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楼主: Jennifer

[经验方法] 連載《天声人語》想看中文版请去看1590楼最新公告

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发表于 2008-1-20 15:38:24 | 显示全部楼层

2008年01月20日(日曜日)付

東京郊外にある我が家のスイレン鉢に、きのうの朝、うっすらと氷が張っていた。持ち上げれば、ぱりんと割れそうだ。こんな氷を、透明なセミの羽に似ていることから「蝉氷(せみごおり)」と呼ぶ。はかなげな名のとおり、日が高くなるころには解けてしまった▼あすが大寒と知ってか、大陸から盛んに寒気が流れ込んでいる。蝉氷ぐらいで震えていては北国の人にしかられそうだが、各地でこの冬一番の寒さらしい。南岸を低気圧が通るため、太平洋側でも雪の大寒になるかもしれない▼「舞台風(ぶたいかぜ)」という言葉がある。寒い時期の観劇で、幕が上がったとき、舞台から暖かい客席にすうっと流れる風だ。道具の出し入れなどで舞台には外気が入りやすい。それが暖まりきらないまま、客席に吹きつけてくる▼シベリアからの風も大がかりな舞台風のようなものだと、お天気博士の倉嶋厚さんが書いていた。日本付近を低気圧が北東に進むと、たまっていた寒気が、幕を切ったようにドッと南下してくる。これが耳に親しい西高東低の気圧配置である▼〈大寒と敵(かたき)のごとく対(むか)ひたり〉(富安風生)。着ぶくれしつつ火を慕いつつ、寒がり屋はうなずく思いだろう。気象衛星からの雲の画像を眺めると、「敵」の正体は、大陸から吹く舞台風だとよくわかる▼「芝居を見て風邪をひいた」とぼやくお年寄りが、昔は多かったそうだ。のべつ風の吹く安普請の劇場があったからと聞く。冬深く、一両日は列島めがけて舞台風が吹く。体を冷やさず雪に転ばず、ひいた風邪は人にうつさず。
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发表于 2008-1-22 09:28:52 | 显示全部楼层

2008年01月21日(月曜日)付

石油王ロックフェラーといえば、一代で巨万の富を築いた伝説的なアメリカ人だ。尾ひれのついた話かもしれないが、語りつがれる逸話がある▼この大富豪は、ホテルでは質素な部屋に泊まった。あるとき支配人が「ご子息はいつも一番良い部屋に宿泊なさいますが」と聞いた。富豪は「彼には金持ちの父親がいるが、私にはそんな良い父親がいないのでね」と答え、風呂なしの部屋に入って行ったという▼当節の日本には“良い父親”が多いらしい。入試の季節を迎えた東京で、ホテルが次々に高額な受験生プランを打ち出している。「一泊4万円」もあると聞けば腰が引けそうだが、親心のゆえか、どこも快調に予約が入っているそうだ▼夕食には、脳を活性化させるというアラキドン酸を含む献立。遅刻しないように、係が部屋を訪ねて目覚めを確認。一泊約14万円のスイートルームを自習や談話のために開放……。至れり尽くせりのサービスを、それぞれ競い合っている▼わが30余年前は、だいぶ違った。東京の古びた旅館は4、5人の相部屋だった。すぐ打ち解けあって色々話をしたが、ひとりがひどい寝言持ちで悩まされた。数日で別れたきり、互いの合否もその後も知らない、18の春の一期一会である▼センター試験が終わってシーズンは本番だ。高額宿泊組には「かえって緊張しないよう」、エコノミー組は「吉凶は宿によらず」と励ましたい。もし落っこちたら、「私はどんな失敗も好機に変えようと努力してきた」という、冒頭の富豪の金言がある。
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发表于 2008-1-22 09:29:08 | 显示全部楼层

