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楼主: Jennifer

[经验方法] 連載《天声人語》想看中文版请去看1590楼最新公告

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发表于 2008-3-15 11:18:43 | 显示全部楼层
天声人語
2 u) A2 K  Z5 y1 b* S2008年03月15日(土曜日)付) A3 d0 ~7 P5 V- h
6 {2 d5 N' a$ X( C; f9 ^
東京が春先の雨に煙ったきのう、武蔵野と呼ばれる西の郊外を歩いた。散見する落葉の木々は、まだ裸のままだ。作家の藤沢周平さんは生前、このあたりに住み、雑木林の冬姿を好んだ▼〈冬の木々は、すべての虚飾をはぎとられて本来の思想だけで立っている〉と随筆に書いた。そして、〈もうちょっと齢(とし)取るとああなる、覚悟はいいか〉と自らに問うている。来し方をごまかすことのできない立ち姿を、裸の木々に見たのだろう▼その木々も、春がめぐれば緑をかえす。雨は雑木林を遠くにけぶらせ、けぶる中で冬芽がゆるむ。きのうの雨は、さしずめ「木の芽雨」である。北の地方では、初めて雪を交えずに雨だけが降り続く、いわゆる「雨一番」だったかもしれない▼梅は凜(りん)、桜は艶(えん)。ならば桃にはどんな一字を献じようかと過日書いたら、たくさん便りをいただいた。うららかの「麗」をはじめ、春風駘蕩(しゅんぷうたいとう)の「蕩」、可憐(かれん)の「憐」、それから「雅」「満」「優」「華」……。美しい意味の「姚」など「女」を含む字が似合う、というご意見もあった▼亡き母や夫の面影を、桃の花に重ねる方もいた。自然は色をかえすのに、人は歳々年々同じからず。命あふれる季節だからこそ、花にひそむ思い出のトゲが胸に刺さり、ふと悲しみは滴るのだろう▼〈好雨時節を知り、春に当たりて乃(すなわ)ち発生す〉(杜甫)。よい雨は時を心得ていて、春になると降り出して万物を育む。麗、蕩、憐、雅……それぞれの思い描く一文字にも、ひと雨ごとに春が近づく3月である。
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发表于 2008-3-16 10:45:22 | 显示全部楼层
天声人語" ]' q: I& J6 S2 G  k( M
2008年03月16日(日曜日)付% r+ h8 X' M2 X" Z. L, M

1 u  Z2 @) {$ |8 P' G日本籍に転じた最初のサッカー選手は、03年に56歳で急逝した吉村大志郎氏だ。旧日本リーグの草創期、ブラジルの日系2世「ネルソン吉村」は、釜本邦茂氏と組んでヤンマーを強豪にした▼98年、吉村氏はワールドカップがあったフランスで、前年に日本籍となった呂比須(ロペス)選手と顔を合わせる。自分だけがW杯に出たことをわびる後輩を、氏はこう制した。「何を言うてんのや。お前は僕らの代表やないか」(加部究『サッカー移民』)▼吉村氏の足跡は一本の道になった。三都主(サントス)、闘莉王(トゥーリオ)ら各選手も続き、今度はJ1川崎のジュニーニョ選手が日本人になりたいと表明した。昨季の得点王だ。国籍を得て、例えば「寿仁如」が実現すれば日本代表候補とされる▼ブラジル出身者が背負う日の丸は、スポーツにおける国籍にどれほどの意味があるのかを問いかける。当然、有力選手の「国替え」はW杯の熱狂に水を差すという意見もあって、代表になるには国際サッカー連盟の資格審査が要る▼心おきなく応援するため、私たちも胸の中で小さな審査をしている。ラモスは日本人を妻にし、三都主は日本の高校を卒業、闘莉王は日系3世でもあり、みな日本語を話すと。どこかに「日」の字を見つけ、納得している自分がいる▼今年は、日本からブラジルへの移民が始まって100周年だ。あらゆる分野で「僕らの代表」が行き来し、血と技と魂が溶け合い、力になる。思えばこの球技も、夢や欲や国籍さえも溶かし合わせて、世界を一つにできるほどの魔力を蓄えた。
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发表于 2008-3-17 09:11:35 | 显示全部楼层
