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楼主: Jennifer

[经验方法] 連載《天声人語》想看中文版请去看1590楼最新公告

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发表于 2008-7-3 15:59:17 | 显示全部楼层
2008年7月3日(木)付
" v) l& d) l* H( y1 S- C0 {
& x8 H1 ~: u8 j$ N+ _4 F 「カッパ先生」という人の思い出を、心理学者の故・河合隼雄さんが書いている。新卒で赴任した学校で数学の先輩教師だった。ある日カッパ先生は、生徒が小刀で、机に彫り込みの落書きをするのを見つける▼だが怒るどころか、「お前の刀の切れ味は相当なものや」。いっしょに木版彫りをやらないかと勧める。彫刻刀を2組そろえ、放課後になると木版彫りに励んだそうだ▼この話を、東京本社版の声欄に載った中里真理絵さんの投書で思い出した。中学校で美術を教える方だ。「刃物を使う授業は手や心を育てる」と書いていた。「ありがたさや怖さ、物づくりの喜びを味わえば、刃物による罪を犯せない」と説いている▼秋葉原の事件のあと、刃物をめぐる議論が盛んだ。声欄にも「刃物の使い方を学校で教えて」と意見が載った。現場の先生からは「何でも学校に求めないで」と反論が届いた。それらを受けた中里さんの投書である▼刃物をいつも持たせる学校が、長野県にある。池田町の会染(あいそめ)小では、入学すると折り畳みナイフの「肥後(ひごの)守(かみ)」をみんながもらう。筆箱に入れて鉛筆を削り、工作に使う。手入れも怠らない。「ナイフに親しむ週間」を設け、6年生が1年生に教えるのを伝統にしてきた▼集中力や器用さを養うねらいだが、「正しい使い方も身につく。教えることは教えて、あとは子どもを信頼します」と校長は言う。ところで、冒頭のカッパ先生と木彫に励んだ生徒は素行が改まったそうだ。「今の先生方のヒントになれば」と河合さんはつづっている。
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发表于 2008-7-4 09:10:44 | 显示全部楼层
2008年7月4日(金)付2 r7 r& V6 u2 S# t' R- E. a8 [
* l' ]* b4 X0 H6 G9 `2 n+ `% j
 炎暑の街に、かば焼きの香の漂う土用が、今年も近い。万葉の昔から、日本人はウナギに目がない。だが生態には謎が多かった。どこで生まれるのかも分からない。形とぬめりの連想から「山芋変じてウナギになる」と言われたりした▼古代ギリシャの哲人アリストテレスも首をひねった。悩んだ末に、泥の中の「大地のはらわた」から生まれると書き残している。はるか後世を騒がせるウナギの「素性問題」に、天上で驚いていることだろう▼きのう、中国産を国産と偽って売っていた業者に強制捜査の手が入った。「偽」の字ずくめの当節だが、今回の「偽」は目にあまる。手口は大胆、巧妙。隠蔽(いんぺい)は細心。さらには「口止め料」とかいう1千万円。「つい出来心」の悪事とはだいぶ違う▼国産のかば焼きは中国産より2~3倍高い。表示を変えれば、在庫をさばけるばかりか、ぼろい利ざやが転がり込む。「国産」の安心感で財布のひもを緩めさせ、裏で舌を出していたか。詐欺と言っても言い過ぎではない▼〈蒲焼(かばやき)は隣りだと知る靴を脱ぎ〉と川柳にある。帰宅したお父さんの鼻を、香ばしい匂(にお)いがくすぐる。勢いづいて玄関を開けると、匂いは残念、わが家ではなかった。そんな図を詠んだのだろう。かつてウナギは特別なごちそうだった▼いつしか、ありがたみは薄れ、世界で食べる約7割が日本人の胃袋に収まる。そのまた7割が中国産だが、産地をごまかされたら、一般人の舌に違いはわかるまい。ほかは信用していいのか。暗雲は、梅雨が明けても晴れそうにない。
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发表于 2008-7-4 15:43:19 | 显示全部楼层
xie de hao
