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楼主: Jennifer

[经验方法] 連載《天声人語》想看中文版请去看1590楼最新公告

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发表于 2008-5-19 10:25:20 | 显示全部楼层
天声人語
' L; a2 T1 {3 |! q6 B$ B. g) C2008年05月17日(土曜日)付1 G# {  L$ ?& }2 ?, ?4 K4 A2 m

# i5 F2 f' A% X: h4 k) C* H  o ミャンマー(ビルマ)の水害被災者を思いながら、あの国の短編小説の翻訳集を読んだ。物語はどれも、イラワジ川のデルタ地帯が舞台である。豊かな水が漁労や農耕を支える。その一帯に今回のサイクロンは牙をむいた▼小説には、迷信にとらわれた人々も登場する。諭しても聞き入れない。その頑迷を「水牛のそばで竪琴を奏でる」ようだと嘆く場面があった。日本なら「馬の耳に念仏」だろう。国際社会の働きかけに聞く耳を持たない軍事政権が、現地のことわざに重なる▼「モノはほしい。人はいらない」という頑迷を、軍事政権は崩さない。その救援物資も横流しがはびこっているという。飢え、脱水、さらに伝染病。天災から逃れた命が、人災に脅かされる。いたたまれない様が、閉ざされがちな現地から伝わってくる▼大地震の中国からも痛ましい報道が続く。救援ははかどらない。「妹を救いたい」と泣きながら、震源の町へ歩く男性を、本紙の記者が伝えていた。妻に止められたが、遺書を置いて出てきたという。被災地を覆う悲しみと絶望に、言葉もない▼その地へきのう、日本の国際緊急援助隊が入った。9年前のトルコ地震での活動を思い出す。がれきの中から老いた女性を救い出した。固唾(かたず)をのんでいた住民から、歓声と拍手がわき起こったという。たとえひとりでも、死地から救い出された命は、多くの人に希望と勇気を分け与える▼「命の竪琴」の奏でる調べを、ミャンマーの為政者にも聞いてほしい。水牛ではないのだから、聞く耳はあるはずだ。
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发表于 2008-5-19 10:25:46 | 显示全部楼层
天声人語
  d( m. _  b" p4 \) o% Y( r" x2008年05月18日(日曜日)付  J0 T6 N/ r8 C8 n

: `# L2 s! o  P2 e. F 久しぶりにビワを食べた。球体とも卵形ともつかぬ外見に、枇杷(びわ)色と呼ぶしかない果肉。ほのかな甘みと酸味が懐かしい。中国原産というが、この実が醸す曖昧(あいまい)さは和のものだ。フルーツより水菓子の名が似合う▼今年、種のないビワが初めて店頭に並んだ。千葉県の農林総合研究センターが10年をかけて生んだ新品種「希房(きぼう)」。あるべきものがない珍しさに、1個5千円の値もついた▼〈枇杷すすりすぐに大きな種と会ふ〉小内春邑子。その種は、なるほど、実に比して不当に立派である。種や皮を除くと、食べられる部分は重さで7割弱。種が消え、これが9割になったそうだ。もともと微妙な味に大差はなく、出荷が増えれば相場も落ち着くだろう▼こうした「破格」の最たるものは夕張メロンだ。過日の初競りにて、2個250万円の史上最高値が出た。今年も夕張再建への激励だという。ひとたびブランドになれば話題づくりも思うがままだ▼星新一の短編「リオン」では、動物学者がリスとライオンをかけ合わせた新生物をつくる。かわいいが、不審者には勇猛に立ち向かう夢の動物。それを見た友人の植物学者は、ブドウとメロンを交配し、大きな実が房をなす夢の果物に挑む。苗は育ち、ブドウ大の実をメロンのように少しだけつけた▼「ブロン」ほどでなくとも、見込み違いは品種改良につき物だ。それでも、より甘く、もっと大きく、さらに食べやすくをめざして、探究心と商魂の並走は続く。自給ままならぬ日本の食料事情は、かくして頂ばかりが伸びてゆく。
