咖啡日语论坛

 找回密码
 注~册
搜索
楼主: Jennifer

[经验方法] 連載《天声人語》想看中文版请去看1590楼最新公告

[复制链接]
发表于 2007-7-10 07:18:58 | 显示全部楼层
2007年07月10日(火曜日)付
" \% y( |% [3 R- L/ R  T$ V3 ]- q  R
, ]5 n5 E9 ~2 z. [% t 森永乳業提供の育児相談サービス「エンゼル110番」が、相談してきた人に「実家のありがたみ」を聞いている。家事・育児の手助けや精神的援助を抑えて、首位はしっかりと金銭的・物的援助だった。夫の実家からの支援にも抵抗はなく、「甘え上手なママ像」と分析されている。5 D+ A* {' Z  H8 D9 z, p& m
8 C0 ]: |5 f" f% z
 赤城農水相の政治団体が、両親が住む茨城県の実家を事務所とし、05年までの10年間に約9000万円の経費を計上していた。実家のありがたみで、家賃は無料らしい。では、それだけの額になった根拠は何かとなる。
3 o2 g6 @) y( E" V! G( n# i& c/ }7 @3 b& S, g" i7 [) r
 赤城氏は、電話代や切手代と、別の事務所の経費も合算したと説明した。いったん事務所ではないと認めたご両親も「地元の活動拠点だ」と修正した。親心か。! l/ O% a' K8 p7 M0 Y- W

9 a+ B- ]6 ]) M/ t7 f この政治団体の場合、経費を裏づける領収書はいらない。だから赤城氏は「公表すべきものはした」と強気だ。法律を盾に、疑惑に口を閉ざした前任者と同じ言い方である。安倍首相も、同じようにかばっている。安倍氏と赤城氏は、おじいさんたちも首相と農相の関係だった。
/ T" ], J* |7 B2 [+ k) E6 q" t1 L9 s2 \
 赤城氏は、東京にある妻の実家にも、別の政治団体の事務所を置いている。無論、濃密な親類づきあいは悪いことではない。実家は優しく、頼りになる。だが、都合よく使ってばかりでは全国の実家が泣く。
8 ~8 y& F# Z8 F8 L
. B  }& F9 I4 |) @ 赤城氏は予定通り、きょうにも欧州に出かけるという。帰国の予定は参院選の最中だ。このまま国民が納得できる説明がなければ、与党の候補者にも迷惑が及ぶだろう。政治家なら法律への「甘え上手」だけは慎んでもらいたい。
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2007-7-11 07:36:43 | 显示全部楼层
2007年07月11日(水曜日)付
, K" \2 P4 p: z% J" c( }9 ^+ C& s+ c/ j+ s
 都市近郊の畑地に野菜の自動販売機がある。透明な個室のそれぞれで、朝もぎのトマトやキュウリが100円玉の投入を待っている。昔ながらの野菜直売所にはのどかな風情があるものだが、「代金は箱へ/金百円也」をこの世情で貫くのは厳しかろう。性善説にはそれなりの覚悟がいる。
, e# p8 R7 \) L. g4 X' i: @  A: {$ I4 C+ Y
 「消えた年金記録」の救い方が固まった。その極意は、申し立てが「明らかに不合理ではなく、一応確からしいこと」だという。行政の基準にしては、妙に軟らかい。安倍さん、参院選を前に、一世一代の性善説である。
7 e1 n' T) e# C$ X+ f) g/ O6 c
* Y0 {# G5 N% P' n% C% Z 保険料を納めた確からしさは、家計簿や給与明細、「消えた」期間の短さなどで判定する。そうした証拠類がなくても、話に筋道が通り、人柄や態度が良ければ給付を認めるという。5 s% X4 n/ _' P2 \: u2 O5 q
% Y; i6 G& P4 q5 S7 h4 ~
 「確認に来なきゃ確認しないだけ」「年金を自分自身で救出し」(朝日川柳)といった状況からは、一歩前進だ。「役所発」の不手際という負い目もあるのだろう。
' @. i5 |) `# R5 G# W
' P1 T2 O/ h+ [ 性悪説の監視カメラがにらみを利かす世の中で、行政の、柄にもない性善説が正直者を救うならそれもいい。ただ、もともとが納付者のお金である。相談窓口では、救済ではなく返還だと肝に銘じてほしい。かといって公金を、売れ残りの野菜のように「ひと山いくら」で放出されても困る。) h. z0 ]* g6 a2 n8 d
! @, M: T+ a) k0 ]4 M5 O5 M7 t8 b
 性善説を唱えた孟子は、誰もが持っている善の兆しとして、人のことを哀れむ惻隠(そくいん)、不正を恥じる羞悪(しゅうお)などを挙げている。政府はこの際、格差解消には惻隠、「政治とカネ」には羞悪と、万事、孟子流で臨んではどうだろう。
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2007-7-13 19:51:30 | 显示全部楼层

