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楼主: Jennifer

[经验方法] 連載《天声人語》想看中文版请去看1590楼最新公告

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发表于 2008-6-23 10:28:12 | 显示全部楼层
2008年6月18日(水)付5 Q9 b7 K' q- B  c3 c

/ D+ C% `& y9 f5 c ドクダミの花が土手を埋めていた。その人が「深くゆるゆると流れて」と書いた水面が、ヤツデやシュロの葉陰にのぞく。JR三鷹駅に近づくと、玉川上水の両岸は小ぎれいな遊歩道になり、武蔵野の面影は薄い▼太宰治が60年前の6月、いつ落ちてもおかしくない線香花火のような生を終えた場所だ。愛人との入水は13日深夜。ひもで結ばれた両人が下流で見つかったのは19日の朝、くしくも太宰39回目の誕生日だった。桜桃忌も明日で60回目となる▼来年は生誕100年でもあり、ちょっとしたブームらしい。読者は増え続け、人物論もにぎやかだ。三鷹市は、太宰行きつけの酒屋跡に文学サロンを開いた。人気漫画家が表紙を手がけた『人間失格』(集英社文庫)は1年で21万部売れたという▼4回の自殺未遂と薬物中毒。この「弱さ」をどう見るかで、太宰像は変わる。三島由紀夫は「治りたがらない病人などには本当の病人の資格がない」(『小説家の休暇』)と嫌った▼青春期の弱さを死ぬまで持続するには強さが要ると、評論家の奥野健男は文学全集の解説で弁護した。「感じやすく、傷つきやすい、けれど真実を鋭く感じとれる裸の皮膚を、恥部を守り通した」と▼社会としっくりいかない不安を、太宰はごまかさず、人生と作品に刻んだ。人間の内面をさらす「強い作品」は熱く読み継がれる。自他の弱さを知り尽くした者だけが語れることもあろう。弱さと向き合えない若者、明日が見えない時代など、あの世でほおづえをつく太宰に、問うてみたいことは多い。
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发表于 2008-6-23 10:28:45 | 显示全部楼层
2008年6月19日(木)付
* g$ O. Y1 m( l7 l: k9 s
% _9 t* v9 @4 U. u' A8 I 勝負の世界の例にもれず、将棋にもライバル物語は多い。たとえば、流行歌「王将」で知られる大阪の阪田三吉と、東京の関根金次郎。「静」の大山康晴と「動」の升田幸三は、同じ師匠のもとで育ちながら、たもとを分かって打倒に心血を注いだ▼どちらも「宿命の」という枕詞(まくらことば)がふさわしい好敵手だろう。そして今年、物語に新たな一頁(ページ)を加えつつある2人が名人戦を争った。森内俊之名人と、挑戦者の羽生善治二冠である▼ともに37歳。小学生のころから競い合った。羽生さんが20代で七冠に輝けば、遅咲きの森内さんは昨年、羽生さんを追い抜いて永世名人の資格を得た。去年までの名人戦で4度まみえ、2勝2敗とくれば、「因縁の対決」の名に恥じない▼山形県天童市で、素人ながらに第6局を間近に見た。名人の手は大きく、挑戦者の指は細い。扇子を鳴らし、額をぬぐい、細かく動く。視線を合わせることはない。相手とではなく、将棋そのものと戦っている印象が深い▼序盤は、刀を構えた剣豪同士が、互いに動けないのに似ていたようだ。だが次第に優劣がついて、17時間が過ぎて勝負があった。勝った羽生さんは目をしばたかせ、森内さんは目を赤くしていた。精根つきた表情に将棋のきびしさを思う▼羽生さんは名人位を取り返し、永世名人の資格も手にした。いくら1人だけ強くても、名勝負は演じられない。ライバルあっての賜(たまもの)である。将棋界では、若手の追い上げが急と聞く。いまが旬の永世名人2人が受けて立つ姿も、将棋好きには楽しみだろう。
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发表于 2008-6-23 10:29:10 | 显示全部楼层
