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楼主: Jennifer

[经验方法] 連載《天声人語》想看中文版请去看1590楼最新公告

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发表于 2006-12-26 18:39:14 | 显示全部楼层

【天声人語】2006年12月26日(火曜日)付

 壁に、赤い数字がずらりと並んでいる。773兆5630億とあって、それ以下の万単位の数は見ている間にどんどん増えてゆく。内閣府が東京都内に昨年開設した「感どうする経済館」に表示されている「日本の借金」のすさまじい増え方だ。% F% K: J, |, \

9 \7 a: E$ `9 ]% T. r: w 計算すると、1分間に1千万円近くが増えているという。20分で増える約2億円分の1万円札に見立てた紙を詰めたリュックサックが床に置いてあり、背負ってみることができる。
( t, G8 H7 B; c$ Q$ G3 v" X
' n4 V0 B8 R* l8 f2 T# ^& ~. C( _& } 約20キロあるという。両手でも、そう軽々とは持ち上がらない。係の人に手を添えてもらって背負うと、後ろに引っ張られる感じがする。もちろん歩けるが、これを背負って遠くまで行くのは容易ではない。  \" e) s3 U( A9 @8 Q

+ F' Y; H$ M, p 政府が07年度の予算案を閣議決定した。一般会計の総額は約82兆9千億円で、借金にあたる国債の新規の発行額は少し減るものの残高は膨らむ。7 I4 @6 g! ^6 W. n/ i3 {( A

3 h( U% ?. l' {' B 所得税の負担増がある一方で、企業の方には減税が用意された。企業に比べて家計への恩恵は乏しいようだ。首相は「財政健全化の意思を内外に示すメッセージ性の強い予算編成になった」と述べた。しかし税収の伸びに恵まれた面があり、借金頼りの財政難は続く。3 g2 J( L* ~* P! M7 i

, Y" U0 \# S) H- k 「感どうする経済館」は昨日、家族連れなどでにぎわっていた。「子どもが驚き 大人がうなる 日本経済のミュージアム」がうたい文句だという。途方もない借金に子どもたちが驚くことは確かだが、大人はうなっていればいいというものではない。国会や官庁の面々もリュックの重みを体験し、荷を少しでも軽くするすべを真剣に探ってほしい。
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发表于 2006-12-27 22:25:03 | 显示全部楼层

【天声人語】2006年12月27日(水曜日)付

 刑場まであと少しの所で男が言った。「すまんけど、目隠しを……」。「きつかったかい」と尋ねる係官に「いいえ。一度はずしてください」。しばり直すわずかの間に天を仰ぎ、つぶやいた。「……広い空ですね」。名古屋刑務所の刑務官だった板津秀雄さんの『死刑囚のうた』(素朴社)の一節だ。1 \# x- `8 l1 O# j; p& N5 n- ?8 h( ?% f
; V( @( x/ c  N  `" W
 その日は今日か明日かとおびえ、あるいは、従容として刑場に向かう。いくつもの「死刑の現場」に立ち会った人の証言は重い。後に死刑廃止運動に加わり、98年に亡くなった。
7 F5 d2 Q8 N$ x* B3 ?. U7 O
0 w6 z0 r3 x6 j; ~ 法務省が、4人の死刑囚の刑を執行したと発表した。1年余ぶりの執行で、一度に4人は97年以来だ。背景には、死刑確定囚が100人を超えることへの法務省の懸念があるともいうが、ことは数の多少で左右されるものだろうか。! I) e8 m% |5 _8 s, a
5 t9 d+ i1 A2 i, y' k1 u
 昨日は名古屋高裁で、死刑囚の再審請求についての決定があった。61年に三重県で起きた「名張毒ブドウ酒事件」で、同じ高裁が昨年認めた再審開始の決定を取り消した。3 e$ O0 z4 n  @6 e8 n' g* {! o8 u- [8 I

