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[好书连载] 哈利波特日文版 「ハリー・ポッターと賢者の石」(完结)

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 楼主| 发表于 2006-8-22 23:44:40 | 显示全部楼层
第17章 二つの顔を持つ男
CHAPTER SEVENTEEN The Man with Two Faces

 そこにいたのはクィレルだった。
「あなたが!」ハリーは息をのんだ。
 クィレルは笑いを浮かべた。その顔はいつもと違い、痙攣などしていなかった。
「私だ」落ち着き払った声だ。「ポッター、君にここで会えるかもしれないと思っていたよ」
「でも、僕は……スネイプだとばかり……」
「セブルスか?」
 クィレルは笑った。いつものかん高い震え声ではなく、冷たく鋭い笑いだった。
「確かに、セブルスはまさにそんなタイプに見える。彼が育ち過ぎたこうもりみたいに飛び回ってくれたのがとても役に立った。スネイプのそばにいれば、誰だって、か、かわいそうな、ど、どもりの、ク、クィレル先生を疑いやしないだろう?」
 ハリーは信じられなかった。こんなはずはない。これは間違いだ。
「でもスネイプは僕を殺そうとした!」
「いや、いや、いや。殺そうとしたのは私だ。あのクィディッチの試合で、君の友人のミス・グレンジャーがスネイプに火をつけようとして急いでいた時、たまたま私にぶつかって私は倒れてしまった。それで君から目を離してしまったんだ。もう少しで箒から落としてやれたんだが。君を救おうとしてスネイプが私のかけた呪文を解く反対呪文を唱えてさえいなければ、もっと早く叩き落とせたんだ」
「スネイプが僕を救おうとしていた?」
「そのとおり」
 クィレルは冷たく言い放った。
「彼がなぜ次の試合で審判を買って出たと思うかね? 私が二度と同じことをしないようにだよ。まったく、おかしなことだ……そんな心配をする必要はなかったんだ。ダンブルドアが見ている前では、私は何もできなかったのだから。ほかの先生方は全員、スネイプがグリフィンドールの勝利を阻止するために審判を申し出たと思った。スネイプは憎まれ役を買って出たわけだ……ずいぶんと時間をムダにしたものよ。どうせ今夜、私がおまえを殺すのに」
 クィレルが指をパチッとならした。縄がどこからともなく現れ、ハリーの体に固く巻きついた。
「ポッター、君はいろんな所に首を突っ込み過ぎる。生かしてはおけない。ハロウィーンの時もあんなふうに学校中をチョロチョロしおって。『賢者の石』を守っているのが何なのかを見に私が戻ってきた時も、君は私を見てしまったかもしれない」
「あなたがトロールを入れたのですか?」
「さよう。私はトロールについては特別な才能がある……ここに来る前の部屋で、私が倒したトロールを見たね。残念なことに、あの時、皆がトロールを探して走り回っていたのに、私を疑っていたスネイプだけが、まっすぐに四階に来て私の前に立ちはだかった……私のトロールが君を殺しそこねたばかりか、三頭犬はスネイプの足をかみ切りそこねた。
 さあポッター、おとなしく待っておれ。このなかなかおもしろい鏡を調べなくてはならないからな」
 その時初めてハリーはクィレルの後ろにあるものに気がついた。あの「みぞの鏡」だった。
「この鏡が『石』を見つける鍵なのだ」
 クィレルは鏡の枠をコツコツ叩きながらつぶやいた。
「ダンブルドアなら、こういうものを考えつくだろうと思った……しかし、彼は今ロンドンだ……帰ってくる頃には、私はとっくに遠くに行ってしまう……」
 ハリーにできることは、とにかくクィレルに話し続けさせ、鏡に集中できないようにすることだ。それしか思いつかない。
「僕、あなたが森の中でスネイプと一緒にいるところを見た……」
 ハリーが出し抜けに言った。
「ああ」
 クィレルは鏡の裏側に回り込みながらいいかげんな返事をした。
「スネイプは私に目をつけていて、私がどこまで知っているかを確かめようとしていた。初めからズーッと私のことを疑っていた。私を脅そうとしたんだ。私にはヴォルデモート卿がついているというのに……それでも脅せると思っていたのだろうかね」
 クィレルは鏡の裏を調べ、また前に回って、食い入るように鏡に見入った。
「『石』が見える……ご主人様にそれを差し出しているのが見える……でもいったい石はどこだ?」
 ハリーは縄をほどこうともがいたが、結び目は固かった。なんとかしてクィレルの注意を鏡からそらさなくては。
「でもスネイプは僕のことをずーっと憎んでいた」
「ああ、そうだ」
 とクィレルがこともなげに言った。
「まったくそのとおりだ。おまえの父親と彼はホグワーツの同窓だった。知らなかったか? 互いに毛嫌いしていた。だがおまえを殺そうなんて思わないさ」
「でも二、三日前、あなたが泣いているのを聞きました……スネイプが脅しているんだと思った」
 クィレルの顔に初めて恐怖がよぎった。
「時には、ご主人様の命令に従うのが難しいこともある……あの方は偉大な魔法使いだし、私は弱い……」
「それじゃ、あの教室で、あなたは『あの人』と一緒にいたんですか?」
 ハリーは息をのんだ。
「私の行くところ、どこにでもあの方がいらっしゃる」
 クィレルが静かに言った。
「世界旅行をしている時、あの方に初めて出会った。当時私は愚かな若輩だったし、善悪についてバカげた考えしか持っていなかった。ヴォルデモート卿は私がいかに誤っているかを教えてくださった。善と悪が存在するのではなく、力と、力を求めるには弱すぎる者とが存在するだけなのだと……それ以来、私はあの方の忠実な下僕になった。もちろんあの方を何度も失望させてしまったが。だから、あの方は私にとても厳しくしなければならなかった」
 突然クィレルは震えだした。
「過ちは簡単に許してはいただけない。グリンゴッツから『石』を盗みだすのにしくじった時は、とてもご立腹だった。私を罰した……そして、私をもっと間近で見張らないといけないと決心なさった……」
 クィレルの声が次第に小さくなっていった。ハリーはダイアゴン横丁に行った時のことを思い出していた――なんで今まで気がつかなかったんだろう? ちょうどあの日にクィレルに会っているし、「漏れ鍋」で握手までしたじゃないか。
 クィレルは低い声でののしった。
「いったいどうなってるんだ……『石』は鏡の中に埋まっているのか? 鏡を割ってみるか?」
 ハリーはめまぐるしくいろいろなことを考えていた。
 ――今、なによりも執しいのは『石』だ。クィレルより先に『賢者の石』を見つけたい。だからもし今鏡を見れば、『石』を見つけた自分の姿が映るはずだ。つまり、『石』がどこにあるかが見えるはずだ! クィレルに悟られないように鏡を見るにはどうしたらいいんだろう?