2008年6月20日(金)付1 }( ]3 M/ g, u; N
1 I4 \! e7 \2 ^6 o
 1人の女性が生涯に産む子の平均数が、07年は1.34とわずかながら上向いたそうだ。先祖代々、何組もの男女が出会った先に、新たな産声が上がる。延々と続く命のリレーを思えば、どの一つもいとおしい▼命にまつわり、心がふさぐ数字もある。07年の自殺者は3万3093人で、3万人台が10年連続となった。30代の自殺は過去最多だという。毎日100人近くが、奇跡と愛情の塊のような命を見限る。その異常がもはや日常になった▼過労や仕事の悩みからうつを患い、死を選ぶ人が絶えない。大阪のNPO法人「働く者のメンタルヘルス相談室」は、惨状を訴えようと、遺書や家族の手記の展示会を6回開いた。伊福達彦理事長は「過剰な労働を規制しないと状況は変わらない」と語る▼展示資料に「ぼくの夢」という詩がある。市役所に勤める46歳の父を失った男の子の作だ。〈ぼくはタイムマシンにのって/お父さんの死んでしまうまえの日に行く/そして「仕事に行ったらあかん」ていうんや〉▼昨春、病院職員の夫を43歳で亡くした山梨県の小松優子さんは、労災の認定を求めている。調理師なのに介護の仕事に回され、早朝から深夜まで日々働きづめだった。「無口になったのは疲れのせいだと思っていた。そこまで夫が追い詰められた理由を知りたい」▼悩みの一部でも背負えていたらと、どの遺族も悔やむ。せめて当事者の悲しみに耳を傾け、働き盛りを死に追いやる病巣に切り込みたい。生きにくい世は、産みにくい世でもある。自殺と少子化の根は近い。
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发表于 2008-6-23 10:29:39 | 显示全部楼层
2008年6月21日(土)付9 V8 M0 S. ^4 S( Z* {) Y
; }7 K0 s- [& j0 A
 外国の観光地では〈日本語メニューあります〉の掲示が珍しくない。すし屋の直訳か、パリにはスシハウスを名乗る店があった。カタカナの看板は「ヌシハウス」「スンハウス」と微妙に間違えていた。日本人客を呼ぼうと、店主が無理をしたのだろう▼団体、個人を問わず、日本人旅行者はどの国でもだいたい歓迎される。米国の大手オンライン旅行予約会社、エクスペディアの調査「ベスト・ツーリスト2008」でも、日本人が「最良の旅人」に選ばれたという▼同社は今春、欧米などのホテルに質問メールを送り、旅行者のマナーや気前の良さなど10項目について、それぞれ最良と最悪の国を尋ねた。約4千軒の回答を集計した結果、日本人の評判は2位の英国とドイツを引き離した▼わが同胞は行儀、静かさ、苦情の少なさなどの項目で点を稼いだ。米国人は金ばなれの良さで首位ながら、騒がしさや服装の評価が集計対象31カ国のビリ。総合の「ワースト」は中国、インド、フランスの順だった。「かき捨て」たはずの恥まで、まんまと拾われたか▼ただ、ホテルの評判がいいとは、要するに扱いやすいということらしい。きちんと現れ、きれいに泊まり、黙して去る。お金だけ落としていく風。加えて、日本語メニューの誤りを正してくれる優しさを持ち合わす▼旅に出てまで気を使い、評判だけいいのは悔しくもある。それで割引があるわけじゃなし、苦情や不満はしまい込まず、サービスのプロ集団にひと仕事させるくらいがいい。わがままな上客というのもある。
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发表于 2008-6-23 10:30:05 | 显示全部楼层
2008年6月22日(日)付" J# z7 y$ T! W2 K$ M8 V

