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27(6)
僕はそれについてしばらく考えてみた。そして何かきっと上手い方法があるはずだと思った。意志のあるところに方法は生じるものなのだ。十分で僕はその方法に思いあたった。上手くいくかどうかはともかく、やってみる価値はある。
僕はユキに電話をかけてみた。そして明日の打ち合わせをした。朝の九時半にタクシーで迎えに行くと言った。そしてそのついでにという感じで、あの女の人の名前を知らないかと聞いてみた。ほら、君を僕に預けたホテルのフロントの女の人。眼鏡をかけた人。
「うん、知ってると思う。たしかものすごっく不思議な名前だったから、日記に書きとめてある。今は思い出せないけど、日記を見ればわかると思う」と彼女は言った。
「今見てくれないかな?」と僕は言った。
「今TV見てるのよね。後でいいでしょう?」
「悪いけど急ぐんだよ、すごく」
彼女はぶつぶつ文句を言ったが、それでも日記を調べてくれた。「ユミヨシさん」と彼女は言った。
「ユミヨシ?」と僕は言った。「それはいったいどんな字を書くの?」
「知らないわよ。だからすごく不思議な名前だって言ったでしょう。字なんか知らない。沖縄の人か何かじゃないの。だってそういう感じの名前じゃない?」
「いや、沖縄にもそんな名前なかったと思うな」
「でもとにかくそういうのよ。ユミヨシっていうの」とユキは言った。「ねえ、もういい?TV見てるのよ」
「何を見てるの?」
彼女はそれには答えずにがちゃんと電話を切った。
僕は試しに東京の電話帳を片っ端から繰ってユミヨシという名前を捜してみた。信じられないことに東京都内には二人のユミヨシ氏がいた。一人は「弓吉」という字になっていた。もうひとりは写真屋で、かたかなで「ユミヨシ写真館」とあった。世の中にはいろんな名前がある。
それから僕はドルフィンホテルに電話をかけて、ユミヨシさんはいらっしゃいますでしょうかと聞いてみた。たいして期待もしていなかったのだが、ちゃんと相手は彼女にとりついでくれた。やあ、と僕は言った。彼女は僕のことを覚えていた。捨てたものではない。
「今仕事中なのよ」と彼女は小さな声でクールに簡潔に言った。「あとで電話する」
「いいよ、あとで」と僕は言った。
我就此想了一会儿。我想肯定会有更好的办法。只要有意志,好的处理方法自然会有的。可以肯定地说我会找到那样的方法。是否是最好的但总之做起来会有价值。
我给雪打了电话,约好了明天见面之事。说:明天早上九点半打出租车去接她。然后试着问:对此有什么看法,还有是否知道那个女孩的名字?就是把你委托给我的那位宾馆的柜台服务员的女孩,那位戴眼镜的。
“啊,我知道。而且那真是不可思议的名字。我在日记中写着呢。可是现在想不出来,等看了日记就会知道。”她这样说。
“现在就不帮忙给我看看吗?”我说。
“现在正在看电视呢。以后看不可以吗?”
“虽然打搅你了,但很着急,请快点。”
她发了几句牢骚之后,去看了她的日记。“叫ユミヨシ。”她说。
“叫ユミヨシ?”我说。“那到底写什么汉字呢?”
“真不知道。所以我说那是不可思议的名字,并不知道其汉字,是不是冲绳之人?并不是你那样感觉的名字?”
“不,我想在冲绳也没有那样的名字。”
“反正就是那个名字,就叫ユミヨシ。”雪说。“那个,可以了吗?我还要看电视呢。”
“在看什么?”
她并没有回答,咔嚓一声掛了电话。
我连续试着查了东京的电话本,寻找ユミヨシ的名字。不可相信的是,在东京都内有两人姓ユミヨシ。一个人写有“弓吉”,另一个则是照相馆,写成“ユミヨシ照相馆”。这世界上什么样的名字都有。
然后向海豚宾馆打了电话,问ユミヨシ在不在。基本上没什么等待,对方直接把电话给了她。我说:你好。她还记着我,并没有忘记。
“现在正在工作,”她用小声很沉着简洁地说。“之后给你打电话。”
“好的。之后打电话。” |
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