【天声人語】2007年02月05日(月曜日)付
, |$ m- y+ ]' E) Z9 k0 K, m2 l, B, f2 }) W5 B; g6 D
角谷(すみや)敏夫先生(59)が「日米修好通商条約」と板書し、「何年だったかな」と聞く。「1858年」と生徒から声が上がる。ここは長野県松本市の市立旭町中学校の桐(きり)分校である。丸刈りに学生服の10人が机を並べる。
* x+ C8 O3 Q/ M$ E" P$ h& H
! C0 |# j, j' @9 b# \7 X ほかの学校と違うのは、松本少年刑務所の中にあることだ。中学を終えていない全国の受刑者から希望者を募り、1年間勉強させる。その授業を見せてもらう機会があった。
! F2 }: V, [7 R p, X5 C6 q! L& u, c& b0 p* k ~
地名にちなんだ桐分校ができたのは52年前だ。そのころ、収容されていた少年の8割が中学を出ていなかった。所長らが政府や松本市に分校の設立を働きかけた。生徒の受け入れにあたっては、しだいに年齢制限をゆるめた。今は年齢を問わない。今年度の生徒は20代から60代に及ぶ。, t" q# K, g- C0 R
; X! q1 G) i4 o v- C' C 分校の担任を務める角谷先生の正式な肩書は法務教官だ。大学卒業とともに、やって来た。「ここにこそ、最も教育を必要としている人たちがいると思ったからです」。授業は1日7時間。ほかの受刑者は夜9時に寝るが、分校生は10時まで自習できる。夏休みも冬休みもない。勉強漬けの日々だ。0 Q& A& [: E1 C+ ?! T4 F$ b
) P* o y+ g8 l& l3 Y 強盗の罪で服役している30代の生徒に話を聞いた。母子家庭で、住まいを転々とし、ほとんど中学に行けなかったという。「中学を出ていないことにずっと引け目を感じていた。ここで一つのことをやり遂げる自信をつけたかった。いかに自分に甘く、身勝手だったか。分校生活で思い知らされました」
8 I: Y4 g! c+ B2 p1 A, \$ E5 E
( r, r. a) Q' k 来月、卒業を迎える。その後、元の刑務所に戻る。「出所したら、この経験を大事にして、人生をやり直したい」 |