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楼主: Jennifer

[经验方法] 連載《天声人語》想看中文版请去看1590楼最新公告

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发表于 2006-2-18 18:52:48 | 显示全部楼层
2006年02月18日(土曜日)付
/ W6 y  h6 S8 i  B. I: X2 i
% G5 z; E: K7 T; ~& h* f* x 琵琶湖のほとりに広がる滋賀県の長浜市で、ふたりの幼稚園児が刺殺されるという事件が起きた。容疑者として逮捕されたのは、近所に住む別の園児の母親だった。
8 M" s; W. O! r% x* t+ V& f3 D% @4 c
1 v; B' b% l5 T# c いっとき耳を疑った。これまで、部外者が学校に侵入して多くの子どもを殺傷したり、学習塾で講師が児童を殺害したりといった凶悪な事件はあったが、今度のような事件までは想像できなかった。6 G+ j* f$ b% N

9 A& M, g( p) D; e6 U4 t! n( A: N 事実関係は、まだ詳しくは分からない。しかし事件は、幼稚園への子どもたちの送迎という、いわば日常の繰り返しの中で起きた。同じようにして送迎している人たちの間では、不安が広がりかねない。4 u8 }6 G/ d/ s9 ^
' I5 L: h+ C4 H$ q0 c( `8 B
 子どもを狙った事件の続発に対し、日本の各地では、悩みながらもさまざまな試みが行われてきた。親たちが手分けして送り迎えするのは最も安全と思われる方法で、いわば切り札だった。昨日は、それが崩れてゆく思いをした人も少なくなかっただろう。これと同様の事件が続くとは考えにくい。しかし、親とその周りにいる人々は、何とか防ぐ手だてはないものかと思案せざるを得ない。
, U+ ^5 N3 y. x$ s3 t- P& N0 a  q
  v2 p- Z* G: i0 n; j4 r% [ 自分の子は自分で守る。まずは、この原則に返るしかないのか。実際には、十分に手が回らないこともある。送り迎えを複数でするのは有効だが、どの地域でも可能とはいえない。衝撃的なこの事件でたじろぐことなく、地域に芽生えつつある新しい「安全の目」を、さらに強く育てていく必要があるだろう。( |+ j* I) Y- V3 e9 ?
' S8 X9 Y" K4 [+ |/ n6 t# b' Z
 若奈ちゃん、そして迅(じん)ちゃん。家族の愛情と願いとが込められたその名前を見ていると胸が詰まる。ふたりとも五つだった。
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发表于 2006-2-20 09:49:40 | 显示全部楼层
【天声人語】2006年02月19日(日曜日)付 7 I  C1 j; B) d  {+ q4 ^- M
7 l! s) f; {% p, k! n6 i
 奈良時代、朝廷には中央官庁が八つあった。中務(なかつかさ)省、治部(じぶ)省などは役所名から職務を言い当てるのもむずかしいが、兵部(ひょうぶ)省なら簡単だろう。軍政一切を取りしきった。4 W( x" _) T. l9 _) ]; c) x