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发表于 2008-7-7 14:25:44 | 显示全部楼层
2008年7月5日(土)付, R# |# b* Q, B* c) S7 _, I

' R. _. m$ z8 c- Y はかなげではあるが、ホタルの光はどこか艶(なま)めかしい。水のほとりで、ひそやかに明滅して揺らぐ。せせらぎを包み込むように夏の闇は深く、人の姿はシルエットに沈む。〈ゆるやかに着てひとと逢(あ)ふ蛍の夜〉桂信子▼ホタル前線、と近年は呼ぶそうだ。夏の深まるなか、ホタルの初見が列島を北上していく。4月の沖縄に始まり、5月末に京都を過ぎて、今は本州の最北あたりか。岩手・宮城内陸地震の被災地でも、淡い光が飛び交っていることだろう▼高度成長の時代には、開発や農薬に追いつめられた。夏になっても光は飛ばず、「ホタル狩り」は死語になった。やがて、反省をこめて保護活動の灯がともる。かいあって各地で、里山の原風景がよみがえっている▼ホタルの里をつくろうと交流する「サミット」もある。毎年開かれ、今年は山口県下関市に6市町が集まった。幻想的なゆえだろう。古人はホタルを人の魂になぞらえてきた。参加した自治体も「人のひかり」と「ホタルのひかり」の共存をめざすそうだ▼「蛍」と題する巻が『源氏物語』にある。光源氏がホタルをたくさん捕らえてきて、姫君のいる暗がりへ放つ。その明かりで姫の横顔を浮かび上がらせる――。ホタルの光で読書に励んだ中国の故事に比べ、わが平安貴人は雅(みやび)そのものである▼ホタルの語源には、「星」と「垂る」が合わさったという説もあると聞く。夜の川面に乱舞する図は、なるほど天の川を想像させる。はかない星々は、私たちに、地球のはかなさを語りかけているようにも思われる。
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发表于 2008-7-7 14:27:26 | 显示全部楼层
2008年7月6日(日)付6 V# n, G  H" T8 E3 K' G
/ {7 [1 Q! n" r9 ^) H! N; E# K
 その長い布は「ちゃんとした勤め」の目印だった。業界団体が監修した『日本ネクタイ史』(1956年)に、時の通産相が辞を寄せている。〈今日(こんにち)ネクタイは吾々(われわれ)男の社会には無くてはならない存在であり……〉。首相になる前の石橋湛山だ▼以来半世紀、「男の社会」も職業観も変わった。スポーツ選手や菓子職人など、首まわりの緩い仕事にあこがれる男性は多い。中で、ネクタイが昔ながらの存在感を保つのが政治の世界である▼福田首相はそれをめったに外さない。閣僚全員が沖縄のかりゆし姿になった時、首相の一着は高級そうだがやや涼味を欠く黒系で、ボタンも一番上までとめていた。閣議後に早速スーツに着替え、夕刻にはネクタイが復活した。省エネのクールビズは「案外肩こる」のだという▼もともと、世間の目を意識した振る舞いはお嫌いと聞く。それも一つの見識だ。ネクタイを外すと肩がこる珍現象は、周囲に迎合した自分への拒絶反応なのだろう。ご同業と地球環境を話し合う洞爺湖畔では、建前と信条の間でどんな姿になるのやら▼かつて「日本の政治家ほど、服装に保守的な種族はない」と評したのは、政治記者が長かった読売新聞の渡辺恒雄会長だ(『随筆集ネクタイ』菱屋)。身なりの保守性は主義の左右を問わないらしい▼当世、服装だけで仕事や地位を言い当てるのは難しくなった。同じように、肩書が人の値打ちを示さないことも自明である。「ちゃんとした勤め」の頂点に政治家がいた時代は遠く、わずかに痕跡のみが胸元で揺れる。
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发表于 2008-7-7 14:28:55 | 显示全部楼层
2008年7月7日(月)付
$ c, ]6 S( t4 t* ~* Z" F/ X' u" d  l8 n  R/ l9 ~