 ハリーはクィレルに気づかれないように鏡の前に行こうと、左の方ににじり寄ったが、縄がくるぶしをきつく縛っているので、つまずいて倒れてしまった。クィレルはハリーを無視してブツブツ独り言を言い続けていた。
「この鏡はどういう仕掛けなんだ? どういう使い方をするんだろう? ご主人様、助けてください!」
 別の声が答えた。しかも声はクィレル自身から出てくるようだった。ハリーはゾッとした。
「その子を使うんだ……その子を使え……」
 クィレルが突然ハリーの方を向いた。
「わかりました……ポッター、ここへ来い」
 手を一回パンと打つと、ハリーを縛っていた縄が落ちた。
 ハリーはノロノロと立ち上がった。
「ここへ来るんだ」
 クィレルが言った。
「鏡を見て何が見えるかを言え」
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 楼主| 发表于 2006-8-22 23:44:59 | 显示全部楼层
 ハリーはクィレルの方に歩いていった。
 (嘘をつかなくては)ハリーは必死に考えた。(鏡に何が見えても、嘘を言えばいい)
 クィレルがハリーのすぐ後ろに回った。変な匂いがした。クィレルのターバンから出る匂いらしい。ハリーは目を閉じて鏡の前に立ち、そこで目を開けた。
 青白く脅えた自分の姿が目に入った。次の瞬間、鏡の中のハリーが笑いかけた。鏡の中のハリーがポケットに手を突っ込み、血のように赤い石を取り出した。そしてウインクをするとまたその石をポケットに入れた。すると、そのとたん、ハリーは自分のポケットの中に何か重いものが落ちるのを感じた。なぜか――信じられないことに――ハリーは『石』を手に入れてしまった。
「どうだ?」クィレルが待ちきれずに聞いた。「何が見える?」
 ハリーは勇気を奮い起こした。
「僕がダンブルドアと握手をしているのが見える」
 作り話だ。
「僕……僕のおかげでグリフィンドールが寮杯を獲得したんだ」
「そこをどけ」クィレルがまたののしった。
 ハリーは「賢者の石」が脚に触れているのを感じた。思いきって逃げ出そうか? しかし、ほんの五歩も歩かないうちに、クィレルが唇を動かしていないのに高い声が響いた。
「こいつは嘘をついている……嘘をついているぞ……」
「ポッター、ここに戻れ! 本当のことを言うんだ。今、何が見えたんだ?」
 クィレルが叫んだ。再び高い声がした。
「わしが話す……直に話す……」
「ご主人様、あなた様はまだ十分に力がついていません!」
「このためなら……使う力がある……」
「悪魔の罠」がハリーをその場に釘づけにしてしまったような感じだった。ハリーは指一本動かせなくなってしまった。クィレルがターバンをほどくのを、ハリーは石のように硬くなったままで見ていた。何をやってるんだろう? ターバンが落ちた。ターバンをかぶらないクィレルの頭は、奇妙なくらい小さかった。クィレルはその場でゆっくりと体を後ろ向きにした。
 ハリーは悲鳴を上げるところだった。が、声が出なかった。クィレルの頭の後ろにはもう一つの顔があった。ハリーがこれまで見たこともないほどの恐ろしい顔が。蝋のように白い顔、ギラギラと血走った目、鼻孔はヘビのような裂け目になっていた。
「ハリー・ポッター……」
 声がささやいた。ハリーは後ずさりしようとしたが、足が動かなかった。
「このありさまを見ろ」
 顔が言った。
「ただの影と霞に過ぎない……誰かの体を借りて初めて形になることができる……しかし、常に誰かが、喜んでわしをその心に入り込ませてくれる……この数週間は、ユニコーンの血がわしを強くしてくれた……忠実なクィレルが、森の中で私のために血を飲んでいるところを見ただろう……命の水さえあれば、わしは自身の体を創造することができるのだ……さて……ポケットにある『石』をいただこうか」
 彼は知っていたんだ。突然足の感覚が戻った。ハリーはよろめきながら後ずさりした。
「バカな真似はよせ」
 顔が低く唸った。
「命を粗末にするな。わしの側につけ……さもないとおまえもおまえの両親と同じ目に会うぞ……二人とも命乞いをしながら死んでいった……」
「嘘だ!」ハリーが突然叫んだ。
 ヴォルデモートがハリーを見たままでいられるように、クィレルは後ろ向きで近づいてきた。
 邪悪な顔がニヤリとした。
「胸を打たれるねぇ……」顔が押し殺したような声を出した。
「わしはいつも勇気を称える……そうだ、小僧、おまえの両親は勇敢だった……わしはまず父親を殺した。勇敢に戦ったがね……しかしおまえの母親は死ぬ必要はなかった……母親はおまえを守ろうとしたんだ……母親の死をムダにしたくなかったら、さあ『石』をよこせ」
「やるもんか!」ハリーは炎の燃えさかる扉に向かってかけ出した。
「捕まえろ!」
 ヴォルデモートが叫んだ。次の瞬間、ハリーはクィレルの手が自分の手首をつかむのを感じた。そのとたん、針で刺すような鋭い痛みが額の傷跡を貴いた。頭が二つに割れるかと思うくらいだった。ハリーは悲鳴を上げ、力を振り絞ってもがいた。驚いたことに、クィレルはハリーの手を離した。額の痛みが和らいだ……クィレルがどこに行ったのか、ハリーはそこら中を見回した。クィレルは苦痛に体を丸め、自分の指を見ていた……見るみるうちに指に火ぶくれができた。
