏的”“芳草”

『あふれた蜜《みつ》が』『人差し指で』『まるで、おもらしを』
“蜜液涌出”“食指捣入”“那水如同失禁一般”

『じれったそうに』『淫《みだ》らな』『粘膜の』『俺の人生って』
“欲火焚身”“淫荡的”“粘膜”我的人生

『怒張』
“怒张”

『ピストン』『卑猥《ひわい》な』『裂け目』『未来が見えない』
“活塞”“黑粗物”“裂缝”还会有未来么

『怒張』
“怒张”

『粘着音』『漏らし』『熱い』
“粘着音”“漏出”“灼热的”

『ぬかるみ』『突き立てる』『包皮』
“黏糊糊”“傲然挺起”“包皮”

『柔肉』『ほんのりと上気した』
“软软的”“开始慢慢发红”

『淫靡《いんび》な』『もう死んだほうがいい』
“淫靡的”让我死吧

『怒張』
“怒张开来”

『怒張』
“怒张”

『天を貫く』
“直插云霄”

『そそり立つ』
“屹立不倒”

『怒張』
“怒张”

『怒張』
“怒张”

『怒張』
“怒张”

『怒張』
“怒张”

『怒張!』
“怒张!”

「うがあああああああああああああああああああああああ」
“呜啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊”

 俺は頭をかきむしった。
我发疯似地撕扯头皮。

 全削除全削除全削除……
全删全删全删全删......


 フランス書院文庫などを手本にしたのが、そもそもの間違いだったのだ。フィクションを参考にしてフィクションを書くから、どんどん描写が変になっていくのだ。気が狂いそうになるのだ。
尽管参照了法兰西书院之类发行的黄书,但那完全没能派上用场。毕竟创作是不能照搬他人的,生搬硬套的文字只会给人味同嚼蜡之感。此时我已心乱如麻。

「…………」
“............”

 だからオーケイ。落ち着け俺。
没问题的。冷静啊冷静。

 深呼吸して落ち着いたら──今度は自らの実体験を参考にして、もう一度最初からやり直してみよう。そうしたならば、自らが体験したノンフィクションによって、真実味のあるエロシーンが描けるはずだ。
深呼吸数次后,总算平复下来——这次一定要参照自己的真实经历,重新再写一遍。也只有这样,我才有可能写出真情实感,写出能够真正打动观众的男欢女爱的片段。

 実体験、実体験──
真实经历,真实经历——
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 楼主| 发表于 2015-10-10 12:52:34 | 显示全部楼层
 二年間、ひたすら彼女のご機嫌をとって、その見返りがこの一発かと思うと、それなりに感慨深いものがあった。やたらと興奮したが、なぜか悲しい心持ちもあった。
两年里,全心全意地讨好她,换来的便是那一次温存。回忆起来,确是思潮起伏,感慨万千。
尽管很是尽了兴,但在内心深处,始终埋藏着一缕哀伤。

 しかし結局、うまい具合にヤれたのは、その一回だけである。
但从结果上来看,所谓的温存,仅有那一次而已。

 もっと何回もヤッておくべきだったような気もした。いやいや、むしろ一回もヤらない方が良かったような気もした。
虽也曾想过再多干个三回五回。不过,现在的我倒是希望那一切都没有发生过。

 実際、どうなんだろう?
到头来,又能怎么样呢?

 あぁ──
啊啊——

 渋谷の、コジャレた喫茶店で「どうなんですか?」と俺は訊いた。
涩谷,一家人满为患的咖啡店内,“最近怎么样?”我问道。

 数年ぶりに出会った先輩に、俺は訊いた。
问的对象是,是多年未见的学姐。

 この前の日曜日に、いきなり何の前触れもなく電話がかかってきたのだ。『会おうよ』と先輩は言った。俺はのこのこ出かけていった。
上个星期天,毫无征兆地来了一个电话。“见个面吧”学姐如是说。于是我便屁颠屁颠地赶来赴会了。

 待ち合わせ場所はモヤイ像前だった。ちょっと地方出身者っぽい行動だったが、事実俺たちは地方出身者なので、特に問題ない。
约好的地方是在莫艾像前。那是外乡人在涩谷常约的碰头地点,因为我们确实均为外乡人,所以也没什么好奇怪的。

