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楼主: hugowan

日本語表現文型辞典

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 楼主| 发表于 2004-11-22 09:40:46 | 显示全部楼层
301 ~にかまけて 名詞: ×  +  にかまけて -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 山田:趣味もほどほどだね。彼みたいに将棋に病みつきになると、夢の中でも将棋の駒がちらつくそうだ。 李 :将棋にかまけて、仕事がおざなりになっては困るね。 山田:彼の頭の中は、寝ても覚めても将棋だけさ。 李 :勝負事は凝ると親の死に目にも会えないって言うからねえ。彼もその口か。 ♯ 解説 ♭  「~にかまけて」は「~に熱中し過ぎて/~に忙し過ぎて/~に没頭し過ぎて」などの意味があります。そのため後件では、「しなければならないことをしない/ほかのことを顧みなくなる」などの悪い結果が引き起こされたことを表します。  この「~にかまけて」と対照的なのが「~に(も)かまわず」(→文型302)で、これは「~を気にしないで/~を無視して」という意味を表しています。   商売にかまけて、家を顧みない。<没頭・熱中>   商売にかまわず、遊んでいる。 <無視・放置> § 例文 § 1.うちの子はサッカーにかまけて、少しも勉強しない。 2.子供にかまけて、旦那のことがお座なりになりがちだ。 3.仕事にかまけて、家庭のことをほったらかしにしておくと、奥さんに逃げられちゃうわよ。 4.うちの女房は自然食の店とかボランティアとか、そんなことばかりにかまけて、家のことを何にもしない。 5.家事や育児にかまけて、長い間、自分をふりかえる余裕もなかった。 ★ 例題 ★ 1) 私は会社のことばかり(にかまけて/にかまわず)、父親(にとって/として)の役目を果たして(きた/こなかった)。 2) 教師で(ある→   )ながら、人の子の教育( )かまけて自分の子供( )遊んでやることも忘れがちだった。 (^^)前課の解答(^^) 1) なんて(→文型274)/想像し/難い(→文型034) 2) 傷つき/で/した(~たりする→文型158) -------------------------------------------------------------------------------- 302 *~にかまわず/*~もかまわず 名詞 : ×  +  にかまわず(に)            もかまわず(に)            にもかまわず(に) (注:「相手かまわず・辺りかまわず・委細かまわず・なりふりかまわず」 のように助詞を省略した慣用語がある。) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :緑のおばさんの制止にもかまわず、赤信号でも突っ走る大人がいるけど、子供の教育上よろしくないね。 良子:本当ね。子供はそれを見て、どう感じてるのかしら?悪い大人の真似はしてほしくないわ。 李 :自分の子供の目の前でも、同じことをするのだろうか?まあ格好の反面教師にはなるかもね。 ♯ 解説 ♭  「かまう」という動詞は「気にする/拘る」を意味する語で、例文1のように単独でも使われます。そして、「~に(も)かまわず/~もかまわず」は「~を気にしないで/~に拘らないで」を意味する文型となります。  類義表現に「~をよそに」(→文型484)、「~を顧みず」(→文型459)がありますから、関連項目を参照してください。また類型文型に「~にもかかわらず」(→文型293)や「~にかかわらず」(→文型343)などがあって混同しやすいですから注意しましょう。→例題1)  なお、この「かまう」という動詞は、ほかにも「~てもかまわない」(→文型200)や「~にかまってはいられない」などの文型も派生させます。   自分のことで精一杯で、他人のことにかまっていられない。 § 例文 § 1.他人のことにかまう暇があったら、自分の頭の上のハエを追え。 2.私にかまわず、どうぞ先に行ってください。 3.なりふりかまわず、母は私たちを育てるために働いた。 4.愛する子の遺体を前に、母親は人目もかまわずに、泣き崩れていた。 5.あいつはいつもこちらの都合もかまわず、いきなりわが家にやってくる。 ★ 例題 ★ 1) あんな男(なんか/なんて)(にかまわず/にかかわらず)、もっと自分(を/が)幸せになることを考えろよ。 2) 君は周囲の雑音に(かまう→    )ず、予定( )とおり、ことを(進める→   )なさい。 (^^)前課の解答(^^) 1) にかまけて/として(→文型237)/こなかった(→文型181) 2) あり(逆説→文型270)/に/と -------------------------------------------------------------------------------- 303 *~にかわって/*~にかわり/~にかえて 名詞: ×  +  にかわって           にかわり           にかわりまして           にかわる + 名詞           にかえて -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :今度の土曜日、君にかわって僕が小平の授業参観に行くよ。たまには父親らしいことをしなくてはね。 良子:6年5組の教室は、今月から一階にかわって二階になってるから、間違えないでね。 李 :相変わらず父親の参加は少ないんだろうね。この前なんか、お母さんたちの中で僕一人だったからねえ。 ♯ 解説 ♭  自動詞「か(代/替/換)わる」から作られた文型です。「~にかわって」は、人または国・会社など組織体を表す名詞につくと、「~の代理として/~と交代して」という意味を持ちます。その場合は「~のかわりに」(→文型060)に置き換えられます。しかし、「~のかわりに」は代用や代償を表す表現がありますが、「~にかわって」にはありません。   社長のかわりに(・にかわって)専務が挨拶する。   箸のかわりに(×にかわって)スプーンを使う。<代用>   先日のかわりに(×にかわって)今日は僕がおごるよ。<代償>  他動詞「かえる」は、例文5のような慣用的言い回しのほかに、「張り替える/買い換える/取り替える/履きかえる/塗り替える/書き換える/作り替える…」などの交換を意味する複合動詞を作ります。→例題1) § 例文 § 1.首相にかわって、外相が外国の来賓を出迎えた。 2.いかにロボットが優秀とはいえ、ロボットが人間にかわって主役になるわけではあるまい。 3.主催者一同にかわりまして、厚く御礼申し上げます。 4.21世紀は欧米にかわり、アジアが世界をリードする時代の幕開けとなるだろう。 5.これをもって、御挨拶にかえさせていただきます。 ★ 例題 ★ 1) アメリカ式自由化とは、言い(換われば/換えれば)、共生共存(にかえて/にかわって)弱肉強食が社会原理(とする/となる)ことではなかろうか。 2) 病身の母親( )かわって、長女( )ある彼女が、母親代わりに幼い兄弟の面倒を(みる→   )きた。 (^^)前課の解答(^^) 1) なんか(→文型274)/にかまわず/が(~が~になる) 2) かまわず/の(→文型225)/進め(V〔ます〕形+なさい) -------------------------------------------------------------------------------- 304 *~に関して/*~に関する/~にまつわる 名詞: ×  +  に関して(は/も)           に関し           に関しちゃ<口>           に関する + 名詞           にまつわる + 名詞 -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 良子:団地の盆踊り大会に関するアンケートがあったので、条件付きで開催に賛成しておいたわ。 李 :盆踊りにまつわるトラブルはいろいろあるようだけど、どんな条件を書いたの? 良子:開催時間に関して、いくつかお願いしておいたわ。 李 :確かにあまり夜遅くまでだと近所迷惑にもなるしね。 ♯ 解説 ♭  「~に関する」は「~に関係する事柄や内容を語ると~」という意味を表します。書面や、改まった会話や演説、学術方面で使われることが多いでしょう。なお、「~に関して」の丁寧体に「~に関しまして」があります。  「~に関して」と「~について」(→文型325)の違いについて語れば、右の図の瑜讼薅à筏剖訾伽毪韦浮摔膜い啤埂⑸伽烽v連分野を広げて述べるのが「~に関して」で、数の点々部に相当します。なお、「~にまつわる」は「絡み付く」と言う意味の語で、そこから起こる様々なことを取り上げて外の曲線範囲まで述べます。        図あり   § 例文 § 1.政府は○○事件の真相に関し、国会で調査報告を明らかにすると表明した。 2.このプロジェクトに関しては一切の責任は私が負っている。 3.最近、日本に関する書籍は多くあるが、どれも大同小異で、「当たらずと言えども遠からず」という類のものだ。 4.ソ連邦崩壊にまつわる謎めいた話は多くある。 5.この湖にまつわる伝説のひとつに、湖の主である大蛇と村の娘の恋愛物語がある。 ★ 例題 ★ 1) 日本(に関する/における)留学生の生活実態(に関して/において)、詳しい調査報告書(を/が)出された。 2) 彼はいつもマイペースを(崩す→   )ず、周囲の評価( )関しては気にも(とめる→      )。 (^^)前課の解答(^^) 1) 換えれば/にかわって/となる(「~を~とする」「~が~となる」) 2) に/で/みて(継続の「~てくる」→文型181) -------------------------------------------------------------------------------- 305 *~に決まっている/*~に違いない 名詞    :    ×    +  に決まっている 動詞・形容詞:原形<ナ形ー×>    に決まってる<口>                    に違いない                    に相違ない -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :今度の土日は雨に違いないよ。夏休みに入ってこのかた、週末はいつも天気が悪いな。 良子:小平もかわいそうに、せっかく家族で海に行けるって、ずっと前から楽しみにしてるのに。 小平:大丈夫だよ。照る照る坊主を作ったから、絶対に晴れるに決まってるよ。 ♯ 解説 ♭  「~に決まっている」は何か根拠となるものがあって、「~なることは必然だ」という断定表現です。「~に違いない」は自分の確信を表す主観的な表現で、「~に相違ない」はその書面語です。ほとんどの場合は置き換えできるのですが、「~が、しかし~」と対立する事態を述べるときは「~に決まっている」が使えません。   父親としては娘の結婚は嬉しい    ○に違いないが、    ×に決まっているが、   反面、寂しくもあるだろう。  なお、類義文型の「~はずだ」(→文型367)は常に期待の感情が表れますから、次のような例で「~はずだ」を使うと父の死を期待していることになります。   もう父の病気は治らないに違いない(?はずだ)。 § 例文 § 1.彼は失業中だし、旅行する余裕なんてないに決まっている。 2.あいつの言うことなんか、信じられるものか。ほらに決まってる。 3.彼は今のところ猫をかぶっているが、そのうち化けの皮がはがれて、正体を現すに決まっている。 4.虫の知らせと言うか、胸騒ぎがする。娘の身に何かよくないことがあったに違いない。 5.彼の才能をもってすれば、将来成功するに相違ない。 ★ 例題 ★ 1) 子供にそんなお菓子を(見/見せ)(たら/ても)、(ほ しがる/ほしい)に決まっている。 2) 今はわかって(もらう→    )なくても、いつかは君( )も私の気持ちがわかる日が来る( )違いない。 (^^)前課の解答(^^) 1) における/に関する/が(受身文:~を出す→~が出される) 2) 崩さ(→文型121)/に/とめない(慣用語:気にとめる→) -------------------------------------------------------------------------------- 306 *~にくい/~づらい 動詞:[ます]形 +  にくい           づらい -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :この交差点、右折していいの?色々書いてあって読みにくいし、何言ってんだか、わかりづらいよ。 良子:本当にわかりにくい表示ね。掲示責任者は自分で読んだことあるのかしら?手前味噌もいいとこね。 李 :あーあ、そんなこと言ってるから行き過ぎちゃったよ。さーてと、ここはUターンできるのかな? ♯ 解説 ♭  「~にくい」の類義表現に「~辛(づら)い」があります。「~にくい」は客観的状態を述べる表現ですが、「~づらい」は話者の肉体的・心理的理由で「~するのが難しい」事態を表します。「~にくい」は対象に原因・理由があり、「~づらい」は話者自身に原因・理由があると考えればいいでしょう。   (澶巫证·丹疲┱iみにくい。ー客観状態が理由ー   (眼鏡がないので)読みづらい。  ー肉体的理由ー  もう一つの類義表現に「~難い」(→文型034)がありますが、実際上は不可能を表す表現です。   言葉では表しがたい。<困難で、ほぼ不可能>   言葉では表しにくい。<困難だが、できないことはない> § 例文 § 1.言いにくい(⇔づらい)ことなんだけど、少々、用立ててもらえないだろうか。 2.この録音テープは雑音が入っていて、聞き取りにくい(⇔づらい)。 3.この金属は電気を通しにくく(×づらく)、しかもステンレスより強靭です。 4.足に肉刺ができて、歩きづらい(×にくい)んだ。 5.歳のせいか、小さい字が読みづらく(×にくく)なった。 ★ 例題 ★ 1) あの店はつけが(たまる/たまっている)ので、行き(にくい/づらい)んだ。別の店に(する/しよう)よ。 2) この鍋は(熱する→   )やすくて(冷める→   )にくい特殊合金( )作られている。 (^^)前課の解答(^^) 1) 見せ/たら(条件の順接)/ほしがる(第三者も感情・希望) 2) もらえ(可能形)/に(「~に~がわかる」)/に -------------------------------------------------------------------------------- 307 *~に比べて/*~と比べて 名詞: ×  +  に比べて           に比べると           と比べて           と比べると -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :去年に比べて、15センチも背が伸びてるのか! 良子:この勢いだと、2、3年でパパを追い越しそうね。それにパパに比べると足が長いし、かっこういいわ。 李 :僕たちの時代とは栄養が違うよ。まあ、その栄養がもっと頭の方に回ってくれたらいいんだけどね。 小平:蛙の子は蛙さ。「瓜の蔓に茄子はならぬ」ってさ。 ♯ 解説 ♭  「比べる」には相互に関連することを比較するときと、相反する物を対比するときがあります。前者を比較、後者を対比と呼ぶことにします。  「と」は双方向、「に」は一方向なので、この違いが「~と比べて」と「~に比べて」の違いに現れてきます。一般に、例文1、2のように、ABのどちらにも関連する同類の事柄を相互に比較するときは「Aと比べてB」が使われますが、例文5のようにABが対立する関係がある事柄を対比するときは「Aに比べてB」が使われます。どちらにも解釈できる例文2、3のような例もありますが、比較は「~と比べて」、対比は「~に比べて」と覚えてください。→例題1) § 例文 § 1.以前の製品と比べて、新製品は機能面の充実という点で数段勝っている。 2.翻訳を原文と比べると、やはり微妙な点で違いがある。 3.子供の頃と比べると、確かに生活は豊かになったが、果たして、それで幸せは増したのだろうか。 4.今年は天候に恵まれたおかげか、昨年に比べて米が豊作だ。 5.人生は喜びに比べて苦しみの方が多いのかもしれない。 ★ 例題 ★ 1) 男(に比べて/に反して)女の方が、生命力が強いと(言っている/言われている)が、それは男の方が幼児死亡率が高い(こと/もの)からもわかる。 2) 自分の子( )よその子( )比べて、あれこれ言う のは(やめる→  )方がいい。 (^^)前課の解答(^^) 1) たまっている(現在の状態)/づらい/しよう(提案) 2) 熱し(~やすい→文型000)/冷め/で(材料) -------------------------------------------------------------------------------- 308 *~に加えて/*~に加え 名詞    : ×        + に加えて                    に加え 動詞・形容詞:普通形<ナ形ーな> + の(・こと)に加えて                    の(・こと)に加え -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :雨に加え風まで出てきたようだね。小平の照る照る坊主は効き目なしかい? 良子:小平の神経を逆なでするようなことを言わないで。 小平:気にしてないよ。いつものことだから。 李 :先週に加えて今週も週末が雨では、海の家だって泣きっ面に蜂だね。まあ、明日は出たとこ勝負で行こう。 ♯ 解説 ♭  「~に加えて」は累加・添加の表現になります。名詞としか結びつきませんが、「~上に」(→文型013)や「~し、それに」(→文型107)と同義表現です。「~だけでなく~も」(→文型363)のグループを使って同じ意味が表せる例も多いでしょう。   彼女は優しいことに加えて美しい。  =彼女は優しい上に美しい。  =彼女は優しいし、それに美しい。  =彼女は優しいばかりでなく美しい。 § 例文 § 1.家が手狭なことに加えまして子供も多く、騒々しいことこの上なしです。 2.大企業の社員は賃金が高いのに加えて休暇も多い。 3.日本は国土が狭いのに加えて資源も乏しく、貿易に頼らなければやっていけません。 4.退職してからというもの、毎日が暇なのに加えて交際も途絶え、生きる張り合いがなくなった。 5.彼女はその美貌に加えて才気煥発、その上人当たりもいい。 ★ 例題 ★ 1) この決算書は項目(は/が)整理されていないの(に反し/に加え)、計算も間違い(だらけ/まみれ)だ。 2) この子は人一倍食べる( )に加えて、体を動かそう( )(する→    )ので、肥満児になってしまった。 (^^)前課の解答(^^) 1) に比べて/言われている(→文型221)/こと(→文型082) 2) を/と/やめた(→文型388) -------------------------------------------------------------------------------- 309 ~に越したことはない 名詞    :  ×       +  に越したことはない 動詞・形容詞:原形<ナ形ー×>        ない形 (注:「~のに越したことはない」の形も使われる) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :お金を少し余分に持って行こう、用心に越したことはないからね。手元不如意じゃ安心して遊べないよ。 良子:ええ、でも、今月も貯金できそうもないわ。 李 :貯金するに越したことはないけど、生活も楽しまなければね。貯めるばかりが能じゃないよ。 小平:何をぐずぐずしてるの?早く出かけようよ。 ♯ 解説 ♭  「越す」には「勝る/秀でる」という意味もあり、「~に越したことはない」は「~するのが最善だ」という勧告の表現になります。動詞・形容詞や「Nである」などと結びつくとき、「~のに越したことはない」の形も使われます。  類義表現に「~方がいい」(→文型388)がありますが、この「~に越したことはない」はそれがベストという選択になります。ただ、どちらも入れ替え可能ですから、話者の判断で使い分ければいいでしょう。   早く行った方がいいよ。   早く行くに越したことはない。 § 例文 § 1.中国語を学ぶなら、中国人の先生に越したことはない。 2.お金はあるのに越したことはないが、お金のためにあくせくしたいとは思わない。 3.あなたがお口添えくださるなら、それに越したことはありません。 4.品質に違いがないなら、価格が安いに越したことはない。 5.直接会って話すに越したことはないが、電話でもかまわないだろう。 ★ 例題 ★ 1) 苦労は(する/しない)に越したことはないが、「苦労(ないで/なくして)喜び(が/も)なし」だよ。 2) 海外旅行( )は、いつ盗難に(遭う→     )とも限らないから、用心する( )越したことはない。 (^^)前課の解答(^^) 1) が(従属句の主語は「が」)/加え/だらけ(→文型155) 2) の/と(「~(よ)うとする」→文型441)/しない -------------------------------------------------------------------------------- 310 *~に際して/*~に際し/*~に際しての 名詞: ×  +  に際して(は/も) 動詞:原形     に際し           に際しまして(は/も)           に際しちゃ<口>           に際しての + 名詞 -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :危機に際しての対応マニュアルを、事前に準備しておくことは大切だよ。 山田:なければパニックになるだろうな。まあ、そんなことになってほしくないけど、転ばぬ先の杖だね。 李 :去年のぼや騒ぎの反省会に際し、部長から作成するよう指示があったよね。確か君の担当だろ? ♯ 解説 ♭  「~に際して」は「~するすぐ直前」を表し、「~に当たって」(→文型286)や「~に先だって」(→文型311)とほぼ同義表現です。そして、「開会に際して(・に当たって)一言ご挨拶を申し上げます」のようにどちらも使える用例も多いのですが、「~に際して」はより直前の行為を表す気持ちが強いので、下例のような時間にに幅がある例では不自然になります。  旅行 ○ に当たって     ○ に先立って     × に際して  何日もかけて綿密な計画を立てた。         図あり    § 例文 § 1.入居に際し隣近所に挨拶回りをするのは日本人の習慣だ。 2.卒業式を始めるに際しまして、当学院を代表して校長先生から祝辞をいただきます。 3.出国するに際して、税関で所持品の検査を受けた。 4.受験に際しての注意事項が書いてありますから、御一読ください。 5.君を部長に推薦するに際しては、僕も色々と骨を折ったことを忘れるなよ。 ★ 例題 ★ 1) この会議を(終わる/終える)(際に/に際し)、関係 各方面の(方々/人々)に心からお礼申し上げます。 2) 食事( )始める( )際して、胸( )手を合わせ て、神に感謝するのがキリスト教圏の人々の習わしだ。 (^^)前課の解答(^^) 1) しない/なくして(→文型)/も 2) で/遭わない(~ないとも限らない→文型264)/に -------------------------------------------------------------------------------- 311 *~に先立って/*~に先立ち 名詞: ×  +  に先立って 動詞:原形     に先立ち           に先立ちまして           に先立つ + 名詞 -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :新製品の販売開始に先立って、商品在庫をどれだけ積み増していくかは、本当に難しいよ。 山田:在庫を抱え込むと大変だからなあ。下手をすると次の新商品開発に先立つ資金ぐりがつかなくなる恐れだってあるしな。 李 :かといって、商品が足りなくなると追加生産が大変だよ。 ♯ 解説 ♭  「~に先立って/~に先立ち」は「~に当たって」(→文型286)とほぼ同義表現で相互に置き換えられる表現ですが、「~に先立って」は事前の準備という意味が強く、「~に先立って~ておく」と呼応することが多いでしょう。  また、例文5のように「~の先頭に立って」という意味を表したり、お金を表す「先立つもの」、先に死ぬを意味する「親に先立つ不幸」のような慣用的な言い方があります。   つきあいたいが、あいにく今日は先立つものがないんだ。   先立つ不孝をお許しください。 § 例文 § 1.披露宴を始めるに先立ちまして、媒酌人でもある社長から、お祝いの言葉をいただきたいと存じます。 2.出発に先立ち、忘れ物はないか、各自点検してほしい。 3.開演に先立ち、主催者を代表してご挨拶申し上げます。 4.明日の決勝戦に先立って、もう一度、作戦について意思統一を図りたい。 5.日本はアジア諸国に先立って非軍事平和国家の道を進み、模範となるべきだ。 ★ 例題 ★ 1) 競技を開始する(に先立って/にあって)、審判(に対して/として)、諸君に一言注意し(ておく/てある)。 2) 中華料理とは、調理( )先立つ下準備( )時間をかけ、そして一気に(作る→   )上げる火の芸術だ。 (^^)前課の解答(^^) 1) 終える(他V)/に際し(~際→文型098)/方々(敬語) 2) を/に/に -------------------------------------------------------------------------------- 312 *~に従って/*~に従う  名詞: ×    +  に従って  動詞: 原形      に従い              に従う -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :日本人は車も通っていないのに、赤信号の時、じっと待ってる人が多いね。律儀なのか、頭が固いのか? 良子:駄目よ、あなた。法規に従わなきゃ。年をとるに従って動作も鈍くなるし、事故でもあったら、お仕舞いよ。 李 :はいはい、でもこれ日本人の七不思議のひとつ。そのくせ、「旅の恥はかき捨て」なんだから。 ♯ 解説 ♭  「Aに従ってB」は、Aが変化するのに対応してBも変化することを表します。「~につれて」(→文型330)や、「~とともに」(→文型240)、「~に伴って」(→文型330)などとほぼ同義表現になりますが、「~に従って」は因果関係を強調することに特徴があります。また「従う」は多義語で、同じ形が現れても意味の異なるときもあります。   勉強しない。従って成績が悪い。 <~の後ろについて>   ガイドに従って奈良見物をする。 <接続詞=その結果/だから>   能力に従ってクラス分けをする。 <対応=によって/に応じて>   古人の筆法に従って字を書く。  <習う/模倣する>   上官に命令に従って行動する。  <服従> § 例文 § 1.私は軍人として、ただ国家の命ずるところに従うのみ。 2.時代の流れに逆らわず、流れに従って生きることも覚えなさい。 3.人は経験を積むに従って、思慮深くなる。 4.研究が進むに従って、人間の脳の持つ奥知れぬ神秘な世界が明らかになってきた。 5.上流に行くに従って、川幅が狭くなり、流れも急になってきた。 ★ 例題 ★ 1) 市民の自覚が(高まる/高める)と(共に/従って)、情報公開の要求が(強まって/強めて)きた。 2) イランという国を(知る→    )に従って、イスラム世界( )動かす原理( )見えてきた。 (^^)前課の解答(^^) 1) に先立って/として(→文型237)/ておく(=事前に~する) 2) に/に(~に~をかける)/作り(→文型003) -------------------------------------------------------------------------------- 313 *~にしたら/~にすれば/~にしてみれば 名詞(人・組織): ×  +   にしたら                 にすれば                 にしてみれば                 にしてみりゃ<口> -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :会社にしたら、年功序列制の下で高給をもらってる中高年層が、目の上のたんこぶなんだろうが・・・。 良子:でも、会社のために身を粉にして働いてきた彼らにしてみれば、これほど残酷な話はないわ。 李 :僕に言わせれば、盲目的に欧米型経営方式に追随する姿が情けないね。もっと誇りを持てといいたいよ。 ♯ 解説 ♭  「~にしたら/~にすれば/~にしてみれば」は「~の立場・視点に身を置いて見れば」という意味を表し、主として人を主題として取り上げる表現です。  これらの文型は「~としては」(→文型237)を使っても表せますが、中立的な「~としては」に比べて、「誰それの身になって考えれば」と同情や共感が多く現れる点が特徴でしょう。また文末では「~だろう/~かもしれない」など推量表現が多く現れます。 § 例文 § 1.彼にしたら、あのように言うしかなかったのだろう。 2.教師から頭ごなしに叱られたが、僕にすれば言い分もあった。 3.両親にしてみりゃ、自分の娘が「援助交際」をしていたなんて、寝耳に水だったろうさ。 4.車椅子の人にしてみれば、駅の階段や歩道橋は、そびえ立つ山のようなものだろう。 5.A国にしてみれば、米国の人権政策は内政干渉として目に映ることだろう。 ★ 例題 ★ 1) 所長(にして/になって)みれば、本社の命令(の/である)以上、(従う/従わない)わけにはいかなかった。 2) そんな所長( )したら、自殺が精いっぱいの会社に対して( )抗議(だ→   )のかもしれない。 (^^)前課の解答(^^) 1) 高まる(→文型413)/共に/強まって(→文型413) 2) 知る/を(他V)/が(自V) -------------------------------------------------------------------------------- 314 ~にして/~にして~(ら)れない  名詞: ×  +  にして            ・            にして、かつ~        ・ にして~(ら)れない     ・ にして、はじめて~(ら)れる ・ -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 山田:これは彼にして、はじめてできることです。とても素人とは思えません。正に玄人はだしですね。 課長:君にしては、珍しく手放しの褒め方だね。他人の良さが認められるのは、人間としての成長だよ。 山田:三十にして、ようやく人の苦労がわかるようになりましてね。私もそれなりの苦労はしたようです。 ♯ 解説 ♭  「~にして」の多くは「~で」「~でも」「~であって」に置き換えられる状況や場面や時を強調する表現になります。また、例文2のように「Aにして、(かつ/同時に)B」の形で、「Aでもあり(かつ/同時に)Bでもある」の意味を表します。文型として重要なのは「~でさえ~できない」に相当する「~にして~(ら)れない」と、例文4の「~であってこそ~できる」に相当する「~にして、はじめて~(ら)れる」でしょう。この二つの文型は口語でもよく使われます。  なお、「幸いにして/不幸にして/一瞬にして/緊急にして」などは語彙として覚えた方がいいでしょう。 § 例文 § 1.ローマは一日にしてならず。 2.彼は政治家にして、かつ敬虔なクリスチャンでもあった。 3.留学中は貧しくて食事も満足に食べられなかったが、今にして思えば、ひたすら勉強に専念できた幸せな時代だった。 4.このような偉業は、私心のない彼にして、はじめて成し遂げることができたのだ。 5.不幸中の幸いとでも言いましょうか、大事故にもかかわらず、主人は幸いにして軽いけがですみました。 ★ 例題 ★ 1) 孔子曰く「我四十(に/にして)惑わず」。でも僕は五十になっ(たら/ても)、(迷う/迷って)ばかりいる。 2) 会社の倒産で、彼が(築く→   )上げた富も地位も、一瞬( )して(崩れる→   )去った。 (^^)前課の解答(^^) 1) にして/である(→文型009)/従わない(→文型457) 2) に/の(→文型322)/だった -------------------------------------------------------------------------------- 315 *~にしては/*~わりに(は) 名詞・それ :  ×          +  にしては 動詞・形容詞:普通形<ナ形ーである>     にしちゃ <口> 名詞・そ  :  の          +  わりに(は) 動詞・形容詞:普通形<ナ形ー な >     わりにゃ <口> -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :ここは免税店のわりに、交換レートがいいね。両替えで儲けようとしていないだけ、この店はまだ許せるな。 良子:あなたがそんなことを言うから、財布の紐がすっかり緩みっばなしよ。 李 :「後は野となれ、山となれ」さ。ただ、日本に着いてからの交通費だけは残しておいてよ。 ♯ 解説 ♭  「~にしては」と「~わりに」は接続の形に違いがありますが、どちらも「のに」系に属する逆説表現で、「当然の<結果や予想>に反して、事実は~」という意味を表します。常に一般常識や標準を念頭に置いて、実態がそれに反することを述べる点に特徴があります。そして、ここから作られるのが、接続詞「それにしては」「そのくせに」です。  注意する点は、「~わりに」は用法上の制限がないのですが、下のように前後の主語が異なるとき、「~にしては」が使えなくなることです。  親が苦労しているのに(・わりに/×にしては)子どもは気楽に遊んでいる。 § 例文 § 1.12歳という年齢にしちゃ、ひねた子だねえ。 2.スキーは初めてだと聞いていたが、それにしては、なかなかうまく滑るじゃないか。 3.あの子は親が教育熱心なわりに、余り勉強ができない。 4.君は食べるわりに太らないねえ。羨ましい限りだ。 5.彼は体が大きいが、そのわりにゃ力がないねえ。 ★ 例題 ★ 1) 「ここは銀座一の高級料理店だが、値段の(わりに/にしては)(おいしい/おいしくない)ねえ」  「(それにしては/それにしても)、コーヒー一杯が1200円とは驚くねえ」 2) 2年もアメリカ( )留学していたにして( )、君の英語は少しも上達して(いる→    )ねえ。 (^^)前課の解答(^^) 1) にして/ても(条件の逆説)/迷って(→文型362) 2) 築き/に/崩れ(V〔ます〕形+去る:奪い去る・消え去る) -------------------------------------------------------------------------------- 316 ~にしても/それにしても  ・ 名詞・それ :    ×      +  にしても 動詞・形容詞:普通形<ナ形ー×>     にしたって<口> -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 良子:遅いわね。お父さん、道に迷っているのかしら。 李 :うん。「駅に着いた」っていう電話があってから、もう三十分もたってるぞ。 良子:「ひとりで行けるから、迎えはいらない」なんて言ってたのにね。 李 :それにしても遅いよ。途中まで迎えにいってみようか。 ♯ 解説 ♭  ここで取り上げたのは既定条件の逆説「~にしても」で、眼前にある既定事実に立って、「~ことは認めるが、<予想・標準>以上に~」や、「~ことは認めるが、まだ/やはり~」を意味します。不足・不満、或いは感嘆などの感情が多く表れるのが、この文型の特徴です。この「~にしても」は「~にしては」(→文型315)と対照的になりますので、関連させて覚えましょう。  <予想・標準以上>   夏にしても、暑すぎる。   高校生にしても、漢字をよく知っている。  <予想・標準に反して>   夏にしては、涼しいね。   高校生にしては、漢字を知らない。 § 例文 § 1.やせたいにしたって、食事もしないのはよくないよ。 2.いくら頭にきたにしても、手をあげたのはやり過ぎだ。 3.まずいとまでは言わないにしても、とても商売になる代物じゃありませんね。 4.それにしても、突然どうしたの?学校をやめるなんて。 5.試合に負けたのはしかたがないが、それにしても一点もとれないとは情けない。 ★ 例題 ★ 1) 「大山君って、元相撲部(だけあって/ばかりに)、いい体格をしてるね」「う~ん。でも(それにしては/それにしても)少し(太る/太り)過ぎているんじゃない?」 2) 寿命で死ぬのはしかたがないにしても、彼(みたいだ→    )交通事故( )死ぬ( )は嫌だなあ。 (^^)前課の解答(^^) 1) わりに(→文型000)/おいしくない/それにしても 2) に/は/いない -------------------------------------------------------------------------------- 317 ~にしても ・ 名詞    :   × / である   + にしても 動詞・形容詞:普通形<ナ形ー×/である>  にしたって<口> -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 父 :いやあ、すまん、すまん。 良子:何があったんじゃないかと心配してたのよ。遅れるにしても、電話ぐらいは入れられたでしょうに。 父 :小平にみやげをかっておったんじゃ。ほれ、駅前に大きなおもちゃ屋があるじゃろ。 良子:おもちゃ?小平はもう中学生なのよ。 ♯ 解説 ♭  ここで取り上げたのは仮定条件の逆説「(たとえ)~にしても」で、前件が未成立である点が既定条件・逆説の「~にしても」(→ 文型 316)と異なります。  この「~にしても」は「~としても」も使える表現ですが、「~としても」は客観的・中立的ですが、「~にしても」には話者の様々な感情が多く含まれる点で違いがあるでしょう。ですから、感情は強く表す次のような例文は「~にしても」の方が多く使われます。   彼女が誰と結婚するにしても(△としても)、僕には関係ないことさ。 § 例文 § 1.冗談にしても、ほどがある。口を慎め。 2.たとえ何十万かの金が借りられたにしても、焼け石に水だ。 3.十分ではないにしても、これだけの金があれば、なんとか2、3年は暮らしていけるでしょう。 4.仮ににっちもさっちも行かなくなり、僕に泣きつくようなことがあったにしても、僕は知らないよ。 5.百歩譲って、仮に君の主張が正しいにしても、議決されたことに従わないのは民主主義のルールに反することだ。 ★ 例題 ★ 1) 家を買うにし(たら/ても)、せめて頭金(ほど/ぐらい)は貯め(ていない/ておかない)と、後で困るよ。 2) 人の(生きる→   )方は様々である( )しても、求めている( )は幸せになることだろう。 (^^)前課の解答(^^) 1) だけあって(→文型132)/それにしても/太り(→文型117) 2) みたいに(→文型408)/で(理由)/の(→文型354) -------------------------------------------------------------------------------- 318 *~にしろ/*~にせよ 名詞・疑問詞:   × / である     +  にせよ 動詞・形容詞:普通形<ナ形ー×/である>     にしろ -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 良子:行くにせよ行かないにせよ、連絡だけは入れておかないとまずいわ。お友達を足止めした形になってるし。 李 :熱は下がったけど、子供は体力がないから、無理は禁物だよ。いずれにしろ今日はやめよう。 良子:こぶつきはどこに出かけるにしろ、ままならないわね。でも、親の心子知らず、すやすや寝てるわ。 ♯ 解説 ♭  「~にしろ/~にせよ」は「~にしても」(→文型316・317)と同じで、「~ても」に相当する既定・仮定の逆説表現です。この文型は「いつ・どこ・だれ・なに」など疑問詞を受ける場合があり、その場合「いつにせよ=いつでも/だれにせよ=だれでも」のように、例外なく全てを表す「でも」に相当します。  注意してほしいのは、逆説「ても」は常に前件の後で後件が発生しますが、「~にせよ/~にしろ/~にしても/~としても」は普通形接続なので、どのような場合でも使えることです。例えば下の例文の「仱毪摔护琛ⅰ梗ㄔ危摔护瑁─蟻る以前のことを表していますから、「~ても」が使えません。→例題2)   10時の電車に仱盲郡摔护瑁
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 楼主| 发表于 2004-11-23 19:31:39 | 显示全部楼层
326 ~に次いで/~に次ぐ 名詞 : ×  +  に次いで       ・            に次ぎ 名詞A: ×  +  に次ぐ + 名詞A  ・ -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 真理:ねえ、見て見て、このポスター。 百恵:な~に? あら、また香港の歌手の来日公演ね。最近やけに多いわね。 真理:アメリカに次いで多いんじゃないかしら。 李 :確か中国語を勉強する人の数も、英語に次ぎ第二位だったんじゃなかった? ♯ 解説 ♭  「~に次いで/~に次ぐ」は例文1~3のように「すぐ後に続く」、或いは「程度や地位がすぐ下にある」を意味し、この表現は「~の次に」を使っても表せます。→例題2)   地震に次いで津波が起こる。=地震の次に津波が起こる。   大阪は東京に次ぐ大きな都会=大阪は東京の次ぎに大きな都会  その他、例文4、5のように、同じ名詞を「Aに次ぐA」の形で繰り返して、次から次へと連続して起こる事態を表す用法があります。→例題1) § 例文 § 1.自動車・電気製品に次いで精密機械が、日本の主な輸出品だ。 2.今や中国は、アメリカに次ぐスポーツ大国と言える。 3.大学入試は午前中に筆記試験が行われ、次いで午後から面接試験が行われることが多い。 4.連勝に次ぐ連勝で、あのチームは波に仱盲皮い搿 5.戦争に次ぐ戦争で国土は荒れ、多くの尊い人命が毎日のように奪われている。 ★ 例題 ★ 1) 悪いことは重なる(こと/もの)で、不幸(に次ぐ/に次いで)不幸(が/を)重なり、父も病に倒れた。 2) 現在、中国( )次に人口が多い( )はインドだが、近い将来には、インドの人口は中国を越すと(言って→      )いる。 (^^)前課の解答(^^) 1) にとって/について/尋ねられた(「~から~られる」受身文) 2) 可決される(~可決する→受身文)/か(→文型040)/か -------------------------------------------------------------------------------- 327 ~につき 名詞:  ×  + につき -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 良子:このインスタント・ラーメン、二つにつき一つおまけになるみたいよ。買っとこうかしら。 李 :「売り出し中につき、出血大サービス」ってあるけど、安かろうまずかろうじゃかなわないよ。 良子:そうね。いつかの冷凍食品の二の舞は嫌だもんね。 李 :それにさ、毎日食べさせられる僕の身にもなってよ。 ♯ 解説 ♭  「~につき」は名詞に接続して「~という理由で」を表す接続助詞です。掲示物や手紙、通知文で多く使われる文章語で、日常会話ではあまり使われません。  格助詞の「~について/~につき」や、比率の「~につき」と混同しやすいので注意しましょう。   ただ今会議中につき、少々お待ちく ださい。   <理由>   会議の内容につき、書面にてお知ら せします。  <内容>   一時間につき千円の時給が支払われ ます。    <比率> § 例文 § 1.面会謝絶につき、入室はお断りします。 2.準備中につき、今しばらくお待ちください。 3.店内改装中につき、しばらく休業いたします。 4.工事中につき、御迷惑をおかけします。 5.この薬品は危険につき、取り扱い注意。 ★ 例題 ★ 1) 社長はただいま会議(中/最中)(について/につき)、秘書の私が、かわって御用件を(聞きます/承ります)。 2) お客様にはご迷惑をお(かける→   )しております。ただ今、連絡船は強風( )つき、咝肖蛞姾悉铯护皮辘蓼埂L旌颏ɑ貜亭工搿    。┐蔚凇⒊龊饯斡瓒à扦搐钉い蓼工⒔瘠韦趣长怼⒁娡à筏狭ⅳ盲皮辘蓼护蟆 (^^)前課の解答(^^) 1) もの(ものだ→文型420)/に次ぐ/が(自V) 2) の/の(=国)/言われている(→文型221) -------------------------------------------------------------------------------- 328 *~につけ/*~につけて(も) 名詞     : ×  +  につけ 動詞・イ形容詞:原形     につけて(も) (注:接続詞の形は「それにつけても」、「何かにつけ」は慣用) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :それにつけても景気が悪いなあ。商店街でも店を閉めてるところが増えたよ。 良子:デパートの売上げも長期低落傾向ね。みんな財布のひもが堅くなっているのよ。 李 :この事態を見るにつけ、バブルの頃が懐かしく思い出されるよ。まあ、はかない一炊の夢だったけど。 ♯ 解説 ♭  「~につけ/~につけて(も)」は「~すると、自然に~」を表す文型で、「~と、決まって/~と、いつも」や「~度に」(→文型151)と類義表現になります。この文型の特徴は後件に「思い出される/しのばれる/案じられる/よみがえる/感じられる」などの自発の動詞が多く現れることで、話者の感慨や感情を込めた自然・自発の時の表現です。そのため、この文型は後件で意志行為が表せませんが、「~と、いつも/~度に」はどんな場合にも使えます。  クリスマスになる   ○ 度に   ○ といつも/と決まって   × につけ  母はケーキを作ってくれた。 § 例文 § 1.今日の祖国の繁栄を思うにつけ、戦場に散っていった戦友のことが偲ばれる。 2.君は何かにつけて僕に辛くあたるが、何か僕に恨みでもあるのかい。 3.何事につけても「石の上にも三年」だよ。それが辛抱できないようで何も身につかない。 4.それにつけても思い出すのは初めて東京に来た日のことだ。 5.一人二人と友がこの世を去るにつけ、老いの寂しさを感じる。 ★ 例題 ★ 1) 寒い(にせよ/につけ)心配し、暑い(にせよ/につけ)心配し、母が子(を/と)思う愛は海より深い。 2) この写真を(見る→    )につけ、優しかった母の面影( )まぶた( )浮かんでくる。 (^^)前課の解答(^^) 1) 中(→文型162)/につき/承ります(謙譲語) 2) かけ(謙譲形→文型019)/に/回復し(~次第→文型110) -------------------------------------------------------------------------------- 329 ~につけ~につけ 名詞     :  ×      + につけ ~ につけ 動詞・イ形容詞: 原形 -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 山田:良きにつけ悪しきにつけ、子は親から影響を受けるね。うちの姉など、口うるさいところが母そっくりだ。 李 :「この親にしてこの子あり」とは、けだし名言だな。 百恵:特に娘は年をとると母親に似ると言われるけど・・・。 李 :一方、息子の方は父親の背中を見て育つと言われるね。となると、僕の責任も重大だなあ。 ♯ 解説 ♭  「~につけ」(→文型328)から生まれた並立助詞の用法で、「AにつけBにつけ」と対になる語を重ねて、「~の時も~の時も~」を表します。後件では自然に引き起こされる事態が述べられます。そのため、後件で人為的な事柄は表せません。  問題になるのは「~にせよ~にせよ/~にしろ~にしろ」(→文型319)が同じような意味を表すことがあることです。これらは後件で自由に人の判断・推量・意志を表します。逆に言えば後件で自然・自発の事態を表すときは「~につけ~につけ」が適切で、「~にせよ~にせよ/~にしろ~にしろ」が不自然になります。→例題1)   雨につけ風つけ(×雨にせよ風にせよ)、故郷のことが思い出される。 § 例文 § 1.雨につけ風につけ、故郷のことが思い出される。 2.嬉しいにつけ悲しいにつけ、酒は心の友となる。 3.この庭に梅の花が咲くにつけ散るにつけ、思い出されるのは、若くして亡くなった娘のことだ。 4.楽しいにつけ悲しいにつけ、あなたと過ごした幾年月が懐かしく偲ばれる。 5.良きにつけ悪しきにつけ、親は巣立っていく子供を見守ることしかできない。 ★ 例題 ★ 1) いい(にしろ/につけ)悪い(にしろ/につけ)、もう(決定する/決定した)ことをとやかく言うな。 2) 祖国のニュースを見る( )つけ聞く( )つけ、国にいる妻子のことが(案じる→      )。 (^^)前課の解答(^^) 1) につけ/につけ/を 2) 見る/が/に(「まぶたに浮かぶ」は慣用的言い方) -------------------------------------------------------------------------------- 330 *~につれて/*~に伴って/*~に伴う 名詞: ×  +  につれて 動詞:原形     につれ           に伴って           に伴い           に伴う + 名詞 -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 小孫:帰国されたと聞きましたが、いかがでしたか。 李 :まるで雨後の竹の子のようにビルが建設されていて、日本の不況など、どこ吹く風といった感じだったよ。 小孫:改革開放に伴う生活の変化も激しいでしょうねえ。 李 :うん。ただ、それにつれて拝金主義の風潮がはびこっていて、よき伝統が損なわれないかと気になったよ。 ♯ 解説 ♭  「AにつれてBする/Aに伴ってBする」は「Aが変わると、いっしょにBも変わる」という比例変化の表現を作ります。意味の差はほとんどありませんが、「~伴って」には「Aに伴う<名詞>」の形がありますが、「~につれて」には「Aにつれる<名詞>」の形がありません。また「~に伴って」には、例えば「地震に伴って(×につれて)津波が起こる」のように、併発・付随現象を表す用法がありますが、この場合は「~につれて」が使えません。→例題1)  ここではいくつかの同義表現の持つ語感の違いを述べておきましょう。   経済の発展     につれて<自然な変化>     に伴って<付随した変化>     とともに<同時進行の変化>     に従って<因果関係を強調>   人々の暮らしも良くなった。 § 例文 § 1.経験を積むにつれて、人は慎重になる。 2.国際化が進むにつれ、従来の教育の在り方についても、改革が迫らることだろう。 3.歌は世につれ、世は歌につれ。 4.医学の進歩に伴い人々の平均寿命も延びてきたが、それに伴う高齢者対策が焦眉の急となっている。 5.日本の円安不況に伴う消費の冷え込みが、アジア諸国の輸出不振をもたらし、更に金融不安を増幅している。 ★ 例題 ★ 1) 火山の噴火(につれて/に伴って)土石流(が/を)発 生し、次々に人家をのみ込んで(きた/いった)。 2) 年を(とる→  )につれ、物忘れが(ひどい→   )なり、朝、何を食べた( )さえ忘れる始末だ。 (^^)前課の解答(^^) 1) にしろ(→文型319)/にしろ/決定した 2) に/に/案じられる(形は受身形だが自発動詞) -------------------------------------------------------------------------------- 331 *~にとって(は/も)/*~にとり 名詞: ×  +  にとって(は/も)           にとりまして(は/も)           にとっちゃ<口>           にとっての + 名詞 -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 真理:A社のサッカー部に試合を申し込んだそうね。相手にとって不足はないでしょ? 李 :俺達にとっちゃ雪辱戦なんだ。前回優勝を鼻にかけてるんで、しゃくにさわってね。後には引けないんだ。 百恵:寄せ集めのチームじゃ、百に一つの勝ち目もないかもしれないけど、窮鼠猫を噛むってこともあるから。 ♯ 解説 ♭  「~にとって(は/も)/~にとり」は「~の立場・視点に立って言えば」を意味する表現で、広範に制約なく使える表現です。丁寧な言い方としては「~にとりまして」、口語として「~にとっちゃ」などがあります。  関連表現に「~にしたら/~にすれば/~にしてみれば」(→文型313)がありますが、これは主として人や擬人化できる組織(会社・国…)について、「誰それの身になって考えれば」と共感や同情を表す表現ですから、無生物を受ける場合や事態の客観描写には使えません。   それは学問の進歩にとって(×にしてみれば)、大きな貢献だ。 § 例文 § 1.それは私にとって、はじめての体験だった。 2.酒造りにとっては、水と米こそ命です。 4.あのような男と付き合いましても、私にとりましては一円の得にもなりません。 3.不毛な論争にはピリオドを打とう。我々にとって大切なのは、今、何をなすべきかということだ。 5.この話は、あなたにとっても私にとっても、悪い話じゃないと思いますがね。 ★ 例題 ★ 1) 現代人(として/にとって)パソコンや携帯電話などは、(今こそ/今や)(なくては/ないでは)ならない必需品だ。 2) 子供( )とって何よりも大切なことは、親から(愛する→     )( )( )だ。 (^^)前課の解答(^^) 1) に伴って/が(自V)/いった(~ていく→文型177) 2) とる/ひどく(イ形+なる)/か(疑問句の「か」) -------------------------------------------------------------------------------- 332 ~に(も)なく/~に(も)ない 名詞: ×  +  になく           にもなく           に(も)ない + 名詞 -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :小平がなついたせいか、お父様はいつになくお喜びだったね。 良子:あんなに嬉しそうな父の顔は私の記憶にないわ。目に入れても痛くないような可愛がりようって、あのことね。 李 :うん、僕もあんなに相好を崩されたお父様を見たのは初めてだ。 ♯ 解説 ♭  「~に(も)なく/~に(も)ない」は名詞を直接受けて、「普段の~と違って/一般の~とは思えない」という意味を表します。話者がいつもの状態や内容と異なる事態に直面したときに使う文型です。間違いが多く現れるのは、類形文型「~と(も)なく」(→文型252)との違いですが、「~と(も)なく」は疑問詞や疑問詞を含む名詞について不確かな状態を表したり、「見るともなく空の雲を見ていた」のように無意識の行為を表す表現です。   彼はいつにもなく上機嫌だった。<いつもと違って>   彼はいつともなくいなくなった。<いつとわからないうちに> § 例文 § 1.柄にもないことをするから、そんな失敗するんだよ。 2.我にもなく興奮して部下を大声で怒鳴ってしまった。 3.彼女はいつになくおめかしをして、そわそわと出掛けていった。 4.好天気に恵まれたおかげか、今年は例年になく、蜜柑が豊作だった。 5.普段は大きい口を叩いているくせに、いざとなると口ほどにもない奴だ。 ★ 例題 ★ 1) どうしたん(かい/だい)?いつ(となく/になく)今日の君(は/が)元気がないじゃないか。 2) 子供( )もなく(かわいい→    )げのない(生意気だ→     )口のきき方をする小僧だなあ。 (^^)前課の解答(^^) 1) にとって/今や/なくては(なくてはならない→文型333) 2) に/愛される(「~から~られる」受身文)/こと(→文型084) -------------------------------------------------------------------------------- 333 ~になくてはならない/~に欠くことができない 名詞: ×  +  に(⇔にとって)なくてはならない           に(⇔にとって)欠くことができない           に(⇔にとって)欠かせない           に(⇔にとって)不可欠だ           に(⇔にとって)不可欠な + 名詞 -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :水は人間にとって欠くことができない物だよ。 良子:洗濯にもなくてはならないし、挙げだしたらきりがないわ。宗教でも汚れを清めるのに使うわね。 李 :ところで、昨日のことは水に流してよ。 良子:朝帰りのこと?だったら、おあいにく様。 李 :機嫌を直してくれよ。心を入れ替えるからさ。 ♯ 解説 ♭  これらの文型はどれも「名詞+になくてはならない」或いは「名詞+にとってなくてはならない」などの形で接続し、「~に絶対必要だ/~に不可欠だ」という意味を表します。いろいろな同義文型がありますから、例を挙げておきます。   生活に絶対必要な物  =生活になくてなならない物  =生活に欠かせない物  =生活に不可欠な物 § 例文 § 1.彼はわが社にとってなくてはならない人材だ。 2.人間の体にとって、塩はなくてはならないものだ。 3.米は日本人になくてはならない主食であり、何としても自給体制は維持しなくてはならない。 4.日本料理に欠かせないものは、味噌と醤油でしょう。 5.開発途上国にとって、資金と技術面の国際協力は、経済成長に不可欠な要素だ。 ★ 例題 ★ 1) A社(で/と)の技術提携は、この新製品開発を進める上(に/で)、なくては(いけない/ならない)前提条件だ。 2) 人間社会にとって家族という( )( )は、これからもなくてはならない基礎単位( )(ある→   )続けるだろう。 (^^)前課の解答(^^) 1) だい(→文型129)/になく/は 2) に/かわい(~げ→文型076)/生意気な(ナ形) -------------------------------------------------------------------------------- 334 ~に上る/~を下らない/~や~にとどまらない 数詞・数量を表す語: ×  +  に上る       ・                  を下らない     ・                  を越す       ・                  や~にとどまらない ・ -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :今月は残業続きで、100時間を越しそうだよ。残業手当てだけも、20万を下らないだろうが・・・。 百恵:でも、連日はきついわね。 李 :うん、こんな調子が続くと、過労死し兼ねないよ。 百恵:お金にはかえられないものがあるもんね。 李 :全くその通り。 ♯ 解説 ♭  これらは数詞について、その数量がとても多いという気持ちで用いられることで共通しています。「~に上る」は数詞や「~以上/~の数」に接続して、「~に達する」という意味を表します。「~を下らない」は数詞について「~以下ではない/~より少なくない」という意味を表し、実際は「~を越す」(=それより多い)ことを暗示します。「~や~にとどまらない」は前に小さい数量、後ろにそれより一つ大きい数量を重ねて「それらの範囲に限れない」という意味を表しますが、どれも実際はもっと多いことを暗示します。 § 例文 § 1.今朝の新聞によると、某国内の宗教対立から生じた衝突によって、数千人に上る死傷者が出たそうだ。 2.サラ金から借りた金が積もりに積もって、元利をあわせて500万円に上っている。 3.○○証券の負債総額は、二千億円を下らないとのことだ。 4.毎年交通事故で死ぬ人の数は、二万や三万にとどまらない。 5.あの人はもう七十歳を越しているが、どこから見ても五十歳そこそこの若さだ。 ★ 例題 ★ 1) 噂(によって/によると)、彼が手にした遺産は、一億を(下らない/とどまらない)(ようだ/そうだ)。 2) この地球上( )毎年飢えの( )( )に死ぬ人の数は、相当の数( )上るだろう。 (^^)前課の解答(^^) 1) と/で(~上で→文型013)/ならない 2) もの(→文型214)/で(「~である」体)/あり(→文型352) -------------------------------------------------------------------------------- 335 ~には/~におかれましては 名詞(人・組織): ×  +  には                 におかれましては -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :今宵は奥様におかれましては、ご機嫌麗しく恐悦至極に存じます。 良子:さてさて、貴公には熱でもおありかな?急に時代がかった言い方されるとびっくりするわ。 李 :ビールに枝豆かと思ったら、こんなにごちそうが! 良子:何言ってんの。今日は父の日じゃないの。 ♯ 解説 ♭  「~には/~におかれましては」は主語につく助詞で敬意を込めた「~は」に相当します。「~には」より敬意を込めた表現が「~におかれましては」で、手紙や儀礼的な書面で用いられる表現です。公式な場面での改まった言い方としては使われますが、日常用語ではありません。  注意してほしいのは、「~には」は目的を表したり、行為の相手・対象についたり、目的地を表す用法がありますから、混同をしないようにしましょう。   成田空港に行くにはJRが便利だ。 <目的>   田中さんには手紙で連絡しました。 <対象>   入管には明日行きます。      <目的地> § 例文 § 1.父上には御健勝の由、何よりのことと存じます。 2.天皇陛下におかれましては、ただ今、別室にて御休憩中であらせられます。 3.皆々様にはお変わりもなく、心からお喜び申し上げます。 4.大統領閣下におかれましては、午後から外賓の方々と御会食の御予定でございます。 5.貴社におかれましては、念願のアメリカ進出を果たされたとのこと、栅摔幛扦趣Δ搐钉い蓼埂 ★ 例題 ★ 1) 女王陛下におかれましては、いたく(お/ご)心痛との(由/節)、(お/ご)慰め(する/になる)言葉もございません。 2) お母様( )は無事( )退院とのこと、私どもも心からお(喜ぶ→    )申し上げます。 (^^)前課の解答(^^) 1) によると(情報源→文型350)/下らない/そうだ(伝聞) 2) で(範囲限定)/ため(原因の「ために」→文型152)/上る -------------------------------------------------------------------------------- 336 *~に(は)/*~(の)に 動詞:[ます]形 +  に  +  行く/来る/帰る ・ 名詞: ×    +  に(は)             ・ 動詞: 原形   +  に(は)/のに(は) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 山田:旅を楽しむには、何と言っても鈍行に揺られてのひとり旅、これに限るよ。 李 :時間があればの話だね。ところで中国の友人が日本に遊びに来るんだ。長期滞在にいいホテル、知らない? 山田:会社の寮にしなよ。安く上げるには一番だよ。 李 :そうか、その手があったか。灯台下暗しだったなあ。 ♯ 解説 ♭  ここで取り上げたのは 目的の「~に」です。「動詞[ます]形+に(行く・来る・帰る…)<移動動詞>」の形は初級文型で、移動動作の目的を表しています。また、後件に状態性の述語「いい・悪い・便利だ・不便だ・必要だ・~やすい・~にくい…/役立つ・要る・かかる・使う…」などが来るときは、「早起きは健康にいい」のように「名詞+に/原形+のに」の形で目的・用途を表します。更に、話題として目的をはっきり取り出すとき、「~には」という形が使われますが、「ためには」の省略形と言ってもいいでしょう。→例題1)   成功するには(・ためには)、夢を持ち続けることが大切だ。 § 例文 § 1.「体にいいこと、何かしてる?」  「うん、週2回、近くのプールへ泳ぎに行ってるよ」 2.中国語でこの手紙を書くのに、3時間もかかったよ。 3.この辞典は用例も豊富だし、外国人には使いやすいと思う。 4.中国の友達が来るんで、成田まで迎えに行かなくちゃならないんだ。成田に行くには何で行ったらいいかなあ。 5.勝つには相手の手を読むことだ。相手の手を読むには情報を集めることだ。つまり情報が勝敗の雌雄を決する。 ★ 例題 ★ 1) 花嫁探し(に/のに)インターネットが(使ってる/使われてる)ってこと、君、(知った/知ってた)? 2) タバコが健康( )悪いことはわかって(いる→  )ながら、なかなか(やめられる→       )んだ。 (^^)前課の解答(^^) 1) ご/由(→文型209)/お/する(謙譲形→文型019) 2) に/ご/喜び(謙譲語) -------------------------------------------------------------------------------- 337 ~には当たらない 動詞:原形  + に(は)当たらない -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 佐藤:彼、海水浴に行った先で、溺れている子供を助けて、警察から表彰されたらしいよ。 山田:彼は泳ぎ達者だし、少しも驚くには当たらないさ。僕なら、子供もろとも海の藻くずとなっただろうよ。 李 :僕も先日、2万円も入った財布を拾って、猫ばばもせずに交番に届けたけど、表彰には値しないのかねえ。 ♯ 解説 ♭  「~に当たる」には「~に相当する」という意味があり、「~には当たらない」は「~するほどの大きな問題ではない/~しなくてもいい」という意味を表します。相手が過度に反応しているのに対し、「そこまで~する必要はない」と諌めたり諭したりするのがこの文型の特徴です。この文型は程度の「~ほどのことではない」(→文型394)や、不必要の「~までもない/~には及ばない」(→文型338)と類義表現となりますので、各項を参照してください。   君が行く には当たらない。        ほどのことではない。        までもない。 § 例文 § 1.こんな鼻風邪なんて、病気と言うには当たらないよ。 2.一度や二度受験に失敗したからって、落胆するには当たらない。僕なんか四浪さ。 3.取るに足りぬ過ちじゃないか。いちいちめくじらをたてるには当たらないよ。 4.本人も謝っているんだし、そんなに怒るには当たらない。 5.今は不幸のどん底であっても、禍福はあざなえる縄の如し、前途を悲観するには当たらない。 ★ 例題 ★ 1) 会社の上層部が(する/した)ことを、平社員の君(すら/まで)が謝る(に当たる/には当たらない)よ。 2) 彼はこんなことでへこたれたり( )( )ような人間(だ→    )から、心配する( )は当たらないよ。 (^^)前課の解答(^^) 1) に/使われてる(受身文)/知ってた(ていた→てた<口>) 2) に/い(逆説の「~ながら」→文型270)/やめられない -------------------------------------------------------------------------------- 338 ~には及ばない/~までもない 名詞:×   +  に(は)及ばない       ・ 動詞:原形  +  には及ばない         ・           までもない           までのこともない -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 山田:どんなに努力しても売り上げ成績が佐藤に及ばないなんて、全く嫌になっちゃう。神様も不公平なものだよ。 李 :僕だって彼にはかなわないよ。小さい時から勉強は言うまでもなく、何でも来いだったらしいからね。 山田:僕に気を使うには及ばないよ。とにかく彼はやることなすことにそつがない。 ♯ 解説 ♭  「AはBには及ばない」の形は例文1や「数学では、僕は彼に及ばない」のように、「(能力・地位・実績などの程度が)AはBの水準に達しない」という意味を表します。  それ以外に、動詞の原形と結びつくと、「~には及ばない」や「~までもない/~までのことはない」は「~する必要はない/~しなくてもいい」という意味を表します。「~には及ばない」は名詞や「それ」に直接ついて不必要を表すことができますが、この場合は「~までもない」が使えません。   説明するには及ばない(・までもない)。   説明(/それ)には及ばない(×までもない)。  「~ことはない」(→文型093)も不必要を表すことがありますが、「~までもない」は「そうしても無駄になる」、「~には及ばない」は「まだ必要な状況ではない」、「~ことはない」は「そうしない方がいい」という状況判断の違いで使い分けられています。→例題1) § 例文 § 1.知は情に及ばず、情は信に及ばず、信じる力こそ何ものにも勝る。 2.わざわざお越しになるには及びませんでしたのに。 3.君が心配してもはじまらないし、また心配するには及ばない。 4.君から聞くまでもなく、その件はとっくに承知している。 5.今更繰り返すまでもないが、本殺人事件が保険金目当ての犯行であることは、火を見るよりも明らかである。 ★ 例題 ★ 1) (ほんの/ただの)風邪だから、(わざわざ/せっかく)見舞いに来てくれる(ことはない/には及ばない)よ。 2) 言う( )( )もなく、君と彼の実力は互角と言える。君は技では彼に(及ぶ→     )が、力では彼( )勝っている。勝敗は時の撙馈 (^^)前課の解答(^^) 1) した/まで(「~すら」と「~まで」→文型404)/には当たらない 2) する(→文型158)/ではない(「じゃない」も可)/に -------------------------------------------------------------------------------- 339 *~に反して/~に背いて 名詞・名詞句(~の/~こと): ×  +  に反して ・                       に反し                       に反する                       に背いて ・                       に背く -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :中国に戻ってほしいとの親の願いに背いて、日本で就職したばかりか、結婚までしちゃったよ。 百恵:でも日本にしっかり根を下ろしているじゃないの。 李 :人の道に反することをしたわけではないが、なんとなく後ろめたいよ。両親ももう七十歳を越したからね。 百恵:その気持ち、わかるような気がするわ。 ♯ 解説 ♭  「~に反して」は主として「予想・期待・予測・意・願い・希望・規則・法律…」など名詞と結びつき、「違反する・対立する・裏切る・背く」などの意味を表します。もし、例文1~3のように、意図的に「違反する・裏切る・背く」行為であれば、「~に反して」も「~に背いて」も使えます。しかし、例文4、5のように、客観的に事実だけ伝える文では「~に背いて」は使えません。  また、対立する事実を並べて「Aの反対にB」を表すとき、「~に反して」と「~に対して/~にひきかえ」(→文型340)はほとんど同義表現になります。   兄は優秀なのに反して(・のに対し/・のにひきかえ)、弟は劣等生だ。 § 例文 § 1.会社が命じたことに反して(⇔に背いて)、彼は独断で交渉を進めた。 2.日本には「出る杭は打たれる」という言葉があって、組織の和に反する(⇔に背く)言動は批判される。 3.わが国の法に反する(⇔に背く)者は、国籍の如何を問わず、わが国の法によって裁かれる。 4.自分の意に反することは、何と言われようと従う気はない。 5.大方の予想に反して、○○党は参院選で苦戦している。 ★ 例題 ★ 1) みんなが(楽しい/楽し)そうに遊んでいる(の/こと)(に反し/に背き)、その子だけが一人寂しげにしていた。 2) 金に(なる→   )が(なる→    )まいが、道義に反することは(したい→    )ない。 (^^)前課の解答(^^) 1) ただ(「ただ」は「普通」を表すN)/わざわざ/には及ばない 2) まで/及ばない/に -------------------------------------------------------------------------------- 340 ~にひきかえ/~に対して・ 名詞・それ           : ×  +  にひきかえ 動詞・形容詞の普通形<ナ形ーな>: の     に対して                         に対し (注:接続詞は「それにひきかえ」「それに対して」) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 山田: 佐藤はこれから真理さんとデートらしいよ。それにひきかえ、俺たちは残業だもんな。やってられないよ。 李 :ふたりは結婚前で、今が一番いい時だよ。それにひきかえ君の方は、最近浮いた話がとんとないねえ。 山田:俺の場合、懐が火の車ときてるから、デートしようにも先立つものがないんだよ。 ♯ 解説 ♭  「AにひきかえB」「Aに対してB」は、AとBを対比させる用法です。「~にひきかえ」は元の意味である「交換する」から派生し、「Aと比べると、反対にBは~」と言う意味を表します。この文型は後件で反対の事実を述べるときは、「~に反して」(→文型339)に置き換えられますが、「~に反して」には比較・対比の気持ちはないので、例文1のような場合に使うと不自然になります。  注意してほしいのは、「~に対して」は例文5のような対比の用法だけでなく、「親に対して反抗する」のように相手・対象を指す格助詞用法もあることです。 § 例文 § 1.お前にひきかえこの俺は、何をやってもどじばかり。 2.御主人は無口なのにひきかえ、奥さんはおしゃべりだ。 3.金持ちには倹約家が多いのにひきかえ、貧乏人はとかくお金があると使ってしまう傾向がある。 4.姉は家庭的なのに対し、妹は活発で一時も家でじっとしていることはない。 5.かつては大量生産の時代だった。それに対して、今は多様なニーズに合わせた多種・少量生産の時代になった。 ★ 例題 ★ 1) 首相は(釈明する/釈明しよう)としたが、それ(に対して/にひきかえ)野党は一斉にヤジを(浴びた/浴びせた)。 2) 最近の小学校( )は「男子( )ひきかえ女子の方( )活発でけんかも強い」という報告が出されている。 (^^)前課の解答(^^) 1) 楽し(様態の「そうだ」)/の(行為=の→文型354)/に反し 2) なろう(「~(よ)うが~まいが」→文型438)/なる/したく -------------------------------------------------------------------------------- 341 *~にほかならない/ほかならぬ~ 名詞・名詞相当語: ×  + にほかならない  ・ ほかならぬ        + 名詞       ・ (注:「ほか」は「外/他」とも書く) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 山田:今日は定時退社かい?やけにうれしそうだね。デートだろう、えっ?顔に出てるから、隠しても無駄だよ。 李 :誰とデートだと思う?ほかならぬ良子さんだよ。これじゃ、話のネタにもならないよね。おあいにく様! 山田:それってすごいのろけにほかならないぞ。月曜には寄ってたかってむしってやるから、覚悟しとくんだな。 ♯ 解説 ♭  「~にほか(他)ならない」は「~以外のものではなく、正に~そのものだ」という他の選択を否定する強い断定表現です。この点が軽視の感情を持った類義表現「~に過ぎない」(→文型320)と異なる点で、例えば、例文2や4のような積極的評価の時に「~に過ぎない」に置き換えることはできませんし、下例のようにどちらも使える場合も語感に大きな違いがあります。→例題1)   彼の話は机上の空論に他ならない(・に過ぎない)。  この「ほかならない」は例文4の「~からにほかならない」や、例文5のように「特に大切なかけがえのない(人)」という意味を表す「ほかならぬ+名詞(人)」の形を派生させます。 § 例文 § 1.言語は意思伝達の手段にほかならない。 2.今日のわが国の繁栄は、国民のたゆまぬ努力の結果にほかならない。 3.演技力のない彼が俳優になれたのは、名優だった父親の七光にほかならない。 4.このプロジェクトが軌道に仱盲郡韦稀⑾壬韦μ恧àⅳ盲郡椁摔郅胜辘蓼护蟆 5.ほかならぬ恩師の頼みとあっては、むげに断れない。 ★ 例題 ★ 1) 彼の今日(いる/ある)のは、(ほかでもない/ほかならない)、努力の賜物(に過ぎない/にほかならない)。 2) ほかならぬ君が窮地( )陥っているのに、どうして僕が(見る→  )見ぬふりが(できる→     )か。 (^^)前課の解答(^^) 1) 釈明しよう(→文型441)/に対して(相手)/浴びせた(使役文) 2) で(範囲限定)/に/が(比較文「~の方が~」) -------------------------------------------------------------------------------- 342 ~に免じて/~に免じ 名詞: ×  +  に免じて           に免じ -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 課長:今回のことは、君の日頃の勤務態度に免じて、特に不問に付す。二度とこのようなことがないように。 山田:申し訳ございません。心いたします。 李 :ずいぶん絞られたようだな。 山田:うん、冷や汗ものだったよ。もう一度こんなことがあったら、「職を免ずる」ってことにもなり兼ねないよ。 ♯ 解説 ♭  動詞「免ずる」は「許す・免除する・免職にする」などの意味を持っています。   職を免ずる。   授業料を免ずる。   親に免じて許してやる。  この「~に免じて・~に免じ」は「許す」の意味で使われていて、「~という事情・心情・対面を特に考慮して、~」という意味を表します。なお、法律用語ですが、同じ意味を表す表現に「~を情状酌量し、~」があります。→例題1) § 例文 § 1.家庭事情を考慮し、特例として今期の授業料を免ずる。 2.今日のところは、俺の顔に免じて許してやってくれ。 3.お前の兄貴の顔に免じて大目に見てやるが、二度とこんな生意気な口をきいたら、ただじゃ済まさないぞ。 4.許しがたい犯罪ではあるが、その年齢に免じて、懲役2年、ただし執行猶予3年とする。 5.君のお父上に免じて、この度は始末書で済ませてやる。 ★ 例題 ★ 1) 幸い被害者のけがも軽く(て済み/て済ませ)、また故意(による/に伴う)ものでなかったことを(免じ/情状酌量し)、不起訴処分とした。 2) 君の普段の行い( )免じて、この度のことは(穏便だ→   )処理する( )( )にしよう。 (^^)前課の解答(^^) 1) ある/ほかでもない/にほかならない(~に過ぎない→文型320) 2) に/見て/できよう(反語=できるだろうか→文型161) -------------------------------------------------------------------------------- 343 ~にもかかわらず 名詞    :  ×           + にもかかわらず 動詞・形容詞:普通形<ナ形ー×/である> (注:動詞・形容詞と結びつくとき、「~のにもかかわらず」も使う) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :この暑いのに、重いサンプルを持ち回っての外回りの仕事は大変だね。 山田:何事も慣れだよ。だからノルマがきついにもかかわらず、続けられるのさ。 李 :君は人と話すのが苦手なのにもかかわらず、成績抜群だね。きっと君の諏gさが相手に伝わるんだろうね。 ♯ 解説 ♭  「~にもかかわらず」は逆説の「~のに」(→文型359)と意味上の違いはありませんが、「そうしないのが普通なのに~/本来~すべきなのに~」という意味で使われる客観的な評価です。なお、「~のにもかかわらず」の形も使われますが、これは「特に~にもかかわらず」と強調した表現になります。  また「~くせに」(→文型070)も「~のに」系の逆説ですが、非難や軽蔑の感情を表すので、同じ文で使ったときでも以下のような語感の違いが生じます。   やればできるのに、勉強しない。     (失望・残念・不満)   やればできるにもかかわらず、勉強しない。(不当・不正・疑問)   やればできるくせに、勉強しない。    (非難・反発・軽蔑) § 例文 § 1.雨天にもかかわらずお撙婴い郡坤⒄に恐縮です。 2.Aさんは仕事中だったにもかかわらず、突然訪れた私を快く出迎えてくれた。 3.御多忙中にもかかわらず、私どものために御奔走くださり、どうお礼を申し上げてよいのかわかりません。 4.彼は目が不自由なのにもかかわらず、高校を首席で卒業した。 5.一生懸命がんばったのにもかかわらず、善戦むなしく苦杯をなめた。 ★ 例題 ★ 1) 若い(にかかわらず/にもかかわらず)、家でお母さんの手伝い(とは/というのは)、感心(な/の)娘さんだねえ。 2) 彼は医者( )( )酒を(止めている→     )にもかかわらず、毎日のよう( )飲んでいる。 (^^)前課の解答(^^) 1) て済み(自V)/による(→文型356)/情状酌量し(「を」に注意) 2) に/穏便に(ナ形)/こと(~ことにする→文型089) -------------------------------------------------------------------------------- 344 *~に基づいて/~に即して/~に照らして 名詞: ×  +  に基づいて/に基づき/に基づく+名詞           に即して/に即し/に即した+名詞           に照らして/に照らし/に照らした+名詞           を踏まえて/を踏まえ/を踏まえた+名詞 -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :今回の経営陣の交代に伴って、部長の一部入れ替えがあったね。 佐藤:これまでの事例に照らしても、妥当な人事だったと思うよ。人事は企業の意思表示だよ。 李 :現実に即した臨機応変の経営が必要だ。従来のやり方を踏襲するだけでは、事態は好転しないよ。 ♯ 解説 ♭  これらは何かを根拠にする点では同じです。以下のような同義文型がありますが、それぞれ少しずつ異なった語感を持っています。   教科書に     即して  <そのまま>     よって  <依拠して、手段として>     基づいて <基礎や土台にして>     照らして <参照し、応用して>     沿って  <流れに合わせて>     応じて  <臨機応変に>   日本語を教える  つまり、下に行くほど個人の裁量は拡大します。 § 例文 § 1.憲法は国の基本法で、法律は憲法に基づいて作られる。 2.空理空論はやめ、実状に即して話し合おうじゃないか。 3.この種の通販は法律に照らして見れば、詐欺罪になる。 4.何事も状況に応じて対処すべきで、先例に照らしてどうだとか、杓子定規に考えるべきではない。 5.実践に基づき、更にその結果を踏まえ、しかる後に是非を判断する。これが実事求是の精神だ。 ★ 例題 ★ 1) 「理論(なし/なき)実践は無、実践(なし/なき)理論は死」と言うが、実践(に基づかない/に即さない)イデオロギー論争は百害あって一利なしだ。 2) 従来の歴史観( )基づいて世界を見ても、複雑( )現代社会は解明(できる→    )だろう。 (^^)前課の解答(^^) 1) にもかかわらず/とは(→文型242)/な(ナ形) 2) から(受身:~から~られる)/止められている/ように -------------------------------------------------------------------------------- 345 ~に(も)まして 名詞・疑問詞: ×  +  に(も)まして (注:接続詞は「それにもまして」) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :交通事故で○○君の車が大破したらしいが、それにもまして彼の奥さんのけがの方が気がかりだね。 山田:相手の信号無視が原因らしいね。気がついたら、病院のベッドの上だったとのことだ。 李 :体のけがにもまして、心に受けた傷も大きいのでは。しばらくは哕灓工霘荬摔胜欷胜い琛ⅳ盲取 ♯ 解説 ♭  「AにもましてB」は「Aよりも、更にB/A以上にB」という意味を表します。比較表現の一種ですが、「Aより(も)B」と比べたとき、この文型は数量や程度が一層増加したことに重点をおいた表現になります。         図あり    なお、「~に(も)なく」(→文型332)と類似していて混同しやすいので、注意しましょう。   今年の冬は     例年よりも   <いつもと比べて>     例年にもまして <いつも以上に>     例年になく   <いつもと違って>   寒い。 § 例文 § 1.今日の君は、いつにもましてきれいだね。 2.あなたの一言は、何にもまして私を勇気づけてくれました。 3.姉も美人だが、それにもまして妹は美しい。 4.彼は幾多の試練を仱暝饯ā⑶挨摔猡蓼筏皮郡蓼筏胜盲俊 5.彼の演技力は、以前にもまして磨きがかかり、円熟味が加わってきた。 ★ 例題 ★ 1) 彼女は今(まで/までに)出会った中(に/で)、誰(にもなく/にもまして)思いやりのある女性だった。 2) もちろん息子の受験のことも心配ですが、( )( )にもまして、無理を(する→   )体を(壊す→     )かと気がかりなんです。 (^^)前課の解答(^^) 1) なき(なし→なき+N)/なき/に基づかない 2) に/な(ナ形)/できない -------------------------------------------------------------------------------- 346 *~によって ・ 名詞: ×  +  によって           により           によりまして           による + 名詞 -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 良子:帰ってみると、冷凍庫の中が全部溶けてたのよ。壊れたのかしら?ちょっと見て。 李 :何だよ、コンセントが抜けてるじゃないか! 良子:ちっ(舌打ちの音)、最近よくこんなぽかをするの。 李 :消費者からの苦情は、この種のぽかによるミスが多いって、うちの担当者もぼやいていたよ。 ♯ 解説 ♭  「よる」は漢字で書くと「寄る・依る・拠る・因る」などと書きますが、多くの意味を持っています。この項で取り上げるのは格助詞「で」に置き換えられる手段・方法、原因・理由、根拠の三つです。   辞書によって(⇔で)調べる。  <手段>   台風によって(⇔で)被害が出た。<理由>   法律によって(⇔で)禁止された。<根拠>  「~によって」は対象に全面的に依存してという意味を表しますから、例えば「鉛筆で書く」のような例では「~によって」は使えません。他にもいろいろ方法があり、唯一の手段・方法ではないからです。同じことは原因・理由の表現でも言えます。なお、根拠の「~によって」の改まった言い方が「~に基づいて」(→文型344)です。 § 例文 § 1.この件は話し合いによって解決しよう。<手段・方法> 2.国連の調停努力によっても、その国の流血の民族紛争に終止符を打つことはできなかった。<手段・方法> 3.冬は火の不始末による火災が起こりやすい。<理由> 4.人は見かけによらないものだ。<根拠> 5.いかなる国民も法律によらない限り、その財産を奪われたり、また、身体を拘束されることはない。<根拠> ★ 例題 ★ 1) 新宿区の広報(によると/によって)、来年度からゴミを不法投棄した者(について/に対して)は条例(によると/によって)罰金を課すことにするらしい。 2) 調査( )よると、現代人の病気の多くはストレス( )よって(引き起こす→      )ているそうだ。 (^^)前課の解答(^^) 1) までに(→文型402)/で(「~の中で~が一番~」)/にもまして 2) それ/して/壊さないか -------------------------------------------------------------------------------- 347 *~によって(は/も) ・ 名詞: ×  +  によって(は/も)           により           によりまして(は/も)           によっちゃ<口>           による + 名詞 -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 良子:このところ連日の午前様よ!事と次第によっては、私にも考えがあるわ。 李 :おお怖!でも浮気をしてるわけじゃなし、そんなに目くじらを立てないでくれ。仕事によっちゃ、取引先とのつきあいで遅くなることだってあるよ。 良子:ふ~ん、終電ぎりぎりまでとはねえ?? ♯ 解説 ♭  この対応の「AによってB」が一番よく使われる「~によって」の用法でしょう。Aが変われば、Bもそれに関係して変わります。いわゆるケース・バイ・ケースの表現です。  関連表現に「~次第で」(→文型111)や「~如何で」(→文型008)がありますから、各項をご参照ください。  人はおかれた環境    によって    如何で    次第で  変わるものだ。 § 例文 § 1.親切も、時と場合によっては相手の迷惑になる。 2.時間によって、忙しい時もあれば、暇な時もある。 3.人によって、得手不得手がある。 4.国によって文化も習慣も違うのですから、「郷に入れば郷に従え」が肝要です。 5.状況によって適切に作戦を変えるのが臨機応変、状況によって無原則に態度が変わるのが日和見。 ★ 例題 ★ 1) 中国は広くて方言も様々であり、所(によると/によって)は百キロ先の村の方言は聞いても(わかる/わからない)という嘘の(ように/ような)本当の話がある。 2) 昔から十人十色と言われますが、好み( )考え方は人( )よって違う( )( )です。 (^^)前課の解答(^^) 1) によると(情報源・伝聞)/に対して(→文型322)/によって 2) に/に/引き起こされ(原因・受身文「~によって~られる」) -------------------------------------------------------------------------------- 348 *~によって~(ら)れる 名詞: ×  +  によって ~ (ら)れる           により ~ (ら)れる -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 社長:ひとりひとりの努力によってしか、わが社はこの窮地から脱することはできない。諸君の奮闘に期待する。 山田:御多分にもれず、わが社も相当な額の不良資産を抱え込んだみたいだね。 李 :「ひとりひとりの努力」によって解決されるような生やさしい問題じゃないんだよな。 ♯ 解説 ♭  「~に~られる」受身文と「~によって~られる」受身文は用法がかなり異なります。「(人)は(人)に~を~られる」文は直接的で動作性の強く、多くは被害の感情を表します。一般に「~によって~られる」が使われるのは「に」格が「物」や「こと」のときですが、内容面から言うと以下のようです。・ 例文1~3のように、歴史上の事実や既定事実を客観的に伝えたいとき。      (ひと)が     (もの・こと)を    ~した。    → (もの・こと)は  (ひと)によって    ~られた。・ 例文4~5のように、客観的に手段や方法、または原因・理由を述べるとき。      (もの・こと)が  (ひと)を         ~する。    → (ひと)は     (もの・こと)によって   ~られる。 § 例文 § 1.阿Q正伝は魯迅によって書かれた。 2.アメリカはコロンブスによって発見された。 3.アムネスティによって暴かれた人権侵害の数々を、その国の政府は事実無根として一蹴した。 4.世の中には宗教によって救われる人も多い。 5.戦後教育は行き過ぎた競争によって歪められてきたが、今や曲がり角に来ている。 ★ 例題 ★ 1) 子供は親や教師に(ほめる/ほめられる)こと(に/によって)、(勇気づける/勇気づけられる)ものだ。 2) 人によって(作った→      )ものが、どうして人によって(変えられる→       )ことが(ある→     )得ようか。 (^^)前課の解答(^^) 1) によって/わからない/ような 2) や(「と」は例を限定する)/に/もの(→文型420) -------------------------------------------------------------------------------- 349 ~によらず 名詞・疑問詞を含む句: ×  +  によらず -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :人間の倫理観はあまり変わっていないね。時代によらず、いいことはいいし、悪いことは悪い。 良子:精神面では進歩していないということかしら?でも、宗教が違うと、理解できないことも多いわね。 李 :宗教の問題は難しいね。どんな宗教によらず、自分は正しくて、ほかは間違っていると考えがちだね。 ♯ 解説 ♭  「~によらず」は名詞や疑問詞を含まない名詞句につくときは、例文1、3のように「~の方法に頼らず~/~の方法ではなくて~」という意味を表します。疑問詞につくときは、例文2、4、5のように「(いつ/だれ/どこ/どの+名詞)に関係なく、全て~だ」という意味を表すようになります。  後者の「によらず」は「~にかかわらず」(→文型293)や「~を問わず」(→文型472)と同義表現になりますが、疑問詞や疑問詞を含む名詞句にしかつきません。   男女を問わず(×に限らず/?によらず)応募資格があります。   何事によらず(○を問わず/×に限らず)忍耐が大切だ。 § 例文 § 1.武力によらず国家統一を成し遂げる道はないだろうか。 2.どの国によらず、経済邌婴撙瓮撂à摔胜盲皮い搿 3.多数決によらず、譲歩し合いながら最大限全員の合意を目指すが日本的なやり方です。 4.何事によらず、自らが求めようとしなければ、手に入れることはできない。 5.学歴がどうか、また出身校がどこかによらず、社員を実力本位で採用する企業が、今後増えていくだろう。 ★ 例題 ★ 1) 親というものは、誰(によらず/に限らず)、誰(にもまして/によらず)、わが子の幸せを願っている(こと/もの)だ。 2) 法の前には人は地位や身分( )よらず、誰もが平等で(ない→    )ならず、例外が(ある→   )はならぬ。 (^^)前課の解答(^^) 1) ほめられる/によって/勇気づけられる 2) 作られた/変えられない(可能形)/あり(~得る→文型017) -------------------------------------------------------------------------------- 350 *~によると/*~によれば/*~では 名詞: ×  +  によると  ~  そうだ           によれば     ということだ           では       とのことだ                    んだって                    らしい -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :女房から聞いたところでは、社宅の奥さん連中は「亭主元気で留守がいい」ってささやき合っているらしい。 佐藤:あまりいい気持ちはしないねえ。妻の立場からすれば、正直なところなんだろうけど。 李 :新聞によると、家にいても役に立たない夫のことを、「粗大ゴミ」とも言うそうだ、君、知ってたかい? ♯ 解説 ♭  「~によると/~によれば」は情報源を表す助詞で、多くは例文1~3のように伝聞表現で使われ、文末は「~そうだ/ということだ/~とのことだ/~んだって」や、推量の「~らしい」と呼応します。しかし、伝聞表現以外にも例文4、5のように「(~の)判断・経験・記憶・考え・見方・見解…」などの語について、判断の出所を表します。  どちらの場合も「~では」を使って表すことができますし、日常会話では「~では」の方が多いでしょう。なお、丁寧語として「~によりますと」の形があります。 § 例文 § 1.天気予報によると、明日は曇りのち雨だそうです。 2.中国通の識者の話では、元の大幅切り下げはないらしい。 3.噂では、君、今度家を買うそうじゃないか。 4.僕の経験によると、この種の故障は接続部の不良から生じていることが多い。 5.この資料によれば、この国の債務総額はGNPの約半分に達している。 ★ 例題 ★ 1) 政府関係者の話(によって/によれば)、日ソの平和条約の締結はそれ(ほど/ぐらい)遠くない将来に実現する(とのことだ/はずだ)。 2) 私の記憶( )よれば、この辺りは十年ぐらい前( )( )は、海(だ→   )はずです。 (^^)前課の解答(^^) 1) によらず/にもまして(→文型345)/もの(一般→文型420) 2) に/なければ(~なければならない→)/あって(→文型195) --------------------------------------------------------------------------------