「捕まえろ! 捕まえろ!」
 ヴォルデモートがまたかん高く叫んだ。クィレルが跳びかかり、ハリーの足をすくって引き倒し、ハリーの上にのしかかって両手をハリーの首にかけた……額の傷の痛みでハリーは目が眩んだが、それでも、クィレルが激しい苦痛でうなり声を上げるのが見えた。
「ご主人様、ヤツを押さえていられません……手が……私の手が!」
 クィレルは膝でハリーを地面に押さえつけてはいたが、ハリーの首から手を離し、いぶかしげに自分の手の平を見つめていた……ハリーの目に、真っ赤に焼けただれ、皮がベロリとむけた手が見えた。
「それなら殺せ、愚か者め、始末してしまえ!」
 ヴォルデモートが鋭く叫んだ。クィレルは手を上げて死の呪いをかけはじめた。ハリーはとっさに手を伸ばし、クィレルの顔をつかんだ。
「あああアアァ!」
 クィレルが転がるようにハリーから離れた。顔も焼けただれていた。ハリーにはわかった。
 クィレルはハリーの皮膚に直接触れることはできないのだ。触れればひどい痛みに責めさいなまれる……クィレルにしがみつき、痛みのあまり呪いをかけることができないようにする――それしか道はない。
 ハリーは跳び起きて、クィレルの腕を捕まえ、力のかぎり強くしがみついた。クィレルは悲鳴をあげ、ハリーを振りほどこうとした……ハリーの額の痛みはますますひどくなった……何も見えない……クィレルの恐ろしい悲鳴とヴォルデモートの叫びが聞こえるだけだ。
「殺せ! 殺せ!」
 もう一つ別の声が聞こえた。ハリーの頭の中で聞こえたのかもしれない。叫んでいる。
「ハリー! ハリー!」
 ハリーは固く握っていたクィレルの腕がもぎ取られていくのを感じた。すべてを失ってしまったのがわかった。ハリーの意識は闇の中へと落ちて行った。下へ……下へ……下へ……
 ハリーのすぐ上で何か金色の物が光っていた。スニッチだ! 捕まえようとしたが、腕がとても重い。
 瞬きをした。スニッチではなかった。メガネだった。おかしいなあ。
 もういっぺん瞬きをした。ハリーの上にアルバス・ダンブルドアのにこやかな顔がスイーッと現れるのが見えた。
「ハリー、こんにちは」
 ダンブルドアの声だ。ハリーはダンブルドアを見つめた。記憶がよみがえった。
「先生~『石』! クィレルだったんです。クィレルが『石』を持っています。先生! 早く……」
「落ち着いて、ハリー。君は少ーし時間がズレとるよ。クィレルは『石』を持っとらん」
「じゃあ誰が? 先生、僕…」
「ハリー、いいから落ち着きなさい。でないとわしがマダム・ポンフリーに追い出されてしまう」
 ハリーはゴクッと唾を飲み込み、周りを見回した。医務室にいるらしい。白いシーツのべッドに横たわり、脇のテーブルには、まるで菓子屋が半分そっくりそこに引っ越してきたかのように、甘いものが山のように積み上げられていた。
「君の友人や崇拝者からの贈り物だよ」
 ダンブルドアがニッコリした。
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 楼主| 发表于 2006-8-22 23:45:24 | 显示全部楼层
「地下で君とクィレル先生との間に起きたことは『秘密』でな。秘密ということはつまり、学校中が知っているというわけじゃ。君の友達のミスター・フレッド、ミスター・ジョージ・ウィーズリーは、たしか君にトイレの便座を送ったのう。君がおもしろがると思ったんじゃろう。だが、マダム・ポンフリーがあんまり衛生的ではないといって没収してしまった」
「像はここにどのくらいいるんですか?」
「三日間じゃよ。ミスター・ロナルド・ウィーズリーとミス・グレンジャーは君が気がついたと知ったらホッとするじゃろう。二人ともそれはそれは心配しておった」
「でも先生、『石』は……」
「君の気持をそらすことはできないようだね。よかろう。『石』だが、クィレル先生は君から石を取り上げることができなかった。わしがちょうど間に合って、食い止めた。しかし、君は一人で本当によくやった」
「先生があそこに? ハーマイオニーのふくろう便を受け取ったんですね?」
「いや、空中ですれ違ってしまったらしい。ロンドンに着いたとたん、わしがおるべき場所は出発してきた所だったとはっきり気がついたんじゃ。それでクィレルを君から引き離すのにやっと間に合った……」
「あの声は、先生だったんですか」
「遅すぎたかと心配したが」
「もう少しで手遅れのところでした。あれ以上長くは『石』を守ることはできなかったと思います……」
「いや、『石』ではなくて、ハリー、大切なのは君じゃよ……君があそこまで頑張ったことで危うく死ぬところだった。一瞬、もうだめかと、わしは肝を冷やしたよ。『石』じゃがの、あれはもう壊してしまった」
「壊した?」ハリーは呆然とした。
「でも、先生のお友達……ニコラス・フラメルは……」
「おお、ニコラスを知っているのかい?」
 ダンブルドアがうれしそうに言った。