2007年07月12日(木曜日)付

 漫画家の東海林さだおさんがテレビの料理番組に身もだえする様子を書いている。画面にはチャーハンを作るフライパンの大写し。右上あたりのご飯と具が混ざっていないのに、先生は「そろそろいいですね」。思わず「頼む、頼むからそこんとこ混ぜてくれ」(『東京ブチブチ日記』文春文庫)。5 r3 ?7 E8 D  }9 j

- s2 S6 ]7 ~6 j3 P8 {2 s 目の前の不条理に手を出せない。同じもどかしさを、間接民主主義に感じることがある。国会審議や党首討論を見ながら身もだえした経験はなかろうか。「そこんとこ、まだ生煮えだぞ」と。
# I% i% b7 m% z: K1 N# [& X: R+ P& g- F; d  o+ z
 参院選が公示される。いよいよテレビの前のあなたが、画面のチャーハンに木じゃくしを突っ込む時である。有権者の思いが重なれば、国政の味つけや盛りつけは違うものになる。& Y- _) `7 p  \
& _3 p' T# u5 n1 Y- S5 V8 I
 一票では変わらないと斜に構える御仁がいるが、棄権の零票ではなお変わらない。年金も格差も税金も、これから数年の政治決断はその先の暮らしにはね返る。だから、若い人には重い一票になる。自身に痛みの波が及んだ時、あの日は海で遊んでいたと悔やんでも遅い。" i: p" P& c- q1 S2 \

+ b2 U3 w" {+ G& J( p 先の国会では、安倍首相の執念で重要法案が次々と成立した。それを可能にした与野党の勢力図はしかし、前首相が「郵政選挙」で遺(のこ)したものだ。この間、ずっと軽んじられた第二院の選挙ではあるが、そんな政治の姿と現首相への評価を下す好機となる。
3 S' W  L. E# T4 w1 G7 t  `0 w7 k& N% P9 \1 ~- x' C
 平凡な民主国家に生きる幸せをかみしめたい。寝ていれば、誰にも間違いなく投票日はやって来る。安倍さんに期待する人も、失望した人も、木じゃくしを握りしめて待とう。
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2007-7-13 19:51:50 | 显示全部楼层

2007年07月13日(金曜日)付

 1万円札の平均寿命は3~4年だという。1000円札の1~2年より長生きなのは、釣り銭の役回りがないためだ。お札は国立印刷局で生まれ、日銀から浮世に出て、ぐるぐると商いに立ち会う。日銀に里帰りした折、傷んでいれば裁断され、使命を終える。
! [- Z8 v  t/ U5 E& Y9 @3 ~' @
* i5 K' y% ~0 b- s2 W3 c, { どなたが、何のつもりで置いたのか。役所の男子トイレで、紙に包まれた1万円札が続々と見つかり、総額は400万円を超えた。たまたま物好きと縁ができたがために、お札たちは便所からメディアに登場する運命となった。2 H: ?1 m; c* v( t0 V) M0 f
* m7 K2 Y7 U" H9 i8 r3 ^5 E
 添えられた手紙には「修業の糧としてお役立て下さい」とある。筆跡や状況から、同じ人物が全国を回ったようでもある。珍しく死傷者ゼロの事件とあって、連日、罪のない推理が花盛りだ。4 f, y) m0 O: L5 f6 G" S" [* g
7 u, e8 x5 C( g0 ~) ~! f
 モノやサービスと交換され、お金は初めて、本来の役割を全うする。ぼろぼろになって、親元で切り刻まれる最期こそ本望だろう。その意味で、便所の万札たちは薄幸この上ない。持ち主が使う前に、お役人の管理下に置かれてしまった。% P' U8 y7 h* U- L