※摩亚像:本是复活节岛上的神秘石像,相传为波利尼西亚人所建。后传到日本,伊豆新岛村模仿此石像作为当地的特产(当然修改了造型),称为“莫艾”像(日语中moyai近似moai,含有同心协力,互帮互助之意)其中以东京涩谷地铁站前的摩亚像最为著名,为1880年新岛赠予涩谷区。1975年后,新岛大量制造摩亚像赠送到日本各个城市

 出会い頭に、先輩は言った。
刚一照面,学姐便迎了过来。

「佐藤君の実家に電話をかけて、佐藤君の今の連絡先を教えてもらおうと思ったら、君のお母さんにセールスマンと間違われて、だいぶ胡散《うさん》くさがられたよ」
“当时往佐藤君你家里打电话,正要问你现在的联系方式,没成想你妈妈硬是把我当成了某公司的推销员,结果不知费了多少口舌,才解释清楚呢”

「あぁ、よくあるんですよ。学校の同級生を名乗って、名簿を集めようとする業者──」
“哦,很常见的。干推销的人,经常会借口自己是对方家人的老同学什么的,骗取电话号码——”

 数年ぶりに再会して、一番最初の会話がこれかと思うと、ちょっとげんなりした。
作为几年没见的开场白,这确实略显突兀了些。

 が──が、記憶に違《たが》わず先輩は、やはりばっちり可愛かったので、俺はだいぶドキドキした。ついでに、ひきこもり特有の視線恐怖と広所不安がやってきた。
可——可是,学姐那张天使般的面孔,和我记忆中的她如出一辙。我满面潮红,心如鹿撞。但又因周围的视线而惊恐万伏。

 喫茶店に入っても、冷や汗が止まらなかった。
进了咖啡店,浑身仍是汗洽股栗。

 窓際の席に座った先輩は、アイスコーヒーなどをストローでかき回しながら訊いた。
坐在靠窗席位学姐,一边用吸管搅冰咖啡,一边问我。

「あのさぁ佐藤君、君、今、なにやってるの?」
“噢,佐藤君,你眼下在哪儿高就哪?”

 俺は包み隠さずに本当のことを答えた。笑顔で。
我毫无保留地将自己的一切和盘托出。脸上含笑。

 すると、先輩も笑った。
听完后,学姐亦为之莞尔。

「もしかしたら、そんな感じになってたりとか、ちょっとは予想済みだったけどね」
“虽然吓了一跳,但也有点预料之中的感觉呢”

 俺は自慢してやった。
一股豪情油然升起。

「いやもう、籠もり籠もってもう四年ですよ! プロフェッショナルのひきこもりです!」
“嗐,都蹲了四年啦!堪称宗师级家里蹲!”

「やっぱり今も、外に出るのは大変なの?」
“那现在,也还是害怕出门吗?”

 俺はうなずいた。
我点了点头。

「なら、良いものがあるよ」
“正好,我这儿有好东西哦”

 先輩は、小さなバッグからピルケースなどを取り出して、何やら小粒の錠剤を俺に手渡した。
学姐说着,已从手提包中摸出来一个外观别致的药丸盒,并从中拿出了几粒药片,递到我手中。

「これ、リタリン」
“给,利他林”
※利他林:盐酸哌醋甲酯,中枢兴奋药

「なんすかそれ?」
“这是干啥用的?”

「抗鬱《こううつ》剤。覚醒《かくせい》剤の親戚《しんせき》みたいなクスリだから、すっごい効くよ。これでいつでも元気でバリバリ!」
“聪明药。效能上跟兴奋剂有异曲同工之妙,总之只要吃下这个,立刻就能精神倍长,反朴归真啦!”

 先輩は、今もやっばりおかしい人だった。精神科を三つはど掛け持ちしているそうだ。
这些年过去了,学姐她果真还是老样子。保守估计,此人少说也要有三种精神病史。

 それでも彼女の心遣いは、なかなかに嬉しかったので、俺はありがたく、そのあやしげな抗鬱剤をいただいた。
但这毕竟是她的一番心意,我心中不由地雀跃起来,遂感激涕零地收下了那尤为可疑的利他林。

 そしたら元気になった。
吃下后,果是精神大振。

 俺たちは無駄に陽気に会話を交わした。
于是我们兴致勃勃地畅谈起来。

「高校時代は、佐藤君、普通だったのにね。……いや、そうでもないか」
“高中那会儿,佐藤君,挺普通的吧。......不,也算不上太普通吧”

「先輩は、今、何やってるんです?」
“学姐,您现在在哪儿高就呀?”