+ u; r4 ]2 D0 O! }6 a- R  C9 | 明治の初め、新政府は司法省、工部省など官庁名をいくつも考案した。それでも軍事をつかさどる役所には、兵部省の名をあてている。数年で陸軍省と海軍省とに分かれたが、「省」の格は敗戦まで揺るがなかった。
- V+ {- L1 i/ t2 @, W+ [, _  Z( v/ E: B
 いまの防衛庁の前身は、朝鮮戦争を機に設けられた保安庁だ。省でなく庁にとどめたのは、軍部の暴走を反省した戦後の知恵だった。だが防衛庁内では、省への格上げこそ悲願とされてきた。「庁のままでは予算を取るにも法令を作るにも不自由だ」「国防担当の役所が省でないのは日本くらい」。国会でもたびたび審議され、防衛省のほか国防省とする案も出た。
/ t5 V# {6 D. r. X% ~2 ?3 O; ^3 K, ?! _1 c) _" k8 @) C& a
 とうとう実現するかに見えた「省」構想が、また頓挫しかかっている。8年前の背任事件の記憶も消えないうちに、防衛施設庁幹部らによる談合容疑が発覚した。昇格どころではないだろう。- P5 q: a& c" Q! J
# Y3 ?9 h! `- j" z% @# w
 林野庁や金融庁など「庁」にもいろいろあるが、たどった道はそれぞれだ。環境庁は5年前、省の仲間入りを果たした。対照的なのは社会保険庁だ。数々の不始末が露見し、「ねんきん事業機構」へと組織が縮小されることになった。降格である。
6 _2 Z1 x. W) f+ B3 [( b. N' t9 b5 d: C* z. q' M
 奈良の都にさかのぼる官界のしにせでも、背任の体質や談合の悪習を改善しない限り、「省」格上げに世論の支持は得られまい。今のままではむしろ「ぼうえい事業機構」と改名されても不思議はない。
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发表于 2006-2-20 09:50:43 | 显示全部楼层
【天声人語】2006年02月20日(月曜日)付
2 ~/ B2 z; T: n; k* j" ^/ Y; B0 m: f% _1 K6 E! |% U
 ぜひ、なんとか、できれば、どうにかして、まぐれでもいいから、ああ合格したい。この季節、多くの受験生が吉報を待っている。
7 \- t, Z- z5 Z- z2 u6 R( Z+ n$ _
 先週、取材で訪ねた早稲田大学でも入学試験をしていた。大隈講堂の前に「父母休憩所」の立て看板があった。どんな空間なのか。のぞいてみると、100人近くが微妙な間隔をあけて、黙って座っている。8割は母親だろうか。
& Q! K; X. q. s* m: C  f3 X
4 l' |1 y: K# g 聞けば、娘さんをひとりで東京にやるのが心配で、同行した人が多い。三重県からの母親は「けさも2人で必死に満員電車から降りました」。別の父親が、ぼそっと言った。「僕のころは休憩所なんてなかった。合格電報屋はいっぱいいたけれど」。そういえば、合否を電報で伝えるアルバイトを見かけない。
5 E7 w5 \! C0 Y; |' _+ P' \6 ]
9 J! s# O$ k4 j! u, i) V 大学によって電文に特徴があって面白かった。合格は「オチャカオル」(お茶の水女子大)や「オバコワラウ」(秋田大)、「クジラガツレタ」(高知大)。不合格なら「ダイブツノメニナミダ」(奈良教育大)や「サクラジマバクハツセズ」(鹿児島大)などが知られていた。
% _; O& C3 p; p" |: h& I1 H4 N. m& D" C! u: j
 「アスワヤマニハナガサク」。こんな福井大の電報が「明日は」だから今回は不合格なのか、「花が咲く」から合格なのかで混乱したなんて笑い話もある。正解は足羽山(あすわやま)という地元の有名な山で、合格の意味だ。' j$ W& ?8 M0 t4 J
+ [! b8 k* m# D. @
 最近の合否判定はホームページに載せるほか、電話で受験番号を入力しても確認できる。いまや吉報は待つより、みずから受け取りにいくものらしい。じれったいような、怖いような。発表までの、あのせつない気分は変わらないけれど。
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发表于 2006-2-21 09:40:51 | 显示全部楼层
2006年02月21日(火曜日)付* H. B' [, R) G
$ h$ M4 U3 K- m& ?
 絵の下方に、輪回しをする少女がシルエットのように描かれている。その先は広場らしく、誰かの像の影が伸びている。回廊のある街並みが夕日に輝く——。以前、イタリアのトリノの回廊を歩いていて、このデ・キリコの代表作「街角の神秘と憂愁」の場面と、実際の光景が重なるような思いをしたことがある。
1 o* s1 S; o% h8 |2 U6 `4 W. H& f9 ^7 n, @2 O7 z
 回廊は、トリノの街に幾つものアーチをつくりだした。その繰り返しが、重厚な石造りの街に軽快なリズムをもたらす。そして、初めて見る光景なのに、昔どこかで見たことがあるような懐かしさを覚えた。トリノの街には、異国にいることを一瞬忘れさせる不思議な詩情があった。
! \8 [1 Q$ G) q- i- Z% N: s; O, z: G. y' f6 d" b- ^
 トリノの冬季五輪は、開幕から11日が過ぎた。これまでのところ、日本選手の活躍は、残念ながらあまり伝えられてこない。
1 E; s% f+ W+ _! z# I+ U% j& g8 k7 s$ ]1 X$ j- p9 C* h5 [
 テレビの前では期待はずれの声もあがっているのだろう。一方で、国内での施設整備や選手への支援強化を訴える声もあるようだ。
% p9 m8 I/ I, y2 `1 V3 C0 _+ R; [/ l7 U: k  y
 しかし、今はまだ、繰り広げられる競技そのものに目をこらしたい。滑り降りるというより滑り落ちるような滑降をはじめ、地球の重力を利用したり、それに逆らったりしながら限界に挑む選手たちの姿は、国籍を問わず感動的だ。黒人で初めての個人での金メダルに輝いたデービス選手の疾走に、その人生の軌跡を重ねてみることもできる。
9 s1 Q5 h' D% C3 G8 [
" J$ A% J' @1 B 日本選手への期待が膨らむのはやむを得ない。しかし、その成果をメダルだけで数えるのはさびしい気もする。異国を一瞬忘れさせる回廊の街の五輪を、国籍を一瞬忘れながら楽しみたい。
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发表于 2006-2-22 09:31:24 | 显示全部楼层
2006年02月22日(水曜日)付# C: |8 F7 O& I6 g