0 x% f0 s9 V+ w4 y: z! h! ] 事件がむごたらしいことや、裁判官によって判断が異なりうることは分かる。しかし、長い歳月、冤罪を訴えつつ死と隣り合わせになってきた身も思われた。
( i6 a% }! g( K+ f, w: D: g6 r' P4 N  N& S) B% ]( X+ c: @4 W
 刑法学界の重鎮の団藤重光さんは、東大教授を経て最高裁判事になった。実際に死刑事件を扱う立場に立ってから、取り返しのつかない誤判の恐ろしさを心底理解したという。「いまさらながら事実認定の重さに打ちひしがれる思いでした」(『死刑廃止論』有斐閣)。09年に裁判員制度が始まれば、誰もがその重さを背負う可能性が出てくる。
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发表于 2006-12-28 16:46:48 | 显示全部楼层

【天声人語】2006年12月28日(木曜日)付

 鉄筋の量を減らした「経済設計のできる有能な建築士」との評価を得るようになり……。耐震強度偽装事件の判決公判で、東京地裁の川口政明裁判長は、元1級建築士の姉歯秀次被告が偽装を続けるようになった経緯を、こう述べた。
9 U7 i/ E& \' w# Y& I9 n2 \9 c, O% m+ J* ]% h5 \
 裁判長は、マンションの購入を「一生に一度の買い物ないし人生で最大の買い物」とした。その最大の買い物が、命を保障する最低限の水準すら満たさないばかりか、住むことができないのにローンの支払いを迫られるという被害者のつらい立場にも言及した。. W5 [* G7 A2 J) u; U

. i4 e2 ?/ N9 W: J& G+ W 姉歯被告は国会の証人喚問で、木村建設側からの圧力を機に偽装したと述べた。しかし判決は「市場原理の前に屈した犠牲者のように演じた」と批判した。国民の注視する国会で、いわばもう一つの偽装をしていたとすれば、罪は重い。
- X( P0 h8 p/ t, _% M- J8 Q4 f: A0 W' ^3 w  H
 今年も偽装や詐欺といった、だましの絡む事件が目立ったが、今度は閣僚の足元で「偽装」の問題が浮上した。佐田行革担当相が、実体のない事務所を政治団体の所在地として届けていたと報じられ、辞任に追い込まれた。% D; }6 `# @1 x+ y: @: i
  V+ r2 O0 e' h
 この政治団体の政治資金収支報告書によると、90年から00年までに事務所費などの名目で約7800万円が支出されたという。それが何か別の目的での支出だったのではないかとの疑いもある。事実なら、報告書を「偽装」したことになる。
7 Y& ]+ w% P. }6 U5 `! [2 K  a. G7 G: f& G5 X
 安倍内閣が発足して3カ月。政府税調会長が官舎使用の問題で辞任したばかりだ。耐震偽装では、建物を支える鉄筋の量が問題になった。内閣の方は、それを支える屋台骨の質が問われている。
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发表于 2006-12-31 16:09:42 | 显示全部楼层
【天声人語】2006年12月29日(金曜日)付
8 v! G! u3 \0 L% V5 K6 ~# m& ~4 o: @4 }( f& G& H+ I/ V* b, Q9 K
 目を丸くし、手を握りしめ、主人公と一体化して物語の世界に入り込んでいく。小さな子に絵本を読み聞かせると、そんな純粋さが伝わってくることがある。その喜びを、いつまで感じられるのだろうか。静岡県浜松市のイトーヨーカドー浜松駅前店にある「子ども図書館」の司書たちは、不安になった。4 p4 G: _: g& [3 }
! [3 j( ^6 \0 U% A; _4 \1 }7 M
 3階のおもちゃ売り場近くの約130平方メートルに、絵本や児童書約1万冊が並ぶ。19年前にできて、買い物途中の親子らが利用してきた。しかし、年々郊外店に客を奪われ、この店は年明けに閉店となる。  
* Q8 @: q# H9 U. c' y& y! ^: Y1 t6 R+ C
 子どもの目線に合った図書館だ。絵本は表紙を前向きに棚に置かれ、色や形の違う本がそれぞれ「読んで」と訴えてくるようだ。棚は高さ120センチ以下で、小さい子も自分で手を伸ばして取っていく。何世代も繰り返し読まれてきた本が多く、頼めば司書が朗読してくれる。
/ I& [) _8 o  {/ J2 l, |4 _/ L3 h7 [4 r' G' y: J. M
 「子どもの心を育める場を残して」。この地域の親たちが、今年の夏から秋までに約1万3千人の署名を集めた。「親子2代で親しんできた」「人見知りだった娘が司書さんとなじみ、少しずつ自立していった」。そんな思いが積み重なった。3 W" Y# o- W0 N