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发表于 2008-5-19 10:26:15 | 显示全部楼层
天声人語* E. I5 H  v% Q/ g0 F) q
2008年05月19日(月曜日)付' H  h& T4 X, x8 q1 J+ O
8 K2 J1 _( O6 a+ Z* }7 W4 M
 舞踏会に行かせてやろうと、魔法使いはカボチャを馬車にした。薄幸の娘が恥ずかしげに聞く。「でも、こんなきたないふくをきていくのですか」(世界名作童話全集『シンデレラ姫』講談社)▼誰にも、最高の衣装に包まれたい時がある。それが「踊り」の出来まで決めるとあれば、なおさらだ。五輪を控え、日本の競泳陣は落ち着かないことだろう。英スピード社の「魔法の水着」が世界新記録を連発している時に、北京に臨む日本代表は国内3社のものをつける契約になっている▼英社製を試した日本選手は「全く違う」と驚いたそうだ。着飾った自分に「よその人みたい」と叫んだ娘の姿が重なる。契約ゆえにメダルを逃しては本末転倒だから、日本水泳連盟は3社に改良を求めた。新作を試した上で、英社製の扱いを決めるという▼技術大国の3社が、満を持した作である。「きたないふく」であろうはずがない。居並ぶスピード軍団を相手に勝てば、五輪伝説に一章が加わろう。逆の目が出た時のいさかいも目に浮かぶ。悪いのは踊り手か、衣装か▼五輪まで81日。地をけり、水を分けて記録を争う者は、鍛錬を仕上げる時期に入った。肉体と「戦場」を結ぶシューズやウエアもまた、日々、国際競争のジムで鍛えられてきた。昨今は、水着と共に戦う感覚らしい▼真新しい水着は、しかし、それなりに泳ぎ込まないと味方にならない。どの一着と踊るにせよ、舞踏会のシンデレラのように、選手に残された時間は限られている。遠からず、鐘は「よなかの12時」を打つ。
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发表于 2008-5-20 11:28:51 | 显示全部楼层
天声人語+ F. ~+ q( r; F% ~/ u
2008年05月20日(火曜日)付
8 p0 ?$ W2 c; d& b 3 P+ P6 f: T, ~/ D
 物理学者といえばいかめしいが、ノーベル賞を受けた朝永振一郎は身近な自然を楽しむ人だった。庭にえさ台を作って野鳥を寄せ、ふんの中から色々な種子を拾い集めたと随筆に書いている▼それを春先に鉢にまく。すると入梅のころから様々な芽が出てくる。双葉のうちは何の芽だか分からないが、そのうち見当がついてくる。ヒマラヤにしかない植物が生えてきたら面白いのに、と周囲から言われたそうだ▼意外な花が咲けば面白いが、あまり妙なのは困りものだ。茨城県下妻市で、ヒナゲシなどのつもりでまいた種から、法律で栽培が禁じられているケシが咲いた。恒例のフラワーフェスティバルの花畑のうち、1ヘクタールが「悪の花園」だと警察が気づき、先週あわてて刈る騒ぎになった▼アツミゲシという花で、麻薬の成分を含む。数十万本もあって1日では焼却しきれず、寝ずの番をしたそうだ。北アフリカの原産という。鳥が運んだはずもないが、紛れ込んだ経緯ははっきりしない。百花競う季節のミステリーである▼咎(とが)あるゆえか、ケシはどこかはかなげだ。マリー・ローランサンの絵を思わせる、と詩人の三好達治は言った。しかし、秘めた毒針は容赦がない。実からとれるアヘンなどは、陶酔感と引きかえに人を廃人にする▼朝永博士が鳥のふんから集めた種子は、育ってみると、近所にありふれた植物ばかりだったという。法律上ありふれた花ではないはずのアツミゲシが、なぜ盛大に咲いたのか。狐(きつね)につままれたような不思議を残したままでは、来年が気にかかる。
