千尋 …あっ。 {4 ~: u0 H' _+ I; @- V) k8 s
( l9 _" l1 V) O: v# N" I1 m
重さで潰れたススワタリの石炭を持ち上げる千尋。ススワタリは逃げ帰ってゆく。
0 U; v- K" S: P - t' l4 s6 d6 x: x! K( q# Q0 b
千尋 あっ、どうするのこれ? * F$ [2 O* \1 O2 q/ t
ここにおいといていいの?
: d+ c' D2 \* H# C% }釜爺 手ぇ出すならしまいまでやれ!
! O. \ I; f% C9 s千尋 えっ?…
. @( Y" W8 q9 ]- Y
# M) L3 J2 l& J2 \# `石炭を釜に運ぶと、ススワタリみんなが潰れた真似をしだす。 O9 l! l2 \4 u' Y, q! _" {1 }
カンカンカンカン 5 l5 _1 `5 U0 L9 {$ N
$ X3 q6 U7 _0 R8 n {釜爺 こらあー、チビどもー!ただのススにもどりてぇのか!? * _7 S8 d6 O0 u7 N) x( b
あんたも気まぐれに手ぇ出して、人の仕事を取っちゃならね。働かなきゃな、こいつらの魔法は消えちまうんだ。
- h' N. `( @. C9 Cここにあんたの仕事はねぇ、他を当たってくれ。
. }' [& k+ Q/ Y8 G…なんだおまえたち、文句があるのか?仕事しろ仕事! C6 P7 O# H8 Q0 c5 Y
リン メシだよー。なぁんだまたケンカしてんのー? 4 Q t$ [9 C- _
よしなさいよもうー。うつわは?ちゃんと出しといてって言ってるのに。 ( L; g, N' ]# ]5 K' l$ c% L; f- X6 Q2 c
釜爺 おお…メシだー、休憩ー! 5 k8 r. ^6 u$ z% g% F* x) h& f
; ?" {" d3 Q, V# g# D3 rリン うわ!? ! O. ~. \& N7 S- C u/ V
人間がいちゃ!…やばいよ、さっき上で大騒ぎしてたんだよ!?
: R* q& u6 {* S z. F釜爺 わしの…孫だ。 & T, x6 d) [+ {9 `, G1 P
リン まごォ?!
6 F& v* w- [# m+ n* g, J- L. }' n釜爺 働きたいと言うんだが、ここは手が足りとる。おめぇ、湯婆婆ンとこへ連れてってくれねえか?後は自分でやるだろ。 . G3 Z% i2 v4 x) I. J$ m/ W
リン やなこった!あたいが殺されちまうよ!
0 e/ M1 v- w" q* Z/ c- }8 w釜爺 これでどうだ?イモリの黒焼き。上物だぞ。
# a0 b, `; N4 z- r/ u& Eどのみち働くには湯婆婆と契約せにゃならん。自分で行って、運を試しな。 # ^% |# K: x+ J( F
リン …チェッ!そこの子、ついて来な! 5 |& u3 B, g4 Y* x; ^- N
千尋 あっ。 , F( }+ p$ [" f- H5 ~
リン …あんたネェ、はいとかお世話になりますとか言えないの!?
0 S' t# K8 d2 a千尋 あっ、はいっ。
$ t* j! \- T; {; j/ L7 w0 s. |$ i$ Uリン どんくさいね。はやくおいで。
P% Y- Z: @ X2 W靴なんか持ってどうすんのさ、靴下も!
