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楼主: Jennifer

[经验方法] 連載《天声人語》想看中文版请去看1590楼最新公告

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发表于 2008-1-5 12:36:53 | 显示全部楼层

2008年01月05日(土曜日)付

欧州によくある石造りの古い建物は、窓を大きく取れないのでたいてい薄暗い。その代わり、小さな窓が切り取る景色には絵画に通じる味がある。正月休みと週末に挟まれた小窓のような金曜日、08年が動き出す音が聞こえてきた▼福田首相は年頭会見で、内閣改造の見送りを表明した。理由の一つは「これから実力を発揮しようという方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれない」。前任者は「私の内閣」と呼んだが、福田氏の口ぶりは逆に評論家を思わせ、「ひとごと感」さえ漂う▼誰もが聞きたい衆院解散、消費税引き上げについては、質問は出たのに答えず、23分で終了した。政治決戦の年とは思えぬ、のっぺりとしたやりとりだった▼米国では大統領選挙の幕が開いた。日本の政治風景を水墨画とすれば、こちらは原色の自己主張を塗り重ねた油絵だろう。どの候補の語り口にも自信があふれる。初戦のアイオワ州で民主党の3位に沈んだヒラリー・クリントン氏は、笑みを浮かべて巻き返しを誓った▼日米の政治風土やメディア観は違うが、少なくとも弁論で切り結ぶ覚悟がなければ、どの国の有権者もついて来ない。福田氏が「主役にする」と宣言した生活者に真っすぐ伝わる言葉を、今年こそ聞きたいものだ▼年明けの原油相場は史上初めて1バレル=100ドルに達し、株安とドル安がまた進んだ。天下大乱の兆しである。来週からは小窓ではなく、総選挙へと続く大きな扉が開く。指導者は存分にメッセージを発し、有権者はその資質を見極める好機だ。
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发表于 2008-1-7 09:19:32 | 显示全部楼层

2008年01月06日(日曜日)付

去年の暮れにこの欄で、「農山漁村の郷土料理百選」について書いた。うち三つをあげて「どんな料理か見当もつかない」と首をかしげたら、「教えましょう」と便りをいただいた▼熊本育ちの二木貴美子さんは「いきなりだご」の作り方を伝授してくださった。「だご」とは団子。輪切りにしたサツマイモを、練った小麦粉で包んで蒸す。戦後の食糧難の時代に母親がよく作ってくれたと、思い出も一緒に、びっしりつづられていた▼群馬の持田祥子さんからは「おっきりこみ」の実物をいただいた。練って伸ばした小麦粉を幅2センチほどに切ってある。野菜たっぷりに煮込み、ふうふう吹いて食べるそうだ。消化が良いので、冬の夜食にも最適という。なるほど体の芯まで温まる心地がする▼栃木の「しもつかれ」の由来を本にまとめたのは、東京の松本忠久さん。大根とニンジンを大量におろし、炒(い)った大豆やサケの頭などを入れて蒸し煮にする。鍋にいっぱい作って、丼で食べるのが正しい食べ方なのだという▼素朴ながらふるさとの味は、みんなで卓を囲む楽しさとともにあるようだ。故郷からのUターンもきょうが区切り。温かい思い出を胸に“日常”へ帰る子もいることだろう▼現代っ子の食生活を「ニワトリ症候群」と呼ぶそうだ。独りで食べる「孤食」、朝食を抜く「欠食」、家族がばらばらなものを食べる「個食」、好きなものばかり食べる「固食」。頭を取ればコケッココとなるからだ。新しい年、鶏の鳴かない日が一日でも多くなればいいと願う。
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发表于 2008-1-7 09:19:55 | 显示全部楼层