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发表于 2008-5-21 12:10:24 | 显示全部楼层
天声人語
; c9 Z5 m' g% ^. z2008年05月21日(水曜日)付
! F7 {! h# v! ]# l/ a" k
, v/ |7 c+ M% v0 u- a. T 気づいてみると、日本の家族はしばしば、最年少者から見た続柄で互いを呼び合う。子どものいる夫婦は、互いを「パパ」「ママ」などと呼ぶ。夫婦の両親も、「おじいさん」「おばあさん」などと呼び合う人が少なくないようだ▼仏文学者の河盛好蔵が、初孫を抱いた妻に「おじいちゃん」と呼ばれたときの戸惑いを書いている。「瞬間、おじいさんて誰のことだろうと思い、すぐ自分のことだと思い直すときの気持ちは、あまり愉快なものではない」(『おじいちゃま誕生』)▼ときに家族でも微妙な呼び方を、ほかの人がするのはいかがなものか。本紙東京本社版の声欄で、「外で他人に『お婆(ばあ)ちゃん』と呼ばれたくない」という趣旨の投書が相次いだ▼「おじいちゃん」も同じだろう。親密さの裏に、軽んじる響きを聞く人もいる。80代の女性は、「日本人は繊細さを大いに持ちながら、社会的には無神経が折にふれて出る」と書く。最たるものが後期高齢者の呼び名、と続けていた▼それにしても、今年の流行語大賞は堅いような「後期高齢者」の不評である。〈老人と言われた頃の温かさ〉と本紙の川柳欄にあった。75歳の線引きにも問題はあろう。それにも増して、呼び名を甘く見た鈍感が救いがたい▼逆風を和らげようと、政府は「高齢者元気プラン(仮称)」を取りまとめるそうだ。お年寄りの活躍の場などを聞かれ、首相は「お孫さんの面倒を見るとかね。そしたら保育ジジ、保育ババですか」と答えていた。言われて気分を損ねた人がいなければ、いいのだが。
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发表于 2008-5-21 17:36:15 | 显示全部楼层
えっ、これはどこの番組ですか?
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发表于 2008-5-22 09:17:40 | 显示全部楼层
天声人語
: Z7 ?7 r# M9 |+ Q1 j7 k# ?2008年05月22日(木曜日)付1 {2 `& I8 I8 g. }$ R* C" z

# b6 v- x5 V  i6 D7 s2 B) e1 { 想像するのもつらいが、中国の地震被災地では、まだ多くの人ががれきに埋まっている。いまも細く命の灯をともしているかもしれない。時間はしかし、待ってはくれない。刻一刻と過ぎて灯を吹き消していく▼現地では時間と競争して、秒針の音を聞くような思いだったろう。派遣されていた日本の国際緊急援助隊が、きのう帰国した。懸命の作業にもかかわらず、生存者を救い出すことはできなかった▼〈一寸の光陰軽んずべからず〉と中国宋代の詩の一節にある。軽んじたわけではあるまいが、中国政府からの要請は遅れた。発生から72時間で、がれきの下の生存率はぐっと落ちる。時間との「真剣勝負」では、初動の遅れを取り戻すのは難しい▼救えなかった無念は残るが、忘れがたい印象も残した。最初の現場でのこと、収容した母子の遺体に整列して黙祷(もくとう)をささげた。その姿が報じられると、中国人の心を揺さぶって、賛辞がわいた。この母子ほど敬意を払われた犠牲者はない。そんな声も伝わっている▼援助隊が戻った成田空港には、出迎える中国人留学生らの姿があった。日中の国民は、しばしば感情をぶつけ合ってきた。わだかまりを和らげたいと双方が願うとき、立ち返るべき一つの記憶に、この「黙祷」はなるかもしれない▼「禍(わざわい)がないことより大きな幸せはない」と中国の古典に言う。格言の崩れ去った惨状の地に、入れ替わりに日本の医療チームが入った。救える命を一人でも多く救ってほしい。禍の土地から芽ぶき花咲く、信頼や友情があると信じたい。
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发表于 2008-5-26 12:30:21 | 显示全部楼层