「無職」
“还没工作”

「大学は卒業したんでしょう?」
“不是已经大学毕业了吗?”

「そうだけど、だけど今は無職。……もうすぐ主婦になるけど」
“是毕业了,但现在还没找工作。......只是就快要成家庭主妇了”

「へぇ、結婚するんですか」
“哟,这是要结婚了么”

 二十四歳の若奥様か。萌え萌えだ。
二十四岁的人妻么。啧啧啧。

「ビックリした?」
“吓到了?”

「それなりに」
“多少有点”

「悲しい?」
“伤心吗?”

「まさか」
“怎么会”

「どうしてさ?」
“为什么呢?”

「どうなんですか?」
“什么为什么?”

 喫茶店を出た。先輩は俺の周りをくるくるとふらつきながら、にこやかに笑っていた。
步出咖啡店。学姐在我面前滴溜溜地打了个转,笑靥如花。

 そして「あたし、今、幸せだよ」と言った。堅実な国家公務員、金持ち、それでいて格好いい、つまりは最高な人との結婚だ! と自慢してくれた。
然后和颜悦色地说:“我呀,现在,很幸福的”。接着又炫耀对方是踏实能干的国家公务员,家世不错,而且玉树临风,儒雅风流;总之自己就是和如此如此优秀的人结了婚。

「難しく考えちゃダメだよ。複雑なことを考えたらダメだよ。ハッピーだよ」
“别想得那么复杂嘛。开心不就好了嘛。开心就好”

 そのセリフはひたすらに陽気で、どうやら彼女も例のクスリを囓《かじ》っているらしい。
她满面春风地说着不着边际的话,看上去似是那“利他林”的药力使然。

 人混みをすいすいとすり抜けながら、先輩は言う。
只见学姐精神焕发地穿过人群,接着说道。

「あの頃、ちゃんと付き合っておけば良かったかもね。佐藤君、凄くあたしが好きだったんでしょ?」
“那时候,如果我们在一起了没准会更好吧。佐藤君,当时其实很喜欢我的是吧?”

「凄くヤらせてもらいたかったです」
“迷得我简直神魂颠倒”

「ごめんねホントに。毎日トランプなんかしてる場合じゃなかったよね」
“对不起呀真的。明明不该每天都打牌的”

「別れ際の一発ってのは、だいぶキツイものがありました」
“临别时的那一炮,真是百感交集,感极而悲呀”

「もしかして、君がひきこもっちゃったのも、あたしのせいかもね」
“难道说,你变成家里蹲,也是因为我的缘故吗”

「……それはぜんぜん関係ないですよ。もっとこう、別の大きな──」
“......那倒是没啥关系吧。真要说的话,就要怨那种——”

「巨大組織とか?」
“幕后黑手什么的?”

「ええそうです。巨大な悪い組織に、俺はすっかりやられちゃったんです」
“啊,就是那个。你看我现在的样子,就知道他们下手多么狠毒了”

「あたしも、ねえ。悪い組織にたぶらかされたよ。もうダメかもしれないよ──」
“我也差不多啦。被幕后黑手骗得惨不忍睹。都快活不下去了——”

 そして先輩は唐突に、子供が出来たと教えてくれた。
接着,学姐突然告诉我,自己已怀上孩子一事。

「スゲー! マジスゲー! 母親じゃん!」
“好耶!好耶!母亲万岁!”

 俺はビックリした。
我叫绝不已。

「だから結婚するの。これであたしは人生合格! もう、バッチリ軌道に乗ったよ。あとはもう、このまま一直線に行けると思うよ」
“所以我要结婚。这样一来我的人生就合格啦!我已经回归正常。再也不用看别人的脸色做人啦”

 先輩は、俺の前方一メートルを、てくてく早足で歩いていた。だから表情は窺《うかが》えない。しかしその声色から察するに、事実正しく浮かれている。ハッピーなのだ。そうに違いない。
学姐走在我前方一米处,步伐矫健利落,故窥不见正脸。但仅从她的脚步和声色中,可以感觉得到她的亢奋情绪。那是装不出来的。

「良かったですね。良かったですね。良かったですね」
“可喜可贺。可喜可贺。可喜可贺”

 俺は同じセリフを三回連呼して、彼女の新たな門出を盛大に祝った。
我连着欢呼了三遍,以表对她迈向新生活的衷心祝贺。

「佐藤君、辛くない?」
“佐藤君,你不难受吗?”