2008年01月22日(火曜日)付

歌舞伎「暫(しばらく)」では、善男善女が皆殺しになる寸前、超人的ヒーローが大声で「しばらーく」と現れ、悪党をこらしめる。「しばらーく」から長々と待たせては、善人たちは助かるまい▼そんな間延びしたおかしさを、ガソリン税の暫定税率に見る。列島改造の政権が道路財源に上乗せして34年、しばらーくのはずが9度延長された。「暫」の字もこれほど長いたなざらしは不本意だろう▼与党はさらに10年の延長を、民主党などは撤廃を求めている。撤廃なら高値のガソリンが1リットルで約25円下がるというから、生活防衛の一助にはなる。だが民主党の「ガソリン値下げ隊」には人気取りのにおいがする。ビールやたばこでも隊を結成してくれ、と思う人は多かろう▼撤廃すれば年2兆6千億円の税収が消え、地方の道路予算が死ぬという与党の主張はどうか。守りたいのは道路より工事にも見える。ガソリン消費を促すような策は採れないというが、また都合よく環境の看板を掲げたものだ▼この問題には、地域格差、財政、環境といった重い論点が絡んでいる。油代の攻防に「分かりやすく」丸めては困る。とうに意味をなさない「暫定」を改め、国づくりの論議を尽くすべきだ▼歌舞伎の「暫」は単純な筋ながら、荒事(あらごと)の様式美にあふれる。細部を究めての分かりやすさ、主人公の派手な隈(くま)取り、仰々しい装束と魅力は尽きない。さて政治の舞台でも論戦の幕が開いた。党利党略で隈取ったガソリン国会には、花道ではなく客席から「しばらーく」と割って入りたい。
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发表于 2008-1-22 20:12:53 | 显示全部楼层
呵呵,多谢楼主分享
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发表于 2008-1-23 09:06:26 | 显示全部楼层

2008年01月23日(水曜日)付

103歳で亡くなった日本画家の片岡球子(たまこ)さんは、浮世絵師の渓斎英泉(けいさい・えいせん)を描いている。自作の美人画に囲まれ、遊び慣れた風にくつろぐ英泉。原色しま模様の弛(たる)んだ着物に、右手でつまむ白杯の硬さが浮き上がる。86歳の作とは思えぬ軽快さだ▼若い頃は帝展や院展によく落ちた。「落選の神様」と呼ばれた当時を、後に女子美術大学の後輩たちに語っている。「展覧会が近づくと、みんな私を避けて通るんだよ。ほんと悔しかった。負けないぞと思ったね」(奥岡茂雄『片岡球子・個性(こころ)の旅路』)▼歴史上の人物の「面構(つらがまえ)」シリーズは還暦後だ。時にユーモラスに描く武将や高僧、絵師らの顔は、歴史の教科書で見るより人間くさい。この人なら今の世をどう考え、動いたかと夢想して筆を運んだそうだ▼奔放な画風が地位を得た頃、最晩年の横山大観からの「助言」が興味深い。酒豪の大観は、杯を右手のつめで弾(はじ)きつつ片岡さんに話したという。「この音が描けなければ一人前じゃない」▼だから、人も山も内面に踏み込んで向き合った。そうして描いた杯を弾けば、心で陶器が鳴る。「私の富士山は理想の山じゃなく、いつも生きている山。変な形になればなるほどいいんです」は95歳の言である。「暴れ回るように描きたい」と、最後まで時代に媚(こ)びなかった▼折しも本日、大観の没後50年展が東京で開幕する。大家を通した大観と、遅咲きながら長く香った片岡さん。ともに日本の伝統絵画を前に進めた。「面構」の主たちを交えて、天寿の杯を交わす頃か。
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发表于 2008-1-26 18:32:25 | 显示全部楼层

