2007年05月30日(水曜日)付
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4 f# m: R, `( b6 N2 ?4 m' U' U4 q 工事のクレーン、高速道路、チラシ配り、カラス。朝の冷気の中で都会の音が次々と目を覚まし、何事もなかったように「翌日」が始まった。東京・赤坂の路地に立ち、戦後初めて、現職大臣が自殺した議員宿舎の部屋を見上げる。重い不在である。# N0 a3 Z4 a% |
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松岡利勝さんは、何も語らぬまま逝った。便箋(びんせん)1枚に記した国民と後援会あての遺書は「私自身の不明不徳」「ご迷惑」「お騒がせ」といったおわびで、一連の疑惑には触れていないという。言葉が命の政治家として、厳しいようだが最もふさわしくない身の処し方ではないか。4 N2 W$ Z5 R. v) F0 c9 b, Y
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ナントカ還元水も、緑資源機構の談合事件も、政治の本質に触れる話だ。松岡さんは捜査対象ではなかったと安倍首相は語るが、参院選を前に幕引きを急げば、彼の死はあらゆる意味で無駄になる。3 ^* u; U& {; K* G" n
% N7 @# O/ Z0 x4 C: q 死をもっての清算を了とするような政治や社会は退化する。故人の断に粛然としながらも、62歳の男性を悼むことと、閣僚の見識を問うことはきっちりと分けたい。疑惑に正面から反論できないのなら、真実を語って辞めるか、辞めて真実を語るか。責任を果たす道はこれしかなかった。
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松岡さんの後を追うように、今回の談合事件で家宅捜索を受けた元公団役員が身を投げた。闇の中で永遠に黙してしまうのは、社会正義に背を向けるも同じだ。
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赤坂一帯は、江戸時代の武家屋敷により発展した。南町奉行、大岡越前守忠相(えちぜんのかみただすけ)の邸宅もあった。大岡裁きなら「死んで花実が咲くものか」と諭すところではないか。「生きて、語れ」と背中を押して。 |