6 T/ E6 q; N4 ?  N, Q" y 当初は年5万冊を超えた貸し出しが、少子化や活字離れもあって約1万冊に減っている。ヨーカドーはコスト減か社会貢献かで揺れたが、「署名に後押しされました」。来年、最寄りの店に移すことが決まり、図書館は生き残った。& z/ u' W& C" K+ S, r
/ i$ K  K$ K- G1 }! M
 「子どもたちを育て、子どもたちに育てられた図書館です」と司書の山本准子さんは話す。冬休みに入り、いくつもの絵本を読み聞かせている。
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发表于 2006-12-31 16:10:09 | 显示全部楼层
【天声人語】2006年12月30日(土曜日)付
9 C* Q  M% S* l. N* Z8 G/ V" T# d, M% R! J' v- _
 今年も、明日の大(おお)晦日(みそか)を残すのみとなった。一年を顧みながら、近づく新しい年の足音に耳を澄ます。どんな年が来ようとしているのか。歳末のあわただしさやざわめきの中に居つつ、何かを待つことが身にしみる時節だ。
9 h$ N7 O- k" `* [. P) L2 F1 M
4 h- M4 V0 }+ c& y4 M 「田舎道。一本の木。夕暮れ」。そんな舞台の上で、二人の男が「ゴドー」なる者を待つ。アイルランド出身のノーベル賞作家サミュエル?ベケットの戯曲「ゴドーを待ちながら」の始まりの場面だ。. i4 y/ m% y! c) h; N6 |. U- I

* J0 Z! }1 c( C4 Z いつまで待っても、ゴドーは現れない。そして、二人はこう言い合う。「じゃあ、行くか?」「ああ、行こう」。二人は、動かない——幕(安堂信也、高橋康也訳『ベケット戯曲全集』白水社)。二人は、動かないのではなく、動けないのかも知れない。それは、閉塞(へいそく)感が濃く漂う時代や、そこで営まれる人々の生や孤独といったものを示すようにも思われる。! h- }, v# U2 S$ r' z0 Q3 h
8 p$ c! V+ s; C1 Q
 パリでの初演から半世紀余りになる。ひたすら待ち続けるだけという、それまでの作劇法を否定する手法は衝撃的で、「不条理演劇」の代表作として世界で広く演じられてきた。, Z% F8 a% e* T# g3 u0 n' y" o

