【天声人語】2006年09月13日(水曜日)付
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自動販売機に120円を入れて、缶コーヒーを買う。自販機の前面に、「収益金の一部は、『緑の募金』に寄付されます」とある。隣の普通の自販機と値段は変わらない。どういう仕組みで、いくら寄付されるのか。, g1 i5 Z! f: m! c# }
7 e, U$ a2 E. Y8 [, P6 r4 ^ 寄付金は「緑の羽根」の活動をしている団体に入る。担当者によると、飲料メーカー側の提案で4年前に始めた。今では全国に約2300台あり、売り上げの約2%、飲料1本あたり約2~3円が寄付金に回る。負担するのは、飲料メーカーと自販機設置者だ。平均1台あたり年約1万2千円になるという。3 K0 m6 q* d4 O' C3 g$ X
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透明性を図るために半年ごとに、「この自販機から××円募金しました」という表示を掲示しているそうだ。ほかに、福祉や医療関係の団体に寄付金が回る自販機もある。, J/ l: a, m; S. B ]
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自販機は電気を消費し、環境に悪影響を与えるイメージが強い。緑への貢献をうたうことは、業者にとって環境に優しい印象づくりになる。街頭やビル内の自販機は飽和状態で、新たに設置してもらうのはなかなか難しいが、募金自販機は売り込みやすい利点もある。' i8 O9 n, s, Q- J0 i% _$ Q
- @' X" h2 r8 Z: q& _ 何台も並んでいるところに、募金自販機を1台置くと、その売り上げが一番になることが多いそうだ。買う側としても値段が同じなら、募金になる方が気分がいいのかもしれない。
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米国には4兆円以上も慈善団体に寄付する大金持ちがいるが、自販機はあまりない。日本は「寄付文化」がないとよくいわれるが、自販機の普及は世界一だ。1回の寄付金はごくわずかとはいえ、日本的な新しい芽が育っているようにも感じられる。 |