個性(こせい)派の俳優で昨年亡くなった岸田今日子さんは、風変わり(かぜがおり)な子どもが好きだった。ほかの子とテンポ(拍子)が合わないような子がいるとうれしくなってしまう。随筆(ずいひつ)にそうつづっている。
( G) F3 | F# M, R' a pところが自分の子が生まれると、勝手が違った。「早くご飯を食べなさい」「宿題はしたの?」。わが子が仲間はずれになりはしないかと気にかかる。今や、ただの大人になってしまったのだろうか――筆づかいからは、深い溜(た)め息が聞こえてくる。
+ M7 t ]3 E6 F H親なら誰もが「ただの大人」なのだろう。文部科学省が公表(こうひょう)した全国学力調査の結果も、気にかかるに違いない。何しろ都道府県の成績がきっちりと出た。表には出ないが、市町村や学校ごとの順位も分かっている。うちは、よそはと、心騒(さわ)ぐ人も多いことだろう。# j; e# P0 s2 Z' w6 R# C, V" X6 |1 D, P
順位(じゅんい)の思わしくなかった府県は、教委の口ぶりも苦い。「衝撃を受けた」と嘆(なげ)くのは最下位(かい)の沖縄だ。「考えられる限りのことはやってきたつもりだったが」と大阪。高知は「子どもには申し訳ない」と敗軍(はいぐん)の将さながらである。
& ~; j! c- n) u( K' p+ c結果の分析は難しい。だが順位は分かりやすいから、口の端(くちのは)にのぼりがちだ。上位(じょうい)は誇り(ほこり)、下位は落胆(らくたん)する。不毛(ふもう)な明暗(めいあん)ばかりが市町村へ、学校へと広がっては、鳴り物入り(なりものいり)の調査はむなしくなる。
! e# G' }3 ]# X4 K3 s岸田さんに話を戻せば、小学校高学年でも割り算(わりざん)ができなかったそうだ。母親に教(おそ)わって、数を割る意味が分かった瞬間、違う世界が見えてきたと語っていた。調査は来年もある。順位大事のテスト対策がはびこり(蔓延る)、分かる喜びを奪わないか心配だ。 |