0 X2 u  q, t4 U4 o 今年は、ベケットの生誕100年にあたっていた。ダブリン近郊の生まれだが、彼は、母親の胎内にいたころの、誕生前の記憶があると公言していたという(『ベケット伝』白水社)。あの三島由紀夫は、生まれた直後の、産湯を使ったときのことを覚えていると言っていたというが、天才の世界とは限りの無いものらしい。, l9 `& m" X5 D( q0 I
3 \5 o6 A6 R( n# `- O/ ]
 間もなく、新しい年が生まれようとしている。ゴドーとは違って、それは確実にやって来る。
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发表于 2006-12-31 16:11:46 | 显示全部楼层
【天声人語】2006年12月31日(日曜日)付
% v! b5 x7 U3 c6 R+ E6 D7 k' w0 H; u/ N
 ことし最後の日をむかえた。やれ大掃除だ、それ年賀状だ、と気ばかり焦って、ちっともはかどらない。それでも、どうやら年は越せそうだ。ありがたい。
3 |0 w5 U  y  e
) C! w  P8 U7 J2 F 江戸から明治時代にかけて、年の瀬は厳しいものだった。つけ払いの代金をとり立てる「掛け取り」に追われる庶民の話の何と多いことか。馬子唄(まごうた)で「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ」とくれば、結びは「大井川」だ。だが、もとは「大(おお)晦日(みそか)」だったという。
) e# }* r, m0 W# p9 h/ ?4 z: k" S
* g' i4 W$ J( o1 o( f8 u, H7 O( Q そんな大みそかに大団円を迎えるのが、落語『芝浜』だ。怠け者の魚屋が大金の入った財布を拾い、浮かれてどんちゃん騒ぎをする。ところが一夜明けて、女房から財布なんぞ知らない、夢だよと言われてしまう。それを真に受け、改心した魚屋は酒を断ち、仕事に励む。そして3年目に財布の存在を明かされて……。
' B$ K6 F6 G& r( T& i; d" f. C9 m9 |: B- e. l, x
 痛飲して、記憶が途切れたことのある身には、宿酔の朝に、夢だよと突き放される場面が切ない。まさか、そんな、とほほ。不覚にも、そんな経験をお持ちの方もおられよう。ただ、目ざめたくない夢など、そうめったに見られるものではない。9 v* _; `9 Z; ?1 g% k/ m

& {4 H6 N6 z- k6 B% E/ _ それに比べて、ことしも悪い夢としか思えないような惨事が、世にあふれた。親がわが子をあやめる。いじめを苦にした自殺や、飲酒運転の事故も続発した。イラクのフセイン元大統領が処刑されたが、現地での死者は増え続けるのではないか。
! J0 f# _# t, U! S- D4 @
8 F0 s1 u9 e5 b* c こよい、除夜の鐘が聞こえたら、耳を澄ましてみる。忘れてしまいたい思い出と、忘れてはならぬ記憶が、胸の中に降り積もるに違いない。そして、年が改まる。
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发表于 2007-1-3 17:16:24 | 显示全部楼层

【天声人語】2007年01月01日(月曜日)付

 夜更けに空を仰ぐ。雲間に、全天一の輝きをもつ恒星シリウスが青白い光を放っている。その右上にオリオン座の雄大な四辺形が浮かぶ。「オリオンは高く うたひ/つゆとしもとを おとす」。こう詠んだ宮沢賢治のふるさと、岩手県の花巻市を訪ねた。9 F# E( C3 q' q# H

- P4 A/ z) L5 m0 }4 G 夜が明けると、薄日の差す空から、はらはらと雪が落ちていた。ほおにひとつ、またひとつ、はかなくとけてゆく。雪をかぶった小さな広場に足を踏み入れると、賢治の童話「雪渡り」の世界が目に浮かんできた。: Q+ \" c3 J( z9 P

* m. d) \8 p6 V2 G# A  w 「堅雪かんこ、凍(し)み雪しんこ」。こう言い交わしながら、人間の子どもと狐(きつね)の子たちが心を通わせてゆく。動物も人間も、一度だけの生を生きる者同士という思いが感じられる。2 F; [! @' K- d3 V' n
6 Z6 {6 X" N. ]
 雪で人工的なものが白く覆われたせいか、山や川と人との間に一体感が生じているように見える。悠久の自然と命ある生き物とは対照的だが、銀河系の片隅でたまたま時を同じくして巡り合ったもの同士と考えれば、交感があっても不思議ではない。
/ r/ x& n- o8 @/ {& U" n# M+ [
% h; [: o' x- ~! k! [, _, } 賢治がかつて教えた農学校を前身とする花巻農業高校に、こんな碑文がある。「われらに要るものは 銀河を包む 透明な意志 巨きな力と 熱である」
. j' f. A# m! @8 x( C  n  n# I5 |1 B* h! U7 ]
 近くには、賢治が農民や若者を指導したという建物が保存されている。入り口に、こう書かれている。「下ノ畑ニ居リマス」。賢治はもう、畑には居ない。しかし、生き物だけではなく、宇宙や大地の鼓動にも耳を澄ませた精神を、今こそ生かしたい。雪の民家の戸口に、正月飾りがきらめくのを眺めながら、賢治の居場所を思った。
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发表于 2007-1-3 17:18:03 | 显示全部楼层