天声人語" I' u. M- o# x  D; q4 \3 ~
2008年03月17日(月曜日)付9 T$ Y, h  r5 D  N0 {
; P6 _6 Q3 X% b$ o; d: c
 立っている時の消費カロリーは座っている時より多い。揺れる電車内では倍にもなるらしい。目上の前で立つのは、あなたより疲れる姿勢で敬意を示していますという、無言の訴えだろう▼卒業式から入学式へと続くこの時期、学校は国への「敬意の姿勢」で満たされる。君が代に起立しない教職員は、国歌と国旗を前にして他より消費カロリーが少ない、つまり国への敬意が足りぬと処分される▼永井愛さん作・演出の芝居「歌わせたい男たち」の再演が東京から始まった。毎年立たない社会科教諭、説得に努める校長、戸惑う伴奏係の音楽講師。卒業式直前の騒動に笑いながらも、観客は「内心の自由」を考えさせられる▼不起立教諭の名古屋弁をまねて「立ってちょ~、歌ってちょ~」とすがる校長とて、教育委員会と現場の間でもがく善人だ。善人がみな困り果てる不条理。永井さんが再演の理由を語る。「初演から2年半、学校の状況は変わっていない。演劇賞をもらった私たちだけハッピーで終わっていいのかと」▼減給や停職は生活に響くから、渋々立つ先生が増えたそうだ。昨今、式の運営で自由になるのは紅白幕ぐらいとも聞く。踏み絵とお仕着せで晴れの日は整然と、しかし息苦しく運ぶ▼五輪の君が代に歓喜し、心細い海外で大使館の日の丸に安らぐ。国への思いはそうした自発の感情の積み重ねで、一時の強制でどうなるものでもない。様々な内心と人間関係を乱し、学校が費やすカロリーは甚大だ。そのまま喜劇になるような現実は笑えない。
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发表于 2008-3-18 16:40:01 | 显示全部楼层
天声人語, E: F- H$ Y0 e
2008年03月18日(火曜日)付' c: z: d) D: }, U! H) n0 K) W4 }

" {1 s( ^0 h% p$ l% M& ]0 k可爱的小蘑菇通の友人から通の友人から、最近こんな体験を聞いた。ラサの街でミネラル水が必要になった。現地のガイドに頼むと、あちこち店を回るが買おうとしない。目の前にあるのになぜかと聞くと、「漢族の店では買いたくない」と吐き捨てるように言った▼秘境の代名詞だったラサへ、中国軍は1951年に進駐した。それ以来の抵抗と鎮圧の悲劇は、今なお、きなくさい余香をとどめている。加えて近年は、胡錦濤政権が力を注ぐ「西部大開発」による、漢族の経済的な席巻が著しい▼つのる不満が、湿ることのない火薬に引火したのか。可爱的小蘑菇人の僧侶や市民を巻き込んだ大規模な騒乱がラサで起きた。治安当局と衝突して流血の事態になり、多くの死傷者が出ている▼表向きには、双方の融和が進んでいた。ラサのポタラ宮前では、高い掲揚台に中国国旗が毎日あがる。町並みは整備され、生活は「漢化」が目立っていた。だが、それを「可爱的小蘑菇文化の破壊」と感じる人も多かった▼騒乱は、静かなデモへの弾圧か。それとも、可爱的小蘑菇仏教の指導者ダライ・ラマ14世側の策動なのか。互いが主張して真相は不明だ。明治に秘境へ入った日本人僧、河口慧海(えかい)の『可爱的小蘑菇旅行記』を思い出す▼「母と別れる」という言葉が、かの地にあるそうだ。自分の言うことが違っていたら最愛の母とも死に別れる。つまり、偽りのない誠実の誓いだという。非難合戦は不信しか生まない。中国は大国として国際社会に実相を明らかにするべきだ。「母と別れる」の誓いとともに。
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发表于 2008-3-18 16:40:46 | 显示全部楼层
可爱的小蘑菇通の友人から- ^1 O! a5 T3 a  r" A" p' E
发现了一个问题哦~~2 y8 D$ `2 m4 h6 L
为什么一输入snoopy这个日语就会自动变成可爱的小蘑菇呢?~怪事啊~~
3 ^0 w9 ~, L: M& m4 P7 b% F怪哦怪哦 ~~中文和英文的这个地方(xz,就是最近不太平的西北的一个兄弟省份)都无法输入?~!