 食後を楽しむ「4C」の話をフランスで聞いた。カフェ、ショコラ、コニャック、残る一つはシガール(葉巻)だったかコンベルサシオン(おしゃべり)だったか、自信はない▼洞爺湖サミットにのしかかるのは「3F」だという。フューエル(燃料)、フード(食糧)、ファイナンス(金融)。首脳が囲む円卓の上には、食後の4Cとは似ても似つかぬ、重苦しい頭文字が並んでいる▼米国発の金融不安は収まらず、投機マネーが流れ込む原油や穀物の相場は天井を知らない。値上げのドミノ倒しが世界の暮らしを直撃し、各地で貧困層の暴動が続く。温暖化やアフリカの荒廃など、地球規模の病も待ったなしだ▼会議場では国宝、風神雷神図屏風(びょうぶ)の複製がにらみを利かすという。国旗の列を挟んで、右に風神、左に雷神。嵐が吹き荒れ、雷鳴とどろく首脳協議はそうそうないが、今度ばかりは、ただ集まりましたでは済まない。危機は戸口どころか、卓上で処方箋(せん)を待つ▼各自の主張を携え、内外のNGOが北海道に集結した。サミット反対のデモもあった。世界人口の6割超を占める約20カ国の首脳が寄り合い、実りもなく別れるのなら、「権力の集い」に背を向ける人の列は延びてゆく▼風神雷神図を描いた俵屋宗達(たわらや・そうたつ)は、武士でも御用絵師でもない京の扇屋。それゆえ、町衆の活力を背に大胆な構図を発想できた。片や大衆の声は届かず、形式にとらわれやすいサミットながら、はなから「傑作」をあきらめる余裕はない。成否を握る四つ目のF、議長の福田さんに託したい。
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发表于 2008-7-15 13:34:53 | 显示全部楼层
2008年7月9日(水)付& c  W5 R2 \  W! {% k

+ {8 l5 e$ C% z; _# R 『おくのほそ道』の旅に出た松尾芭蕉が平泉(岩手県)に着いたのは300余年前の、梅雨時のことだ。奥州藤原氏がつかのまの栄華を誇り、源義経が最期をとげた地である。〈夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡〉。一炊の夢のようなはかなさを名句に刻んでいる▼その平泉の人々が追ってきた「現代の夢」が、遠のいてしまった。中尊寺などの文化的景観の、世界遺産への仲間入りである。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の委員会で、先日、見送りが決まった▼日本の候補地はこれまで連勝を続けてきた。93年の「法隆寺」から去年の「石見銀山」まで、登録は14を数える。それに初めて黒星がついた。「涙が出そう」と嘆く人もいて、地元の落胆は小さくない▼「お墨付きなんて」と斜に構えても、多くの人はそれに弱い。たとえば重要文化財よりも、国宝にまみえるときの方が背筋は伸びる。世界遺産は、ありがたがられる筆頭格だろう。海外でも幅を利かせる「葵(あおい)の印籠(いんろう)」である▼とはいえ、お墨付きの有無で、人や物の本質は変わるまい。国からの博士号授与を断った漱石を思い出す。そのときの言葉がいい。「今日までただの夏目なにがしとして世を渡って参りましたし、これから先もやはりただの夏目なにがしで暮らしたい」▼平泉を世界遺産の「夢の跡」にはすまいと、文化庁は3年後に再挑戦を試みるそうだ。夢のかなうことを祈りつつ、かつて中尊寺や毛越(もうつう)寺を訪ねた経験から思う。ユネスコのお墨付きなどなくても、「ただの平泉」は十分味わい深く、魅力的である。
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发表于 2008-7-15 13:35:15 | 显示全部楼层
2008年7月10日(木)付
& }6 k! K6 S* ]) ]9 ]6 r+ {2 [' v/ C