% ~7 m; {; c) Q" T* f. T. L: Q 『源氏物語』を書いた紫式部といえば平安朝の才女だが、愉快な逸話を残している。作り話のようでもあるけれど、イワシが好物だったらしい▼しかしイワシは卑しい魚で、高貴な者が大っぴらには食べられない。内緒にしていたが、ある日、焼いた匂(にお)いが消えないうちに夫が戻って来てバレてしまう。だいぶ叱(しか)られたようだと、江戸期の文献をもとに、魚博士で知られた末広恭雄が書いている▼そのイワシも、近年は高根の花だ。焼いてよし、刺し身でよしのマイワシは、80年代、多い年は400万トンも水揚げされた。それが数万トンに減っている。「梅雨イワシ」と呼ばれて今が食べごろだが、値段は安くはない▼減った原因はよく分からないようだ。イワシは人間以外にも敵が多い。クジラやマグロなどが「海の牧草」よろしく餌にする。乱獲か、食物連鎖の不均衡か、それとも海水温が上がったためか。周期的に増減するという説もある▼イワシばかりではない。日本の漁業生産量は最盛期の半分を割った。国産の魚に代わって、輸入もののマグロやエビ、サケなどが食卓をにぎわせている。その結果、食用魚介類の自給率は50%台に落ち込んで久しい▼政府は先ごろの水産白書で、旬の近海魚を毎月「もう一皿」多く食べようと呼びかけた。たとえば、夏にはイカの姿焼き、冬はブリの照り焼き……。そうすれば自給率が4%ほど上がるそうだ。焼こうが煮ようが、幸い庶民に紫式部の窮屈さはない。身近な魚の消費が増えれば、漁業や食文化を守ることにもつながるだろう。
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发表于 2008-6-23 10:30:27 | 显示全部楼层
2008年6月23日(月)付5 W8 l5 s, e: T5 D& A

3 M6 w. c/ `) G# u5 F この地球上で、幸福の量と不幸の量は、いったいどちらが多いのだろう。東京で開かれている世界報道写真展(8月10日まで)を見ると、「世界は不幸に満ちている」という思いに胸が痛む▼約8万点から選ばれた一瞬一瞬が現代を切り取っている。戦火、飢え、暗殺、逃げまどう人々……。どれも昨年起きたことだ。パキスタンのブット元首相の暗殺現場を写した連作などは、そのむごさに、見つめ続けるのも難しい▼「不幸」にレンズを向けるカメラマンは、深く葛藤(かっとう)するという。「ハイエナみたいなもの」と自嘲(じちょう)したのは、戦場写真のロバート・キャパだった。日本のある若手はカンボジアで、負傷兵に「おれの写真をいくらで売るんだ」と怒鳴られた▼写真家の長倉洋海さんから以前、こんな話を聞いた。飢餓のアフリカで、衰弱した少年にカメラを向けたそうだ。少年は、あばら骨の浮き出た胸を見せまいと、何度も体をよじった。長倉さんはどうしてもシャッターを押すことができなかったという▼今年の大賞に選ばれたのは、アフガニスタンでの一枚だ。壕(ごう)で休む1人の若い米兵をとらえた。土にまみれ、憔悴(しょうすい)しきった目がうつろにレンズを見つめている。左手薬指の指輪のような光が、この若者の家族や故郷を、見る者に想像させる▼大義や名分が何であれ「殺し合うこと」の不毛を、この一枚は訴えてやまない。その思いをカメラマンに託すような、若い兵の表情も胸に迫る。写すという行為の奥深さと、伝えることの意味を語りかけるような、展示の空間である。
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发表于 2008-6-24 10:10:08 | 显示全部楼层
2008年6月24日(火)付: W% t5 H; P$ Z9 m& O, {+ G; G
* d5 R: h+ F# l  W) o. o/ v: P