2008年01月07日(月曜日)付

「ダカール」という地名は高校生のころ、サンテグジュペリの小説『南方郵便機』で知った。『星の王子さま』の作者でもあるこのフランス人は、砂漠を実に美しく描く。翻訳の行間に、逃げ水の向こうで揺れる白い街を想像したものだ▼作中、サハラ砂漠を越えてくる郵便機の安否を気遣い、エンジン音に耳をすますくだりがある。今ならそれは、ラリー車が疾走してくる音だろうか。アフリカ西岸のこの街は、砂漠を走る「ダカール・ラリー(通称パリ・ダカ)」のゴールとして一躍有名になった▼世界で最も過酷といわれるそのラリーが、30回の節目の年に中止された。競技をねらったテロの恐れがあるためだ。もともと治安の定まらない地域である。コースの変更は過去にもあったが、中止は初めてという▼国際テロ組織アルカイダの一派が、フランスを標的に動きを強めているそうだ。危険に立ち向かう冒険ラリーも、テロ組織に暗躍されては冒険ではすまなくなる▼「冒険の扉に連れて行ってやろう。ただし、運命に挑戦する扉を開けるのは君だ」。それが、ラリーが始まったころの標語だった。近年は商業化が著しく、冒険精神は薄れたとも聞く。華々しさを増すイベントは、現地の人々の目には、どう映っていたのだろう▼『南方郵便機』の時代も、仏の植民地支配に背く人々で、この地は不穏だった。憎悪や敵意の温床は、冷めないままに残されたのだろうか。温床を取り除くことなしに砂上の冒険を享受するのは、もう難しくなったように思われる。
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发表于 2008-1-8 09:23:41 | 显示全部楼层

2008年01月08日(火曜日)付

20年目に入った平成の世は、19年前のきょう始まった。あの日曜をたどりながら、東京都立川市の昭和記念公園を訪れた。落葉樹のケヤキやコブシはすっかり裸である▼地元の画家、群馬直美さんの「葉っぱの詩(うた)」展が園内で開かれていた。原寸大に描いた木の葉の細密画は、朱や黄が差した色合い、枯れっぷり、髪ほどの葉脈、虫食いの小穴まで引き写す。写真を超えた生々しさである▼自称「葉(よう)画家」の群馬さん、葉へのこだわりは学生時代から四半世紀になる。どの一枚にも濃密な物語があるという。道端の落ち葉は大声で「親」の名を叫ぶそうだ。周りを見回し、空を見上げると、兄弟たちがヒラヒラ手を振っている。作品集『木の葉の美術館』(世界文化社)の一節だ▼一本の木でも、葉の表情はすべて異なる。群馬さんは、この〈みんな違う、みんな主役〉の状況に感嘆する。「私たちも一枚の木の葉。ありのままの自分で輝きだしたら、地球は今よりずっと幸せそうな一本の木になるに違いありません」▼新緑の頃の差異は小さいが、虫に食われ、鳥につつかれ、雨風に打たれて、木の葉は個性を蓄える。散る時も別、そのあとも、土に還(かえ)る者、たき火で天に昇る者と「十枚十色」。一枚ずつ名前をつけてやりたくもなる▼昭和、平成。黙して時代を越えてきた樹木の営みに、切れ目なき命の流れを思う。冬の一日、葉を落とした木々と小さな「葉画」に囲まれていると、生死の境が一瞬ぼやけた。生を終えても続きがあるような、ほっとする感覚だった。
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发表于 2008-1-9 09:00:51 | 显示全部楼层

2008年01月09日(水曜日)付

〈教育とは、学校で習ったすべてを忘れたあとに残るものをいう〉。アインシュタインの言葉だ。学校教育の「頼りがい」は常に問われてきた。教師は不本意だろうが、答えの一つが教育産業の隆盛である▼東京都杉並区の区立中学校が、大手進学塾の講師を招いた夜間授業を計画した。夜の教室を使い、正規料金の半額ほどで塾の指導を受けられる工夫だ。民間出身の校長の発案で、2年生19人が受講を希望していた▼ところが、きょう予定されていた初の授業は、東京都教育委員会の指導で先延ばしされる。生徒全員が出られない/特定業者に教室を供する/教材づくりに教員がかかわる――の3点に疑義があるという▼授業の理解を助けるための補習は別にあり、夜間塾は「できる子を伸ばす」試みといえる。週3日で1万8000円の月謝を出せない家もあろう。一方、少子化に悩む塾にはそれなりの商魂があるはずで、教室で営業されるという心配も分かる▼だが教師の過労が言われる中、公教育の建前を並べるだけでは、学力をめぐる保護者の焦りは消えない。お金のかかる私立校や塾が現にあるのだから、ここは塾に行けない子への福音と考えたい。先人の言葉を続ければ〈まずはやってみなはれ〉(西堀栄三郎)だ▼杉並区教委と学校側は「疑義を晴らして始めたい」としている。国の将来がかかる人づくりで、公と私をことさら分断しても無益だ。官民の知恵を合わせ、教育現場にようやく顔を出した試行錯誤の芽である。どう伸びるか、全国が見ている。
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发表于 2008-1-10 09:02:06 | 显示全部楼层

