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发表于 2008-5-13 10:26:19
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天声人語
9 D6 |# d' Z, ~, m1 b: W+ _+ u( D ^2008年05月13日(火曜日)付
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! X$ I/ a, [: N2 D9 [( J$ W戦後すぐに庶民が詠んだ「平和百人一首」を収めた新刊『百のうた 千の想(おも)い』を、東京の大竹桂子さんにいただいた。公募され、2万数千首から選ばれたという。平和や、働く喜びをうたって、どれも美しい▼炭鉱の歌が目立つのは、基幹産業だったからか。〈新(あらた)なる国興さむと二千尺坑底ふかく鶴嘴(つるはし)ふるふ〉〈出坑をまちてゐたりと妻の呼ぶ声は明るし麦田のなかに〉。「黒いダイヤ」ともてはやされ復興を支えた。だが石油に主役を奪われ、衰退したのは周知の歴史である▼その国内炭が、時ならぬ光を浴びている。原油の高騰につられて、海外炭の値上がりが止まらないからだ。日々の生活からは消えたが、工業用になくてはならない。国内で年に1億7千万トンが煙になっている▼炭鉱が残る北海道では、新たな鉱区が久々に開発されるそうだ。地元は活況に沸いている。原油価格をはね上げる投機マネーの嵐が、追い風をもたらした形といえる▼「平和百人一首」には、農耕の歌も多い。〈刈入れも事なく終へて爐(ろ)を囲む秋の長夜は楽しかりけり〉。米は「銀シャリ」と尊ばれた。だが、こちらも近年は冷遇されてきた。その風向きが、輸入小麦の高騰で少し変わりつつある▼米粉の増産支援に、政府が乗り出すそうだ。小麦の代わりに、パンやめんの原材料に使うのだという。米も石炭も、国の「ピンチ」で光が当たるのは、思えば皮肉である。食糧の自給率39%、エネルギーはわずか4%。心細く肥満したニッポンが、60年前の歌に照らされるように浮かび上がる。 |
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