 先輩は足を止めた。
学姐停步道。
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 楼主| 发表于 2015-10-10 12:53:10 | 显示全部楼层
「いや、別に」
“不,没啥”

 俺も立ち止まった。
我也停下了脚步。

「なんか知らないけど、あたしは辛いよ」
“也不知道为什么,我总觉得难受啊”

 いつのまにやら、ここはホテル街だった。
不觉之间,已走到了涩谷的宾馆一条街。
※涩谷的宾馆一条街:顾名思义,涩谷有一条道路两旁皆为宾馆的街道。至于宾馆的性质,自不必多言。

 真っ昼間だというのに、女の肩を抱いて歩く奴が、数組ぶらぶら歩いていた。俺はちょっと興奮した。
尽管还是大白天,但光天化日之下抱着女人肩膀走动的人比比皆是,一对对野鸳鸯如胶似漆,情意绵绵。看得我不禁为之一振。

「不倫とか、しようか?」
“偷情,试试看吧?”

 そんなことを言って先輩は微笑む。
学姐说着,投给我一个微笑。

「若奥様と不倫! テレビみたいですね!」俺はますます興奮する。
“和少妇偷情!简直跟演电视似的!”我喜上眉梢,愈发兴奋。

「一回しかヤらせてあげなかったから、可哀想だからね」
“女人若不偷一回男人,那有该多可怜哪”

「…………」
“............”

 俺たちはホテルの前で、真正面から向き合っていた。
我们驻足在旅馆前,互相转向对方,四目交汇。

 ものすごく休憩していきたかった。
心中涌起一种身心俱疲的脱力感。

 だけど二人とも、笑っていた。
但二人依然,相视而笑。

「……先輩は、今、幸せなんでしょう?」
“......学姐,现在,你很幸福对吧?”

「そうだよ」
“是啊”

「もはや先輩は、巨大な組織の手の届かないところにいるんでしょう?」
“那幕后黑手,已经再也够不着学姐你了吧?”

 先輩は、もう一度、「そうだよ」と言った。
学姐她,再次说了“是啊”。

「なら、俺は帰ります」
“那么,恕难奉陪了”

 俺は前屈《まえかが》みになりつつそそくさと立ち去った。
我微一鞠躬,长身告去。

 すれ違いざま、先輩の横顔を盗み見た。
擦肩而过时,悄悄看了眼她的侧脸。

 涙が流れていた。
一行清泪顺颊而下。

 そりゃあねえぜと俺は思った。
那怎可能呢,我心中哂道。

 まったく、先輩のように、可愛くて気だての良い人間ぐらいは、にこやかに健やかに軽やかに、誰もが羨《うらや》むぐらいの幸せをゲットしたっていいはずなのだが。あーゆー可憐な人ぐらいは、悩みのない人生を送ってくれても良さそうなものだが。
唉,像学姐那样长得漂亮,心肠又好的人,本应该收获到最为无上的幸福,过上万人仰慕,永无烦忧,轻松闲适的幸福生活才对。那样楚楚可怜的美人,确实不适合愁眉紧锁的样子,更不该过凄风苦雨的生活。

 しかし現実は、またしてもまたしても、ロクでもなく陰鬱《いんうつ》で、どうしようもない。
然而现实却那么的残酷,欺骗了她一次又一次,将她团团笼罩在一片绝望之中,仅能束手等死。

 やるせない怒りがあった。だけども、腹を立てて殴りつける、その相手が見つからない。
我不禁怒气冲天。但空有一肚子怨气,却无处可发。

 巨大な組織。願わくば、巨大な悪の組織が存在していて欲しいのだが。それが俺たちの願いだったのだが──
幕后的邪恶组织。说白了那只是子虚乌有的架空产物。但我们还是期望着,有它的存在——

「…………」
“............”