2008年01月10日(木曜日)付

画面左に現れた民主党の小沢代表はこう始めた。「総理、明けましておめでとうございます。えー新年早々から、総理にとってはあんまり気分の良くない、愉快でない話をしなくてはならないんですけれども……」。小沢さん、それがあなたの仕事です▼ねじれて5カ月の国会で、福田首相と小沢代表の党首討論が実現した。何度か密談はしたようだが、有権者の目が届く場所で両党首が一戦交えるのは初めてだ▼悠長で紳士的すぎる前置きが示すように、小沢氏には政権を奪うぞという迫力が見えない。「政治行政への不安、不満、不信なんちゅうのが日本社会に充満している」という認識は正しいが、たたみかける材料と技量を欠いた▼年金から入ったのはいい。だが、関係職員を総動員して国民の不安を解消せよという追及に、福田氏は「私も本当にね、考え方は同じだと思いますよ」。柳に風の受け答えに、ゆるい笑いが議場を包んだ。質問が給油法案に移り、小沢氏の声が熱を帯びた。口も滑らかになった。でも時間切れだった▼首相はへらへらしているようで、言い逃れを含め言いたいことは言えていた。「福田屋」と染め抜いた暖簾(のれん)を、小沢氏の武骨な腕が押している図だ。テレビの音声で一番元気があったのは進行役の衛藤委員長、次がヤジだった▼小沢氏はかつて「不器用で口べたな東北かたぎ」と自己評価し、北国から文句が出た。来るべき総選挙では党首の発する言葉と、その発し方で一票の行方が決まる。今からでも弁舌を磨くべきではないか。
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发表于 2008-1-11 11:54:33 | 显示全部楼层

2008年01月11日(金曜日)付

初めて新聞に載った記事や写真は忘れがたいものだ。筆者の場合は「ソフトクリーム」だった。入社研修の春、初夏を思わせる百貨店の屋上で、冷菓をほおばる子供を撮らせてもらった。売店と気象台に話を聞いて、季節物の短信にした▼翌朝の地域版を見て、自分の文章に羽が生えた気分になった。パソコンもネットもない28年前である。手書きが活字になり、読者のもとに飛んでいく感覚は格別だ。この思いにプロもアマもない。自分史や随筆を、見知らぬ人に読んでもらいたい気持ちは分かる▼自費出版で急成長した新風舎が経営に行き詰まった。「著作が書店に並ぶ」と宣伝し、費用を著者と分担する手法で約1万5000人の本を出した。ところが、本屋にないなどの苦情が続き、裁判も起きていた▼魅力は、時に魔力にもなる。原稿へのほめ言葉に期待しすぎると、後で落胆しかねない。NPO「自費出版ライブラリー」(東京)の伊藤晋理事長は言う。「まれに『佐賀のがばいばあちゃん』のようなヒットも出るが、自費出版はそう売れない。それでも、無名の記録として残す意味がある」▼誰しも、自分の創作や人生を形に残したいと願う。自費出版の盛況は、この国の豊かな文字文化のたまものでもあろう。「庶民の作品群」は、だから店頭での人気では測れない価値を宿している▼新風舎は前金を払った約1100人の本を制作中だった。誰かの手に取られる日を夢見てつづった労作だ。「羽」を待ちわびる文字たちが、つつがなく飛び立つことを祈る。
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发表于 2008-1-13 13:08:16 | 显示全部楼层

2008年01月12日(土曜日)付

チョコ、マロン、モモとくれば、ケーキかアイスと思う方が多いだろう。実はこれ、犬の名前の上位三つだ。ペット保険大手のアニコムが、06~07年秋に「どうぶつ健保」に加入した0歳の約6万8000匹を集計した▼犬ならポチ、猫ならタマと、昔は仲間を代表する名があった。今時のペットは家族の一員ということか、名前は甘くかわいく、動物臭がすっかり抜けた。チョコは3年続けて首位だという。名は世に連れである▼松下電器産業が今年の秋、海外で定着したブランド「パナソニック」に社名を変える。あの「ナショナル」も消える。創業90年の節目に、「あまねく響く」を意味する一つの名で飛躍を期すそうだ▼「世界ブランド番付07年版」で、パナソニックは78位。日本企業では、全体で6位のトヨタ、ホンダ、ソニー、キヤノン、任天堂の下だった。「社員の努力が三つの名に分散していた」(社長)という改名の弁には得心がいく▼「明るいナショナル」は高度成長期の合言葉だった。白黒テレビに流れるCMの混声合唱は、右肩上がりの国土にあまねくこだました。中高年には「家電のポチ」とさえいえるその呼称が、名実ともに歴史になる▼通常、名前を改めても中身は変わらない。ポチがワンとほえ、チョコがニャンと鳴くわけではない。ポチと同じく、松下やナショナルにも長く親しまれたゆえの通りのよさがある。あえて捨てるからには、鳴き方までも変える覚悟がいる。そんな再出発になろうか。ちなみにポチの名は今、223位である。
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发表于 2008-1-13 13:08:41 | 显示全部楼层