% N q* A% |% ~8 W( X+ c; `* v千尋 はいっ。 5 E. l/ Z9 q5 W% G8 m0 s+ v" t& [5 {
リン あんた。釜爺にお礼言ったの?世話になったんだろ? , f' N/ |# X) K r- a+ k
千尋 あっ、うっ!…ありがとうございました。 # H1 K1 m: y; k+ _3 J
釜爺 グッドラック! , R& U1 k4 y& c7 q
6 Q/ r+ ]% v" N& b: s) I! Nリン 湯婆婆は建物のてっぺんのその奥にいるんだ。
+ b8 R( [3 T+ B# k7 s. X早くしろよォ。 & L7 P0 v& ]2 p& g
千尋 あっ。 ( |8 E' ^1 V! o" V
リン 鼻がなくなるよ。
0 ~ \3 o$ |* F8 l* ?% ?+ P% N千尋 っ…
5 p& a7 D. b# L' a$ i5 M- @
6 s% b" |' T, V& ^2 Xリン もう一回乗り継ぐからね。
h5 x/ ]# F+ \1 L# H+ z1 e# N2 Q) E千尋 はい。 , i0 U( B7 P8 T7 }: N
: l9 w) u" [" I. y% t7 m( F. c7 p! V
リン いくよ。
* C& r. l& y3 c, N…い、いらっしゃいませ。
' k6 r0 g1 r3 N1 Pお客さま、このエレベーターは上へは参りません。他をお探し下さい。
- Z0 a9 }% `8 j3 V
- X9 d& J% k: S% b4 z千尋 ついてくるよ。 " [' k! L. w5 e8 q/ k* }
リン きょろきょろすんじゃないよ。
. k# U, s) z/ g5 U 2 D s7 X* \/ w. P
蛙男 到着でございます。
: `& [: S E+ }4 `右手のお座敷でございます。
) H1 A/ H" J1 [+ X( w9 g+ g?…リン。 ' x J: v5 ^/ y" R; H
リン はーい。(ドン!)
& D4 W. V+ q m" n0 Y* O千尋 ぅわっ!
6 ^8 y" P& }7 ^$ `) F蛙男 なんか匂わぬか?人間だ、おまえ人間くさいぞ。 G! A! y4 {2 B. U' c/ Z
リン そーですかぁー? 5 p- \$ R/ m- X) h0 D4 q8 ?
蛙男 匂う匂う、うまそうな匂いだ。おまえなんか隠しておるな?正直に申せ!
! ?# H' H0 J' I. k$ t2 ?リン この匂いでしょ。
6 j8 m7 w0 J5 `' {- ?' q$ c2 S蛙男 黒焼き!…くれぇーっ!
) A7 _6 [. U$ ^1 }リン やなこった。お姉さま方に頼まれてんだよ。
7 P: s5 Q$ \2 x& S; K; X蛙男 頼む、ちょっとだけ、せめて足一本! , I, m, q# l; M4 _. I( \0 k
リン 上へ行くお客さまー。レバーをお引き下さーい。 8 z. K5 [8 ?* Q; y$ }
( }6 j( M% c! R" y5 m+ h『二天』につくが、『天』まで千尋を連れて行くおしらさま。 9 {' F: R' h D0 s! e6 V5 B1 ~
: M- k [" p7 ]% W$ ?& k
' Z5 P& b6 Q& A" k" O2 d5 e( H奥のドアを開けようとする千尋。
. B, u/ j" G! h6 S ! h" V" O; Z y* [5 `4 }) k' s
湯婆婆 …ノックもしないのかい!?
( l( T3 o1 S. ^千尋 やっ!? 3 {3 G% H& l# L8 j
湯婆婆 ま、みっともない娘が来たもんだね。
+ K3 Z# T: e8 fさぁ、おいで。…おいでーな~。
. p8 a6 T9 @( L3 v2 @; n千尋 わっ!わ…っ! 2 n3 ^( G5 o. T* p" s! ]' T# O
いったぁ~…
. I+ s% W0 g1 L9 w' t. y. d 9 P* y/ {' N$ K) I/ y
頭が寄ってくる。
0 S/ {) f# T4 ?2 D# {, ?. l5 ?0 z1 q% | . ` }3 `- U7 e1 H
千尋 ひっ、うわぁ、わあっ…わっ! ' s5 l# C4 n& [& V, c
湯婆婆 うるさいね、静かにしておくれ。
% @" w. G3 q( S9 y: L* i; h4 h千尋 あのー…ここで働かせてください!