 嫌なことばかりが溢《あふ》れていた。世の中は、複雑でグチャグチャな、ワケの分からない、理解しがたい、不幸と悲しみに包まれていた。
烦心的往事密密麻麻地从记忆中涌出。这个世界处处都充满着扑朔迷离,凶险劫难。人生在世,终究难得旁人理解。

 大学の友人は自殺した。『夢に破れて恋にも破れたので死にます』などと、頭の悪い遺書を残して自殺した。小学校の同級生は結婚して離婚した。男手ひとつで二児を育てるヤマダ君、白髪が生えてて笑ってしまった。男と同棲《どうせい》してたカズミちゃん、実家に帰った。公務員を目指してたユウスケ君、試験に落ちた。エロゲーを作る山崎君、夢やぶれた。
大学里的朋友自杀了。留下一张纸条“梦想没了爱情毁了只能死了”,权作遗书,便撒手尘寰。小学同学结婚后没多久又离了婚。孤身一人养育两个孩子的山田君依然笑着,额际已生白发。和一个男的发展到同居关系的和美,听说已经回了老家。雄心勃勃想要当上公务员的雄介君,以毫厘之差落榜。夜以继日制作黄游的山崎君,梦想亦然成空。

『僕は自分の才能を試す。……いや、別にエロゲーじゃなくてもいいんですけど、何かをやって、やってやる』
“我要发掘自己的才能。......啊,不是单指黄游方面啦,总之一定要干出点,干出点儿什么才行”

 酒に酔っぱらってそう宣言した彼の未来も、もはや牛を追う酪農家だ。逃げ出すすべは、見あたらない。
他酒意醺醺下放出的未来宣言,俨然是个成日赶牛放羊,割草挤奶的农户。苦命的人,业已无法逃出命运的追捕。

 みんな笑っていたのだが。みんなはしゃいでいたのだが。
大家空自在那里欢笑着。闹腾着。

 同窓会とかコンパとか、そうゆう場所では楽しげで、カラオケなんかも楽しげで、あの頃みんな、楽しげで、このさき未来は完璧だ! 俺たちは何にでもなれる! なんだってできる! 幸せになれる! そう確信していたはずだったのに──
同学聚会还有联欢会啥的,那些令人开心的活动,再加上KTV之类风月场所,为我们提供了充裕的玩耍空间,我们理所当然地寻欢作乐,人人都天真地以为:未来一定会更好!我们定当前途无量!幸福生活伸手即得!面对将来,我们个个都神采飞扬,志在必得——

 そうなのだ。じわじわと、本当にじわじわと、あまりに遅くて気がつかないほどの、どこまでもどこまでもイヤらしいスピードで、俺たちはゆっくりと追いつめられているのだ。困ったり、参ったり、泣いてみたりしてみても、どうしようもないのだ。誰もがみんな、いつかは大変な目に遭うのだ。それは遅いか早いかの違いだけで、結局いつかは、ものすごくやりきれない事態に陥ってしまうのだ。
就这样。渐渐地,不出几年,我们相继目睹了这个世界的真面目,并为之付出了沉痛的代价。我们颓丧至极,无路可走。但纵使我们苦断愁肠,也无济于事。不论何人,迟早有落难失意的那一天。只不过是早晚的区别罢了。到最后,终将无力回天,饮恨收场。

 だから──俺は、怖いんだ。
所以——我,很害怕,

 かなりいろいろ、怖いんだ。
整日疑神疑鬼,担惊受怕。

 なぁ先輩。
学姐啊。

 俺はダメですよ先輩。あなたが見合いでゲットした公務員なんかよりも、俺は五百倍ぐらいへボい人間です。だから俺にはどうしようもない。すんげーヤりたかったけど、余計に辛く、なるだけだ。別にカツコつけてたわけじゃない。あぁ不倫したかったなぁ。しかしそれは無理なんだ。無理に決まってる。自分のことすら手が回らない、情けないひきこもりのこの俺には、あなたを喜ばせてやるだけの力は無い。……いや、テクニックがどうとかって話じゃなくて。
我是个废物呀学姐,你相亲找的那个公务员要比我高上五百万个档次啊。所以我还能怎么样呢。尽管心中充满了侵犯你的念头,但我上哪儿有那个胆子呢,结果还是作茧自缚,自讨苦吃。我没有耍帅的意思。啊啊好想好想来一炮哇。但那是不可能的,绝不可能。一个连自己都周全不了,而且还是个家里蹲的废物,根本没有能力给你带来快乐。......呃,我不是说“那方面”的能力啦。

