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楼主: uin61

[其他翻译] 日本語小説「怪人二十面相」

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 楼主| 发表于 2009-6-27 11:51:04 | 显示全部楼层
                  怪盗捕縛
「だが、明智君。」
警視総監は、説明が終わるのを待ち構えていたように、明智探偵に尋ねました。
「君はまるで、君自身が二十面相ででもあるように、美術品盗奪の順序を詳しく説明されたが、それはみんあ、きみの想像なのかね。それとも、何か確かな根拠でもあるのかね。」
「もちろん、想像ではありません。僕はこの耳で、二十面相の部下から、いっさいの秘密を聞き知ったのです。今、聞いてきたばかりなのです。」
「え、え、なんだって?君は二十面相の部下に会ったのか。いったい、どこで?どうして?」
さすがの警視総監も、この不意うちには、どぎもを抜かれてしまいました。
「二十面相の隠れ家で会いました。総監閣下、あなたは、僕が二十面相のために誘拐された事をご存知でしょう。僕の家庭でも世間でもそう考え、新聞もそう書いておりました。しかし、あれは、実を申しますと、僕の計略にすぎなかったのです。僕は誘拐なんかされませんでした。かえって賊の味方になって、ある人物の誘拐を手伝ってやったほどです。
昨年のことですが、ぼくはある日一人の不思議な弟子入り志願者の訪問を受けました。ぼくはその男を見て、非常に驚きました。目の前に大きな鏡が立ったのではないかと怪しんだほどです。
なぜと申しますと、その弟子入り志願者は、背格好から、顔つきから、頭の毛の縮れ方まで、この僕と寸分違わないくらいよく似ていたからです。つまり、その男は僕の影武者として、何かの場合の僕の替え玉として、雇ってほしいというのです。
ぼくは、誰にも知らせず、その男を雇い入れて、あるところへ住まわせておきましたが、それが今度役に立ったのです。
僕はあの日外出して、その男の隠れ家へ行き、すっかり服装を取り替えて、僕に成りすましたその男を、先に僕の事務所へ帰らせ、暫くしてから、僕自身は浮浪人赤井寅三というものに化けて、明智事務所を訪ね、ポーチのところで、自分の替え玉とちょっと格闘をして見せたのです。
賊の部下がその様子を見て、すっかり僕を信用しました。そして、それほど明智に恨みがあるなら、二十面相の部下になれと勧めてくれたのです。そういうわけで、僕は、僕の替え玉を誘拐するお手伝いをしたうえ、とうとう賊の巣窟に入ることが出来ました。
しかし、二十面相のやつは、なかなか油断がなくて、仲間入りをしたその日から、僕を家の中の仕事ばかりに使い、一歩も外へ出してくれませんでした。むろん、博物館の美術品を盗み出す手段など、僕には少しも打ち明けてくれなかったのです。
そして、とうとう、今日になってしまいました。僕はある決心をして、午後になるのを待ち構えていました。すると、午後二時ごろ、賊の隠れ家の地下室の入り口があいて、人夫の服装をしたたくさんの部下のものが、手に手に貴重な美術品を抱えて、ドカドカと降りてきました。むろん博物館の盗難品です。
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 楼主| 发表于 2009-6-29 16:17:12 | 显示全部楼层
僕は地下室に留守番をしている間に、酒、さかなの用意をしておきました。そして帰ってきた部下と、僕と一緒に残っていた部下と、全部のものに祝杯を勧めました。そこで部下たちは、大事業の成功した嬉しさに、夢中になって酒盛りを始めたのですが、やがて、三十分ほどもしますと、一人倒れ、二人倒れ、ついには残らず、気を失って倒れてしまいました。
なぜかとおっしゃるのですか。分かっているではありませんか。僕は賊の薬品室から麻酔剤を取り出して、あらかじめその酒の中へ混ぜておいたのです。
それから、僕は一人そこを抜け出して、付近の警察署へ駆けつけ、事情を話して、二十面相の部下の逮捕と、地下室に隠してある全部の盗難品の保管をお願いしました。
お喜びください。盗難品は完全に取り戻すことができました。国立博物館の美術品も、あの気の毒な日下部老人の美術城の宝物、そのほか、二十面相が今までに盗みためた、全ての品物は、すっかり元の所有者の手に返ります。」