' g& W, S0 I7 X1 P8 }! Y
$ T+ g* s& f) d9 G( ]( j, ^魔法で口チャックされる千尋。 * ?$ h' _7 C& [+ {$ y1 \
! z8 U7 K# z+ t
湯婆婆 馬鹿なおしゃべりはやめとくれ。そんなひょろひょろに何が出来るのさ。 + m/ O6 c7 x6 Y5 W, h
ここはね、人間の来るところじゃないんだ。八百万の神様達が疲れをいやしに来るお湯屋なんだよ。 # ?7 `3 M0 B5 @
それなのにおまえの親はなんだい?お客さまの食べ物を豚のように食い散らして。当然の報いさ。
, U# r, U8 M: R" h. P1 lおまえも元の世界には戻れないよ。
) e6 Y6 s3 i/ [" Y& k8 \+ z" ^8 y…子豚にしてやろう。ぇえ?石炭、という手もあるね。 7 k! ]" W# t: M* `6 `. x! ^+ |
へへへへへっ、震えているね。…でもまあ、良くここまでやってきたよ。誰かが親切に世話を焼いたんだね。
( K/ v: P" U+ e" s( E# ?* k" n) t' {誉めてやらなきゃ。誰だい、それは?教えておくれな…
( @. M1 d1 A: \& A- y0 B千尋 …あっ。ここで働かせてください! 9 Q8 m. e! g& Q, {
湯婆婆 まァだそれを言うのかい!
# L- }% ?6 p$ u5 g6 |7 q( e* {千尋 ここで働きたいんです! 0 M+ d0 c: B+ e0 C
湯婆婆 だァーーーまァーーーれェーーー! W. O; p; z3 J% z' ^
7 V2 b; h5 @: P: S9 b1 z
湯婆婆 なんであたしがおまえを雇わなきゃならないんだい!?見るからにグズで!甘ったれで!泣き虫で!頭の悪い小娘に、仕事なんかあるもんかね! * x" r0 u& E9 ~! f
お断りだね。これ以上穀潰しを増やしてどうしようっていうんだい! 0 Z! D& g1 R: j) d5 Y
それとも…一番つらーーいきつーーい仕事を死ぬまでやらせてやろうかぁ…? 5 U x3 A/ T) `* p% O
1 ^# I- J- T$ W! ]
湯婆婆 …ハッ!? . Q# c1 x* J7 M, {
坊 あーーーーん、あーーん、ああああーーー 2 h% `3 P2 H9 a+ B4 k2 @7 F& I! v
湯婆婆 やめなさいどうしたの坊や、今すぐ行くからいい子でいなさいね…まだいたのかい、さっさと出て行きな! * M) x( [% E- x: l& }" ?
千尋 ここで働きたいんです!
& n* x. u( C$ ]4 J( u( ]$ ^& _湯婆婆 大きな声を出すんじゃない…うっ!あー、ちょっと待ちなさい、ね、ねぇ~。いい子だから、ほぉらほら~。 , G3 a5 q7 f( F6 W8 l
千尋 働かせてください! # U( b% r7 Z8 x# X7 U( Z+ D3 w
湯婆婆 わかったから静かにしておくれ! ) m) V/ E3 y$ }( b+ A d; n3 l
おおぉお~よ~しよし~… : I$ i1 ]8 B% S' J7 r8 O
; r6 R2 M) P& L! B
紙とペンが千尋の方へ飛んでくる。 1 x( Y4 b$ s8 I5 I7 {3 Z) g
q, y6 S6 N* s T! G. b, ~+ [; \
湯婆婆 契約書だよ。そこに名前を書きな。働かせてやる。その代わり嫌だとか、帰りたいとか言ったらすぐ子豚にしてやるからね。 9 G0 M0 l* i8 e; k6 e7 M# m: _1 v& v
千尋 あの、名前ってここですか?
0 z$ V: v' s8 L, _4 X0 w湯婆婆 そうだよもぅぐずぐずしないでさっさと書きな!