+ D/ H/ S- f* F' ~" ^ いやいや、はなから騒ぎを「買う」つもりであれば、見事に使われたと見ることもできる。この騒動、視聴者や読者に小口転売され、いましばらくは消費され続けるはずである。
( r. F: N; j$ j3 l1 ~# Q# N1 v( f2 |5 K
 福沢諭吉は「黄金は愚を智にし、醜を美にし、非を直にして向かうところ敵無し」と書いた。「よく積み、よく散ずべし」と盛んに寄付もした(福田一直『素顔の諭吉』)。金の力を知り尽くし、役立て方を説いた諭吉翁。便所に置き去りにされた札の右端で、何を考えていたろうか。
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2007-7-16 07:55:12 | 显示全部楼层
天声人語+ \7 X7 i  J5 K! B
2007年07月14日(土曜日)付
! D2 l: K2 T( R" V5 i- w/ a3 Q- h) b, @
 70年の夏、開高健は執筆のため新潟の山奥にこもる。そこで「水晶をとかしたよう」な水を飲んだ。雪洞の天井からしたたるそれは「ピリピリひきしまり、鋭く輝き、磨きに磨かれ、一滴の暗い芯に澄明さがたたえられている」(『巷(ちまた)の美食家』ハルキ文庫)。
0 x: L% t& _% `0 O" e$ Z: ^" C0 H/ T. N# z( X5 d
 水の味わいは本来、絹糸の繊細さにも例えられる。その絹糸をなたでぶった切るような話が北京から届いた。飲めない水道水を、ボトルに詰めて売っていたという。大手4社の容器を数えたら「本物」の倍あった。偽物天国きわまれりだ。
8 D& n1 [; q# n9 W- C$ G3 q8 r8 y* P2 k9 n, u$ j, c
 中国製の飲食品をめぐり、味以前の不祥事が続いている。水増しワインは序の口で、大腸菌のついたイカ、二酸化硫黄が残るキノコなど、健康にかかわる違反が止まらない。とどめは、段ボールを練り込んだ肉まんだ。- O: o$ L: A6 f) n' G. o

! }0 S$ n, }5 A6 g. I/ Z/ n 中国は食材の大輸出国である。米食品医薬品局が06年以降に確認した違反例を、アエラの最新号が一覧で載せている。加工品から海産物、青果まで、これでは食べるものがないと思わせる広がりだ。不衛生を薬物で相殺するような粗さが怖い。
; Z# V2 ^7 R* z; ?& w7 w' `
% m: ~; [4 q! k5 m4 u& o( ? 悠久の時が育んだ食文化から、どう間違うと不気味な食品群がこぼれ出るのか。思いは、いびつな経済発展に至る。大ざっぱな物づくりに金もうけの知恵が重なると、時にまさかの欠陥商品が生まれる。その中で、口から入る物を毒と呼ぶ。
. L; G; L4 |! t  L2 R( h7 L3 w$ [& [$ b7 m, g1 B% U
 水は低きに流れ、低きに流れた商売は毒を生む。荒稼ぎの悪意と小細工を内に隠し、何食わぬ顔で異国の商品棚に並ぶ毒もある。中国政府には、低きに流さぬ堰(せき)を求めたい。
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2007-7-16 07:55:43 | 显示全部楼层
天声人語4 c) H, ~3 X5 C* `- b; _
2007年07月15日(日曜日)付/ ?  W3 A/ Z5 Z! a
" _' Z0 U, R$ }( \$ S