明智の長い説明を、人々は酔ったように聞きほれていました。ああ、名探偵はその名に背きませんでした。彼は人々の前に広言したとおり、たった一人の力で、賊の巣窟を突き止め、全ての盗難品を取り返し、あなたの悪人を捕らえたのです。
「明智君、よくやった。よくやった。わしはこれまで、少し君を見誤っていたようだ。わしから厚くお礼を申します。」
警視総監は、いきなり名探偵のそばへ寄って、その左手を握りました。
なぜ左手を握ったのでしょう。それは明智の右手がふさがっていたからです。その右手は、いまだに老博物館長の手と、しっかり握り合わされていたからです。妙ですね。明智はどうしてこんなに老博士の手ばかり握っているのでしょう。
「で、二十面相のやつも、その麻酔薬を飲んだのかね。君はさいぜんから部下の事ばかり言って、一度も二十面相の名を出さなかったが、まさか首領を取り逃がしたのではあるまいね。」
中村捜査係長が、ふとそれに気づいて、心配らしく訪ねました。
「いや、二十面相は地下室へは、帰ってこなかったよ。しかし、僕は、あいつもちゃんと捕らえている。」
明智はにこにこと、例の人をひきつける笑い顔で答えました。
「どこにいるんだ。いったいどこで捕らえたんだ。」
中村警部が性急に訪ねました。他の人たちも、総監をはじめ、じっと名探偵の顔を見つめて、返事を待ち構えています。
「ここで捕まえたのさ。」
明智は落ち着き払って答えました。
「ここで?じゃあ、今はどこにいるんだ。」
「ここにいるよ。」
ああ、明智は何を言おうとしているのでしょう。
「僕は二十面相のことを言っているんだぜ。」
警部が、けげん顔で聞き返しました。
「僕も二十面相のことを言っているのさ。」
明智が、鸚鵡返しに答えました。
「謎みたいな言い方はよしたまえ。ここには、われわれが知っている人ばかりじゃないか。それとも君は、この部屋の中に、二十面相が隠れているとでもいうのかね。」
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 楼主| 发表于 2009-6-30 16:00:47 | 显示全部楼层
「まあ、そうだよ。ひとつ、その証拠をお目にかけようか・・・・・・。どなたか、たびたびご面倒ですが、下の応接間に四人のお客様が待たせてあるんですが、その人たちをここへ呼んでくださいませんか。」
明智は、またまた意外なことを言い出すのです。
館員の一人が、急いで下へ降りていきました。そして、待つほどもなく、階段に大勢の足音がして、四人のお客様という人々が、一同の前に立ち現れました。
それを見ますと、一座の人たちは、あまりの驚きに、「アッ。」と叫び声を立てないではいられませんでした。
まず四人の先頭に立つ白髪白ぜんの老紳士をごらんなさい。それは、紛れもない北小路文学博士だったではありませんか。
続く三人は、いずれも博物館員で、きのうの夕方から行方不明になっていた人々です。
「この方々は、僕が二十面相の隠れ家から救い出してきたのですよ。」
明智が説明しました。
しかし、これはまあ、どうしたというのでしょう。博物館長の北小路博士が二人になったではありませんか。
一人は今、階下から上がってきた北小路博士、もう一人は、最前からずっと明智に手を取られていた北小路博士。
服装から顔形まで寸分違わない、ふたりの老博士が、顔と顔を見あわて、睨み合いました。
「みなさん。二十面相が、どんなに変装の名人かということが、お分かりになりましたか。」
明智探偵は叫ぶや否や、今まで親切らしく握っていた老人の手を、いきなり後ろに捩じ上げて、床の上に組み伏せたかと思うと、白髪のかつらと、白い付け髭とを、なんなくむしりとってしまいました。そのしたから現れたのは、黒々とした髪の毛と、若々しいなめらかな顔でした。いうまでもなく、これこそ正真正銘の二十面相その人でありました。
「ハハハ・・・・・・、二十面相君、ご苦労さまだったねえ。さいぜんから君はずいぶん苦しかっただろう。
目の前で君の秘密が、見る見る暴露していくのを、じっと我慢して、何くわぬ顔で聞いていなければならなかったのだからね。逃げようにも、この大勢の前では逃げ出すわけにもいかない。いや、それよりも、僕の手が、手錠の変わりに、君の手首を握り続けていたんだからね。手首が痺れやしなかったかい。まあ、勘弁したまえ、僕は少し君をいじめすぎたかもしれないね。」