天声人語) F  K- x* r% R. k& d& o+ h3 d. k
2008年05月23日(金曜日)付
- J: ?, i" l+ P0 |$ \# a% G! L5 M. Z
 人類初の動力飛行に成功したライト兄弟の兄は、なかなか機知に富んでいた。成功後にスピーチを求められると、立ち上がって「みなさん、おしゃべりな鳥オウムは、上手に飛ぶことができません」。そう言って話を短く切り上げたそうだ▼その兄も、「おしゃべりな鳥」の雄弁に脱帽かもしれない。千葉県流山市で、オウムの仲間のヨウムが迷子になった。警察に保護されると、自分の名前や住所をしゃべり、無事に飼い主のもとへ戻った▼名前は「ナカムラヨウスケ」、住所は「ナガレヤマシ……」と地番まで正確に話したそうだ。あいさつばかりか、「はとぽっぽ」と童謡も歌う達者ぶり。ヨウスケくんは上手に飛ぶ必要もなく、車で悠々と帰って行った▼飛び上がるのが下手な鳥に、絶滅危惧(きぐ)種のアホウドリもいる。よたよたと不細工である。そのヒナ4羽が、小笠原諸島の聟島(むこじま)から巣立ったと知らせが届いた。火山活動が心配な鳥島で生まれ、2月に人の手で移住したヒナたちだ▼こちらは、迷子にならぬよう、人工衛星に手厚く追跡されている。成長すると広げた翼は2メートルを超す。いったん飛び上がれば、舞い姿は雄大だ。数年後には聟島に戻り、子孫を増やす期待をになう▼アホウドリはかつて乱獲で激減した。時代は変わったが鳥たちの受難は続く。国際自然保護連合は先ごろ、世界の約1万種のうち1226種に絶滅の恐れがあると公表した。生息環境を失い、温暖化に追われ、多くの鳥があえいでいる。心なごむニュースに微笑しつつ、わが日常の責任を省みる。
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发表于 2008-5-26 12:30:50 | 显示全部楼层
天声人語
; |! r7 \) t6 v3 x( A2008年05月24日(土曜日)付
8 P5 z4 G$ ^2 {  A$ h$ u) |0 Y" z" T5 O0 L* p1 {8 ?- P
 明けやすい夜を詠んで、昔の歌人は風流だった。〈夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを雲のいづこに月宿るらむ〉と百人一首にある。「まだ宵と思っていたら明けた」とは大げさだが、時計のない時代である。実際にそう感じたのかもしれない▼夜が短ければ、そのぶん昼間は長い。貴族は知らず、庶民はこの季節、よく働いただろう。「五月には心無しに雇われるな」と言うそうだ。日没が遅くなれば長く働かされる。あこぎにこき使われてはかなわない。雇われる側の用心が、短い言葉にこもる▼同じ警戒感が、サマータイム(夏時間)の導入論議にある。時計の針を1時間進めるから、日没は1時間遅くなる。そうなれば「あこぎ」が増幅しかねない。日が高いのに「お先に」とはいかない空気が、残業を強いる心配もある▼その夏時間を導入する法案を、超党派の議員連が今国会に提出するそうだ。2年後から導入の可能性もある、と聞けば無関心ではいられない。省エネ、夕刻の余暇利用といった利点が見込まれる半面、時間変更による混乱や労働強化などの不安も多い▼とはいえ今の季節、朝の5時には十分に明るい。なのに世の中は、まだ眠りから覚めていない。浪費するには惜しい「天然の照明」ではあろう。真夏ならこれに「天然の冷房」も付く▼3年前の本社の世論調査では、導入への賛否はきれいに二分されていた。あれこれ味を想像するだけでなく、一度食べてみて判断する手はないかと思う。「心無しに雇われない」準備を、整えたうえのことではあろうが。