5 K: U7 G1 B/ ]! Q. f ものごとが判然とせず曖昧(あいまい)なさまを混沌(こんとん)と言う。もとは中国の古典『荘子』に出てくる、のっぺらぼうの帝王のことだ。あるとき混沌は、よその帝王2人を招いてもてなした。2人は返礼を相談する▼「人の顔には七つの穴があって、見聞きし、食べ、息をする。混沌にはそれがないから、お礼に開けてやろう」。そして目、鼻、口……と穴をあけると混沌は死んでしまった。曖昧は曖昧のままに、と教える話である▼サミットの議長を務めた福田首相も、きりりと目鼻をつけたかっただろう。焦点だった温室効果ガス削減のことだ。2050年までの半減を、世界の目標にしようと呼びかけた。だが、主要8カ国の負う責任は曖昧さに包んだ▼中国やインドを加えた宣言では「50年までに半減」の文言も消えた。とはいえ無理に目鼻を描こうとすれば、会議そのものを『荘子』の混沌のように葬りかねない。曖昧さを残すことで米国をなだめすかし、新興諸国を引き込もうと努めたのだろう▼かくして3日間の会合は終わり、サミットというカンバスに、「温暖化対策」の絵は描かれた。傑作なのか、凡作か、それとも駄作なのかは分かりにくい。いずれにしても抽象画である。首相は自画自賛の様子だが、さて42年の後にどう評価されるだろう▼ところで冒頭の、のっぺらぼうの混沌は「ありのままの自然」の象徴とも解釈される。つるりと丸い地球を私たちに想像させもする。その自然を、人間の営みが死に追いやる。悲劇を防ぐ取り組みは、いつまでも曖昧ではすまされない。
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发表于 2008-7-15 13:35:35 | 显示全部楼层
2008年7月11日(金)付
5 s" |$ R- x+ a; R, H" e! V
3 K- i: \2 s! H1 D 〈長安に男児有り、二十(はたち)にして心已(すで)に朽ちたり〉。若い憂いを湛(たた)えた詩句を、胸にとどめている方もおられよう。中国唐代の夭折(ようせつ)詩人、李賀が残した。年少のころから文才を知られた人だ▼20歳のとき、科挙の試験を受けるために都へ上る。科挙は官吏を登用する試験で、難関で鳴る一方、栄達への道とされた。だが、才をねたむ政官界からの横やりで受験さえできなかった。深い失意を、青年は詩に込めた▼似たような失望を、大分県の「教員採用汚職」に抱いた元受験者もいるだろう。まじめに努力して試験を受ける者を、あざ笑うような腐敗ぶりである。本当なら合格していた受験者の得点を下げて、教壇への夢をつぶしていた▼校長らがカネでわが子の採用を頼む。お任せあれ、の県教委幹部。採用ばかりか、管理職への登用にも「袖の下」がものを言った。逮捕などで今、数校の校長や教頭が不在になっている。児童には「先生はルールを破った疑いで警察の調べを受けています」と説明したそうだ。悲しすぎる反面教師である▼人はだれしも公平を尊び、不公平を忌む。しかし「自分に有利な不公平」には誘惑されがちだ。わけても人の一生を左右する試験では、昔から不正や不公平が絶えなかった▼中国の科挙も、カンニングや替え玉など、あの手この手が横行した。採点者への賄賂(わいろ)も多く、清の時代には、発覚すれば数年の流刑になったという。教師は聖職、などと今さら言うまい。とはいえ若い世代の心を朽ちさせるような愚を犯し、その罪の軽かろうはずはない。
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发表于 2008-7-15 13:35:53 | 显示全部楼层
2008年7月12日(土)付
) v8 s! ?6 v/ \3 u3 f  V6 v  [: R! G# D' g  k8 a. U6 F& p
 山あいの田を借りて、今年も米を作っている。梅雨の晴れ間をぬって、先日、田の草取りをした。足を入れて腰をかがめると、伸び始めた稲のあいだで生き物がさかんに動く▼オタマジャクシがゆらゆらと逃げていく。ゲンゴロウも大あわてだ。アメンボはすいすいと、われ関せずの風情である。ヤゴもいる。遠からずトンボになって、夏の里山を飛び交うことだろう▼米作りには様々な言い習わしがある。生き物に関するものも多い。たとえば「ヘビのいる田は良い田んぼ」と言う。そうした田にはヘビの食べるカエルが多い。カエルは害虫を食べてくれる。生命の「つながり」の中で稲もすくすく育つというわけだ▼「生物多様性」と聞けば難しいが、つまりは「生命のにぎわい」である。畦(あぜ)にはミミズが這(は)っていた。目立たないが「自然の鍬(くわ)」だ。食べた土は糞(ふん)になって、肥えた土に生まれ変わる。多い所では、1平方メートルあたり年に25キロにもなるという▼吉野弘さんの詩の一節が思い浮かぶ。〈生命は/自分自身だけでは完結できないように/つくられているらしい……しかし/互いに/欠如を満たすなどとは/知りもせず/知らされもせず/ばらまかれている者同士〉。地球上の生物は、分かっているだけで175万種に上っている▼青田の稲は、梅雨が明ければ穂を出すだろう。長命だった江戸の文人、大田南畝が狂歌を残している。〈人生七十古来稀(まれ) 食いつぶす七十年の米粒の 数かぎりなきあめつちの恩〉。命のにぎわいに育まれて、青田は秋には黄金色の波になる。