明智は、無言のままうなだれている二十面相を、さも哀れむように見下ろしながら、皮肉な慰めの言葉をかけました。
それにしても、館長に化けた二十面相は、なぜもっと早く逃げ出さなかったのでしょう。昨夜のうちに、目的は果たしてしまったのですから、三人の替え玉の館員といっしょに、さっさと引き上げてしまえば、こんな恥ずかしい目に会わなくてもすんだのでしょうに。
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 楼主| 发表于 2009-7-6 17:04:38 | 显示全部楼层
しかし、読者諸君、そこが二十面相なのです。逃げ出しもしないで、ずうずうしく居残っていたところが、いかにも二十面相らしいやり口なのです。彼は、警察の人たちが偽者の美術品にびっくりするところが見物したかったのです。
もし、明智が現れるようなことがおこらなかったら、館長自身がちょうど午後四時に盗難に気づいたふうを装って、みんなをアッと言わせるもくろみだったに違いありません。いかにも二十面相らしい冒険ではありませんか。でも、その冒険がすぎて、ついに、取り返しのつかない失策を演じてしまったのでした。
さて明智探偵は、キッと警視総監のほうに向き直って、
「閣下、では怪盗二十面相をお引渡しいたします。」
と、しかつめらしく言って、一礼しました。
一同あまりに意外な場面に、ただもう呆気に取られて、名探偵の素晴らしい手柄を褒め称える事も忘れて、身動きもせず立ち竦んでいましたが、やがて、ハッと気を取り直した中村捜査係長は、ツカツカと二十面相のそばへ進みより、用意の捕縄を取り出したかとみますと、見事な手際で、たちまち賊を後ろ手に戒めてしまいました。
「明智君、ありがとう。君のおかげで、僕は恨み重なる二十面相に、こんどこそ、ほんとうに縄を掛けることが出来た。こんな嬉しい事はないよ。」
中村係長の目には、感謝の涙が光っていました。
「それでは、僕はこいつを連れて行って、表にいる警官諸君を喜ばせてやりましょう・・・・・・。さあ、二十面相、立つんだ。」
係長はうなだれた怪盗を引き立てて、一同に会釈しますと、傍らにたたずんでいた、さいぜんの警官とともに、いそいそと階段を降りていくのでした。
博物館の表門には、十数名の警官が群がっていました。今しも建物の正面入り口から、二十面相の縄尻をとった係長が現れたのを見ますと、先を争って、その側へ駆け寄りました。
「諸君、喜んでくれたまえ。明智君の尽力で、とうとうこいつを捕まえたぞ。これが二十面相の首領だ。」
係長が誇らしげに報告しますと、警官たちの間に、ドッと、ときの声が上がりました。
二十面相は惨めでした。さすがの怪盗もいよいよ運のつきと観念したのか、いつものずうずうしい笑顔を見せる力もなく、さも神妙にうなだれたまま、顔を上げる元気さえありません。
それから、一同、賊をまんなかに行列を作って、表門を出ました。門の外は公園の森のような木立ちです。その木立ちの向こうに、二台の警察自動車が見えます。
「おい、誰かあの車を一台、ここへ呼んでくれたまえ。」
係長の命令に、一人の警官が、警棒を握って駆け出しました。一同の視線がその後を追って、遥かの自動車に注がれます。
警官たちは賊の神妙な様子に安心しきっていたのです。中村係長も、つい自動車のほうへ気を取られていました。
いっせつな、不思議に人々の目が賊を離れたのです。賊にとっては絶好の機会でした。
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 楼主| 发表于 2009-7-7 09:02:10 | 显示全部楼层
二十面相は、歯を食いしばって、満身の力をこめて、中村係長の握っていた縄尻を、パッと振り放しました。
「ウム、待てッ。」
係長が叫んで立ち直ったときには、賊はもう十メートルほど向こうを、矢のように走っていました。後ろ手に縛られたままの奇妙な姿が、今にも転がりそうな格好で森の中へと跳んでいきます。
森の入り口に、散歩の帰りらしい十人ほどの、小学生たちが、立ち止まって、この様子を眺めていました。
二十面相は走りながら、じゃまっけな小僧どもがいるわいと思いましたが、森へ逃げ込むには、そこを通らぬわけにはいきません。
なめに、たかのしれた子供たち、俺の恐ろしい顔を見たら、恐れをなして逃げ出すに決まっている。もし逃げなかったら、蹴散らして通るまでだ。
賊はとっさに思案して、構わず小学生の群れに向かって突進しました。