2008年01月24日(木曜日)付

「涙雪」というのだろうか。この冬初めて都心が白く染まった昨日、日本橋の証券街を歩いた。株価は少し戻したが、電光ボードを見る人は少ない。弁当売りが歩道に青いパラソルを広げている。どれも390円と、こちらは温かい「安値安定」だ▼世界同時株安の中、日経平均は昨夏のピークから3割ほど下げた。資産家の鳩山法相は「40億円損したのではないかといわれている」と、額の割にはのんきに語る。兄の民主党幹事長と「兄弟同時損害」だという。その万分の一でも、持ち株の評価損は消費者の心を重くする▼住宅ローンの焦げつきに発した米国の不始末で、世界経済の体温がズルズルと下がっている状況だ。米政府による景気対策の発表、大幅な利下げにも、市場の反応は鈍い▼無敵の軍を思うがままに動かし、地球環境にはさほどの関心もなく、貿易赤字はそのままに「借金」で石油がぶ飲みの消費ざんまい。もっぱら為政者の責任だが、米国のありようが問われているかに見える。この国が仕切る世界も、長くはないのか▼日本の冬景色に目を転じる。深刻なのは、株には縁遠い貧困層の生活だ。食品や灯油の値上げは、余裕のない家計を狙い撃つ。金満大臣の軽口、首相のすました物言いを聞くにつけ、国民生活を守る緊張感がどれほどありやと気が沈む▼きのうの東京は今冬一番の冷え込みだった。証券街の地下通路で、紙袋を枕にして男性が丸まっていた。国際経済の曇り空の下で、10円にこだわる生身の暮らしが凍えていることに心したい。
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发表于 2008-1-26 18:32:42 | 显示全部楼层

2008年01月25日(金曜日)付

人魚の涙にも例えられる真珠は古来、偶然の恵みだった。珠(たま)を抱いた貝は珍しく、つまり人魚はめったに泣かない。それが20世紀に入り、彼女はめっきり涙もろくなった。水産業と宝飾業の十字路にこぼれ出た、養殖真珠である▼アコヤ貝などの体内に異物を入れると、それを核にカルシウムとたんぱく質の層が交互に積み重なっていく。人が泣かせた涙の粒だが、天然の真珠と同じく歳月だけが大きくする▼世界初の養殖ビジネスで成功した御木本幸吉(みきもと・こうきち)は、外遊のたび事業をこう説明した。「貝をだまし、月の涙のような真珠質を分泌させる。お陰で世界旅行ができますのじゃ」。幸吉の大言壮語は、しかし商才と努力に裏打ちされていた。きょうが生誕150年にあたる▼「真珠王」には逸話が多い。明治天皇に発したと本人が言う「世界中の女の首を、真珠でしめてご覧にいれます」の言葉は伝説だ。昭和初めの訪米ではエジソンに会った。80歳の発明王は「ダイヤと真珠だけは作れなかった」と驚いたという▼銀座のミキモト本店で、大正期のカタログを拝見した。日本初のネックレスは、多くの首を「しめた」ことだろう。型破りの創業者と、繊細な商品。日本の産業を飛躍させた取り合わせである▼日本経済が揺るぎない地位を固めるにつれ、粗野だが進取の活力にあふれた起業家は天然真珠の珍しさになった。どの業界も、無難を旨とする経営者が多い。幸吉の先の言葉も今では「世界中の女性の首を真珠で飾ってみせます」と、より丸く伝えられている。
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发表于 2008-1-26 18:33:38 | 显示全部楼层

