【天声人語】2007年02月07日(水曜日)付
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( V# {- v0 E5 @, _ このところ東京では、暖冬というより春が来てしまったような陽気が続いている。北国も雪が少なく、「さっぽろ雪まつり」では雪像をつくる雪を山から運んだという。記録的な暖冬になりそうだが、あの温暖化によるのだろうか。
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先日、世界の科学者らによる「気候変動に関する政府間パネル」の作業部会が、深刻な内容の報告書を承認した。温暖化は確実に進んでおり、21世紀末には1・8~4度ほど気温が上昇、海面は18~59センチ上昇すると警告した。
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/ X1 r. E' ~/ ?& R# _) s% r 大洋に浮かぶ島々だけではなく、海抜ゼロメートル地帯のある日本の都市にも大きな害を及ぼす。海辺は激変し、高い護岸を巡らせた異様な姿になりかねない。' s- g; d5 t" o, K3 f
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安部公房の小説「第四間氷期」は、大方の陸地が水没するような未来を想定している。二酸化炭素の増加も出てくるが、海底火山の大噴火で放出された水蒸気で海水が増えることが水没の直接の原因と語られる。: r) @2 t- |/ G9 A, v
+ \0 D& F- {( l6 s 人類の存続のため、人間は水中で生きられる「水棲人」に改造される。ある水棲人の少年が、昔「東京」と呼ばれた水中遺跡を訪ねた後、海面からわずかに頭を出した小島へとたどりつく。「風の音楽」を聞こうとするが、エラ呼吸なので息苦しい。「しかし、待望の風は吹いていた。とりわけ風が眼を洗い、それにこたえるように、何かが内側からにじみだしてくる。彼は満足した」(新潮文庫)。
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, c7 h- b$ m& t0 u1 S5 O 少年のDNAに刻まれた、はるか遠い記憶が、彼を地上に引き寄せたのだろうか。小説ほどではないにしろ、温暖化で陸地を失うことは、風を失うことでもある。 |