【天声人語】2007年01月03日(水曜日)付

 毛筆で字を書くことは、めったに無い。何かの折に筆で記名を求められると、少したじろぐ。いざ筆を紙に下ろすと、手加減次第でいかようにも太く、あるいは細くなってしまう頼りなさに戸惑う。そして同時に、力の入れ具合で千変万化する毛筆の融通無碍(ゆうずうむげ)な魅力をも感じる。
: |, D8 K2 t$ R$ L* }+ s! e
* Z/ [6 F1 y/ |: Q; ] 書の世界で生きる達人の作を集めた「現代書道二十人展」を見てきた(東京・上野松坂屋で 8日まで)。それぞれの作風を伝える漢字のみ、あるいはかなまじり、そしてかなが主の作品が並ぶ。漢字の持つ潔さや主張性、かなの、はかなそうでいてしなやかな様がうかがえる。
1 b' b) X  e0 P
4 i/ L, n7 A# V9 M  M 作品に近づいて筆の運びを想像していると、書には現代人が忘れかけたものを思い起こさせるところがあるという気がしてきた。それは、書かれた文言が古来のものというよりは、書が、いわば無数の曲線で成り立っていることから来るようだった。
; [. i  x5 ^: X( E1 A0 q
4 d9 q, A6 H7 Z1 n$ g 文字、特に漢字は直線が印象的だが、人間が書いたものは厳密な直線にはならない。どの線も、わずかにせよ丸みやくねりを持っている。それが、活字とは違って、書き手の独特の息吹を伝えてくる。
) d7 `9 Q# M5 S, a1 r
- e  j9 F! K" g4 w1 f2 \) l 文字を手で書きつづることは、手や筆を翻し、回すことにつながる。これと大きく異なるのは、手で打つ、あるいは指で押すというパソコンなどを使った文字の入力だ。
+ s1 o3 h2 K3 |9 i" ~# J# l  o) u4 o; d/ V
 文字の世界だけではなく、テレビのチャンネルにしても電話にしても、回すから押すへと変わった。この「押す時代」を押し戻すことは難しいだろう。しかし時には、回すという古(いにしえ)の動作に立ち返ってみたい。
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发表于 2007-1-4 19:26:42 | 显示全部楼层
最喜欢这个帖子了,加油哦
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发表于 2007-1-5 22:37:42 | 显示全部楼层

【天声人語】2007年01月04日(木曜日)付

 通りが静まり、いつもよりゆったりと時が流れてゆく。そんな思いを誘う三が日が過ぎた。正月の各地、各家庭に伝わる雑煮が、このゆったりとした時間とよく溶け合っているのを確かめた人も多いのではないか。4 t3 r2 ^2 T( l3 F4 |+ }

3 z0 w, l& z* W/ z だいぶ前の1月の今頃、同僚と雑煮の話になった。彼の故郷では、トビウオを焼いて干したもので出しをとるという。当方ではハゼを焼いて干したものを使う。生地は列島の南と北にはるかに離れていても、同じように海と向き合っていたのかという思いがした。. ]$ }8 E# g" Z, y9 Q9 M8 X
( y% I/ X7 S9 k5 R9 y6 A7 r
 雑煮の持つゆったり感は、出しの材料をかなり前から準備することだけで醸し出されるのではない。例えばかつて実家では、年末になるとダイコンとゴボウをゆでて千切りにし、板に載せて外に出していた。夜は寒気で凍(し)み、昼は日光でとける。それを3日ほど繰り返し、ほのかに甘みが出たものを使っていた。2 T1 L, n2 @& N7 w9 K1 E
8 z8 E8 B% s  Q- {
 近年、ゆったりゆっくりのスローを冠した「スローフード」という言葉や運動を耳にする。画一的なファストフードに対し、その土地に根ざした料理を大切にする考え方だ。今でも土地の数だけありそうな雑煮は、さしずめ日本のスローフードの代表格か。5 G' h: [7 U3 m% ^, Y3 Q
5 _* I; a) K, E
 この運動の起点となった、北イタリアのブラという小さな町に立ち寄ったことがある。休日で、人々は球技や屋外での壁登りなどをしていた。年齢層は幅広く、老若男女そろって楽しむ雰囲気だ。
! O8 l- z# v/ B, p/ Z
$ F6 C% i) w( |! O2 p4 l 昼時、駅前の食堂に入った。パスタと豆の温かいスープには、ほっとする味わいがあった。今思えば、あの地に根ざした雑煮の味だったのかも知れない。
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发表于 2007-1-5 22:40:48 | 显示全部楼层