9 l. g4 M' y6 G+ I8 \% z: p) vまったく…つまらない誓いをたてちまったもんだよ。働きたい者には仕事をやるだなんて…
7 b `+ H: Q3 j. H書いたかい?
4 B) I+ D, L9 X! C0 [6 A* \1 @千尋 はい…あっ。 $ c# A# `* o5 g! W ^4 y0 b3 U
湯婆婆 フン。千尋というのかい?
- K* ~" q5 `% [2 Y千尋 はい。
% T6 z+ C# P# Y: Z湯婆婆 贅沢な名だねぇ。 2 A& `) u, I( C- ]- L, t
今からおまえの名前は千だ。いいかい、千だよ。分かったら返事をするんだ、千!
- Z3 v. N. @3 `" B% {千 は、はいっ!
2 m1 }; {1 x1 V( Y1 Z + V0 }* q" `: t
ハク様 お呼びですか。 3 Q% S) b: G! k6 s. n; E
湯婆婆 今日からその子が働くよ。世話をしな。
! I7 i+ Q2 q0 oハク様 はい。…名はなんという?
1 i# v8 z% g0 z& P# F( b千 え?ち、…ぁ、千です。 : a5 w; R* z; ~
ハク様 では千、来なさい。 - S$ Y7 B( p M& B% @
4 s$ T( I2 s3 o4 k, m
千 ハク。あの… _ ?2 v; F1 A9 w/ g
ハク様 無駄口をきくな。私のことは、ハク様と呼べ。 ' r% Z& h& K: ], A; t9 J0 g
千 …っ
. ^& V ?" f' [& q5 L' t * d; a9 T$ F) P* n! t' U
父役 いくら湯婆婆さまのおっしゃりでも、それは… B+ A5 Y9 @( |8 ~# G
兄役 人間は困ります。
! I: t& x0 ?( z) b8 v- t" Bハク様 既に契約されたのだ。
- W1 Q1 [! s! n% j# v父役 なんと…
! k: t0 R3 q) _+ z2 c/ ], B千 よろしくお願いします。
) @) |. }7 w; S8 N- k( E湯女 あたしらのとこには寄こさないどくれ。
8 t6 e% t6 S% _6 p8 [湯女 人臭くてかなわんわい。 9 ?/ d9 s+ @$ c- T$ D
ハク様 ここの物を三日も食べれば匂いは消えよう。それで使い物にならなければ、焼こうが煮ようが好きにするがいい。
5 |1 _. }4 }0 \8 s仕事に戻れ!リンは何処だ。
\, g# X/ U/ X3 v* X$ O' Aリン えぇーっ、あたいに押しつけんのかよぅ。 : c6 }6 Q" ~9 V! D$ M$ p- x7 c& ?
ハク様 手下をほしがっていたな。 8 E7 m5 b6 u- O% c a0 R
父役 そうそう、リンが適役だぞ。
# b7 o. w4 |; \+ p1 A$ Wリン えーっ。
o G/ {5 d" D8 }ハク様 千、行け。
& C1 b9 {0 D7 A0 G" N2 R M7 B+ G, {千 はいっ。 $ B8 ~; J# F0 e( q# p
リン やってらんねぇよ!埋め合わせはしてもらうからね!
8 e; X1 j' e$ }% z8 }3 \0 f兄役 はよいけ。 2 @# V2 o+ x! u* R7 d
リン フン!…来いよ。
/ H9 R+ M5 L- m: d- _6 E) L
0 X& ]( Z' r* Y5 Dリン …おまえ、うまくやったなぁ!
5 L1 R! n/ r6 A0 Q千 えっ?
/ H$ ^6 E4 }* B( t% `; g( P8 @リン おまえトロイからさ、心配してたんだ。油断するなよ、わかんないことはおれに聞け。な?
# Q, j# d0 ^) p0 ^! K7 q, x千 うん。
& s# O1 @3 R5 b) i8 L8 @; ~リン …ん?どうした?
