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楼主: Jennifer

[经验方法] 連載《天声人語》想看中文版请去看1590楼最新公告

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发表于 2008-9-11 13:31:58 | 显示全部楼层
2008年9月11日(木)付9 U0 {9 v8 M( W$ e* |: n

  f8 \+ Z! E$ R% W& u8 N. J( v 駆け出し時代の取材で白黒写真を撮っていたころ、自信はあったのに焼き付けてみるとさほどでもなく、落胆することがあった。プロの写真家も同じだったと見え、土門拳も苦い経験を繰り返したそうだ▼その原因を語って土門は明快だ。ものの形や動きでなく、色ばかりを見て「良い」と思ったときに起きる錯覚だと言っている。色を抜き去っても被写体に十分な価値があるか。本質の見きわめは、鬼才にも容易ではなかったらしい▼自民党の総裁選がきのう告示された。5人5色。個性派ぞろいが目を引く。去年は敗れた麻生幹事長が今年は本命のようだ。後を追う4人と、くんずほぐれつを演じれば、色合いは一層派手になろう▼異例ともいえる乱立は、党に残る活力の証しか、危機感の表れか、それとも賑(にぎ)やかさの演出か。政策論議はどこまで真剣なのか。政策は二の次で、選挙の「顔」の品評会にすぎないのか。色を抜き去った「正体」に目をこらさないと、後で落胆しかねない▼小沢民主党も色では負けない。バラ色ならぬ「ばらまき色」で装いをこらす。農家の所得補償や子ども手当など、色とりどりだ。財源が心配になるが、しっかり実現できるのだろうか▼何年か前に英誌が、日本人の「失望する能力」の欠如について書いていた。その能力を持つかどうかが閉塞(へいそく)状況を破るかぎ、とあったと記憶する。2度の政権投げ出しを経験して、政治への「失望力」は磨かれたようにも思う。失望をへて、来るべき総選挙で希望をだれに託すか。色に惑わされず吟味したい。
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发表于 2008-9-17 07:50:04 | 显示全部楼层
2008年9月12日(金)付# \6 q: I* F3 r
! X+ Q: Q0 k: N% u. D! {
 クイズをひとつ。米国の歴代大統領で最も若く就任したのは誰でしょう? ケネディと答えた人は残念ながらバツです。正解は第26代セオドア・ルーズベルト。日露戦争の仲裁でノーベル平和賞を受けた、日本にも縁浅からぬ人だ▼副大統領だった1901年に大統領が暗殺され、42歳で昇格した。米国の憲法によれば、大統領に万一のことがあれば副大統領がすぐに職を継ぐ。代わりに大統領が務まるかどうかは、「副」に問われる第一の資質とされる▼その候補に、共和党は女性のペイリン・アラスカ州知事を抜擢(ばってき)した。大統領候補のマケイン上院議員と組んで、民主党のオバマ上院議員ら、正副の大統領候補と政権を競う。保守的な共和党が女性を立てるのは初めてだ▼出る杭(くい)は打たれるようで、17歳の娘の妊娠など「身辺」を次々に報じられた。それも跳ね返し、人気は上々らしい。オバマ氏が「口紅をつけても豚は豚」と口にする騒動も起き、かえって存在感を増している▼11月には、初の黒人大統領か、初の女性副大統領のどちらかが誕生する。敵とはいえ、国政を牛耳ってきた白人男性ではない「マイノリティー」どうし。どちらにとっても米国史をかけた挑戦である▼冒頭のクイズに戻れば、ケネディは「選挙で選ばれた最年少大統領」。その彼も暗殺され、昇格したジョンソンはベトナム戦争を泥沼化させていった。ほかに、辞任や病死で昇格した例もある。世界の運命を左右する国ゆえに、大統領候補はむろん、副大統領候補からも目が離せないと歴史は教える。
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发表于 2008-9-17 07:50:24 | 显示全部楼层