: z& N* e0 D0 n* V) f- N5 | 「人は裸足で生まれ、裸足で死んでゆく。その間の生を、靴は共にする」。先週、64歳で亡くなった靴デザイナー高田喜佐さんの『素足が好き』の一節だ。# R& A. A. ]# g- p: q
* \! ~# `9 X) \" ?' H2 t
 靴にデザインの概念を持ち込んだはしりで、ブランド「キサ」を設立した。「私の作った靴が、私から離れ歩いてゆく……さまざまな人と出会い、旅をする。涙を流し、笑い、沈黙し、愛を語り、地球の上で、その人と大地をしっかり結んでいる」。思いが詩的にほとばしるのは、母が「おかあさん詩人」の高田敏子さんだったからか。1 k0 O: _; J8 ?9 F3 C& A  V
& w8 Z- h; ]5 n3 N, ^
 敏子さんは戦後、普段の暮らしの中の出来事をやさしくつづりつつ人生のきらめきをうたった。「男は毎朝/カミソリでひげをそる/そのとき女は/包丁で野菜を刻んでいる/お互いに刃物を使いながら/刃物を感じないでいる/幸福な朝!」(『砂漠のロバ』)。詩誌「野火」を主宰し、89年に74歳で逝った。; J, G7 i# E* U3 p% g2 S; w+ b

8 N" Y5 H. W. h. B6 V- A やはり戦後の詩に独自の世界を築いた茨木のり子さんが、79歳で亡くなった。背筋がすっと伸びた潔い言葉の数々は、いつまでも生き続けるに違いない。
. D$ I( d. K: c+ i
2 t" i1 @4 ]( m! [+ v. b2 E 茨木さんからはがきを頂いたことがある。終戦直後に流行した「リンゴの唄」の並木路子さんが01年に死去した時、茨木さんの「わたしが一番きれいだったとき/街々はがらがら崩れていって」という一節を記事に引用した。「あのメロディを聞く度に、戦後の混乱のさまざまがよぎってゆくのを覚えます」! W! t% o7 m& H4 g

0 J* S4 f' u- f  X% d. e$ P 茨木さんは、ようやく訪れた青春の中で聞いたのだろう。そのころ敏子さんは子育てに励み、その懐の内に喜佐さんが居た。
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发表于 2006-2-23 18:36:25 | 显示全部楼层
2006年02月23日(木曜日)付
# d9 c9 h0 }) Z  ^( A
$ ^3 [" l( a" K8 `/ Y) _5 Z 「——一度きりの人生で、挑戦しない手はない」。きのう東京地検に再逮捕されたライブドアの堀江貴文・前社長は『堀江貴文のカンタン!儲かる会社のつくり方』の序章にそう書いていた。; x# _8 Q6 R0 u5 W0 ]
+ C& O' P0 T( E; r' @! A1 ^# F* E
 挑戦という言葉は本の末尾にも登場する。「私は、背負っている約12万人の株主(2004年6月末現在)を幸せにするために、これからもたくさんのリスクを取って挑戦し続けていく。そしてこれからも、たくさんのワクワクする体験が待っていると期待している」' \2 S5 g: A5 Q