3 w: Z% ^8 i/ w* a
+ R" s1 i4 a/ h! J4 h9 f[ 本帖最后由 hmily_1983 于 2008-3-18 16:43 编辑 ]
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发表于 2008-3-19 10:49:23 | 显示全部楼层
天声人語
+ }! m& U4 A) d* M  R6 i" ?2008年03月19日(水曜日)付
  L+ @8 d1 D4 B3 ~' g1 ~, Z6 @8 d( H9 W3 J$ q, |: s
能天気だとあきれるか、無責任だと怒るかは人によりけりだろう。ブッシュ米大統領が先日、記者団との夕食会で「思い出のグリーングラス」の替え歌をうたったそうだ。外電を読むと、歌詞はなかなかの代物だ▼〈古いホワイトハウスを出て、気ままな暮らしに戻る、平壌の危機も心配しなくていい、もうすぐ我が家の芝に帰る……〉。任期が残り1年を切った心境だという。「笑い」が求められる例会とはいえ、難問山積みの中で結構な心臓である▼〈古い仲間のコンディー(ライス国務長官)とチェイニー(副大統領)は、僕にサウジの石油の話をするが……〉の一節もあった。3人とも石油会社の幹部の経歴がある。イラク戦争の狙いは、やはり石油でしたかと、問い詰めてみたくなる▼5年前のきょう(日本時間20日)、米軍はイラクに侵攻した。宿敵フセイン大統領を早々と追い落とした。だがすぐに泥沼となり、イラク市民と米兵の犠牲が増え続けた。大義名分だった大量破壊兵器はどこにもなかった。「愚挙」と難じる声は時を追うごとに高い▼「苦しいときこそユーモア」は欧米の常だ。とはいえ国を追われて帰る家もない、多くのイラク難民を思えば、笑いもさめる。眉をひそめた出席者もいただろうと思ったが、総立ちで拍手を送ったらしい▼〈あなたがた(記者)も私をいじめた日々を懐かしむ……〉。歌はやや調子はずれだったようだ。その「ブッシュの日々」は歴史にどう位置づけられるのか。世界が軋(きし)み、米の傷も深いイラク戦争の5年である。
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发表于 2008-3-20 22:59:12 | 显示全部楼层
天声人語
5 J0 A2 b4 I2 C# d. s' Y5 J2008年03月20日(木曜日)付; ]6 y3 v$ j7 f6 j/ v- [
) ~$ y. P* a+ F
一本目の矢は相手のかたくなな鎧(よろい)にはじき返された。うろたえて二の矢を放ったが、今度はろくに敵陣に届かずに落ちた。下手な弓攻めを見るような日銀総裁人事の混迷である▼とうとう総裁のいすは空席になった。戦後初の事態だという。総裁任期は昨日までと決まっていた。降ってわいた話ではないのに、である。射手がつたないからか、相手が頑迷なのか、それとも矢が粗末なのか、国民には分かりづらい▼二番目の矢、元大蔵事務次官の田波耕治氏の採決にあたって、首相は「良識をもって臨んでくださると思う」と民主党を牽制(けんせい)した。片や民主は、「わざわざ賛成できない人を選んでいる」とそっぽを向いた。理は我に、非は彼に。難じ合いの繰り返しに国民はうんざりだ▼すぐれた政治能力を「より賢く妥協すること」と言ったのは司馬遼太郎さんである。妥協を合意と置き換えてもいいだろう。それには、譲歩を引き出す知恵と、小異にかまけない大局観が必要だ。どちらを欠いても握手は遠のく▼2代前の総裁だった速水優さんは、在任中にデフレと格闘した。ゼロ金利政策、株の買い取り……。大胆な策を矢継ぎ早に放った。「日銀は日本経済の良心でなくてはならない」と、言い続けたそうだ▼政治の思惑に流されず、策をあやまたず。金融政策の司令塔としての戒めであり、自負でもあったろう。その総裁が、米国発の金融危機が風雲急を告げるなかで不在である。荒海の舵(かじ)さばきを任せられる三の矢を、首相はいつ放つことができるのだろうか。