【天声人語】2007年01月05日(金曜日)付

 「——今年は猪年であります」。昨日の年頭の記者会見で、安倍首相が干支(えと)に触れた。そして、またあの「美しい国」を持ち出し、それに向かってたじろがず、一直線に進んで行く覚悟と述べた。
' Q# P8 i/ l* v: k4 B$ I% V1 B  y. j7 u* i' L
 すぐに「猪突猛進(ちょとつもうしん)」が思い浮かぶが、猪のつく言葉には猪への厳しく皮肉な視線がある。この「猛進」は向こう見ずに突き進むことだし、「猪武者(いのししむしゃ)」は敵に向かって思慮もなく無鉄砲に突進する武者だ。なまいきでこざかしいことをいう「猪口(ちょこ)才(ざい)」もある。
' F5 n" t% s* p3 D# P# {+ @
. y9 P7 j3 p/ C1 e7 i* ~4 {. w これは猪にとっては不本意な扱いではないかなどと思いつつ、東京の上野公園に出かけた。猪の剥製(はくせい)や人間とのかかわりなどを展示した国立科学博物館の「亥年(いどし)のお正月。イノシシを知る」展に、なるほどと思わせる説明文があった。
2 U3 Q$ }+ D4 _" u: n/ O' H3 P: v
 「実際には、イノシシは臆病(おくびょう)な生き物で、むやみやたらに突進しているわけではありません」。突進は、何かを恐れてやむなくということもあるのだろう。
8 e8 u- l4 o7 d! j4 y8 @2 F# P& F$ H* f% H( |- H" i, N8 G
 近くの東京国立博物館でも、干支にちなんだ「亥と一富士二鷹三茄子」展が開かれている。望月玉泉の屏風(びょうぶ)絵には、猪が萩(はぎ)の花の中に寝そべる姿が描かれている。臥(ふ)して眠る猪をさす「臥猪(ふすい)」は、亥年を寿(ことほ)ぐ意味を込めて「富寿亥(ふすい)」とも表記するそうだ。
$ Q3 c% G7 O/ n7 N7 ^* V" q$ F# S% `9 F, k  v" f: C
 「臥猪」は、鎮めて安泰にする意味の「撫綏(ぶすい)」との語呂合わせとして使われたこともあるので、天下泰平を祈る吉祥画とみることもできるという。世の平穏は誰しもの願いだが、首相が「一直線」になることには異論も少なくないだろう。「猪首相」などとは言われないように願いたい。
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发表于 2007-1-8 18:34:17 | 显示全部楼层

【天声人語】2007年01月06日(土曜日)付

 仙台市の青葉女子学園は、全国に9カ所ある女子少年院の一つだ。毎年春になると、創作オペレッタの準備にかかる。手作りの音楽劇である。9 G0 y6 {* Q9 \" B4 n8 e$ N