- V$ e4 Z/ O! Q5 p 本の出版後も株主の数が増え続けたが、先日は、株価の急落による株主救済のためとして「ライブドア株主被害弁護団」が結成された。背負っていたはずの株主から損害賠償を求められることにもなりそうだ。
1 S% L0 q+ v; A5 M% f0 c7 i, m  S0 Q' t/ S* J( U) P
 「犯罪は、その独特の輝きと独特の忌はしさで、われわれの日常生活を薄氷の上に置く作用を持つてゐる」。作家・三島由紀夫は独特の犯罪論をこう続けている。「それは暗黙の約束の破棄であり、その強烈な反社会性によつて、却つて社会の肖像を明らかに照らし出すのである」(『決定版 三島由紀夫全集』)。- E  {0 y2 W1 {  v* L' P- R

- E+ ]( U) |  b) f# l ライブドアの拡大への「挑戦」が犯罪にまで至っていたかどうか、最終的には裁判所の判断を待つほかはない。しかし事件はやはり、今の世の中を映しているようだ。
5 P; ^* y% w, ]1 U* K* o- W7 _6 ?0 t- l2 O6 O
 金銭や財物、あるいは勢力拡大への執着は、人間の歴史と同じくらい古い昔からある。一方、インターネットの世界は激しく変わり続けている。この古い欲望が新しい道具立てと交差して結んだ一つの肖像を、事件は照らし出している。 6 [; f0 [5 W9 ^! R' A$ i4 N7 j; k% k
4 t! P4 l. r- r; [0 K

* M, h1 C' n6 b2 q& |0 E1 }) q
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发表于 2006-2-27 10:09:32 | 显示全部楼层
2006年02月24日(金曜日)付+ ], N& m$ F+ \) X! b
: P, c& z0 h, I* q( F
 普段、机上でメモなどを取るのに、3Bの鉛筆を使っている。柔らかくて滑りがいい。作家の遠藤周作さんは、純文学は硬いHBで、読者を楽しませるような文章なら3Bでと、作品によって使う鉛筆を変えたという。/ Q: l0 T8 r% [
3 s) {# G) v5 Z5 h9 a% s7 L
 鉛筆の硬さや筆記用具の種類を問わず、手で書き付けたものには、それぞれの筆跡が残る。似た文字を書く人が無いわけではないが、親しい間柄なら筆跡を見るだけで大方の見当はつく。筆跡は文字の形をとった筆者の姿ともいえる。
$ i6 _/ W4 g, J7 U  M# p* J& W; o4 T% x  J
 今、この世は「無筆跡の時代」に向かっているのかも知れない。文書はパソコンで、という流れの広がりようは急だった。さらに、手紙の多くがメールという電子文字の通信にとって代わられてから、身の回りの筆跡の減少は加速した。メールが届いても、本当にその人から来ているかどうかは、画面だけでは分からない。
& r; }8 {, ]1 S4 y
! q% ?* y+ E4 v8 @) W メール一本が永田町を揺るがすかと注目された「送金メール」問題で、国会に持ち出した民主党の永田寿康衆院議員が、辞意を口にしたという。結論は先送りにされたが、ことの経緯はきちんと国民に説明する必要がある。
: A4 b( }7 m- Y0 I' {& m2 c2 }  l: f( d' d0 t
 民主党幹部らの責任も重い。ことに前原代表は「(武部氏らへの)資金提供が次男を通じてなされたのではないかという確証を得ている」と、党首討論で明言した。
3 C, R& |8 t( i7 Q2 g: t# [) p' H, }' s: ?& C
 メールには、手書きの文書のような「書き癖」は無い。真偽を含めて、より慎重に裏付けを取るべきだった。この国会では、小泉内閣時代に噴出した問題についての鋭い切り込みを期待していたが、これではあまりに情けない。
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发表于 2006-2-27 10:09:58 | 显示全部楼层
2006年02月25日(土曜日)付2 w$ o- t2 q8 h1 h; ]* P8 E/ E  N
/ z: {. ?, a5 A" T; s- l
 プッチーニの歌劇「トゥーランドット」の舞台は、昔々の中国の北京だ。そこの美しい姫の名前がトゥーランドットで、婿選びを巡って筋が展開する。2 F: P* G7 r$ s