 電話口で「心がピシピシッと音を立てて氷結していくのがわかった」という。05年、06年と続けて架空請求の詐欺に遭った日向野(ひがの)利治さんだ。体験が『実録詐欺電話 私はこうしてだまされた』(すばる舎)にある▼妻に先立たれた寂しさから、ある種のサイトをのぞいたことがあった。だから、どすの利いた声に脈拍は上がり、全身から汗が噴き出したそうだ。ご本人は経済評論家。「不名誉」は人知れず片づけたいとも考えた▼先週末、振り込め詐欺の被害者救済法が施行された。裁判をしなくても、金融機関が凍結した口座からお金が戻ってくる道が開かれた。とはいえ、まずは電話への備えを巡らせたい。なにしろ、70歳に近い日向野さんにして「人生でいちばん怖くて長い時間」なのだ▼息子や孫になりすますオレオレ詐欺では、警察官や弁護士役が入れ替わり出てくる劇団型も多い。警視庁の調査では、被害者の約3割が銀行員らの警告を振り切って送金していた。それほどの演技なのだろう▼増えているのは還付金詐欺。役所を名乗る人物から税金や保険料を返すと言われれば、誰しも前のめりになる。去年の年金、今年の高齢者医療。社会不安を巧みにとらえた話術が、善人を無人ATMにいざなう▼虚栄、親心、お金、異性、健康。どこを突かれても大丈夫な人はそういない。不意の電話に「氷結」した心は、だまされやすくもなる。これだけの被害情報を前に、呼び出し音にすら身構える人が多いのではないか。なのに、毎日約1億円が冷たい穴へと消えている。
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发表于 2008-6-26 08:33:21 | 显示全部楼层
2008年6月25日(水)付" U5 [! G# I1 o2 b/ A5 P

- \! {7 V3 p* G& {. n7 _, F 人知だけではどうにもならない領域ゆえに、豊作や大漁の喜びは大きい。歓喜はしかし、人事を尽くしても避けられない悲しみと背中合わせだ。日照りに風水害、しけや遭難。それらは時に、天命と受け入れるにはつらすぎる▼福島県の巻き網漁船、第58寿和(すわ)丸が千葉県沖で沈んだ。乗り組んでいた20人のうち、港に無事戻られた方はまだ3人という。転覆時、船は漁を休んで停泊していた。大波を横から受け、傾いたところを二つ目が襲ったらしい▼乗組員は平均48歳。40代と50代が多い。海で手を組む男たちは、陸ではそれぞれ大黒柱として家を支えてきたのだろう。留守の多い危険な仕事は、夫婦や親子のきずなを強めもする。その分、涙の粒も大きい。ご家族の心痛、いかばかりか▼船は、黒潮に乗って北上するカツオをとっていたそうだ。青い魚群は夏に三陸沖に至り、また南下する。春からの上りガツオと、秋の戻りガツオ。食卓に季節が巡るのも、海中から旬を持ち帰る人たちがいてこそだ▼漁師はしばしば、味方であるはずの海とも戦わねばならない。そして、毎年約200人が仕事場で命を落としている。漁船海難遺児育英会が編んだ母と子の文集(06年刊)に、徳島県の女性が遠洋に散った夫に語りかけた詩がある▼〈父さん/結婚式、孫の顔見たかったね/思い出いっぱい、インド洋の波に乗せて私も行くから/写メール、貴方(あなた)の所へきっと届く〉。片道だけの、報告と約束だ。波間へと打ち込むメールをこれ以上増やさぬよう、懸命の捜索に望みを託したい。
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发表于 2008-6-26 08:34:15 | 显示全部楼层
2008年6月26日(木)付
" ^* y2 N4 Q0 \3 K" Z3 R; g( k6 Q+ u0 M9 X8 H0 @
 必要になったら「出荷」されるだけ。おれたち、まるでレンタル商品みたいだ。日雇いの派遣労働で食いつなぐ男性(39)の心境が、本紙生活面に載っていた。働き盛りをそこまで卑屈にさせる商売とは何なのか▼この業界大手のグッドウィルが廃業するという。派遣した先からまた別の会社に回す二重派遣を助けた罪で、略式起訴された。妙な天引きでも集団提訴されている。「善意」は社名だけらしい▼日雇い派遣に登録すれば、携帯への連絡ひとつで、日々雑多な職場に送られる。いわば労働力の小口売りだ。二重派遣はその転売にあたる。「無職」の弱みにつけ込み、自在に増減できる労力として使い回す。知識もないまま危険な現場に送りもする▼休日の小遣い稼ぎという人もいようが、使い捨て同然とあっては、日雇い派遣そのものの禁止論が出るのは当然だ。弱者の無理で成り立つ経済が、長続きするはずもない▼〈姉(あね)さんかむりで泥にまみれて/日に灼(や)けながら汗を流して/男にまじって綱を引き/天にむかって声あげて……〉。美輪明宏さんの名曲「ヨイトマケの唄」には、この国を底で支えた風景が描かれる。肉体労働の厳しさ、親への感謝、職業差別への怒り。詞中の〈僕〉は、母ちゃんの働く姿に多くを学ぶ▼国や経済界も学習し、戦後、汗を安売りさせない仕組みが徐々に整った。ところが、規制緩和と自己責任の名の下、ひどい逆流である。働きがいが〈もひとつおまけにエンヤコラ〉の頑張りを生む。明日をも知れぬ身では、綱を引く手に力が入らない。