「君はずいぶんきちんと調べて、あのことに取り組んだんだね。わしはニコラスとおしゃべりしてな、こうするのが一番いいということになったんじゃ」
「でも、それじゃニコラスご夫妻は死んでしまうんじゃありませんか?」
「あの二人は、身辺をきちんと整理するのに十分な命の水を蓄えておる。それから、そうじゃ、二人は死ぬじゃろう」
 ハリーの驚いた顔を見て、ダンブルドアがほほえんだ。
「君のように若い者にはわからんじゃろうが、ニコラスとペレネレにとって、死とは長い一日の終わりに眠りにつくようなものだ。結局、きちんと整理された心を持つ者にとっては、死は次の大いなる冒険に過ぎないのじゃ。よいか、『石』はそんなにすばらしいものではないのじゃ。欲しいだけのお金と命だなんて! 大方の人間が何よりもまずこの二つを選んでしまうじゃろう……困ったことに、どういうわけか人間は、自らにとって最悪のものを欲しがるくせがあるようじや」
 ハリーは黙って横たわっていた。ダンブルドアは鼻歌を歌いながら天井の方を向いてほほえんだ。
「先生、ずーっと考えていたことなんですが……先生、『石』がなくなってしまっても、ヴォル……あの、『例のあの人』が……」
「ハリー、ヴォルデモートと呼びなさい。ものには必ず適切な名前を使いなさい。名前を恐れていると、そのもの自身に対する恐れも大きくなる」
「はい、先生。ヴォルデモートは他の手段でまた戻って来るんじゃありませんか。つまりいなくなってしまったわけではないですよね?」
「ハリー。いなくなったわけではない。どこかに行ってしまっただけじゃ。誰か乗り移る体を探していることじやろう。本当に生きているわけではないから、殺すこともできん。クィレルを死なせてしまった。自分の家来を、敵と同じように情け容赦なく扱う。それはさておきハリー、おまえがやったことはヴォルデモートが再び権力を手にするのを遅らせただけかもしれん。そして次に誰かがまた、一見勝ち目のない戦いをしなくてはならないのかもしれん。しかし、そうやって彼のねらいが何度も何度もくじかれ、遅れれば……そう、彼は二度と権力を取り戻すことができなくなるかもしれん」
 ハリーはうなずいた。でも頭が痛くなるので、すぐにうなずくのをやめた。
「先生、僕、他にも、もし先生に教えていただけるなら、知りたいことがあるんですけど……真実を知りたいんです……」
「真実か」
 ダンブルドアがため息をついた。
「それはとても美しくも恐ろしいものじゃ。だからこそ注意深く扱わなければなるまい。しかし、答えない方がいいというはっきりした理由がないかぎり、答えてあげよう。答えられない理由がある時には許してほしい。もちろん、わしは嘘はつかん」
「ヴォルデモートが母を殺したのは、僕を彼の魔手から守ろうとしたからだと言っていました。でも、そもそもなんで僕を殺したかったんでしょう?」
 ダンブルドアが今度は深いため息をついた。
「おお、なんと、最初の質問なのにわしは答えてやることができん。今日は答えられん。今はだめじゃ。時が来ればわかるじゃろう……ハリー、今は忘れるがよい。もう少し大きくなれば……こんなことは聞きたくないじゃろうが……その時が来たらわかるじゃろう」
 ハリーには、ここで食い下がってもどうにもならないということがわかった。
「でも、どうしてクィレルは僕に触われなかったんですか」
「君の母上は、君を守るために死んだ。ヴォルデモートに理解できないことがあるとすれば、それは愛じゃ。君の母上の愛情が、その愛の印を君に残していくほど強いものだったことに、彼は気づかなかった。傷跡のことではない。目に見える印ではない……それほどまでに深く愛を注いだということが、たとえ愛したその人がいなくなっても、永久に愛されたものを守る力になるのじゃ。それが君の肌に残っておる。クィレルのように憎しみ、欲望、野望に満ちた者、ヴォルデモートと魂を分け合うような者は、それがために君に触れることができんのじゃ。かくもすばらしいものによって刻印された君のような者に触れるのは、苦痛でしかなかったのじゃ」
 ダンブルドアはその時、窓辺に止まった小鳥になぜかとても興味を持って、ハリーから目をそらした……そのすきにハリーはこっそりシーツで涙を拭うことができた。そしてやっと声が出るようになった時、ハリーはまた質問した。
「あの『透明マント』は……誰が僕に送ってくれたか、ご存知ですか?」
「ああ……君の父上が、たまたま、わしに預けていかれた。君の気に入るじゃろうと思ってな」
 ダンブルドアの目がキラキラッとした。
「便利なものじゃ。君の父上がホグワーツに在学中は、もっぱらこれを使って台所に忍び込み、食べ物を失敬したものじゃ」
「そのほかにもお聞きしたいことが……」
「どんどん開くがよい」
「クィレルが言うには、スネイプが」
「ハリー、スネイプ先生じゃろう」
「はい。その人です……クィレルが言ったんですが、彼が僕のことを憎むのは、僕の父を憎んでいたからだと。それは本当ですか?」
「そうじゃな、お互いに嫌っておった。君とミスター・マルフォイのようなものだ。そして、君の父上が行ったあることをスネイプは決して許せなかった」