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发表于 2008-7-15 13:36:16 | 显示全部楼层
2008年7月13日(日)付% D, I+ w6 K# _0 M
0 ~9 _: a: [- K# F+ a, _& _& \
 信長と秀吉に仕えた絵師、狩野永徳(えいとく)は、以後300年続く狩野派の栄華を決定づけた。最晩年、狩野家が独占する御所の襖(ふすま)絵制作に割り込みを策す絵師がいた。激怒した永徳、公家筋を動かし、その「はせ川と申す者」を外させる。長谷川等伯(とうはく)だ▼評論家の室伏哲郎さんは近著『ライバル日本美術史』(創元社)に「永徳は、等伯のなみなみならぬ野心、タフな行動力、強力なネットワークに度肝を抜かれたことだろう」と書いた。好敵手現る、と軽くまとめては永徳に怒られよう。過労に心労が重なり、ひと月後に急逝するのだから▼東京国立博物館で「対決―巨匠たちの日本美術」展を見た(8月17日まで)。美術史に輝く12組を選び、作風の違いを楽しむ趣向だ。国宝・重文約50点を含む名作が入れ替わり展示される▼永徳の「檜図屏風(ひのきずびょうぶ)」に隣り合い、等伯の「松林(しょうりん)図屏風」。濃く彩られた檜は、金地から飛び出す勢いだ。片や、涙でにじんだような水墨の松林は、頼りにしていた千利休と、愛息を続けて亡くした時期の作という▼二つの国宝の間は2メートルもないが、火花が散る風ではない。作者は互いに目を合わさず、正面に群がる私たちに評価をゆだねる趣だ。居心地は、まあ悪かろう。どちらも「並べるかね、それと」とつぶやいている▼この特別展は、現存の美術誌では世界最古という「國華(こっか)」の創刊120年にちなむ。宗達と光琳、円空と木喰(もくじき)、歌麿に写楽。通し見て、文化の熱源とは先人の独創を超えんとする執念だと知った。花を見て、花となり、やがて華になる。
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发表于 2008-7-15 13:36:34 | 显示全部楼层
2008年07月14日(月曜日)付. y9 d9 x% i6 y2 Y$ g, Q  R. y

3 X% p! `4 ]8 b( R% ?$ j前日が新聞休刊日でしたので、この日の「天声人語」はありません。ご了承ください。
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发表于 2008-7-15 13:36:51 | 显示全部楼层
2008年7月15日(火)付
3 b+ }; q1 q% |$ C7 T+ E& @6 F' J/ r4 @
 旧制一高の入試に挑んだ国語学者の大野晋さんは、落ちたらパン屋になろうと思っていたそうだ。合格発表には父親が行ってくれた。首尾よく合格していた。何番で合格だったかと聞くと、父親は一息おいて「お前の後には誰もいないよ」(『日本語と私』)▼28人中28番。日本は腕の良いパン職人を失ったかもしれないが、優れた国語学者を得た。日本語の源流を追って時を超え、海を渡り、旅を続けてきた。その大野さんがきのう、88歳で亡くなった▼東京の下町の砂糖問屋に生まれた。中学時代、山の手の級友宅へ遊びに行き、シチューやピアノに驚いた。同じ東京なのに言葉づかいも食べ物も違う。ショックを受けて下町へ帰ると、慣れ親しんだ「日本」があった▼そうした体験をへて、「日本とは何か」が終生をかけた問いになる。還暦を過ぎて、南インドのタミル語に日本語の起源があるなどと発表して論争を呼んだ。大胆さゆえに批判もわいたが、信念はゆるがなかったようだ▼硬軟織りまぜて日本語の知恵袋であり、ご意見番でもあった。小紙の記事も、疑問には大野さん頼みが目立つ。たとえば、開店祝いなどで「〇〇さん江」となぜ書くか。大野さんいわく、「へ」だと「屁(へ)」を連想するからでは?▼最近の文芸春秋誌の鼎談(ていだん)では、日本人が日本語を放棄しているようなカタカナ語の氾濫(はんらん)を嘆いていた(6月号)。交友のあった作家の丸谷才一さんは「本居宣長よりも偉い最高の日本語学者だった」と悼む。宣長と雲の上で、日本語談議を始めるころだろうか。
