【天声人語】2006年10月19日(木曜日)付
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. s3 Q5 g: U& q3 B. v 帝政ローマ時代の歴史家タキトゥスが『年代記』に記している。「偉大な指導者とて、死すべき人間だ。が、ローマ国家は永遠だ」。この一節を引用したあと、歴史研究家の弓削達(ゆげとおる)さんは「そうではなかった。ローマですら、そうではなかった」と書いた(『永遠のローマ』講談社)。3 H, p2 A, z! `
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約半世紀にわたってローマ帝国を研究した元フェリス女学院大学学長の弓削さんが、82歳で亡くなった。永遠とうたわれたローマも滅びたのは、一ローマの問題ではなく、人類の文明一般の問題であり、現代の問題なのだと『永遠のローマ』で述べている。4 |0 p& M0 }7 G* F
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1945年の8月、今の一橋大の学生寮で終戦を迎えた。玉音放送と真っ青な空、せみ時雨。時間の止まったような静けさ。それが「ぼくの平和の原点になった光景」だと、本紙に語っている。自由が抑圧され、押しつぶされるような時代が二度と来ないようにと願い、時代への発言や行動を続けた。
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90年の春、キリスト教系3大学の学長と連名で、天皇の即位儀礼の大嘗祭(だいじょうさい)に反対する声明を出し、元右翼団体幹部に自宅を銃撃された。後に述べた。「戦後の唯一の配当が今の平和憲法、つまり神権天皇制を否定したもの。これがつぶれちゃうから声をあげたまで」
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9 e, S; v8 n7 j3 `0 ] L きのう国会では、安倍政権になって初の党首討論があった。安倍首相は、憲法改正への意欲を述べた。北朝鮮の「核」が、平和への脅威として急浮上している。7 z* R( B5 T% }9 y# `) e
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国民の安全の確保と平和の維持が、政治の使命だろう。「戦後の唯一の配当」への、各党のまなざしが問われている。 |