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21(7)
僕は三枚目の写真を見た。顔をアッブで写した写真だった。メイだった。間違いない。でも彼女はもうゴージャスではなかった。彼女は凍りついた無感動とでもいったようなものを身に纏っているだけだった。首のまわりにごしごしとこすったあとのような筋がかすかについていた。ロの中がからからに乾いて、唾がうまく飲み込めなかった。手のひらの皮膚がむず痒くなった。メイ。彼女の素敵なセックス。僕らは朝までかけて楽しく雪かきをし、ダイアストレイツを聴き、そしてコーヒーを飲んだのだ。そして死んでしまった。今はもういない。僕は首を振りたかった。でも振らなかった。僕は三枚の写真を重ねて、何事もなかったように漁師に返した。二人は僕が写真を見ている様子をじっと観察していた。それで?という顔で僕は漁師の顔を見た。
「その女のことは御存じでしょうかね?」と漁師が言った。
僕は首を振った。「知りませんね」と僕は言った。もし僕が知っていると言えば、当然のことながら五反田君がこれに巻き込まれることになる。彼が僕とメイのリンクであるからだ。でも今ここで彼を巻き込むわけにはいかない。あるいは彼もこの事件にもう既に巻き込まれているかもしれない。それは僕にはわからない。もしそうだとしたら、そして五反田君が僕の名前を出し、僕がメイと寝たことを既に喋っていたとしたら、僕はかなりまずい立場に立たされることになる。僕は嘘の供述をしたことになるからだ。そうなるともう冗談事ではすまない。それは賭だった。でもいずれにせよ僕の方から五反田君の名前を持ち出すわけにはかないのだ。彼と僕とでは立場が違う。そんなことをしたら偉い騒ぎになる。週刊誌が飛んでくる。
「もう一度ようく見て」と漁師がゆっくりとして含みのある口調で言った。「すごく大事なことだから、もう一度よく見て、それで答えてちょうだい。どう、この女に見覚えある?嘘だけはつかないで下さいね。私らはプロだから、誰かが嘘をつくと嘘だってちゃんとわかります。K札で嘘をつくと、これはひどいことになります。わかりました?」
僕はもう一度時間をかけて三枚の写真を見た。目を背けたかったが、背けるわけにはいかなかった。
「知らない」と僕は言った。「でも、死んでる」
「死んでる」と文学が文学的に繰り返した。「すごく死んでる。非常に死んでる。全く死んでる。見たらわかる。僕らそれ見ましたよ、現場で。いい女だった。それが裸で死んでた。いい女だったということは一目でわかった。でも死んでしまうとね、いい女かどうかってもうあまり関係ないね。裸なんてのも関係ないね。ただの死人だね。放っておきゃ腐っていく。肌が破れてめくれて腐った肉が出てくる。すごい臭いがする。虫がわいてくる。あんたそういうの見たことあります?」
ない、と僕は言った。
我看了第三张照片。那是脸部的特写照片。是メイ,没有错。可是她已经并不那么华丽了。她只是凍僵无感动的和用什么东西裹在身上。脖子的周围有使动地鼓起的筋。我一时口干舌燥,唾沬都无法咽下去,手掌的皮肤刺痒痒。是メイ。她的漂亮的性爱。我们直到早上快乐地铲雪,听ダイア?ストレイツ,还喝咖啡。她就这样死去了。现在已经不存在了。我想摇头却并没有摇。我把三张照片重叠在一起,无所事事似地交给了渔夫。他们两位在认真地观察我看照片的样子。就为此?我用这样的脸色看着渔夫。
“你可认识那位女的?”渔夫说。
我摇摇头。“不认识。”我说。假如我说认识了,当然就会把五反田卷入到这个事件中来。他与我和メイ是有关联的。绝对不能把他卷到这里来。或许他已经被卷进到这个事件中。我并不清楚这一点。假如真是那样,而且五反田说出了我的名字,也讲出了我和メイ同睡过,那么我就到了被动糟糕的处境。那样的话我就做了假的供述。那样的话就不是一般的事件了。那就赌吧。不管怎样绝对不能从我这里说出五反田的名字。他和我的状况不同。若真是那样的话就会成为伟大的事件。周刊杂志就会飞传。
“请再仔细看一遍。”渔夫慢慢地带有仇恨的语气说。“这是非常重大的事,请再看一遍,然后再请回答。怎么样,对她有印象吗?千万不要讲假话。我们是非常专业的,无论谁只要一讲假话我们就能判断出来。对K札讲假话,那就太麻烦了。你知道吗?”
我再一次花时间看了那三张照片。虽想背过脸去,但没有办法。
“不认识。”我说。“可是,已经死了。”
“是死了。”文学以文学的方式反复说。“残酷的死,非常的死,全部死。一看就清楚。我们都看过了,在现场。很好的女孩。她是裸死的。说她是好女孩只看一眼就明白。死了之后是不是好女孩就无关紧要了。裸不裸也没有关系了。只是死人而已。就这样放着马上就腐蚀。皮肤破开后腐蚀的肉就暴露出来。就非常地恶臭。也会生出虫子来。你看到过那些事情吗?”
没见过。我说。 |
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