060317天声人語
くじで選ばれた市民が、裁判官とともに事件を審理する。そんな裁判員制度が、09年5月までに導入される。全国の市民と裁判官を対象にした最高裁のアンケートで、市民の「判決」に大きなばらつきがあることが分かった。
被抽签选中的市民与法官一起审理案件。这样的审判员制度将在09年5月之前实施。最高法院针对全国的市民和法官作了问卷调查,得知市民的“判决”有很大的差异性。
「生活費のために借金を重ねた男が、取り立てに来た知人を包丁で刺殺した」という例で、相当と思われる量刑を尋ねると、裁判官の意見は懲役10年前後に集中した。市民の方は、死刑から執行猶予(しっこうゆうよ)まで様々だった。
在“一个因生活困难而负债累累的男子,将前来讨债的熟人用菜刀杀死了”的案例中,当问及适当的量刑时,法官的意见基本集中在判处10年徒刑,而在市民的回答中却是从死刑到缓刑五花八门不一而足。
市民の常識を裁判に反映させるのが新制度の狙いだという。これだけ開きがある市民の見方をどう裁判に反映させるのか、そして適切な判決が得られるのか。なかなかの難問だ。
据说新制度就是要在审判上反映出市民的常识。但是,市民的见解有如此大的差异又如何能在审判上得以反映呢?更进一步来说,这么一来还能得出适当的判决吗?这可是一很大的难题。
難しいのはそれだけではない。実際の裁判では、罪を犯したかどうかが激しく争われ、審理が長くなることもある。仕事やいろいろな事情を抱える中で、選ばれた人たちが本当に裁判員になってくれるのかという疑問も残る。
难点还不仅限于此。在实际的审判中有可能在是否有罪上争论不休而延长审理的时间。被选中的市民或许被工作或各种事物所羁绊,是否真能来当审判员也还是个疑问。
日本で市民が裁判の判決に加わるのは、裁判員制度が初めてではない。大正時代に陪審法が成立し、昭和の初期から15年間は陪審制があった。陪審員の条件にこうある。「男子ニシテ三十歳以上タルコト……国税三円以上ヲ納ムルコト……読ミ書キヲ為シ得ルコト」。陪審員を辞退(じたい)できる条件の一つには「六十歳以上ノ者」とある。裁判員法では「年齢七十年以上の者」となった。
在日本市民参与法院的判决, 也并非该审判员制度的首创。在大正时代就制订了陪审法,从昭和初期开始的15年之间就有陪审员制度。陪审员须具备的条件如下:“30岁以上的男子……交付国税三日元以上者……能读会写者”。而能辞去陪审员之职的条件之一是:“六十岁以上者”。在审判员法上则为“年龄在七十以上者”。
二つの法律の成立には約80年の隔たりがあり、社会のありようは変わった。しかし、法廷に立つ市民の緊張感は変わるまい。それが、法廷の新鮮な目となる可能性がある。
两部法律的确立,前后相隔了80年,社会状况已发生了变化。然而,站在法庭上的市民的紧张心情是一样的,这倒有可能成为法庭的新视角。 |