咖啡日语论坛

 找回密码
 注~册
搜索
查看: 2235|回复: 5

みかんの樹

[复制链接]
发表于 2004-7-7 23:00:00 | 显示全部楼层 |阅读模式
『みかんの木』 7 |3 T. R. z) A6 B
7 s7 d- q! I/ D% f2 d2 s/ c4 v

( T  F2 i0 U- ?! ~! f
" L# ^4 X$ {/ f0 w# w' C ごみごみとした商店街の一角に、小さな洋服屋さんがありました。洋服屋さんといっても、子供用の服しかない本当に小さなお店です。
, V' C/ `" W8 p/ s) s
. w5 l6 X9 ~& b そのお店では、年老いたおばあさんが一人で店番をしています。でも、なんだか元気がありません。なぜなら、もうお昼をすぎたというのに、お客さんが一人も来ないからです。3 A; ^! X- U. b4 k' N! M

1 Q; c; n4 I$ { それもそのはずです。この小さなお店では、もう何年も新しい洋服を仕入れていないのですから。流行おくれのデザインのスカートや、日に焼けてうす茶色に変色してしまった白いブラウスなどが、堂々と店先にならんでいるのです。& G3 B( R: `; q: r; N1 o* l% F
% d% p1 B; b( w' e3 f
 おばあさんはそんな洋服たちに向かって、にっこりと笑いかけました。
! t- @8 S! b9 ^1 p# \; U9 |' S. K( ^. Z' f; {
「安心おし。わたしは、おまえたちを見捨てたりはしないからね」& H. Z  H( M. M# t
- f" v/ P4 F9 G! J
 茶色く焼けてしまったブラウスを、やさしくなでながら、おばあさんはそういいました。/ E$ X, P6 b0 l) E/ L. b
# q3 J8 l& T9 t" X: ~" K
「おまえたちがいつか買われてゆく日まで、わたしがしっかりとめんどうを見てあげるからね…」
, J0 b% F( K; m+ f% j
: `0 L7 t+ E8 G4 }) a' P& K% |1 R, d  R0 l  P1 u' S, r4 @
1 v8 @. p- q6 ^" H( J5 g$ n, z6 d# z
 おばあさんのお店の名前は『みかんの木』といいます。店先の植え込みに、小さなみかんの木が植えられているからでした。みかんの木は夏の初めになると、白いかわいらしい花をつけます。その花を見るのが、おばあさんの楽しみでもありました。4 E. O) |9 m# q6 K! q5 d

: S5 _7 E4 x9 m: g 今年も夏が始まろうとしていました。季節が移り変わるのを待っていたように、みかんの木は白い花を開きはじめました。その花の白さといったら、まるで夏の空にわきあがる入道雲のようです。おばあさんはうれしそうに、愛らしい白い花を、お店の中からながめていました。" E$ u" T$ A) E( F. L
1 ]% S  K  j! I; O$ |
「お母さん、わたし新しいお洋服がほしいよう」
5 b( ^2 h; {: S, u! }# E! i
: C* ?* M" X+ b4 w! P お店の前で、女の子がお母さんにおねだりをはじめました。おばあさんは久しぶりのお客さんに、心がおどります。今日こそ洋服が売れるかもしれない。おばあさんは期待に胸がふくらみました。
5 G* p) W5 u; r( s4 v$ c0 P. T/ L5 J
「でも… ほら… このブラウス…」' B5 x! O2 C" r# U1 V4 \
) i& o. E4 r: F
 しかし女のこのお母さんは、しかめっつらで店先のブラウスを見ています。日に焼けてしまって、茶色く変色してしまったブラウスを。
  r% |' \& B( V+ B; Q# ]2 C; B9 v; \; n, g
「よそのお店で買ってあげましょうね。さっ、行きましょう」
7 `; Z6 ]8 W, D4 j5 v* _8 w+ I% T6 X2 j
 女の子はうなずき、お母さんに手を引かれて商店街の人ごみに消えてゆきました。* f6 H+ z: d5 I9 z
8 f7 u- O2 T" g
 おばあさんはがっかりです。茶色くなってしまったブラウスでは、やっぱり買ってもらえません。だからといって、処分してしまうにはあまりにも愛着があります。おばあさんは悲しそうに肩をおとしました。+ s. S+ t& c# H) s
3 {; H% j2 q) B# I6 u9 V7 @* \
 そのときです。咲いたばかりのみかんの花が一輪、風に吹かれてちりました。そしてひらひらと空中を舞い、茶色く焼けたブラウスの肩口に、静かに落ちました。0 j# W+ C6 n5 h0 \; m
  R. |- }" ?4 T/ V
「おやおや、どうしたことだろう。咲いたばかりの花がちってしまうなんて…」
+ u, D" C9 @% C0 g; `1 u0 A5 L* h
: A- _5 `" `; `9 k( Y- X おばあさんは心配そうにみかんの木を見て,首をかしげました。おばあさんの心配をよそに、みかんの木はとても元気そうに見えます。ところが、せっかく咲いた白い花は、次々とちってゆきます。そしてどの花も、申し合わせたようにブラウスの肩口に静かに落ちました。
4 b2 H7 H+ H! w3 J' A1 x) |5 F+ i  l2 A+ c; ^& ]8 f! w
 おばあさんはあわてて店の中に入り、じょうろにくんだ水と、園芸用の肥料を持ってきました。みかんの木が枯れてしまう…おばあさんはそう思ったのです。8 }4 v/ O' @0 e  Y8 X4 Q