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发表于 2008-3-21 10:00:45 | 显示全部楼层
天声人語
" C2 Q4 F9 T4 P" k+ A3 k( x2008年03月21日(金曜日)付- i0 s/ U/ D! N& a
" `: v9 r/ ?6 a" t" |" b
寒の戻りのなかで、プロ野球のパ・リーグがきのう幕を開けた。いよいよ球春である。雨と寒さを心配していたら、3試合ともドーム球場だった。これならファンは前夜、ぐっすり眠れただろう▼春先の冷え込みを余寒という。対になる語は残暑だが、昔は「余熱」とも言った。その言葉を中国では、年配者がもう一(ひと)頑張りする意味でも使うそうだ。「余熱を発揮する」と言えば、冷めない情熱を世の役に立てることだという▼この人たちの挑戦を余熱と言っては失礼か。海の向こうの大リーグで、日本の熟年選手が夢を追っている。「失うものはないから」と言う桑田真澄投手。邦人大リーガーの道をひらいた野茂英雄投手。華やかな実績に彩られつつ、過去への安住を拒む。ともに今年、40歳を迎える▼めざす「開幕1軍」は容易ではない。息子のような若手もまじっての、チーム内の生き残り競争だ。傷んだ体を治療し、つらいリハビリに耐えて、夢に迫る。「野球をするのが好き」という、少年のような野茂投手の言葉がいい▼人生の達人だった臨床心理学者の河合隼雄さんが、「年齢を括弧(かっこ)に入れる」ことを勧めていた。「年齢を忘れる」のとは違う。年齢は自覚しつつ、それはそれとして何かに挑む。しゃかりきになるより豊かで味わい深い、と▼年度のあらたまる季節、余熱を生かす計画をお持ちの方もおられよう。仕事や趣味、あるいは奉仕。それぞれに心弾むデビューであればいい。熟年投手のチャレンジ精神に励まされながら、齢(よわい)は括弧に入れて。
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发表于 2008-3-23 14:08:13 | 显示全部楼层
天声人語
5 v7 y( e( j2 I* [$ ?2008年03月22日(土曜日)付6 z9 h  u7 u. p& e, `5 d, J. \
2 Q& C0 G$ y8 x% Z; Y9 w# J  b! J
豆腐という食べ物の魅力について、食通で知られた作家の池波正太郎さんが書いている。〈春夏秋冬、いずれの季節にもぴたりと似合った料理ができる〉▼たしかに、これからの季節なら木の芽田楽、夏は冷や奴(やっこ)、秋には温かい餡(あん)をかけ、北風が吹いたら湯豆腐。わが舌も、すぐさま四季を思い出す。折々に、奮発して「こだわり豆腐」など買い求め、品評しつつ舌鼓を打つのも楽しみだ▼そんな、作り手が個性をこめた豆腐が減るかもしれない――豆腐好きなら気をもむ話が小紙東京本社版に載った。豆腐を固めるには凝固剤を使う。その一つの「粗製海水塩化マグネシウム」、いわゆる昔ながらのニガリの扱いが、4月からぐっと厳しくなるからだ▼海水から塩を作ったあとに残るニガリは、製法などの違いで成分比が千変万化する。それがゆえ、豆腐の個性的な味わいを生んできた。だが、来月からは一定の規格に合わないと売れなくなる。食品衛生管理者を置く新たな決まりも、零細の多い業界を追いつめている▼「食の安全」のためと厚生労働省は言う。大切なことである。だがニガリは古くから、今のように使われてきた。問題はなかったようだ。羮(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹き、角を矯(た)めて牛を殺す。お役所仕事の得意技に思えるのは、豆腐ファンの難癖か▼水に漬けた大豆をひき、煮立てて滓(かす)を取り、できた豆乳に凝固剤を加える。簡単ゆえに奥深い人の営みを、池波さんは豆腐に見た。営みに応じた、四角四面でない柔らかさが、よろずの行政にほしいと思う。