「なんですか?」
「スネイプの命を救ったんじゃよ」
「なんですって?」
「さよう……」ダンブルドアは夢見るように話した。
「人の心とはおかしなものよ。のう? スネイプ先生は君の父上に借りがあるのが我慢ならなかった……この一年間、スネイプは君を守るために全力を尽くした。これで父上と五分五分になると考えたのじゃ。そうすれば、心安らかに再び君の父上の思い出を憎むことができる、とな……」
 ハリーは懸命に理解しょうとしたが、また頭がズキズキしてきたので考えるのをやめた。
「先生もう一つあるんですが?」
「もう一つだけかい?」
「僕はどうやって鏡の中から『石』を取り出したんでしょう?」
「おぉ、これは聞いてくれてうれしいのう。例の鏡を使うのはわしのアイデアの中でも一段とすばらしいものでな、ここだけの秘密じゃが、実はこれがすごいんじゃ。つまり『石』を見つけたい者だけが――よいか、見つけたい者であって、使いたい者ではないぞ――それを手に入れることができる。さもなければ、鏡に映るのは、黄金を作ったり、命の水を飲む姿だけじや。わしの脳みそは、時々自分でも驚くことを考えつくものよ……さあ、もう質問は終り。そろそろこのお菓子に取りかかってはどうかね。あっ! パーティー・ボッツの百味ビーンズがある! わしゃ若い時、不幸にもゲロの味に当たってのう。それ以来あまり好まんようになってしもうたのじゃ……でもこのおいしそうなタフィーなら大丈夫だと思わんか」
 ダンブルドアはニコッとして、こんがり茶色のビーンを口に放り込んだ。とたんにむせかえってしまった。
「なんと、耳くそだ!」
 校医のマダム・ポンフリーはいい人だったが、とても厳しかった。
「たったの五分でいいから」とハリーが懇願した。
「いいえ。絶対にいけません」
「ダンブルドア先生は入れてくださったのに……」
「そりゃ、校長先生ですから、ほかとは違います。あなたには休息が必要なんです」
「僕、休息してます。ほら、横になってるし。ねえ、マダム・ポンフリーお願い……」
「仕方ないわね。でも、五分だけですよ」
 そして、ロンとハーマイオニーは病室に入れてもらえた。
「ハリー!」
 ハーマイオニーは今にもまた両手でハリーを抱きしめそうだった。でも、思い留まってくれたので、頭がまだひどく痛むハリーはホッとした。
「あぁ、ハリー。私たち、あなたがもうダメかと……ダンブルドア先生がとても心配してらっしゃったのよ……」
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 楼主| 发表于 2006-8-22 23:45:46 | 显示全部楼层
「学校中がこの話でもちきりだよ。本当は何があったの?」とロンが聞いた。
 事実が、とっぴな噂話よりもっと不思議でドキドキするなんて、めったにない。しかし、この事実こそまさにそれだった。ハリーは二人に一部始終を話して聞かせた。クィレル、鏡、賢者の石、そしてヴォルデモート。ロンとハーマイオニーは聞き上手だった。ここぞという時に、ハッと息をのみ、クィレルのターバンの下に何があったかを話した時は、ハーマイオニーが大きな悲鳴を上げた。
「それじゃ『石』はなくなってしまったの? フラメルは……死んじゃうの?」
 最後にロンが尋ねた。
「僕もそう言ったんだ。でも、ダンブルドア先生は……ええと、なんて言ったっけかな……『整理された心を持つ者にとっては、死は次の大いなる冒険に過ぎない』と」
「だからいつも言ってるだろう。ダンブルドアは狂ってるって」
 と、ロンは自分の尊敬するヒーローの調子っぱずれぶりにひどく感心したようだった。
「それで君たち二人の方はどうしたんだい?」ハリーが聞いた。
「えぇ、私、ちゃんと戻れたわ。私、ロンの意識を回復させて……ちょっと手間がかかったけど……そしてダンブルドアに連絡するために、二人でふくろう小屋に行ったら、玄関ホールで本人に会ったの……。ダンブルドアはもう知っていたわ……『ハリーはもう追いかけて行ってしまったんだね』とそれだけ言うと、矢のように四階にかけていったわ」
「ダンブルドアは君がこんなことをするように仕向けたんだろうか? だって君のお父さんのマントを送ったりして」
 とロンが言った。
「もしも……」
 ハーマイオニーがカッとなって言った。
「もしも、そんなことをしたんだったら……言わせてもらうわ……ひどいじゃない。ハリーは殺されてたかもしれないのよ」
「ううん、そうじゃないさ」
 ハリーが考えをまとめながら答えた。
「ダンブルドアって、おかしな人なんだ。たぶん、僕にチャンスを与えたいって気持があったんだと思う。あの人はここで何が起きているか、ほとんどすべて知っているんだと思う。僕たちがやろうとしていたことを、相当知っていたんじゃないのかな。僕たちを止めないで、むしろ僕たちの役に立つよう必要なことだけを教えてくれたんだ。鏡の仕組みがわかるように仕向けてくれたのも偶然じゃなかったんだ。僕にそのつもりがあるのなら、ヴォルデモートと対決する権利があるって、あの人はそう考えていたような気がする……」
「あぁ、ダンブルドアってまったく変わっているよな」