. d6 [2 N4 @# n+ [5 G/ d 姫が出す三つの謎を解かなければ、求婚者は殺される。ある国の王子がそれに挑む。「夜ごと生まれ朝には死んでしまうものは?」。王子は「希望です」と答える。次は「偉大な行為を思うとき燃え上がり、死を思えば冷めるものは?」。「血です」。「あなたを燃やす氷は?」という最後の問いにも「トゥーランドット!」と正答する。
+ }/ u$ @* j8 |/ y4 O6 D+ K$ G7 [) Q; y0 s* w) @
 今度は、王子が「私の名は?」と謎を出した。「答えられたら姫をあきらめるし、自分の命も捨てよう。期限は明朝……」(M・ルイス『三大テノール』)。
% m% k0 l9 T. C2 y; `1 Z4 a! r9 v, I: @. ]
 王子が自分の勝ちを確信して歌う曲が、トリノでフィギュアスケートの荒川静香選手が演技に使った「誰も寝てはならぬ」だ。「立ち去れ、おお、夜よ/急ぎ沈め、星々よ!/星よ沈め! 夜明けに私は勝つ! 私は勝つ!」
3 f* C# y* r* h$ g) q$ O$ l8 M4 u. I7 K7 j- Z! _
 荒川選手は、このメロディーに導かれるようにのびやかに滑り、跳び、そして勝った。しなやかに反り、あでやかに舞う。ひたむきで、しかも余裕すら感じさせた見事な金メダルの演技は、多くの人々の心に長く残るだろう。- w+ I. C" ]" e; J7 W

& v, B& _9 J" U8 b5 W9 ] しばし余韻にひたりつつ、こんな一節を思い浮かべた。「トリノは、愛の神が望み得るいっさいの魅力を女たちが持っているイタリアの町である」(『カザノヴァ回想録』窪田般彌訳)。世界からトリノに集った女性たちが、力を尽くして銀盤に描いた軌跡もまた、それぞれに美しかった。
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发表于 2006-2-27 10:10:38 | 显示全部楼层
2006年02月26日(日曜日)付7 |$ U% N: U7 w* ?8 Q, k5 T; X% k
. B( ]( i- N! Y- _6 v5 Y1 ^$ V
 花粉症用の医薬品を扱う企業数社がいま、くしゃみや鼻水の憂さを晴らす川柳を募集している。「花粉症笑ったあいつも今年から」。記録的な飛散量だった昨春、協和発酵(東京)に寄せられた句だ。前年まで患者をからかっていた知人がふいに仲間入り。古参患者の視線は冷たい。
3 y  \- g' P+ l8 X2 X
% e  b  C# C& j3 P1 _1 Y% h% L 「見てみたいある日とつぜん治る夢」は、米国系の医薬品会社シェリング・プラウ社(大阪)の入賞作の一つ。全快を夢見る人々の間でこの春一番の話題は「避粉旅行」だという。花粉の少ない土地へ一時的に逃れる。
5 ]  \. m/ @7 X3 |) t5 X* e; ^0 ?" p8 B' |: {2 s, s4 j" D
 たとえば北海道の上士幌(かみしほろ)町は一昨年から「免疫保養地」を名乗っている。「スギが一本もない町で快適な春を」。町役場が音頭をとり、滞在や移住を呼びかける。昨春主催した4泊5日のツアーには、10人の定員に276人が応募した。首都圏からの参加が多かった。
) D2 U8 e$ A9 E, ~: K* s4 [0 X' L/ \; C( P8 \$ J5 `6 V# r
 南の島々にも杉木立は少ない。石垣島や奄美大島でも、花粉疎開の旅が企画されている。「到着翌日から鼻が楽になった」「春に外で深呼吸したのは久しぶり」。昨年の参加者には好評だった。6 W- x4 Z$ o* O* h4 G/ s

9 ]+ L7 C  r, }& o/ K 環境省は今年、スギやヒノキの花粉飛散量を例年の3~8割と予報している。昨春よりしのぎやすそうだが、油断はできない。去年の大量飛散で、患者予備軍が増えたかもしれない。自覚のないまま体質が変わっていたら、ある日突然発症する。
! ], e; b" \4 G( i- c& |
1 e5 d. W3 C8 R しかも老若を問わない。「この歳で!?嘆いた祖母は82」とニチバン(東京)の入選作。晴れた日は外出もままならないが、降れば降ったで忙しい。「あっ雨だ今だ花見だ買い物だ」
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发表于 2006-2-27 10:11:02 | 显示全部楼层
2006年02月27日(月曜日)付
* |4 L9 n  ]. Z; ]6 t' ]
0 Z3 m( w9 x! l: Q  L: g' {9 g% q 福岡県に住む田中靖子さん(49)が長女のあやのさんとその弟2人で親子劇団をつくったのは、8年前のことだ。小学生だったあやのさんは学習障害と診断され、友達も少なく、さびしそうだった。かつてアマチュア劇団で舞台に立っていた田中さんは、一緒に劇をすることで元気づけようとした。( G3 ^, m; |* B$ l