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发表于 2008-5-26 12:31:39 | 显示全部楼层
天声人語
, x* f" Z& A& v  F2008年05月25日(日曜日)付$ s, t2 v& C) l' C/ C( t  C& Q

) H/ w6 M4 v/ ~* R2 [ 思わぬ所で、思わぬものに出会う。数日前、箱根湯本で大雨をやり過ごした時のことだ。小さな滝のそばの木に、サワガニがいた。苔(こけ)むした樹皮の目の高さあたりで、細い足をぐいと踏ん張っていた▼カニの居場所は海か川と決めつけていたが、水辺の木にいても不思議はない。えさ場なのか、休息中なのか。横ばいの愛敬者にすれば、どこにいるのも生きるための必然だろう▼カニが水から離れぬように、たいていの赤ん坊は寝床か母親の腕の中にいる。赤ちゃんポストの言葉に覚えた違和感は、思えば「樹上のカニ」の比ではなかった。素肌のぬくみと冷たい金属。両者の間には、偶然にも出会わせてはならない落差がある▼熊本市の慈恵病院が、新生児を匿名で預かる「こうのとりのゆりかご」を開設して1年が過ぎた。3月末までに男児13人、女児4人が託されたという。置き手紙などから身元が分かった子が9人。思い直して引き取りに来た親もいたそうだ▼捨てたんじゃない、つながっていたい。そんな親心の「迷い」に、かすかな救いを見る。露と消えかけた命を「ゆりかご」が救ったと信じたい。ただ、障害を持つ子もいたらしいと聞けば、気はめいる▼授かった命は、身を挺(てい)して守るのが生き物の習いだ。子の側も無意識に守られようとする。闇へと走り去る親の背に、生まれて間もない本能はどんな叫びを発したのか。ちなみにサワガニのメスは、50粒ほどの卵を抱き、子ガニが生まれてもしばらくは腹に抱えて過ごす。身勝手も生活苦もない、清流の話である。
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发表于 2008-5-26 12:32:14 | 显示全部楼层
天声人語% X, o9 s# @3 B. S
2008年05月26日(月曜日)付
& M& N# m2 \$ D$ \ $ c+ {7 o- V& l4 v" [0 c
 「働けないのなら去れ、というのが上司の考えです」。うつを発症した大企業の社員(38)の言葉だ。自身もこの病と闘う上野玲さんが『日本人だからうつになる』(中公新書ラクレ)で触れている。うつ多発の陰には日本的な「頑張れ精神」と、個を重んじない「村社会」があると上野さんは見る▼仕事上のストレスから心を病む人が絶えない。07年度、精神を患って労災と認められた人は、30代を中心に268人。うち、未遂を含む過労自殺が81人を数えた。ともに過去最多だ▼成長期には、社員の頑張りが会社を大きくし、皆を幸せにした。いまや競争と成果主義が職場を支配し、空気はとげとげしい。派遣やパートが増やされ、正社員の負担は重くなるばかりだ。時に頑張りという名のサービスだった残業は、過労と非効率のシンボルになった▼トヨタ自動車は、現場の知恵を吸い上げるQC(品質管理)サークル活動に対し、6月から残業代を丸々出すという。会社側は社員の自主活動としていたが、過労死訴訟で「業務」とする判決が確定、見直しを決めた▼日本マクドナルドも8月から、直営店の店長らに残業代を払い始める。残業代なしで遅くまで働く「名ばかり管理職」への批判に応えた形だ。同時に、店長手当をなくすなどして人件費を増やさぬ策も講じた▼タダ働きが減れば、会社は次の手を迫られる。残業代を抑えるには、新採用で人手不足を埋めるか、商いを身の丈に戻すしかない。何もせず、「残業代を減らせ」と号令をかけるばかりでは、病の巣は残る。
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发表于 2008-5-29 23:46:56 | 显示全部楼层