5 B2 n& `8 h& n3 o. L+ a8 \ 教官が漢字1字のテーマを与える。昨年は「今」だった。それをもとに約20人の少女たちが手分けして脚本や歌をつくる。目標を持てない少女と、不満や不安、不幸を抱える四季の妖精たちが出会い、それぞれが生きる力を取り戻す物語に仕上がった。6月の学園祭で保護者らを招いて上演された。
! }) Z( @- d) E1 m" \# q  _) |
3 T" a7 C. O& R# q% H* }8 T) I/ x そうした20年にわたる営みが、今年度の人事院総裁賞に選ばれた。公務員の地道な活動に贈られる賞だが、今回の主役はむしろ少女たちだ。ピアノの伴奏もする教官の北村信子さんは「私たちの仕事は彼女たちの力を引き出し、支えることです」と語る。
0 F4 F7 Z% g; w/ m4 f( U
; _% k( e9 o) ~6 Y; c' w) G& M 覚せい剤や傷害、盗みなど非行の内容は様々だが、だれもが心に深い傷を負っている。それが歌やせりふから伝わってくる。「なんでこんなにつらいの。なんで私だけこんな思いをしなきゃいけないの」「素直でいたい。だけどうまくいかない」「私なんて、いない方がいいんだ。必要のない存在で終わってしまうんだから」! o+ g; y# G4 d4 D2 t+ j

9 L) f3 O) h4 V3 {/ J2 w それでも最後は、「信じる心、胸に、今未来へ旅立とう」と歌う。出演者も合唱隊もみんな涙ぐんだという。
0 J' l" Q' M* k8 l. l8 `
$ h5 W6 t9 s% `8 i6 F7 r% S 少女の一人はこんな話をしてくれた。「夢があるからがんばれる。私には大切にしたい人がいる。そうしたせりふで、自分の気持ちを客席の親に初めて伝えることができた」。そして、「みんなでつくり、励まし支え合ったのも、初めての体験でした」。
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发表于 2007-1-8 18:35:11 | 显示全部楼层

【天声人語】2007年01月07日(日曜日)付

 今では想像しにくいが、女性のスポーツが快く思われない時代は長かった。日本の女性が五輪に初めて出た1928年アムステルダム大会で、陸上800メートル2位となった人見絹枝はこう書いた。「人生はすべて戦いである。女も戦う時代だ」(『女子スポーツを語る』ゆまに書房)。得意の100メートルで敗れ、初体験の距離に挑んで手にした成果だった。, F, V2 M$ V5 y& [0 J7 l

% T- V3 H0 N3 J- _ 新しがり屋をモボ・モガ(モダンボーイ、モダンガール)とはやす一方、女性が太ももをさらして競走するなんてはしたないとする時代を生きた。彼女が生まれて今月で100年になる。
2 t* l( t+ f, f9 K: |1 F3 o: a2 t$ p1 f
 短距離や走り幅跳びで世界記録を出すかたわら、記者として働き、後輩の遠征費用を募って歩いた。「努める者はいつか恵まれる」(『炎のスプリンター』山陽新聞社)。若い人を励まし続け、銀メダルから3年後の同じ8月2日、病で24歳の生涯を閉じた。0 ^; s% a' t& ?2 H

' i' B, K' K% d: E% Q7 h# ? それから61年後の同じ日、バルセロナ五輪のマラソンで、有森裕子さんが陸上女子2人目の表彰台に立った。影響を受けた人に、同じ岡山出身の人見の名をあげる彼女もまた、闘うランナーだ。
" m) s1 y5 y1 L' F7 e  i5 t  b- ?- d
 走ることで生活費を得る。その権利は個人に属する。今は当たり前のこの原則も、10年ほど前までは違った。競技団体と3年間渡り合い、これを認めさせたのが彼女だった。
4 |: h$ p% t) e8 N/ b, g1 E1 f1 Y, P5 `
 「きちんと練習し、自己最高を目指した上で終わりたい」。有森さんは昨年、そう言って練習を再開した。40歳で走る2月の東京マラソンがひと区切りになる。自らの存在を問い続けて走る女性の言葉には、背筋の伸びる思いがする。
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发表于 2007-1-8 18:36:57 | 显示全部楼层

