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サッカーの欧州クラブ王者を決める欧州チャンピオンズリーグ(CL)は25日(日本時間26日未明)、トルコのイスタンブールで決勝が行われ、リバプール(イングランド)がACミラン(イタリア)を降し、21年ぶり5回目の優勝を果たした。リバプールは0-3の劣勢から3点を奪って同点に追いつき、PK戦の末、劇的な勝利を手にした。
ミランは前半1分、右からのFKのボールをマルディーニが右足で合わせ、先制。1点を追いかけるリバプールは、左サイドのリーセが何度もクロスを放り込むが、鉄壁を誇るミラン守備陣にはね返され、好機を作れない。攻めに人数をかけるリバプールに対し、ミランはガットゥーゾらの献身的な守備からカウンターで追加点を狙い、同39分、中央をドリブルで攻め上がったカカのパスを受けたシェフチェンコがペナルティーエリア右からゴール前へパス。クレスポがこれを落ち着いて決め、2点目。さらに同44分、カカの鋭いスルーパスを受けたクレスポが技ありのシュートを決め、ミランが3-0と圧倒的に有利な状況で前半を終了した。
しかし、試合はこれで終わらなかった。後半9分、これまで完封されていたリーセのクロスをゴール前でジェラードが頭で合わせ、リバプールがまず1点を返す。さらに2分後、ペナルティーエリア外からスミチェルがミドルシュートをゴール左すみへ決め1点差とすると、同15分、ゴール前でのバロシュの巧みなポストプレーから走り込んだジェラードがペナルティーエリア内で倒されPK。シャビアロンソがけったボールはGKジダに一度セーブされたが、即座にシャビアロンソが押し込み、3点目。試合を振り出しに戻した。
試合はその後、両チームとも得点が奪えず、延長戦に突入。ラインが間延びし、足をつる選手も出る中、お互いにゴール前で体を張った守備を続ける。延長後半終了間際、ミランは左サイドのセルジーニョからのクロスをゴール前でシェフチェンコが頭で合わせる決定機を作ったが、GKデュデクが好セーブでしのぎ、試合はPK戦へ。
一進一退の展開はPK戦でも続いた。リバプールGKデュデクがミランの1、2人目を連続で防ぐと、ミランGKジダもリバプールの3人目を阻む。しかし、GKデュデクがミランの5人目シェフチェンコも止めて試合は決着。リバプールが驚異的な粘りで優勝をたぐり寄せた。
■“挑戦者”古豪リバプール 躍動の復活
今大会、ここまで12試合でミランが9試合、リバプールが6試合を完封しており、ともに守備は鉄壁。また、ミランのアンチェロッティ監督は豪華な攻撃陣を配しながらもバランス重視の戦い方を好み、リバプールのベニテス監督は相手の長所を消す戦術を得意としていることもあり、試合は1点を争う重苦しい展開が予想された。しかし、開始早々のミランの先制点をきっかけに、試合は点を奪い合う白熱した展開となった。ミランがカウンターから立て続けに得点を奪い、後手にまわったリバプールが最終ラインを下げたことが、逆に中盤にスペースを生む結果となり、リバプールの2人の司令塔、ジェラード、シャビアロンソへのマークが緩んだ。
今シーズン終盤にかけ、自陣ゴール前で相手をフリーにしてしまう場面が目に付くようになったミランは、この試合でもそうした場面から失点を重ねた。高齢化しているDF陣が、世界屈指といわれる実力を維持しきれなかったといえるだろう。ミランに比べて大舞台での経験が大きく劣るリバプールだったが、後半早々の得点で勢いづき、重圧をはねのけて思い切りのある攻撃を仕掛けることができた。
今季、イングランド・プレミアリーグでは5位にとどまり、戦力的にも“挑戦者”といえる立場ながら、準々決勝でイタリア・セリエA覇者ユベントス、準決勝でプレミアリーグ覇者チェルシーと、欧州の主要リーグの王者を破ったリバプールは、決勝でも総合力に勝るミランを相手に3点を奪い返す執念を見せた。前身のチャンピオンズカップも含めて節目となる50回目の大会で、古豪が見事な復活を遂げた。 |
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