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发表于 2008-6-27 09:08:35 | 显示全部楼层
2008年6月27日(金)付7 x! B# v  v( G* o" u
( P8 c6 D7 f5 L* U9 n& T: a
 中国の四川大地震で、がれきの下から36日ぶりに豚が助け出された。雨水で命をつないだらしく、150キロの巨体は50キロにしぼんでいたという。生き抜かんとする本能に打たれつつ、なんだ、目方の3分の2が消えても命は残るのかと、わが脂身に視線を落とす▼豚には申し訳ないが、ハムカツなどを食べ続けたツケが、職場の健康診断で回ってきた。初の腹囲測定である。係の女性が巻き尺を回したところで腹を引っ込めたが、むなしく「メタボ予備軍」と判定された▼さる病院の看護師さんが、腹回りの正しい測り方を明かしてくれた。大半の男性は、巻き尺が回ると反射的に腹をすぼめるそうだ。「はい結構です」の声で男たちは呼吸を再開し、腹がぼよんと戻る。そこにすかさず、緩めると見せた巻き尺をあてるのだという▼いやはや、1秒の時間差攻撃。当然、あとの「正しい腹」が記録される。思えば健診での格好つけは無益である。肥満でも肝機能でも、この体、あるがままを抜き差しならぬ数値で残し、明日への反省材料としたい▼大阪大などの研究チームが最近、おなかの脂肪にある細胞を肝臓や心臓の治療にいかす動物実験に成功したという。節制して生き永らえれば、ぜい肉が命を救う時代が来るかもしれない▼奇跡の豚も脂肪の蓄えがあってこそだろう。ハムカツ何枚分か、体重は早くも20キロ戻したそうだ。幸せそうに草をはむ姿を見て、ただ蓄えることを期待された身がうらやましくもある。「生き証人」として博物館で余生を送ると聞けば、なおさらだ。
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发表于 2008-6-30 11:13:12 | 显示全部楼层
2008年6月28日(土)付* ?* Q- b- \' o
0 Y8 p% d+ P" _
 イタリアで落書きした学生が相次ぎ「告発」された。横文字の中の漢字は目立つし、お国の恥と憤る人もいよう。常識ばかりか、この程度の想像力を欠いては子どもと呼ばれても仕方ない。ただし、大人にはもっとひどいのがいる▼国内の大産地をかたって中国産ウナギを出荷した業者。売れぬなら値を引くのが商いの常道なのに、生産者をでっち上げ、取引先に口止め料まで払い、高く売りさばいた。発覚時の赤恥には思い至らなかったか▼飛騨牛の等級をごまかした業者にはこれほどの悪知恵もない。ワンマン社長に牛の像、お粗末会見と、ミートホープ事件の焼き直しだ。ブランドを裏切った点は船場吉兆にも通じる。所と品を替えて続く食の不始末。まさに食傷である▼官僚御用達「居酒屋タクシー」の客は約1400人。盛り場で「これで帰って」とタクシー券を渡された女性もいるやに聞く。夜遊びの費用を国庫から出したのなら横領でなくて何か▼さて、懲りないといえばこの人だ。北朝鮮をテロ支援国家から外すというブッシュ米大統領。ありもせぬ大量破壊兵器を根拠にイラクで戦争を始め、多数を死なせた指導者が、核保有を誇示する北には甘い。末期の政権は、国益どころか内輪の事情で動くらしい▼そういう米国の外交に、今度も日本はついていく。「それ以外、ないじゃないですか」と福田首相。「拉致は人間の命の問題。それなのに、どうにもしようがなく動いていく」と横田早紀江さん。同じ状況を語った言葉二つの、共鳴力のあまりの差に天を仰ぐ。