 あぁ、俺だって、強い人間になりたかったさ。頼りがいのある、そこにいるだけで周囲を明るくする、そんな人間になりたかったさ。幸福をばらまきたかったさ。
啊,即使是我,也想变得坚强啊。变得能够独当一面,赢得大家的信赖,助人为乐,行侠仗义。总之就是想做一个英雄豪杰。先天下之忧而忧,后天下之乐而乐啊。

 しかし現実は、ひきこもりだ。外を恐れるひきこもりだ。
然而现实,则是家里蹲一个。一个连门都不敢出的家里蹲。

 なんか知らないけど怖くて怖くてしかたがないんだ。
也说不清是为什么,反正就是特别害怕,害怕得不得了。

 だからもう、ダメなんだ──
所以已经,没救了啊——

   *

 来月、仕送りがストップする。そのとき俺は、どうしよう?
来月,父母将会停止打钱。待到那时,我该如何是好?

 この生活も、もうすぐ終わる。
这样的生活,亦即将告终。

 いっそ人生、終わらすか?
索性一不做二不休,将人生也一并斩断?

「…………」
“............”

 俺はエロゲーのシナリオを書いていたパソコンの電源を切り、とりあえず山崎に電話をかけた。
我看了看所写下的剧本草稿,默然拔下电脑的电源,破罐破摔地拨通了山崎的电话。

『ごめん、シナリオ、もう書けない』と謝ろうとしたのだ。
“抱歉,剧本,我写不下去了”我在脑中缓慢地组织道歉的语言。

 だが電話は話し中だった。耳を澄ますと、隣室から怒鳴り声が聞こえてきた。
但电话里面却说占线。我再仔细一听,发现隔壁确是有大吵大闹的声响。

『どうしてそうゆう話になるんだよ!』
“为什么会变成这样!为什么!”

『そもそも僕は、自分の金で、こっちに来たんだ。あんたらの指図を受ける義務なんて、どこにもない!』
“都说过多少遍了,我是用自己挣的钱,才到的这边啊。你们有什么资格对我指指点点!”

 などなど、どうやらまたまた親と揉めているらしい。
如此如此,听起来像是正和家人吵得不可开交。
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 楼主| 发表于 2015-10-10 12:53:50 | 显示全部楼层
 どこも大変だ。
灾祸终于来临。

 俺もそろそろ本格的に、生きていく勇気がなくなってきた。
这一次,我真的渐渐失去了活下去的勇气。

 一句浮かんだ。
脑际恍然浮现出一个场景。

  梅雨明けて、すかっと爽やか、スーサイド
雨过天晴,惠风和畅,一派辞旧迎新景象   

 かぶり俺は頭を振った。とりあえず、今日のところはもう寝よう。
我使劲晃了晃脑袋。总之,今天还是先睡了吧。

 パジャマに着替えてベッドに横になろうとした。
换上睡衣,卧倒在床上。

「…………」
“............”

 そのとき、テレビの上に置いてあった一枚の紙切れが目に留まった。
此刻,视线倏然定在了置于电视机上的一张纸上。

 それは、岬ちゃんからもらった契約書だ。
那是,小岬给我的契约书。

 いつだったか、コンビニの雑誌コーナーでマンガを立ち読みしていると、いつの間にやら背後に岬ちゃんがいた。彼女は『今度会う時までに、サインとハンコを押しておいてね』と言うと、鞄《かばん》の中から表の紙切れを取り出して(ずっと持ち歩いていたらしい)、俺に手渡した。
也不记得是几时几分,那天我正在便利店的图书角蹭书看,无意中一扭头,竟发现小岬就在背后,吓得我差点叫出声来。只记得她说“下次见面时,别忘了在这上面签上名字,摁上手印哦”然后从书包里拿出一张纸(像是早就准备好了似的),递到我手中。飘然而去。

「…………」
“............”