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 楼主| 发表于 2004-11-24 15:26:07 | 显示全部楼层
351 *~抜きで/*~抜きにして 名詞: ×/(は/を)  +   抜きで                抜きの + 名詞                抜きにして                抜きでは ~ ない                抜きに(して)は ~ ない -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 小孫:もしもし、孫です。折り入って御相談したいことがあるのですが、よろしいでしょうか? 李 :いやあ、孫君か。どういう風の吹き回しだい?遠慮は抜きにして、用件というのを言って御覧。 小孫:電話ではちょっと・・・。できれば他人抜きで、良子さんにも内緒で、二人だけでお話ししたいのですが。 ♯ 解説 ♭  動詞「抜く」には「除去する・省略する・取り除く」と言う意味があり、この文型は「~しないで~する」や「~を除いて~する」(→文型372)という意味を表す文型になります。  なお、文末が否定形になるときは「~抜きには~ない/抜きでは~ない/抜きにしては~ない」の形になります。この文型は実質的には「~なければ~ない」と同じ意味となり、「~なくしては~ない」(→文型272)と同義表現になります。   努力抜きでは成功は得られない。  →努力しなければ成功は得られない。  →努力なくしては成功は得られない。 § 例文 § 1.堅苦しい挨拶は抜きにして、何はさておき、まず一杯。 2.俺にとって酒抜きの人生なんて、気の抜けたビールみたいなものだ。 3.冗談や揚げ足取りは抜きにして、お互い真剣に話し合おうよ。 4.妻の協力を抜きにしては、私は何一つできなかったと言えるだろう。 5.本人の出席抜きの欠席裁判はしたくない。 ★ 例題 ★ 1) そんなに毎日のよう(に/な)朝御飯(抜きには/抜きでは)、(いつか/いつのまにか)体を壊しますよ。 2) 楽しいパーティの席( )、仕事の話しをする( )は抜きに(する→  )じゃありませんか。 (^^)前課の解答(^^) 1) によれば/ほど(→文型392)/とのことだ(→文型209) 2) に/まで/だった -------------------------------------------------------------------------------- 352 *~抜く/~通す 動詞:[ます]形 +  抜く   ・             通す    ・            続ける  ・ -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 良子:今回ばかりは、わがままを通させてね。フルマラソンを走り抜くのは、夢だったの。ホノルルマラソンに参加したいの、いいでしょ? 李 :言い出したら聞かない君だし、止めないよ。スピードは問題じゃない。走り続ければ、ゴールは来るよ。 良子:何だか、最後まで走り通せる自信が湧いてきたわ。 ♯ 解説 ♭  「ー抜く」は「引き抜く/切り抜く…」や「追い抜く/勝ち抜く…」など複合動詞を作りますが、動作性の動詞につくと、「最後まで行為を完遂する」という意味を表します。「ー通す」も「最後まで、ずっと~し続ける」という 複合動詞を作りますが、どちらも人の意志行為なので、「川の水は流れ続ける」のような無生物が主語の文では使えません。  なお、類義表現「ー抜く」と「ー通す」には次のような違いがあります。   ゴールまで走り抜いた。<ゴールまで完全に走り終えた:完遂に重点>   ゴールまで走り通した。<ゴールまで何時間も走り続けた:継続に重点>  また、「ー抜く」は例文5や「困り抜く・悲しみ抜く・弱り抜く・知り抜く…」のように状態性の動詞について、「非常に~する」という程度を表しますが、この用法は「ー通す」にはありません。→例題1) § 例文 § 1.この娘ときたら、もう一時間も電話でしゃべり続けて(△通して/×抜いて)いる。 2.今日は朝から何時間も歩き通し(○続け/×抜き)で、足が棒のようになった。 3.彼は投獄されても信念を守り通した(?続けた/○抜いた)。 4.君の魂胆など、とっくに彼は見抜いて(×続けて/×通して)いるよ。 5.これは悩み抜いた(×続けた/×通した)末の結論だ。 ★ 例題 ★ 1) 身の潔白を訴え(続けて/抜いて)30年、やっと冤罪が(晴れる/晴れた)時、彼は既に80歳(だ/だった)。 2) 彼は政界の裏( )裏( )( )(知る→   )抜いている政治通だ。 (^^)前課の解答(^^) 1) に(~ように+用言)/抜きでは/いつか(副詞の意味の意味の差) 2) で/の/しよう(「~(よ)うではないか」→文型440) -------------------------------------------------------------------------------- 353 ~ねば/~ねばならぬ 動詞:[ない]形   + ねば      ・             ねばならない  ・             ねばならぬ             ずばなるまい (注:「~ねばならない」を省略した「~ねば」の形も使われる) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :やらねばならないなんて、思い詰めないことだよ。気が向いたらやることにして、機が熟すのを待ったら。 良子:でも早くやらねばなんて、考えちゃうのが私なのよ。 李 :あれもせねば、これもせねばと焦ったところで、虻蜂取らずになるのが落ちさ。それよりむしろ、果報は寝て待てさ。 ♯ 解説 ♭  「~ねば」は「~なければ」を表す書面語で、更に古い形が「~ずば」ですが、「~ずば」は今日ではほとんど使われない形なので、読んでわかれば十分です。なお、「~ねばならぬ/~ねばならない」は「~なければならない」(→文型271)と同じ意味を表す書面語です。  読む  → 読まなければ  → 読まねば  美しい → 美しくなければ → 美しくあらねば  諏gだ → 諏gでなければ → 諏gであらねば § 例文 § 1.さあさあ、買った買った!今買わねば損だよ。 2.我々としても、反省せねばならぬ点は多々ある。 3.非は向こうにある。私が頭を下げねばならないような筋合いはない。 4.本来なら退学処分にせねばならんところだが、ご両親に免じて、今回だけ大目に見てやる。 5.敵に背を見せるわけにはいかぬ。売られたけんかは、買わずばなるまい。 ★ 例題 ★ 1) お前って奴は、やらねば(ならず/ならぬ)ことを(しず/せず)、やらなくてもいいこと(だけ/ばかり)する奴だ。 2) いくら(やる→   )つけた作業(である→    )と、気を(つける→    )ねば失敗することもある。 (^^)前課の解答(^^) 1) 続けて/晴れた/だった 2) の/まで(「裏の裏まで」は慣用語)/知り -------------------------------------------------------------------------------- 354 *~の/*~こと 動詞・形容詞:普通形<ナ形ーな>  +  の                      こと -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :しまった!昨日、家で仕上げたフロッピーを持ってくるのを忘れちゃった。寝たのが遅くて、目が覚めたのが出勤時間ぎりぎりだったからなあ。慌ててたんだ。 山田:そのフロッピーに入れたのは例の企画案かい? 李 :うん、中に入れたことは覚えているから、今からでも何とか作り直せるけど、でもミスったなあ。 ♯ 解説 ♭  ここで取り上げたのは名詞句を作る「の/こと」です。一般に「の」は行為や感覚的事物を表し、「こと」は内容や観念的世界を表します。一番簡単な使い分けは、「の」しか使えない「見る・聞く…」などの知覚動詞、「~のに/~のは~からだ/~のは~ことだ…」などの「の」の慣用文型、「こと」しか使えない「信じる・考える」などの動詞、「~ことがある/ことにする…」などの「こと」の慣用文型をまず覚えることです。それ以外は左の表のようにどちらも使えます。  ただし、例文4を例として言えば「の」を使うと体験的かつ感覚的、「こと」を使うと一般的かつ理念的となります。また、次のように全く意味が異なる場合も起こります。   母に話すのを忘れた  <話す行為>   母に話すことを忘れた <話す内容> § 例文 § 1.彼が走って来るの(×こと)  が見えた。 2.バスが来るの(×こと)を         ここに表が入る  待っているところだ。 3.宿題があったの(⇔こと)  を思い出した。 4.日本語を教えるの(⇔こと)  はむずかしい。 5.行くこと(×の)を命じる。 ★ 例題 ★ 1) あの人の言った(の/こと)は間違っていない。間違っている(の/こと)は君の方だ。 2) 大切な(の/こと)は、常にベストを尽くす(の/こと)だ。 (^^)前課の解答(^^) 1) ならぬ/せず/ばかり(「だけ」と「ばかり」の違い→文型362) 2) つけ(→文型167)/であろう(未然形+と→文型000)/つけ -------------------------------------------------------------------------------- 355 ~の至りだ 感情を表す名詞: ×  + の至りだ -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :彼は「私の不徳の至りです」なんて謝っていたけど、内心、腹の虫が収まらなかっただろうなあ。 山田:彼も立つ瀬がないよ。会社のためにと相手方とやりあったのに、せっかくの愛社心が徒になってはねえ。 佐藤:時には聞き流したり、一歩引くのも生活の知恵さ。相手の対応に腹を立てたのは、やはり若気の至りだよ。 ♯ 解説 ♭  「~の至りだ」は感情を表す名詞(ほとんど漢語)について、「最高に~の気持ちだ」という意味を表しますが、多くは慣用的に決まった表現で、公式の改まった場でしか使われません。  同義語に「~の極みだ」(→文型069)があり、「~の至りだ」の用例は全て「~の極みだ」に置き換えることができます。この「~の極みだ」は「疲労の極みだ/親不孝の極みだ」のように感情以外の語にも付くことができますが、その場合には「~の至りだ」は使えません。それ以外にも、どんな場合にも使える「~の極みだ」とは異なり、「~の至りだ」はいいことにしか使えないという制約があります。 § 例文 § 1.憧れの女優に握手してもらって、もう感激の至りだ。 2.このような失態を演じ、栅丝挚sの至りです。 3.あの生意気な男がこてんぱんに負けたなんて、はっは痛快の至りだねえ。 4.このような名誉ある賞をいただき、光栄の至りです。 5.つきっきりで病身の母親を看護する姿は、実の娘ながらも感心の至りだ。 ★ 例題 ★ 1) 香港返還はアジアの歴史(から言って/からと言って)も特筆す(べき/べし/べく)ことであり、同じアジア人(にとって/として)慶賀の(至りだ/極まる)。 2) 大臣閣下の御配慮( )もちまして、わが社は危機( )脱することができ、栅烁兄x( )至りでございます。 (^^)前課の解答(^^) 1) こと/の 2) こと(「の」も可)/こと(「~のは/ことは~ことだ」文) -------------------------------------------------------------------------------- 356 *~のではないか/*~んじゃないか 名詞    :  な       + のではないか 動詞・形容詞:普通形 <ナ形ーな> のではないだろうか                      んじゃないか<口>                      んじゃないだろうか<口> (注:「~じゃないか」の形は解説参照のこと) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 佐藤:ベア交渉もいよいよ大詰めなんじゃないか。 山田:会社は経営不振を理由に、ベースアップに難色を示しているらしい。李君、君は組合の役員だろ? 李 :今日あたりが山場になるんじゃないだろうか。「ない袖は振れぬ」と会社も開き直っているし、交渉は難航しているんだ。 ♯ 解説 ♭  「~のではないか/~のではないだろうか/~のではないでしょうか」(口語形は「~んじゃないか/~んじゃないだろうか/~んじゃないでしょうか」)は形の上では疑問ですが、実際上は「たぶん~だろう」と思ったときに使われる表現で、断定を避けるために日常会話でよく使われる表現です。  注意してほしいのは、「ん」のない「~じゃないか/~じゃない」(→文型193)の形は文末を下げて発話すると、例文4、5のように強い肯定になり、驚き・詰問・反駁などの感情を表すことです。   やればできるんじゃないか。=たぶんやればできるだろう   やればできるじゃないか。 =ね、やはりやればできる。 § 例文 § 1.捕らぬ狸の皮算用はしない方がいいんじゃない? 2.息子さんの就職も決まったし、あなたも肩の荷がおりたんじゃないの? 3.彼らはいつも集まって、何事かひそひそと話し合っているが、何かよからぬ相談でもしてるんじゃないか。 4.やりたくなけりゃ、やらなきゃいいじゃないか! 5.ほらね、やればできるじゃないか。「案ずるより生むがやすし」とはこのことさ。 ★ 例題 ★ 1) もう一時を回ってる(ん/×)じゃないか。話しに夢中に(して/なって)、時間が経つ(の/こと)を忘れてたよ。 2) 電話したけど、彼は自宅にはもう(いない→     )から、こちらに向かっている( )じゃない( )。 (^^)前課の解答(^^) 1) から言って(→文型049)/べき(→文型382)/として/至りだ 2) を(~をもって→文型480)/を(他V)/の -------------------------------------------------------------------------------- 357 *~のは~からだ/*~のは~からではなく~からだ 名詞    : な       +  のは ~ からだ 動詞・形容詞:普通形<ナ形ーな>            からではなく~から だ (注:文末では「~ためだ/~おかげだ/~せいだ}も使われる) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 良子:あなたの部屋を掃除してあげたのは、あまりにも汚かったからよ。足の踏み場もない状態だったわ。 李 :それが余計なお世話だって言うんだよ。どこに何があるか、わからなくなってしまったじゃないか。 良子:ふん、頼まれても、もう二度としてあげないわ! 李 :すまん、怒ったのは悪かった。機嫌を直してくれ。 ♯ 解説 ♭  この文型は原因・理由の倒置・強調構文で、文末には「~からだ/~ためだ/~おかげだ/~せいだ」などが呼応します。「~からだ」は終止形接続、「~ためだ/~おかげだ/~せいだ」は連体形接続ですが、各項を参照してください。→例題1)   娘が嫁ぐから寂しいです。→ 寂しいのは娘が嫁ぐからです。   大雪のために電車が止まった。→ 電車が止まったのは大雪のためだ。  なお、「~のは~からで(は)なく、~からだ」もよく使われるので、文型として取り上げておきました。→例題2) § 例文 § 1.自分に素直になれないのは、君が世間体を気にするからさ。 2.こんな不祥事が起こったのは、君の職務怠慢のせいだ。 3.あの政党が分裂したのは、要するに政権につける見通しがなくなったからでしょう。 4.私が人から何と言われようと平気でいられるのは、自分に一点のやましさもないからだ。 5.僕が君を叱るのは、君が憎いからではなく、君に期待しているからだ。 ★ 例題 ★ 1) この秋、野菜が値上がりしている(の/こと)は、台風で農作物が被害を(受ける/受けた)(ため/おかげ)です。 2) 私がこの案に反対( )のは、主旨に問題がある( )( )ではなく、時期尚早と考える( )( )だ。 (^^)前課の解答(^^) 1) ×(肯定・驚き)/なって/の(→文型354) 2) いなかった(「もう~た」文)/ん(≒たぶん~だろう)/か -------------------------------------------------------------------------------- 358 ~のなんのって/~なんてもんじゃない 動詞・形容詞:普通形<ナ形ーな> +  の  ~ ないのって                     のなんのって 動詞・形容詞:普通形<ナ形ー×> +  なんてもんじゃない (注:どれも口語として使われる) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :パソコン通信の楽しいの楽しくないのって。一度始めたら、もう抜け出せない蟻地獄のようなものだよ。 佐藤:いながらにしてネットワークが広がっていくんだもんね。主婦や外国人にとっては、とりわけ便利だよ。 李 :ただね、日本の電話代は高いなんてもんじゃない。おかげで僕の懐はいつもぴいぴいさ。 ♯ 解説 ♭  これらの文型は「非常に ~だ/驚くほど~だ」を表す口語表現で、驚きや意外感がとても強く現れます。「~の~ないのって」と「~のなんのって」は同じ意味で、後者は短縮形とです。これらは「~といったらなかった」(→文型219)と同義表現になりますし、「超うれしい/超驚いた」などの若者語も、今日では同義文型に加えていいでしょう。   銀座でフランス料理を食べたけど、     高いの高くないのって。     高いのなんのって。     高いなんてもんじゃなかったよ。     高いと言ったらなかったよ。     超高かったよ。 § 例文 § 1.驚いたのなんのって、てっきり女とばかり思っていたのに、なんと男だったんだ。 2.その料理のうまいのうまくないのって、ほっぺたが落ちそうだとは正にあのことだよ。 3.その女性の食べるのなんのって、5人前を軽く平らげたよ。 4.うちのおじいちゃんは元気なんてもんじゃない。5階の階段を駆け上がっても、息切れひとつしないんだから。 5.怒ったなんてもんじゃない。頭から湯気をたてていたよ。 ★ 例題 ★ 1) その女性の美しいの(なんのと/なんのって)、(この/あの)世の人とは(思わない/思えない)ほどだった。 2) その注射の痛いの(痛い→     )のって、思わず悲鳴を(上げる→ )(そうだ→   )なったよ。 (^^)前課の解答(^^) 1) の/受けた/ため(客観理由の「~ため」/~おかげ→文型018) 2) な/から/から -------------------------------------------------------------------------------- 359 *~のに 名詞    : な       +  のに 動詞・形容詞:普通形<ナ形ーな> (注:接続詞は「それなのに」 ) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 山田:あの鼻持ちならない新入社員、ふん、ざまを見ろ。 百恵:何があったの?ねえねえ、教えて。 山田:英検一級だとほらを吹いていたくせに、アメリカ人の通訳をやらされて四苦八苦さ。ざまはないよ。 百恵:できないのにできるふりをするから、大恥をかくことになるのよ。自業自得ね。 ♯ 解説 ♭  「~のに」は「~だから当然そうなるはずだが、しかし~」という因果の逆説なので、「~けれども/~が」とは異なっています。「~けれども/~が」は前項と後項が対立する関係にあれば広く使えますが、「~のに」は期待や予想に反する事態に直面した時に使われるので、不満・残念・失望の感情が表れます。   もう春だが(・なのに)、少しも暖かくならない。   日本人だが(?なのに)、英語が話せる。  例えば下の例で「日本人なのに」を使うと、因果関係=「日本人だから英語は話せない」、つまり日本人は外国語習得能力が低いということを暗示していますから、日本人は怒り出すでしょうね。→例題1)  なお、「~のに」系逆説に「~くせに」(→文型070)、「~にもかかわらず」(→文型343)、「~にしては/~わりに」(→文型315)などがありますから、各項を参照してください。 § 例文 § 1.知っているのに知らんぷりをして、空とぼけてる。 2.本当はほしいのに、やせ我慢しなくてもいいんだよ。 3.僕のせいでもないのに、怒られたり、弁償させられたり、いやはや踏んだり蹴ったりだ。 4.警察ですらさじを投げた非行少女なのに、一教師のあなたの手に負えるはずがないわ。 5.だから言わないことはない。あれほどやめろと忠告したのにするからだ。 ★ 例題 ★ 1) 気をつけて(取り扱う/取り扱い)ように言った(が/のに)、こんなに壊れてはもう(直す/直し)ようがない。 2) やればできる(子→  )のに、いくら言っても自分から(やる→   )という気になって(くれる→     )。 (^^)前課の解答(^^) 1) なんのって/この(「あの世」は死後の世界)/思えない 2) 痛くない/上げ(様態の「そうだ」)/そうに(=ナ形+なる) -------------------------------------------------------------------------------- 360 *~の下で/*~の下に 名詞: ×  +  の下(に)           の下(で) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :こうやって太陽の下で食事をすると、子供の頃の遠足を思い出すよ。お弁当を作るの、大変だっただろ? 良子:最近はスーパーでもいろんなおかずを売ってるし、手軽に買えるから、手がかからなくなったわ。 李 :スーパーも顧客満足度第一の掛け声の下、お客集めに躍起になってるからね。それに味もまあまあだし。 ♯ 解説 ♭  「~の下(もと)」は場所を指す「<もの>の下」ほかに、条件・前提・名目など「<こと>の下」も表します。  例えば、例文1の「~の下」は場所を指していますが、例文2~5は「条件・前提・名目」などの人為的な<こと>の及ぶ範囲を表していて、前に来るのは「人」や「こと」を表す名詞です。  なお、「~の下に」は後件で存在や状態の発生を表す動詞がつかわれ、「~の下で」は動作動詞が使われます。これは「場所+に」と「場所+で」と基本的に同じです。 § 例文 § 1.同じ屋根の下で暮らす家族ほど、大切なものはない。 2.ある時払いの催促なしという約束の下に金を借りた。 3.国際連合は、1945年、人類と世界の平和を守るという理念の下に発足した。 4.自由と民主主義という大義名分の下で、他国に内政干渉をすることが、果たして許されるのだろうか。 5.開発という名の下に、森林が伐採され山が削られ、海が埋め立てられている。 ★ 例題 ★ 1) 監督の厳しい指導の(上/下)、そのチームは(鍛え/鍛えられ)、(ついに/最後に)念願の優勝を果たした。 2) 教育という名( )下に体罰( )行う教師が、今( )後を絶たない。 (^^)前課の解答(^^) 1) 取り扱う/のに/直し(方法の「~よう」→文型435) 2) 子な/やろう(意志を表す)/くれない(「~のに」逆説文) -------------------------------------------------------------------------------- 361 ~はおろか/~は言うまでもなく/~は言うに及ばず 名詞: ×  +  はおろか     ~ も  ~           は言うまでもなく   さえ           は言うに及ばず    まで -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 佐藤:あれあれ、山田ったらおつりは言うに及ばず、万札までチップにしちゃったよ。 李 :あんな美人ににっこりされて、すっかり舞い上がってるんだよ。相手は商売なのになあ。 佐藤:そのうち財布の中身はおろか、鼻毛まで抜かれちゃうよ。あいつ、美人に弱いからなあ。 ♯ 解説 ♭  どれも「Aは言うまでもなく、更にBも~」という語感で共通している文型です。作文や会話の時は、先ずAを取り上げ、それよりも程度の高いBを取り上げなくてはなりません。例えば、「彼は漢字は言うまでもなく、ひらがなも書ける」は誤文になります。また、これらの中で「~はおろか」だけはマイナス評価の文で使われる文型なので、プラス評価の文では「~は言うまでもなく/~は言うに及ばず」を使いましょう。○ その子は中学生なのに、かけ算はおろか、足し算さえできない。× その子はまだ5歳なのに、足し算はおろか、かけ算もできる。  これらは「~はもちろん/~はもとより」(→文型374)や、「~ばかりでなく/~ばかりか/~にとどまらず」(→文型363)ともほぼ同義文型になりますから、一括して覚えましょう。 § 例文 § 1.こんな成績では進学はおろか、卒業だって危ないよ。 2.腰が痛くて、立ち上がることはおろか、寝ているのさえ辛い。 3.その地震は家や財産は言うに及ばず、家族の命まで無惨に奪い去った。 4.「ゆとり教育」という言葉と裏腹に、小中学生は言うまでもなく幼児までもが、受験戦争に巻き込まれている。 5.言うまでもなく、事態は風雲急を告げており、一刻の猶予もなりません。<文頭に現れる例> ★ 例題 ★ 1) 漢字はおろか平仮名(さえ/まで)(読める/読めない)彼に、通訳が勤まる(はずではない/はずがない)。 2) その噂はクラスは言う( )( )でもなく、瞬く間に学校全体( )まで(広い→    )まった。 (^^)前課の解答(^^) 1) 下/鍛えられ(受身文)/ついに(様々の過程を経た結果) 2) の/を(他V)/も -------------------------------------------------------------------------------- 362 *~ばかり~する/*~てばかりだ/*~てばかりいる 名詞(+格助詞): ×  +  ばかり + 動詞                 ばかりする                 ばかりだ 動詞      :て形  +  ばかりだ                 ばかりいる -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 課長:彼は人の揚げ足取りばかりして、自分からは何の提案もしないし、みんなからもつまはじきにされています。 部長:会社の中をうろうろしては、人の噂話ばかりしているらしいな。困ったものだ。 課長:みんなの志気にも影響しますし、思い切ってどこか地方に転勤させてみてはどうでしょうか。 ♯ 解説 ♭  副助詞「ばかり」(口語形として「ばっかし/ばっかり」)は範囲を限定する機能もあり、その点「だけ」と共通する用法もあるのですが、常に程度が過ぎるという語感を伴っていて、いい意味で使われることはありません。これが動詞と結びつくとき「~てばかりだ/~てばかりいる」という形になります。  ちなみに、限定の「~だけ」と「~ばかり」には次のような違いがあります。下例の(a)のグループは「だけ」と置き換えることができますが、(b)のグループは「だけ」が使えません。それは(b)は同一の行為が多く繰り返される、或いは同類の物が多く存在するという意味で使われているからです。   (a)彼女ばかりと話す/私ばかりに文句を言う/男ばかりの会員   (b)お世辞ばかりを言う/心配ばかりかける/石ころばかりの河原 § 例文 § 1.あいつは人のあら探しばかりする嫌な奴だ。 2.いつもお世話ばかりかけて、申し訳ございません。 3.うちの子は本の虫で、部屋に閉じこもって本ばかり読んでいます。 4.「そんなに食べてばかりいると豚になるよ」  「ふん、よけいなお世話よ」 5.考えてばかりいても、何も前には進まない。そのうち日が暮れちゃうよ。 ★ 例題 ★ 1) (泣く/泣いて)(だけ/ばかり)いても、(わかる/わからない)じゃないか。きちんと事情を話して御覧? 2) 彼は周りに文句( )( )( )言って、自分は何も(する→    )とは(する→     )。 (^^)前課の解答(^^) 1) さえ(→文型100)/読めない/はずがない(→文型366) 2) まで/に(「~に広まる」が元)/広(→文型413) -------------------------------------------------------------------------------- 363 *~ばかりでなく/*~ばかりか/~にとどまらず 名詞(+格助詞):    ×     +  ばかりでなく 動詞・形容詞  :普通形<ナ形ーな>    ばかりか 名詞      :    ×     +  にとどまらず 動詞・形容詞  :普通形<ナ形ー×> (注:多くは「~も/~さえ/~すら/~まで」等と呼応する) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 山田:彼女みたいな悪女は怖いよ。年下の坊やばかりか、年上の男まで手玉に取るんだから。 佐藤:てっきりお前もその年上の男の一人かと心配してたが、やけどをしないうちに目が覚めて何よりだよ。 李 :美しいバラには刺があるっていうからね。でも蓼食う虫も好き好きで、熱を上げている男も多いだろうさ。 ♯ 解説 ♭  どれも名詞を受けて、「Aだけでなく、更にその上B」と、先ず程度の低いAをとりあげ、それを上回る程度Bを添加する表現です。  「~にとどまらず」も「~に終わらず~も~」と言う意味ですが、「~ばかりでなく」と用法上の差はあまりありません。  「~ばかりか」は 添加のときは「~ばかりでなく」と 用法上の差はありません。しかし、「~ばかりか」には例文5のように「~ばかりか、逆に/反対に~」という反対の結果を強調する用法もあり、この点が「~ばかりか」の最大の特徴でしょう。この場合は「~ばかりでなく」も「~にとどまらず」も使えません。→例題1)  なお、ほぼ同義で置き換えも可能な「AだけでなくB」(→文型133)や「Aに限らずB」(→文型295)などがありますが、前後の程度差は問題にしない表現です。 § 例文 § 1.その方法は非効率なばかりでなく、費用もかさむ。 2.飲み過ぎで、頭が痛いばかりか、胸もむかつく。 3.不登校現象は70年代を通して大都市にとどまらず、地方にまで波及していった。 4.私はその交通事故の現場に居合わせたばかりか、この目で見たんですから、車の側の信号無視は明らかです。 5.政府による弾圧は闘いをつぶせなかったばかりか、逆に闘いの炎を燃え上がらせた。 ★ 例題 ★ 1) 最近(に/で)は地価の上昇が(止めた/止まった)(ばかりでなく/ばかりか)、反対に値下がりしつつある。 2) ビートルズの音楽は世間を(驚いた→    )にとどまらず、若者に与えた影響( )は大変な( )( )がある。 (^^)前課の解答(^^) 1) 泣いて/ばかり/わからない 2) ばかり/しよう(→文型441)/しない -------------------------------------------------------------------------------- 364 ~ばかりに 動詞・形容詞:普通形<ナ形ーな> + ばかりに -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :学歴がないばかりに、能力があっても認めてもらえないという不合理が、まだ残っているね。 山田:残っているどころか、それが偽らざる現実だよ。 李 :そうした古い学歴信仰が残っているばかりに、多くの才能が宝の持ちぐされになってるんじゃないの? 佐藤:確かに一芸に秀でることが問われている時代だね。 ♯ 解説 ♭  「~ばかりに」は形容詞や動詞の完了形(「た」形)について、「~だけの理由で、(悪い結果になった)」という意味を表します。後悔や残念や不満といった感情が強く表れる原因・理由の表現で、後件ではいい事態の発生は表せません。  その点、「~だけで」も「~だけの理由で」という意味を表しますが、用法上の違いがあります。それが唯一の理由で悪い結果になったときは、「~ばかりに」が一番ぴったりします。下の例を見てください。   あなたが側にいてくれるだけで(×ばかりに)僕は幸せだ。   テストに名前を書くのを忘れたばかりに(△だけで)零点にされた。 § 例文 § 1.彼は人がいいばかりに、人に騙されてばかりいる。 2.対戦相手を侮ったばかりに、敗北の憂き目にあった。 3.なまじ空手を習っていたばかりに、やくざとけんかをして刺し殺された。 4.出世したいばかりに、恋人を裏切り、社長令嬢と結婚するなんて男の風上にも置けない奴だ。 5.英語ができると言ったばかりに通訳をさせられ、赤恥をかく羽目に陥った。 ★ 例題 ★ 1) うっかり口を(滑った/滑らせた)(だけに/ばかりに)、相手を(怒って/怒らせて)しまった。 2) 指名手配の犯人に顔が(似た→    )ばかりに警察に(連行する→ )、取り調べを(した→   )。 (^^)前課の解答(^^) 1) で(範囲限定)/止まった(自V)/ばかりか 2) 驚かせた(使役文:~が驚く→)/に/もの(→文型419) -------------------------------------------------------------------------------- 365 ~ばかりになっている/~ばかりだ/~ばかりの 動詞:原形  +  ばかりになっている           ばかりだ           ばかりの + 名詞 -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :遅いなあ。料理は暖めるばかりになっているのに。 良子: もう少し待ってみましょうよ。あっ、来たようよ。ようこそ、山田さん、お待ちしていましたわ。 山田:いやあ、遅れてごめんなさい。電車に仱毪肖辘螘rに、手土産を忘れているのに気がついて。 良子:そんな気を使ってくださらなくてもよかったのに。 ♯ 解説 ♭  「ばかり」が動詞の完了形(「た」形)と結びついた「~た-ばかりだ」は「~して時間が経っていない状態」を表しますが、文型146で取り上げました。これ以外にも「ばかり」には動詞の原形と結びつく「~するばかりになっている/~するばかりだ」の形があり、「全て準備が終わり、いつでも~できる状態」、つまり準備完了状態を表す用法があります。それを図解すると下のようになるでしょう。     図あり  § 例文 § 1.荷造りも終わり、もう撙映訾工肖辘摔胜盲皮い搿 2.果樹園のリンゴは赤く実り、収穫を待つばかりだ。 3.お米も刈り入れを待つばかりになっていたのに、台風に襲われ、大損害を受けた。 4.夕食の支度も終わり、もう食べるばかりになっているのに、子供たちはまだ帰ってこない。 5.みんなが出発するばかりの時になって、突然、一人がお腹が痛いと言い出した。 ★ 例題 ★ 1) 飛行機が離陸(する/した)(だけ/ばかり)の時、銃を持った全身à坤椁保氦幔─文羞_が仱贽zんできた。 2) そのプロジェクトは始める( )( )( )になっていたのに、突如、本社から( )中止命令( )下りた。 (^^)前課の解答(^^) 1) 滑らせた(使役文:口が滑る→)/ばかりに/怒らせて(使役文) 2) 似ていた/連行され(「連行されて」も可)/取り調べられた -------------------------------------------------------------------------------- 366 *~はずがない 名詞     :    の     +  はずがない こんな・そんな:    ×        はずはない 動詞・形容詞 :普通形<ナ形ーな>    はずない<口> -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :おかしいなあ!彼の住所が見つからない。書き留めておいたはずなのに、ないはずはないがなあ。 良子:私も物忘れがひどくなったわ。しまったはずの洗濯物が見つからなかったり、やはり年のせいかしら? 李 :まさか、まだ30代だよ。だが自分だけはそんなはずはないと思っていても、やはり年だけはとるからねえ。 ♯ 解説 ♭  「はず」は可能性・予定を表す形式名詞で、この「~はずがない」は「~の可能性は全くない」という意味を表します。同じ意味を「~わけがない」を使っても表すことができます。なお、「~ないはずがない」は二重否定で「~はずだ」と同義になります。  「~はずだ」の否定形には「~はずがない」と「~ないはずだ」がありますが、「~はずがない」は「絶対/決して」などの副詞と呼応し、「~ないはずだ」は「たぶん/おそらく」などの副詞と呼応します。つまり、下例のように「~はずがない」は100%の否定ですが、「~ないはずだ」は「来ない可能性が高い」が「来る」可能性も少しあります。   彼は来るはずがない。<来る可能性は100%ない>   彼は来ないはずだ。 <来ない可能性が高いが、来る可能性も少しある> § 例文 § 1.子供だって登れる山だから、危険なはずがないよ。 2.どこの馬の骨かわからない奴の言葉が信じられるはずがない。 3.「どこにもありませんよ」「そんなはずはない。もっとよく探せ」 4.君にできないはずがない。やろうとしないから、いつまでたってもできないんだ。 5.祭日なのに、ディズニーランドが込んでいないはずがないじゃないか。 ★ 例題 ★ 1) 教師で(しか/さえ)(できる/できない)ような難しい問題なのに、中学生に解ける(はずだ/はずがない)。 2) 彼( )は僕が直接連絡(する→    )のだから、今日の会議のことを彼が(知る→    )はずがない。 (^^)前課の解答(^^) 1) する/ばかり/ずくめ(~だらけ→文型155/~ずくめ→文型118) 2) ばかり/の(格助詞+の+N)/が(自V) -------------------------------------------------------------------------------- 367 *~はずだ 名詞    :    の      +  はずだ 動詞・形容詞:普通形<ナ形ーな>     はずの + 名詞 -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 良子:今日恥をかいちゃったわ。あまりにあなた似た人がいたから声かけたの。そうしたら人違いだったの。 李 :へえ、その人、そんなに僕に似てたの? 良子:ええ、後ろ姿が瓜二つなの。あんなに似ている人はめったにいないはずだけど、世の中にはそっくりな人がいるものねえ。 ♯ 解説 ♭  「はず」は可能性・予定を表す形式名詞で、「~はずだ」は「バスの出発時間は11時のはずだ」のように予定を表すか、或いは、「~可能性はとても高い」と判断した時に使います。問題になるのは「わけだ」との違いですが、下の例を見てみましょう。   彼は五年も米国にいたのだから、     英語が上手なはずだ。  <未知>     英語が上手なわけだ。  <既知>「~はずだ」は彼が英語が上手かどうかはまだ知らないが、「五年も米国にいたのだから、きっと~だろう」という推測です。しかし「~わけだ」は彼が英語が上手だということはよく知っていて、それを「五年も米国にいたのだから、当然だ」と受けとめる表現です。つまり、未知の「~はずだ」、既知の「~わけだ」と言えるでしょう。 § 例文 § 1.星がいっぱい出ているし、明日は晴れるはずです。 2.何を油を売っている!まだ休憩時間ではないはずだ。 3.あの人は、確か大阪出身だったはずだよ。 4.「明日は都民の日だから、区役所は休みかしら?」「そのはずだよ」 5.「彼、デパートの子供用品売場で買い物をしてたよ」「おかしいなあ、彼には子供はいないはずなのに」 ★ 例題 ★ 1) 「発車は八時の(はず/わけ)だから、まだ時間もあるし、コーヒー(を/でも)飲んで(行く/行こう)よ」  「でも、少し早めに行ってた方が安心できるわ」 2) 君は五年も日本( )(住む→     )のだから、もう日本語で困ったり(する→    )はずだろう? (^^)前課の解答(^^) 1) さえ(→文型100)/できない/はずがない 2) に/した(過去のこと)/知らない(=知っているはずだ) -------------------------------------------------------------------------------- 368 ~はずだった/~はずではなかった 名詞     :    の     + はずだった 動詞・形容詞 :普通形<ナ形ーな>   はずではなかった こんな・そんな:    ×       はずじゃなかった<口> -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :難波君が出迎えに来てくれるはずだったんだが、急に都合が悪くなってね。奥さんが来てくれたよ。 良子:私も一度お会いしてるはずね。感じのいい方だったわ。米国に留学するはずだったんじゃないの? 李 :子供が産まれて、断念したらしい。それにしても、彼女の中国語もなかなかのものだったよ。さすが外大卒。 ♯ 解説 ♭  「~はずだった/~はずではなかった」は、多くは「~はずだったが、しかし~/~はずではなかったが、しかし~」の形で使われ、「~と思っていたが、実際は期待に反する結果になってしまった」ことを表します。失望・残念・不満・後悔などの感情が強く現れる表現です。→例題1)   合格するはずだったが、・・・ =実際は合格しなかった   合格しないはずだったが、・・・=実際は合格した  なお、例文1のように自分が先に意図したことを後で変えたときは、「~つもりだった」(→文型175)を使うことができるでしょう。→例題2) § 例文 § 1.行かないはずだったが、急に気が変わってね。 2.うまくいくはずだったんだがなあ。何でこんなことに。 3.平日なので空いているはずだったが、話題のアニメとあって、映画館は子供連れの家族で満杯だった。 4.あっ、掲示された合格者名簿に僕の名前がない!こんなはずじゃなかったのに。 5.天気予報だと、今日雨が降るはずではなかったが、少し小雨がぱらついてきた。 ★ 例題 ★ 1) こんなに高い(はずだった/はずではなかった)(ので/のに)、(いつの間に/いつしか)値上がりしたんだ? 2) その書類はこの棚( )(しまう→     )はずだったのに、どう(する→   )んだろう?ないなあ。 (^^)前課の解答(^^) 1) はず(予定)/でも(例えば~など→文型281)/行こう(提案) 2) に/住んでいる(継続:「~ずっと」を入れてみる)/しない -------------------------------------------------------------------------------- 369 ~ばそれまでだ/~たらそれまでだ 名詞    :であれば/なら         + それまでだ 動詞・形容詞:仮定形<ナ形ーであれば/なら>        た形 + ら        原形 + と -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 良子:女も子供ができるとそれまでね。自分のやりたいことが何ひとつできなくなるわ。母親がそばにいてくれれば何とかなるけど・・・。 李 :でもさ、一度でもお母さんに頼ったらそれまでで、何かと便利で居心地がいいから、抜け出せなくなるよ。 良子:それもそうね。それに母もいつまでも若くないし。 ♯ 解説 ♭  この文型は「~まで」(→文型405)から派生した文型で、「<~と/~ば/~たら/~なら>それまでだ」(前に来る語が名詞やナ形のときは「なら」)の形で使われると、「~なったら、全て終わりだ/全てが駄目になる」という諦めや絶望を表します。  「~と/~ば/~たら」をどう使い分けるかは難しい問題ですが、「~と」は必然の結果、「~ば」は「もし~であれば、~と言う結果になる」という一般判断、「~たら」は一回性のことに使われる特徴があります。詳しくは資料・を参照してください。 § 例文 § 1.万引きなんかやめろよ。見つかったらそれまでだ。 2.せっかくの野外コンサートも、雨天ならそれまでだ。 3.これこそ千載一遇の好機、この機会を逃したらそれまでだ。 4.どんなに苦しくても、途中であきらめたらそれまでだ。  今までの苦労が水の泡となる。 5.何があろうと死んではいけない。死んでしまえばそれまでだ。死んで花実が咲くものか。 ★ 例題 ★ 1) いくら教師が一生懸命がんばった(ところが/ところで)、学生にやる気が(あれば/なければ)それ(だけ/まで)だ。 2) いくらいい辞書を(買う→    )ところで、(使う→     )ばそれ( )( )だ。 (^^)前課の解答(^^) 1) はずではなかった/のに/いつの間に(副詞の意味の差) 2) に/しまった(過去)/した -------------------------------------------------------------------------------- 370 ~は~とされる/~は~とみなされる ~は、名詞    :   × / だ    +  とされる    動詞・形容詞:普通形<ナ形ー×/だ>    とみなされる (注:広く句と結びつき、内容を「~と」で引用する) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :あの大学に入るのは難しいとされているけど、毎年数千人もが合格してるんだよね。 良子:神様って不公平ね。勉強しなくても成績のいい人はいるし、寝る間を惜しんで勉強しても駄目な人もいる。 李 :学校の成績がいい者が能力がある者とみなされているけど、IQでは計りきれないのが人間だよ。 ♯ 解説 ♭  この文型は「~を~とする(→文型471)/~を~とみなす」の受け身文で、「~は~と考えられている」と同じ意味を表します。一般にそうみなされているという客観的表現で、個人の見解ではありません。社会通念や社会常識と言えるでしょう。  用例的には例文のように疑問の気持ちを表していることが多く、「~とされているが、しかし~/~とみなされているが、しかし~」のように、後件で逆の事実を表すことが多いでしょう。 § 例文 § 1.猿は人間の祖先とされているが、果たして本当か。 2.女は男より能力が劣るとみなされてきたが、今や女たちの方が元気な時代だ。 3.民主主義は独裁主義に勝るとされるが、一概にそうとも言えないのではないだろうか。 4.漢方薬は副作用が少ないとされているが、実際はどうか。 5.新聞は真実を伝えるものとみなされているが、疑ってかかった方がいいだろう。 ★ 例題 ★ 1) 土地は(上げる/上がる)ことはあっても(下げる/下がる)ことのない資産と(なって/されて)きた。 2) 親が老いたら子( )面倒を見るのが当然だ( )(みなす→     )てきた。 (^^)前課の解答(^^) 1) ところで(~した・ところで~ない→文型147)/なければ/まで 2) 買った(~した・ところで~ない→文型147)/使わなけれ/まで -------------------------------------------------------------------------------- 371 *~はともかく/~はともあれ/~はさておいて 名詞   : ×  +  はともかく(として) ~かどうか: ×     はともあれ              はさておいて              さておき -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :大変だったね。体力が回復するまで、しばらく入院したら?何はさておき、君の体が第一だ。 良子:ありがとう。どこが悪いかわかるまでは、とても不安だったわ。でも単なる盲腸炎だったから。 李 :病院の食事は味の方はともかく、栄養のバランスはいいのだから、残しちゃ駄目だよ。 ♯ 解説 ♭  「~はともかく/~はともあれ/~はさておいて」は微妙な語感の差があるのですが、どれも「~のことは考えないで/~は一旦保留して」という意味を表します。それまでの話題を一旦保留して、より大事な話題に移りたいときに多く使われます。  この文型は「~は別にして」(→文型372)を使っても表せますが、「~は別にして」には「~を除いて/~以外は」を表す他の用法があり、その場合、この文型は使えません。   このクラスはタパさん     ○は別にして     ○を除いて/以外は     ×はさておいて/はともあれ   全員漢字はわかります。  なお、例文5の「何はともあれ」や「何はさておき」は慣用表現で、「他のことに優先して、先ず~」という意味を表します。 § 例文 § 1.冗談はさておき、今後どうするかを先ず決めよう。 2.勝敗はともかく、私達はこの試合で持てる力を出し切った。 3.主張の是非はともかくとして、先輩に対する君の口のきき方は礼を失している。 4.昔のことはともあれ、今の彼が真面目に働いていることは認めてやるべきだ。 5.さあさあ、お疲れでしょう。何はともあれ、荷物を置いて、おくつろぎください。 ★ 例題 ★ 1) (たとえ/もし)補欠で(ある/あろう)と、何は(ともかく/ともあれ)合格できたんだからよかったよ。 2) 日本人が(働く→   )過ぎ( )どう( )はともかく、批判的な声( )高まっているの( )事実だ。 (^^)前課の解答(^^) 1) 上がる(自V)/下がる(自V)/されて 2) が(~が~の面倒をみる)/と/みなされ -------------------------------------------------------------------------------- 372 *~は別にして/~は除いて 名詞   : ×  +  は別にして/を別にして  ・ ~かどうか: ×     は別にいたしまして              は別として/を別として              は別といたしまして              は除いて/を除いて    ・ -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :君、髪の毛が薄くなったって気にしてただろ。効くかどうかは別として、これ使ってみたら? 佐藤:今話題の毛生薬だね。効き目があるといいがなあ。今の僕は「溺れる者は藁をもつかむ」心境なんだ。 李 :騙されたと思って試してみなよ。この薬、中国でも特定の店を除いて、手に入らなくなっているそうだ。 ♯ 解説 ♭  「~は別にして/~は除いて」は「~を除外して」という意味を共有しています。しかし、「~は別にして」には例文1~3のように「~はともかく/~はともあれ/~はさておいて」(→文型371)と共通する保留したり考慮外にする用法がありますが、その場合、除外しか表せない「~は除いて」は使えません。   彼は別にして(・は除いて/×はともかく)、他の全員が賛成だ。   良し悪しは別にして(× は除いて/・はともかく)、それが現実だ。  また、他動詞「除く」には「~を除いて~(は)ない」(→文型458)という慣用文型がありますが、この場合「別にして」は使えません。   彼を除いて(×別にして)適材はいない。 § 例文 § 1.好き嫌いは別として、ボーダレスの時代に進みつつある。 2.あの娘さんは器量の良し悪しは別といたしまして、気だての良さではぴか一です。 3.商いとしてものになるかどうかは別にして、話だけは聞いてみてもいいだろう。 4.君を除いて(⇔を別にして)全員が賛成している。 5.方法論の問題を除いて(⇔を別にして)、両者の間には大きな意見の隔たりないと思える。 ★ 例題 ★ 1) 住宅問題は別として、日本人の生活水準は欧米(風/並)(にした/になった)と(言う/言える)だろう。 2) この曲( )メロディーは別として歌詩がいい。若者の社会( )の怒り、(悲しむ→   )が溢れている。 (^^)前課の解答(^^) 1) たとえ(たとえ~ても)/あろう(→文型437)/ともあれ 2) 働き(→文型117)/か/か/が(「高まる」は自V)/は -------------------------------------------------------------------------------- 373 ~は無理からぬ/~はもっともだ 名詞    :    ×     +   は無理からぬ 動詞・形容詞:普通形<ナ形ーな> +  のは無理からぬことだ                      のはもっともだ -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :まもなく真理さんと、新生活のスタートだね。 佐藤:うん、ただ彼女、社宅は嫌だと言ってきかないんだ。私生活まで会社に管理されたくないって。 李 :真理さんにしてみれば、そう思うのも無理からぬことだね。社宅の奥さん連中は何かと口うるさいからね。 佐藤:そう言えば、それで君たちも社宅を出たんだったね。 ♯ 解説 ♭  これらの文型は一般常識や人情、道理から考えて「~するのは当然だ」という意味を表しますが、「無理からぬ」は「そうなったのは仕方がない」と消極的に認める語感を、「もっとも」は「もちろん正しい」と積極的に認める語感をそれぞれ持っています。なお、「~(の)は無理からぬ」は書面語なので、会話では「~(の)は当たり前だ/~(の)は当然だ」を使えばいいでしょう。  彼が怒るのは 無理からぬ。         もっともだ。         当たり前だ。 § 例文 § 1.あんなに働きづめに働いては、過労死するのも無理からぬ。 2.酔っては暴力、あれでは奥さんが愛想を尽かすのも無理からぬことだ。 3.面と向かって馬鹿呼ばわりされたんだから、彼が怒ったのは無理からぬことだ。 4.君が今回の上層部の処置に不満なのはもっともだ。 5.あなたのお怒りはもっともですが、これにはいろいろ事情がございまして。 ★ 例題 ★ 1) あんなに湯水のように金を使っ(ては/ても)、財産を食いつぶす(の/こと)も無理からぬ(の/こと)だ。 2) 君の意見は理屈の上( )はもっともだが、それでは仲間( )の情義を欠くことに(なる→     )か。 (^^)前課の解答(^^) 1) 並(~並→文型275/~風→文型377)/なった/言える 2) は/へ(~に対するN=~へのN)/悲しみ(→文型097) -------------------------------------------------------------------------------- 374 *~はもちろん/*~は元より 名詞    :    ×       + はもちろん ~ も ~ 動詞・形容詞:普通形<ナ形ーな>+の   は元より   さえ                             まで -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 良子:あなたの姪っこさんが日本に留学に来る話はどうなったの。学費は元より、日本での生活のこともあるし。 李 :諸手続きはだいたい終わったんだよ。後は入管の審査待ちってところだ。 良子:引っ越しや買い物はもちろん、私にできることは何でも手伝うわ。何だか妹が一人増えたような気分よ。 ♯ 解説 ♭  「もちろん」は副詞で、例文1のように単独でも使われますし、「もとより」も「最初から/元々」という意味の副詞で、例文2や「そんなこと、元より承知だ」のように単独でも使われます。  「~はもちろん/~は元より」は「~はもちろんのこと、その他~も」という意味を表しますが、「Aがそうなのは言うまでもなく自明のことだ」という語感で共通しています。    社長は もちろん、    役員一同が反対だ。        もとより、        言うまでもなく、 § 例文 § 1.もちろん誰だって、自分の身はかわいいさ。 2.元より私はあなたの考えに賛成でした。 3.料理自慢の彼にとっては、和食はもちろん、中華から洋食まで、何でもお茶の子さいさいだ。 4.彼はアメリカ人だが、日本語は元より、日本の伝統・文化そして国民性に至るまで精通している。 5.対人関係づくりが苦手なのは元より、自分自身の意見すら持っていない若者が増えているという報告がある。 ★ 例題 ★ 1) 君がこれ(まで/までに)会社に尽くし(てくれた/てもらった)ことは、僕は元よりみんなが(認める/認めている)。 2) 日本の電気製品は性能( )もちろん、デザイン面( )も世界のトップ水準( )ある。 (^^)前課の解答(^^) 1) ては(反復→文型188)/の/こと(「~のは~ことだ」強調文) 2) で(限定)/へ(~に対するN=~へのN)/ならない(反語) -------------------------------------------------------------------------------- 375 *~反面(で) 名詞    :    である        +  反面(で) 動詞・形容詞:普通形<ナ形ーな/である> (注:「半面」とも書く) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 良子: 姪っこさんのことだけど、御両親としたら期待を寄せる反面、心配でもあるでしょうね。一人娘でしょ? 李 :何のための留学か、目的がはっきりしてないと、時間の浪費になり兼ねないよ。遊び半分じゃ困るね。 良子: 東京での生活は誘惑も多いし、それに欲しい物は何でもある反面、何をするにもお金がかかるときてる。 ♯ 解説 ♭  「~反面(半面)」は一つの対象の対立する側面を表すのが特徴で、同一主語文で用いられます。類義表現に「~(の)にひきかえ/~(の)に対して/~(の)に対し」(→文型340)がありますが、異主語文で異なる対象を対比させるので、対照的となります。   日本は給料が高い反面(×のにひきかえ)、物価が高い。   父は無口なのにひきかえ(×反面)、母はおしゃべりだ。  なお、「一方」(→文型011)にも同じような用法がありますが、同一対象の異なる面でも、異なる対象の対比でも制限なく使えます。 § 例文 § 1.子育てというのは、手がかかる反面、楽しみも多い。 2.うちの父は日頃優しい反面、怒ると怖い。 3.この仕事は収入が少ない反面、時間が自由になるので、  僕は気に入っているんです。 4.彼は会社では仕事の鬼とも呼ばれている反面、家庭では子煩悩な父親でもある。 5.生活が豊かになる反面で、人と人との結びつきは紙のように薄くなっている。 ★ 例題 ★ 1) 彼は責任感が強い反面で、自分の(思い/思う)通りに(しない/ならない)と、すぐ癇癪を(起きる/起こす)。 2) 世界はボーダレスに(向かう→    )つつある( )、( )( )反面で少数民族の独立邉婴饧せ肥激幛皮い搿 (^^)前課の解答(^^) 1) まで/くれた(会社=私と考えての発言)/認めている 2) は/で/に(基準の「に」) --------------------------------------------------------------------------------
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 楼主| 发表于 2004-11-25 15:01:27 | 显示全部楼层
376 ~びる 一部の名詞     : ×   +  びる 一部のイ形容詞の語幹:ー[い] -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 良子:小平が急に大人びてきたわね。少し前に声変わりしたかと思ったら、早いものね。 李 :早く成人式にならないかなあ。その日はひなびた温泉宿で、親子水入らず、しんみり酒を飲んでみたいね。 良子:私は小平から手が離れたら、思いきりやりたいことをやってみたいわ。 ♯ 解説 ♭  接尾語「~びる」は名詞やイ形容詞の語幹について、「~に近い様子だ/~に近い状態だ」という意味を表す自動詞を作ります。つく語は限られていて、「大人びる・田舎びる…/古びる・ひなびる・幼びる・ひねこびる…」などですから、そのまま語彙として覚えた方がいいでしょう。 § 例文 § 1.僕は奈良のひなびた風景が、たまらなく好きだ。 2.君はいい歳をして、言うことがどこか幼びている。 3.12歳にしては、ずいぶん大人びた顔をしている。 4.人も通わぬような山奥に、古びた洋館がぽつんと一軒建っていた。 5.彼は若いのにひねこびていて、まるで世間ずれした中年男みたいだ。 ★ 例題 ★ 1) 五日市駅を降りて、十分も(歩いて/歩くと)、そこにはまるで東京の郊外とも(思える/思えない)ような田舎(ぶった/びた)風景が広がっていた。 2) 父は(古い→  )びた鞄を大切に(する→    )が、それは亡くなった母( )( )の贈り物だそうだ。 (^^)前課の解答(^^) 1) 思い(→文型225)/にならない/起こす(他V) 2) 向かい(→文型171)/が(逆説)/その -------------------------------------------------------------------------------- 377 ~風/~ふうだ/~ふうをする 名詞 :     ×      +  風だ       ・                    風の + 名詞 動詞 :    普通形     +  ふうだ/ふうに  ・ 形容詞:<イ形~い/ナ形~な>    ふうな + 名詞                    ふうをする    ・ -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 良子:このドレス、襟の辺りが中国風ね。気に入ったから買ってもいいかしら?それとも、こちらがいいかしら。 李 :どちらでもいいから、早く決めてほしいなあ。 良子:「もうこれ以上つきあいきれないよ」といったふうね。あそこに和風喫茶があるけど、ひと休みする? 李 :それは願ったりかなったり。ビールもあるかなあ? ♯ 解説 ♭  「風」は名詞に直接接続して、「学者風・昔風・現代風・ヨーロッパ風…」などの「~の傾向・~の様式」を表す語を作ります。  「~ふうだ」は例文2、3のように、「~のような様子だ」という意味の助動詞を作ります。「こういうふうに=このように」「疲れたふうだった=疲れたようだった」のように、様態の「~ようだ」に置き換えられますが、用例は限られています。なお、例文2の「利いたふう」と言うのは「何でも知っているかのような生意気な態度」を表す慣用語です。  なお、例文5の「~ふうをする」は「~様子や態度をする」という意味を表す慣用表現ですが、「~ふりをする」(→文型378)と混同しやすいので注意しましょう。→例題1) § 例文 § 1.その方は一見して学者風の好紳士でした。 2.利いたふうな口をきくな。 3.これ、どういうふうに(=どのように)して作ったの? 4.「それって、どこかで聞いたふうな(=ような)セリフだね」「ばれたか。実はある雑誌にあった言葉の受け売りなんだ」 5.あいつときたら、何でも知っているといったふうをして、鼻持ちならないったらありゃしない。 ★ 例題 ★ 1) あの係長は、部下(にとって/に対して)は偉そうな(ふう/ふり)をしている(わりに/くせに)、上役を見るとゴマをする嫌な奴だ。 2) Aさんは息子さん( )大学に合格したの( )(うれしい→     )たまらないといったふうだった。 (^^)前課の解答(^^) 1) 歩くと(→文型203)/思えない/びた(~ぶる→文型380) 2) 古/している(過去から今までずっと~)/から -------------------------------------------------------------------------------- 378 *~ふりをする 名詞    :   の        + ふりをする 動詞・形容詞:普通形<ナ形ーな>     ふりする -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 百恵:女性が酔っぱらいにからまれているのに、他の伩亭弦姢埔姢踏栅辘筏皮い郡韦琛K健⒏工司荬妞亭
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 楼主| 发表于 2004-11-26 09:43:04 | 显示全部楼层
401 ~まして/~ませんで/~ませ 動詞:[ます]形  +  まして   ・              ませんで              ませ    ・ -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 良子:今日は大したおもてなしもできませんで。 佐藤:いえいえ、こちらこそ、お休みのところを二人して押しかけ、そのうえ二人のことで相談にも仱盲皮い郡坤蓼筏啤ⅳⅳ辘趣Δ搐钉い蓼筏俊¥袱恪ⅳ长欷恰 李 :心配することはないよ。僕たちも後で振り返れば、取り越し苦労に過ぎなかったことばかりだよ. ♯ 解説 ♭  動詞の「て形」には「~まして」の形もあり、敬語と結びついた丁重な会話表現に使われます。また、「~ますので/~ましたら」のように、「丁寧体(「ます」形)+から/が/けれど/し/たら/ので/のに」などの形も使われます。  「いらっしゃる→いらっしゃいます/くださる→くださいます/おっしゃる→おっしゃいます」のように「~ります→~います」へと変化することや、「いらっしゃいませ」のような「~ませ」は初級で学んでいますが、「~につきまして/~に対しまして/~にとりまして/~に関しまして/~をめぐりまして」など「ます」形の格助詞も多く使われることをつけ加えなくてはならないでしょう。丁重な敬語体会話ではどれも大切な表現となります。  注意してもらいたいのは、「~てください→×~ましてください/~たほうがいい→×~ましたほうがいい」などの形はなく、助動詞関係では丁寧体は使われないことです。 § 例文 § 1.明けましておめでとうございます。 2.いらっしゃいませ。御注文は何になさいますか。 3.是非、私どもの宅にもお立ち寄りくださいませ。 4.せっかくお越しいただきましたのに、主人はあいにく留守にしておりまして。 5.どうしても抜けられない会議がございまして、せっかくの御招待ではございますが、またの機会にと。 ★ 例題 ★ 1) 毎度お引き立て(もらい/いただき)まして、ありがとうございます。またのおいでを(待って/お待ちして)(います/おります)。 2) 社長はまもなく戻って(参る→    )ので、どうぞお(かける→   )になってお(待つ→   )ください。 (^^)前課の解答(^^) 1) まじき/見ぬ/ふり(→文型378/慣用語「見て見ぬふりをする」) 2) と/まじき/許し(~難い→文型034) -------------------------------------------------------------------------------- 402 *~まで ・/*~までに/*~までで 時・場所・数量を表す語: ×    +  まで   ・ 動詞         : 原形      までに  ・                      までで  ・ -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :ここまで来たら、頂上まで後わずかだ。この分だと、日暮れまでには山小屋に着くだろう。 小平:お父さん、見て!夕焼けが始まったよ。それにしても、お母さん、遅いねえ。まだ、あんな下にいる。 李 :お母さんが追い着くまで、ここで待っててやろうよ。 良子:はあはあ、なんて薄情な人たちなんでしょ。 ♯ 解説 ♭  「~まで」の格助詞の用法で、数量・時間・場所を表す語と結びついて、終点や限界点を表します。「~遅くまで/~近くまで」のような慣用的言い方がありますが、そのまま覚えてください。→例題2)  問題は時を表す語と結びついたときの「~まで」と「~までに」の違いですが、下の図のように、「~まで」はその時刻までずっと継続した動作を表し、「~までに」はその時刻の前に完了した動作を表します。     図あり   なお、「~までで」は期限を表し、後ろには「やめる・終わる・締め切る・打ち切る」などの動作の終了を表す動詞が来ます。→例題1) § 例文 § 1.ここまで来たら、もうひと安心だ。 2.シャボン玉飛んだ。屋根まで飛んだ。屋根まで飛んで、壊れて消えた。(童謡) 3.授業は七月の二十日までで、二十一日から夏休みが始まる。 4.「十時までに来られる?」「その頃まで会議が長引いているとすると無理だけど、でなければたぶん大丈夫」 5.私が戻って来るまで、ここで待っていてください。 ★ 例題 ★ 1) この店は十一時(まで/までに/までで)閉店と(します/なります)ので、オーダーがございましたら、十時半(まで/までに/までで)お願いします。 2) 隣の部屋が夜(遅い→    )まで(うるさい→     )、明け方(近い→   )まで眠れなかった。 (^^)前課の解答(^^) 1) いただき(謙譲語)/お待ちして(→文型019)/おります(謙譲語) 2) 参ります(謙譲語)/かけ(尊敬形→文型019)/待ち(→文型019) -------------------------------------------------------------------------------- 403 *~まで/*~までに/*~までになる 名詞    : ×         +  まで 動詞・形容詞:普通形<ナ形ーな>     までに までになる -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 良子:「くそばばあ」なんて言ったのよ。どこまで親を馬鹿にするつもり。今日という今日は堪忍袋の緒が切れたわ。今度そんな口を利いたら、出て行ってもらうわよ。 李 :そこまで言わなくてもいいんじゃないか。小平、言っていいことと悪いことがあるぞ。そのことがわかるまで、しばらくそこで正座して反省していなさい。 ♯ 解説 ♭  「~まで」の副助詞の用法で、事態がどの程度まで達しているかを表しています。「~ほど」(→文型392)も程度を表しますが、「~まで」は程度の最終段階を表すのに対し、「~ほど」は程度の例示や形容です。   足が痛くなるまで(・ほど)歩いた。   納得がいくまで(×ほど)調べる。  上の例はどちらも使える例ですが、「~まで」は足が痛くなった段階で歩くのをやめていますが、「~ほど」は歩いているときの程度を形容しています。下の例は「~ほど」が不自然です。逆に、「~まで」が使えないのが次の例です。→例題1)   死ぬほど(×まで)驚いた。   目の玉が飛び出すほど(×まで)高かった。 § 例文 § 1.喉元まで出かかった言葉だったが、思いとどまった。 2.結果がどうなるかはともかく、自分が納得がいくまでやってみたいんだ。 3.その検事は恐ろしいまでに頭が切れる男だった。 4.彼と碁の対戦をしたが、全く歯が立たず、完膚なきまでに打ちのめされた。 5.日本では1910年代の終わりには、99%の児童が学校教育を受けるまでになっていた。 ★ 例題 ★ 1) 一人前に寿司が握れる(ようにする/ようになる)(まで/ほど)には、短くても数年の修行(を/が)要する。 2) 彼はわずか一年( )、新聞ばかりか明治文学まで(読む→   )こなせる( )( )に日本語が上達した。 (^^)前課の解答(^^) 1) までで/なります(「~する」は意志行為)/までに 2) 遅く/うるさくて(理由の「~て」)/近く -------------------------------------------------------------------------------- 404 ~まで/~までして/~てまで 名詞・名詞+格助詞: ×  +  まで 動詞       :原形  +  までして 動詞       :て形  +  まで -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 良子:家に帰ってまで、会社の仕事はしないでほしいわ。 李 :やりかけの仕事があると、喉に物がつかえてるみたいで、気持ちが悪いんだよ。 良子:そんなにまでしなくちゃいけないの。あなたもどこかの猛烈社員に似てきたわねえ。 李 :君にまでそんなことを言われては、立つ瀬がないよ。 ♯ 解説 ♭  「~まで/~までして/~てまで」は、程度を表す「~まで」(→文型403)と一連のものですが、程度が極端に達していると感じたとき使われます。  例文2、3のように「~さえ/~すら」(→文型100)と置き換えられる場合も多いでしょう。しかし、「~さえ/~すら」は「~もそうだから、その他はもちろん~」という意味ですが、「~まで」は「だんだん程度はひどくなり、最後には~も~」と最終段階を表しますから、例文4、5のように「~さえ/~すら」を使うと不自然になる例が生じます。逆に「~さえ/~すら」が使えて「~まで」が使えない場合も生じます。それが次の例です。   忙しくて新聞を読む時間さえ(×まで)ない。   歩いてさえ(×まで)5分で着くところ § 例文 § 1.毒を食らわば皿まで。(ことわざ) 2.まさか君が、あんな奴とまでぐるになっていたとは思いもしなかったよ。 3.夢にまで見るほど彼女のことが脳裏に焼きついて離れない。 4.いくら生活に困ったとは言え、盗みまでしでかすとは、  呆れ果ててものも言えない。 5.そんな汚い金を使ってまで、代議士になりたがる奴の気が知れない。 ★ 例題 ★ 1) 家庭生活を犠牲(になって/にして)(さえ/まで)出世したいとは(思う/思わない)。 2) 親の反対を(押し切る→     )まで結婚(する→   )二人が、半年( )離婚とは予想もしなかった。 (^^)前課の解答(^^) 1) ようになる(状態変化→文型446)/まで/を(「要する」は他V) 2) で/読み(~こなす→文型167)/ほど(「まで」は重複する) -------------------------------------------------------------------------------- 405 ~までだ/~までのことだ これ・それ・あれ: ×   + までだ 動詞      :普通形    までのことだ -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :準備しないうちに昇級試験の前日になってしまったが、いつものように一夜漬けをするまでさ。 山田:じたばたしたって始まらないし、カラオケにでも行かないか。駄目なら駄目で、また受け直すまでのことだ。 李 :それは悪魔の甘いささやきだよ。行くべきか行かざるべきか、それが問題だ。 ♯ 解説 ♭  「~までだ/~までのことだ」は例文1~3のように、「それだけで、それ以外のことは考える必要はない/何の問題もない」という意味を表します。「~までだ」の強調表現が「~までのことだ」です。  これは「~だけ」(→文型131)とも共通する限定の用法で、動詞の原形と結びつくときは最終選択・結論や決意を、完了形(「た」形)と結びつくときは事情や理由を強調することが多いでしょう。   タクシーがなければ、歩いて帰るまでだ(≒だけだ)。  また、例文4の「これまでだ」や、例文5の「~たら、それまでだ」(→文型369)のように「これ・それ・あれ」と結びつくときは、「それでおしまいだ」という意味を表します。これは「(これ・それ・それ)で万事休す」という慣用語を使っても表せます。 § 例文 § 1.あなたがやれと言ったから、やったまでのことです。 2.仮に今回失敗しても、また一からやり直すまでだ。 3.駄目でもともと、やってみるよ。うまく行かなかったら、その時また考えるまでのことさ。 4.銀行から借り入れができないとなると、万事休すだね。会社もこれまでだ。 5.短気は損気。いくら上司に頭にきても、会社を辞めてしまったらそれまでだよ。 ★ 例題 ★ 1) 「珍しいね、何(か/が)用事?」「いや、近くに(来たついでに/来がてら)(寄る/寄った)までです」 2) 私は当然のことを(する→   )までの( )( )で、お礼なんて(言う→    )と、かえって恐縮します。 (^^)前課の解答(^^) 1) にして(「~を~にする」)/まで/思わない 2) 押し切って/結婚した/で(期限の「で」) -------------------------------------------------------------------------------- 406 *~まま/*~ままの/*~ままに~する 名詞: の  +  まま ~ する 動詞:普通形    ままで           ままだ           ままの + 名詞           ままに ~ する -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :君が使っていた部屋は、今でもそのままになっているね。君の御両親の気持ちがわかる気がするよ。 良子:何もかも子供の時のままで、妙な気分になるわ。 李 :わらぶき屋根に広い庭。そして君が小平と並んで昼寝してる姿は、なかなか絵になっていたよ。帰る故郷があるだけでも、小平は幸せだと思うな。 ♯ 解説 ♭  「まま」は「元と同じ状態」というのが原義ですが、例文1~3のように、名詞や動詞の完了形(「た」形)や否定形(「ない」形)と結びつくときは「~の状態を変えないで」という意味を表します。   座ったまま話す。   そこは昔のままの風景が残っていた。  また、用例としては多くありませんが、例文4、5のように動詞の原形と結びつくと、自然のなりゆきや感情に身を任せて従うという意味を表します。   風の吹くままに旗が揺れている。   命令されるままに動く。 § 例文 § 1.日本の家は、靴を履いたまま上がってはいけないよ。 2.報告書には私見を加えず、見たまま聞いたままを、ありのままに書いてくれ。 3.鍵をかけないまま、一体どこに行ったんだろう。不用心ったらありゃしない。 4.足の向くまま、気の向くままに、地球を歩いてみたい。 5.友人に勧められるままに生命保険に入ったが、なんとその保険会社が倒産してしまった。 ★ 例題 ★ 1) 日本料理は、素材の味をその(まま/ように)(生きる/生かす)ところに(だけ/こそ)、その特徴があります。 2) いくつ( )気づいた点を、(思いつく→     )まま(話す→    )みます。 (^^)前課の解答(^^) 1) か/来たついでに(→文型163/~がてら→文型038)/寄った 2) した/こと/言われる(受身文:~が~に言われる) -------------------------------------------------------------------------------- 407 見るからに~そうだ 見るからに~ 動詞 : [ます]形    + そうだ        形容詞:<イ形ー[い]>    そうな + 名詞            <ナ形ー[な]>    そうな + 動詞 (注:様態の「~そうだ」には名詞接続の形はない) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 百恵:あの係長ときたら、部下には上司の悪口を言ってるくせに、上司にはおべんちゃらばっかり! 真理:見るからにやりそうな顔つきね。でも、中間管理職の苦しい胸の内もわかってあげたら? 百恵:こちらだっておごってもらいながら、裏で舌を出してるんだから、どっちもどっち、似たようなものかも。 ♯ 解説 ♭  「見るからに~そうだ」は「一見して、すぐ~と感じる」という意味を表します。この様態の「~そうだ」は視覚による判断を表しますが、同じ意味を「一目で~とわかる」を使っても表すことができるでしょう。  見るからに おいしそうだ。     <終止形>        おいしそうなリンゴだ。 <連体形>        おいしそうに食べている。<連用形> § 例文 § 1.見るからにおいしそうな料理だなあ。よだれがでちゃうよ。 2.見るからに一雨ありそうな雲行きになってきた。 3.まるまる太っていて、見るからに健康そうな男の赤ちゃんだ。 4.孫たちに囲まれて、おじいさんは見るからにうれしそうだった。 5.よほど時間を持て余しているのか、彼は見るからに退屈そうにあくびをしていた。 ★ 例題 ★ 1) その子は見る(からに/からして)(人なつっこい/人なつっこ)そうなそうな顔(が/を)して僕を見ていた。 2) 見るから( )お金が(ある→    )そうな豪邸だが、一体どんな人が(住む→      )んだろう? (^^)前課の解答(^^) 1) まま/生かす(他V)/こそ(「こそ」は前の語を強調→文型077) 2) か/思いつく/話して(→文型197) -------------------------------------------------------------------------------- 408 *~みたいだ/*~みたいな/*~みたいに 名詞    :    ×     +  みたいだ 動詞・形容詞:普通形<ナ形ー×>    みたいな + 名詞                     みたいに -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 真理:「これだから妊婦は使い物にならない」なんて陰口を叩かれても、働き続けるしかないみたいだわ。 百恵:決して無理しちゃ駄目よ。体調を崩すより、馬鹿なおじさんたちに悪口を言われてる方がましよ。 真理:仕事と子育てを両立させるというのは、生半可なことではできないわね。 ♯ 解説 ♭  「~みたいだ」は「~ようだ」と同じ意味を表す口語表現で、子どもや女性が多く使います。例文1、2のように比況、例文3のような例示、例文4、5のように推量判断を表す「~ようだ」は、どれも「~みたいだ」に置き換えることができます。しかし、名詞とナ形容詞の時の接続の仕方が違いますから注意しましょう。   雨 みたいだ  元気 なようだ     のようだ     みたいだ  ただし、下例のように「~ように」が状態変化、目的、既に述べた内容、依頼、願望を表すときは、「~みたいに」が使えません。   やっと歩けるようになった。     <状態変化>   わかるように話してください。    <目的>   今まで述べてきましたように・・・。 <内容指示>   遅刻しないようにしてください。   <依頼>   一日も早くご回復なさいますように。 <希望・願望> § 例文 § 1.そうやっていると、ふたりはまるで夫婦みたいだね。 2.彼女はまるで蚊の泣くみたいな小さな声で、「はい」と答えた。 3.あんたみたいな恥知らずには、今まで会ったことがないわ。 4.いくら電話してもつながらないから、どこかに出かけているみたいだよ。 5.その陶器は古いもので、かなり値段も張るみたいだった。 ★ 例題 ★ 1) 東京タワーの上から見ると、民家がマッチ箱(の/×)みたい(に/な)小さく(見る/見える)。 2) ガス( )つかないと思ったら、私って(馬鹿だ→    )みたい、元栓( )閉めたままにしてたわ。 (^^)前課の解答(^^) 1) からに/人なつっこ(様態の「そうだ」)/を(→文型466) 2) に/あり/住んでいる(一般Vの原形は未来形) -------------------------------------------------------------------------------- 409 *~向きだ/*~向きの/*~向きがある 名詞: ×  +  向きだ            ・           向きの + 名詞           向きに + 動詞・形容詞 動詞: 原形 +  向きがある          ・ -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :そのセーターは色合いといい柄といい、若い女性向きだね。どう見ても君向きじゃないよ。 良子:ねえ、それどういう意味?もう私はおばんだとでも言いたいの? 李 :おいおい、そう向きになるなよ。僕はただ・・・。 良子:ただ何なのよ。はっきり言ってみなさいよ。 ♯ 解説 ♭  「~向き」は「~に適合している/~に適当だ」という意味を表します。ほとんど名詞に直接接続しますが、「若向き」のように形容詞につく例も少しあります。   このワインは甘口で女性に向く ・ このワインは甘口で女性向きだ  その他、「向き」には「動詞の原形+向きがある」の形で、「~嫌いがある」(→文型063)と同じように「~する傾向がある」を表したり、方面・方面の人を表す「御用の向きはなんですか/反対する向きが多い」などの用法もありますので、用例を例文に取り入れておきました。 § 例文 § 1.このスキーコースは勾配が急だから、初心者向きではない。 2.君はすぐかっとなる向きがあるから、教育者向きじゃない。 3.人には向き不向きがあるのだから、自分向きの仕事を見つけることが大切だ。 4.どうも日本人向きに作られた中華料理は、味が淡泊で本来の濃厚な風味を失う嫌いがある。 5.表向きは大邢颏违攻圣氓韦瑜Δ艘姢à蓼工⒀Yでは盗品売買をしているという噂です。 ★ 例題 ★ 1) 「御用の(向き/向け)は何でしょうか」「(軽い→   )海外旅行(向き/向け)の鞄を探しているんです」 2) 外国人向き( )(やさしい→     )(書いた→     )日本語文法辞典はありませんか。 (^^)前課の解答(^^) 1) ×/に(連用形)/見える(自V) 2) が(自V)/馬鹿(ナ形)/が(自V) -------------------------------------------------------------------------------- 410 *~向けだ/*~向けの/*~向けに 名詞: ×  +  向け(だ)           向けの + 名詞           向けに -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :この住宅は二世代向けに作られたものだそうだが、きめ細かな配慮が行き届いているね。 良子:床に段差がなかったり、手すりが多かったり、通路が車椅子でも困らないだけ広いのは老人向きね。 李 :これで家庭菜園ができる庭があれば言うことなしだが、そこまでぜいたくは言えないか? ♯ 解説 ♭  「~向け」は「~を特定の対象・目的とする」という意味の表します。この「~向け」は「~向き」(→文型409)と混同しやすいので注意しましょう。例えば、例文1~3は意味上どちらにも解釈できるので「~向け」も「~向き」も使えますが、例文4、5は「~向け」しか使えません。例えば、「成人向け<対象>エログロ・ビデオ」というべきところを「成人向き<適当>の エログロ・ビデオ」と使うと、エログロ・ビデオは成人にふさわしいという意味になってしまいます。→例題1) § 例文 § 1.この自動車はアジア市場向けの低燃費の小型車です。 2.このアニメ映画は子供向けと言うよりも、大人たちに向けて警告を発する作品だ。 3.若いお母さん向けの育児書が、飛ぶように売れている。 4.各政党の選挙向けの歯の浮くような宣伝は、聞いているだけでうんざりする。 5.メーカーは外国向けか国内向けかによって、製品のデザインも価格も変えるそうだ。 ★ 例題 ★ 1) 最近の子供(向け/向き)の漫画には、とても子供(向け/向き)とは(思わない/思えない)猥褻なものがある。 2) 若者向け( )(作る→     )音楽CDの中には、はっとする( )( )鋭い社会批判を含んだものがある。 (^^)前課の解答(^^) 1) 向き/軽くて/向き(「~向け」は対象→文型410) 2) に/やさしく/書かれた(非情の受身文) -------------------------------------------------------------------------------- 411 ~目/~目にあう 動詞        :[ます]形     +  目(だ)   ・ 量や程度を表す形容詞:<イ形ー[い]>    目に            <ナ形ー[な]>    目の+名詞 数詞        :  × 感情を表す形容詞  :原形<ナ形ーな> +  目にあう  ・ -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :今まで専務にちやほやしてた連中が、いざ更迭されると聞くや、手のひらを返したように見向きもしなくなった。人間も落ち目になると、嫌な目にあうね。 良子:「金の切れ目が縁の切れ目」ってわけね。 李 :専務にしてみれば、「泣きっ面に蜂」だね。 良子:「弱り目に祟り目」とも言うわ。よくある話よ。 ♯ 解説 ♭  「目(め)」は実に多くの用法を持っています。まず「~目に遭う」という形で、嫌な体験をするという意味を表します。また、「~め」には接尾語の用法があって、形容詞(ナ形容詞にはほとんどつかない)や一部の動詞について、「長め・短め・辛め・少なめ・多め・高め・安め・濃いめ・薄め・小さめ・大きめ・細め・太め・硬め・柔らかめ/派手め…」「上がり目・下がり目・落ち目・控えめ…」のように使われ、「少し/やや~程度・状態」を表します。更に数詞につくと、「一つ目・二番目・三度目・四軒目・五杯目・六本目・七枚目・いくつめ・何個目…」のように順番・度数を表します。その他にも、動詞の連用形(「ます」形)について「割れ目・境目・結び目・切れ目・変わり目・折り目・分かれ目・縫い目・つなぎ目…」のように境界を表します。 § 例文 § 1.一世を風靡したあの歌手も、今じゃ人気も下がり目だ。 3.人参は小さめ、じゃがいもはやや大きめに切ってね。 2.発言は控えめにした方がよろしいですよ。そうしないと何かの時にひどい目にあいますからね。 4.三度目の正直、今度こそうまくやってみせます。 5.気候の変わり目には体調を崩しやすいですから、くれぐれもお体にお気をつけください。 ★ 例題 ★ 1) 歳を(とって/とると)、ご飯は(柔らかい/柔らか)め、味は(薄い/薄)めがよくなるんですよ。 2) お金は少し(多い→   )めに持っていった方がいいわ。もし(足りない→     )なったりしたら、(惨めだ→     )目にあうから。 (^^)前課の解答(^^) 1) 向け(~を対象にした)/向き(~にふさわしい)/思えない 2) に/作られた(非情の受身文)/ほど(→文型392) -------------------------------------------------------------------------------- 412 ~めく 名詞     :    ×       +  めく 形容詞の語幹 :<イ形ー[い]>/<ナ形ー [な]> 擬音語・擬態語:語基(きらきら→きら) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 良子:梅のつぼみがほころんで、急に春めいてきたわね。寒い冬がようやく終わりを告げようとしているわ。 李 :散歩のとき見かけた田んぼで、おたまじゃくしが、うじゃうじゃと、うごめいていたよ。 良子:やはり田舎はいいわねえ。都会では味わえない季節感があるわ。あっ、一句ひらめいた。 ♯ 解説 ♭  接尾語「~めく」は名詞・形容詞の語幹、擬音語や擬態語の語基について、前にくる語の要素がはっきりと表面に現れた様子を表す自動詞を作ります。「春めく・色めく・冗談めく・皮肉めく・他人めく・老人めく/古めく・あだめく/きらめく・ざわめく・うごめく・なまめく・はためく・ひらめく…」などですが、ある程度つく語は限られています。また、「~めく」は擬音語・擬態語について、「ひらひら→ひらめく/ざわざわ→ざわめく…」などのように多くの自動詞を作りますが、これは「ひらひらする/ざわざわする」と同じ意味を表します。これらはつく語も限られているので、語彙として覚えた方がいいでしょう。 § 例文 § 1.きらめく太陽に青い海、考えだけでも胸がときめくわ。 2.彼の言葉は、僕にはどこか皮肉めいて聞こえた。 3.俺たちは十年来の友人じゃないか、そんな他人めいた言い方はするなよ。 4.みんなが真剣に討論しているときに、冷やかしめいたことは言うもんじゃない。 5.その男は謎めいた薄笑いを浮かべて、部屋を出ていった。 ★ 例題 ★ 1) いい年(を/に)して、いつまでたっ(たら/ても)、子供(らしい/めいた)考え方が抜けない奴だ。 2) (古い→   )めいた寺の一角に、いわく(ある→    )げな文字が(刻んた→     )石碑がぽつんと建っていた。 (^^)前課の解答(^^) 1) とると(~と→文型203)/柔らか/薄 2) 多/足りなく(「Vない→~Vなくなる」)/惨めな(ナ形) -------------------------------------------------------------------------------- 413 ~める/~まる イ形容詞の語幹:ー[い]  +    める                  まる (注:例外として「温かい→温める・温まる/暖かい→暖める・暖まる」の例もあ る) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :体も温まったから、そろそろ出ようか。しかし、温泉に入るのは何年ぶりのことだろう。 良子:小平は温水プールと勘違いしているみたいね。浮き輪を持ってくるんだったわ。 李 :今日は冷たいビールでもキューっと飲んで、山菜の味でもゆっくり楽しもうよ。 ♯ 解説 ♭  接尾語「~める/~まる」は「強い・弱い・高い・低い・広い・早い・ゆるい・まるい・薄い・温かい…」などの形状形容詞について、形容詞を動詞に変える働きをします。その際、「~める」は形容詞を他動詞に、「~まる」は形容詞を自動詞に変えます。これらの中で、「温(暖)かい」だけは例外として「温(暖)める/温(暖)まる」の形になりますから注意してください。→例題1)2)  予定を一日早くする →早める  予定が一日早くなる →早まる  なお、「~める」について言えば、上記の形容詞の他にも「苦しい→苦しめる/卑しい→卑しめる/痛い→痛める」などの他動詞を作りますが、これに対応する「~まる」の形はありません。 § 例文 § 1.日本で仏教が広く民肖伍gに広まったのは、鎌倉時代のことだ。 2.庶民の間に仏教を広めた功労者は、何と言っても親鸞(浄土真宗)や日蓮(日蓮宗)であった。 3.風も弱まってきたし、そろそろ出航しようか。 4.もっと火を弱めてちょうだい。時間をかけてじっくり煮込むのが、おいしいカレーを作る秘訣よ。 5.無理を言って、そんなに僕を苦しめないでくれ。 ★ 例題 ★ 1) わが国はアジア諸国との連携を(強め/強まり)、経済共同体構想の実現を(早める/早まる)(べき/はず)である。 2) 日中は二千年来の旧交( )(温かい→   )め、更に一層の親交( )(深い→  )めるために、乾杯! (^^)前課の解答(^^) 1) を/ても(条件の逆説)/めいた 2) 古/あり(~げ→文型076)/刻まれた(~を刻む→受身文) -------------------------------------------------------------------------------- 414 ~もあろうに/~でもあるまいに 名詞 :  ×  +  もあろうに     ・             でもなかろうに   ・             でもあるまいに             でもないだろうに -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 山田:お客さんを怒らせたんだって?みんなで検討すれば、もっと賢いやり方がなかったわけでもあるまいに。 李 :自分で何とかしようとして、かえって話しをこじらせてしまった。迷惑をかけて申し訳ない。 佐藤:一声かけるだけ時間がなかったわけでもあるまいに、水臭いぞ。三人寄れば文殊の知恵って言うだろ。 ♯ 解説 ♭  ここで取り上げたのは逆説の接続助詞「に」の用法です。この「~に」は「~のに」に相当し、非難・不満・後悔・残念といった感情を強く打ち出します。  「名詞+もあろうに」は、前にくる語が慣用的に決まっていて、「人・時・場所・ところ・折り・こと」などです。  否定の時は「名詞+でもなかろうに/でもあるまいに」となりますが、これはいろんな名詞と結びつきます。なお、現代口語では「~ではないだろうに」の形の方が多く使われるでしょう。  「~(よ)う/~まい」と接続助詞「に」の結びついた文型は、文型444の項目で別に取り上げています。 § 例文 § 1.折りもあろうに、葬式の真っ最中に故人の悪口を言うとは。 2.場所もあろうに、こんな人通りの多いところで、会社のシークレットに触れるような話をするなよ。 3.こともあろうに、出国間際になって、パスポートが盗まれていることに気がついた。 4.「人もあろうに、彼女、どうしてあんなきざったらしい男に惚れたんだろうね」「蓼食う虫も好き好きさ」 5.自分のことでもなかろうに、いちいち口を出すな。 ★ 例題 ★ 1) こと(もあろうに/でもあるまいに)、週末に残業を(しては/させられては)(しかたがない/かなわない)よ。 2) 女・子供でも(ない→     )に、人前( )大声を(出す→    )泣いたりするなよ。 (^^)前課の解答(^^) 1) 強め/早める/べき(~べきだ→文型382/~はずだ→文型367) 2) を/温(暖かい→暖める)/を/深 -------------------------------------------------------------------------------- 415 ~もさることながら 名詞 : ×  +  もさることながら -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 課長:長い人生では仕事もさることながら、適当な気分転換も必要だよ。人生は長距離レースそのものだからね。 山田:息抜きをするにせよ、一事が万事金の世の中、先立つものがなければ・・・。 李 :費用もさることながら、休みが取れないのが悩みの種です。この年末、課長、よろしくお願いいたします。 ♯ 解説 ♭  連体詞「さる(然る)」には「ある/某」の意味(例:さる人/さる場所/さる事情)のほかに、「そのような/それにふさわしい」という意味があります。この「AもさることながらB」は「Aはもちろんそうですが、でも、Bの方がもっと大切ではないでしょうか」という婉曲な表現になります。相手が目上の人だったりして、相手の考え(A)を直接否定するのがはばかられるとき、使われることが多いでしょう。これは「Aよりも、(むしろ)Bの方がいい」(→文型074)を使って表すこともできますが、語感はずいぶん違います。   お金よりも命の方が大切です。<直接的&断定>   お金もさることながら、命はもっと大切ではないでしょうか。<間接的&婉曲> § 例文 § 1.進学問題は親の希望もさることながら、本人の気持ちが先ず大切ではないでしょうか。 2.