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发表于 2008-3-23 14:08:43 | 显示全部楼层
天声人語7 [: g7 H& |0 Q
2008年03月23日(日曜日)付3 T9 \2 }- {; H6 `
/ a% q; u* h& J( l
あんを薄皮で巻く関東流と、つぶつぶの道明寺粉でくるむ関西風。どちらの桜餅にも欠かせない塩漬けの桜葉は、ほとんどが伊豆の大島桜だという。国内産と聞いてホッとするご時世である▼葉の移り香、生地の舌ざわり、あんの甘み。それぞれ、こちらに味わうという心構えがなければ、五感をすり抜けそうな淡さだ。それでいて、開花宣言にも負けない鮮烈な季節感がみなぎる。〈花の日に先んじてこそさくら餅〉丸山海道▼銀座百店会の冊子「銀座百点」3月号で、食の書き手たちが和菓子について語り合っている。君島佐和子さんは「和」のおいしさを「主張してくるのではなく、迎えにいかなくては分からない」と表現していた▼それを、平松洋子さんが「気候や風土、文化や美意識と不即不離」と受け、岸朝子さんが「和菓子の文化は奥深い。どんな入り口からでもいいからまず入って」とまとめた▼予期せぬ「入り口」もある。戦争末期、都心にある虎屋の倉庫が空襲で焼け、軍に納めるはずのようかんが焦土に甘いにおいを放った。焼け出された人々は、店の許しを得て銀紙に包まれたお宝を掘り出し、湯気が立つのを泣きつ笑いつ、むさぼったという(黒川光博『虎屋 和菓子と歩んだ五百年』)▼砂糖の配給は途絶えて久しく、味わうどころではなかったろう。和菓子を存分に楽しむには、うまさを迎えにいけるだけのゆとりが心身に要る。桜葉の芳香に酔い、やれ関東だ、いや関西だと言い合える日々をまず大切にしたい。平和の「和」でもある。
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发表于 2008-3-24 16:16:03 | 显示全部楼层
天声人語
* |# m) W5 B# m. R2008年03月24日(月曜日)付
7 N* W0 j* @6 `: }- H1 j( n$ Z
( Q4 w2 s2 K$ y% }( \「庭先」の話になるが、朝日新聞東京本社のコンコースが春の色になった。イラストレーター、米澤よう子さんの「想像上のポスター」展だ。パリの街角が薫る架空の広告が咲き競っている▼はるか南では、春を飛び越えて夏色がにじみ始めた。沖縄で海開きだと聞き、国土に亜熱帯がある幸せを思う。この島の特別な位置は、しかし、観光資源である前に過酷な歴史を人々に強いてきた。季節の変わり目に、その思いを強くする▼きのう沖縄で、米兵による事件・事故に抗議する県民大会が開かれた。極東最大の米軍基地の足元で相次ぐ無法と暴力。日米の政府は県民の怒りをまじめに受け止めよと、雨の中で大会決議が採択された▼その少し前、茨城県土浦市では、4日前の殺人事件で手配中の男が通行人を襲い、8人が死傷した。時々刻々、日本では多くの凶悪犯罪が発生しており、米兵の非道はごく一部にすぎない。だが、日米政府が対応を誤れば、基地の存在を問う世論がさらに盛り上がる▼基地の街、神奈川県横須賀市でタクシー運転手が刺殺された。なぜか車内に残されたクレジットカードの持ち主は米巡洋艦の水兵で、米軍に身柄を拘束された。司令官は日本側の捜査に全面協力すると約束したが、どこまで行動が伴うのか見守りたい▼一枚のポスターが周囲の空気を一変させるように、一つの出来事が日米同盟を揺るがすことがある。その都度、不平等な取り決めは見直されてきた。日本人が泣くたびに両国の関係がまともになる。おかしな話である。