2008年01月13日(日曜日)付

世界最高峰の頂上はやはり特別な場所なのだと、登山家の田部井淳子さんの話を聞いて思ったことがある。田部井さんは女性で初めてエベレストに登った。1979年に、それまでに登頂に成功した女性3人を招いた催しがあった▼「なぜエベレストをめざしたのか」。司会者の問いに、中国人女性は「国家と人民の名誉のため」と答えた。ポーランド人女性は「女性の勝利のために」と語ったそうだ。名誉や勝利に値したのは、ひとえに「世界最高」の形容詞ゆえだろう▼その場所に人類初の足跡をしるしたエドモンド・ヒラリー卿が、故郷のニュージーランドで亡くなった。登山がナショナリズムと結びついていた20世紀半ば、「大英帝国」の威信を背負っての初登頂だった▼養蜂を営む家に生まれた。登頂記『わがエヴェレスト』によれば、養蜂は、日々緊張しながらも、きっと豊作だと夢を抱いて、長い労働に耐える仕事だという。幼時から手伝った家業が、細心にして楽天家という、登山家向きの性格を養ったようである▼頂上アタックでは“二の矢”だった。1次隊が断念してめぐってきた機会をものにした。すべてを眼下に見ながら、多くの登山家を退けてきた世界最高峰が「気持ちよく円みを帯びた頂を持っていてくれた」ことに感謝したそうだ▼ヒラリー卿が小さな十字架を置いて去った頂を、半世紀あまりで約3500人が踏んだ。とりわけ近年は大衆化が著しい。温暖化も進む。人為に痛めつけられるヒマラヤを、最後まで気に病んでいたという。
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发表于 2008-1-14 09:21:44 | 显示全部楼层

2008年01月14日(月曜日)付

4年前にバグダッドを取材したとき、支局の入ったホテル一帯が、夜間に何度かロケット弾で攻撃された。そのつど跳ね起きた。耳の奥に轟音(ごうおん)がへばりついて、ドアがバタンと閉まる音にも、どきっとしたものだ▼米軍の空爆を取材した知人は、帰国後も後遺症が尾をひいた。干した布団をたたく音に身構えたりした。彼によれば、空爆の下、ある家族はみんなで大声で歌っていたそうだ。子供の気が爆音に向かないようにして、心の傷を防ぐためだった▼音ばかりではない。戦火は五感すべてを通して、子供の柔らかい心をえぐる。東京で開かれている「カブールの幽霊」という展示会を見て、そう思った。内戦の続くアフガニスタンの子らが「幽霊」を描いた絵約350点が並んでいる▼6年前、ユニセフがアフガンの子らに、「最も怖い」ことと「最も嫌な」ことを聞いた。「爆撃と爆発の音」や「銃を持つ男」を抜いて、「幽霊」というのが一番多かった。それを知った東京のNPOが、幽霊を描いてもらった▼黒こげ、血まみれ、飛び出す内臓や骨……。酸鼻と、子供らしい感性や色彩とが入り交じる絵は、見るに切ない心の投影だ。子らをさいなむ幽霊とは、「対テロ戦争の最前線」にされる祖国の荒廃にほかならない▼その対テロ作戦への給油活動が、来月にも再開される。しかし、あまたの「幽霊」を見るにつけ、対米支援ではなくアフガン支援の論議こそが、より深まるべきだと思いは募る。腕力頼みの荒療治だけでは、幽霊の跋扈(ばっこ)はやまないだろう。
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发表于 2008-1-15 16:59:05 | 显示全部楼层