2008年9月13日(土)付
+ E. ~( e: H' Y* s3 E6 u$ a" Q7 l; D3 G' V! X& Z2 k
 たしか落語の、先代の林家正蔵だったと記憶する。「カビってどうして生えてくるんでしょう」と聞かれて、「早く食わねえからだ」と答えたそうだ。単純にして愉快。だが、はなからカビたものや、農薬の残ったものを知らずに食わされては、消費者は身の守りようがない▼カビや農薬に汚染された事故米の広がりが、深刻さを増している。焼酎や日本酒にとどまらない。病院や老人施設の給食にも使われていたと明らかになった。学校給食は大丈夫か、社員食堂はどうかと、不安はいや増す▼なにしろ「瑞穂(みずほ)の国」である。米を中心にした食の文化を古来育んできた。主食としてはむろん、餅や菓子から発酵食品まで、多彩に暮らしに入り込んでいる。被害のおよぶ下地は相当に広い▼事故米は、工業用糊(のり)の原料などにしか使えない。だから安く仕入れられる。食用と偽って販売した業者は、罪を承知で利ざやを狙っていた。経営が苦しかったというが、糊口(ここう)をしのぐために、消費者が「糊」を食わされてはたまらない▼業者には、農水省が米を売った。だが工業用の米を食品会社に売ること自体、そもそもおかしくはないか。そして用途の検査は馴(な)れ合いだった。この役所の、消費者ではなく業界を向いている正体が、垣間見える▼舞台やドラマ撮影で、食べ物を「消え物」と呼ぶ。なるほど、腹に収まれば消えてなくなる。後を絶たない食品不祥事は、「しょせん消え物」だと業者が高をくくっているためか。やせ細った食への信頼はさらに細って、食欲の秋が色あせていく。
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发表于 2008-9-17 07:50:41 | 显示全部楼层
2008年9月14日(日)付# J0 \* @* A* y! A+ ^  ], l# c

/ d) E* z& h5 Q9 w# j' E9 u. U8 p 新人のころ、自分の記事が初めて載った朝の感激を、1月の小欄で「文章に羽が生え、読者のもとに飛んでいく気分」と書いた。世の中は広い。羽どころか「エンジン付きの言葉」があった▼高校生の「手話によるスピーチコンテスト」で、慣れぬ審査員を務めた。最終選考に残った女子10人は、多くが健聴者である。事前に目を通した原稿の出来にかかわらず、ご本人が音声と手話の二刀流で発する内容はどれも、別物の勢いで迫ってきた▼伝えたいという思いが声に乗り、手に移るのだろう。豊かな表情も加わり、言葉は飛ぶ力を増す。耳と目に届く情報は濃密だ。車いすマラソンの描写では走者の汗が光り、難聴少女の物語では4歳の「紗良(さら)ちゃん」がそこにいた▼さて審査である。一人芝居さながらの、情感と抑揚たっぷりの熱演に高めの点をつけた。ところが、ろう者の審査員たちはそういう子に辛い。「自分の手ぶりに酔ってはだめ。正確に伝わってこその手話です」。なるほど、耳をふさげば情報はがぜん心細くなる。手の動きに目を凝らすしかない▼身ぶりは会話を弾ませるが、それで話の筋が変わるものではない。手話の真価は、筋を外さず漏らさず、相手に届けるところにある。「心は熱く、手は涼しく」が勘所らしい▼手段が何であれ、思いが伝わる喜びは大きい。こうして書き連ねる文章は、悲しいかなエンジンの無い紙飛行機。メディアの風に乗って目元までは飛ぶが、はて、読者の心に無事降りているのやら。せめて羽だけはぴんと伸ばして手放したい。
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发表于 2008-9-17 07:50:59 | 显示全部楼层
2008年9月15日(月)付( c. B/ }' Q1 a4 Q2 ]