【天声人語】2007年01月08日(月曜日)付

 ことしは統一地方選がある。ほとんどの有権者に投票の機会が訪れる。今回は見逃せないことが、ひとつある。全国で300を超す自治体が、開票時間の短縮合戦に挑もうとしているのだ。
8 s9 `( x9 b9 ~6 A$ H% ^
! c2 ^4 y$ W7 S% F: ^4 y% s( [ 元三重県知事で早大大学院教授の北川正恭氏らが呼びかけた。名づけて「コンマ1秒の節約」。だらだらと前例を踏襲するお役所仕事に、創意工夫で風穴をあける。速報性を高め、選挙への関心も高める。そんな民主主義を鍛える狙いは、マニフェスト運動とも重なる。
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 すでに実績もあげている。たとえば、長野県小諸市は昨年の知事選で、開票所のレイアウトを一新し、作業台も10センチ高くして、前回の半分以下の34分で終えた。福島県知事選では、相馬市が職員を2割減らしながら、前回の61分を25分に縮めた。2 R6 s  L, _/ R2 ^
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 新開発の技術などない。候補者ごとに集票容器を色分けする。疑問票の有効、無効の選別基準を具体的に徹底する。過去の投票用紙で予行演習をする。こうした小さな改善の積み重ねが、大きな効果をあげる。その経験は、他の業務の合理化にもつながるかもしれない。
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# b; b) ]3 m  }1 g 経費も節約できる。北川氏は「すべての自治体が1時間ずつ縮められれば、4年間で50億円近い人件費を減らせる」と試算する。開票時間を短縮する知恵比べが、役所の意識改革と節約の一石二鳥になるのなら、もっと広がっていくに違いない。
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 きょう、成人の日を祝う、ほやほやの新有権者は初めての一票に、どんな思いを託すのだろう。投票した候補者の当落だけでなく、「コンマ1秒の節約」の結果も、お楽しみに。
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发表于 2007-1-9 23:44:51 | 显示全部楼层
【天声人語】2007年01月09日(火曜日)付
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4 X3 z2 {% a# B( I 松飾りを外した家と、まだ飾っている家が混在する通りを歩きながら考えた。平成の時代も、来年は20年になる。昭和という時代が一歩遠のいてゆく気がした。, V5 m* Q+ [4 `% B8 U8 e5 x

& u3 q0 l* Y# G7 l6 j: q" {% x 昨年末から昭和を象徴するような人たちの訃報(ふほう)が相次いだ。財界のご意見番と言われた諸井虔さんに続き、年明けには、昭和の国民的食品となった即席ラーメンを発明した安藤百福さんが亡くなった。: d- T' L3 m/ j/ y: j- d

6 m5 }$ @: E& _6 `- }' A) C1 c 大阪の闇市のラーメン屋台の前で、人々が行列して辛抱強く待っている。安藤さんの脳裏に焼き付いた終戦直後の風景が、後に食の風景を変えるような発明につながったという。昭和の時代が、安藤さんを通してもたらした発明とも言えるだろう。, P# D/ r( d: J; `- J; T

  U' J9 X- V' e7 U" V/ D8 R) ^ 〈降る雪や明治は遠くなりにけり〉。この中村草田男の句は昭和6年、1931年1月の句会に出されたという。師の高浜虚子は句会では選び採らなかった。しかし、帰りのエレベーターでたまたま同乗した草田男を見て「あの句は矢張り採って置こう」と言い、虚子選に追加された(宮脇白夜『新編・草田男俳句365日』本阿弥書店)。
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 句は大雪の日、かつて学んだ東京の小学校の前で生まれた。降りしきる雪の中に居ると、時と場所の意識が空白となり、現在がそのままで明治時代であるかのような錯覚と、明治時代が永久に消えてしまったとの思いが同時に強まったという。( z4 a. Y8 K- y# l$ H

4 O* `7 g4 K* t& P 今日、防衛庁が防衛省になる。長く「庁」だったことには、軍が暴走した昭和の一時代への深い反省が込められていたはずだ。年ごとに昭和が遠くなっても、その反省だけは、遠いものにしたくない。
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