「ダンスダンスダンス」の翻訳（5）

yamoli

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僕のことについて語ろう。
自己紹介。
昔、学校でよくやった。クラスが新しくなったとき、順番に教室の前に出て、みんなの前で自分についていろいろと喋る。僕はあれが本当に苦手だった。いや、苦手というだけではない。僕はそのような行為の中に何の意味を見出すこともできなかったのだ。僕が僕自身についていったい何を知っているだろう？僕が僕の意識を通して捉えている僕は本当の僕なのだろうか？ちょうどテープレコーダーに吹き込んだ声が自分の声に聞こえないように、僕が捉えている僕自身の像は、歪んで認識され都合良くつくりかえられた像なのではないだろうか？……僕はいつもそんな風に考えていた。自己紹介をする度に、人前で自分について語らなくてはならない度に、僕はまるで成績表を勝手に書き直しているような気分になった。いつも不安でしかたなかった。だからそういう時、僕はなるべく解釈や意味づけの必要のない客観的事実だけを語るように心掛けたが（僕は犬を飼っています。水泳が好きです。嫌いな食べ物はチーズです。等々）、それでもなんだか架空の人間についての架空の事実を語っているような気がしたものだった。そしてそんな気持ちで他のみんなの話を聞いていると、彼らもまた彼ら自身とはべつの誰かの話をしているように僕には感じられた。我々はみんな架空の世界で架空の空気を吸って生きていた。
でもとにかく、何か喋ろう。自分について何か喋ることから全てが始まる。それがまず第一歩なのだ。正しいか正しくないかは、あとでまた判断すればいい。僕自身が判断してもいいし、別の誰かが判断してもいい。いずれにせよ、今は語るべき時なのだ。そして僕も語ることを覚えなくてはならない。僕は今ではチーズが好きだ。いつからかはわからないが、いつの間にか自然に好きになった。飼っていた犬は僕が中学校に上がった年に雨に打たれて肺炎で死んだ。それ以来犬は一匹も飼っていない。泳ぐのは今でも好きだ。
終わり。
でも物事はそんなに簡単には終わらない。人が何かを人生に求めるとき（求めない人間がいるだろうか？)、人生はもっと多くのデータを彼に要求する。明確な図形を描くための、より多くの点が要求される。そうしないことには、何の回答も出てこない。
でーたフソクノタメ、カイトウフカノウ。トリケシきいヲオシテクダサイ。
取消キイを押す。画面が白くなる。教室中の人間が僕に物を投げ始める。もっと喋れ。もっと自分のことを喋れ、と。教師は眉をしかめている。僕は言葉を失って、教壇の上に立ちすくんでいる。
喋ろう。そうしないことには、何も始まらない。それもできるだけ長く。正しいか正しくないかはあとでまた考えればいい。



　　说说我自己的事吧。
　　自我介绍。
　　过去在学校经常这样做。在组成新班级的时候，按顺序走到教室前面，在大家面前说说自己的事。我对那真是太不擅长这一点了。不，不仅仅是不擅长。我真看不出在那类的行为当中有什么意义。对自己自身到底能知道什么呢？通过自我意识所能捕捉到的我，是真的自己吗？正像向录音机所录的声音而听不出是自己的声音那样，我自己捕捉到自身的像不正是扭曲认识重新做的自我像吗？……我总是以这种方式来思考。每当做自我介绍时，每当在人面前必须要叙述有关自己的事情时，就像那种随便改写成绩表那样的心情，总是那么不安。所以每当那个时候，我尽可能想办法说些无需解释和无意义的客观事实(我养着狗。喜欢游泳。最讨厌的食物是奶酪，等等)，说些有关虚构人生的一些虚构的事实。在那种心情下让我总感觉到，听到别人说话时，他们并不是在说自己而是在说另外的人。我们大家都在虚构的世界中呼吸着虚构的空气而生存着。
可是总要说些什么。有关自己说些什么，这是所有的开始。那是第一步。正确与否，以后再判断也罢。我自已来判断也可以，其他谁来判断也可以。无论如何现在是该说的时候了。而且要我一定要记住要说的事情。
我现在很喜欢奶酪。是从什么时候开始的呢？这个不清楚。在不知不觉中自然喜欢上的。我所养的狗是在上中学那一年被雨淋了，得了肺炎而死去。自从那以后一只也没有养过。至于游泳现在还喜欢着。
　　就这些。
　　可是事情并不是那么简单地就结束。人在追求什么样的人生的时候(不追求人生的人也会有吧？)，人生会对他要求有更多材料。就像为了描写明确的图形那样要求更多的点。不那样做的话，别的什么回答也没有。
　　因为材料的不足，解答是不可能的。请取消。
　　按取消键。画面变得空白。教室中的人们开始向我投东西。喊着：继续说，进一步讲自己的事！老师皱着眉头。我无话可话，就一直站在讲坛上。
　　说！若不这样做，别的什么也不开始。尽可能地多讲一点。是否正确以后再考虑。

yamoli

主人公不能真实地认识自己；他也认为人们都不能真实地认识自己。


我们是如何认识自己的呢？真实吗？