1 w. c$ ]/ K: k. R7 _2 {千 足がふらふらするの。 1 I W1 u: Z* R3 a' \
, I' M8 t6 G6 q, b, iリン ここがおれたちの部屋だよ。食って寝りゃ元気になるさ。
6 Y7 o( r8 p9 p2 z8 [! \+ O前掛け。自分で洗うんだよ。…袴。チビだからなぁ…。でかいな。
E1 I7 `# H2 `千 リンさん、あの… " z# H% \! i$ e0 O7 x$ ]9 S- R) _9 L4 t
リン なに? 4 i T/ l) a: P [2 _
千 ここにハクっていうひと二人いるの? 1 N" f T k c
リン 二人ぃ?あんなの二人もいたらたまんないよ。…だめか。 + e' e: Y; E9 z; \& U
あいつは湯婆婆の手先だから気をつけな。
" O( @& ?, d# L% L9 Y% a% P千 …んっ…ん… * p" t2 ?# q1 U7 t0 @
リン …おかしいな…あああ、あったあった。ん?
/ ~0 p; g8 f. jおい、どうしたんだよ?しっかりしろよぅ。
! D3 q6 ]' l) R女 うるさいなー。なんだよリン? , ]$ ^0 p) T+ i2 w9 ] L
リン 気持ち悪いんだって。新入りだよ。
& @# P+ D/ J5 l$ \4 A1 {# q9 ~2 L4 p * n' b W* f* H" m5 `' Z! a
湯婆婆が鳥になって飛んでいく。見送るハク。
$ i; i) @! |% P, K6 n8 W% [- k
& d, D9 v; c ^5 ~" C寝ている千のもとへ、ハクが忍んでくる。
1 g& F, J" l. g- q1 c
3 z- S7 n0 @; r4 e/ M3 Q* Hハク様 橋の所へおいで。お父さんとお母さんに会わせてあげる。
, L! ?8 Q/ M% e; e
; `$ J" f4 {4 @; j0 R部屋を抜け出す千。
' F& X# `& K( U" x k
E& N% ] C2 i* ]# |$ [千 靴がない。 # R. r) s1 Y6 T4 Y
…あ。ありがとう。 + N( _' l. H8 M
7 D1 g* K0 h5 X& V( @# x
ススワタリに手を振る千。
6 y) X: U# k( f; \* w$ m8 `8 |6 a橋の上でカオナシに会う。 + \5 ]. e$ {5 P' Z- r* i" L
/ @. x' v9 }# zハク様 おいで。 ' x( E6 Q) C- S M* Q; k& q
2 B1 {9 R8 @' @, q
花の間を通り畜舎へ。 0 v$ \ O% v9 N! o9 V p3 y
- l* _) v% b* U# z+ p8 k* s
千 …おとうさんおかあさん、私よ!…せ、千よ!おかあさん、おとうさん! 0 X- ]0 S3 z9 q$ I! F
病気かな、ケガしてる?
% J7 _8 p2 b' N" h( Lハク様 いや。おなかが一杯で寝ているんだよ。人間だったことは今は忘れている。 $ q% ?0 b5 h; w, F4 Z/ i7 \% Z
千 うっ…くっ…おとうさんおかあさん、きっと助けてあげるから、あんまり太っちゃだめだよ、食べられちゃうからね!
* Z. [! N3 P. L/ k6 [$ `; m% O4 h& X4 `; [, l8 f7 V$ P
垣根の下でうずくまる千。ハクが服を渡す。
: Z- H0 x! J& T
& m$ p3 i8 h' h! E$ l$ e' eハク様 これは隠しておきな。
: _# l3 v2 A' Z千 あっ!…捨てられたかと思ってた。
" k& V/ [' @+ T$ p8 xハク様 帰るときにいるだろう?