2008年01月26日(土曜日)付

タイムカプセルといえば、卒業の日に校庭の隅に埋め、忘れた頃の同窓会で掘り出すのが一つの型だろう。昔話に花が咲き、早世した友の作文にしんみりもする。さて、この異形のカプセルは何を語るのか▼昨春、シベリアの永久凍土から見つかったマンモス「リューバ」が東京で公開された。生まれて約半年の雌は凍ったまま、推定3万7000年前の姿をとどめる。体の仕組みなどを科学の目で調査中だ▼零下18度のケースの中、子供の腕ほどの鼻をぶら下げて、リューバは歩く姿で置かれていた。ほぼ無傷なのは、氷を踏み抜くなどして瞬時に冷やされたためらしい。青い照明に浮かんだ顔が優しい。半開きの口はただ微笑(ほほえ)んでいるようにも、何か言いかけたかにも見える▼マンモスの絶滅は約1万年前。前後して、多くの大型動物が死に絶えた。人類による乱獲、気候の急変など、絶滅に至る経緯には諸説あり、真相は太古の霧に包まれている▼そのころ最後の氷河期が終わり、シベリアや北米の気温が上昇した。これで植物の種類が一変し、降雪が増え、マンモスの食料が不足したというのが一つの見方だ。そして今、文明が引き起こした初の気候変動が地球を覆っている▼この惑星で40億年、主役を代えながら続いた生物のリレー。バトンを握る人類はよろけ、今にも転びそうだ。温暖化がこれほど進まなければ、リューバはまだ凍土の中だろう。彼女の「伝言」は氷河期の記憶だけではない。姿をさらし、小さな体で発した未来への警告にも、耳を澄ましたい。
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发表于 2008-1-28 08:55:06 | 显示全部楼层

2008年01月27日(日曜日)付

湯たんぽと聞くと、向田邦子さんの随筆を思い出す。戦後間もなく、母親がよく、どぶろくを作ったそうだ。湯たんぽにひもをつけ、瓶(かめ)に寝かせてあるどぶろくの中につるした。ほどよく温めて発酵を促すためである▼向田さんは昭和ひとけた生まれ。子供のころは湯たんぽを寝床に入れてもらった。朝起きると、洗面所へ抱いて行って顔を洗った。生ぬるい湯は日向(ひなた)のにおいがしたという。遠い日の冬の朝を、懐かしむ世代もおられよう▼素朴なその暖房具が、この冬、よく売れている。郷愁を誘うのか、近年静かな人気があった。そこへ原油が高騰し、節約という実利も加わってブームに火がついた▼〈コンセントみんな使つて冬に入る〉。ユーモラスな句が朝日俳壇にあった。だが湯たんぽを工夫して使えば、コードの何本かは抜くことができそうだ。筆者も、古いブリキ製を引っ張り出してみた。消したこたつに入れると、結構暖かい▼それを、寝る前に布団に放り込む。翌朝、洗面器にあけて使うと、なお人肌のぬくみを残している。温暖化が危ぶまれる時代に、ささやかな功徳(くどく)を積むような満足感を味わった▼江戸期の図説百科『和漢三才図会』は、湯たんぽを「竹夫人(ちくふじん)とともに寒暑をしのぐ重宝な用具」と紹介している。竹夫人とは、竹や籐(とう)で編んだ「抱き枕」のことだ。抱きかかえたり、足をのせたりして涼をとる▼呼び名はともかく、古人の知恵には違いない。こちらはすっかりすたれたが、省エネとレトロの時代に、思わぬ復活がないとも限らない。
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发表于 2008-1-28 08:55:22 | 显示全部楼层

2008年01月28日(月曜日)付

ずいぶん盛大に座布団が舞ったものだ。きのうの大相撲の千秋楽、両横綱の相星決戦は白鵬に軍配が上がった。久々に堪能した相撲好きもいたことだろう。行儀の悪さを言われつつも、折々に舞う座布団は、ファンの正直な思いを乗せている▼座布団ばかりではない。昭和の初めごろまでは、羽織を脱いで投げる人もいたそうだ。粋筋の女性客などは、帯揚げをほどいて投げた。相撲部屋の若い衆らが拾って持ち主に届け、ご祝儀をもらう習わしもあったと聞く▼祝儀どころか、「金返せ」の声とともに座布団が飛んだのが、前回の九州場所である。千秋楽、優勝圏内にいた千代大海が突然休場した。負けても優勝と決まった白鵬は、気が抜けたのか結びの一番で転がされた。さえない幕切れへの不満が、座布団に乗って舞った▼横綱の相星対決は5年半ぶりだった。力を絞ったがっぷり四つの末、白鵬が渾身(こんしん)の上手投げで朝青龍を仕留めた。白青どちらのファンも、きのうの座布団には「納得」の思いを乗せたのではないか▼ファンに「叱(しか)られ」ても「怒られ」てはいけない。そんな意味の言葉を、横綱審議委員会委員長だった独文学者の高橋義孝さんが残している。叱ってくれるのは、根に愛情があるからだという▼手に汗握る大一番で、朝青龍問題という「前門の虎」は何とか檻(おり)につないだ格好だ。だが若手力士の死亡事件という「後門の狼(おおかみ)」は、なお捜査が続く。ファンの「叱」が「怒」に変わる危うさを抱えたまま、日本相撲協会の厳しい綱渡りも当分は続く。
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发表于 2008-1-29 17:13:21 | 显示全部楼层