 ロンが誇らしげに言った。
「明日は学年末のパーティーがあるから元気になって起きてこなくちゃ。得点は全部計算がすんで、もちろんスリザリンが勝ったんだ。君が最後のクィディッチ試合に出られなかったから、レイプンクローにこてんぱんにやられてしまったよ。でもごちそうはあるよ」
 その時マダム・ポンフリーが勢いよく入ってきて、キッパリと言った。
「もう十五分も経ちましたよ。さあ、出なさい」

 その夜はグッスリ寝たので、ハリーはほとんど回復したように感じた。
「パーティーに出たいんですけど。行ってもいいでしょうか」
 山のような菓子の箱を片づけているマダム・ポンフリーにハリーは頼んだ。
「ダンブルドア先生が行かせてあげるようにとおっしゃいました」
 マダム・ポンフリーは鼻をフンと鳴らした。ダンブルドア先生はパーティーの危険性をご存知ないとでも言いたげだった。
「ああそれから、また面会の人が来てますよ」
「うれしいなぁ。誰?」
 ハリーの言葉が終わらないうちに、ハグリッドがドアから体を斜めにして入ってきた。部屋の中では、ハグリッドはいつも場違いなほど大きく見える。ハリーの隣に座ってチラッと顔を見るなり、ハグリッドはオンオンと泣き出してしまった。
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 楼主| 发表于 2006-8-22 23:46:22 | 显示全部楼层
「みんな……俺の……バカな……しくじりのせいだ!」
 手で顔をおおい、しゃくり上げた。
「悪いやつらに、フラッフィーを出し抜く方法をしゃべくってしもうた。俺がヤツに話したんだ! ヤツはこれだけは知らんかったのに、しゃべくってしもうた! あんたは死ぬとこだった! たかがドラゴンの卵のせいで。もう酒はやらん! 俺なんか、つまみ出されて、マグルとして生きろと言われてもしょうがない!」
 悲しみと後悔に体を振るわせ、ハグリッドのあごひげに大粒の涙がポロポロと流れ落ちている。
「ハグリッド!」
 ハリーはその姿に驚いて呼びかけた。
「ハグリッド。あいつはどうせ見つけ出していたよ。相手はヴォルデモートだもん。ハグリッドが何も言わなくたって、どうせ見つけていたさ」
「おまえさんは死ぬとこだったんだ」とハグリッドがしゃくり上げた。
「それに、その名前を言うな」
「ヴォルデモート」
 ハリーは大声で怒鳴った。ハグリッドは驚いて泣きやんだ。
「僕は彼に会ったし、あいつを名前で呼ぶんだ。さあ、ハグリッド。元気を出して。僕たち、『石』は守ったんだ。もうなくなってしまったから、あいつは『石』を使うことはできないよ。さあ、蛙チョコレートを食べて。山ほどあるから……」
 ハグリッドは手の甲でグイッと鼻を拭った。
「おぉ、それで思い出した。俺もプレゼントがあるんだ」
「イタチ・サンドイッチじゃないだろうね」
 とハリーが心配そうに言うと、やっとハグリッドがクスッと笑った。
「いんや。これを作るんで、きのうダンブルドア先生が俺に休みをくれた。あの方に首にされて当然なのに……とにかく、はい、これ」
 こぎれいな皮表紙の本のようだった。いったいなんだろうとハリーが開けてみると、そこには魔法使いの写真がギッシリと貼ってあった。どのページでもハリーに笑いかけ、手を振っている。お父さん、お母さんだ。
「あんたのご両親の学友たちにふくろうを送って、写真を集めたんだ。だってお前さんは一枚も持っていないし……気に入ったか?」
 ハリーは言葉が出なかった。でもハグリッドにはよくわかった。

 その夜ハリーは一人で学年度末パーティーに行った。マダム・ポンフリーがもう一度最終診察をするとうるさかったので、大広間に着いた時にはもう広間はいっぱいだった。スリザリンが七年連続で寮対抗杯を獲得したお祝いに、広間はグリーンとシルバーのスリザリン・カラーで飾られていた。スリザリンのヘビを描いた巨大な横断幕が、ハイテーブルの後ろの壁をおおっていた。
 ハリーが入っていくと突然シーンとなり、その後全員がいっせいに大声で話しはじめた。ハリーはグリフィンドールのテーブルで、ロンとハーマイオニーの間に座り、みんながハリーを見ようと立ち上がっているのを無視しようとした。
 運良くダンブルドアがすぐ後に現れ、ガヤガヤ声が静かになった。
「また一年が過ぎた!」
 ダンブルドアがほがらかに言った。
「一同、ごちそうにかぶりつく前に、老いぼれのたわごとをお聞き願おう。何という一年だったろう。君たちの頭も以前に比べて少し何かが詰まっていればいいのじゃが……新学年を迎える前に君たちの頭がきれいさっぱり空っぽになる夏休みがやってくる。
 それではここで寮対抗杯の表彰を行うことになっとる。点数は次のとおりじや。四位グリフィンドール三一二点。三位ハッフルパフ三五二点。レイプンタローは四二六点。そしてスリザリン四七二点」
 スリザリンのテーブルから嵐のような歓声と足を踏み鳴らす音が上がった。ドラコ・マルフォイがゴブレットでテーブルを叩いているのが見えた。胸の悪くなるような光景だった。