ところが、二十面相の思惑はガラリと外れて、小学生たちは、逃げ出すどころか、ワッと叫んで、賊の方へ飛び掛ってきたではありませんか。
読者諸君は、もうおわかりでしょう。この小学生たちは、小林芳雄君を団長にいただく、あの少年探偵団ではありました。少年たちはもう長い間、博物館の周りを歩き回って、何かの時の手助けをしようと、手ぐすねひいて待ち構えていたのでした。
まず先頭の小林少年が二十面相を目掛けて、鉄砲玉のように飛びついていきました。続いて羽柴壮二少年、次はだれ、つぎはだれ、みるみる、賊の上に折り重なって、両手の不自由な相手を、忽ちそこへ転がしてしまいました。
さすがの二十面相も、いよいよ運のつきでした。
「ああ、ありがとう、君たちは勇敢だねえ。」
駆けつけてきた中村係長が少年たちにお礼を言って、部下の警官と力をあわせ、こんどこそ取り逃がさぬように、賊を引っ立てて、ちょうどそこへやってきた警察自動車のほうへ連れて行きました。
そのとき、門内から、黒い背広の一人の紳士が現れました。騒ぎを知って、駆け出してきた明智探偵です。小林少年は目早く、先生の無事な姿を見つけますと、驚喜の叫び声をたてて、そのそばへ駆け寄りました。
「おお、小林君。」
明智探偵も、思わず少年の名を呼んで、両手を広げ、駆け出してきた小林君を、その中に抱きしめました。美しい、誇らしい光景でした。この、うらやましいほど親密な先生と弟子とは、力をあわせて、ついに怪盗逮捕の目的を達したのです。そして、お互いの無事を喜び、苦労をねぎらいあっているのです。
立ち並ぶ警官たちも、この美しい光景に撃たれて、にこやかに、しかし、しんみりした気持ちで、二人の様子を眺めていました。少年探偵団の十人の小学生は、もう我慢ができませんでした。だれが音頭をとるともなく、期せずしてみんなの両手が、高く空にあがりました。そして一同、可愛らしい声を揃えて、繰り返し繰り返し叫ぶのでした。
「明智先生、ばんざーい。」
「小林団長、ばんざーい。」
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 楼主| 发表于 2009-7-7 09:03:28 | 显示全部楼层
二十面相の物語はここまで終わりです。
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发表于 2009-7-11 18:16:37 | 显示全部楼层
141# uin61
お疲れ様でした~~~~
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发表于 2009-7-14 13:15:17 | 显示全部楼层
1年間、誠にお疲れ様でした~
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发表于 2009-7-21 13:12:36 | 显示全部楼层
60# uin61

楼主翻译得好精彩,
从52#开始就没有中文的了,是我的电脑有问题,还是......
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 楼主| 发表于 2009-7-28 08:26:45 | 显示全部楼层
144# guanjunwei


不好意,后面没有翻译.
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发表于 2009-12-30 13:08:07 | 显示全部楼层
好  加油
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发表于 2010-6-9 16:06:08 | 显示全部楼层
お疲れ様でした!!!
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发表于 2010-6-22 14:15:21 | 显示全部楼层
hao xongxi  ding
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发表于 2013-2-23 01:14:03 | 显示全部楼层
楼主真的坚持下来了呢 谢谢!
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