4 n8 \) H( j* t; O7 J& t 幼い3姉弟の芝居は障害児の会などで人気を呼んだ。あやのさんはすっかり元気になった。こんなすてきなことを家族だけで続けるのはもったいない。そう考えて、2年後、児童劇団につくりかえた。
& t( b) _! w7 S3 S, Z
& n9 \' Q: Z# y: F9 \' y その「劇団きらきら」は「障害のある子もない子も一緒に」というのが特色だ。田中さんは「障害のある長女と障害のない弟たちで始めたので、自然な流れでした」と語る。4 ]( |# y* o/ P' ^

' O, y, z. {/ y& I* Q. d 今度の日曜日に福岡県宇美町で公演すると聞いて、けいこを見せてもらった。出しものは「絵本は友だち」だ。小学生から高校生までの約40人が元気にせりふを語り、動き回る。3分の1は何らかの障害があるというが、どの子もひとつに溶け込んでいる。
; w- h2 }/ S" P4 `  b- y3 s, ^
+ s4 o- u2 \# w+ N 劇は楽しいですか。自閉症で小学6年の須田勇人君は「すばらしい」と答えた。お母さんによると、せりふを覚えることで自信をつけたという。障害のある弟と参加している中学2年の坂口剛司君は「みんなで助け合いながらやるのが面白い」! o! T* v$ W5 @- x! H
* @; k& y, q( @( O) s4 |
 あやのさんは高等養護学校の2年になった。卒業すれば児童劇団にいるわけにはいかない。田中さんは「青年部」をつくった。大人の劇団への準備だ。いつまでも、みんなで演劇を続けたい。田中さんの夢はふくらむ。
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发表于 2006-2-28 13:03:01 | 显示全部楼层
2006年02月28日(火曜日)付- k2 h8 {( n6 u, ?
3 |: s( J" C3 r& p% [7 m( F4 s
 手の指先をすぼめて空に向けたような形の聖火台から、すっと炎が消える。トリノ冬季五輪の幕が閉じた。テレビ画面の濃い闇の向こうから、大会の幾つもの場面がよみがえってきた。
2 V1 K! C0 a4 P0 J! ~5 s
/ }+ x, O# c5 d2 n/ w6 \$ c8 ~. v 人々はアルプスを背にしたポー川のほとりの街に集い、雪と氷と風の中で競った。成功と勝利があり、失敗と敗北があった。歓喜と失意とがあった。様々な国の旗が翻り、獲得メダルの数が注目された。しかし国ごとの区別が五輪の眼目とは思えない。* ]* E- R7 e7 a$ i2 M% h* L

! v# e( [, l/ p4 @9 H" F やはり、記録と自らの限界に挑む選手たちの姿が胸に残る。それぞれの顔や手や足の動きに輝きが宿っていた。
& m1 q2 R$ i( N* B0 e; F$ U! l0 J* N$ G( i/ A
 その光をかげらせるものもある。商業主義や見せ物化、薬物汚染の根は深い。しかし、過去何よりもその輝きを奪ったのは戦争だった。1940年の「東京五輪」は幻に終わった。
; |% r; Q1 W& c8 J# M) X
+ X& r  N" S- [' i2 R3 _" I 同じ時代にトリノで、反ファシズム活動を理由に逮捕された詩人チェーザレ・パベーゼが流刑地で書いた。「今日という日に川から霧が湧いて、美しく/都会へ流れこむ……帰ってくる価値はあるのだ、たとえ変り果てても」。遠い獄舎でトリノを思っている(河島英昭『叙事詩の精神』岩波書店)。
: t) x& x* d1 W4 _3 v6 S  _6 ?- @. ?, S% I' M/ L9 M+ n% d4 e
 そんな歴史もあるこの街で昨秋、ポー川のほとりに立った。そばには釣り糸をたれる人が居た。白くにごった水がゆったりと流れてゆく。ファシズムと戦争がこの地を覆った時代を思いながら、「平和の祭典」を慌ただしく準備する街を歩いた。大会を無事に終えて聖火が消えたトリノの街に、詩人の夢見た穏やかなたたずまいは、もう戻ってきただろうか。
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发表于 2006-3-3 10:09:56 | 显示全部楼层
2006年03月01日(水曜日)付
5 e. h8 a; E0 o3 R5 u4 g; @( e, |' c6 R
 宛(あて)先のところが黒く塗りつぶされている。発信元も塗りつぶされている。そんな電子メールのコピーを前にして、どうして本物だという確証が持てたのだろうか。昨日、ライブドアの「送金メール」問題をめぐる民主党の永田寿康衆院議員の会見の中継を見ていて、幾つもの疑問がわいた。
/ T9 e2 Y+ x' _  |1 }( Y! J3 Z9 v6 B! J' P: r7 G
 永田議員によれば、メールは、元々の情報提供者から仲介した人物を通して持ち込まれたという。「仲介者」は、メールの発信元は堀江貴文・ライブドア前社長だが、ごくわずかの人を相手にする時のアドレス名だから明らかにできないと言っていたという。4 U( i3 |! w% D+ e. k- G& a