日本料理は盛りつけの美しさもさることながら、素材を生かした淡白な味に特色がある。 3.商いの成否は料金もさることながら、サービス如何で決まる。 4.勉強もさることながら、体をこわしては元も子もない。 5.女優というのは演技力もさることながら、何か人を引きつける華がなければ大成しない。 ★ 例題 ★ 1) 才能も(さておいて/さることながら)、チャンス(が/に)(恵まれれば/恵まれなければ)、成功は望めない。 2) 彼の日本語力もさること( )( )( )、まだAさん( )は遠く及ばないと(言う→   )ざるを得ない。 (^^)前課の解答(^^) 1) もあろうに/させられては(使役の受身文)/かなわない 2) あるまい(「なかろう」も可)/で/出して -------------------------------------------------------------------------------- 416 ~もそこそこに/~そこそこ 名詞 : ×  +  もそこそこに    ・            もそこそこにする  ・ 数詞 : ×  +  そこそこ      ・ -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 佐藤:無理が祟ったらしく、父が入院したんだ。 山田:それは心配だねえ。仕事は適当に切り上げて、今日は早く帰ったらどう。 佐藤:うん、悪いけど、そうさせてもらうよ。 李 :山田、佐藤はどうしたの?あいつ、挨拶もそこそこに部屋を出ていったけど。 ♯ 解説 ♭  「そこそこ」には副詞の用法と接尾語の用法があります。副詞「そこそこ」は「慌てて~/いい加減に~」という意味を表す語で、「名詞+もそこそこに」は、例文1、2のように、「(何かを急いでいて)~も十分しないで~する」ことを表す文型になります。また、例文3のように「~もそこそこにする/~もそこそこにしなさい」などの形で、「~適度を守れ」と言う意味を表したりします。この場合、「~もほどほどにする/~もほどほどにしなさい」を使っても同じ意味が表せます。  数詞につくときは、例文4、5のように、「多くても~かそこら」の数量だという語感を持つ接尾語になります。「二十歳かそこら」と「二十歳そこそこ」はどちらも「二十歳前後」という意味ですが、「~そこそこ」には「せいぜい(多く見ても)」という意味があるので、「~かそこら」(→文型032)よりも軽視の感情が強く現れます。 § 例文 § 1.住民への説明もそこそこに、ゴミ処理場の建設が始められた。 2.朝御飯もそこそこに会社へと向かうサラリーマンの姿は、どこか働き蜂に似ている。 3.そこの若いの、さっきから見ていたが、悪ふざけもそこそこにしないか。でないと、俺が黙っていないぞ。 4.二十歳そこそこの若造に、なめられてたまるか! 5.議員が三十人そこそこの少数政党に何ができようか。 ★ 例題 ★ 1) 二十万円(そこそこ/ぐらい)の給料じゃ食う(の/こと)が精一杯で、マイホーム(ところ/どころ)じゃないよ。 2) 彼は終業のベルが(鳴る→   )が早いか、後かたづけ( )そこそこに会社( )飛び出した。 (^^)前課の解答(^^) 1) さることながら/に(基摺袱恕梗骸。校瘣{まれなければ 2) ながら/に(→文型338)/言わ(~ざるを得ない→文型106) -------------------------------------------------------------------------------- 417 *~ものか/*~ものですか 動詞・形容詞:原形/ない形  +  ものか                   もんか<口>                   ものですか                   もんですか<口> -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 良子:小平ときたら学校じゃ落ちこぼれだし、教室じゃお客さんもいいとこよ。それで塾に行くように言ったら、「学校の勉強なんかしたって役にたつもんか」だって。 李 :何かやりたいことがほかにあるなら、話は別だが。 良子:あるもんですか!屁理屈をこねるぐらいしか能がない子よ。わが子ながら、情けないったらありゃしない。 ♯ 解説 ♭  「~ものか」は形式名詞「もの」が作る慣用文型で、動詞・形容詞の「原形/ない形」について、相手の考えや意見を否定し、強く「絶対~ない」と反発する反語表現になります。話し言葉として「~もんか」、丁寧体として「~ものですか/~もんですか」があります。  同じような反語表現に「~だろうか」(→文型161)がありますが、それと比較したとき、この「~ものか」はかなり強い反発・拒否・拒絶の感情や意志が表れる表現で、「決して~ない/絶対~ない」という断定より、はるかに激しい口調になります。   彼なんかにわかるものか。 ≒ 絶対わからない。   彼なんかにわかるだろうか。≒ たぶんわからないだろう。 § 例文 § 1.持って生まれた性格が、そう簡単に変わるものか。 2.あてになるものですか、あんな男の言うことが。 3.この悔しさを忘れるものか。今度の試合では必ず勝ってみせる。 4.あなたなんかに、私の気持ちがわかってたまるもんですか。 5.やさしくて親切?あの男が?どこがやさしいもんか、外面がいいだけだよ。 ★ 例題 ★ 1) (知る/知らない)ものか。知っている(わりに/くせに)、(わざと/わざわざ)とぼけているんだよ。 2) 恩を仇で返す(ようだ→    )真似を(する→    )て、黙って(いる→      )ものか。 (^^)前課の解答(^^) 1) そこそこ/の(名詞句・行為→文型354)/どころ(→文型230) 2) 鳴る(→文型046)/も/を(<移動地>を」) -------------------------------------------------------------------------------- 418 ~ものか/~たらいいものか/~ばいいものか 動詞:た形      +  ものか               らいいものか 動詞:仮定形/て形  +  いいものか (注:口語として「~ものか→もんか」、女性口語として「~ものかしら」、男性 口語として「~ものかなあ」なども使われる) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :小平のことだが、どうしたらいいものか。 良子:塾に行かせたものか、家庭教師をつけたものか、どちらにしても今のままじゃ、どうしようもないわ。 李 :かといって、首に縄をつけても塾に行かせるってわけにもいかないだろ? 良子:あ~あ、どうすればいいものかしら。頭が痛いわ。 ♯ 解説 ♭  この「~ものか」は例文1~4のように「~したものか」や「~たらいいものか/~ばいいものか」の形で、主に方法がわからず「どうしたらいいだろうか」と自問する表現を作ります。例文5のように疑問の「~のだろうか」と同じ意味を表すこともありますが、どちらの意味かは文脈から理解するしかないでしょう。この「~ものか」の話し言葉として、男は「~もんか」、女は「~ものかしら」などが使われます。   彼はどうしたものか、最近学校に来ないねえ。<自問>   卒業後どうしたものか、悩んでいるんです。 <疑問> § 例文 § 1.妻の誕生日に何を贈ったものか、う~ん、困ったなあ。 2.癌だということをはっきり父に話していいものか、決め兼ねています。 3.「卒論のテーマ、決まったの?」「いま何にしたもんかって迷っているんだ」 4.定年退職後はどうしたらいいものかと、色々悩んでいる。 5.彼はもう卒業したものか、最近、学内で姿を見ないね。 ★ 例題 ★ 1) この仕事、みんな(嫌で/嫌がって)(やりたくない/やりたがらない)し、かといって自分も(したくない/したがらない)し、どうしたものか。 2) 国に(帰る→    )か帰るまいか、どう(する→   )ものか、結論を(出す→   )兼ねている。 (^^)前課の解答(^^) 1) 知らない/くせに(→文型070/~わりに→文型315)/わざと 2) ような/され(受身文:~が~に~をされる)/いられる -------------------------------------------------------------------------------- 419 *~ものがある 動詞・形容詞:原形<ナ形ーな>  +  ものがある        ない形          もんがある<口> (注:連体形接続なので「~べき+」「~如き+」などの形もある) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 山田:仕事が暗礁に仱晟悉菠郡趣⑽摇─握n長への信頼感には大きいものがあります。 課長:君達の協力がなければ、僕一人じゃ何もできないよ。 山田:何をおっしゃいますか。課長こそ頼みの綱です。 百恵:よくもあんな心にもないお世辞が言えたもんだわ。 李 :彼のごますりには、才能とも呼ぶべきものがあるね。 ♯ 解説 ♭  「~ものがある」は「~には~がある」文型と「もの」が結合して作られています。   この国で採れる果物には、バナナやパイナップルなどがある。<物の種類>   彼には学識(教養・地位・誇り・経験・夢・・)がある。  <人の属性>   規則には例外がある。例外には理由がある。        <ことの属性>  この「AにはBものがある」もAの内にある中身・内容・部分などの属性Bを表す表現ですが、「AはとてもBという要素を備えている」という意味を表し、それが客観的・普遍的事実だという強調の語感や感嘆の気持ちが現れます。 § 例文 § 1.物事には順序というものがある。 2.彼には異性ばかりか、同性をも引きつけるものがある。 3.女心というものは、どうも俺たち男にはわからないものがある。 4.他社が新製品の開発を進めているなどという話を聞くと、内心穏やかならぬものがありますね。 5.彼女のアニメ作品には、いつも胸を打たれるものがある。 ★ 例題 ★ 1) 人の生涯は川面(に/で)浮かぶあぶくのように、生まれ(て/ては)消え、消え(て/ては)生まれ、何か悲しい(もの/こと/ところ)がある。 2) 天才(と言う→      )人の行動( )は、私たち凡人が(理解する→     )難いものがある。 (^^)前課の解答(^^) 1) 嫌がって(第三者の感情・希望)/やりたがらない/したくない 2) 帰ろう(→文型436)/した/出し(~兼ねる→文型044) -------------------------------------------------------------------------------- 420 *~ものだ ・/*~ものではない 動詞・形容詞:原形・ない形  +  ものだ       ・                   もんだ<口>                   ものではない    ・                   もんじゃない<口> -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :昨日、学校から呼び出しをくらってね。「こんな成績じゃ、お宅のお子さんが入れる高校はありませんよ」って言われちゃったよ。息子の将来が心配だ。 佐藤:取り越し苦労はするもんじゃないよ。心配し出すと、きりがないものだ。それに、いくら心配したって、所詮、なるようにしかならないものさ。 ♯ 解説 ♭  ここで取り上げた「~ものだ」は動詞・形容詞の原形や否定形(「ない」形)と結びついて、断定を表す場合と、「~べきだ」(→文型382)という義務・当然を表す場合があります。両者に共通しているのは、普遍的事柄や社会常識からの判断した一般論を述べることです。  人間は死ぬものだ。  <普遍事実>  学生は勉強するものだ。<義務・当然>  否定の形は「~ないものだ」と「~ものではない」の二種類があります。「~ないものだ」は「~ないのが当然だ」という一般論ですが、「~ものではない」は「~べきではない」(→文型384)と禁止の意味を表す場合が多いでしょう。   弱い者いじめはしないものだ。  ≒~しないのが当然/常識だ   弱い者いじめはするものではない。≒~してはいけない § 例文 § 1.人間というものは、外見だけではわからないものだ。 2.最初は誰でも難しく感じるものさ。ものは試し、先ずやってみたらどうだい? 3.「芸は身を助ける」と言うが、何かの時にその特技が役立つことがあるものだ。 4.慣れないことはするもんじゃない(⇔べきじゃない)なあ。 5.陰口は言うものではない(⇔べきではない)。もし言いたいことがあれば、直接、本人に言うものだ(⇔べきだ)。 ★ 例題 ★ 1) 自分の後始末は自分でつける(もんだ/わけだ)。人にしてもらおうなんて考える(もんじゃない/わけじゃない)。 2) 他人という( )( )は、いつも自分の思った通り( )動いてくれる(ものだ→      )んだよ。 (^^)前課の解答(^^) 1) に(状態の出現地)/ては(反復→文型188)/ては/もの 2) と言われる(受身文)/に/理解し(~難い→文型034) -------------------------------------------------------------------------------- 421 *~ものだ ・ 動詞・形容詞:普通形<ナ形ーな>  +  ものだ                      もんだ<口> -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 山田:いやあ、呆れたもんだねえ。あの新入社員、前の彼女と別れるが早いか、もう次の彼女を連れてたぜ。 百恵:彼女だって似たようなものよ。いそいそと誰かに電話してたわよ。あれって、デイトの約束ね。 山田:最近の新人類にゃついていけないよ。よくあんなにケロッとしていられるもんだ。 ♯ 解説 ♭  この「~ものだ」は「さすがに~だ!/予想通り~だ!」という驚きや感嘆・詠嘆を表す「~ものだ」で、それまで知らなかった真相を発見したり、誰でもそう思うのが当然の客観事実ながら、改めて再確認したりしたとき発する場合に使われます。感嘆の対象は多くの人が共有できる普遍事実や真理です。  問題なのは 感嘆表現の「~こと(か)/~ことだろう」(→文型079)との違いですが、これは個別の事態に対して、その場そのときの個人の気持ちを述べるもので、「~ものだ」とは使う場面が異なります。→例題1)<発見、客観事実の再確認>   赤ちゃんって可愛いもの(×こと)だねえ。   初めて見ましたが、雪景色の富士山って、美しいもの(×こと)ですねえ。<その場、その時の個別的気持ち>   この赤ちゃんの可愛いこと(×もの)、まるでお人形さんみたい。   どんなにあなたのことを心配したこと(×もの)だろう。 § 例文 § 1.あの部長の石頭にも困ったもんだねえ。 2.「光陰矢の如し」と言うが、月日の経つのは早いものだなあ。 3.いやあ、元気なもんだねえ、九十歳なのに歩いて富士山に登るとは。 4.人間ってわからないものだ。あんな泣き虫が、今や大臣とはねえ。 5.よくもそんな嘘が言えたもんだな。俺が知らないとでも思っていたのか。 ★ 例題 ★ 1) 噂(には/によると)(聞いた/聞いていた)が、万里の長城って実に壮大な(こと/もの)だねえ。 2) てっきり遭難した( )と思っていたが、よくあの吹雪の雪山( )( )(生還できる→     )ものだ。 (^^)前課の解答(^^) 1) もんだ/もんじゃない(「わけだ・わけではない」→文型225) 2) もの/に/ものではない -------------------------------------------------------------------------------- 422 *~ものだ ・/~ものだった 動詞・形容詞:た形  +  ものだ               もんだ<口>               ものだった               もんだった<口> -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 課長:贅沢な時代だ。僕が子供の頃は、鉛筆一本粗末にしても、親に叱られたものだった。 李 :ほんの十年前の中国でも、靴下に穴があいたら、つぎ当てして履いたものですが、今では使い捨てです。 山田:いずれ石油も使い尽くし、天然資源も枯れ、この文明にも終わりが来るんでしょうね。 ♯ 解説 ♭  「~た─猡韦馈梗ǹ谡Z形は「~た─猡螭馈梗─稀⒗模薄搐韦瑜Δ恕ⅳ郅趣螭嗓螆龊悉线^去を回想する表現となります。もし「~た─猡韦坤盲俊工仁工盲郡趣稀⒓趣诉^ぎ去りもう戻ってこないという詠嘆を込めた表現になります。なお、「~た─长趣ⅳ搿梗ā男
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 楼主| 发表于 2004-11-29 15:42:40 | 显示全部楼层
426 *~ものを 動詞・形容詞:普通形<ナ形ーな/である> + ものを                        もんを<口> (注:ほとんどの用例は「~ば~ものを」「~ても~ものを」となる) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :また王に逃げられた。もう少しで詰むとこだったものを、くやし~っ。今度も持ち駒切れだ。 良子:岡目八目だけど、いい手があったのよ。一言言ってくれれば、こっそり教えてあげたものを。 李 :そうと知ってりゃ、頼んだもんを。 山田:はっは、後の祭りだ。へぼ将棋もいいとこだね。 ♯ 解説 ♭  「~ものを」(口語形として「~もんを」)は常に「~ば/~ても」と呼応して、「~ば~ものを」「~ても~ものを」の形で使われます。接続助詞としても終助詞としても使われますが、「~のに」と置き換えることができる逆説表現です。この文型は実際には行われなかったことを前件で取り上げて、相手に対する不満・非難・残念・恨みといった感情を強く打ち出すのが特徴です。  例えば、下の例は「~ものを」も「~のに」使えますが、「~ものを」を使うと相手に対する不満や非難の感情が強く現れ、「~のに」を使うと自分自身の残念な感情が表れるでしょう。   努力すれば合格できたものを(・のに)。   知らないことは聞けばいいものを(・のに)。 § 例文 § 1.知っているのであれば、教えてくれてもいいものを。 2.日頃から復習していれば、試験前に慌てずに済むものを。 3.嫌なら嫌だと言えばいいものを、あいまいな返事をするから、こんな始末になるんだよ。 4.隠してもいずれはばれるものを、隠そうとするから、よけいに嘘が透けて見える。 5.連絡してくれれば迎えに行ったものを、ちょっと水臭いじゃないか。 ★ 例題 ★ 1) (謝って/謝れば)済む(ものの/ものを)、下手に弁解する(から/ので)、かえって立場を苦しくするんだ。 2) 会社に(命じた→     )通りに(する→   )いいものを、反対して首に(した→     )。 (^^)前課の解答(^^) 1) ものの(~ものを→文型426)/いなかったら/ところ(→文型231) 2) ない(婉曲・二重否定)/に(~が~にかわる)/の(→文型354) -------------------------------------------------------------------------------- 427 *~も~ば、~も~/~も~なら、~も~ 名詞:も + 名詞・ナ形容詞の語幹:なら  + 名詞:も ~        動詞・イ形容詞   :仮定形 (注:ここから「~も~なければ、~も~ない」の形も生まれる。) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 良子:今回は大連にも天津にも行けなかったわね。 李 :仕方がないよ。お金もなければ暇もないのが僕たちサラリーマンの実態さ。またいずれ来る機会もあるさ。 小平:僕、北京が大好きだよ。思い切ってこちらの学校に転校しようかなあ。お婆ちゃんちから通えばいいし。 李 :おいおい、それ、本気かい? ♯ 解説 ♭  この文型は並立・併存を表す文型で、意味上は「~も~し、~も~」(→文型107)と変わりません。ただし、「~も~ば~も~/~もなければ~も~ない」は口語としても書面語としても使われますが、「~も~し、~も~」は専ら口語に使われます。   頭もよければ、スポーツもできる。=頭もいいし、スポーツもできる。   金もなければ、暇もない。    =金もないし、暇もない。  なお、例文3のように「AもAなら、BもB」の形は同じ名詞A、Bを重ねて、「Aもよくないし、Bもよくない。どちらもどっちだ」と非難の気持ちを表す文型も作ります。→例題1) § 例文 § 1.人間は長所もあれば短所もあるものだ。 2.あれも嫌ならこれも嫌、一体何がしたいのかはっきりしろ? 3.君も君なら、彼も彼だ。こんな小さなことで、むきになって言い争うことはないじゃないか。 4.僕は金もなければ才能もない平凡な男だけど、君を愛する気持ちだけは誰にも負けない。 5.名前も言わなければ住所も告げず、私を助けてくれた彼は立ち去った。 ★ 例題 ★ 1) こんな非常識(の/×)極まりないことを、する方も(する/した)方なら、(する/させる)方もさせる方だ。 2) 彼は酒( )(飲む→     )なければ、タバコ( )(吸う→ )堅物だ。 (^^)前課の解答(^^) 1) 謝れば/ものを/から(強調「~から~んだ」) 2) 命じられた(受身文)/すれば(→文型154)/された(受身文) -------------------------------------------------------------------------------- 428 ~や否や/~や 動詞: 原形  + や否や           や -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :小平もよほど疲れていたとみえ、横になるや否や寝息を立てはじめたよ。 良子:今朝早く中国から帰って、その足ですぐ学校へ行ったんだから無理もないわ。 李 :日本に戻るや、また学校学校の毎日か。何だか、かわいそうになるよ。おっと、俺も明日から会社だ。 ♯ 解説 ♭  「~や否や/~や」は「~すると、すぐ~」を表す文型で、今日では話し言葉として使われることは少ないでしょう。この文型は既に起こったことを取り上げますから、習慣的なことを取り上げるのでなければ、文末は完了形(た形)になります。   彼は(毎日)家に帰るや否やパソコンに向かう。<習慣>   彼は家に帰るや否やパソコンに向かった。   <既定事実>  同時発生を表す文型としては、動詞の原形と結びつく「~が早いか」(→文型046)、「~そばから」(→文型127)、「~か~ないうちに」(→文型042)、「~なり」(→文型280)や、動詞の完了形(「た」形)と結びつく「~とたんに」(→文型148)などがありますから、各項を参照してください。 § 例文 § 1.彼女は私の顔を見るや否や、涙を浮かべて駆け寄った。 2.彼は母危篤の報を受けるや、一目散に家に駆け戻った。 3.彼女が壇上に立つや否や、会場も割れんばかりの拍手が沸き上がった。 4.彼は事務所に帰るや否や、堰を切ったように株価市場の異変を同僚に語りはじめた。 5.彼はその杯に口をつけるや、血を吐いて倒れ、もがき苦しみ出した。 ★ 例題 ★ 1) 首相を(仱盲浚瘉せた)車が官邸に到着する(や否や/とたんに)、報道陣はマイク(を/に)片手に駆け寄った。 2) その飛行機は(飛び立つ→      )とたんに、激しい爆音( )ともに(炎上する→      )。 (^^)前課の解答(^^) 1) ×(→文型069)/する/させる 2) も/飲ま/も/吸わ -------------------------------------------------------------------------------- 429 ~やむ/~終わる/~終える 動詞:[ます]形 +  やむ     ・             終わる   ・             終える -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :外が完全に暗くなったらしくて、ようやく蝉が鳴きやんだね。 良子:何年も土の中で過ごして、地上に出ると数日で一生を終えるなんて、はかないわね。 李 :日本人って何でも無常観に結びつけるけど、僕はうるさくてたまらなかったよ。 ♯ 解説 ♭  「~終わる/~終える」は他動詞について「飲み終わる/飲み終える」のように動作の終了を表しますが、自動詞「~終わる」は現象面を、他動詞「~終える」は「終了させる」という人の意志動作を強調した表現になります。   宿題をし終える(×し終わる)のに、2時間もかかった。<動作面を強調>   宿題をし終えた(○し終わった)ので、遊びに出掛けた。<どちらの解釈も可>  しかし「降る・鳴る・吹く・鳴く…」などの自然現象や、「泣く・笑う・怒る・吐く…」などの感情や生理現象を表す動詞には、「~終わる/~終える」は使えません。その場合には「~やむ(止む)」が使われます。   風が吹きやんだ(×終わった)。   子供が泣き止んだ(×終わった)。 § 例文 § 1.食べ終わったら、食器洗いを頼むわよ。 2.二カ月もかかったが、やっと原稿を書き終えた。 3.二日も降り続いた雨が、やっと降りやんだ。 4.いくらあやしても、子供は泣きやまなかった。 5.除夜の鐘も鳴りやんで、いよいよ新年のスタートだ。 ★ 例題 ★ 1) 「風も吹き(終わった/やんだ)し、もう台風は通り過ぎたんじゃない(かい/だい)?」  「そのようね。でも、農作物(へ/に)の被害も相当あったみたいだし、値上がりが心配だわ」 2) この仕事を全部(やる→   )終える( )は、まだ相当時間( )要します。 (^^)前課の解答(^^) 1) 仱护浚ㄋ郑浞瘠洌颍ā蚱证耍‐ 2) 飛び立った(→文型148)/と(→文型240)/炎上した -------------------------------------------------------------------------------- 430 やむを得えず/~(の)もやむを得ぬ 名詞    :    ×      +  はやむを得ない 動詞・形容詞:普通形<ナ形ーな>  +  のもやむを得ない                      のもやむを得ぬ (注:「やむを得ず~する」のように、本来は副詞として使われる) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :エコノミーの予約が取れなくて、やむを得ずビジネスクラスになったよ。予算オーバーだけど、やむを得ないよね。ファーストクラスじゃ、無理だろうけどさ。大蔵大臣、御了解いただけますか。 良子:その分出費は痛いけど、席がゆったりしていて、食事も豪華なんでしょ?今回は奮発しましょ。 ♯ 解説 ♭  この文型は元々「不得己」と言う漢語から生まれており、「(何か自分自身では変えられない理由・事情があって)不本意だが~するしかない」という意味を表します。改まった場での会話で使われるほか、書面語としてもよく使われる表現です。なお、単独で副詞として使われる「やむを得ず~する」や、「やむを得ぬ+名詞」の形も覚えましょう。日常口語では「しかたがない」を使えばいいでしょう。   こうなったのもやむを得ない。→こうなったのもしかたがない。   やむを得ず同意した。→しかたなく同意した。 § 例文 § 1.万策尽き果て、やむを得ず倒産するに至った。 2.借金で首が回らなくなり、やむを得ずサラ金から金を借りた。 3.退っ引きならぬ事情で、やむを得ず本日の会議を欠席させていただきます。 4.誰も火中の栗を拾うものがなく、やむを得ず私がその任を引き受けた。 5.本人に反省の色が見られないのなら、退学処分もやむを得ない。 ★ 例題 ★ 1) 不況が深刻化(する/している)(からには/からと言って)、赤字国債の発行も(やむを得ず/やむを得ぬ)。 2) この大雨( )は、登頂を断念し、引き返す( )もやむを(得る→   )まい。 (^^)前課の解答(^^) 1) やんだ/かい(→文型129)/へ(「~にの」の形はない) 2) やり(V〔ます〕形+終える)/に(→文型336)/を(他V) -------------------------------------------------------------------------------- 431 *~やら~やら~/*~やら~やらだ 名詞    :    ×      +  やら ~ やら 動詞・形容詞:普通形<ナ形ー×>     やら ~ やらだ                      やら ~ やらで -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :今朝はひどい目にあった。電車が遅れるやら、雨には降られるやら、おまけに車に水までかけられるやら。 良子:ついてない時って、そんなものよ。 李 :どうも最近は何をやってもうまくいかないし、もしかして男の厄年かなあ? 良子:ふっふ、じゃ、厄払いに神社にでもお参りする? ♯ 解説 ♭  「AやらBやら」はA、Bを例示して「A、B、その他いろいろある」という意味を表す並立助詞の用法です。ほぼ同義文型に「~とか~とか」(→文型226)がありますが、これは全体の中から代表例を選ぶ点に重点があります。  これらの並列表現は名詞の時は「~や~や」に、動詞・形容詞の時は「~たり~たり」(→文型158)を使っても表せるでしょう。しかし、ほかにも同類のことが色々あることを一番強く暗示するのが「~やら~やら」です。   お茶やら花やら(⇔や)   恐いやら見たいやら(⇔たり)   泣くやら騒ぐやら (⇔たり) § 例文 § 1.日本料理と言えば、寿司やら(⇔や)天ぷらやら(⇔や)、そうした海鮮料理を思い出す人が多いでしょう。 2.物価が高いやら忙しいやらで、日本での生活は大変だ。 3.悔しいやら自分が情けないやらで涙が出てきた。 4.老人の一人暮らしというのは、寂しいやら心細いやら、はたまた健康の不安やら、言うに言われぬものがある。 5.殴るやら蹴るやら、最後にはナイフまで持ち出すやら、もう誰にも二人のけんかを止めようがなかった。 ★ 例題 ★ 1) そのとき彼は怒鳴り(始める/出す)(や/やら)周囲に当たり散らす(や/やら)、大変な(怒る/怒り)ようだった。 2) あれ( )これ( )と雑用に(追う→    )、息つく暇もありません。 (^^)前課の解答(^^) 1) している/からには(→文型056)/やむを得ぬ 2) で(理由)/の(→文型354)/得(一段V+まい→文型398) -------------------------------------------------------------------------------- 432 *~(の)やら~(の)やら 名詞    :  な       + のやら  ~ のやら 動詞・形容詞:普通形<ナ形ーな>   ものやら ~ ものやら 疑問詞   :  ×       + やら                    のことやら (注:口語形として「~んやら/~もんやら」がある) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 百恵:佐藤さん、李さんの代役で、中国からのお客さんの通訳をやるんだって?上手にできるものやら心配だわ。 山田:彼なら心配ないよ。ところで最近の課長、生彩がないねえ。いるのやらいないのやらわからないよ。 百恵:どうも奥さんとうまくいってないようよ。 山田:まさか今はやりの熟年離婚なんてことに? ♯ 解説 ♭  「~のやら~のやら/~ものやら~ものやら」は副助詞「やら」の用法で、不確かさを強調する「~か」に相当します。また、疑問詞につく場合も、より不確かさを表す「いつ か・なにか・だれか…」に相当します。→例題1)   行くのやら行かないのやら、はっきりしない。<⇔行くのか行かないのか>   何やら白いものが、川に浮かんでいる。   <⇔何か>   今度帰ってくるのは、いつのことやら。   <⇔いつのことか>  なお、上記の一番下の例文のように終助詞として使われると、「~だろうか、わからない」という詠嘆表現になります。 § 例文 § 1.雨なのやら霧なのやら、その森は深いもやに包まれていた。 2.喜んでいいのやら悲しんでいいのやら、自分でもよくわからない心境だった。 3.彼にそのことを言っていいのやら悪いのやら、今、判断がつき兼ねている。 4.無事でいるものやら死んだものやら、息子と音信不通になって、もう20年になります。 5.何のことやら、僕にはちんぷんかんぷんだよ。 ★ 例題 ★ 1) この先、何がある(とか/やら)わからない(から/のに)、いざという時、この金を使っ(てやれ/てくれ)。 2) 彼は今頃どこで( )( )している( )やら。会社を(辞める→    )きり、何の音さたもない。 (^^)前課の解答(^^) 1) 出す(→文型137)/やら/やら/怒り(~よう→文型435) 2) や/や(慣用語「あれやこれや」)/追われ(受身文) -------------------------------------------------------------------------------- 433 やれ~だの、やれ~だのと/~や~の やれ+ 引用句:× + だの、やれ+ 引用句:× + だのと やれ+ 名詞 :× + だ、やれ + 名詞 :× + だと (注:「~や~の」の形は慣用的言い回しが多い) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 百恵:昨日の通訳、大変だったんでしょう?お疲れ様。 佐藤:ありがとう。何とか大役を果たしたよ。 百恵:夕食は何にしたの?やれ天ぷらがいいだの、やれ寿司がいいだのと、外野席がうるさかったようだけど。 佐藤:あちら様、日本料理もよく御存知で、大変な日本通だったよ。それで結局、ふぐちりになったんだ。 ♯ 解説 ♭  「やれ~だ、やれ~だ(の)と」は広く相手の言葉を引用して、「~とか~とか言って」という意味を表します。ほとんどの用例は、例文1~3のように不満・怒り・我慢できないといった感情を表すもので、強意の「~とか~とか」と言えるでしょう。  なお、例文4、5のように「~や~の」の形式があって、「食うや食わずの/飲めや騒げの/一度や二度の/殴るや蹴るの」などの慣用語を作りますが、そのまま語彙として覚えた方がいいでしょう。 § 例文 § 1.やれ宿題をしろだの、やれ塾へ行けだのと、俺んちの親父はうるさくて困る。 2.やれああだ、やれこうだと、いちいち指図されたら、やってる方が嫌になる。 3.うちの妻は子供がちょっとでも具合が悪いと言うと、やれ薬だ、やれ医者だと大騒ぎする。 4.あの当時は、食うや食わずの生活だった。 5.君に注意したのは、一度や二度のことではない。 ★ 例題 ★ 1) やれ人権(です/だ)、やれ自由(です/だ)と言ってる(のに/くせに)、自国の人種差別問題も解決してない。 2) あの日は飲め( )歌えの忘年会になってね、大変な(盛り上がる→ )よう(だ→   )よ。 (^^)前課の解答(^^) 1) やら/から(理由・順接)/てくれ 2) どう(「なに」も可)/の/辞めた(~た・きり~ない→文型064) -------------------------------------------------------------------------------- 434 ~故(に) 名詞    :    ×      +  故(に) 動詞・形容詞:普通形<ナ形 ーな>     が故(に) (注:「~が故に」の方がより古い言い方)   -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :「我思う、故に我あり」なんて言うけど、日本人は自分の意見を人前であまり主張しないよねえ。 良子:中国みたいに多民族社会じゃないから、言わなくても気持ちは通じるし、むしろ言わない方がいいとされる文化風土なのよ。 李 :島国故に、それでやってこられたんじゃないのかな。 ♯ 解説 ♭  「~故に」は原因・理由を表す文語表現で、一般真理であることを強調した表現です。接続助詞としても、例文5のように接続詞としても使われます。  なお、改まった会話では「故」が「理由・特別の事情」の意味の名詞として単独で使われることがありますから、その例を挙げておきます。   故あって、この度退職することになりました。   彼が怒るのも故なきことではない。   故のない非難を受けた。 § 例文 § 1.故あって、しばらく閉店いたします。 2.子供のしたこと故、大目に見てやってください。 3.今はちょっと取り込み中故、御用件につきましては、日を改めてということにしていただけませんか。 4.もうこの歳故に、物忘れがひどくなるのもいたしかたありません。 5.これは紛れようもない事実である。故に、臭い物にふたをするのでなく、あるがままを直視すべきである。 ★ 例題 ★ 1) 人間は理性がある(が/の)故に人間なのだ。理性を(失う/失った)が最後、動物と何の変わりも(ある/ない)。 2) 当時は戦時下故、言論の自由などという( )( )は、そもそも(存在する→    )(得る→   )のです。 (^^)前課の解答(^^) 1) だ/だ/くせに(非難の時は「のに」より適切→文型070) 2) や/盛り上がり(→文型435)/だった(「あの日」は過去を指す) -------------------------------------------------------------------------------- 435 *~よう/*~ようがない/~すべがない 動詞:[ます]形 +  よう            ・            かた 動詞:[ます]形 +  ようがない/ようのない    ・ 動詞: 原形   +  すべがない -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 山田:彼はもう少し他人の意見を聞くべきだ。あれでは、アドバイスのしようがないよ。 李 :自分の能力に自信を持つのはいいけど、少しうぬぼれが過ぎてるね。どうも鼻持ちならない。 佐藤:こんなことを言ったら言い過ぎかもしてないけれど、彼の心の持ちようにも問題がありそうだね。 ♯ 解説 ♭  接尾語「~よう」は「苦しむ・悲しむ・嘆く・怒る・驚く・喜ぶ・変わる・~がる…」などの感情や状態を表す自動詞の[ます]形について、様子や状態を表します。また、「する・言う・例える・話す・直す…」など動作性の他動詞の[ます]形について、方法を表します。  問題になるのは同じ方法・手段を表す「~方」との違いですが、動作そのものは「~方」がよく、困難さや程度など内容に近づくほど「~よう」がよくなると言えます。どちらも使える「言いようが悪い」と「言いかたが悪い」を比べても、話の内容を問題にしたのが「言いよう」で、話す態度・言葉遣いを問題にしたのが「言い方」です。   料理の作り方(?作りよう)を教えて。   喩えよう(×喩え方)のない美しさ。  「すべ」は方法を表す名詞で、「~ようがない/~すべがない」はどちらも「~する方法がない」と言う意味を表します。→例題1) § 例文 § 1.その両親は事故で娘を失い、ひどい悲しみようでした。 2.彼がそのことを知ったときの驚きようは、尋常ではなかったですよ。 3.よくも解釈できるし、悪くも解釈できる。何事も、ものは取りようだよ。 4.知らないんですから、答えようがないじゃありませんか。 5.彼はただ今出掛けていて、連絡を取るすべがないんです。 ★ 例題 ★ 1) 弾薬も尽き食料も尽き(ては/ても)、もはや(戦う/戦おう)にも(戦う/戦い)(よう/方)がない。 2) この(痛い→   )(がる→   )ようは普通じゃない。すぐ医者( )連れて行った方がいい。 (^^)前課の解答(^^) 1) が/失った(~が最後→文型030)/ない 2) もの/存在し(~得る→文型017)/得なかった(過去文) -------------------------------------------------------------------------------- 436 *~(よ)うか~まいか/~(よ)うか~(よ)うか 動詞:未然形<~(よ)う> + か、~ まいか 動詞:未然形<~(よ)う> + か、~ (よ)うか 動詞:未然形<~(よ)う> + か、どうしようか -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 山田:担当者があの会社と契約しようかすまいか迷っている時に、いきなり「やめろ」なんて、課長も乱暴だなあ。 李 :課長としては、先方の会社の経営実態を見て、リスクの方が大きいと判断したみたいだよ。 山田:担当者クラスだと、つい目先のノルマに目を奪われて、大局を誤るってこともありがちだからね。 ♯ 解説 ♭  「~(よ)うか~まいか」は二者択一の表現を作ります。「~するか~ないか」が行為の選択だとすれば、この文型は意志の選択だと言えるでしょう。例文3のように第三者や相手の気持ちを推量した表現もありますが、ほとんどの用例は主語が「私」の一人称文です。注意点は、「~(よ)うか~まいか」は相手に行為の選択を迫る場合は使えないことです。→例題1)2)   行くか行かないか(×行こうか行くまいか)、早く決めなさい。  「~(よ)うか~(よ)うか」や「~(よ)うか、どうしようか」に形もよく使われるので、例文を挙げておきます。   行こうか戻ろうか、困ったなあ。   行こうかどうしようか、迷っている。 § 例文 § 1.彼に相談しようかすまいか、さてどうしたものだろう。 2.その話に仱恧Δ珌るまいか、何日も考えたんだが、結局やめることにした。 3.どうやらあなたは、この会に参加しようかするまいかと躊躇なさっているようですね。 4.おもしろそうな映画だが、見ようか見まいか、さあどうしようかなあ。 5.ほしいけど、買おうか買うまいか、悩むところだなあ。 ★ 例題 ★ 1) 国へ(帰る/帰ろう)か(帰らない/帰るまい)か、さあ、どうしたらいい(こと/もの)か。 2) 賛成(する→   )のか(する→   )のか、曖昧な言い方を(する→ )ず、態度をはっきりしろ。 (^^)前課の解答(^^) 1) ては(条件→文型188)/戦おう(→文型447)/戦い/よう 2) 痛(感情形容詞の語幹+がる)/がり/に -------------------------------------------------------------------------------- 437 ~(よ)うが/~(よ)うと/~かろうが/~かろうと 名詞  :だろう/であろう        +  と 動詞  :未然形<~(よ)う>           が イ形容詞:<ー[い]→かろう> ナ形容詞:<ー[な]→だろう/であろう> (注:動詞の「ない形」はイ形容詞と同じく「~なかろう」になる) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 良子:あなた、この小平の学校の成績を見てよ。小平ったら、野球ばかりにかまけて、この始末よ。 李 :多少成績が悪かろうと、元気でのびのび育ってくれた方いいじゃないか。 良子:あなたがそんなに甘いから、私がいくら口を酸っぱくして叱ろうと、小平は勉強しようとしないのよ。 ♯ 解説 ♭  動詞や形容詞の未然形と「が/と」が結びついた形で、「~ても、関係なく~」を表します。まず未然形の作り方を復習しましょう。動詞:行く→行こう/食べる→食べよう    する→しよう/来る→来ようイ形:美しい→美しかろうナ形:元気だ→元気だろう/元気であろう名詞:雨だ→雨だろう/雨であろう  この文型は前件と無関係を強調する逆説の「~ても」なので、次のような用例では使えません。その点、「~ても」はどんな場合でも使えます。  歩いて行っても(×行こうが)、十分で着く。 § 例文 § 1.何があろうと、決して驚いてはいけないよ。 2.人に何と言われようが、気にすることはない。 3.どんなに高かろうと、どうしても手に入れたいんだ。 4.私が誰と結婚しようが、あなたにとやかく言われる筋合いはないわ。 5.何をしようと君の自由だが、僕の邪魔だけはしないでくれ。 ★ 例題 ★ 1) どんなに時代が(変わる/変わろう)と、どんなに世界が(変わる/変わろう)と、人の心は(変えない/変わらない)。喜びに悲しみに、今日もみんな生きている。   (テレビドラマ「水戸黄門」の主題歌) 2) 僕は少しぐらい部屋( )(汚い→    )が、あまり(気になる→ )方なんだ。 (^^)前課の解答(^^) 1) 帰ろう/帰るまい/もの(自問≒~だろうか→文型418) 2) する/する/せ(→文型121) -------------------------------------------------------------------------------- 438 ~(よ)うが~まいが/~(よ)うと~まいと 名詞  :だろう/であろう       +  と~まいと 動詞  :未然形<~(よ)う>          と~(よ)うと イ形容詞:<ー[い]→かろう>        が~まいが ナ形容詞:<ー[な]→だろう/であろう>   が~(よ)うが -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :おい、あそこで若い女性が、やくざ風の男に絡まれてるぞ。二人で行って助けてやらないか。 山田:馬鹿言うなよ。命あっての物種だよ。笑われようが軽蔑されようが、「君子危うきに近寄らず」だ。 李 :あらら、あいつ薄情な男だなあ。すたこらさっさと逃げちゃったよ。逃げ足の早いこと!待ってくれ~っ。 ♯ 解説 ♭  「~(よ)うが~(よ)うが/~(よ)うが~まいが」など、これらの文型はどれも「前件(A、B )とは関係なく、後件が成立する」という意味を表します。「~(よ)うが/~(よ)うと」(→文型437)から作られた文型なので、「~ても~ても、関係なく/~ても~なくても、関係なく~」と無関係を強調します。  注意するのはAの場合もBの場合も成立することを表す「AにしろBにしろ/AにせよBにせよ」(→文型319)との違いですが、意味の違いが、用法の違いを生むことがあります。   行こうが行くまいが(・行くにせよ行かないにせよ)、参加費はもらうよ。   結婚しようとすまいと(×結婚するにせよしないにせよ)、私の自由よ。 § 例文 § 1.あんな奴、死のうが生きようが、俺の知ったことか! 2.大地震があろうがなかろうが、備えあれば憂いなしだ。 3.まあ彼はいようがいまいがあまり関係ない、いわば会社でも影の薄い存在です。 4.たとえ救出が困難であろうと危険であろうと、敵軍に包囲された自軍を見殺しにはできない。 5.ごろごろ寝ていようと、ぶらぶらしていようと、休みの日ぐらい俺の自由にさせてくれ。 ★ 例題 ★ 1) 彼はビールで(ある/あろう)が、焼酎で(ある/あろう)が、酒と名のつくもの(に/で)は目がない。 2) 人に(笑われる→    )と(嘲られる→    )と気にはしない。僕は信じる道をただ進む( )( )だ。 (^^)前課の解答(^^) 1) 変わろう/変わろう/変わらない 2) が(従属節の主語)/汚かろう/気にならない(あまり~ない) -------------------------------------------------------------------------------- 439 ~(よ)うがいとわない/~(よ)うといとわない 名詞  :だろう/であろう       +  がいとわない 動詞  :未然形<~(よ)う>         といとわない イ形容詞:<ー[い]→かろう> ナ形容詞:<ー[な]→だろう/であろう> (注:動詞の「ない形」はイ形容詞と同じく「~なかろう」になる) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :今日は母の日だし、君に喜んでもらえるなら、どんなことだろうがいとわないよ。仰せがあれば何なりと。 良子:うれしいせりふだわ。じゃ、遠慮なくお願いしようかしら?先ずトイレの掃除でしょ、それから・・・。 李 :ちょい待ち。母の日って子供がするんだったよね。 良子:舌の根も乾かぬうちに、もうこれだ。 ♯ 解説 ♭  「~(よ)うが/~(よ)うと」(→文型437)と動詞「いとう(厭う)」が結合した文型です。「いとう(厭う)」は 例文1 のように、「嫌がる/嫌だと思って避ける」という意味の動詞ですから、この「~(よ)うが厭わない」は「~てもかまわない(むしろ、喜んで~する)」という意味を表します。この文型は多少の犠牲があっても喜んでするという積極的な行為の選択を表す表現なので、困難を伴う行為でないと不自然になります。   息子のためなら、いくら金を使ってもいい(・使おうがいとわない)。   ここに座ってもかまわない(×座ろうがいとわない)よ。 § 例文 § 1.この子のためなら、どんな苦労もいとわない。 2.君のためなら、命を投げ出そうがいといはしない。 3.彼は他人からどう悪く言われようがいとわず、同僚を蹴落しても自己の出世をはかる冷酷無比な男だ。 4.人から守銭奴と笑われようと、冷血動物とののしられようといとわない。この世は全て金次第だ。 5.あなたのためとあれば、いつであろうと、どこであろうといとわず馳せ参じましょう。 ★ 例題 ★ 1) もしゴッホの絵が手に(入る/入れる)のなら、(いかに/いかなる)(高い/高かろう)がいとわない。 2) 勝つ( )( )には手段を選ぶな。世間( )( )いかなる非難が(浴びせられる→     )がいとうな。 (^^)前課の解答(^^) 1) あろう/あろう/に(慣用語:~に目がない) 2) 笑われよう(受身文+)/嘲られよう/だけ(「のみ」も可) -------------------------------------------------------------------------------- 440 *~(よ)うではないか 動詞:未然形<~(よ)う>  +  ではないか                  じゃないか(口)                 ではありませんか                 じゃありませんか(口) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 部長:仕事始めに、全員で交通安全祈願に行こうじゃないか。もっとも、そのあとの方が楽しみだがね。 山田:では部長、有志でカラオケにでも行って、ぱっとやるというのは、どうでしょうか。 部長:年の初めから元気で大いに結構。「笑う門には福来る」、よし、この元気で年末までやり抜こうじゃないか。 ♯ 解説 ♭  「~(よ)うではないか」(口語体は「~(よ)うじゃないか」)は勧誘の「~ませんか」と機能上は同じですが、演説や、扇動・宣伝、不特定多数の人に提案して行動を呼びかける時などに多く用いられます。   みんな、ちょっと休みませんか。   みんな、ちょっと休もうじゃないか。  個人に対しても使えないわけではありませんが、「~(よ)うではないか」はそうするのが当然だという語感を持っていますから、「~ませんか」の方が自然です。○ 幸子さん、今夜一緒に食事でもしませんか。? 幸子さん、今夜一緒に食事でもしようじゃありませんか。 § 例文 § 1.よろしければ一緒に食事でもしようじゃありませんか。 2.両国の友好のために、乾杯しようではありませんか。 3.演奏会の開始時間も近づいていますし、そろそろ会場に入ろうじゃありませんか。 4.同志諸君、今こそ、この悪政を打ち倒すために立ち上がろうじゃないか。 5.それはいい考えだ。早速やろうじゃないか。みんな、どうだ? ★ 例題 ★ 1) せっかく奥さんが私たちのため(で/に)作って(くださった/いただいた)んだから、みんな遠慮なく(いただく/いただこう)じゃないか。 2) 人に(頼る→   )ず、自分たちの力( )(成し遂げる→      )じゃないか。 (^^)前課の解答(^^) 1) 入る(自V)/いかに(→文型007)/高かろう 2) ため(目的→文型153)/から/浴びせられよう(受身文) -------------------------------------------------------------------------------- 441 *~(よ)うとする/*~(よ)うとしたところに 動詞:未然形<~(よ)う> + とする           ・                とはしない                ともしない                とするところ/としたところ ・                とする矢先に/とした矢先に -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 山田:食事に行こうとしたところに、社長のお出ましだ。 課長:社長、みんなでそば屋にでも行こうかと思っているんですが、御一緒にいかがですか? 社長:外出しようとした矢先に先方から断りの電話が入ってね。そば屋とは渡りに船だ。僕がおごろう。 山田:こりゃしめたぞ!今日はついてる。 ♯ 解説 ♭  「~(よ)うとする」は何かの動作をしようと試みるという意味で、否定の形は「~(よ)うとはしない/~(よ)うとはしない」です。そして、「~(よ)うとするとき/~(よ)うとするところ/~(よ)うとしたところ」のように時の表現と結びついたときは、動作が始まる直前の場面を表します。   お風呂に入ろうとするところ <服を脱いで風呂に入る直前の場面>   お風呂に入るところ     <入浴準備をしているかどうか不明>  類義表現に「~(よ)うと思う」がありますが、これは頭の中だけの想念・意向で、動作の試みはしていません。→例題1)   食べようとする <ご飯を口に入れる寸前>   食べようと思う <≒食べるつもりだ> § 例文 § 1.僕が出かけようとしたら、電話がかかってきた。 2.君は僕が何かやろうとすると、いつも水を差すね。 3.彼は私が声をかけても、振り向こうともしなかった。 4.その男が現れたのは、店じまいも終わり、私が帰り支度をしようとしていたところだった。 5.政府が新景気対策を発表しようとした矢先に、その銀行の倒産は起こった。 ★ 例題 ★ 1) いい服を見つけたので、買おう(と思って/として)財布の中を(見れば/見たら)、残念な(ことは/ことには)お金が足りなかった。 2) その男は本を万引き(する→   )としたところ( )店員に見つかり、現行犯として(捕まえた→    )。 (^^)前課の解答(^^) 1) に/くださった/いただこう 2) 頼ら(→文型121)/で(方法・手段)/成し遂げよう -------------------------------------------------------------------------------- 442 *~ようなら/*~ようだったら 名詞    :    の      +  ようなら 動詞・形容詞:普通形<ナ形ーな>     ようだったら -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 山田:顔色が悪いようだけど、具合が悪いようなら早引きしたらどう? 李 :みんなが忙しくしているのに、気がとがめるよ。 山田:気兼ねすることはないよ。無理をして病気の回復が長引くようだったら、かえって困るよ。 李 :ありがとう。じゃ、そうさせてもらうよ。 ♯ 解説 ♭  様態の「~ようだ」の仮定形で、主として相手の立場や気持ちを考えた婉曲な言い方として使われます。例えば下の例ですが、上は断定的で命令的に聞こえますが、下の「~ようなら」は間に合うかどうかの判断は相手に任せているので、とても丁寧になります。   間に合わないなら、明日でもいい。   間に合わないようなら、明日でもいい。  なお、様態の「~ようだ」は自己の五感や身体感覚などから感じ取った感覚推量の世界を表しますが、詳細は資料「を参照してください。 § 例文 § 1.もし先生がおいでになるようなら、私もお供します。 2.彼に足を洗って一から出直す気があるようなら、私はいつでも彼の力になってやろう。 3.「もし彼との生活がうまくいっていないようなら、いつ戻ってきてもいいのよ」「ありがとう、お母さん」 4.調整が難航するようだったら、私が相手方に直接会って話をつけてもいいよ。 5.時間があるようなら、今日の会議に顔を出さないか? ★ 例題 ★ 1) もし彼と(会いそう/会うよう)なら、ついでに伝言を(頼んで/頼まれて)(あげない/くれない)か。 2) 彼がまだこのことを(知る→     )ようなら、君の方( )( )詳細を(伝える→    )おいてくれ。 (^^)前課の解答(^^) 1) と思って/見たら(発見:~たら~した)/ことには(→文型087) 2) しよう/を/捕まえられた(受身文) -------------------------------------------------------------------------------- 443 *~よう(に)/~ようにと 動詞:原形・ない形  +  よう(に)               ようにと               ようにとの + N -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 山田:李君、企画書ができ上がったら、持って来るようにと課長からの伝言だよ。 李 :わかった。まもなく打ち上がるから、持って行く。 山田:今日の課長、何だかおかんむりだから、機嫌を損ねないようにね。 李 :うちの課長もお天気屋で、困ったもんだ。 ♯ 解説 ♭  様態の「~ようだ」の連用形が「~ように」で、願望や要請を表す場合に使われます。「神様、どうぞ合格しますように」のように自分の願望を表すときにも使われますし、例文1のように手紙の文末でもよく使われる表現です。この「~ように」が相手に対して使われたときは、「~ようにしてください」の省略形と考えていいでしょう。→例題1)  この件は誰にも知られないようにしてください。→この件は誰にも知られないように。  なお、目的を表す「~ように」(→文型153 )や、内容を引用する「~ように」など、多くの用法を「~ようだ」は持っているので、資料「を参照してください。→例題2) § 例文 § 1.先生にはいつまでも御健勝であられますように。敬具 2.神様、どうか息子にいい花嫁が見つかりますように。 3.部長、ただ今社長から、至急来るようにとのお電話がございました。 4.旅先では決して生水は飲まないようにと父から言われた。 5.来日の際は是非とも私どもの宅にお立ち寄りくださいますよう、家族一同、首を長くしてお待ちしております。 ★ 例題 ★ 1) 先生、お仕事もお忙しいとは(思う/存じます)が、もうお若くは(ない/ございません)し、くれぐれも御無理を(しない/なされませぬ)ように。 2) 相手( )失礼にならない( )( )に、もらった手紙の返事はすぐ書く( )( )にしなさい。 (^^)前課の解答(^^) 1) 会うよう/頼まれて(受身文;あなたが私に頼まれる)/くれない 2) 知らない/から/伝えて(事前行為の「ておく」) -------------------------------------------------------------------------------- 444 ~(よ)うに/~まいに/~たろうに 動詞  :未然形<~(よ)う/~まい>   +  に      た形<ー[た]→たろう> イ形容詞:<ー[い]→かろう> ナ形容詞:<ー[な]→だろう/であろう> (注;動詞の「ない形」はイ形容詞と同じく「~なかろう」になる) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :「ありがた迷惑」だって?いくら夫婦の間でも、そんな言い方はなかろうに。 良子:衣類は小平用、あなた用、私用と分けて整理してるのよ。何もかも詰め込めばいいってもんじゃないわ。 李 :一人でさぞ忙しかろうと思って手伝ったけど、かえって、君の仕事を増やしたみたいだね。 ♯ 解説 ♭  動詞や形容詞の未然形に、「~のに」に相当する接続助詞「に」が結びついた形で、多くは「~たろうに/~ていように/~だったろうに/~かったろうに」などの形で実現しなかった事態を取り上げ、「もし~だったらよかったのに、現実はそれに反して~」という気持ちを表します。残念・失望・後悔・不満の感情が強く現れる表現です。現代口語では「~だろうに/~でしょうに」の方が多いでしょう。   お父さんが生きていたら、お喜びになったろうに(・なっただろうに)。   そんな話はこんな場所でしなくてもよかろうに(・いいだろうに)。   今更悔やんでも仕方あるまいに(・ないだろうに)。 § 例文 § 1.もう少し時間があれば、この試合に勝てたろうに。 2.君一人が悪かったわけでもあるまいに、そんなに思い詰めることはないよ。 3.両親を事故で失って、さぞ辛かろうに、その少女はけなげに喪主を務めていた。 4.何もそこまで言うことはなかろうに、彼、すっかりしょげ込んだじゃないか。 5.よりにもよってどうして私が?他にも適任者はいたろうに。 ★ 例題 ★ 1) 彼は今さっき(帰る/帰った)ところだよ。もう少し(早いと/早ければ)(会えよう/会えたろう)に。 2) ことも(ある→    )に、何( )こんな雨の日に避難訓練をしなくても(いい→    )に。 (^^)前課の解答(^^) 1) 存じます(謙譲)/ございません(丁重)/なされませぬ(尊敬) 2) に/よう(目的「~ように」→文型153)/よう(要請→文型445) -------------------------------------------------------------------------------- 445 *~ようにする/*~ようにしている 動詞:原形・ない形 + ようにする      ・             ようにしている             ようにしてください  ・             ようにしなさい (注:「動詞+やすい/にくい」などにつく例もある) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 良子:小平、食べ物の好き嫌いはしないようにしなさい。 小平:だって、まずいんだもの。 良子:味付けに工夫して、食べやすいようにしてあるわ。 李 :食わず嫌いはよくないよ。騙されたと思って、食べて御覧よ。なかなかいい味にできているよ。 小平:お父さんだって、納豆を食べないじゃないか。 ♯ 解説 ♭  「~ようにする」は動詞の原形または否定形(「ない」形)と結びつきますが、意志動詞(他動詞の多く)につくときは「~ように努力する」、可能形や無意志動詞(多くは自動詞)につくときは「~状態にする」という意味を表します。→例題1)  この文型は「~ようにしてください/~ようにしなさい」などの依頼や命令の表現を作り、「(いつも・ずっと)~てください/~なさい)」という意味を表します。「~てください」はその場その時の一回性の依頼ですが、この「~ようにしてください」は継続性の依頼となります。  (今日)この課を復習してください。  (毎日)復習するようにしてください。 § 例文 § 1.二度とこのような間違いを犯さないようにしなさい。 2.これ、壊れやすいから、慎重に取り扱うようにして。 3.何もかも一度にしようとせず、毎日少しずつ続けてやるようにすればいいんだよ。 4.この老人介護センターは、地域のお年寄りがいつでも使えるようにしています。 5.誰にも迷惑をかけないようにするからさ、ねえ、僕も連れてってよ。 ★ 例題 ★ 1) 赤ちゃんを起こさない(ために/ように)、もっとテレビの音を小さく(する/なる)(ようにして/ようになって)ね。 2) できるだけゴミは(出す→   )( )( )に、また不要品はリサイクルに出す( )( )にしましょう。 (^^)前課の解答(^^) 1) 帰った/早ければ(文末に推量は「たら」か「ば」)/会えたろう 2) あろう/も/よかろう -------------------------------------------------------------------------------- 446 *~ようになる/*~ようになっている 動詞:原形・ない形  +  ようになる     ・               ようにはならない               ようになっている  ・ (注:動詞は可能形が多い。否定形には「~なくなる」もある) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :男も育児休暇が取れることになったんだって? 真理:何を言ってんの、制度はとっくにあったのよ。最近になって育児は女の仕事という考え方が少しずつ変わってきて、それでやっと男も取れるようになったのよ。 李 :その点では中国より後れているね。でも、いずれ日本も欧米並に女性の社会参加が進むようになると思うよ。 ♯ 解説 ♭  「~ようになる」は動詞(多くは可能形)または否定形(「ない」形)と結びついて、「~ような状態に変わる」という状態変化を表します。そして、例文4、5のように「~ようになっている」と「ている形」が使われると、事物の状態や制度、構造を表します。  動詞+ようになる:歩けるようになる・たばこを吸うようになる…  イ形+くなる  :美しくなる・寒くなる…  ナ形+になる  :元気になる・きれいになる…  名詞+になる  :医者になる・春になる…  混同しやすい文型に「~ことになる」(→文型090)がありますが、「~ことになる」は結果に重点があり、「~ようになる」は変化の過程に重点があります。→例題1) § 例文 § 1.骨折も治って、松葉杖なしでも歩けるようになった。 2.腹一杯食べられるようになっただけでも幸せだと思う。 3.三年も日本にいれば習わなくても日本語は話せるようになる。 4.当店はお買い物の際、カードも御利用いただけるようになっております。<制度> 5.このパソコンは、音声を自動的に文字に変換したり、またその逆もできるようになっている。<構造> ★ 例題 ★ 1) 日本国憲法では健康で文化的な最低限度の生活が(保障する/保障される)(ことに/ように)なっているが、実際にそれができる(ことに/ように)なる日はまだ遠い。 2) 一年( )二年では、日本語が自在に(使う→    )こなせるようには(なる→      )よ。 (^^)前課の解答(^^) 1) ように(目的→文型153)/する/ようにして 2) 出さない/よう/よう -------------------------------------------------------------------------------- 447 *~(よ)うにも~できない/*~に~できない 動詞:未然形 <~(よ)う> + にも +  動詞:ない形 動詞:  原形    + に  +  動詞:ない形 (注:これらの文型はほとんど文末で可能形の否定と呼応する) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :あんなに我も我もと自説を主張していては、新機軸を打ち出そうにも打ち出せないよ。「船頭多くして船山に登る」だよ。あれじゃ、単なる意地の張り合いだね。 山田:もう止めようにも止められないよ。 李 :でも、傷口が広がらないうちに止めないと、みんな引くに引けなくなり、チームが分解しちゃうよ。 ♯ 解説 ♭  「~(よ)うにも~(でき)ない」は「~しようと試みても~(でき)ない」、「~に~(でき)ない」は何か周りの事情があってできない、「~たくても~(でき)ない」は望んでもできないと、少しずつ意味は違いますが、類義文型になります。   買おうにも買えない。 <意志>   買うに買えない。   <事情>   買いたくても買えない。<希望>  なお、「言うに言われぬ/見るに見かねて/泣くに泣けない」などは慣用表現なのでそのまま語彙として覚えましょう。 § 例文 § 1.進むに進めず、退くに退けず、まさに進退に窮した。 2.もう逃げようにも逃げられぬ「まな板の鯉」だ。 3.こんな小さなミスで全プランが頓挫するなんて、泣くに泣けない思いです。 4.この辞典が完成するまでには、言うに言われぬ苦労がありました。 5.痛くもない腹を探られたが、弁明しようにもその機会も与えられず、断腸の思いだった。 ★ 例題 ★ 1) 最近疲れが(ひどくて/ひどいから)、今朝は(起きる/起きたい)に(起きなかった/起きられなかった)。 2) 彼の行き先が(わからない→     )、連絡を(取る→    )にも(取る→   )ようがなかった。 (^^)前課の解答(^^) 1) 保障される(受身文)/ことに(→文型090)/ように 2) や(~や~で=~かそこら)/使い(→文型167)/ならない -------------------------------------------------------------------------------- 448 ~(よ)うものなら 動詞  :未然形<~(よ)う>        +  ものなら イ形容詞:<ー[い]→かろう> ナ形容詞:<ー[な]→だろう/であろう> (注:動詞の「ない形」と結ぶ「~なかろうものなら」の形もある) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 山田:週末のレースは、何に賭けるの? 李 :競馬新聞もさることながら、僕の馬を見て決めた方がいいよ。どうだい、僕のひらめきに賭けてみないか。 山田:君のひらめきに賭けようものなら、びた一文戻って来そうもないな。 李 :僕が当てようものなら、地団駄踏んで悔しがるくせに。 ♯ 解説 ♭  「~(よ)うものなら」は動詞や形容詞の未然形を受け、「万一~ようなことがあったら、(大変な事態になる)」という意味を表す仮定文型です。後件は必ず悪い事態で、心配・恐れ・危惧・不安の感情を強調しますから、文末で「~兼ねない(→文型043)/~恐れがある(→文型020)/ぐらいでは済まない(→文型185)」などの助動詞表現と呼応することが多いでしょう。  関連表現に「(可能形・状態動詞)ものなら~たい」(文型424)という希望を強調する仮定文型がありますから、その違いをはっきり覚えておきましょう。   帰れるものなら、祖国に帰りたい。   <希望・願望>   祖国に帰ろうものなら、逮捕される。  <心配・不安・恐れ> § 例文 § 1.会社の方針に反対しようものなら、即刻首にされ兼ねない。 2.家に酒がなかろうものなら、父は母を怒鳴り散らした。 3.あんな男が首相にでもなろうものなら、国中の刑務所が政治犯でいっぱいになることだろうよ。 4.彼のところはかかあ天下で、酔っぱらってでも帰ろうものなら、家に入れてもらえないそうだ。 5.これ以上この金融危機が長引こうものなら、いくつかの銀行は倒産の憂き目にあうことになる ★ 例題 ★ 1) 少しの取り扱いミスでも(ある/あろう)(こと/もの)なら、この液体は大爆発を起こし(兼ねる/兼ねない)。 2) この会社は(厳しい→     )、一分でも(遅刻する→     )ものなら、すぐ賃金カット( )なる。 (^^)前課の解答(^^) 1) ひどく理由:文末に可能・状態表現)/起きる/起きられなかった 2) わからなくて/取ろう/取り(→文型435) -------------------------------------------------------------------------------- 449 よくしたもの(だ/で)/よく言ったもの(だ/で) よくしたもので  ~ は ~ よく言ったもので ~ は ~ 名詞: ×   +  とはよくしたもの(だ/で) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 句 : ×      とはよく言ったもの(だ/で) 百恵:李さんのところは仲がいいわねえ。おしどり夫婦とはよく言ったもので、あの二人はいつも行動が一緒ね。 真理:子供ができてから、ますます仲がよくなったみたいね。羨ましいわ。私には理想のカップルだわ。 山田:「子はかすがい」とか言うけど、結婚生活に飽きた頃に子供ができるんだから、よくしたものさ。 ♯ 解説 ♭  これらの文型は感嘆表現の一種で、「~(と)はよくしたものだ」は取り上げたことが「実に巧妙に作られている/実に撙瑜い长趣馈工趣い盲矿@嘆・感嘆・感心の表現になります。「~とはよく言ったものだ」は、主に格言や俗語を取り上げて「実に的を得た言い方だ」と感心する表現になります。 § 例文 § 1.夫婦とはよくしたもので、お互いに欠点を補いあっている組み合わせが多い。 2.よくしたもので、世が乱れたときは必ず救いの神が現れる。 3.人の一生は幸と不幸の程度差はあるが、よくしたもので、一生を通して見れば帳尻が合うようになっている。 4.「悪銭身に付かず」とはよく言ったものだ。 5.「案ずるより産むが易し」とはよく言ったもので、実際にやってみたら、すらすら行くってことが多くある。 ★ 例題 ★ 1) 「器用貧乏」とはよく(した/言った)(もの/こと)で、何(も/でも)こなせる人間は、とかく大成しない。 2) よく(する→   )ものだね。(呼ぶ→   )に(行く→    )と思っていたら、彼の方から来た。 (^^)前課の解答(^^) 1) あろう/ものなら/兼ねない(→文型043) 2) 厳しくて(理由の「~て」)/遅刻しよう/に -------------------------------------------------------------------------------- 450 *~らしい/~(っ)たらしい/~がましい 名詞 :    ×           +  らしい   ・                       らしくない 形容詞:<イ形ー[い] ><ナ形ー[な] > +  ったらしい ・ 名詞 :    ×          +  がましい  ・ -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 佐藤:あの新しく入った秘書、A君といい線いってる話だ。 山田:えっ?あのきざったらしい男と?まるでトンビに油揚げさらわれた形じゃないか。あ~あ、また失恋か。 佐藤:未練がましくしないで、きっぱり諦めなよ。 李 :いや、少しでも希望が残っているなら、最後まで諦めるな。君らしくないぞ。押しの一手だ。 ♯ 解説 ♭  接尾語「~らしい」と「~(っ)たらしい」は対照的表現になります。「~らしい」は「男・女・子ども・学生…」などの名詞について「そのもの本来の要素を十分に備えている」という意味を表します。「かわいらしい・馬鹿らしい」などの形容詞につく場合もありますが、これらは語彙として覚えた方がいいでしょう。  一方、「~(っ)たらしい」は「女ったらしい・惨めったらしい・長ったらしい・自慢たらしい・貧乏たらしい・嫌みったらしい・憎たらしい・きざったらしい・不精たらしい…」など、程度が通常を越えて嫌悪感に至ったときの表現になります。  類義表現に「~がましい」がありますが、「無理矢理強制する感じ」を表します。例えば「指図がましい・未練がましい・晴れがましい・押しつけがましい・差し出がましい…」などですが、語彙として覚えればいいでしょう。 § 例文 § 1.彼は男らしくて、実に竹を割ったような性格です。 2.馬鹿らしい!そんな話を誰が信じるというのか! 3.その少年は子供らしくて、素直な十二歳の子でした。 4.もうそれ以上言い訳がましい話しはするなよ、惨めったらしくて聞いていられない。 5.もう彼の話はしないでくれ。名前を聞くだけでも憎ったらしい。 ★ 例題 ★ 1) 「男は男(っぽく/らしく)、女は女(っぽく/らしく)」とは言われるが、なぜ人間(っぽく/らしく)しろと言わないのだろう? 2) (長い→   )ったらしいスピーチほど、(嫌がる→       )ものは(あります→       )。 (^^)前課の解答(^^) 1) 言った/もの/でも --------------------------------------------------------------------------------
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 楼主| 发表于 2004-11-30 12:02:53 | 显示全部楼层
451 ~わ/~わ~わ 名詞    :   だ       +  わ     ・ 動詞・形容詞: 普通形<ナ形 ーだ>     わ ~ わ  ・ -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :いるわいるわ、まるで芋の子を洗うようだ。これじゃ海水浴どころじゃないねえ。 良子:道路は渋滞するわ、道には迷うわ、ここまで来るだけでも一苦労だったのに、もううんざりだわ。 李 :はしゃいでいるのは小平だけだね。帰りの哕灓蚩激à毪取⒔瘠闅荬瑴缛毪盲皮毪琛 ♯ 解説 ♭  終助詞「~わ」は女性は女性用語で、語気を和らげるために使います。意味は主張・決心・驚き・詠嘆など広範囲に及びます。  ここで主に取り上げたのは、同語を反復し程度を強調する「~わ~わ」です。この文型は男女共用の口語文型で、ほとんど「~のなんのって」(→文型358)「~といったらない」(→文型219)と同じ意味を表しています。   食べるわ食べるわ、凄い食欲だ  =食べるのなんのって、凄い食欲だ  =食べると言ったらない、凄い食欲だ § 例文 § 1.飲むわ飲むわ、彼ら二人で一升瓶を二本も空にした。 2.その男を取り調べたが、出てくるわ出てくるわ、恐喝、詐欺、婦女暴行、数え切れない罪業の数々が。 3.彼ときたら、いびきはかくわ寝相は悪いわで、隣の僕は一睡もできなかった。 4.博打はするわ、けんかはするわ、手のつけられない男だ。 5.何だ、このラーメンは!スープはまずいわ麺はのびてるわ、とても食えたもんじゃない。 ★ 例題 ★ 1) (たとえ/いくら)梅雨とは言え、降る(わ/の)降る(わ/の)、この数日という(こと/もの)降り続けだ。 2) 今朝のラッシュはひどいもんで、足は(踏む→   )わ鞄をドア( )(挟む→   )わ、散々な目にあったよ。 (^^)前課の解答(^^) 1) らしく/らしく/らしく 2) 長/嫌がられる(受身文;人に嫌がられる)/ありません -------------------------------------------------------------------------------- 452 *わけ/*わけがわからない 「わけ」の名詞用法: わけ        ・            わけがわからない  ・ -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 良子:Yシャツに口紅がついてるわよ。どういうわけ? 李 :あっ、本当だ。電車の中が込み合っていたから、何かの拍子でついたのかもしれないね。 良子:じゃ、今夜に限ってお土産を買って来たわけが知りたいわ。何かやましいことがあるんじゃない? 李 :げすの勘ぐりもいいとこだ。 ♯ 解説 ♭  「わけ」という名詞は現象の内側にある因果関係・事情・経過などの内部法則を表します。ここで取り上げたのはこの実質名詞としての「わけ」の用法です。  例文1~3は「~わけ/~というわけ」などの形で用いられ、「理由・事情」に置き換えられる表現です。例文4の「わけがわからない」は意味不明、例文5の「わけ」は「道理」に置き換えられる表現です。 § 例文 § 1.彼女の失踪には、何か深いわけがありそうですね。 2.どういうわけか、最近彼は全く顔を見せなくなった。 3.わけあって詳しい事情は申し上げられないのですが、実は・・・。 4.君の話は支離滅裂で、わけがわかりません。 5.君は、わけのわからないことを言う人だねえ。もう少し常識をわきまえたらどうだね。 ★ 例題 ★ 1)「どうしてあなたが会社を辞めたのか、(わけがわからなかった/わけがなかった)んですが、(なるほど/やはり)そういう(はず/わけ)だったんですか」 2) 医者( )( )肝臓を壊していると(言う→    )ましてね。そういう( )( )で酒はやめたんです。 (^^)前課の解答(^^) 1) いくら(既定→文型143)/わ/わ/もの(→文型180) 2) 踏まれる(受身文)/に/挟まれる(受身文) -------------------------------------------------------------------------------- 453 *~わけがない 動詞・形容詞: 普通形<ナ形 ーな>  +  わけがない                       わけない <口> -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :一億円の宝くじに当たった夢を見たよ。五枚買ってるけど、今朝の朝刊に当せん番号が出てるはずだよ。 良子:そんなこと、あるわけがないでしょ。でも、どれどれ見てみるわ。万一ってこともあるから。 李 :はっは、当たるわけがないと言いながら、これだからねえ。宝くじって、抽選結果を見るまでが花なのさ。 ♯ 解説 ♭  「~わけがない」は「そうなる<道理・理由>は100%ない」と断定的に可能性を否定する表現です。ほとんどの用例が「~はずがない」を使って表せますが、「~わけがない」は何かの理由・事情を問題にしている文脈で使われることが多く、「~はずがない」は可能性そのものを問題にした文脈で使われますから、例文3のような「道理がない、不当だ」といった道義的・社会的責任を問題にする場合は「~わけがない」の方が自然です。なお、「~ないわけがない」は二重否定で、「必ず~する/だ」という断定になります。   彼にできるわけがない。 <決してできない>   彼にできないわけがない。<必ずできる> § 例文 § 1.お前が知らないわけがない。素直に白状しろ。 2.隣国の内紛だからといって、対岸の火事と決め込んでいいわけがない。 3.人の娘を傷物にしておいて、「ごめんなさい」で済まされるわけがないだろう。 4.「それ、2万円ぐらい?」「そんなに安いわけないだろ」 5.「元気でやってるかい?」「元気なわけがないだろ。女房が子供を連れて、実家に帰ってしまったんだから」 ★ 例題 ★ 1) 彼はけち(だから/なのに)、こんな寄付に協力し(てもらう/てくれる)(わけではない/わけがない)よ。 2) 患者を人体実験( )使うなんて、そんなことが(許す→    )ていい( )( )がない。 (^^)前課の解答(^^) 1) わけがわからなかった/なるほど(「やはり」は期待・予想)/わけ 2) から/言われ(受身文:~から~られる)/わけ -------------------------------------------------------------------------------- 454 *~わけだ 動詞・形容詞: 普通形<ナ形 ーな> + わけだ -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 百恵:どこかから、素敵な彼が現れないかなあ。 山田:君って、白馬に仱盲客踝訕敜虼两工欷皮い毪铯保郡扦馇啶Bの話を読んだことある? 百恵:すぐ傍らに王子様がいるといいたいわけね。 山田:そうさ、君のすぐ近くにさ。 百恵:私の目は曇っているのかしら?何も見えないわ。 ♯ 解説 ♭  「~わけだ」は因果関係や事情や過去の実態や状況などから考えて、当然の結果だという気持ちを述べるときに使われます。「~のは当然だ」とほぼ同義と考えてもいいでしょう。  例文5のように後から理由を知って、「なるほど~は当然だ」と納得する「~わけだ」の用法は「~はずだ」も使えますが、話者の受け止め方が「~わけだ」と「~はずだ」は違いますから、「~はずだ」(→文型367)を参照してください。   「彼は英語が上手ですね」   「ええ、彼はアメリカに五年住んでいたんです」   「なるほど、上手なわけですね(・はずですね)」 § 例文 § 1.そんなことを言ったら、彼が怒るわけだよ。 2.日本人の敬語は心理的な距離感に左右されているわけで、常に敬意を表しているとは限らないわけです。 3.例年ですと、この季節はスキー客でにぎわうわけですが、今年は暖冬で雪もなく、閑古鳥が鳴く始末です。 4.よく似ているわけだよ。なんとあの二人は双子だそうだ。 5.あれ?ご飯が炊けていない。なんだ!炊けていないわけだ。スイッチを入れるのを忘れてた。<納得> ★ 例題 ★ 1) 計画というのは、常にゆとりを持って立てて(おく/おかない)と、後で必ず無理(が/を)生じる(はず/わけ)です。 2) 以上述べ(てくる→    )(ようだ→    )わけで、(残念だ→ )ながら進学を断念したわけです。 (^^)前課の解答(^^) 1) だから(理由・順接)/てくれる/わけがない(→文型455) 2) に(目的→文型336)/許され(受身文)/わけ(「はず」も可) -------------------------------------------------------------------------------- 455 *~わけではない 動詞・形容詞: 普通形<ナ形 ーな> +  わけではない                      わけでもない                      わけじゃない<口> -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 山田:最近はパソコンの新機種が次々に出てきて、どれにするか目移りがするよ。 李 :普段使う分には、新機能や高性能が常に必要だというわけではないし、革命的なソフトが次々に出てるわけでもないよ。用途に応じて決めればいいんだよ。 山田:パソコン自体が何かを生み出すわけじゃないしな。 ♯ 解説 ♭  「~わけではない」は文全体の婉曲に否定するときも、文の一部を部分否定するときもあります。なお、相手の言葉や考えを引用するときは「~というわけではない」という形になります。   人間は食べるためだけに生きているわけではない。<婉曲否定>   北京は寒いが、我慢できないというわけでもない。<部分否定>   「食べたくないの?」「食べたくないというわけじゃないけど、・・・」  この「~わけではない」と完全否定の「~わけがない」(→文型453)は文脈によって使い分けが必要となりますから、注意しましょう。   こんな難しい問題が小学生にできるわけがない(×わけではない)。 § 例文 § 1.忙しいと言っても年がら年中忙しいというわけでもない。 2.金が惜しくて言うわけじゃないが、返すあてはあるのかい? 3.別に恋人というわけじゃないわ。彼とは友達としてつき合っているだけなの。 4.冷蔵庫の便利さを否定するわけではないが、物が腐らないわけではないから、過信は禁物だ。 5.君一人が悪いわけではないが、君に責任がないわけでもないだろう。 ★ 例題 ★ 1) いくら会社に尽くし(たら/ても)、死ぬ(まで/までに)面倒を見てくれる(わけだ/わけではない)よ。 2) 誰( )でも彼( )ような真似ができるって(わけだ→      )よ。彼は一種の天才なんだ。 (^^)前課の解答(^^) 1) おかない/が(自V)/わけ(当然の帰結) 2) てきた(完了)/ような/残念(逆説「~ながら」→文型270) -------------------------------------------------------------------------------- 456 *わけ(は/の)ない/*わけなく~する 慣用表現の「わけ」:わけない           わけはない           わけのない           わけなく -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :真理さんの御両親が、快く二人の結婚にOKしてくれたらしいね。おめでとう。 佐藤:こんなにわけなく、トントン拍子で進むとは思っていなかったので、ちょっと拍子抜けだったよ。 李 :彼女を粗末にしたら罰が当たるぞ。ひそかに思いを寄せてた奴が、少なくとも二人はいるんだからな。 ♯ 解説 ♭  「わけ(は/の)ない」は慣用表現で、「とても簡単だ/とても容易だ」という意味を表します。口語では「~わけがない」(→文型453)が「~わけない」のように省略形で使われることもありますので、注意しましょう。  こんな難しい問題が、小学生に出きるわけない(=わけがない)よ。  こんな問題、小学生だってわけなく(=簡単に)できるよ。 § 例文 § 1.わけない。そんなこと一日もあればすぐできちゃうよ。 2.そんなことわけないと高をくくっていると、とんでもない失敗をするぞ。 3.彼の財力をもってすれば、この会社を仱萌·毪挨椁い铯堡韦胜い长趣坤恧Α 4.この種のことは、あの弁護士に相談すればわけなく解決してくれるよ。 5.その子は大学生の高等数学問題をわけなく解いた。 ★ 例題 ★ 1) 小学生(に/で)だって(わけなく/わけではなく)できる操作なのに、君にできない(わけではない/わけがない)。 2) 君( )したら( )( )のないことでも、僕( )してみれば大変なことなんだ。 (^^)前課の解答(^^) 1) ても/まで(「~まで」か「~までに」か)/わけではない 2) に/の/わけではない -------------------------------------------------------------------------------- 457 *~わけにはいかない/~こともならず 動詞 : 原形/ない形  +  わけにはいかない                わけにはゆかない                わけにゃいかない<口>                わけにゃいかん<口> 動詞 : 原形      +  こともならず -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 課長:責任ある仕事が任せられるかどうかは、君の能力如何だよ。性別で差別するわけにゃいかない時代だよ。 百恵:でも女性に与えられているのは、男の補助的仕事ばかりです。現状をきちんと認識してほしいんです。 真理:同感です。簡単に引き下がるわけにはいきません。 課長:しばらく検討させてくれ。 ♯ 解説 ♭  「~わけにはいかない」は、何か周囲の事情があって「~することができない」という意味を表す文型になります。そして、動詞の否定形と結びついた「~わけにはいかない」の形は「~しなければならない/~ざるを得ない」と同じ義務・必然を表すようになります。この文語が「~することもならぬ/~することもならず」です。   行くわけにはいかない。  (≒行くことができない)   行かないわけにはいかない。(≒行かなければならない)  なお、この文型は個人的事情や能力が理由でできないことには使われません。   歯が痛くて食べられない(×食べるわけにはいかない)。 § 例文 § 1.社長命令とあっては、従わないわけにはいかない。 2.進むこともならず、退くこともならず、八方塞がりだ。 3.わけを聞いたからには、一肌脱がないわけにはいくまい。 4.行きたいわけではないが、上司からのゴルフの誘いなので無碍に断るわけにもいかず、困っている。 5.政府も荒廃した教育現場の現状を無視するわけにはいかなくなり、やっと重い腰を上げた。 ★ 例題 ★ 1) 重役会の決定(を/に)賛成している(わけではない/わけにはいかない)が、僕には協力しない(わけではない/わけにはいかない)事情があったんだ。 2) たとえ会社の決定で(ある→    )と、このような理不尽な命令( )従う( )( )にはいきません。 (^^)前課の解答(^^) 1) に/わけなく/わけがない(→文型453/→文型455) 2) に(→文型313)/わけ/に(→文型313) -------------------------------------------------------------------------------- 458 ~をおいてほかに~ない/~を除いて(ほかに)~ない 名詞: ×  + をおいてほかに~ない          を除いて(ほかに)~ない -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 佐藤:私をおいてほかにあなたを幸せにできる生涯の伴侶はございません。どうか末永くよろしく。 真理:おふざけでないわ。「真理さんを除いてほかに私が愛する女性はございません」とでも言い直したらどう? 李 :おいおい、お二人さん、今からもう主導権争いかい?これじゃ、先が思いやられるよ。 ♯ 解説 ♭  「~をおいてほかに~ない/~を除いて(ほかに)~ない」は「~以外に適当な(人・物・こと)はない」という意味を表す文型で、「~しか~ない(→文型108)/~よりほか~ない(→文型390)」などの文型を使って表すこともできます。それらの中で最も積極的な選択で、強い断定の語感を持っているのがこの文型です。   君しか頼れる人はいない。  →君だけしか頼れる人はいない。  →君よりほかに頼れる人はいない。  →君をおいてほかに頼れる人はいない。  →君を除いてほかに頼れる人はいない。 § 例文 § 1.同志たちよ。立ち上がるのは、今をおいてほかにない。 2.改革開放政策をおいてほかに祖国再生の道はない。 3.彼を除いてこの任務を任せられる人物はいまい。 4.これだけの大物のコンサートともなると、日本武道館を除いてほかに適当な会場はないだろう。 5.歴史を変えることができるのは、ひとり英雄の力ではなく、人民の意志をおいてほかにない。 ★ 例題 ★ 1) 彼(に/と)結婚できない(ほど/ぐらい)なら、一生独身で通した方がましよ。私には彼(において/をおいて)ほかに、結婚したい相手はいないのよ。 2) 君( )除いてほかに、こんなことが(頼む→    )人は(いた→  )んだ。 (^^)前課の解答(^^) 1) に/わけではない(→文型455)/わけにはいかない 2) あろう(未然形+と=ても→文型437)/に/わけ -------------------------------------------------------------------------------- 459 ~を顧みず/~を顧みる~もなく 名詞: ×  +  を顧みず             ・           も顧みず           を顧みることもなく           を顧みる + 名詞 + もない  ・ -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 佐藤:中国語だけじゃ食えない現実も顧みずに、会社を辞めて語学留学に行っちゃうとは、何と無茶なことを。 百恵:そんなことを顧みる余裕もなかったのよ。彼女って、思い立ったら、自分が止められないたちだから。 李 :無证妊预Δ⒋蟮à妊预Δⅳ长螭仕激で肖盲郡长趣扦毪韦狻⑷簸丹翁貥丐猡筏欷胜い汀 ♯ 解説 ♭  動詞「顧みる」から作られた文型で、「~を顧みず/~を顧みる~もなく/~を顧みない+名詞/~を顧みぬ+名詞」(「を→も」の変化もある)などの形で使われ、「~を考えないで/~を気にしないで」という意味を表します。そして、「~に(も)かまわず/~もかまわず」(文型 302)や「~をよそに」(文型 484)と類義文型になります。   親の心配も顧みず(・にもかまわず/・をよそに)遊んでばかりいる。  これらのなかで、「~をよそに」は常に良くない事態を表しますが、「~を顧みず」にはこうした制約はありません。→例題1) § 例文 § 1.自らを顧みて恥じることがなければ、何も恐れることはない。 2.過去を顧みて教訓を汲み取れぬ者には未来もまた開けない。 3.家庭を顧みることなく、彼は酒と博打に溺れていった。 4.人の考えも顧みず、自分の考えだけを押し通そうとすると必ず挫折する。 5.現代人の生活は、他人のことを顧みる暇もないほど、殺伐としたものになっている。 ★ 例題 ★ 1) 彼は身の危険(をよそに/も顧みず)、(取り残した/取り残された)子供を(救う/救わ)んがために、燃え盛る火の中に飛び込んで行った。 2) 自分の健康も家庭( )顧みず、ただ仕事( )没頭している会社人間を見ると、同情の念( )禁じ得ない。 (^^)前課の解答(^^) 1) と/ぐらい(~ぐらいなら、むしろ→文型074)/をおいて 2) を/頼める(可能形)/いなかった -------------------------------------------------------------------------------- 460 ~を限りに/~を潮に 名詞・時を表す語: ×  +  を限りに  ・                 を潮に   ・ (注:前が句の時は「~のを限りに/~のを潮に」の形になる) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 山田:あいつ、「今回を限りに、二度と遅刻いたしません」だってさ。その台詞、何度聞いたことか。 佐藤:あまり感情を表に出さない課長も、ついかっとなって、「今日を限りに辞めろ」と怒鳴ったらしいよ。 山田:これを潮に、心を入れ替えてくれるといいんだが。 李 :君にも他山の石じゃないの?おっと口が滑った! ♯ 解説 ♭  「~を限りに」は「~を最後に~をやめる」という意味を表し、善悪に関係なく使えます。一方、「~を潮に」は「~を機会に~をやめる」という意味ですが、常に良くない習慣や行為をやめるときに使われます。→例題1)  これらの文型の逆になるのが「~を皮切りに」(→文型462)や「~をきっかけに/~を契機に」(→文型463)で、何かを機会に始めるときに使われます。→例題1)  なお、「~を限りに」には「声の限り叫ぶ・声を限りに叫ぶ」のような「~の限度まで~する」という意味の用法もありますが、用例が限られていますから、ここでは取り上げていません。 § 例文 § 1.今年を限りに社長職を退き、後進に道を譲ろうと思う。 2.体力の衰えを考え、今場所を限りに相撲界を引退する。 3.今日を限りにあなたとはお別れよ。あなたもお幸せにね。じゃあね、バイバイ。 4.この入院を潮に、酒もタバコもやめるつもりだ。 5.刑事さん、私もこれを潮にやくざ渡世から足を洗います。 ★ 例題 ★ 1) 「子供が産まれたのを(潮/限り)に、麻雀仲間とのつきあいをやめたよ」「これを(潮/機)に麻雀(する/した)つもりで、その金を積み立て貯金にしたらどう?」 2) 今月( )限りに僕は会社( )退職し、心機一転、もう一度人生を(やる→   )直したいと思っている。 (^^)前課の解答(^^) 1) も顧みず/取り残された(受身文)/救わ(~んがため→文型485) 2) も/に/を(~を禁じ得ない→文型464) -------------------------------------------------------------------------------- 461 ~を兼ねて 名詞: ×  +  を兼ねて           を兼ね           を兼ねる (注:前が句の時は「~のを兼ねて」の形になる) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 部長:今度の人事異動で、君には営業第一課長と営業第二課長を兼ねてもらうことになるだろう。 課長:近々両課の顔合わせを兼ねて、軽く一杯いかがでしょう?何よりもコミュニケーションが大切ですから。 部長:「二兎を追う者、一兎をも得ず」だよ。今回は別々にやり、それから追々チーム作りといこうじゃないか。 ♯ 解説 ♭  「Aを兼ねてBする」文型はBが本来の目的ですが、それ以外にAという目的も併せ持つことを意味します。Bが主目的でAが従目的の関係になります。→例題1)  この文型は「AがてらBする」(→文型038)と置き換えられる場合がありますが、AとBの主従関係がちょうど逆になります。   墓参りを兼ねて帰郷した。(A<B)   墓参りがてら帰郷した。 (A>B)  なお、「趣味と実益を兼ねる/大は小を兼ねる/首相が外相を兼ねる」など元々の動詞の使い方もありますから、覚えておきましょう。 § 例文 § 1.情報収集も兼ねて、趣味でパソコン通信をしている。 2.出版記念も兼ねて、劉君の誕生パーティを開いた。 3.墓参りを兼ね、十年ぶりに故郷の友人たちに会いに帰った。 4.英作文の練習を兼ねて、アメリカのペンフレンドと文通をしています。まあ、一挙両得というわけです。 5.趣味と実益を兼ねて日本語の勉強をしたが、いつの間にか、通訳が本業になってしまった。 ★ 例題 ★ 1) 中国の(変わる/変わり)ようを、一目この目で確かめたいと思い、観光(を兼ねて/のために)中国に行く(ようにした/ことにした)。 2) 私は気分のリフレッシュ( )、体力の低下を防ぐ目的( )兼ねて、職場( )( )自転車通勤しています。 (^^)前課の解答(^^) 1) 潮(意味から考える)/機/した(~た・つもり→文型175) 2) を/を(<移動地>を)/やり(→文型268) -------------------------------------------------------------------------------- 462 ~を皮切りに(して)/~を皮切りとして 名詞: ×  +  を皮切りに(して)           を皮切りとして           を皮切りとする + 名詞 (注:前が句の時は「~のを皮切りに」の形になる) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 部長:東京を皮切りに、全国で新製品の展示販売会を開催する。担当者の割り付けは、後日発表する。以上。 李 :開催地がバラバラですね。札幌を皮切りにして、順繰りに南下した方が段取りがいいのになあ。 課長:どうせ言うなら、ニューヨークを皮切りに、東回りでくらい言いなさいな。君も若いのに夢がないね。 ♯ 解説 ♭  「~を皮切りに(して)/~を皮切りとして」は「~を出発点に~を始める」という意味を表します。この文型は一連かつ同類の行動の始まりを表す表現で、新しい行為の開始は表す場合は「~をきっかけに/~を契機に/~を機に」(→文型463)を使います。   彼を皮切りに(×をきっかけに)、続々と発言者が手を挙げた。<同類の行為>   腰痛になったのをきっかけに(×皮切りに)水泳を始めた。  <新しい行為>  なお、この文型の反義表現が「~を最後に」(→文型460)です。   今日を限りに本会は解散します。   今日を皮切りに本会の活動は始まります。 § 例文 § 1.彼を皮切りにのど自慢達が次々にマイクを握って歌い始めた。 2.東京公演を皮切りに、そのグループは全国各地でコンサートを開くらしい。 3.秘書の逮捕を皮切りにして、その元大臣の不正が続々と明るみにでた。 4.今日を皮切りに三日間にわたって八幡様のお祭りが行われる。 5.この青年文化交流会を皮切りとして、新しい両国の連帯を作り出そうじゃありませんか。 ★ 例題 ★ 1) A校の邉踊幔à耍牵─稀佶岍`トル競走(を皮切りに/をきっかけに)、次々に競技(を/が)繰り広げられた。 2) その会社は韓国支社設立( )皮切り( )、アジア市場( )の進出に(仱搿   。┏訾筏俊 (^^)前課の解答(^^) 1) 変わり(→文型435)/を兼ねて/ことにした(→文型089) 2) と(~と~を兼ねて)/を/まで -------------------------------------------------------------------------------- 463 *~をきっかけに/*~を契機に/~を機に 名詞: ×  +  をきっかけに(して)           ときっかけとして           を契機に(して)           を機に (注:前が句の時は「~のをきっかけに/~のを機に」等の形になる) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :来年の春から公共の場が禁煙になるとの新聞報道をきっかけに、賛否両論が巻き起こっているね。 山田:これを機に僕もたばこを止めるよ。今までも禁煙は何回もしているからね。 百恵:えっ?それって、要するに長続きしなかったってことね。「言うは易く、行うは難し」ね。 ♯ 解説 ♭  どれも「~を<機会・動機>に~する」という意味を表します。「~を契機に/~を契機にして」は新聞紙上などでよく使われる表現で、比較的大きな出来事を取り上げ、後件で新しい事態の変化が始まった起点を表すことが多いでしょう。「~をきっかけに(にして/として)/~を機に」はどちらかと言えば個人的なことを取り上げ、それが機会・動機となって何か新しい行為を始めるときに使われます。なお、「~がきっかけとなって/~が契機となって」と自動詞として使われることもありますので、例題1)で取り上げておきました。  これらの文型と「~を皮切りに」(→文型 462)は、起点を表す点では共通していますが、用法の違いがありますから、前項を参照してください。→例題1) § 例文 § 1.何をきっかけに、ジョギングを始められたのですか。 2.「これをきっかけに、今後ともよろしくおつきあいをお願いします」「こちらこそ」 3.新人賞獲得をきっかけにして、その若手小説家はめきめきと頭角を現してきた。 4.A銀行の倒産を契機にして、各地で取り付け騒ぎが起こった。 5.退職するのを機に、自分のこれまでの経験が生かせる国際交流の活動に参加したいと思っています。 ★ 例題 ★ 1) 親の離婚が(きっかけ/皮切り)と(して/なって)、その子は非行に走るように(した/なった)。 2) 討論会で意見を(戦った→      )( )を機に、二人の間( )は友情が芽生えていった。 (^^)前課の解答(^^) 1) で/を皮切りに(~をきっかけに→文型463)/が(受身文) 2) を/に/へ(「~にの」の形はない)/仱辏ā訾埂男