 その紙切れ──すでに何度も目を通しているその紙切れを、俺はもうl度、手にとって読んだ。
我将那张纸——那张业已看过很多遍的契约,再一次拿起,读了一遍。

 やはりそれは、あまりにもバカらしい、どこまでも意味不明な文面の、頭が痛くなってきそうなしろものだった。しかし、マックスに神経衰弱している今の俺には、妙に魅力的な紙切れでもあった。なので、ついつい俺は、その契約書にサインをして、ついでにハンコを押してしまった。
那上面的内容,含有不少鬼扯的成分,且思维跳跃极大,叙述不明。让人初看就一头雾水,继而越看越头痛。然而,尽管她写得如同儿戏,但对于精神衰弱无比我而言,却有着难以言表的吸引力,仿佛是一根救命的稻草。于是,我便不假思索地,在那份契约书上签下名字,并画了押。

「……………」
“............”

 その契約書をポケットに突っ込み、近所の公園へと赴く。
将契约书揣进口袋,我赶赴公园。

 夜。
夜深人静。

 月が出ていた。どこかで犬が吠《ほ》えていた。
月出东山。远处犬吠不断。

 ブランコ脇のベンチに座り、ぼんやり夜空を見上げていると、唐突に岬ちゃんがやってきた。
于秋千旁的长椅上坐下,对着夜空发了一阵子楞,不一会儿,小岬的足音已至。

 今夜も宗教ルックではない、通常の衣服に身を包んでいた。
今晚的她不是教徒装束,而是一副寻常打扮。

 俺の隣に腰を下ろし、訊《き》いてもいないことを弁解してくれる。
她在我身边坐下,我还没开口,她便没来由地解释起来。

「別に、毎晩毎晩、あそこの窓から公園の入り口を監視しているワケじゃあないよ」
“别误会,我可不是每天晚上都守在窗边,监视着公园这边的一举一动的啦” 

俺は笑った。
我笑了笑。

 その小さな笑い声が消え去って、犬の遠吠えも鳴りやんで、聞こえてくるものが、遠くの方の救急車のサイレンだけになった頃に、岬ちゃんは訊いた。
嘴角回归原位,原处的犬吠再度划破寂静,当那些杂音行将消失,空气中只剩下远远的救护车警笛声时,小岬开口了。

「ゲーム作り、終わったの?」
“制作游戏的事,已经完了?”

「あ、あぁ、エロゲー製作は結局中止になった。──って、なんでそれを?」
“啊,嗯。黄游的事彻底黄了。——呃,你怎么知道的?”

「この前、山崎君がマンガ喫茶に来たとき、小耳に挟んだんだけど。ところでエロゲーって何?」
“之前,山崎君到店里来的时候,偷偷告诉我了一些。话说黄游是什么?”
※黄游(エロゲー)读作Eroge

「……エロアとガリオアの略だよ。要するに、EROA──占領地域経済復興資金と、GARIOA──占領地域統治救済資金のこと。第二次大戦後のアメリカ占領地における、疾病や飢餓などの社会不安を防止するために、アメリカ政府が──」
“......EROA跟GARIOA的简称啦。通俗地说,EROA——就是马歇尔计划,官方称为欧洲复兴计划;GARIOA——占领区治理与救济政策。就是二战后,针对美军战时所占领区域的糟糕状况,美国政府出台的一系列防止美占区社会动荡如疾病,饥饿,社会动乱的政策,并由陆军部正式拨款——”


「それ、大嘘でしょ」
“这些,都是坑我的吧”

「うん」
“嗯”

「クリエイターつてのも、やっぱり嘘でしょ」
“制作人的事情,也是骗我的吧”

「うん」
“嗯”

「本当は、無職のひきこもりなんでしょう?」
“实际上,只是一个一无所有的家里蹲对吧?”

「……うん」
“......嗯”

 俺は契約書を差し出した。岬ちゃんはそれを素早く奪い取ると、ぴょん、と飛び上がった。
我把契约书递了过去。小岬立刻抢入手中,然后纵身往后一跃。

「ようやくその気になってくれた。これで佐藤君は、もう大丈夫。ちょっとの訓練で、広い世界に旅立っていけるよ」
“你总算是答应了。佐藤君,这样一来,你就用不着担心啦。只要按时接受训练,今后哪怕是周游世界都不是问题哦”

「……岬ちゃん、結局あんた、何者だ?」
“......小岬,你到底,是什么人啊?”