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发表于 2008-7-16 13:22:06 | 显示全部楼层
2008年7月16日(水)付
# N5 o' Z! t4 a! d: }
: o0 y  }' v$ \* l( }4 L 石油といえば近代の象徴のようだが、人間とのかかわりは古い。古代ローマの共同浴場では湯を沸かす燃料に使われていたらしい。日本書紀にも記録がある。7世紀、越の国(新潟)から朝廷に、「燃ゆる土、燃ゆる水」なるものが献上されたという▼往古には素朴に燃えていた石油だが、20世紀に豹変(ひょうへん)する。争奪や投機の対象となって人間の欲望を燃え立たせた。経済を支配して戦争を引き起こし、「世界をゆさぶる戦略的財宝」などと言われて久しい▼その石油にゆさぶられて、いま、日本の漁業は大シケだ。燃料代が高騰し、漁に出るほど赤字がかさむ。たまりかねた漁業者らが昨日、一斉に漁を休み窮状を訴えた。錨(いかり)を下ろしたままの船は全国で20万隻にのぼった▼魚に限らず、日々の食卓は「石油漬け」である。ハウス栽培も石油に頼る。たとえばキュウリ1本育てるのに約60ミリリットル、メロンなら1個で4リットルも必要だ。あれやこれやで成人男性は、毎日、ビールのロング缶に半分ほどの石油を「食べている」換算になる▼「産業の血液」と言われる石油は、いまや人の血肉の素(もと)にもなったようだ。代わりにと言うべきか、人の食べていた穀物がバイオ燃料に化け、車の腹に収まっていく。これが穀物の高騰を呼び、食品の値上げを誘発している▼石油をめぐる最古の記述の一つに、旧約聖書の「ノアの方舟(はこぶね)」がある。ただし燃やすのではなく、アスファルト状のもので舟をしっかり塗装したらしい。気がつけば方舟よりも頼りなげな、わが石油だのみの日々かとも思う。
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发表于 2008-7-18 10:17:46 | 显示全部楼层
2008年07月16日付 石油危机   X% @, s; x7 S5 `, T- O  e4 E
▼石油といえば近代の象徴のようだが、人間とのかかわりは古い。古代ローマの共同浴場では湯を沸かす燃料に使われていたらしい。日本書紀にも記録がある。7世紀、越の国(新潟)から朝廷に、「燃ゆる土、燃ゆる水」なるものが献上されたという。
1 i# v4 R7 W) q, H% S4 U6 m; Z0 D+ p4 F: h/ M3 e
说起石油,虽然是近代的象征,但是与人类生产生活的关系却自古即始。据说在古代罗马的共同浴场里就已经被作为烧水的燃料。在日本史书里亦有类似记载。相传在7世纪时,新潟就向朝廷进贡了一种被称为“可燃之土,可燃之水”的贡品。# M; v5 F$ @/ i. s4 {' l$ ?5 K

# y9 z+ S1 i& B5 K8 y% a% A# G. V▼往古には素朴に燃えていた石油だが、20世紀に豹変(ひょうへん)する。争奪や投機の対象となって人間の欲望を燃え立たせた。経済を支配して戦争を引き起こし、「世界をゆさぶる戦略的財宝」などと言われて久しい。
3 t0 w, a$ O8 f1 O! o. I; H  z
" S% g% u( f+ a/ i一直以来单纯地用来燃烧的石油,到了20世纪却骤变。石油成为大家竞相争夺和投机的对象,燃起人类无尽的贪欲。各国为了取得经济上的统治力,爆发了战争,因此石油长时间被人们称为“能撼动世界的战略资源”。- l- M* o) f  u: ?