) W" K9 L' I$ f3 n( Z8 s' j 情報提供者については、存在するかどうかも含めいまだに不明だ。これでは、怪文書を国会の場に持ち出したと言われても仕方がない。永田議員はメールの信憑(しんぴょう)性が立証できなかったと述べたが、民主党は、騒ぎが落ち着いた後も経緯を調べて、国民の前に示す必要がある。8 H, X1 ^/ k6 g
& p" U8 |+ K# J# p
 「神、宿命、運命、運勢、または近所の人の肩へとたやすく移ってしまう離れ易い負担」。アメリカの新聞記者だったアンブローズ・ビアスの著した警句集『悪魔の辞典』(創土社)の「責任」の項には、そうある。8 _* J4 ~# L8 D% n

$ v! a  S+ a% e, B+ J 今の民主党の責任とは何か。国会を混乱させたことについての党内の責任の取り方にだけかまけているのは許されない。+ s* G# w  y7 Z9 T  U! j& ~
6 R  B% D! Z3 m
 国政の幾つもの問題で受け身になっていた自民党は、これで追及がかわせると考えるかも知れない。しかし、この失態で問題が帳消しになるはずもない。立て直して、それらの問題をきちんと追及するのが民主党の責務ではないか。
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发表于 2006-3-3 10:10:20 | 显示全部楼层
2006年03月02日(木曜日)付2 u9 K! F  Z) x7 R/ e