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发表于 2008-6-30 11:15:35 | 显示全部楼层
2008年6月29日(日)付2 P2 {/ O3 o: [
8 Q- q0 y& u4 B- r+ a. [6 `9 B
 久しぶりにピアノコンサートを聴き、その演奏家の持ち味の淡々とゆらぐような音の流れを楽しんだ。演奏のあとの拍手も心地よかった。最後の音が消えるのを待って静かに起こり、次第に大きくなっていった▼演奏後の拍手はときに、クラシックコンサートの味わいを左右する。まだ音が残っているのに手を打ったり、掛け声を飛ばしたり。これをされると余韻は消し飛ぶ。以前から言われているのに、この手の「フライング拍手」は相変わらず多いようだ▼せんだって「拍手競技会と化した演奏会」という投書が他紙に載った。ある交響曲のライブ録音のCDを聴いたそうだ。名演奏だったのに、終わるが早いか競わんばかりの拍手喝采で興ざめしたと、憤っていた▼最後の音が消えたあとの静寂は演奏の一部なのだろう。「徐々に、次第に夜が明けてゆくように始まる拍手は感動的」だと、オーボエ奏者の茂木大輔さんは近著の『拍手のルール』で言う。そして、静寂を壊すフライングには「傍若無人」と手きびしい▼フランスの食通で知られたブリア・サバランの言葉を思い出す。「(晩餐(ばんさん)の)会食者はいずれも、いっしょに同一の目的地に着くべき旅人同士の心持でなければならぬ」(『美味礼讃』)▼コンサートに会する人も同じだろう。ところが近年は、マナー全般に問題が多いと聞く。私語や飲食、いびき……。それゆえのトラブルも増えているそうだ。縁あって、感動という目的地をめざす旅人同士である。楽しい旅路を険路にしあわないよう、心がけたいものだ。
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发表于 2008-6-30 11:18:45 | 显示全部楼层
2008年6月30日(月)付
0 K6 c) J) W! _5 \6 V' L
% C9 _" P* H" N+ g4 ^# ?. g 北海道洞爺湖サミットを前に環境論議が盛んだ。その間にも食糧と原油は値を上げ、世界の暮らしを締め上げる。梅雨空の下で地球が語られた6月の言葉から▼福田首相の地球温暖化対策包括提案に、経済界の評価は割れた。「サミットまでは協力するけど、サミット後はどうなるか分からない。反発が噴出するかもしれない」と日本経団連幹部▼蛍保護条例を昨年つくった滋賀県米原市が初のシーズンを迎えた。ホタルの保護に取り組む田中萬祐(かずすけ)さん(68)は「スローで鈍くさい生き物だが、力強く生きている。ホタルがいなくなれば人間もくたばってしまうぞ、というメッセージを発したい」▼「本当に貴重なものは、いつも失ってから気がつく。トキの二の舞いにならないよう、今のうちに保全の手を打つべきだ」。絶滅の危機にあるライチョウ。生態調査を続ける信州大の中村浩志教授は、すでに2千羽を切ったと見る▼スペースシャトルで飛んだ星出彰彦さんが、自ら取り付けた有人宇宙施設「きぼう」の船内実験室で会見。宇宙から見た地球について「美しくてはかなく、大地からは力強さも感じた」。それは微笑(ほほえ)みもすれば、牙もむく▼岩手・宮城内陸地震で被災した佐藤陸三郎さん(77)は、養殖していたイワナ2万匹を「このままいけすで殺してしまうよりも」と沢に放した。妻の恵美子さん(72)が言う。「地震が起きた日、おとうさんと午前3時まで魚の様子を見回りながら、またやり直すべって約束したんです」。66億人の悲喜こもごもを乗せて、青い惑星は回る。
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发表于 2008-7-2 10:34:29 | 显示全部楼层
2008年7月1日(火)付
6 w: @% ^$ G0 k' u$ _' q+ e" {4 M0 y0 J) q  ?