「よし、よし、スリザリン。よくやった。しかし、つい最近の出来事も勘定に入れなくてはなるまいて」とダンブルドアが言った。
 部屋全体がシーンとなった。スリザリン寮生の笑いが少し消えた。
「えへん」
 ダンブルドアが咳払いをした。
「かけ込みの点数をいくつか与えよう。えーと、そうそう……まず最初は、ロナルド・ウィーズリー君」
 ロンの顔が赤くなった。まるでひどく日焼けした赤かぶみたいだった。
「この何年間か、ホグワーツで見ることができなかったような、最高のチェス・ゲームを見せてくれたことを称え、グリフィンドールに五十点を与える」
 グリフィンドールの歓声は、魔法をかけられた天井を吹き飛ばしかねないくらいだった。頭上の星がダラダラ揺れたようだ。
「僕の兄弟さ! 二番下の弟だよ。マクゴナガルの巨大チェスを破ったんだ」パーシーが他の監督生にこう言うのが聞こえてきた。広間はやっと静かになった。
「次に……ハーマイオニー・グレンジャー嬢に……火に囲まれながら、冷静な論理を用いて対処したことを称え、グリフィンドールに五十点を与える」
 ハーマイオニーは腕に顔を埋めた。きっとうれし泣きしているに違いないとハリーは思った。
 グリフィンドールの寮生が、テーブルのあちこちで我を忘れて狂喜している……一〇〇点も増えた。
「三番目はハリー・ポッター君……」
 部屋中が水を打ったようにシーンとなった。
「……その完璧な精神力と、並はずれた勇気を称え、グリフィンドールに六十点を与える」
 耳をつんざく大騒音だった。声がかすれるほど叫びながら足し算ができた人がいたなら、グリフィンドールが四七二点になったことがわかったろう……スリザリンと全く同点だ。寮杯は引き分けだ……ダンブルドアがハリーにもう一点多く与えてくれたらよかったのに。
 ダンブルドアが手を上げた。広間の中が少しずつ静かになった。
「勇気にもいろいろある」
 ダンブルドアはほほえんだ。
「敵に立ち向かっていくのにも大いなる勇気がいる。しかし、味方の友人に立ち向かっていくのにも同じくらい勇気が必要じゃ。そこで、わしはネビル・ロングボトム君に十点を与えたい」
 大広間の外に誰かいたら爆発が起こった、と思ったかもしれない。それほど大きな歓声がグリフィンドールのテーブルから湧き上がった。ハリー、ロン、ハーマイオニーは立ち上がって叫び、歓声を上げた。ネビルは驚いて青白くなったが、みんなに抱きつかれ、人に埋もれて姿が見えなくなった。ネビルは、これまでグリフィンドールのために一点も稼いだことはなかった。ハリーは歓声を上げながらロンの脇腹をつついてマルフォイを指さした。マルフォイは、「金縛りの術」をかけられたよりももっと、驚き、恐れおののいた顔をしていた。
 レイブンクローもハッフルパフも、スリザリンがトップから滑り落ちたことを祝って、喝采に加わっていた。嵐のような喝采の中で、ダンブルドアが声を掛り上げた。
「したがって、飾りつけをちょいと変えねばならんのう」
 ダンブルドアが手をたたいた。次の瞬間グリーンの垂れ幕が真紅に、銀色が金色に変わった。
 巨大なスリザリンのヘビが消えてグリフィンドールのそびえ立つようなライオンが現れた。
 スネイプが苦々しげな作り笑いでマクゴナガル教授と握手をしていた。スネイプの目がハリーをとらえた。スネイプの自分に対する感情が、まったく変わっていないのがハリーにはすぐわかったが、気にならなかった。来年はまたこれまでと変わらない毎日が戻ってくるだけの話だ。
 ――ホグワーツらしい「正常な」毎日が。
 その夜はハリーにとって、今までで一番素晴らしい夜だった。クィディッチに勝った時よりも、クリスマスよりも、野生のトロールをやっつけた時よりも素敵だった……。今夜のことはずーっと忘れないだろう。
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 楼主| 发表于 2006-8-22 23:46:47 | 显示全部楼层
 ハリーは試験の結果がまだ出ていないことをほとんど忘れていたが、結果が発表された。
 驚いたことに、ハリーもロンもよい成績だった。もちろんハーマイオニーは学年でトップだった。ネビルはスレスレだったが、薬草学の成績がよくて魔法薬のどん底の成績を補っていた。
 意地悪なばかりかバカなゴイルが退校になればいいのにと、みんなが期待していたが、彼もパスした。残念だったが、ロンに言わせれば、人生ってそういいことばかりではない。
 そして、あっという間に洋服だんすは空になり、旅行かばんはいっぱいになった。ネビルのヒキガエルはトイレの隅に隠れているところを見つかってしまった。「休暇中魔法を使わないように」という注意書が全生徒に配られた。(「こんな注意書、配るのを忘れりゃいいのにって、いつも思うんだ」とフレッド・ウィーズリーが悲しそうに言った)
 ハグリッドが湖を渡る船に生徒たちを乗せ、そして全員ホグワーツ特急に乗り込んだ。しゃべったり笑ったりしているうちに、車窓の田園の緑が濃くなり、こぎれいになっていった。バーティー・ボッツの百味ビーンズを食べているうちに、汽車はマグルの町々を通り過ぎた。みんなは獣のマントを賢、嘉とコートに鄭酔えた。そしてキングズ・クロス駅の9 3/4番線ホームに到着した。