天声人語
" T+ M  n. F$ R, J: Z2008年05月27日(火曜日)付! Q& ^" C# `3 x6 G" p
7 h2 ^6 v% Y7 e. F7 v, r
銀座生まれの国文学者、池田弥三郎は相撲が好きだった。大相撲を見ての帰りは、隅田川の川風に吹かれて家路についたそうだ。一月場所の冬の風は冷たい。九月場所は残暑の湿気をはらんでいる。川風なら五月場所が一番いい、と書いている▼この季節の国技館は〈桟敷では、そら豆のさみどりが懐かしい。そして、打ち出して出て来ると、上気した頬(ほお)に、川風がこころよい〉(『行くも夢 止まるも夢』)。そんな心地よさを台無しにする、両横綱の醜態だった▼それも千秋楽、結びの一番である。勝負がついた後、四つんばいの白鵬を、朝青龍がさらに押しつけた。怒った白鵬が立ち上がりざまに肩をぶつけて応じ、土俵上でにらみ合いになった▼朝青龍の所作は、「だめ押し」という代物ではないだろう。「勝利が確実になった後で、さらに点を加え(念を入れて)、勝利を決定的にする」のを、だめ押しと言う。敗れた者をさらに地に這(は)わせるのは、幼い自己顕示にすぎない▼白鵬にも問題はあろう。荒ぶる心を鎮める冷静さを欠いていた。モンゴルの草原から吹く風は、今や大相撲を支えている。とはいえ、伝統の川風を蹴散(けち)らして吹き荒れるなら、ファンも心穏やかではいられない▼大相撲放送半世紀の元アナウンサー杉山邦博さんが、近著『土俵の真実』で、大相撲の魅力を「抑制の美を大事にしている」ことと述べている。勝ちっぷりも負けっぷりも、抑えが利いてこそ見事、ということだろう。反面教師ぶりに、角界はまた「どこ吹く風」を決め込むのだろうか。
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发表于 2008-5-29 23:47:36 | 显示全部楼层
天声人語  P- F+ N! e. E
2008年05月28日(水曜日)付
' v1 B" m3 Y  Z. e: S8 v( ~8 m6 ^6 Q1 b- }3 I' a
それまではピーク15、つまり「15番の峰」と素っ気なく仮称されていた山が、世界最高峰とわかったのは1852年のことだ。101年ののち、英国隊のヒラリー卿らが、究極の高みに初の足跡をしるすことになる▼そのヒラリー卿の家に飾られた写真を見て、若きプロスキーヤー三浦雄一郎さんはエベレストに惚(ほ)れたそうだ。70年に、8千メートル地点から滑降した。03年には、当時の世界最高齢の70歳で頂上に立った▼異彩を放つエベレスト歴に、おととい、新たなページを書き加えた。75歳7カ月での2度目の登頂である。8千メートルを超す山は、酸素を吸っても足はなかなか前へ出ない。アタックの日、そこを15時間かけて、登って下りた▼今回のために、心臓を手術した。いつも左右に5キロの鉛を入れた靴をはき、重いリュックを背負って街を歩いた。電車に乗れば、つり輪で懸垂をする。低酸素室での鍛錬も重ねた。老いと競うように「75の夢」を追う姿を、以前に取材したことがある▼「涙が出るほど厳しくて、つらくて、うれしい」と、頂上から言葉が届いた。それまでの膨大な「厳しくて、つらい」を、「うれしい」が太陽のように包み込む。その一瞬こそが、冒険家に与えられる報酬に違いない▼世界最高峰ゆえにエベレストは大衆化し、登頂者はすでに3千人を超えている。最高齢の記録も、前の日に登った76歳のネパール人に譲った。とはいえ、それで75歳の達成感がかき曇ることはあるまい。自らの夢をかなえて、なお人を勇気づける。思えば幸せな冒険家である。
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发表于 2008-5-29 23:47:55 | 显示全部楼层
天声人語4 j, I: t9 n7 R8 x: t) X) d. C1 r
