2007年06月09日(土曜日)付
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平仮名のことを「女手」とも呼ぶ。そのせいでもないだろうが、平仮名でつづる言葉は角がとれて感じられる。先月の朝日歌壇に、こんな作品が載った。7 U' j$ F, d6 M" }9 u/ \
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〈ひらがなで なやみぜーんぶ かきだして みればたいした ことはなかった〉。作者の有田里絵さん(30)は去年の朝日歌壇賞を受けた。いま子育て中だ。日々、色々な気疲れがある。それを書き出すことで気持ちを整理するという。少々深刻なことは平仮名で書いてみる。心の角がとれて、軽くなってくる。 [" T+ {( [ t% |5 m) l
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心の荷を下ろせずに自殺した人が、警察庁のまとめで昨年、9年続けて3万人を超えた。なかでも学生・生徒は、統計を始めた78年以降で最も多い。遺書の多くは学校での問題に悩み、格闘した心の様をとどめていた。
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東京のある私大で新入生に聞いたら、半数が「自分は傷つきやすい」と答えたという。柔らかい心はすぐ傷つく。若者の特権だろうが、克服する力が弱いらしい。小さなつまずきが絶望に結びつきかねない。
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有田さんは中学生時代、誰彼なく順ぐりに標的にするいじめに遭った。死を思った日もあるが、悩みをノートに書くと、不思議に気分は落ち着いた。
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8 b/ {3 I4 }, W, A O 初子を産んだ一昨年からは、小さな命をいとおしむ歌が増えた。〈ふええんと一声泣いてまた眠る夢の中まで行けなくてごめん〉。赤ちゃんへのメッセージを込めた歌もある。〈人生を始めたいから生まれ出るI was bornとは言いながら〉。悩まぬ人生はないけれど、重いものもなるべく軽く。平仮名でつづる人生もいい。 |