' D, o% } v0 J4 _4 f$ o) M6 D _, {千 これ、お別れにもらったカード。ちひろ?…千尋って…私の名だわ! # q! h2 q& Z5 h e0 u) v7 O- b
ハク様 湯婆婆は相手の名を奪って支配するんだ。いつもは千でいて、本当の名前はしっかり隠しておくんだよ。
: W% k& F, B: b# l7 j& K# i千 私、もう取られかけてた。千になりかけてたもん。 7 T0 e9 o* m% i$ R
ハク様 名を奪われると、帰り道が分からなくなるんだよ。私はどうしても思い出せないんだ。 9 q I" _' T5 L* e
千 ハクの本当の名前? . i& R, r9 m; L5 g. f
ハク様 でも不思議だね。千尋のことは覚えていた。 ! R c0 n+ [# k: f* j& y
お食べ、ご飯を食べてなかったろ? ! N2 l7 r! p/ e- Z5 y; \* n
千 食べたくない… 2 @8 z$ d. H- X; N
ハク様 千尋の元気が出るように呪い(まじない)をかけて作ったんだ。お食べ。 2 S5 w' @. j5 a
千 …ん…ん、んっ……うわぁああーー、わぁああーーー、あぁああーーん…
3 ~- O4 H6 o. r0 ~7 [ハク様 つらかったろう。さ、お食べ。 ( i* x5 X- P! ]: p9 r1 x" t/ n
千 ひっく…うぁあーーん…
% a% i( ] F( z( F* d ' k) G0 }/ z0 U1 x& x4 Q
ハク様 一人で戻れるね? 8 c4 Y( O/ v' Q; M; T
千 うん。ハクありがとう、私がんばるね。
! f" p) |; V8 O8 Fハク様 うん。
; R; W: f2 d+ s- O * g$ _8 I, H0 \# e6 A
帰り際、空に昇る白い竜を見つける。
, x% w) ~. |4 ~5 q; C8 V& i. _ : O( B) [5 A3 v5 c- V8 ] p9 j& p
千 わぁっ。
2 B$ G( n* @, v) e- t* G
: T6 C3 {1 B& f' i8 e釜爺が水を飲みに起き、寝ている千を見つける。座布団を掛けてやる。 ! o# ^. B4 x7 w
' r4 Z3 y# n/ Z. u" F0 V) ]5 y湯婆婆が戻ってくる。 , g& P6 B! F3 T, Y: r% c
3 A# U" X/ ~) Q) X$ q# h% m
リン どこ行ってたんだよ。心配してたんだぞ。 7 ?' {! D/ a% M, O: h
千 ごめんなさい。
; d. n T/ g0 s1 x8 V( g% C 5 I+ T+ e7 @; J1 C/ l0 @
名札を掛けるのに手間取る千。
' [$ S) U3 W3 Z N+ g ( V( |, v8 Q$ e7 ]5 K9 e
湯女 じゃまだねぇ。
" w& H, _3 p( v3 Q" F 5 z" a/ R% g7 Q7 l- S# a8 N
リン 千、もっと力はいんないの? 5 \! w+ q; d/ x
兄役 リンと千、今日から大湯番だ。 6 E4 Z6 G. Z+ `; D3 N
リン えぇーっ、あれは蛙の仕事だろ!
" \( V; [& N) @' G/ C, k, _, T# j兄役 上役の命令だ。骨身を惜しむなよ。
7 W/ S V4 m' {) T7 W: c5 V) k
4 c4 w/ L. x) u! ?5 T水を捨てに来る千。外に立っているカオナシを見つける。 & t* d. I6 k& m/ U' |
- x5 X- _; l- J
千 あの、そこ濡れませんか? ) I+ m1 @( v- h0 p3 Z& p
リン 千、早くしろよ!
) M$ Y* Q% ?2 R% m千 はーーい。…ここ、開けときますね。 $ H3 ^* O, L6 T, c; O
: F6 x7 H* D. V' S" O湯女 リン、大湯だって? , w& x( n4 Y0 [6 |* a
リン ほっとけ!
