「ダンスダンスダンス」の翻訳（157）

yamoli

22（1）
翌日もだいたい同じようなことの繰り返しだった。朝に我々はまた同じ部屋に集まって三人で黙々とひどいコーヒーを飲み、パンを食べた。それほど悪くないクロワッサンだった。それから文学が僕に電気剃刀を貸してくれた。僕は電気剃刀があまり好きではなかったが、あきらめてそれで髭を剃った。歯ブラシはなかったので、仕方ないから丁寧にうがいをした。そして質問が再開された。下らない瑣末な質問。合法的な拷問。昼までそれがぜんまい仕掛けのかたつむりみたいにだらだらと続いた。昼までに彼らは質問できるだけのことは全部質問してしまった。質問の種もようやく尽きたようだった。
「まあ、こんなところですな」と漁師がボールベンを机の上に置いて言った。
二人の刑事は申し合わせたみたいに同時にふうっと溜め息をついた。僕も溜め息をついた。たぶん彼らは僕をここに留めておくために時間稼ぎをしていたのだろう、と僕は見当をつけた。いくらなんでも殺された女の財布に名刺が一枚入っていたくらいで拘置許可が取れるわけがない。たとえ僕に有効なアリバイがなかったとしてもだ。だから彼らはこんな馬鹿気たカフカ的迷路の中に僕をつなぎとめているのだ。指紋だか遺体解剖だかの結果が出て、犯人かどうかはっきりするまで。下らない話だ。
でもとにかくこれで質問も終わったのだ。僕は家に帰る。そして風呂に入り、歯を磨き、きちんとまともに髭を剃る。まともなコーヒーを飲む。まともな食事をする。
「さて」と漁師が背中を伸ばしてとんとんと腰を叩きながら言った。「そろそろ昼飯にしますか」
「もう質問も終わったようだから、僕は家に帰ります」と僕は言った。
「それがそうもいかんのです」と漁師が言いにくそうに言った。
「どうして？」と僕は訊いた。
「あんたがこうこう述べましたという署名がいる」
「いいですよ。署名しましょう」
「その前にまず内容に間違いないかどうか読んで確かめて下さい。一行一行きちんと。非常に大事なことですから」
僕は三十枚か四十枚はあるぎっしりと書き込まれた事務用便箋をゆっくりと丁寧に読んだ。二百年くらい経ったらこういう文章にもあるいは風俗資料的な価値は出るかもしれないな、と僕は読みながら思った。病的と言ってもいいくらい細かくて、実証的だ。研究者の役には立つだろう。都会で生活する三十四歳の独身男性の生活がかなりありありと浮かび上がってくる。平均的男性、とは言えないにせよ、一応時代の子ではある。でも今K札署の取り調べ室で読んでいるとただうんざりするだけだった。読みとおすのに十五分かかった。でもまあ、これで最後なのだ。これさえ読み終えて署名すれば家に帰れるのだ。読み終えると僕は机の上でとんとんと紙を揃えた。


　　第二天还要反复做大致相同的事情。早上我们还是集合到同一个房间，三人不说话喝劣质的咖啡，吃面包。那是不能再恶心的月牙形面包了。然后文学借给了我电动剃须刀。我很不喜欢电动剃须刀，但也没有办法还是用它刮了胡须。因为没有牙刷，没有办法还特意地给以安慰。然后开始提问。还是那无聊的琐碎的提问，以及合法性和拷问。中午前一直像上发条的蜗牛那样磨磨蹭蹭地继续下去。到了中午他们能提问的全部问完了。提问的材料也终于结束了。
　　“哎呀，也就这些了。”渔夫把圆珠笔放到桌子上说。
　　两位刑警相约好似地同时喘了口气。我也喘了口气。我推测，大概他们是为了把我拘留在这里而在消耗时间。无论如何仅凭向被杀女人的钱包里放一张名片就不能获得拘留许可。对我也没有在现场的证据。所以他们把我推入到这么混蛋的カフカ的迷路之中。等到指纹或遗体解剖的结果已经出来，我是不是犯人已经很清楚。都是些无价值的话。
　　至此提问已经结束。我可以回家了。在家可以洗澡、涮牙、很正规地刮胡了。还可以正规地喝咖啡，正规地吃饭。
　　“那么，”渔夫伸了伸后背敲了敲腰说。“是不是该吃午饭了？”
　　“你们的提问结束了吧。我该回家了。”我说。
　　“那也不可以的。”渔夫很为难似地说。
　　“为什么？”我问道。
　　“这需要你在这些叙述中签名。”
　　“可以的。马上签名。”
　　“在这之前你要首先阅读确认一下内容是否有错。要一行一行地认真地。这是非常重要的事。”
　　我很认真地阅读了写得满满地三四十页办公用纸。我边读边想：若是二百年之后对这些文章也许会有些研究风俗资料的价值。可以说是带有病性质的详细的实证。对研究者会起些作用。把在都市生活已经三四十岁的独身生活清清楚楚地表现出来。并不能说成是平常的男性，应该是一个时代的人。现在在K札署审问室阅读会有些发晕。通篇读完也就十五分钟。哎呀，那么这应该就是最后了。读到这里签上名就可以回家了。读完之后在桌子上把那些纸咚咚地弄整齐。

yamoli

刑警还不肯释放主人公。放还是不放？