. a3 [+ u% H; ?$ M3 }& N. ]" o/ K 花札から一枚を選ぶとすれば「芒(すすき)に月」である。黒い弧を描く芒の原と、赤い空いっぱいの白い満月。月は左に寄り、移ろう時までが見えてくる。省略の果てに日本の秋が薫る、見事な意匠だと思う▼ゆうべ、仕事場から東空を望むと、薄雲の中に中秋の名月が浮かんだ。十五夜は満月とは限らない。そのくせ、必ず仏滅になるそうだ。だからとは言わないが、拝み損ねても気を落とすことはない。満月は今夜である▼世界で活躍する照明デザイナー、石井幹子(もとこ)さんが、近著『新・陰翳礼讃(いんえいらいさん)』(祥伝社)で月夜の値打ちに触れている。「陰翳の美しさを際立たせるのは、何と言っても月光であろう。『日本で理想の光の状態は何か』と問われれば、私は、迷わず満月の夜と答えたい」▼光か闇かという欧米流の二元論ではなく、石井さんは「光から闇に至る中間領域」をいとおしむ。都市なら「優しい夜景」、家では「ほのかなあかり」だという。今どき、月あかりを楽しめる暗さは希少だが、時を選べば「光と闇の間」に出会える▼先日、久しぶりにオリオン座を見た。均整のとれた姿はこちらの生き方を問うかのようだ。世事の転変に追われているせいか、自然や天文の「変わらぬもの」にひかれる。〈名月の美しすぎる世の乱れ〉南千枝子▼まやかしだらけの世にも似て、明るいだけの夜は人を惑わす。たまには心静かに空を仰ぎ、内省の時を持ちたい。独りでもよし、年の功を頼って人生の先輩と話すのもいい。敬老の日の宵、雲が切れればまん丸の、それも大安の月が出る。
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发表于 2008-9-17 07:51:20 | 显示全部楼层
2008年09月16日(火曜日)付
% A" R7 X  q5 X4 l' W- J0 f
. G2 w1 U; u# ?( H7 F* V- [/ B- K前日が新聞休刊日でしたので、この日の「天声人語」はありません。ご了承ください。
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发表于 2008-9-17 07:54:57 | 显示全部楼层
2008年9月17日(水)付; ~6 L9 Z. B) c9 u+ e' ?
) Z/ O/ l0 w" q/ L+ R
 「驕(おご)れる者は久しからず」は古来不変のことわりだが、豊臣秀吉は「驕らずとても久しからず」と、皮肉めかして世の常を言い表したと伝えられる。米国の金融業界がどちらだったかは知らない。いずれにせよ、複雑な「錬金術」にかまけた果ての、大証券会社の破綻(はたん)である▼リーマン・ブラザーズの負債総額は実に60兆円を超え、過去最大の破綻になった。他の金融大手への連鎖も心配されている。「フー イズ ネクスト(次はどこだ)?」と、ニューヨークの金融街などは戦々恐々らしい▼業界は90年代から、グローバル化に乗って新たな金融商品を次々に作った。そこへ、世界中で余っているカネが流れ込んだ。巨万の富を生み「わが世の春」を謳(うた)っていたが、商品の一つのサブプライムローンでつまずいた▼先行きへの不安から、米国内には「暗黒の木曜日」になぞらえる声も起きているという。1929年のその日、大恐慌の引き金になった株暴落が始まった。このときも「金ぴか時代」と言われた空前の繁栄から、坂道を転がっていった▼東洋的な無常観とは無縁だったか、当時のフーバー大統領は永遠の繁栄を国民に約束していた。「どの家にも2台の車を」を標語に選挙に勝った。だが失業者があふれ、期待は恨みに取って代わられた▼今、米国に引きずられるように世界経済は変調を来している。専門家によれば、このうえドルが暴落するのが最悪のシナリオらしい。株や投資に熱心な向きはなおのこと、対岸の火事を決め込める状況では、もうないようである。
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发表于 2008-9-17 20:53:04 | 显示全部楼层
楼主太强了,都从哪弄来的呀?