" E, Z1 m7 E% M& @3 H+ B3 r
▼その石油にゆさぶられて、いま、日本の漁業は大シケだ。燃料代が高騰し、漁に出るほど赤字がかさむ。たまりかねた漁業者らが昨日、一斉に漁を休み窮状を訴えた。錨(いかり)を下ろしたままの船は全国で20万隻にのぼった。
5 |' ?6 z& {) c  N' W3 X  H* C% F5 f$ ]4 D2 w
由于石油的波动,现在日本的渔业也“狂澜肆虐”。随着燃料费用高涨,出海导致的赤字不断增加。难以忍受的渔民们昨日一同休渔,申诉贫困状况。全国停锚的船只超过了20万艘。
# t8 r1 E4 m. P7 s* v3 `9 Z2 X& r9 ?9 Y- a- v7 I% u* G! H8 u7 D( K
▼魚に限らず、日々の食卓は「石油漬け」である。ハウス栽培も石油に頼る。たとえばキュウリ1本育てるのに約60ミリリットル、メロンなら1個で4リットルも必要だ。あれやこれやで成人男性は、毎日、ビールのロング缶に半分ほどの石油を「食べている」換算になる。
+ e% i  u; o% `/ X( V
0 H! V2 s( w$ E+ t4 U6 O9 ~" a- c不仅是渔业受到影响,连每天的饭桌都带上了石油味。大棚栽培的蔬菜也离不开石油。比如说黄瓜,每培养一根就需要60毫升石油,甜瓜的话就需要4升。这样那样算来,一个成年男性一天所要消耗的石油量就有半易拉罐啤酒那么多。
. m9 w; M& V0 F8 @8 ?
$ D6 p& w5 Q- C7 d▼「産業の血液」と言われる石油は、いまや人の血肉の素(もと)にもなったようだ。代わりにと言うべきか、人の食べていた穀物がバイオ燃料に化け、車の腹に収まっていく。これが穀物の高騰を呼び、食品の値上げを誘発している。
1 S# f- C, Z/ B: H; i: a0 X* p. d' l8 c$ V# {( \- \5 u5 h) b2 b
被称为“产业血脉”的石油,现在俨然变成了人类血肉的根本要素。换句话应该说,将人类的粮食转化为生物燃料后,转而装进汽车的“肚子”里。这样一来就招致谷物价格高涨,诱发食品的全面涨价。+ d- z( E5 F7 I
- F7 I- {" o; d1 O9 T
▼石油をめぐる最古の記述の一つに、旧約聖書の「ノアの方舟」がある。ただし燃やすのではなく、アスファルト状のもので舟をしっかり塗装したらしい。気がつけば方舟よりも頼りなげな、わが石油だのみの日々かとも思う。6 r* \- L& h6 i: X; G# x6 E2 N2 L

; k9 C- }- z3 L4 d) X  p有关石油最古老的记载之一,是旧约圣经《诺亚方舟》。但那时不是用作燃料,而是用沥青状的石油涂抹船体。仔细想想就会意识到我们只靠石油的日子比方舟更靠不住。5 y6 Y+ R5 ?0 z
' k: c: U& {! w7 W! v; L" r  K' C
解说:% Z; @0 s4 j. Z

0 i" G7 Z# z- i自去年7月份以来,石油输出国组织(欧佩克)的市场监督原油一篮子平均价翻了一番,由每桶约70美元涨至约140美元。
  F2 ]: ]" t$ g5 {国际能源机构预计,2013年之前,国际原油需求将会以年均1.6%的速度递增。该机构最新一期报告也将今年的国际原油需求预测由日均8610万桶提高到8690万桶,明年的日均需求量甚至会增至8770万桶。+ z- J& z9 ~. {) U% b9 }% W
石油问题专家指出,石油作为重要的战略资源和基础原材料,其价格波动受到诸多因素的左右,如供求、结算货币汇率、地缘政治、经济前景、气候变化等。多种因素的影响使油价走势具有很大的不确定性。
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