【天声人語】2006年06月20日(火曜日)付
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: K! T3 I7 x9 x7 b; f r 実に厳しいことになった。サッカーのワールドカップで、日本はクロアチアに善戦したが、勝てなかった。仮にブラジルに勝ったとしても、決勝トーナメントに出るには難しい条件がつく。# M; f7 n. S2 l
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ブラジルは、第1回大会からすべての大会に出場している唯一の国だ。優勝5回は最多で、最近の3大会は、いずれも決勝に進出した。% n0 k( C( T& q& E4 _. d
4 T. G3 d" W* O& ] J) S リオデジャネイロのマラカナン競技場は、世界最大級のスタジアムだ。1950年に行われたブラジル大会当時は、20万人を収容したといわれる。試合のない日もスタジアム見物に来る、世界中からの観光客を相手にした私設ガイドがいた。スタジアムの建設工事に雇われ、そのままスタジアムにいついてしまったという。9 `4 u9 M/ h" ?2 R* f) X8 | I
7 C0 \8 n- }& f, w( m* _9 [ 50年大会で、このスタジアムで、いかにブラジルがウルグアイに敗れたかという大番狂わせを、実況中継風にとうとうと語る。ブラジルにとって勝利はニュースではなく、敗北は何十年も語り継がれるニュースだからだそうだ。, r) c! ^# P. a4 |, S% n- [( Q( `5 N
$ k6 b5 U* |$ e* |, [7 p このサッカー王国は、日本とは地球の反対側同士だが、ブラジル移民には100年近い歴史がある。作家・石川達三は、自ら移民船でブラジルに渡った体験をもとに小説「蒼氓(そうぼう)」を著し、第1回の芥川賞を受けた。
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7 p d7 Z6 c* I 石川が渡航した30年に隣国ウルグアイで開かれたのが、ブラジルも出場したワールドカップの第1回大会だった。歴史的にも、日本とは異なる大きな蓄積がある。しかしブラジル人もまた、同じ人間には違いない。「望みなきに非(あら)ず」。石川のこんな小説の題を思い起こしつつ、いい試合をと念じた。 |