2008年01月29日(火曜日)付

白日の下で行われるスポーツにも「魔物」の棲(す)むところがある。よく知られるのは高校野球の甲子園だろう。独特の雰囲気が球児をのみ込む。魔に魅入られたようなエラーや乱調に、幾人もが涙を流してきた▼マラソンでは30キロ過ぎに棲むといわれる。「30キロの壁」という言葉もある。日曜にあった大阪国際女子マラソンで、魔物は福士加代子選手にとりついた。快調に先頭を走っていたが、別人のように失速した。足を運ぶのもままならず何度も倒れた▼並はずれた健脚を韋駄天(いだてん)と呼ぶ。仏法の守り神の名前だ。釈迦の遺骨を盗んだ鬼を追いかけて奪い返した俗説から、足の速い人の代名詞になった。福士選手はトラックでは名うての韋駄天だったが、初めて挑んだマラソンで魔物の洗礼に沈んだ▼メキシコ五輪で銀メダルの君原健二さんによれば、30キロを過ぎての最終盤は「一歩一歩が血を吐く思い」だという。「だれがこんなむごいレースを考え出したのか」。憎みながら走ったものだと、著書『マラソンの青春』で回想している▼立ち止まる誘惑と格闘しながら、「この先の電柱まで、あそこの家まで」ともがく。その積み重ねで、君原さんは参加した35回すべてを完走した。「走り抜く」ことを大切にした名選手である▼福士選手もまた、転んでも転んでも起き上がって、走り抜いた。優勝者より大きな拍手は、悔しかっただろう。だが前をめざす凄(すご)みを、見る者に教えてくれた。いつの日か魔物を仇(あだ)討ちにする。その姿を見たいファンは少なくないはずだ。
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发表于 2008-1-30 10:02:45 | 显示全部楼层

2008年01月30日(水曜日)付

かつて本紙に連載された4コマ漫画の「フジ三太郎」は、万年ヒラ社員だった。やっと昇進話があったが、ポストには空きがない。上司から「係長一応補佐仮代理」なる名ばかりの肩書を内示されて悲憤する。そんな場面があった▼「肩書が長くなるほど、仕事の重要性は減る」と皮肉ったのは誰だったか。その点、「店長」なら、きっぱりした肩書だ。ところが名に伴う権限はなく、そのくせ管理職と見なされて、残業代は支払われないとしよう。ヒラの方がまだましだと、三太郎も尻をまくるに違いない▼そうした名ばかりの「偽装管理職」が、外食やコンビニなどに広がっている。管理職は、労働基準法で残業代や休日手当の対象外とされる。ただ働きだから、経営側にとっては辞令一枚で人件費抑制策になる▼日本マクドナルドの店長(46)が、それを違法だと訴えた。判決は主張を認め、会社側に残業代など約750万円の支払いを命じた。休日なし、残業137時間の月もあったそうだ。過労死が危ぶまれるラインをとうに超えている▼胃袋と足が言い争うイソップの寓話(ぐうわ)がある。「うまいものは胃袋が食うが、俺(おれ)なしには動けやしない」と足が不平を鳴らす。胃袋の方は、「私が栄養をあげなければ、お前はくたばる」と譲らない▼胃袋の言い分は、いまなら企業のそれに近い。せっせと働いて会社をもうけさせれば、おのずと栄養は社員にまわる。一方の理ではあろう。だが働く者の人間性を脅かすような偽装がはびこるようでは、その理もむなしい。
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发表于 2008-1-31 14:38:56 | 显示全部楼层

