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发表于 2008-9-26 08:31:27
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2008年9月26日(金)付
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トキについて見聞きするたびに、朱鷺(とき)とつづる字の美しさと、ニッポニア・ニッポンと呼ぶ学名のおおらかさを思う。最後の生息地で知られた佐渡の風物も相まって、その立ち姿、飛ぶ姿の残像は、そこはかとない郷愁を胸に誘う▼古くは日本書紀に「桃花鳥」の名で登場する。だが、その薄桃色の美しい羽が災いした。乱獲されて明治以降みるみる減った。開発にも追われた。保護の声が高まったときはすでに遅く、日本のトキは5年前に絶滅した▼その佐渡の空へ、きのうトキが放たれた。中国生まれの親から人工繁殖で増やされたうちの10羽である。日本のトキは81年、保護のためにすべて捕獲されたから、飛翔(ひしょう)する姿は27年ぶりになる▼〈今日からは日本の雁(かり)ぞ楽に寝よ〉。一茶の句の雁をトキに置き換えてやりたいが、生きる環境は前より厳しいと聞く。田は減り、山間部にも道路が延びた。雪深い冬も来る。無事に生き延びられるかどうか専門家にも分からないそうだ▼日本のトキは1960年、世界で13種目の国際保護鳥に指定された。尽力した一人が、「日本野鳥の会」をつくった僧侶で作家の中西悟堂だった。鳥を守ることは日本の山河を守ることだと説き、「野の鳥は野に」の自然観を唱えた人だ▼だが悲運にも国産は死に絶え、放たれた籠(かご)育ちは「野の鳥」に戻れるかどうか案じられている。人間が山河を守ってこなかったツケなのかもしれない。唯一の武器は「臆病(おくびょう)なこと」という優しい鳥だという。佐渡の四季の風物に再びなる日が、いつか来ればいい。 |
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