2008年05月29日(木曜日)付" Z/ K* a; N' Z* z& U

3 F% s! n) {4 @8 k! r7 V/ S( a昭和の初め、黄熱病の研究のためにアフリカに赴いた野口英世は、自らが黄熱病にかかって51歳の生涯を終えた。自分の作ったワクチンが効かなかったからだという。「私には分からない」と、最期につぶやいたそうだ。時代は流れたが、その言葉に、感染症の怖さを見る思いがする▼英世の功績を記念した「野口英世アフリカ賞」を、政府が創設した。アフリカに関する医学や医療を対象にする賞だ。その第1回が、きのう、横浜でのアフリカ開発会議に合わせて贈られた▼受賞者のひとり、ブライアン・グリーンウッド博士は、英国のマラリア研究者である。長くアフリカに住んで、現地での人材の育成にも力を注いできた。きびしい地域で地道な成果を上げているそうだ▼しかし、道は遠い。蚊が媒介するこの病気で、アフリカでは毎日3千人の子が命を落とすという。サハラ砂漠より南では、子どもは6人に1人が5歳を迎えられない。その大きな原因にもなっている▼「貧困の病」とも言われる。予防や治療に、なけなしの収入が消える。病が貧困を招き、貧困が病をはびこらせる。マラリアだけではない。英世の死から80年をへて、エイズなど様々な感染症が今もアフリカを脅かす▼アフリカに渡った英世を、当時の米紙は「宿敵である黄熱病との戦いを開始した」と報じている。そこまでの貢献はできなくても、今は、ささやかな協力でアフリカを支援する手だてが結構ある。鳴り物入りの会議を機に、「遠くて遠い」と言われる国々に一歩でも近づけないだろうか。
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发表于 2008-6-23 10:27:19 | 显示全部楼层
5月の末に結婚式ために、ずっと更新できませんでした。5月30日-6月16日の天声人語は見つかれないので、載せられなくて、皆さん大変申し訳ございません。達人が誰か漏れた部分を載せると、大変ありがとうございます。
9 u. Q* r6 T+ yさあ、これから続けましょう。
1 c% y  C6 Y6 K) L
! w# @0 U$ A: ?2 s0 [2008年6月17日(火)付. W- ~& p+ s- L) _+ \5 z& L

4 X0 ^, k# y" N" Y6 X 青い空、緑の田んぼ。のびる線路に、1両だけの赤い気動車がゆく。日本の農村の原風景だろう。宮城県北部を東西に走った「くりでん」もそんな鉄道だった。くりはら田園鉄道は昨年春、惜しまれながら約90年の歴史を閉じた▼地元栗原市の依頼で廃線後の地域おこしを探っていた専門家が、岩手・宮城内陸地震で亡くなった。観光コンサルタントの麦屋弥生さん(48)と、鉄道博物館学芸員の岸由一郎さん(35)だ。当日は近くの湿原を見る予定で、温泉宿で市職員を待っていた▼麦屋さんは今年初めの市広報誌で市長と対談し、観光の役割を熱く語った。「自分たちの古里を再評価して、そこで生きていく自信をつけていく事業だと思います」。方言までも「この地の人と会って話さないと聞けない、究極の観光資源」とみていた▼岸さんは鉄道ファンの間では知られた人物だった。消えゆくローカル線の資料を残そうと奔走し、この人に救われた車両も多いという。くりでんの史的価値にも早くから注目していた▼週末の朝にもかかわらず、この地震では仕事中の受難が多かった。落石防止の工事現場では、まさに作業が始まったばかり。温泉宿の働き手は、朝ごはんの慌ただしさに包まれていただろう。そして、知恵を求められたプロ2人▼日本の観光資源の多くは、自然と歳月の産物だ。大地の営みは美しい景観や温泉の恵みをもたらすが、時に山ごと崩すほどの牙もむく。人の営みが瞬時にして土砂に消える。ここから地域をどうおこすか。今こそ聞いてみたい人がいない。
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