 プラットフォームを出るのに少し時間がかかった。年寄りのしわくちゃな駅員が改札口に立っていて、ゲートから数人ずつバラバラに外に送り出していた。堅い壁の中から、いっぺんにたくさんの生徒が飛び出すと、マグルがびっくりするからだ。
「夏休みに二人とも家に泊まりにきてよ。ふくろう便を送るよ」とロンが言った。
「ありがとう。僕も楽しみに待っていられるようなものが何かなくちゃ……」とハリーが言った。
 人の波に押されながら三人はゲートへ、マグルの世界へと進んでいった。何人かが声をかけていく。
「ハリー、バイバイ」
「またね。ポッター」
「今だに有名人だね」とロンがハリーに向かってニヤッとした。
「これから帰るところでは違うよ」とハリー。
 ハリーとロンとハーマイオニーは一緒に改札口を出た。
「まあ、彼だわ。ねえ、ママ、見て」
 ロンの妹のジニー・ウィーズリーだった。が、指さしているのはロンではなかった。
「ハリー・ポッターよ。ママ、見て! 私、見えるわ」
 とジニーは金切り声をあげた。
「ジニー、お黙り。指さすなんて失礼ですよ」
 ウィーズリーおばさんが三人に笑いかけた。
「忙しい一年だった?」
「ええ、とても。お菓子とセーター、ありがとうございました。ウィーズリーおばさん」
 とハリーが答えた。
「まあ、どういたしまして」
「準備はいいか」
 バーノンおじさんだった。相変わらず赤ら顔で、相変わらず口ひげをはやし、相変わらずハリーのことを普通でないと腹を立てているようだった。そもそも普通の人であふれている駅で、ふくろうの鳥籠をぶら下げているなんて、どんな神経をしてるんだと怒っている。その後ろにはペチュニアおばさんとダドリーが、ハリーの姿を見るのさえも恐ろしいという様子で立っていた。
「ハリーのご家族ですね」とウィーズリーおばさんが言った。
「まあ、そうとも言えるでしょう」とバーノンおじさんは言うと「小僧、さっさとしろ。お前のために一日をつぶすわけにはいかん」と、とっとと歩いていってしまった。
 ハリーは少しの問、ロンやハーマイオニーと最後の挨拶を交わした。
「じゃあ夏休みに会おう」
「楽しい夏休み……あの……そうなればいいけど」
 ハーマイオニーは、あんな嫌な人間がいるなんて、とショックを受けて、バーノンおじさんの後姿を不安げに見送りながら言った。
「もちろんさ」
 ハリーが、うれしそうに顔中ほころばせているので、二人は驚いた。
「僕たちが家で魔法を使っちゃいけないことを、あの連中は知らないんだ。この夏休みは、ダドリーと大いに楽しくやれるさ……」
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 楼主| 发表于 2006-8-22 23:47:52 | 显示全部楼层
全部OK了!!各位还喜欢吗?我会再找一些好文发上来的!!
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发表于 2006-8-26 06:53:21 | 显示全部楼层
楼主,我重复了半个多小时的复制粘贴动作,WORD文件达到174页。。。。

辛苦啦!谢谢~~~
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发表于 2006-8-26 08:26:35 | 显示全部楼层
顶一下。。。
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 楼主| 发表于 2006-8-27 02:00:25 | 显示全部楼层
我也是发了好久才登完的抱歉,我不知道怎么用其他方法传上来
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发表于 2006-9-1 00:24:38 | 显示全部楼层
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发表于 2006-9-4 19:51:38 | 显示全部楼层
非常感谢阿
这东西太好了
回家捧着看!!!
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发表于 2006-9-14 22:24:42 | 显示全部楼层
想看日版的《HP》已经很久了,对楼主的感谢之情无以言表啊
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头像被屏蔽
发表于 2006-9-17 20:51:32 | 显示全部楼层
提示: 作者被禁止或删除 内容自动屏蔽
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发表于 2006-9-22 04:27:11 | 显示全部楼层
いい勉強になりました。ありがとうございます。
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