2008年01月15日(火曜日)付

この国もまだいけそうだと少し安心した。東洋大学が全国から募った第21回「現代学生百人一首」である。中高生らが寄せた約6万首から100首が入選した▼〈両親の働く姿に胸打たれそっと終わらすマイ反抗期〉中3・樋口絢美(あやみ)。家族への思いと温かい観察眼に驚かされる。〈ほうれん草のおひたし最近水っぽい握力落ちた母の細腕〉高3・千葉幸。〈仲間とのそば打ち語る父の顔白髪頭の少年がいる〉高3・馬場史織▼柔らかな視線の先は親だけではない。〈おじいちゃんみんなの話題と違うけど私はちゃんと聞いてるよ〉高3・岸友佳里。〈帰るねと言ったら急に話し出す祖母の顔見てまだいようかな〉高2・内田菜月▼〈おばあちゃんさっきも言ったよその話忍びよる影そっと肩抱く〉高3・関口亜沙実。精いっぱいの愛情表現だろう。三十一(みそひと)文字の受け皿を得て、心底の優しさが紡ぎ出されたかのようだ▼恋や勉強、職業訓練の歌には実感がこもる。〈大好きな君に会えるの期待して今朝もいつもの各駅停車〉高2・長谷亜也。〈片隅に積み上がってる参考書夏物語るマーカーのあと〉高3・野呂友里恵。〈初めての機械実習緊張の心の角を切り飛ばしてる〉高1・泉田純次▼去年の猛暑は意外にも、家庭を見つめ直す作品を残した。〈エアコンで家族が集う夏の居間異常気象がもたらす絆(きずな)〉高1・小玉千陽(ちはる)。その絆さえあれば、会わずとも思いは飛んでゆく。気持ちはつながる。〈受験費用心配しなくて良いからと父のメールに涙こらえる〉高3・小林麻未。1 [6 P, Y$ X# U$ L" N

' s" k" [! ~5 `, O[ 本帖最后由 藤堂真琴 于 2008-2-7 18:29 编辑 ]
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发表于 2008-1-16 08:31:44 | 显示全部楼层

2008年01月16日(水曜日)付

命を守る音とは知りながら、救急車のサイレンは落ち着かない。渋滞を突いて現場に急ぐのか、それとも、はやる気持ちを乗せて病院へとひた走るのか。人様のことでも心が波立つのに、車内で聴くサイレンはどんなものだろう▼大阪府富田林市で昨年暮れ、体調を崩した89歳の女性が30の病院に受け入れを拒まれ、亡くなった。多くは別の患者の処置中だったという。動かない救急車の中で、悪い知らせを聞き続けた家族の絶望を思う▼救急患者がいくつもの病院に拒まれる例が後を絶たない。救急車の出動は増えたのに、医療費の抑制で病院の当直態勢は心もとない限りだ。医師や看護師の不足から救急の現場は激務となり、それが医師を遠ざける悪循環である▼救急病院は、軽症者向けの1次、入院や手術が必要な人の2次、命が危ない場合の3次に分かれる。中核である2次病院の5.6%、235カ所が、この2年で救急の看板を下ろしてしまったそうだ▼2次に向かうべき患者が3次に流れ、救命センターが満床になる例がある。救急隊員も医師も看護師も、命を救いたいのに善意が輪にならない。奈良県の救急専門医が大阪本社版の声欄に訴えた。「多くの専門医が使命感と情熱を燃やした高度救急医療の灯が、医療費削減で細りゆく感がある」▼待ちわびる身に、近づくサイレンは安堵(あんど)の響きであるはずだ。高齢化で救急の需要はさらに高まるが、これでは病室に入るまで安心できない。窓外をさまようピーポーの音色は、救急体制のSOSに聞こえる。
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发表于 2008-1-17 10:48:26 | 显示全部楼层