7 ?. E9 R: B7 r; \# }7 h$ t 最近の言葉から。沖縄県宜野湾市の米軍基地職員ロン・フーラさんは、沖縄戦で没した日本人の遺骨や遺品を21年間探し続けている。「人間はみな同じ。国や政治は関係ない。遺骨や遺品を待つ家族がいるから私にできることを続けたい」
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 中国残留婦人らが国の責任を問うた訴訟で、東京地裁は政治的責務の怠慢があったことを認めつつも請求を退けた。「判決は残念というより、無念。祖国とは何なのか。本当に情けない……息がある限り頑張る」と原告の鈴木則子さん。0 e& m/ n( |+ E1 }: Q; r8 W$ Q$ T$ \
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 戦時中の言論弾圧事件「横浜事件」の再審で横浜地裁が示した裁判打ち切りの免訴判決に、元被告の妻木村まきさんが語る。「免訴はずるい。どこまでも逃げ切ろうとしている」
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 寺からの仏像盗難が続いた。警備強化の動きがある一方で奈良・法隆寺の古谷正覚執事長が言う。「仏教は基本的に性善説。お参りにきていただいた人を疑ってかかることはしません。防犯カメラを不快に感じる方もいるでしょう」4 ^" k9 R8 t" L$ y, c% A
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 子どもを守る試みが各地で続く。99年に小2の男児が殺された京都市立日野小では校門は開いたままだ。「驚くでしょ」と坂野治利校長。一度は閉めたが、地域の人が出入りさせてと望んだ。「人を守るのは人でしかない。門を開けて、逆に事件のあった学校だと訴え続けたい」! I3 e. X! R( Z# [7 B
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 トリノ冬季五輪のカーリング女子で「チーム青森」が強豪と互角に勝負した。小野寺歩さんが少しはにかみながら言った。「日本で盛り上がっていると聞いてうれしい。それが自分にとって、メダル以上のものだと思える」
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发表于 2006-3-3 10:10:42 | 显示全部楼层
2006年03月03日(金曜日)付
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 会社にせよ、役所にせよ、もろもろの組織には内輪もめがつきまとう。そこでは、いつもは隠れている人間の業があらわになっていて、正視しづらいものがある。
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 役職の階段を上りながら、周りを敵と味方に色分けして勢力の拡大を図る。自らの今と将来のために突き進むことが横行すれば、組織は乱れる。乱れた時には、やはり役職者の心構えに戻ることだろう。例えば、役職は「授かりもの」であり、それに伴って受け取る人材は「預かりもの」、という考え方だ。
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 しかし、人間とは弱いものだ。役職は「取りにゆくもの」で組織は「わがもの」という手合いが支配する時もあるだろう。「取るもの・わがもの」の時代が長く続いたのでは、いずれ行き詰まる。
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 組織が行き詰まり、内紛が一気に噴きだした日本航空では、過去にどんな経営が行われてきたのだろうか。「連判状」まで飛び出した内紛は、劇としては目を引くが、外からは、利用者をないがしろにしているように見える。その会社が飛ばす飛行機に、本当に安心して乗れるのかと、一抹の不安を覚える人も少なくないだろう。\; K; q( l6 S/ |, e! Q# E' v% C1 Y* ?
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 経営が行き詰まった会社が再生するには、必死で生まれ変わるしかない。それでも、倒産するところがある。日航には、すべてひっくるめて2兆円にものぼる有利子債務があり、客離れも進んでいる。今のままでは、先が危うい。4 H/ q  k. B" ]
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 ギリシャ神話のイカロスは、太陽に近づきすぎて翼のろうが溶けて墜落した。半世紀余り飛び続けてきた日航の翼は、地上の争いがもとで、溶け落ちかねない。
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发表于 2006-3-5 20:33:40 | 显示全部楼层
2006年03月04日(土曜日)付+ ~1 e+ r' ]' z. x, D* I- _

5 q; E/ Y( E7 u  W  l& j. e% S# q 「子供のころ、男の子のくせに、端午(たんご)の節句よりも、桃の節句の方が好きだった」。母が嫁入りの時に持ってきた雛(ひな)人形は「長い年月の埃(ほこり)と黴(かび)の匂いがした。——私は、それが好きだったのかもしれない」。自著『昭和恋々 パートII』(清流出版)にこう書いた演出家で作家の久世光彦さんが70歳で亡くなった。
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* b4 b- d& y5 ?9 h テレビドラマ「寺内貫太郎一家」に出演した小林亜星さんは、心のひだの裏側を理屈でなく分かる人だったと惜しんだ。確かに人生の機微を切れのいい文章でつづり、卓抜なテレビドラマにした。描いたものは人々の心のひだであり、時代のひだでもあった。% w" _! I) ^7 f6 p6 `2 F/ h
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 改めて幾つかの著書を開くと、そのひだの数々が現れる。三輪車、木造校舎、縁側、汽車、番傘、割烹着(かっぽうぎ)……。時とともに身の回りから消えていったものが巧みな筆でよみがえる。7 F7 l0 j% M) q. d$ x

) a9 Q! Z5 X) I1 r8 o! Y8 g 「冬の朝、布団の中で目を覚ますと、いろんな匂いがしたものだ。台所から廊下伝いに漂ってくる味噌汁の匂い、うっすらと垣根の山茶花(さざんか)の香り、その中に交じって焚火(たきび)の煙の匂いもあった」。写真と文を組み合わせた「焚火」の一節だ。5 R/ x* M1 u7 x

1 X) t( h8 l, u6 S 古物屋の大時計の写真の脇には、こう記されている。「街にしても建物にしても、そして人の一生にしても、すべての物語の主役は——〈歳月〉である」& Y- n% D/ i* M; J  i5 o

! ~$ m  e# c! x* W2 u5 j: M8 W いっときも止まらずに流れてゆく年月の中で、記憶にある日々を形にしてとどめ、後の世代に伝えようと力を尽くした。久世さんは、いわば昭和という名の列車にともる後尾灯だった。一筋の光跡を描きながら、その列車が遠ざかってゆく。
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