【天声人語】2006年09月28日(木曜日)付
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「阿武隈山脈はなだらかだつた」。福島県生まれの詩人、草野心平が「少年思慕調」と添え書きした詩「噛(か)む」の1行目だ。「だのに自分は。よく噛んだ。鉛筆の軸も。鉛色の芯も。/阿武隈の天は青く。雲は悠悠流れてゐた」と続く。
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幼い日々を顧みる詩句に、故郷の自然の豊かさとのどかさが溶け込んでいる。「小学校は田ん圃の中にぽつんとあり。春は陽炎につつまれてゐた」(『草野心平詩集』岩波文庫)。" K7 j- m" j) ^7 o3 u
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近年、福島県は「うつくしま」という言葉で、その魅力をうたってきた。確かに、太平洋から奥羽、越後山脈に至る広大な地は、いくつもの山川を抱き、各地に独自の文化が息づいている。その「うつくしま」を提唱してきた佐藤栄佐久知事が、辞職するという。8 ?7 ~5 N2 O: R" g" ^9 W
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実弟が、県が発注した阿武隈川流域の下水道工事の談合事件で東京地検に逮捕された。県で一番の権力を持つ知事の弟が、県の工事で法を破ったのだとすれば、やはり責任は重い。長く県政をあずけてきた県民にとっては、目をそむけたくなる事態かも知れないが、捜査の行方をよく見届けるようにしたい。5 E4 f6 @% F( a3 a
3 U, d. t/ J, n# H 「事上磨錬」。中国・明の儒学者、王陽明のこの言葉が、佐藤氏の座右の銘だという。県のホームページにはこう書かれている。「日々の物事に当たって、その一つひとつに真剣に取り組むことが大切であり、それが自分を磨くことになる、という意味です」
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日本青年会議所の役員から参院議員を経て、県政の頂点に立った。日々の物事に当たって磨いてきたはずだが、18年という日々は長すぎたのだろうか。 |