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 楼主| 发表于 2004-11-30 20:37:58 | 显示全部楼层
476 ~を経て 名詞: ×  + を経て          を経る -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 百恵: これほどの円安危機に直面しても平然としていられるなんて、うちの社長は本当に凄いわ。 山田:僕も社長には、一目置いているよ。戦中派には僕たちにない何かがあるなあ。 李 : 幾多の困難を経て、この会社をここまでにしたんだろうが、何より頭が低い点を尊敬するよ、僕は。 ♯ 解説 ♭  「~を経て」は経過や経由の意味を表しますが、「~を通して」(→文型470)と重なる用法もありますので、それを対照させてみましょう。   10年の歳月を経て(・を通して)、ついに司法試験に合格した。<時間>   正規の手続きを経て(・を通して)、面会を申しんでください。<過程>   幾多の困難を経て(・を通して)、今の地位を築いた。    <経験>   香港を経て(×を通して)、シンガポールに行く。      <経由地>  例えば、「~を通して」は経由地を表せないので、「香港を通して、シンガポールに行く」と使うと、「(香港の人脈)を通して」という手段・方法の意味になってしまいます。「~を経て」は主に場所や時間の時に使うといいでしょう。→例題1) § 例文 § 1.この便はシンガポールを経て、カルカッタに向かう。 2.人間は逆境に鍛えられ、幾多の試練を経てこそ強くなる。 3.現在の人類は類人猿から分かれて、何百万年という年月を経て進化してきた。 4.このチームは厳しい全国予選を経て、勝ち残った精鋭たちからなります。 5.彼は戦場で生死の境をさまようような経験を経て以来、すっかり人格が変わってしまった。 ★ 例題 ★ 1) 彼に手紙を(送って/送ると)もう3カ月を(経た/通した)のに、何の返事も(来る→    )。 2) 日本では委員会の審議( )経て国会に(提出した→     )法案は、ほとんど(可決する→     )。 (^^)前課の解答(^^) 1) が/ピーク/が(「~のに」は因果の逆説→文型359) 2) を/に/を(他V)/ように(~ようになる→文型446) -------------------------------------------------------------------------------- 477 ~を前に(して)/~に臨んで/~に面して 名詞: × + を前に(して)/を目前にして         に臨んで/に臨み/に臨む+名詞         に面して/に面し/に面する+名詞 -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 山田:連休を目前にして、大きな商談が飛び込んできたね。 李 :まさに干天の滋雨だよ。これでわが社も一息つけるよ。苦あれば楽ありとはこのことだ。 山田:これで会社がまた軌道に仱毪趣いい胜ⅰ 佐藤:大仕事を前にして、捕らぬ狸の皮算用をしてる暇なんてないよ。何はさておき、行動開始だ。 ♯ 解説 ♭  「~を前に(して)/~を目前にして」は「(場面や時)を目の前にして」という意味で、時を取り上げるときは刻々と切迫しつつある時を表し、場面を取り上げるときは眼前の現象を表します。その用例のほとんどは「~に臨む」に置き換えられますが、臨場感や時の切迫感が強く表れるのは「~を前にして」です。  なお、場所を表すときは「~に面する」も使えますが、位置を表すだけで、「海を前にした宿」のような波が眼前まで打ち寄せている光景は表せません。   海を前にした(・臨んだ宿/・面した)宿  <(前方の)場所>   試合を前にして(・に臨んで/×に面して) <こと>   別れを前にして(・に臨んで/×に面して) <とき> § 例文 § 1.父の死を前に、母は呆然とたたずむのみだった。 2.お盆を前に、日本列島は里帰りの民族大移動が始まった。 3.残念なことに、そのスキーヤーは優勝を目前にしながら、骨折で欠場を余儀なくされた。 4.彼は危機に臨んで沈着冷静、難局に臨んで動ぜず、まさに帝王の風格がある。 5.もはや賽は投げられた。この局面に臨んでは、もはや一刻の猶予も許されない。 ★ 例題 ★ 1) それほどの札束(を前にしたら/に面したら)、誰だって目の色が(変える/変わる)(もの/こと)さ。 2) 農民たちは収穫( )前に、(忙しい→     )(そうだ→     )採り入れの準備をしていた。 (^^)前課の解答(^^) 1) 送って(=~てから/「~と」は条件)/経た/来ない 2) を/提出された(受身文)/可決される(~を可決する→受身文) -------------------------------------------------------------------------------- 478 *~をめぐって/*~をめぐる 名詞: ×  +  をめぐって           をめぐり           をめぐる+名詞           をめぐっての+名詞 -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :開放政策をとる国が増えたので、新市場をめぐっての競争は苛烈をきわめていますね。 課長:途上国サイドも開発資金獲得、民族資本保護、国民所得向上、国内の所得格差是正と課題山積だよ。 李 :一方の先進国では、福祉制度をめぐって国論が真っ二つに割れる例が多いみたいですね。 ♯ 解説 ♭  「~をめぐって」は下の図のように、何かを中心にして、その周りで起こっている様々な事象を取り上げます。類義の「~に関して」(→文型304)は関連する内容を取り上げますが、「~をめぐって」は内容ではなく、周囲で発生している出来事を取り上げると考えればいいでしょう。→例題1)    図あり   更に類義語として「~にまつわる」(→文型304)がありますが「~に関して」の項で取り上げました。 § 例文 § 1.原発の賛否をめぐって、議論が白熱している。 2.消費税法案が可決されたが、その内容をめぐって与野党間には解釈の違いがある。 3.社長の後任をめぐり、社内は専務派と副社長派のふたつに割れて対立している。 4.工事入札をめぐる贈収賄事件が明るみに出た。 5.教育改革をめぐっての議論の中では、知識詰め込み教育がもたらす弊害が中心テーマとなった。 ★ 例題 ★ 1) 中東の石油(に関する/をめぐる)大国の利権争い(によって/によると)、幾度も戦乱が(もたらされた/もたらした)。 2) 行政改革をめぐっては、国会( )も総論賛成・各論反対( )、少しも具体策が(出てくる→      )。 (^^)前課の解答(^^) 1) を前にしたら/変わる(自V)/もの(一般・普遍→文型420) 2) を/忙し(様態「そうだ」)/そうに(そうに+V) -------------------------------------------------------------------------------- 479 ~を目指して/~に向かって 名詞: ×  +  を目指して/を目指し    ・           を目指す           に向かって/に向かい    ・           に向かっての + 名詞           に向かう -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 百恵:渡り鳥が一斉に北に向かって飛び立つ光景を見ると、冬の終わりを実感するわ。 李 : 同じ鳥が自分のいるところを目指して飛んで来るのを見て、遅い春の到来を知る人もいるわけだね。 山田: それで、李君は今晩も良子さんの待つわが家を目指してまっしぐらかい?伝書鳩でもあるまいに・・・。 ♯ 解説 ♭  「~を目指す」は「~を目標や目的にして」という意味を表します。一方「~に向かって」は動作の方向を表すもので、そこから進む進路・方角を表したり、動作の対象を表したりするようになります。用例の中では、どちらも使える場合もありますが、異なる使い方もあります。これは意味の違いが生むものです。→例題1)   机に向かって(×を目指して)本を読む。   教師に向かって(×を目指して)文句を言う。   優勝を目指して(?に向かって)猛練習をする。 § 例文 § 1.船は一路、西を目指して(⇔に向かって)進んだ。 2.彼は東大を目指して(×に向かって)猛勉強を始めた。 2.諸君、自らの目標に向かって(⇔を目指して)、振り向くことなく前に進め。 3.マラソン選手たちはゴールを目指して(⇔に向かって)ひたすら走り続けた。 5.親に向かって(×を目指して)馬鹿とは何という口のきき方か! ★ 例題 ★ 1) 司法試験(に向かって/を目指して)学ぶこと十年、(きっと/やっと)念願の合格を(果たす/果たした)。 2) 師走とはよく言った( )( )で、年末( )向かうこの時期は誰もが(気ぜわしい→    )気に歩いている。 (^^)前課の解答(^^) 1) をめぐる/によって(→文型348)/もたらされた 2) で/で(だ→で)/出てこない(少しも~ない) -------------------------------------------------------------------------------- 480 ~をもって/~をもってすれば/~でもって 名詞: ×  +  でもって       ・           をもって           をもちまして           をもってすれば    ・           をもってしても    ・ -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 百恵:全員の協力をもってすれば、恐いものはないなんてかっこうのいいいこと言ったのは、どこの誰だっけ? 李 :徹夜の追い込みをもってしても、間に合わなかったんだから、しかたないだろ。もう一息だったのに。 山田:こんな無理な日程、何をもってよしとしたのか、理解に苦しむよ、本当に。 ♯ 解説 ♭  「~をもって」も「~でもって」の用法のいくつかを分担している複合格助詞で、書面や改まった会話で使われる表現です。以下のように、原因・理由のときは「~をもって」が不自然になることを除けば、「~でもって」に置き換えが可能です。   拍手で(・でもって/・をもって)二人を迎えましょう。<手段・方法>   60点で(・でもって/・をもって)合格点とする。   <基準>   今日で(・でもって/・をもって)会社を辞めます。  <限定>   戦争で(・でもって/×をもって)多くの人が死んだ。 <原因・理由>  なお、「~をもって」は手段や方法を表すことが多く、「~を使えば・~を使っても」を意味する「~をもってすれば・~をもってしても」という慣用表現を持っています。 § 例文 § 1.後日、書面でもって(⇔をもって)連絡いたします。 2.目には目を、歯には歯を。武力には武力でもって(⇔をもって)対抗する。 3.身をもって体験することこそ、何より重要だ。 4.おかげをもちまして、無事卒業を迎えることができました。 5.空手で鳴らした彼をもってしても、かなわなかった相手とあっては、私たちではとても歯が立ちません。 ★ 例題 ★ 1) 現代医学をもって(すれば/しても)結核やコレラは容易に治せる(ことに/ように)なったが、癌やエイズは未だに現代医学をもって(すれば/しても)治せないでいる。 2) これ( )もちまして、私の挨拶( )(かえて→      )いただきます。 (^^)前課の解答(^^) 1) を目指して/やっと/果たした 2) もの(→文型449)/に/気ぜわし(~げ→文型076) -------------------------------------------------------------------------------- 481 *~を基に(して)/~が基になって 名詞: × +  を基に          を基にして          が基になって          が基になり -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 課長:彼の意見を基にして判断すると、失敗するのはわかっているのだが、あれだけ熱心に説明されるとねえ。 李 :過去の経験を基に計画を作成するのは、もはや時代遅れです。ほとんどの条件が変わっているのですから。 課長:この件は私が来週まで預かっておこう。この問題は念には念をいれ、慎重に検討しよう。 ♯ 解説 ♭  「もと(基/元)」は「基礎・土台・根拠・見本・原形・素材」を意味する語で、「~を基にして」(「~が基になって/~が基になり」は自動詞用法)は主に製造・制作・創作などの「基礎・原型・素材」を表すときに使われます。  注意してほしいのは「~に基づいて」(→文型344)との違いです。例えば「経験に基づく判断/法に基づき裁く/市場調査に基づく製品開発」のように判断や行動の根拠を表すときは「~を基にして」が使えません。どちらも成立する場合も意味には違いがあります。→例題1)   事実に基づいて小説を書く。<根拠>   事実を基にして小説を書く。<素材> § 例文 § 1.かびをもとにして作られた薬は多くある。 2.ひらがなやカタカナは漢字を基にして作られた。 3.日本文化は自然崇拝の神道が基になり、そこに漢文化や南方文化が融合して作られている。 4.最近は歴史ブームで、史実を基にしたドラマに人気がある。 5.現代科学は古代の数学や天文学などの知識を基にして発展してきたものだ。 ★ 例題 ★ 1) 古代都市は、物々交換の市場(が基になり/に基づいて)、社会の分業の発展と(つれて/ともに)(形成して/形成されて)きた。 2) この映画は実際に(起こる→    )冤罪事件( )基にして(制作した→       )。 (^^)前課の解答(^^) 1) すれば/ように(状態変化→文型446)/しても 2) を/に/させて(「使役形+てもらう」の用法→文型102) -------------------------------------------------------------------------------- 482 ~をものともせず(に) 名詞: ×  +  をものともせず(に) (注:前が句の時は「~のをものともせず(に)」の形になる) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 山田:君も外回りが好きだねえ。雨で道が込んでるのをものともせずに、お得意さん回りかい? 百恵:あら、思いやりのないことね。どしゃ降りをものともせずになんて、社員の鏡よ、社員の鏡。 佐藤:言いたい奴には言わせておくさ。先輩の皮肉を背に受けながら出かけて行くヒラの悲哀は知る人ぞ知るさ。 ♯ 解説 ♭  「AをものともせずB」は「~を全く恐れないで/~を気にもとめないで」という意味を表します。困難や障害(A)を承知の上で敢えて(B)を選択するときの表現で、行為者の勇気や勇敢さに対する話者の賛嘆が込められています。  類語語の「~をよそに」(→文型484)が「すべきことをしないで」という非難の気持ちで使われるのと対照的です。例えば同じ文脈で使っても、以下のように全く異なる評価になります。→例題1)   吹雪をよそに、男は山に登った。   <無证怯蓼市袨椋綷   吹雪をものともせず、男は山に登った。<勇気ある行為> § 例文 § 1.消防隊は燃え盛る炎をものともせず必死の消火に当たった。 2.古代の日本人は荒れ狂う海をものともせず、新しい知識を求めて唐の国へと渡って行った。 3.逆境をものともせずに、彼は堂々とその試練に立ち向かっていった。 4.押し寄せる敵軍をものともせず、関羽軍は城を守り抜いた。 5.その青年は身体の障害をものともせず、車椅子で世界一周の旅に出た。 ★ 例題 ★ 1) 周りの中傷(をよそに/をものともせず)、彼は(どこまで/どこまでも)信念を貫き(抜いた/通した)。 2) かつて弾圧( )ものともせず、圧制( )(闘う→   )抜いた革命家たちがこの日本にもいた。 (^^)前課の解答(^^) 1) が基になり/ともに(→文型240)/形成されて(非情の受身文) 2) 起こった/を/制作された(非情の受身文) -------------------------------------------------------------------------------- 483 ~を余儀なくされる/~を余儀なくさせる 名詞: ×  + を余儀なくされる ・          を余儀なくさせる ・ -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 山田:頼りの君が出かけていたので、会議では防戦を余儀なくされる一方だったよ。すんでのところで言い負かされるところだった。 百恵:あなたが戻るのを、今か今かと待っていたのよ。 李 :気は焦っていたんだが、ひどい夕立に遭ってしまってね、雨宿りを余儀なくされていたんだよ。 ♯ 解説 ♭  「余儀ない」は「他に方法がない・やむを得ない」を意味する語で、例文1のように単独でも使われます。そこから生まれたのがこれらの文語表現で、「~を余儀なくされる」と受身形を使ったときは、周囲の事情に強制されて「~するしかなくなる/やむを得ず~する」という不本意の選択を表します。また、「~に~を余儀なくさせる」と使役形を使ったときは、「相手に~を強制する」という意味を表します。  なお、例文では取り上げませんでしたが、「~のやむなきに至った」も「~を余儀なくされる」と同じ意味を表しています。   撤退を余儀なくされた。  →撤退のやむなきに至った。  →やむを得ず撤退した。 § 例文 § 1.余儀ない事情で退社することになりました。みなさん、  これまで本当に色々お世話になりました。 2.経営責任を追及され、社長は辞任を余儀なくされた。 3.相次ぐ事故の発生で、政府も原発政策の再検討を余儀なくされた。 4.震災で避難所暮らしを余儀なくされた人々の胸に、将来の生活不安が重くのしかかった。 5.果敢な自軍の反撃によって敵軍に撤退を余儀なくさせた。 ★ 例題 ★ 1) 大雨(による/によって)土砂崩れで、工事は(遅れる/遅れ)を余儀なく(された/させた)。 2) 私たちは相手( )こちらの弱点を(突く→    )て、妥協を余儀なく(する→    )。 (^^)前課の解答(^^) 1) をものともせず/どこまでも/通した(→文型352) 2) を/と(相互行為は「と」)/闘い(→文型352) -------------------------------------------------------------------------------- 484 ~をよそに 名詞: ×  +  をよそに (注:前が句の時は、「~のをよそに」の形になる) -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 李 :お前は親の心配をよそに、毎日遊びほうけているが、   それでいいと思っているのか! 小平:今年いっぱいくらいは大目に見てよ。受験戦争をようやく突破したんだから。 良子:そういう人が家庭をよそに、自分だけ外で遊ぶような大人になるのよ。少しはパパを見習いなさい。 ♯ 解説 ♭  「よそ」は「無関心・ひとごと」という意味を表す語で、「~をよそに」は「~を無視して/~を他人事(ひとごと)のように」という意味を表す文型になります。「~を顧みず」(→文型459)や、「~に(も)かまわず」(→文型302)とも類義表現になりますが、「~をよそに」は知らん顔をして他人事のように振る舞う情景が浮かんでくる表現で、非難の感情が強く表れます。   医師の忠告をよそに、毎日大酒を飲んでいる。   医師の忠告を顧みず、毎日大酒を飲んでいる。   医師の忠告にもかまわず、毎日大酒を飲んでいる。 § 例文 § 1.彼は大学入試をよそに、毎日、麻雀に興じている。 2.核廃絶決議をよそに、一部の国は核実験を再開した。 3.掲示板に「収集日以外にゴミを出さぬこと」と書いてあるのをよそに、ゴミ袋が山のように積まれていた。 4.国民の非難をよそに、その汚職政治家はまたしても代議士に返り咲いた。 5.沖縄県民の反対の声をよそに、国会では米軍基地の存続を図る特別措置法が可決された。 ★ 例題 ★ 1) 地域住民の不安(をよそに/をものともせず)、原子力発電所の建設(が/を)(強行した/強行された)。 2) 医師から( )忠告( )よそに、彼は毎晩( )ように酒浸りの生活を続けた。 (^^)前課の解答(^^) 1) による(理由・連体用法→文型346)/遅れ/された 2) に/突かれて(受身文)/された -------------------------------------------------------------------------------- 485 ~んがため(に) 動詞:[ない]形  +  んがため(に)              んがために(は/も)              んがための + 名詞 -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 課長:飛び出した子供をよけんがために、とっさにハンドルを左に切って、電柱にぶつかりましてね。 部長:君もついてないな。子供をよけ損ねた上に、電柱じゃあねえ。あそこは道が急に狭くなっているしな。 課長:一瞬先は闇とは言いますが、安穏な老後を得んがためにがんばってきたのも、一瞬にして水の泡です。 ♯ 解説 ♭  「~んがため(に)」は動詞の「ない形」に接続して、現代語の「~するために」と同じ目的を表す文型になります。話し言葉として使われることはほとんどありませんが、書面語としては今も使われています。「する」と「来る」は「する→せんがため/来る→こんがため」の形になりますから、注意しましょう。   行く→行かんがため=行くために   する→せんがため=するために   来る→来(こ)んがため=来るために § 例文 § 1.富と地位を得んがために、彼はいかなる手段をも使った。 2.自らの罪を逃れんがため、彼は虚偽の証言をしたばかりか、他人に罪をなすりつけた。 3.大の虫を生かさんがためなら、小の虫を犠牲にするのもやむを得ない。 4.強くならんがためには、自分より強い相手にぶつかれ。 5.厚生省にエイズ薬害の事実を認めさせんがため、患者や支援団体がハンガーストライキに突入した。 ★ 例題 ★ 1) 彼は(くる/きたる)大会で昨年の雪辱を(果たす/果たさ)んがため、厳しい練習を(重ねている/重なっている)。 2) 彼は一刻も早く上司( )その情報を(知らせる→   )んがため、車を(走った→     )。 (^^)前課の解答(^^) 1) をよそに/が/強行された(非情の受身文) 2) の/を/の(Nの+ようだ」) -------------------------------------------------------------------------------- 486 ~んとする 動詞:[ない]形  +  んとする              んとしている -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 課長:何っ!説明資料ができていないだって?会議まであと五分足らずににならんとしてるのに、何たるざまだ! 山田:後はコピーをするだけですから、先に行っててください。何としても間に合わせますから。 李 :その作業は僕が引き受けた。プロジェクトが立ち上がらんとしている時に、担当者の君の遅刻はまずいよ。 ♯ 解説 ♭  「~んとする」は「~(よ)うとする」(→文型441)の古い形で、今日では古い文体の書面語として残っているだけですから、意味が分かれば十分でしょう。  「~んとする/~(よ)うとする」は、無意志性動詞(≒自動詞)につくときは、例文1~3のように事態発生の直前状態を表し、人を主語とし意志性の動作動詞(他動詞)につくときは、例文4、5のように「(動作を)しようと試みる」という意味を表します。   夜も明けんとする=夜も明けようとする <直前状態>   立ち上がらんとする=立ち上がろうとする<直前動作> § 例文 § 1.西の空は夕焼けで、日はまさに沈まんとしていた。 2.今年もまた、あと一日で終わらんとしている。 3.ローマ帝国は、今やまさに崩壊せんとしていた。 4.私が出かけんとすると、妻が私を呼び止めた。 5.君が言わんとすることは、わからないものでもないのだが、みんなを説得するのは容易ならざることだ。 ★ 例題 ★ 1) 私は彼を(止める/止め)んとしたが、彼は(振り向く/振り向こう)ともせず、戦場(に/へ)と向かった。 2) 時、まさに風雲急を(告げる→    )んとしているとき、希代の英雄曹操はこの世( )生をうけた。ここに三国志の時代の幕は切って(落とした→ )。 (^^)前課の解答(^^) 1) きたる/果たさん/重ねている(他V) 2) に/知らせん/走らせた(自Vの使役文) -------------------------------------------------------------------------------- 487 ~んばかりだ/~んばかりに/~んばかりの 動詞:[ない]形  +   んばかりに              んばかりの + 名詞             んばかりだ -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪ 百恵:真理さん、今にも泣かんばかりの顔してたわよ。何かひどいこと、言ったんじゃないの? 佐藤:押さえて注意したつもりなんだがねえ。やはり女性は苦手だよ。あ~あ、結婚に自信をなくしちゃったな。 李 :「雨降って地固まる」さ。本音が出し合えなくなったら、夫婦はおしまいさ。佐藤、いいから謝って来なよ。 ♯ 解説 ♭  「~んばかりだ」は動詞の否定形(「ない」形)と接続して、「今にも~しそうだ」と同じ意味を表します。様子や程度を形容するために使われることがほとんどです。口語として使われることは少ないので知識として持っていればいいでしょう。   泣き出さんばかりの顔 =今にも泣き出しそうな顔   椅子が今にも壊れんばかりだ =椅子が今にも壊れそうだ  なお、「~と言わんばかり<=「~とばかり」>」(→文型222)という文型も、この「~んばかり」から作られたものです。→例題1)2) § 例文 § 1.「黙れ」と言わんばかりに、教師は私をにらみつけた。 2.その犬は私を見ると、噛みつかんばかりに吠え立てた。 3.10年ぶりに中国の友人宅を訪ねると、家中の人が私に抱きつかんばかりに歓迎してくれた。 4.米軍によるイラクへのミサイル攻撃をテレビで見ながら、僕は怒りで胸も張り裂けんばかりだった。 5.その知らせを聞いたときの彼は、まるで跳び上がらんばかりの驚きようだった。 ★ 例題 ★ 1) その男は今にも(殴りかかる/殴りかから)(とばかり/んばかり)の形相で、私に詰め寄っ(てきた/ていった)。 2) 彼女の家に行くと、彼女から「今すぐ帰れ」と(言う→   )んばかり( )嫌な顔を(した→   )。 (^^)前課の解答(^^) 1) 止め/振り向こう(→文型441)/へ(~へと→文型387) 2) 告げ/に/落とされた(非情の受身文) -------------------------------------------------------------------------------- 488 終わりに当たって  終わりに当たって、社内討論例を取り上げました。表現文型の学習と併せて大切なのは「こんな時どう言えばいいのか」という場面学習かと思います。場面に応じた適切な日本語の使い方を身につけるには、日本社会の文化・習慣・風俗・民族性などに精通する必要も出てきます。特に公式な場での敬語の使い方や決まった言い回しなどは場面を通してしか学習のしようがありません。そのため、本事典の姉妹版として「日本人の心を語る 機能別日本語会話」を編集中ですが、みなさんのお役にたてば幸いです。 -------------------------------------------------------------------------------- ♪ 会話 ♪   ー社内討論例:社内禁煙をめぐって ー 司会 :只今のAさんの意見について、皆さんの意見を。 李  :ええ、大筋賛成なんですが、二、三問題が残っているように思います。ひとつは、Aさんは喫煙室の設置を提案されていますが、仕事時間内に行ってもいいのかどうかということです。二つは、なぜ重役室だけは例外なのかということ、・・・。 司会 :申し訳ありませんが、手短にお願いします。 李  :わかりました。・・・・・・・以上です。 司会 :ほかに意見はありませんか。もしないようでしたら、ここらで二十分ほど休憩を取って、その後、中間集約をしたいと思います。その前に社長の御意見を伺いたいと思いますが。 社長 :まあ、時代の流れと言うか、この国際社会では、もう常識となっているわけで、わが社にあってもだな、え~っ、この際、社内禁煙ということにしようと、重役会で決まった次第だ。 司会 :ありがとうございました。では、ここでしばらく休憩ということに。 (^^)前課の解答(^^) 1) 殴りかから/んばかり/てきた(~てくる→文型181) 2) 言わ/の/された(~から~られる<受身文>) --------------------------------------------------------------------------------
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 楼主| 发表于 2004-11-30 20:44:14 | 显示全部楼层
以上
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发表于 2004-11-30 23:20:30 | 显示全部楼层
お疲れ様でした。でも、今では、ちょっと遅いのではないでしょうか。
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发表于 2004-12-1 00:44:42 | 显示全部楼层
楼主辛苦了~~收下了~
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 楼主| 发表于 2004-12-3 15:21:38 | 显示全部楼层
<資料1>  よく使う格助詞の用法一覧  格助詞というのは「てにをは」とも言われていますが。日本語の表現文型が文の骨格にあたるとすれば、「てにをは」(格助詞)というのは関節にあたります。助詞の問題で、「あれ?」と思ったら、この一覧表を開いてみてください。 --------------------------------------------------------------------------------  「が」の用法 -------------------------------------------------------------------------------- 1、 主語を表す「が」    1) 「(疑問詞)が~か」文と、その応答       「誰が行きますか」「私が行きます」       「いつがいいですか」「明日がいいです」       「どれがあなたの辞書ですか」「これが私の辞書です」    2) 存在文や「(~には)~がある」文で、存在する人・物・ことを表す       「教室に誰がいましたか」「李さんがいました」       「机の上に何がありますか」「本があります」       友だちと約束があります。       君には君の夢があり、僕には僕の夢がある。    3) 形容詞文や比較文の中で       日本は交通が便利です。       「東京とソウルと、どちらが寒いですか」「ソウルの方が寒いです」       「クラスで誰が一番背が高いですか」「李さんが一番背が高いです」    4) 自動詞文・現象文の主語       桜の花が咲きました。       雨が降っています。       先週、ここで交通事故がありました。    5) 従属句の中の主語       これは私が撮った写真です。 <名詞句>       私が小学二年生だったとき、父は死にました。<とき>       仕事が忙しいので、私は旅行に参加できません。<理由>       李さんが来たら、これを渡してください。<条件>    6) 状態を表す「~ている」「~てある」文の中で       ドアに鍵がかかっています。       入り口に警官が立っています。       澶俗证瑫い皮ⅳ辘蓼埂       部屋に花が飾ってあります。 2、 対象を表す「が」    1) 形容詞文で感情・感覚などの対象を表す       あなたは料理が上手ですね。       私はスポーツが好きです。       彼は英語が得意です。    2) 希望を表す文で対象を表す       私はパソコンが欲しいです。       私は水が飲みたいです。       今日は焼き肉が食べたいですね。    3) 可能を表す文で対象を表す       あなたは韓国語がわかりますか。       あなたは車の哕灓扦蓼工       私は中国語が話せます。 3、 接続助詞の「が」    1) 逆説に使う「が」       彼女は美人だが、性格がつめたい。       薬を飲みましたが、熱が下がりません。       行きたくないが、行かなければならない。    2) 前置きや文のつなぎに使う「が」       すみませんが、近くにトイレはありませんか。       この前の話ですが、どうなりましたか。       僕はコーヒーにしますが、あなたは? --------------------------------------------------------------------------------  「の」の用法 -------------------------------------------------------------------------------- 1、 名詞と名詞を結びつける「の」       これは李さんの本です。       こちらは担任の田中先生です。       じ铯戊帳扦埂       ソウルの冬は寒いです。       明日の試験は大丈夫ですか。 2、 名詞の働きをしたり、名詞句を作る「の」       「これは誰の本ですか」「私のです」       私が買ったのはこれです。       私は本を読むのが好きです。       子供が遊んでいるのが見えます。       友だちが来るのを待っています。 3、 「~のだ」の形で説明・断定の感情を加える「の」       「どうしたんですか」「お腹が痛いんです」       休みたいんですが、いいでしょうか。       今は忙しいんだ。後にしてくれ。 4、 名詞句の中で主語を表す「の」       私の(・が)住んでいるところは、駅の近くです。       君の(・が)探している物は、これですか。       桜の(・が)咲く頃、もう一度来たいですね。 --------------------------------------------------------------------------------  「を」の用法 -------------------------------------------------------------------------------- 1、 他動詞について動作の目的・対象を表す「を」       私は日本語を勉強しています。       もう食事をしましたか。       李君を呼んできてください。 2、移動表現の中で使われる「を」    1) 離れる場所を表す       電車を降ります。       毎日7時に家を出ます。       大学を卒業したのはいつですか。    2) 通過する場所を表す       鳥は空を飛びます。       信号のところを右へ曲がってください。       毎朝、近くの公園を散歩します。    3) 経過する時間を表す       夏休みをアメリカで過ごした。       ここは私が少年時代を送った懐かしい家です。       長い年月を経て、この作品を書き上げた。 3、 自動詞の使役文の中で使われる「を」       彼は冗談を言って、みんなを笑わせた。       早く子供を寝させた方がいいですよ。       社長は遅くまで社員を働かせた。 --------------------------------------------------------------------------------  「に」の用法 -------------------------------------------------------------------------------- 1、 動作の起こる時を表す「に」       「学校は何時に始まりますか」「9時に始まります」       寝る前に、歯を磨きましょう。       夕方までに、この服をクリーニングしてください。 2、 存在する場所や状態発生地を表す「に」    1) 存在する場所を表す       「李君はどこにいますか」「李君は教室にいます」       「郵便局はどこにありますか」「駅の側にあります」       「机の上に何がありますか」「本があります」    2)  動作の目的地・到達地を表す       飛行機は成田空港に着いた。       船が港に近づいた。       みなさん、10時に学校に集まってください。 ◆       鞄に教科書を入れる。       澶俗证驎       荷物はそこに置いておいてください。    3)  状態発生地を表す       道ばたに花が咲いている。       私は銀行に勤めています。       私はソウルに住んでいます。       右に見えるのが、国会議事堂です。 3、 「~には~がある」文で使われる「に」       規則には例外があります。       彼女には子供が三人ある。       彼には学識(教養・地位・誇り・経験・夢・・・)がある。 4、 目的を表す「に」       海へ釣りに行きます。       ジョギングは健康にいいです。       成田空港に行くには、新宿からJRが便利です。 5、 「~に~を~」他動詞文で動作の相手・対象者を表す「に」       友だちに電話をかける。       恋人に誕生日のプレゼントをあげる。       外国の学生に日本語を教えています。 ◆       父に(・から)時計を買ってもらいました。       日本の友だちに(・から)日本語を教わる。       「誰に(・から)絵を習いましたか」「父に習いました」 6、 感情発生の理由を表す「に」       大きな音に(・で)驚きました。       食糧難に(・で)多くの人が苦しんでいる。       恥ずかしさに(・で)、顔が真っ赤になった。 7、 変化の結果を表す「に」       春になる。       日本語が話せるようになりました。       信号が赤から青に変わる。       一つのケーキを三つに分ける。 8、 基準を表す「に」       この子は父親に似ています。       AはBに等しい。       彼女は才能に恵まれている。 ◆       一週間に一度、韓国語を習っています。       一度に二つのことはしない方がいい。       一日に何時間ぐらい復習をしますか。 9、 受身文の動作主       親に叱られた。       僕は先生にほめられました。       泥棒にお金を盗られた。 10、 使役文の動作主       母親が子供に薬を飲ませた。       私にやらせていただけませんか。       部長に歌を歌わせられた。 --------------------------------------------------------------------------------  「で」の用法 -------------------------------------------------------------------------------- 1、 動作の行われる場所を表す「で」       子供たちが公園で遊んでいる。       この川で泳いではいけません。       どこで日本語を勉強しましたか。 2、 手段や方法を表す「で」       ボールペンで書いてください。       バスで駅まで行きます。       多数決で決めましょう。 3、 材料を表す「で」       僕は竹で作った箸がすきです。       紙で鶴を折ります。       毛糸でセーターを編みます。 4、 時間・期間・数量や範囲を限定する「で」       この仕事なら、一週間でできるでしょう。       「それ、いくらで買いましたか」「5000円で買いました」       あと二時間で京都に着きます。       世界で一番長い川を知っていますか。 5、 理由を表す「で」       地震でビルが倒れた。       今日は風邪で休んでいます。       事故で電車が止まった。 6、 根拠を表す「で」       声で誰かわかります。       成績でクラス分けをする。       外見で人を判断してはいけないよ。 7、 動作が行われているときの状態を表す「で」       裸足で歩く。       小さな声で笑っている。       彼女は一人で暮らしています。 --------------------------------------------------------------------------------  「と」の用法 -------------------------------------------------------------------------------- 1、 名詞を並べる「と」       机の上にノートと鉛筆が置いてあった。       手紙と小包は、昨日送りました。       僕と君が代表に選ばれました。 2、 共同動作の相手を表す「と」       友だちと(・といっしょに)旅行に行きます。       子供と(・といっしょに)テレビを見ている。       休日はいつも家族と(・といっしょに)過ごす。 3、 動作の対象を表す「と」       孫さんと結婚します。       友だちと約束をする。       家族と相談してから、決めます。 ◆       病気と闘う。       円をドルと交換する。 4、 発言や内容を引用したり、指定する「と」       私は李と申します。       先生は何とおっしゃっていましたか。       今日中にできると思います。       君なら必ず成功すると信じている。 5、 比較の対象を表す「と」       私もあなたと同じ考えです。       僕は君とは意見が違います。       兄と比べると、弟の方が頭がいい。 6、 接続助詞の「と」       右に曲がると駅があります。       春になると暖かくなる。       父は日曜日になると釣りに行く。 --------------------------------------------------------------------------------  「から」の用法 -------------------------------------------------------------------------------- 1、 起点を表す「から」    1) 時や場所の起点       「何時から会議は始まりますか」「10時からです」       ここから駅まで歩いて何分ぐらいかかりますか。       太陽は東から昇り、西に沈む。    2) 人を表す語について、動作の主体を表す       その話を誰から聞きましたか。       父から手紙をもらった。       あなたから説明してください。    3) 抽象的な語について、起点を表す       失敗から教訓を学ぶ。       心から皆さんを歓迎します。       やっと仕事から解放された。    4) 順序や範囲の始点を表す       さあ、何から話し始めましょうか。       この映画は子供から大人まで楽しめます。       彼は100人の選手から選ばれた代表です。 2、 原因・出所や判断の根拠を表す「から」       足跡から、犯人は男とわかった。       服装から判断すると、       ちょっとした不注意から事故が起こる。 3、 原料や構成を表す「から」       米から酒を作る。       プラスチックは石油から作られる。       日本は多くの島からなっています。 4、 接続助詞「から」       もう遅いから、帰りませんか。       星が出ているから、明日は晴れるでしょう。       寒いですから、窓を閉めてください。 --------------------------------------------------------------------------------  「まで」の用法 -------------------------------------------------------------------------------- 1、 時や場所の到達点や範囲を表す「まで」       この店は何時までやっていますか。       明日までにこの仕事を終わらせてください。       東京までの切符をください。 2、 副助詞「まで」<程度>       夢にまで見る。       納得がいくまで調べる。       子供にまで馬鹿にされた。 --------------------------------------------------------------------------------  「へ」の用法 -------------------------------------------------------------------------------- 1、 方向を表す「へ」       「どこへ(・に)行くんですか」「新宿へ買い物に」       その角を左へ(・に)曲がると、すぐですよ。       学校へ(・に)行く途中で、木村さんに会った。 2、 動作の対象を表す「へ」       先生へ(・に)よろしくお伝えください。       これは母への(×にの)贈り物です。       両親への(×にの)感謝の気持ちを忘れてはいけませんよ。 --------------------------------------------------------------------------------  「より」の用法 -------------------------------------------------------------------------------- 1、 比較の基準を表す「より」       東京は大阪より人口が多い。       紅茶よりコーヒーの方が好きです。       今年は去年より寒くなりそうですね。 2、時間・空間・範囲の起点を表す「より」(改まった会話で使う)       試験は9時より(・から)始めます。       ここより(・から)先はA国領です。