「だから前から言ってるでしょう。苦しんでいる若者を救済する親切な娘だってば。……あぁ、もちろんこれは、あくまでプロジェクトの一環としての活動なんだけど、だけど安心してていいよ。なんにも悪いことはないからさ。ね?」
“以前不都说过了嘛。我是旨在救助落魄青年的热心人。......哦,当然这只是计划的一环,并没有其他的意思啦。所以你就尽管放心好了。姑娘绝对不会对你不利的。”

 どこまでも嘘臭い話だった。
我不禁苦笑。


 が──
然而——

「とにかく、これで契約完了! 契約を破ったら、罰金百万円だからね」
“不管怎样,契约已经订下了!若有任何违约行为,罚款百万日元哦”

 岬ちゃんは契約書をポケットにしまうと、ニッコリ微笑んだ。ここに至って、俺はようやく不安になってきた。自分がものすごい間違いを犯してしまったような気がした。
小岬不由分说地讲完,便将契约书收进口袋,并投给我嫣然一笑。直到那一刻,我才猛地反应过来,一阵不安袭遍全身:不知不觉间,自己竟犯下了无可挽回的错误。

 この契約書。どこまで法的な強制力が働くのだろう?
这契约书,当真有法律效益么?

 大学の頃の、法学部の友人にでも尋ねておけばよかった。
早知今日,真后悔没有去咨询大学时学法律的朋友了。

 ちなみに契約書の文面は、こうである。
附带一提,契约书的文面,是这样的。

   ひきこもり脱出と、そのサポートに関する契約書
      有关家里蹲者及其协助人之契约

    ひきこもり者名 佐藤達広
        家里蹲者签名    佐藤达广

    脱出サポート著名 中原岬
        协助人署名        中原岬

    ひきこもり者を甲とし、脱出サポート者を乙として、両者の間に次のとおり契約する。
        以家里蹲者甲方,协助人乙方的名义,订立如下契约。

  1.甲はそのひきこもり脱出に関し、乙に苦悩、葛藤、泣き言、弱音、その他いっさいの内心をうち明ける。
    1,对于脱离家里蹲生活的一切心结或者问题,诸如烦恼,郁闷,难过,迷茫;甲方均有及时向乙方哭诉,坦白的义务

  2.甲のひきこもりに関して、乙はその脱出のために尽力し、社会復帰(以下「丙」)を成
   功させるよう努める。また、丙への過程において、乙は甲の精神状態の保全をはかる。
    2,针对甲方的家里蹲现状,乙方务必尽力而为,争取达到脱离家里蹲(下称‘丙’)的目的,另,在达成丙的过程中,乙方亦有责任协助解决甲方的一众心理问题。

  3.そのかわり、甲は乙に対して、丁寧な口を利く。
    3.相对的,在此期间,甲方不可对乙方动怒,言辞需恳切,尊重。

  4.甲は乙の言うことを、何でも素直に聞く。
    4.凡是乙方的意见,甲方务要言听计从。

  5.あと、甲は乙を、うるさがったりしない。乙を、邪険に扱ったりしない。
    5.此外,忠言逆耳,甲方需耐心接受治疗。乙方亦不会采取偏激行为。

  6.当然、殴る蹴るの暴行を加えたりもしない。
    6.当然,乙方不会有任何暴力倾向。

  7.カウンセリングは、毎晩、三田四丁目公園で行われる。夕ご飯を食べた後に来ること。
    7.至于矫正治疗,将在每晚的三田四街公园进行。请吃过晚饭后适时赶到。

  8.そうすれば、たぶん、良い方向に行くと思う。
    8综上,如是行之,情况应是能够扭转的。

  9.約束を破ったら、罰金百万円。
    9.若有违约,罚款百万日元


 文面を思い返してみると、激しい不安に襲われた。
想到此处,我顿觉犹如五雷轰顶。脑子里什么都没了。

「やっぱりやめた! 契約書返せ!」
“我不同意!把契约书还来!”

 しかし岬ちゃんは、とっくの昔に公園の外へと歩き去っていた。
然而再次环目望去,哪还有小岬的身影。

 取り残された俺は、ひとり途方に暮れていた。
只留下日暮途穷的我,呆坐在原地,唉声叹气。
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发表于 2015-10-10 18:27:58 | 显示全部楼层
[それと、親がリストラされた。来月から仕送りが止まる。
还有就是,爹妈那边将调整方略。下月起便停止打钱过来。]——错。

下面没功夫看了。
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