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发表于 2008-9-18 08:57:20 | 显示全部楼层
2008年9月18日(木)付, b6 l- X; u/ \( w  z; \

; D- K: E5 X) t! B- T8 q もう十数年も前になる。北京のCD店に、「日本からの輸入盤」を並べた一角があり、そこで「南ニラせつ」なるジャケットが目についた。はて?と手に取ると、フォーク歌手の南こうせつさんのアルバムである▼どうやら海賊版のジャケットを作るとき、「こうせつ」の「こう」を、よく似たカタカナの「ニラ」と取り違えたらしい。憎めぬ馬脚の現しように、苦笑させられたのを思い出す▼カナは苦手でも、こちらは「さすがは漢字の国」と言うべきか。青森に似た「青ビョウ(品の口がそれぞれ水)」なる商標が中国で申請されたと、先日の紙面にあった。間違えたのではなく、承知の上である。中国では青森リンゴの人気が高いと聞けば、意図はおおむね察しがつく▼岩手県の南部鉄器も、「南部鐵器」と旧字を使って登録申請されていた。松阪牛も「松坂牛」とやられた。「九谷焼」など本名そのままも含め、日本の地域ブランドや地名が次々に申請されている▼漢字は2千年ほど前に日本に伝えられた。恩に思うが、里帰りよろしく「商標漁(あさ)り」をされてはかなわない。登録されると、中国で同じ商標を使うのは難しい。その名で粗悪品が出回れば本家の信用にもかかわる。関係する日本の自治体などは、異議を申し立てて防戦に追われている▼知的財産の保護をめぐって、中国はとかく国際社会の評判がよろしくない。紙に火薬、活字から羅針盤まで、多くの発明品を広めてきた国である。大いなる「知的財産」の恩恵には感謝しつつ、今は今。ブランドただ乗りのあこぎな商魂は、いただけない。
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发表于 2008-9-19 10:40:39 | 显示全部楼层
2008年9月19日(金)付
( f8 U# o9 S+ P* D1 G1 P. I  Z0 A' K6 e1 U; `, R. E. w9 r& U
 会社の中や仲間内で「あの人は政治的だ」と言う場合、それはまず、ほめ言葉ではない。駆け引きがうまく、色々と立ち回り、損得をてんびんに掛けて……。うっかり信用できないイメージが言葉にこもる▼その言葉の元だけあって、政治はやはり政治的である。自民・公明の両党が、来月3日に衆院を解散し、26日に総選挙を行う日程で合意したそうだ。新政権の支持率が「ご祝儀相場」で浮上するのを頼んで、勝負に出る腹づもりという▼おりしも米国発の金融危機で、日本の経済には暗雲が垂れ込める。せめて補正予算を通してから、という声は巷(ちまた)に多い。早期解散に異存はなくても、新首相の賞味期限ばかり心配されると、「国民はしょせん票か」と情けなくなる▼軍事について、ナポレオンの言ったことを思い出す。〈あらゆるチャンスをよく計算し、次に、偶然というものを、ほとんど数学的に、正確に考慮に入れる〉。それが肝要だと『ナポレオン言行録』(岩波文庫)にある。選挙にも当てはまる言葉だろう▼福田首相は「チャンスを計算」し、きわめて政治的に、政権を投げ出した。だがその後、政権維持のシナリオは「偶然」の波に洗われている。汚染米、金融ショック、さらに昨日は、年金問題が新たな火を噴いた▼いずれも深刻だが、政府・与党内で「正確に考慮」されているのだろうか。国民は冷め、首相のもくろんだ「わくわくするような総裁選」では、もはやない。シナリオを書き直すぐらいの余裕がないと、皮算用の「ご祝儀相場」も怪しくなろう。
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发表于 2008-9-20 11:47:05 | 显示全部楼层
2008年9月20日(土)付
1 c$ E  h  w6 ?( v" y1 G1 S2 Q( W( J5 c" w3 Z