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 楼主| 发表于 2004-12-3 15:22:13 | 显示全部楼层
<資料2> よく使う会話文型の接続別一覧  以下の文型項目は筆者が各分野のテレビ番組の収録ビデオに基づいて、日常生活会話で使用度が高いと思われる文型を選出したものです。初級文型(三級相当)でほぼ80%~85%を満たしますが、それ以外の頻出度が高い二級相当の中級文型(△印)を加えたものです。これで日常会話に必要な文型の90%~95%が満たされるはずです。そして、これらの文型が使えるようになれば、日本人との日常のコミュニケーションには問題ないでしょう。  なお、フォーマル会話やビジネス会話などで現れる中~上級文型に関しては、「会話で学ぶ 日本語表現文型辞典」、「ビジネス会話&レター」をご参照ください。 -------------------------------------------------------------------------------- 1、 [ます]形に接続する文型 --------------------------------------------------------------------------------   ~ましょう     さあ、飲みましょう。     コーヒーを入れましょうか。   ~ませんか     少し休みませんか。     そろそろ帰りませんか。   ~に(行く/来る/帰る)     海へ釣りに行く。     一度遊びに来てください。     忘れ物を取りに帰る。   ~たい     私は家が買いたい。     私は何も食べたくない。   ~たがっている     彼は家を買いたがっている。     うちの子は学校に行きたがりません。   ~始める     彼女は事情を話し始めた。     若者は歩き始める。   ~続ける     本を読み続ける。     彼女は一晩中泣き続けた。   ~終わる     今、原稿が書き終わったところだ。     食べ終わったら、食器を片づけましょう。   ~終える     やっと仕事をやり終えた。     原稿を書き終えた。  △~出す     突然、彼は笑い出した。     始業のベルが鳴り出した。  △~やむ     子供が泣きやんだ。     雨が降りやんだ。   ~にくい     カタカナ語は覚えにくい。     苦くて、飲みにくい薬だね。   ~やすい     操作が簡単で、使いやすい。     夏は物が腐りやすい。  △~づらい     歯が痛くて食べづらい。     老眼で小さい字が読みづらい。  △~がたい     それは忘れがたい思い出です。     君の話は理解しがたい。  △~兼ねる     恩師の頼みなので、断りかねる。        今回のことは納得しかねます。   ~なさい     うるさいですよ。静かにしなさい。     そこに座りなさい。   お~ください     少々、お待ちください。     ご用があったら、お呼びください。   お~になる     先生は今お帰りになりました。     先生がお書きになった本を拝見しました。   お~する     荷物をお持ちしましょうか。     お客をお迎えする。   ~合う     もっとよく話しあった方がいいよ。     夫婦は助けあうことが大切です。  △~切る/~切れる/~切れない     ビールを一気に飲みきった。     疲れ切った顔をしていた。     こんなにたくさんは食べきれないよ。  △~通す     決めたことは最後までやり通せ。     彼は最後まで自説を押し通した。   ~ながら     歩きながら、話しましょう。     アルバイトをしながら学校に行く。   ~方     この料理の作り方を教えてください。     やり方を変えよう。 -------------------------------------------------------------------------------- 2、 [ます]形と形容詞に接続する文型 --------------------------------------------------------------------------------   ~過ぎる     酒を飲み過ぎた。     それはちょっと言いすぎだよ。     この靴、ちょっと大き過ぎるよ。<イ形ーい>     夜道の一人歩きは危険過ぎる。<ナ形ーな>   ~そうだ<様態>     今にも雨が降りそうだ。     お腹が空いて死にそうだ。     おいしそうなケーキだなあ。<イ形ーい>     彼は元気そうでした。 <ナ形ーな> -------------------------------------------------------------------------------- 3、 「原形(辞書形)」に接続する文型 --------------------------------------------------------------------------------   ~ことができる     彼女は三カ国語を話すことができる。     この国では自由に意見を言うことができない。   ~ことだ  訳例:・   △・     私の趣味は寝ることだ。     大きいことはいいことだ。 ◆     合格したければ勉強することだ。     二度と嘘はつかないことだ。   ~な     危ない!そのスイッチに触るな。     このことは決して誰にも言うな。   ~べきだ     約束は守るべきだ。     自分のことは自分でするべきだ。  △~べきではない     守れない約束をするべきではない。     弱い者いじめをするべきではない。 -------------------------------------------------------------------------------- 4、 「原形(辞書形)」と名詞に接続する文型 --------------------------------------------------------------------------------   ~前に     寝る前に歯を磨きなさい。     食事の前に手を洗う。   ~まで/~までに     帰ってくるまで待ちましょう。     五時まで仕事です。 ◆     お客が来るまでに掃除をしなさい。     夕食までに帰ってください。   ~(の)に     ワープロは文章を書くのに便利だ。     たばこは健康によくない。   ~ために<目的>     車を買うために貯金する。     受験のために上京した。   ~度に     見る度に美しくなるね。     彼は試験の度に慌てている。 -------------------------------------------------------------------------------- 5、 [ない]形に接続する文型 --------------------------------------------------------------------------------   ~ないで/△~ずに     朝ご飯を食べないで(・ずに)、会社に行った。     宿題をしないで(・せずに)、遊びに行った。   ~なくて     朝起きられなくて、遅刻した。     旅行に行けなくて、残念だ。   ~ないでください     そんなに怒らないでください。     人には話さないでください。   ~なければならない     行かなければならない。     性能がよくなければならない。     食品は安全でなければならない。     保証人は日本人でなければならない。   ~なくてもいい/△~なくてもかまわない     言いたくなければ、言わなくてもいい。     品質がよければ、安くなくてもいい。     部屋はきれいでなくてもいいです。     保証人は日本人でなくてもいい。   ~なくなる     脂っこい物が食べられなくなった。     この店の料理は最近おいしくなくなった。     日本は以前のように安全ではなくなった。  △~ないで(は)いられない/~ずに(は)いられない     おかしくて笑わないでは(・ずには)いられなかった。     これが怒らないで(・ずに)いられましょうか。     タバコを吸わないでは(・ずには)いられなくなる。 -------------------------------------------------------------------------------- 6、 「原形(辞書形)/ない形」に接続する文型 --------------------------------------------------------------------------------   ~と     春になると、暖かくなる。     その角を右に曲がると、駅があります。     謝らないと、許さない。     暖かくないと、おいしくない。   ~ことがある     今もその店に時々行くことがある。     朝ご飯を食べないことがある。   ~つもりだ     彼女と結婚するつもりだ     彼女とは結婚しないつもりだ   ~ように     わかるように、話してください。     忘れないように、メモを取る。   ~ようにする     できるだけ間に合うようにする。     失敗しないようにする。 ◆     復習するようにしてください。     遅刻しないようにしてください。   ~ようになる     日本語が話せるようになった。     彼は酒を飲まないようになった。   ~ことになる     転勤することになった。     会議は開かないことになった。  △~ことになっている     明日、彼に会うことになっている。     この件は話せないことになっている。   ~ことにする     タバコをやめることにした。     彼には言わないことにした。  △~ことにしている     毎朝6時に起きることにしている。     お酒は飲まないことにしている。  △~に越したことはない     お金はあるに越したことはない。     値段は安いに越したことはない。 -------------------------------------------------------------------------------- 7、 「て形」に接続する文型 --------------------------------------------------------------------------------   ~て     歯を磨いて寝た。     再会を約束して別れた。 ◆     歩いて行こうよ。     タクシーに仱盲茙ⅳ盲俊 ◆     彼は背が高くてハンサムだ。     夫がギターを弾いて、妻が歌った。 ◆     悔しくて、涙が出た。     難しくて、わかりません。 ◆     落ち着いて話しなさい。     泣いて謝った。   ~てから     中身を見てから買う。     買ってから、偽物とわかった。   ~ても     雨が降っても行く。     いくら高くても買う。     交通が不便でも静かな所がいい。     日曜日でも働く。   ~てください/~ていただけませんか…     静かにしてください。     静かにしてくれ。     静かにしてくれませんか。     静かにしてもらえませんか。     静かにしてくださいませんか。     静かにしていただけませんか。   ~てもいい/△~てもかまわない     明日、休んでもいいですか。     品物は古くてもいい。     料理は下手でもいい。     いつでもかまいません。   ~てはいけない/△~てはならない     ここで写真を撮ってはいけない。     ここに駐車してはいけません。     人の不幸を笑ってはならない。   ~ている     今、テレビを見ている。     今、食事をしている。 ◆     毎日パチンコばかりしている。     彼はいつも遅刻している。 ◆     椅子が壊れている。     人が死んでいる。  △~て(は)いられない     試験が近いので、遊んではいられない。     心配でじっとしていられない。   ~てくる     お酒を買って来る。     雨が降ってきました。     これまでこの子を育ててきた。     日本の生活に慣れてきた。   ~ていく     傘を持って行く。     ろうそくの火が消えていった。     これからだんだん暑くなっていきます。     これからもこの子を育てていく。   ~てしまう/~てしまった     仕事は今日中にやってしまおう。     一人で全部食べてしまった。 ◆     うっかり財布を落としてしまった。     つい大声で怒ってしまった。   ~ておく     明日の準備をしておく。     もう彼に伝えておきましたか。 ◆     そのままにしておいてください。     子供を外で遊ばせておく。   ~てある     壁にカレンダーがかけてある。     花瓶に花が飾ってある。 ◆     明日のことは連絡してある。     試験に必要なことは全部教えてある。   ~てほしい     このことを彼に伝えてほしい。     君に助けてほしいことがある。   ~てみる     おいしいかどうかは食べてみればわかる。     できるかどうか、やってみます。   ~てあげる/~てやる/~てさしあげる     友だちに英語を教えてあげる。     弟に英語を教えてやる。     先生に英語を教えてさしあげる。   ~てくれる/~てくださる     妻が写真を送ってくれた。     先生が写真を送ってくださった。   ~てもらう/~ていただく     母に辞書を買ってもらった。     先生に辞書を買っていただいた。   ~てたまらない     うれしくてたまらない。     心配でたまらない。   ~てしかたがない     さびしくてしかたがない。     不安で仕方がない。 -------------------------------------------------------------------------------- 8、 「た形」に接続する文型 --------------------------------------------------------------------------------   ~ことがある     一度、富士山に登ったことがある。     見たことも聞いたこともありません。  △~ものだ     子供の頃、よくこの川で釣りをしたものだ。     昔の父親はもっと怖かったものだ。   ~たり~たりする/~たり~たりだ     飲んだり歌ったりした。     変な男が行ったり来たりしている。 ◆     テレビは見たり見なかったりです。     野菜の値段は高かったり、やすかったりだ。   ~たら     ボーナスが出たら、パソコンを買う。     言いたくなかったら、言わなくてもいい。     高くなかったら買うが、高かったら買わない。     雨だったら中止です。   ~たらどう/~たらいかが     疲れているときは、ゆっくり休んだらどう?        弁護士に相談したらいかがですか。   ~たらいい     嫌なら断ったらいい。     新宿駅にはどう行ったらいいですか。   ~後で     食事をした後で歯を磨く。     食事の後で歯を磨く。<Nーの>   ~通りに     私が言ったとおりにしなさい。     噂に聞いたとおり、美しい町ですね。     計画の通りになった。<Nーの>  △~きり~ない     アメリカに行ったきり、帰ってこない。     部屋に閉じこもったきり、出てこない。 -------------------------------------------------------------------------------- 9、 「た形/原形(辞書形)」に接続する文型 --------------------------------------------------------------------------------   ~ばかりだ     空港に着いたばかりだ。     先月、日本に来たばかりです。 ◆     バスは出発するばかりなのに、彼はまだ来ない。     食事は食べるばかりになっている。   ~まま     座ったまま話す。     そのまま動かないでください     野菜を生のまま食べる。<Nーの> ◆     足の向くまま、気の向くまま旅をしたい。     命令されるままに動く。 -------------------------------------------------------------------------------- 10、 「た形/ない形」に接続する文型 --------------------------------------------------------------------------------   ~方がいい     彼に言った方がいい。     彼には言わない方がいい。     値段は安い方がいい。     今日より明日の方がいい。 -------------------------------------------------------------------------------- 11、 「原形(辞書形)/ている形/た形」に接続する文型 --------------------------------------------------------------------------------   ~ところだ     これから食べるところだ。     今、食べているところだ。     たった今、食べたところだ。 -------------------------------------------------------------------------------- 12、 「仮定形」に接続する文型 --------------------------------------------------------------------------------   ~ばいい     必要な物は買えばいい。     嫌なら、しなければよい。  △~ば~ほど     考えれば考えるほどわからなくなる。     見れば見るほどいい女だ。     値段は安ければ安いほどいい。 -------------------------------------------------------------------------------- 13、 「意向形」に接続する文型 --------------------------------------------------------------------------------   ~(よ)うと思う     僕は会社を辞めようと思う。     彼はどうしようと思っているんでしょうね。  △~(よ)うとする     仱恧Δ趣筏郡れなかった。     お風呂に入ろうとしたら、電話がかかってきた。  △~(よ)うではないか     みんな、そろそろ帰ろうじゃないか。     同志諸君、今こそこの悪政を打倒しようではないか。  △~(よ)うにも~られない     硬くて、食べようにも食べられなかった。     疲れていて、朝、起きようにも起きられなかった。 -------------------------------------------------------------------------------- 14、 「使役形に接続する文型 --------------------------------------------------------------------------------   ~(さ)せてください     この仕事は私にやらせてください。     店長、明日休ませていただけませんか。  △~(さ)せておく     やりたいようにやらせておけ。     このまま寝させておきましょう。  △~(さ)せてしまった     胃薬の代わりに、下剤を飲ませてしまった。     彼を怒らせてしまった。 -------------------------------------------------------------------------------- 15、 普通形に接続する文型 -------------------------------------------------------------------------------- <助詞関係> ・ 時に関係する文型   ~とき      <ナ形ーな/Nーの>     京都に行ったとき、この写真を撮った。     お金がないとき、どうしますか。     暇なときはテレビを見る。     子供のとき、沖縄に住んでいた。   ~間/~間に   <ナ形ーな/Nーの/動作動詞「ている」>     夏休みの間、ずっと旅行していた。     日本にいる間、東京に住んでいた。 ◆     留守の間に、泥棒が入った。     子供が寝ている間に、買い物に行ってくるわ。     しばらく見ない間に大きくなったね。   ~うち/~うちに <ナ形ーな/Nーの/動作動詞「ている」>     中華料理は熱いうちがおいしいよ。     仕事が終わらないうちは、家に帰れない。 ◆     鉄は熱いうちに打て。     本を読んでいるうちに、眠くなった。     冷めないうちに食べてください。 ・ 原因・理由に関係する文型   ~から      <ナ形ーだ/Nーだ>&<ます形>     太るから、甘いものは食べない。     その牛乳は古いから、飲んではいけない。     日曜日だから、家にいるだろう。     親が子供を叱るのは可愛いからだ。   ~ので      <ナ形ーな/Nーな>     疲れたので、早く帰って寝ます。     物価が高いので、生活が大変だ。     この魚は新鮮なので、おいしいよ。     彼は嘘つきなので、信じられない。   ~し       <ナ形ーだ/Nーだ>     映画も見たし、食事もした。     この店は安いし、おいしい。     彼女は美人だし、頭もいい。     お金もないし、どこへも行けない。   ~ために     <ナ形ーな/Nーの/動詞≒「た形」>     事故があったため、電車が遅れた。     雨が降らないため、水不足になった。     交通が不便なため、発展が遅れている。     台風のため、電車がストップした。  △~おかげで    <ナ形ーな/Nーの/動詞≒「た形」>     誰のおかげで、生活できていると思っているんだ。     合格できたのは先生のおかげです。     毎日練習したおかげで、会話力が上手になった。     教え方が丁寧なおかげで、落ちこぼれは一人もいない。  △~せいで     <ナ形ーな/Nーの/動詞≒「た形」>     熱のせいで、頭がふらふらする。     失敗したのは、君のせいだ。     食べ過ぎたせいで、お腹が痛くなった。     味が悪いせいで、お客が来ない。  △~せいで     <ナ形ーな/Nーの/動詞≒「た形」>     熱のせいで、頭がふらふらする。     失敗したのは、君のせいだ。     食べ過ぎたせいで、お腹が痛くなった。     味が悪いせいで、お客が来ない。  △~せいで     <ナ形ーな/Nーの/動詞≒「た形」>     熱のせいで、頭がふらふらする。     失敗したのは、君のせいだ。     食べ過ぎたせいで、お腹が痛くなった。     味が悪いせいで、お客が来ない。  △~からには    <ナ形ーだ/Nーだ・である>     学生であるからには、勉強しなければならない。     こんなに安いからには、きっと偽物に違いないよ。     共同生活をするからには、最低限の規則が必要となる。     闘うからには勝ちたいと思う。 ・ 仮定に関係する文型   ~なら       <ナ形ー×/Nー×>     部屋を借りるなら、静かな部屋がいい。     嫌なら嫌だとはっきり言いなさい。     安いなら、買ってもいいよ。     明日なら、私も時間が取れます。  △~んだったら    <ナ形ーな/N+だったら>     結婚するんだったら、優しい人がいい。     知らないんだったら、知らないと言えばいい。     欲しいんだったら、あげるよ。     明日だったら、都合がいいです ・ 逆説に関係する文型   ~が/~けれども <ナ形ーだ/Nーだ>&<ます形>     旅行をしたいが、暇がない。     この店は安いけれども、味が悪い。     彼女は美人だが、心が冷たい。   ~のに      <ナ形ーな/Nーな>     こんなに働いているのに、お金が残らない。     自分が悪いのに、彼は謝らない。     日曜日なのに、出勤しなければならない。  △~くせに      <ナ形ーな/Nーな>     知っているくせに、教えてくれない。     知らないくせに、知っているふりをしている。     女のくせに、料理も作れない。 ・ 引用に関係する文型  △~って      <ナ形ーだ/Nー(だ)>     本日休業って書いてあった。     田中さんって方から、電話がありましたよ。     李君が帰国したって、ほんとうですか。     彼、国に帰るんだって。   ~か       <ナ形ー×/Nー×>     いつ始まるか、わかりませんね。     どうしたらいいか、教えてください     李さんがどんな人か知りません   ~かどうか  <ナ形ー×/Nー×>     間に合うかどうか、わからない。     おいしいかどうかは、食べたらわかる。     息子が無事かどうか、心配だ。 ・ 例示・選択に関係する文型  ~とか~とか  <ナ形ー×/Nー×>     お茶とか蜜柑とかが、この町の特産です。     いいとか悪いとか、みんな色々言っている。  △~やら~やら  <ナ形ー×/Nー×>     お茶やら蜜柑やら、いろんな物がとれます。     歌うやら踊るやら、大騒ぎだった。  △~なり~なり  <ナ形ー×/Nー×>     お茶なりコーヒーなり、お好きな物をどうぞ。     死ぬなり生きるなり、勝手にすればいい。 <助動詞関係> ・ 引用に関係する文型   ~と思う     <ナ形ーだ/Nーだ>     彼女は結婚していると思う。     彼は知らないと思う。     明日は雨だと思う。   ~と言う     <ナ形ーだ/Nーだ>     彼は駅で待っていると言った。     彼はこの店は高いと言った。     彼は日曜日は暇だと言った。   ~と言っていた     <ナ形ーだ/Nーだ>     田中さんが電話をくれと言ってよ。     田中さんが、駅で待っていると言っていたよ。   ~そうだ     <ナ形ーだ/Nーだ>     天気予報によると、台風が来るそうだ。     李さんは元気だそうだ。     彼女は独身だそうです。  △~とのことだ     <ナ形ーだ/Nーだ>     噂によると、近く人事異動があるとのことだ。<伝聞>     田中さんから、電話して欲しいとのことでした。<伝言> ・ 推量に関係する文型   ~だろう     <ナ形ー×/Nー×>     明日はたぶん晴れるだろう。     彼はきっと元気だろう。     明日の邉踊幛现兄工扦筏绀Α   ~かもしれない  <ナ形ー×/Nー×>     午後から雨になるかもしれません。     今度の試験は難しいかもしれない。     熱があるから、風邪かもしれない。   ~はずだ     <ナ形ーな/Nーの>     彼は知っているはずだ。     彼は知らないはずだ。     そこは交通が便利なはずです。     予定は明日のはずだ。  △~はずだった   <ナ形ーな/Nーの>     うまくいくはずだったが、失敗した。     明日のはずだったが、予定をあさってに変更する。     こんな原発事故は起こらないはずだったが、しかし・・・   ~ようだ     <ナ形ーな/Nーの>     誰か来たようだ。     少し熱があるようですね。     まるで夢のようです。   ~らしい     <ナ形ー×/Nー×>     彼はもう帰ったらしい。     彼は魚が好きじゃないらしい。     その話はほんとうらしいです。 ・ 断定や確信・納得に関係する文型   ~んだ/~のだ  <ナ形ーな/Nーな>     どうして来なかったんですか。     妻が病気なんです。   ~ものだ     <ナ形ーな>  普遍傾向・義務・感嘆     人間は死ぬものだ。     誰にとっても自分の子供は一番可愛いものだ。 ◆     年上には敬語を使うものだ(・べきだ)。     人の陰口を言うものではない(・べきではない)。 ◆     故郷とはいいものだなあ。     あの男にも困ったものだ。  △~わけだ     <ナ形ーな>     おいしいわけだよ。一流コックが作ったんだから。     そんなことを言ったら、彼が怒るわけだ。  △~わけがない   <ナ形ーな>     仮名も読めないのに、日本語が上手なわけがない。     君にできて、僕にできないわけがない。   ~はずがない   <ナ形ーな/Nーの>     彼にできるはずがない。     担当者の君が知らないはずがない。  △~に違いない   <ナ形ー×/Nー×>     何かあったに違いない。     彼女は独身に違いない。  △~に決まっている <ナ形ー×/Nー×>     無理をすれば、体を壊すに決まっている。     日曜日は市役所は休みに決まっている。 ・ 婉曲や部分否定に関係する文型  △~わけではない   <ナ形ーな>     お金持ちが誰でも幸せだというわけではない。     彼のことが嫌いなわけではないんだけど、でも・・・  △~とは限らない   <ナ形ー(だ)/Nー(だ)>     才能がある者が必ずしも成功するとは限らない。     人生、いつもうまくいくとは限らない。 -------------------------------------------------------------------------------- 16、 よく使う複合格助詞(名詞接続) --------------------------------------------------------------------------------   ~について/~に関して     日本について(・関して)、どう思いますか。     この件については(・関しては)何も申し上げられません。   ~にとって     私にとって家族が一番大切です。     これは君にとって二度とないチャンスだよ。   ~に対して     親に対して反抗する。     お客に対しては丁寧な言葉を使いなさい。   ~として     教師として君に忠告する。     彼は事業家としても父親としても立派だ。   ~によると     天気予報によると、明日雨が降るそうだ。     噂によると、Aさんは部長に昇進するらしい。  △~によって     人によって考え方が違う。     農作物の取れ高は天候によって左右される。 ◆     話し合いによって(・で)決めよう。     武力による(・での)国際紛争解決は肯定できない。 ◆     地震によって(・で)、多くの家が倒壊した。     交通事故によって(・で)、毎年多くの人が死んでいる。 ◆     法律によって(・で)罰する。     校則によって(・で)、長髪は禁止されている。 ◆     アメリカ大陸はコロンブスによって発見された。     宗教によって救われる人々も多い。  △~を通して     友だちを通して、今の妻と知り合った。     経験を通して得た知恵は、書物を通して得た知識に勝る。  △~をめぐって     親の遺産をめぐって、兄弟が争った。     原発の賛否をめぐって、議論が白熱した。 -------------------------------------------------------------------------------- 17、 よく使う副助詞 --------------------------------------------------------------------------------   ~だけ     今日だけ特別に許可しましょう。     私が信じられるのはあなただけです。 ◆     できるだけがんばります。     食べたいだけ食べてください。  △~ばかり     毎日麻雀ばかりしている。     僕が持っているものは安物ばかりだ。   ~だけでなく~も/~ばかりでなく~も     子供だけでなく(・ばかりでなく)、大学生もテレビゲームに夢中だ。     僕だけでなく(・ばかりでなく)、クラスのみんなが反対している。   ~こそ     「どうもすみません」「いいえ、こちらこそ」     これこそ私が長年探していた物だ。   ~しか~ない     千円しかお金がありません。     これは私しか知らない話です。     若いときは一度しかありません。  △~しかない     <V原形>     もう諦めるしかありません。     雨なので、登山は中止するしかない。  △~さえ     そんなこと、三歳の子供(で)さえ知っている。     新聞を読む暇さえない。  △~さえ~ば     お金さえあれば、何でも買える。     努力さえすれば、必ず合格できる。  △~ほど(・ぐらい)     涙が出るほど(・ぐらい)うれしかった。     死ぬほど(・ぐらい)苦しみました。  △~ぐらい(×ほど)     食事の前には、手ぐらい(×ほど)洗いなさい。     せめて電話の一本ぐらい(×ほど)ください。   ~ほど~ない     東京は北京ほど(×ぐらい)寒くない。     この仕事は外から見るほど(×ぐらい)楽ではない。  △~ほど(・ぐらい)~はない     自分の家ほど(・ぐらい)いいところはない。     命ほど(・ぐらい)大切なものはない。 -------------------------------------------------------------------------------- 18、 その他のよく使われるもの --------------------------------------------------------------------------------   ~がする      <Nー五感の対象物ー>     味(音/声/音/気/寒気…)がする。     なんとなく嫌な予感がする。   ~をしている    <Nー色・形・職業ー>     医者をしている。     美しい色をしている。     楕円形をしている。   ~がる       <感情形容詞[ーい/ーな]>     合格したので、彼女はうれしがっていた。     成績が一番だったので、彼は得意がっている。 ◆     人の持っている物を何でも欲しがる性格。     老人は誰でも昔を懐かしがる。  △~らしい      <N/V[ます]>     子供らしい子供     男らしい男  △~っぽい      <N/V[ます]>     最近疲れっぽくなった。     彼は怒りっぽい性格だ。     子供っぽい考え方だ。  △~がちだ      <N/V[ます]>     疲れているときは失敗しがちだ。     これは子供にありがちの病気です。     私は子供のころ病気がちだった。  △~ふりをする    <Nの/V・形の普通形>     男のふりをする。     寝たふりをする。     忙しいふりをする。     知っているのに知らないふりをする。
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 楼主| 发表于 2004-12-3 15:22:31 | 显示全部楼层
<資料3> よく使う口語文型一覧 1、 って <←と/という/というのは>   僕は劉って言います。  <←と>   李君は行くって言ってた。<←と>   男って馬鹿ね。     <←というのは>   李さんって方から電話よ。<←という> 2、 じゃ <←では>   じゃ、また明日。     <←では>   これ、私の本じゃないよ。 <←ではない>   おい、雨じゃないか。   <←ではないか>   あれは李さんじゃない?  <←ではない?> 3、 んだ <←のだ>   この本は僕んだ。     <←のだ>   どうしたんですか。    <←のですか>   急いでいるんですが、~  <←のですが>   どうしたんでしょうか。  <←のでしょうか> 4、 んじゃない <←のではない>   泣くんじゃない。     <←のではない>   少し高いんじゃないか。  <←のではないか>   帰ったんじゃない?    <←のではない?>   決して人に言うんじゃない。<←のではないよ> 5、 ちゃ/じゃ <←ては/では>   食べては寝、寝ては食べ。 <←ては=反復>   遅刻しちゃいけない。   <←てはいけない>   死んじゃいけない。    <←ではいけない>   この箱を開けてはならない。<←ではならない>   急がなくちゃ遅刻するよ。 <←なくては> 6、 なきゃ/なけりゃ <←なければ>   君がやらなきゃ誰がする? <←なければ>   言わなけりゃいいさ。   <←なければ>   やらなきゃならない。   <←なければならない>   行かなけりゃなんない。  <←なければならない> 7、 たって/だって <←ても/でも>   いくら言ったって無駄だ。 <←ても>   急いだって間に合わない。 <←でも>   見たっていいよ。     <←てもいい>   明日だっていい。     <←でもいい>   怒らなくたっていい。   <←なくてもいい>   だって嫌いなんだもの。  <←でも> 8、 て形接続の助動詞 ・ てる/でる <←ている/でいる >   あそこに座ってる人、誰? <←ている>   鳥が空を飛んでる。    <←でいる>   最初から知ってたよ。   <←ていた>   子どもが公園で遊んでた。 <←でいた> ・ とく/どく <←ておく/でおく>   僕から伝えとくよ。    <→ておく>   今日、この資料を読んどく。<→でおく>   あの話、彼に伝えといた。 <→ておいた>   私に任せといてください。 <→ておいて>   部屋を掃除しとけ。    <→ておけ(男)> ・ ちゃう/じゃう <←てしまう/でしまう>   食べないと腐らせちゃうわ。<→てしまう>   これ以上殴ると死んじまう。<→でしまう>   しまった。忘れちゃった。 <→てしまった>   もう読んじゃったよ。   <→でしまった> 9、 かなぁ/かしら <≒だろうか>( 「~かなぁ」は男女兼用、「~かしら」は女言葉。)   明日晴れるかなぁ。   どうすればいいかなぁ。   彼、来るかしら。 10、 かい?/だい? <≒ですか/ますか>(男言葉で、疑問詞を含む疑問文では「~だい?」、疑問詞を含まない疑問文では「~かい?」が原則)   これは君のカメラかい?   君も食べるかい?   今、何時だい?   先生はどんな人だい?   どうしてこんな失敗をしたんだい?
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 楼主| 发表于 2004-12-3 15:22:48 | 显示全部楼层
<資料4> よく使う接続詞の機能別一覧  日常会話でよく出てくる接続詞を機能別に取り上げました。接続助詞は「そして/それから/それで…」のように接続助詞に指示語「そ」がついた形や、「だから/だが/すると…」のように接続部をそのまま取り出して接続詞化したものが多く、その場合、意味も用法もそのまま受け継がれます。 1、順接の接続詞 (1) 原因・理由   だから     午後から雨らしい。だから、傘を持って行った方がいいよ。   それで     昨日は飲み過ぎた。それで、今日は二日酔いだ。   そのために   JRで事故があった。そのために、電車が遅れている。   その結果    毎日練習した。その結果、スキーが上手になった。   したがって   本日は講師が休みだ。したがって、休講になった。 (2) 時・条件・場面   それから      お風呂に入った。それから、寝た。   すると       カーテンを開けた。すると、外は雪が降っていた。   そこで       玄関のベルが鳴った。そこで、私はドアを開けた。   では/じゃ     では、私はこれで失礼します。   それでは/それじゃ 「暑いね」「それじゃ、クーラーをつけよう」   それなら      「道路が渋滞だそうだ」「それなら、電車で行こう」   だったら      食べないの?だったら、 僕がもらうよ。 (3) 相手の話を聞き出す   それで     「昨日が合格発表の日だったんだ」「それで、どうだった?」   それから    ね、それから、どうしたの? 2、逆説の接続詞 (1) 一般的な逆説   しかし     彼は勉強ができる。しかし、スポーツは全然駄目だ。   けれど(も)  この製品は安い。けれども、品質が悪い。   だけど     パソコンを買いたい。だけど、金がない。   だが      10時に会う約束した。だが、彼は来なかった。   でも      和食は好きです。でも、納豆はまだ食べられません。 (2) 予想外の結果   ところが    彼は強そうに見えた。ところが簡単に負けてしまった。   それが     午前中は晴れていた。それが午後から急に雨が降り出した。 (3) 原因・理由の逆説   それなのに     もう四月だ。それなのに、まるで冬のような寒さだ。   それにもかかわらず 彼は肝臓が悪い。それにもかかわらず、毎日酒を飲んでいる。   それにしては    「彼は大学生だそうだ」「それにしては漢字を知らないねえ」 (3) 条件の逆説   それでも    そこは非常に危険な場所です。それでも、行くんですか。   それにしても  「彼、遅れると言ってたけど」「それにしても、遅すぎるよ」 3、並立の接続詞   そして     とても明るく、そして、美しい女性だった。   および     この劇場内では飲食、および喫煙は禁止されている。   ならびに    ここに住所、氏名、ならびに電話番号を記入してください。   また      彼は政治家であり、また小説家でもある。   かつ      東京は政治の中心地であり、かつ経済の中心地でもある。 4、添加の接続詞   しかも     この靴は軽くて、しかも、丈夫だ。   それに     この店の料理は安いし、それに、とてもおいしい。   そのうえ    彼は成績もいい。その上、スポーツも万能だ。   それから    パソコンが欲しい。それから、車も欲しい。 5、選択の接続詞   それとも    コーヒーにしますか。それとも、紅茶にしますか。   あるいは    京都へ行くにはバス、あるいは新幹線が便利です。   または     ボールペンか、または万年筆で記入してください。   もしくは    日本語、もしくは英語でサインしてください。   ないしは    応募資格は大学卒業者、ないしはそれに準ずる者 6、説明の接続詞 (1) 補足説明に使う接続詞   ただし     いくら食べても無料です。ただし、制限時間は一時間です。   もっとも    明日の社会見学には全員参加してください。もっとも病気などの場合は別ですが。   なお      事件の概略は以上述べたとおりです。なお、詳細は資料を参照してください。   ちなみに    燃えるゴミは月曜日・木曜日に出してください。ちなみに、燃えないゴミの日は水曜日です。 (2) 理由を後で説明する接続詞   なぜなら    今は公表できない。なぜなら、まだ検討中だからだ。   というのは   今度の旅行には行けないんだ。というのはその日が息子の受験の日なんだ。   だって     「どうして食べないの」「だって、おいしくないんだもの」 7、話題転換の接続詞   ところで    もうすぐ今年も終わるね。ところで、正月は田舎へ帰るの?   さて      これで今日のニュースは終わります。さて、明日の天気ですが、・・・   そう言えば   そう言えば、李君、今どうしているんだろう?   それはそうと  今年の冬は寒いですね。それはそうと、娘さんの受験、もうすぐじゃありませんか。   それはさておき いろいろ話したいこともあるが、それはさておき、本題に入ろう。
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