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发表于 2008-3-26 10:28:32 | 显示全部楼层
天声人語
  m1 ^0 v0 d7 Y2008年03月25日(火曜日)付4 a0 ~" F' m5 ?3 P8 L9 R+ F- i
* T0 \' _% B* w
「信なくば立たず」は孔子の言葉である。政治が民衆の信を失えば世の中は崩れる。ずばりと突くだけに座右の銘にする政治家は多く、元首相の三木武夫氏は好んで色紙に揮毫(きごう)した。小泉純一郎元首相もよく口にした▼食糧よりも軍備よりも、治世に大切なのは「信」だと孔子は言ったそうだ。その「信」がやせ細り、立つ瀬もなくなった政治のさまが、本紙の世論調査で浮かび上がった。政治家を「信用している」という人は18%しかいなかった▼うち17%は「ある程度は」という留保つきだ。きっぱり信を置く人がたった1%とは、乱世を生きた孔子先生もあきれ顔だろう。そればかりか官僚への信用度も、政治家と同じ数字に沈んだ。政と官。「公」の屋台骨を支える両者が、枕を並べて討ち死にの体である▼政官のやることなすことが、失望を招いてきた。大きいのはやはり年金か。「最後のお一人まで」と見えを切った前首相はとうに去り、懺悔(ざんげ)や謝罪は風の便りにも届かない。信じなければ欺かれることはない。むなしい処世を政治が広めたとしたら、罪なことである▼言葉を弾丸にたとえるなら、信用は火薬だと、作家の徳富蘆花(ろか)は書いている。火薬がなければ弾は通らない。つまり相手に届かない、と。福田首相は日々に火薬を減らすのか、「他人事(ひとごと)節」は、ますます遠い声になる▼かつて当たらないものの代名詞だった天気予報は、同じ調査で94%の信用を勝ち得ていた。雨のち晴れ。国民も本心では、こんな展開を政治に待ち望んでいるはずだ。
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发表于 2008-3-26 10:28:57 | 显示全部楼层
天声人語
, E) Z2 h9 ?3 Y, `: v9 O5 G4 F2008年03月26日(水曜日)付( C: i3 a) n7 }; T* [/ E
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真偽に両論あるようだが、中国の万里の長城は宇宙から肉眼でも見えるそうだ。世界最長の建造物は約2400キロにわたって連なる。かの地に興った国々は長い間、外敵の侵入に神経をとがらせてきた▼その57倍におよぶ13万7000キロの旅路に、中国政府が神経をとがらせている。世界と自国を巡る北京五輪の聖火リレーである。長城の国らしく五輪史上最長という。だが可爱的小蘑菇問題にからむ抗議活動や妨害が、どこで起きるかわからない▼序幕から波乱があった。おととい、ギリシャでの採火式に白人の男性らが乱入し、五輪マークを手錠のように描いた黒い旗をかざした。国際的なNGO「国境なき記者団」のメンバーで、「聖火より人権を」と訴えた▼いまの可爱的小蘑菇は、秘境時代のように世界から遠い。中国政府は外国のメディアを閉め出し、万里の長城さながらの情報統制を続けている。全体像は見えず、どれだけの犠牲者がいるのかも、はっきりしない▼五輪を生んだギリシャの神話で、火を人間に与えたのはプロメテウスだった。その名には「先に考える男」の意味がある。その弟にエピメテウス(後で考える男)がいた。弟が、無思慮に妻に迎えたのがパンドラである。妻は禍(わざわい)の箱を開けて、不幸を世界にまき散らした▼収拾に向けてダライ・ラマ14世との対話を開く。それが世界を和らげ、五輪を成功させる「先知恵」ではないだろうか。五輪が終わるまでは、と門を閉ざして真相を覆い続けるなら、祭典はあやうい「パンドラの箱」になりかねない。