& \& ^. F9 |2 I) F8 @, U! \
( L( e3 a; R. L) J8 U# g1 ~* Zリン ひでぇ、ずーっと洗ってないぞ。
$ G- \$ A7 h/ E- e' X6 P
+ z5 G ]1 @4 Y2 q転ぶ千。 P I) O. x) L0 v0 w- Z9 d, a# t
, ?3 S$ n' F. q千 うわっ!…あーっ。 # O; Q: g; ^+ B4 f0 f
% B( P u; @3 _リン ここの風呂はさ、汚しのお客専門なんだよ。うー、こびりついてて取れやしねえ。 6 X4 X" P1 G N( K# l+ Q7 b
兄役 リン、千。一番客が来ちまうぞ。 . z* K3 a2 F/ E
リン はーーい今すぐ!チッ、下いびりしやがって。 9 H# {# H4 u5 [" p
一回 薬湯入れなきゃダメだ。千、番台行って札もらってきな。 8 j8 b X2 |9 R3 A' r
千 札?…うわっ!
; K, S4 M! @% g+ j3 g' c. cリン 薬湯の札だよ!
; }; L5 K: |! I千 はぁーい。…リンさん、番台ってなに? 4 l) D, q0 P7 G$ H+ P" \: u. y. i
8 q$ {3 \$ j; K: u# F, t* r5 B湯婆婆 ん?…なんだろうね。なんか来たね。 5 X' u0 Z0 y0 |* ^2 a
雨に紛れてろくでもないものが紛れ込んだかな?
, n9 b0 g. A5 A- ?5 J! d% t5 Z/ U
: D! l; U3 N( \街を進んでくるオクサレさま。
1 A/ d& c7 [. f
5 F6 [; @: o5 e4 p Q! u番台蛙 そんなもったいないことが出来るか!…おはようございます!良くお休みになられましたか! 7 @" K# t) \7 O3 b
湯女 春日様。 % E4 q& C1 ?) _$ s0 E9 M
番台蛙 はい、硫黄の上!…いつまでいたって同じだ、戻れ戻れ!手でこすればいいんだ!
. I( U, y5 Q% Q* ^6 Q% S+ fおはようございます!…手を使え手を!
. y# A/ S0 q; W# p) a8 m千 でも、あの、薬湯じゃないとダメだそうです。
$ u# t( M% M8 J2 F番台蛙 わからんやつだな…あっ、ヨモギ湯ですね。どーぞごゆっくり…
0 M. A' [; P* x" a千 あっ…
4 y8 J& F3 ^; }2 @ P% X) F& Q* @ 3 M, b' y, [% b, \3 c1 l b
背後にカオナシを見つけて会釈する千。
, h4 I+ v6 l o3 [- t+ [ 8 q- g0 {+ r/ ]0 A, t o
番台蛙 んん?
1 w2 c; p( w- S' y* w* ^
2 }. g/ o, d, c$ ^( p/ Z: @: xリリリリリ / k1 ^: l, f) p k) j+ h# m6 }# |' n
4 F4 M" i; q, U" C番台蛙 はい番台です!…あっ、…うわっ!?
5 Z9 `% X* G& J1 M: w千 あっ!ありがとうございます!
. L: p, c y$ a番台蛙 あー、違う!こら待て、おい! , `, D4 ^4 g+ E" a8 h7 b, p8 S8 F
湯婆婆 どしたんだい!?
0 ?3 A' v4 {& J0 `番台蛙 い、いえ、なんでもありません。 ; ^! ]5 R) H* @* {; X* A0 Z8 ?
湯婆婆 なにか入り込んでるよ。
; G5 h% d8 U( _* ~3 B1 g% p番台蛙 人間ですか。
& c8 c: }& w7 g* B3 e6 W. G湯婆婆 それを調べるんだ。今日はハクがいないからね。
" S, @4 C7 P" e/ \: f7 V- P + ~) m+ l( K% g& n/ s# G5 d
h0 I) x% G N) L7 M9 Y6 V
[ 本帖最后由 月影 于 2006-10-9 16:21 编辑 ] |