! p; F% k- x- T$ w. M# o: ` 水をやり、肥料をまいて、おばあさんは安心しました。どうみてもみかんの木は元気いっぱいに見えるのです。もう花もちってはいないようです。おばあさんはホッとして、店の中に入りました。
% ~. u2 w/ V" I) d) S. T/ |! \- c" c9 [; N) z2 K5 `
「お母さん、やっぱりわたしここのがいいよう」$ \0 y% S8 I' C6 |+ o+ K( s4 d: t+ @

4 ^. @7 V' _/ S) p+ X: W4 T さっきの女の子が、今度はお母さんの手を引いてもどってきました。
0 J& x8 C" [: z0 U$ _
- T& E, t* _6 I# n  h2 f「だめよ。そこのは日に焼けて茶色くなっちゃってるから。あら?あらら?」
0 i6 U+ [  R! `
4 ^0 Y. A+ K1 H* N0 E1 p& [7 x お母さんはブラウスを見て、おかしな声をあげました。
  g  O5 _" o7 k0 \: M. O$ |
- h) O: `# s. p/ t( u6 e「新しいのを出したのかしら?とてもきれいな白いブラウスね。それになんだか甘い香りまでするわ…」% `! z$ K2 o7 ]2 q, J( B' m. E
) _1 F; m4 ]  W0 o
 お母さんのその言葉に、おばあさんはおどろきました。新しい物を出した覚えはありません。それどころか、おばあさんのお店に在庫などないのです。# @4 e; a9 _$ l
( L; [" Y# p0 e6 r) z  E
「すみません、このブラウスいただきたいのですが」
2 q7 E& c/ W& N8 f/ [
( X; X* r2 S& ]7 {% _0 X4 c お母さんが手にしているブラウスを見て、おばあさんはまたまたびっくりしました。そして自分の目をうたがいました。茶色く変色していたはずのブラウスが、真白になっていたのです。それはまるでみかんの花のように。5 N0 c4 V4 p* B

' `4 L! W2 U3 L+ Y  k; u& ^! c 女の子はそのブラウスがよほど気に入ったようで、とてもうれしそうです。そんな女の子を見て、おばあさんはやさしくいいました。
# f9 @: t+ x  y
" U+ H+ r7 @& U  P「大切に着てあげてくださいね」
: N& ?0 L7 E5 C$ `) u5 [- Y$ |0 ~3 ?6 F+ O6 w

$ h6 u+ L* j1 ~$ m- ~" G) f1 C0 F( {
回复

使用道具 举报

发表于 2004-7-7 23:00:00 | 显示全部楼层
日本好多唯美的文章让人读来心痛不已。
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2004-7-9 23:00:00 | 显示全部楼层
這種文章假如用朗讀的方式" w. t+ w* r: u, ]/ o. `$ Z  b
+ e2 ^! ^9 s& a4 }  o
應該會賺人熱淚吧...
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2006-9-13 22:42:28 | 显示全部楼层
能不能多传点
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2006-10-20 20:21:38 | 显示全部楼层
谢谢
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2006-11-1 21:16:58 | 显示全部楼层
好文谢谢楼主了
回复 支持 反对

使用道具 举报

您需要登录后才可以回帖 登录 | 注~册

本版积分规则

小黑屋|手机版|咖啡日语

GMT+8, 2025-8-2 13:11

Powered by Discuz! X3.4

© 2001-2017 Comsenz Inc.

快速回复 返回顶部 返回列表