【天声人語】2007年03月22日(木曜日)付: |6 x& S/ }( ?
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「人は変わるものだ」「いや人は変わらない」。どちらも人間についての正しい見立てのようであり、どちらとも言えないような気もする。
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「人は自らの短所を知っている」「いや、自分では分かるまい」。これも、どちらも正しいようであり、違うようでもある。きょう告示される東京都知事選に立候補するという4人が、テレビ朝日系の番組で自らの短所を述べるのを見て、そんな連想をした。
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それぞれこう言っていたようだ。現都知事は「短気」、元県知事は「多弁」、建築家は「夢を見る。完璧(かんぺき)を求めること」、元区長は「柔軟すぎるところ」
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短気の人は、時に、その短所を包み込むかのような笑みを浮かべていた。多弁の人は、どんなテーマでもいくらでもしゃべれるという構えを見せた。夢の人は、他の人たちとは違う夢を独自のユーモアを交えて述べた。柔軟の人は、かたくみられがちな党のイメージとの落差を、巧みに訴えようとしているようだった。
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+ x& V; O2 T, h# r. }) t' U' Y1 H 短所を、売り込みの急所に変える。それぞれに、役者ではある。テレビの劇場で演じられる知事選という芝居なのか。「人間世界は悉(ことごと)く舞台です、さうしてすべての男女が俳優です」(シェークスピア「お気に召すまま」坪内逍遥訳)。
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「人は見かけだ」「いや、見かけによらない」。この見立てにも、どちらとも決めかねるところがある。映像には、本音を透かして見せる力と、見かけを強調する力とがある。東京の知事選に限らず、候補者が文字にしたものや、文字になった情報も手に、明日への選択をしたい。 |