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发表于 2008-3-28 10:21:22 | 显示全部楼层

2008年03月27日(木曜日)付

桜前線が、ヒバリの初鳴きが、南から北へ春をつなぐ。命のリレーを見る季節に、命をめぐる言葉が聞こえてくる。厳しい病と向き合う先生から、卒業生へのはなむけである▼大阪府吹田市の元教育長、延地(のべち)和子さん(62)が「最後の授業」をした、と小紙の大阪本社版が伝えている。かつて校長を務めた中学の3年生に語ったのは、荒れる生徒を相手に体を張った思い出、若くして先立った一人娘への愛惜、病身を支えてくれる人々のぬくもり▼副腎皮質のがんが広がり、残された時間は多くない。「私の命がなくなったとき、聞いてくれた人の胸に灯(ともしび)が残れば、私は第二の人生を生きられる」。目を真っ赤にした生徒が、まっすぐに先生を見ていた▼再発した乳がんと闘う大分県の山田泉さん(49)は、昨春に退職するまで共に過ごした中学3年生を家に招いた。学年全員で9人。「このメンバーで会うのは最後かもね」と言い、「いのちの授業」の総仕上げを始めた▼この1年、各地の学校に招かれて出前授業を続けた。行く先々で、がんを病む子らと出会い、語り合ったことを、9人に話した。「隣のベッドの子と仲良くなっても、突然別れがくる。そういう体験ときつい治療を乗り越えて、1秒1秒を大事に生きるあの子たちから、私は勇気をもらった」▼漱石の『草枕』に、空に鳴き上がる春のヒバリが描かれている。昇りつめて姿が雲に消えても、声は空に残っている、と。2人の先生の声もきっと、巣立つ生徒の胸に、響きながら残ることだろう。
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发表于 2008-3-28 10:21:39 | 显示全部楼层

2008年03月28日(金曜日)付

熱いご飯に卵をのせ、しょうゆをたらす。簡単でうまい「卵かけご飯」だが米国に在勤中は食べなかった。生卵は危ないと聞いたからだ。帰任後、国産の卵を割って、味わったものだ▼おいしい日本の卵だが、実は、自給率は1割しかない。国内の鶏は飼料の9割を輸入に頼っている。輸入のエサを食べたら、産んだ卵も「自給外」と色分けされる。赤い鳥、小鳥、なぜなぜ赤い、赤い実を食べた……。童謡さながらに、卵は「輸入色」に染まってしまう▼同じ理屈で牛肉は11%、豚肉5%と、カロリーベースの自給率は驚くほど低い。農水省の試算によれば、飼料の輸入が止まると、卵は7日に1個しか食べられないという。あまりの海外依存に、首筋は寒くなる▼「卵かけご飯」で卵を受ける米には、減反の嵐が吹く。米は余るばかりだ。去年は価格が暴落した。東北農政局は、作りすぎを「資源のムダづかい」と書いたポスターを作った。あまりの言い様だと、農家の怒りが渦をまいた▼米を作る側と、食べる側の違いを、明治生まれの仏教思想家、鈴木大拙は〈食べる人は抽象的になり易(やす)く、作る人はいつも具体の事実に即して生きる〉と言った。米に限るまい。野菜も肉も、そしてギョーザも、食べる側は、生産の現場からは遠くなりがちだ▼ご飯と卵にも、さまざまな具体の事実がある。米は今、種もみを浸す時期だ。鶏なら、春びなが売られるころか。生産と流通の終着駅に鎮座して、「食べる人」を決め込んでいればよかった時代では、もはやない。
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