2008年01月17日(木曜日)付

35年前の冬に流行(はや)った「そして神戸」は〈神戸、泣いてどうなるのか〉と始まる。〈船の灯(あかり)うつす濁り水〉の港周辺はいま、ホテルの建設ラッシュに沸いている。観光業界は「復興を遂げた安全で新しい街」を売り込む構えだという▼阪神大震災から13年になる。6400人を超す犠牲者への追悼と防災の教えを、後世にどう語り継ぐか。復興への闘いは、時の経過とともに「風化との闘い」に移っていく▼神戸では、講習を受けて市民救命士になる人が増え続けている。見知らぬ人に助け出された恩返しにと、救命士を育てる人もいるそうだ。街に根づく防災意識は震災の遺訓といえる。9月の「関東」と並び、1月の「阪神」は大地震への備えを促す早鐘の役割を担う▼東京都も「首都直下地震」への備えを急いでいる。首都圏でマグニチュード7級が起きると、帰宅が難しい人が650万人出る。中央防災会議の想定だ。この人数が一斉に、徒歩で自宅を目指したらどうなるか▼昨年2月の東京マラソンは、群衆の移動には思わぬ時間がかかることを実証した。3万人の参加者全員がスタート地点付近を通過するのに、20分かかっている。8車線の道路でこれだ。650万人が街頭にあふれ出せば消防車や救急車は動きがとれず、被害は広がるばかりだ▼「阪神」の後、歩いて帰宅する訓練が盛んに行われた。しかし、いま専門家が呼びかける心得は「帰宅を焦らず、安全な場所で待つ」だという。備え方は絶えず見直されている。年に2度鳴る早鐘の功績である。
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发表于 2008-1-18 10:38:00 | 显示全部楼层

2008年01月18日(金曜日)付

時代小説の池波正太郎は、書き損じの原稿を小さく切ってメモ用紙にした。「紙への執着」は昭和初めの幼少期からという。小遣いがあれば紙屋に走り、粗末なワラ半紙を買う。四つに切り、墨とクレヨンで紙芝居を作るのが無上の喜びだった▼お年玉で「上等の、真白(まっしろ)な画用紙を二十枚も買うときの胸のときめき、豪勢な気分」が随筆に残る。そして「現代の家庭における紙類の氾濫(はんらん)」を嘆いた(『一年の風景』朝日文庫)▼日本郵政の「再生紙はがき」で偽装が発覚した。全納入メーカーの品で、古紙の配合率が契約値を割っていた。日本製紙が納めた今年の年賀はがきは、40%混じるべき古紙が1%である。契約違反はコピー用紙などにも広がる▼古紙が多いと白さを出しにくい。メーカーは品質を優先したそうだ。だが、官公庁は古紙率が高い再生紙を進んで買うべしと、法が定めている。資源保護の工夫につけ入る商魂が透けて見える▼紙は7割が回収され、6割が再び紙になる。ただ、古紙の混ざり具合は製紙会社しか知らず、そこに「偽りの余白」が生じた。純白が紙の命だった頃なら、古紙を混ぜれば責められただろう。逆が不祥事になるのがエコの時代である▼私信の習慣は、紙の大量生産が広めた。例えばドイツ人が1年に出す手紙は、19世紀半ばの1通強から世紀末には58通になった(『紙の歴史』創元社)。したためた思いを環境に優しい方法で伝えたいと、再生紙を選び取る人もいよう。ささやかなエコ意識をあざ笑う背信に、怒りを覚える。
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发表于 2008-1-19 17:07:43 | 显示全部楼层

2008年01月19日(土曜日)付

老舗(しにせ)の和菓子屋が、湯気の立つ饅頭(まんじゅう)を店に出す。よく見たらネズミの歯形が二つ三つ。NHK記者らのインサイダー取引問題に、そんな場面を浮かべた。「売り物」の情報を裏でつまみ食いしては、報道機関は立ち行かない▼NHKが独自に報じた外食企業の提携話。監視当局は、東京、水戸、岐阜の記者らが放送直前のニュース原稿を内部端末で見た、とにらむ。3人は翌日までの株売買で10万~40万円の利益を得ており、2人は不正を認めた▼同僚が報道を目的につかんだ情報で、ひともうけたくらむ神経をまず疑う。取材部門の周辺にいれば、報道前の特ダネに接することはあろう。だが、それはホカホカの「商品」だ。ネズミに至るまで関係ない者は手を触れず、出荷を見守るのがイロハである▼勤務中に株を売買した3人は、それぞれ前からネット取引をしていたと聞く。約5千人の職員が放送前のニュースを読めるというから、3人だけか、その日だけかと疑うのが普通だ。津々浦々、ネズミが端末にかじりつき、私腹を肥やす図を思う▼不心得者の給料、特ダネの取材費、のぞき見を許すシステム。いずれも私たちの受信料が賄う。株安に泣く個人投資家の怒りはどれほどか。真っ当な職員も本気で怒り、再発防止の知恵を出し合う時だ▼特権を悪用する組織の取材に、真実を語る者はいない。弱り目にたたり目で、政治からの圧力が増すかもしれぬ。自戒を込めておさらいすれば、権力者にスキを見せ、大衆の不信を買い、報道機関は徐々に死んでゆく。
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