中国総局長・山本勲 「親米反日」習政権の行方
2012.10.23 03:11 (1/2ページ)
中国は来月8日開会の第18回共産党大会で、胡錦濤国家主席・温家宝首相の現体制から、習近平副主席、李克強副首相らの新指導部への世代交代を行う。胡・温政権の10年間に中国は経済・軍事の両面で米国に次ぐ大国にのし上がり、近年はアジア太平洋地域を中心に覇権拡大の動きをあらわにしている。習副主席のこれまでの言動からみると、この傾向は今後さらに強まりそうで、東アジア情勢は波乱含みと言うほかない。
「日本政府の釣魚島(尖閣諸島)国有化はおかしい。(主権問題を棚上げする)両国の共通認識を破られては、われわれが自制を保つ根拠はどこにあるのか」。尖閣国有化への抗議暴動が始まった先月中旬、中国外務省高官は憔悴(しょうすい)しきった表情でこう語った。
いつもは明るく当意即妙の応答をする人物だが、この日はモノローグ(独白)さながらの語り口。暴動対策を聞いても「日本国民の安全を保証するため対策を講じているところ」と力なく応じるばかりだった。
日中関係筋によると野田政権は事前に「尖閣の現状を維持するために国有化する」と外交ルートで伝えていた。中国側の反応も「東京都による尖閣購入を防ぐにはやむなし」との感触だった。
局面を大きく変えたのは習近平副主席との見方がもっぱらだ。すでに胡錦濤主席からの政権引き継ぎ過程にある習副主席ら強硬派は、胡政権の対日関係重視の外交を一変させた。抗議行動が暴動に拡大するのも放任し、日本領海への侵犯や周辺海域での軍事演習を常態化させるなど、まさにこれを好機とばかりにやりたい放題だ。
中国外務省も集中的なバッシングを受けたもようで、くだんの外務省高官の落ち込みぶりは、その激しさを“雄弁”に物語っていた。
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