 朝日俳壇にあった久世幸子さんの〈煮て焼いて漬けてまだまだ茄子(なす)の花〉に、思わず微笑した。筆者もこの夏、畑を借りて耕し、とれたナスを日々堪能した。実に丈夫に、次から次へと実が太る▼ほかにもトマトやインゲンなど7種類を植えた。収穫したらそのまま食卓へ。流通経路は単純素朴だ。「生産者の顔」が見たければ、鏡をのぞけばいい。農薬を使っていないのは承知だから安心できる。究極の地産地消だろう▼そうした素朴さから、あの汚染米の流通経路は程遠かった。仲介業者が入り乱れる複雑さには驚くばかりだ。だました側なのか、だまされた側なのかも分かりにくい。あげくに、まじめな商いをしていた「被害者」が実名公表で泣かされた▼そのさまを、農業を営む民俗研究家の結城登美雄さんが、「食べ物を生み出す場所から見ていると、ずいぶん遠いところで起きた事件」に思えると本紙で述べていた。生産者と消費者を隔てる経済の仕組みへの、一つの警鐘と感じつつ拝読した▼外米ならずとも、農家と食卓の間では多くの人と伝票が動く。消費者はいつしか、生産の場から遠いところで「食べる人」を決め込んでいたのではないか。ささやかな野菜作りの体験をへて、ちくりと反省が胸を刺す▼汚染米問題はきのう、太田農水相の辞任へと展開した。反省ゆえか、投げ出しか、それとも選挙前の厄介払いなのか。ナスの花はよく実を結び「千に一つも仇(あだ)はない」と言う。それに比べてこの役所の「あだ花大臣」の続出には、怒りを通り越して情けない。
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发表于 2008-9-22 09:11:16 | 显示全部楼层
2008年9月21日(日)付
% k6 J% j- S/ ^0 J# z: F7 m' u! f8 r1 k* w7 j% F! {
 『ユダヤ・ジョーク集』(講談社)に、ヒトラーが占星術師に死期を問う話がある。ユダヤ人の祭りの日だと聞いた総統、該当する日の護衛を100倍にせよと命じる。「安心はできません」と占師。「いつお亡くなりになっても、それが祭日になります」▼スターリンは暗殺を恐れ、そっくりの影武者を用意していたという。独裁者の孤独は底なしだ。勝手を重ねるたびに敵が増え、疑心に暗鬼が群がる。側近や身内も信じられず、やがて占師のご託宣を仰ぐ日が訪れる▼この人は今、誰とどんな話をしているのだろう。北朝鮮の金正日総書記に健康不安説が流れている。脳卒中で倒れたとの見方がもっぱらだが、かの国のこと、突然にこやかに現れるかもしれない。他方、「本物」は数年前から公の場に出ていないといった憶測もにぎやかだ▼情報鎖国の小穴から漏れ伝わってくる「金王朝」の後継問題。権力の移行があるのなら、混乱はどれほどで収まり、核や拉致の懸案はどう転ぶのか。「たら」と「れば」でつなぐ見通しは堂々巡りとなる▼早大教授の重村智計氏は近著『金正日の正体』で、総書記は思想家マキャベリの「君主論」に従ってきたと説く。例えば〈愛されるよりも恐れられる方がはるかに安全である〉の教えだ▼遅かれ早かれ、恐怖支配の悪運は尽きる。気がかりは、世界の実相も知らされず、飢えと密告におびえる民衆のことである。独裁者たちは、己の運命に民を巻き込むのが常。一朝ことあれば生身の2千万人が嵐に放り込まれると、心にとめておく。
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发表于 2008-9-22 09:12:25 | 显示全部楼层
2008年9月22日(月)付7 z8 |* u0 M& r$ z! }# f; v
% @& U, _) J4 j/ u% m; r6 W
 小沢一郎氏の名は「一」になるはずだった。東京府会議員をしていた父佐重喜(さえき)さんが、正しく読ませる苦労は親限りにしたいと考えた。ところが、母親が一だけではあんまりだと、役所に届ける道で「郎」をつけたという(大下英治『一を以(も)って貫く』)▼民主党の臨時党大会で、小沢代表の続投が決まった。きょう自民党が選ぶ、おそらくは同じ「長男の名前」を持つ新総裁と、総選挙に向けて「党首力」を競うことになる▼指導者の必須は、説いて聞かせる力だろう。とりわけ難局では、打開のための「苦」と、先に待つ「楽」を、情と理を総動員して語り尽くさねばならない。人前でしゃべるのが嫌いという小沢氏は、党大会の演説で「変わろうと努力を続けている」と照れた。さて間に合うか▼その演説には、情も理もそこそこあった。ただ声はかれ、原稿に目を落とす時間が長い。「努力」も道半ばの印象だ。むしろ、記者会見で見せた正直なこわもてぶりに味があった▼小沢氏は、田中角栄、金丸信、竹下登といった自民党の本丸に仕えた。「だから、僕はいわば『日本的コンセンサス』の免許皆伝です」と語ったことがある。その免許をぬるま湯に捨て、自民党の外側から政治改革に挑んで早15年が過ぎた▼66歳。心臓に治療歴がある。「最後の闘い」を目前に控え、政治家としての型は変わるまい。道すがら「郎」が加わるような変身が望めないなら、ごつい素をさらし、政権交代を望む世論に訴えるほかない。ちなみに一郎も太郎も、歴代の首相に一人ずつである。