 「タマゴが先か、ニワトリが先か」は、因果関係をめぐる水掛け論のたとえである。コンビニエンスストアの普及と生活の深夜化も、どちらがタマゴでニワトリなのか、白黒つけにくいものの一つだろう▼お目見えした頃のうたい文句は、「開(あ)いててよかった」だった。夜中に何かが必要になって、その通りに感謝した人は多かったはずだ。それがいつしか、24時間開いているのを前提に、人は暮らしを組み立てるようになった▼いまや、単なる小売店を超えた存在である。公共料金の支払いや、宅配便など多彩な横顔をあわせ持つ。さらに、ストーカーに追われるなどした女性の駆け込みが、年に1万3千件を超す。うち半数近くは深夜に起きている▼その深夜営業の規制などを検討する自治体が、相次いでいるという。省エネや、二酸化炭素の排出を減らすのが主な狙いだ。不夜城の明かりを消すことで、エネルギー消費の多い深夜型の生活を見直す。そんな理念も携えてのことらしい▼コンビニが煌々(こう・こう)と輝くのは、夜にさまよう人たちを明るさで引き寄せるためか。とはいえ、早じまいをしたところで冷蔵庫は止められない。それやこれやで、不夜城の派手さに比べれば、実際の効果はごく薄いという▼明かりを消させても、それだけでは「ねらい撃ち」に終わってしまう。コンビニに限らず、少しずつでも便利さを捨てていく決意が誰にも必要だろう。素朴な時代に戻れるかどうかは心もとないけれど、今の暮らしにどっぷりでは地球が守れないのは、もう明らかなのだから。
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发表于 2008-7-2 10:35:04 | 显示全部楼层
2008年7月2日(水)付9 \! e% U& y( A/ \) q
* m# a7 G/ r) S; |8 q- L- b
 けちん坊の出てくる落語は数多いが、きわめつきは『しわい屋』だろう。登場人物のけちっぷりは、すさまじい。なにせ梅干し1個で、何杯でもご飯を食べてしまう▼梅干しを目の前に置いて、食べずにじっとにらむ。そうして、わき上がる「酸っぱい感じ」をおかずにご飯をかきこむ。にんまり呆(あき)れるような「倹約談」が、次から次へと繰り出される▼その倹約をいま、切実なものに考える人は多いだろう。7月の声を聞いて、物価の高騰はいよいよ厳しい。電気とガスは昨日上がった。ガソリンは1リットルあたり180円を超える店が出た。命の綱の食べ物も、油にマヨネーズ、チーズに生めんなど、続々と値上げを控えている▼歴史は繰り返すらしい。1973年の第1次石油危機で、物価は跳ね上がった。次の年に「狂乱物価」という言葉を生んだのは、福田首相の父親の赳夫蔵相(当時)である。ちなみにガソリンは1リットル約100円。石油危機をきっかけにサミットも始まった▼いま、洞爺湖サミットを前に「第3次石油危機」の言葉が飛び交う。原油と食糧の暴騰が世界を脅かす。うごめく投機マネー、中国やインドの経済大国化など、世界の姿は前よりずっと複雑だ▼赳夫氏は当時、日本経済の混乱を「全治3年!」と言って手を打った。片や康夫首相が、物価高を「しょうがない」といなしたのは忘れがたい。今は『しわい屋』ならずとも生活防衛に励むしかない。暑ければ窓を開けて、米の飯に舌鼓。倹約の向こうにスローな暮らしが見えてきたら、もうけものである。
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