新築の高値もあってか、中古マンションの取引が活況だという。わが集合住宅の郵便受けにも「売り物件求む」のチラシが絶えない。中の一枚を、腹立ち紛れに手元に残してある。
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7 Q6 ?- z, K8 r* A! F 東京の高級住宅地に暮らす会社経営者が、結婚を控えた息子のために3LDKを探しているらしい。「室内は息子夫婦の好みで改装」「会社名義での購入も検討中」とある。子の門出に何かしてやりたいのは親心だが、新居まで買い与えるのは甘やかし過ぎではないか。
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ひとしきり叩(たた)かれたボクシング一家も、同じ思い違いをしていたようだ。お父さんは弱い対戦相手を選び、息子たちに勝ち星を与え続けたと聞く。揚げ句に、次男は世界戦でまとめて恥をかいた。「父離れ」からの再出発となる。
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子を虐げる親、親をあやめる子の悲報に接し、「愛」があるだけ過保護のほうがマシなのかと、自問する。だが、教師や学校に無理難題をふっかける「モンスター親」のように、ゆがんだ愛は社会悪にも転じうる。
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- h; D- I( t1 _7 _8 @; G 東京都立川市の家族問題カウンセラー、坂田雅彦さんに聞いてみた。「ここ2年ぐらい、溺愛(できあい)型の親が目立つ。地域や人間関係で孤独な人ほど、わが子に愛を集中しがちだ。子どもはいずれ自立しなければならないのに、それを妨げる溺愛は虐待と紙一重です」
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& b3 ?% |$ K7 \( ?+ C 過ぎた関与は、子どもをゆっくりだめにする。無償かつ無限大とされる親の愛を、賢く抑えるのは楽じゃない。はやる助け舟を岸にくくりつけ、わが子の苦闘を見守る。親ゆえの辛(つら)さだし、腕の見せどころでもあろう。 |