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发表于 2008-9-23 08:07:26 | 显示全部楼层
2008年9月23日(火)付
; w( n! u  M4 T! j. L0 A. y% F' m) J! ~0 u; B  l
 〈勝負ごとの予想屋なら、商売にならないと投げ出したのではないか。消化試合と目された通りの戦いに勝って、福田康夫氏が「天下餅」を食うことになった。新しい自民党総裁は明日、戦後29人目の首相に選出される〉。1年前の明日、24日付の小欄の書き出しである▼「手抜き」とお叱(しか)りを受けそうだが、名を麻生太郎氏に、数を30人目に置き換えれば、そのまま使い回しができる。安倍晋三氏から数えれば3年続けてとなり、秋の彼岸の恒例行事さながらだ▼だが、今年は違うことがある。同じ天下餅でも、とりあえず「三日天下」でしかない。遠からず総選挙の火ぶたが切って落とされる。麻生氏は敵将小沢一郎氏を呼び捨てに攻撃して、敵愾心(てきがいしん)を大いに燃やす▼べらんめえが売りだけに、弁舌は小気味良い。時折の勇み足は人間味の裏返しか、ただの軽率か。せんだっての朝日川柳、〈「バカヤロウ」までは言うなと茂祖父〉は笑わせた。危なっかしさが、この人の色気なのかもしれない▼奇(く)しくも昨日は、その祖父、吉田茂元首相の生誕130年だったそうだ。選出後の壇上で麻生氏自らが披露した。「民主党に勝って初めて天命を果たせる」と語る声は、党とともに祖父への誓いにも聞こえた▼かくて両党の「選挙の顔」は出そろい、政治の季節の幕は開いた。「いい顔が推薦状なら、いい心は信用状」と格言に言う。党の心ともいえる「マニフェスト(政権公約)」にそれぞれ何を盛るのか。「いい顔」も大事だが「いい心」を欠いては、有権者の心はつかめない。
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发表于 2008-9-25 10:00:11 | 显示全部楼层
2008年9月24日(水)付0 ~( N2 ?5 J9 D0 W; z* R4 A' V$ J

( p- K! M8 P$ U: E+ e, f あまり話題にはならなかったようだが、去る13日は、とある猫が死んで100年の命日だった。ははん、とひらめく方もおられよう。あの有名な、名前のない、漱石の猫である▼『吾輩(わがはい)は猫である』はむろん小説だが、モデルになった猫は実際にいた。朝、物置のかまどの上で冷たくなっていたそうだ。漱石は骸(むくろ)を庭に埋め、白木の墓標に〈此(こ)の下に稲妻起る宵あらん〉と、追悼の一句をしたためている▼明治の末のころ、猫や犬がどれだけ飼われていたかは知らない。いまや空前のブームで、全国で実に2千万匹以上ともいう。ペットの売買やフードなど関連市場は1兆円を超すそうだから、堂々たる産業である▼命多ければ死も多く、ペット葬祭業も増えているらしい。漱石は出入りの車屋に始末を頼んだ。1世紀の後、葬儀、納骨から喪失感のケアまで手がける所も登場した。人がペットを擬人化し、パートナーの関係を深めている証しでもある▼その擬人化の、漱石は元祖である。猫好きに思われるが、そうでもなかったようだ。猫の吾輩は作中、「いかに珍重されなかったかは、今日に至るまで名前さえつけてくれないのでも分る」とぼやく。本物の猫も一生を名無しで終えた。付かず離れずが漱石流だったのだろう▼当節はブームの一方で、腕時計を外すようにペットを捨てる人もいる。多くの猫や犬がガス室に送られるのを思えば、人間の身勝手さは同類として恥ずかしい。折しも動物愛護週間。名無しの猫が起こす稲妻と、怒りの声を、土の下から聞くようにも思う。
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