2008年01月31日(木曜日)付

こたつの中だと元気だが、外に出れば意気地がうせる。そんな寒がりを「炬燵(こたつ)弁慶」という。部屋の暖房も心もとない灯油高の冬に、ほのかな光を見る1月の言葉から▼仙台市の成人式で、同僚記者が漢字1字の抱負を聞くと「挑」「誠」「夢」……と頼もしい文字が並んだ。「克」を選んだ詰め襟の防衛大生は「防衛省の不祥事が目立つが、私は己を厳しく律する自衛官でありたい」▼その若者たちが、恋愛をしなくなった、と言われる。付き合うのが「面倒」なのだそうだ。マーケティングライターの牛窪恵さんは「20代って一番いろいろな恋愛ができる時なのに。恋愛しないのは、個人にとってもこの国にとっても大きな損失。もったいない」と背中を押す▼東京の渡部成俊さんは残り時間を「未来」にささげた。がんを告げられてから、小中学校で「いのちの授業」を続けてきた。13日に62歳で力尽きた。妻の嘉子さんは「体はほろびても、心の隅に残った言葉が、いつか子どもの支えになればいいと話していました」▼毎週土曜の同じ時刻に、新宿駅の地下でプラカードを掲げ、無言で平和を訴える人々がいる。そのひとり小島治子さんは「気づいたら子どもたちが戦場にいる、というようなことは避けたい」▼奇跡ってあるのだなと、一匹のサメガレイに驚かされた。15年前に小学生が風船で飛ばした手紙が、カレイの背に付着して海で見つかった。書いた少女はいま大学生。「がんばったカレイにありがとうを言わないと」。額に入れて自宅に飾るそうだ。
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发表于 2008-1-31 17:31:42 | 显示全部楼层
最近太忙,好久没来了!
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发表于 2008-2-3 15:46:43 | 显示全部楼层

2008年02月01日(金曜日)付

あぶない食べ物の筆頭といえば、古来フグだろう。美味なだけにあきらめきれず、フグは食いたし命は惜しし、となった。江戸期の俳人蕪村もそのくちだったか、〈河豚(ふぐ)汁のわれ生きてゐる寝覚めかな〉と詠んでいる▼その河豚汁を、ギョーザと言い換えねばならないような事態である。正確には中国製冷凍ギョーザ。農薬の混入したのを食べた人たちが、中毒の症状を訴えた。千葉と兵庫両県で、3家族の10人がめまいや嘔吐(おうと)、全身のしびれに襲われた▼うち3人は一時重体に陥った。「スーパーに並ぶ食品で命の危険にさらされるとは思いもしない」と息子が死に瀕(ひん)した母親は憤る。ほかにも不調の訴えが相次いでいる。こんなことでは昔のフグなみに、口に入れるのが「肝試(きもだめ)し」になってしまう▼人件費の安い中国は、今や「世界の工場」と呼ばれる。だがその産品に、輸出先の国々で逆風が吹きつのっている。残留農薬や有毒物質の混入など、消費者を逆なでする問題が後を絶たないからだ▼笑えない話を、中国人ジャーナリストの莫邦富(モー・バンフ)さんが本紙に寄せていた。江蘇省の農婦が農薬を飲んで自殺を図った。病院に運ばれたが、命に別条はなかった。なんと農薬が「偽農薬」だったからだという。粗悪な品が出回る社会を象徴するような悲喜劇だろう▼おりしも中国は、日本の正月にあたる春節が近い。帰省者を迎え、家族がそろって、湯気の立つ水餃子(ギョーザ)に舌鼓を打つのが習わしだ。おいしいものを笑顔で食べたい。その思いに、国の違いなどないはずである。
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