' |( t* ^' B1 s" G 書店にもいろいろあるが、作家の丸谷才一さんは二つに分けている。岩波文庫を置いている店と、置いていない店と。「そして前者が上だと思っている」と、本紙掲載のコラムで述べている。+ r5 d  X$ Y6 ^( a9 m' N3 l

/ K6 R, d$ j( |* v& z2 d, z; G" P その岩波文庫が、昭和2年の創刊から今月で満80年を迎えた。古今東西の名著を5433点、総数は3億5000万冊を超すというから、日本の「教養」を連綿と耕してきたと言える。; T& ^( s( l. Z+ M5 @+ h! a( M

1 \' [* i9 o; s/ H8 n! B 年配の読書家には、書目分類の「五色の帯」が懐かしいだろう。緑の帯は日本文学、赤は外国文学、社会科学が白で、青は哲学や歴史、黄色は日本の古典である。五色を取り込んだ「読書人の一生」という戯れ歌を、文芸評論家の向井敏さんの随筆で知った。- }. j+ J" t5 J: Y1 t: v8 q

8 N, f2 e' ~8 d/ f: E 〈ゆめ見るひとみで緑帯/むすめざかりは赤い帯/朱にまじわって白い帯……行き着く先は黄色帯〉。つまり、多感なころは漱石や藤村、大人びてくれば翻訳小説、青年期にはマルクスにかぶれ……老境に入って「もののあはれ」に行き着く。来し方を重ね合わせて微苦笑の人もいることだろう。" M* T: b9 [: h( K; P9 g

$ J8 t1 N) ?$ n1 u0 J 近ごろは、緑帯と赤帯の世代にケータイ小説の愛読者が急増中らしい。電話で配信される小説だ。素人ぽいのだが、人気作が本になるや次々と数十万部を売り、不況の出版業界を驚かせている。
; m! y: ^5 W" u5 I5 e7 w8 i' E( X7 s# C) W7 `# p, k8 E; D
 名作を読まないと嘆く声も聞こえるが、活字離れの一番深刻な「緑と赤」の世代である。まずは書物の世界を覗(のぞ)いてみることが大事だろう。若き日の丸谷さんも「片っ端から歩き回った」という名著の森への道が、ぽっかり口を開けているかもしれない
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2007-7-16 07:56:12 | 显示全部楼层
天声人語
( b- f) g6 {# a5 p- h  k& Y2007年07月15日(日曜日)付/ @: k$ e/ b4 V0 P- t

) L8 ?7 f# S) E( n5 z  b 書店にもいろいろあるが、作家の丸谷才一さんは二つに分けている。岩波文庫を置いている店と、置いていない店と。「そして前者が上だと思っている」と、本紙掲載のコラムで述べている。
! V9 h* W0 Q; g9 A8 F1 W
! g- W& y# ~0 q3 N その岩波文庫が、昭和2年の創刊から今月で満80年を迎えた。古今東西の名著を5433点、総数は3億5000万冊を超すというから、日本の「教養」を連綿と耕してきたと言える。$ {5 ^+ F: d# {# y& l  T" k- r) r
2 m1 W& r, Y* q! X9 B  C" b; P" d
 年配の読書家には、書目分類の「五色の帯」が懐かしいだろう。緑の帯は日本文学、赤は外国文学、社会科学が白で、青は哲学や歴史、黄色は日本の古典である。五色を取り込んだ「読書人の一生」という戯れ歌を、文芸評論家の向井敏さんの随筆で知った。; Y4 j9 M" Q; E2 {& Q% n0 r

! z' s5 b8 T5 y& U9 Y 〈ゆめ見るひとみで緑帯/むすめざかりは赤い帯/朱にまじわって白い帯……行き着く先は黄色帯〉。つまり、多感なころは漱石や藤村、大人びてくれば翻訳小説、青年期にはマルクスにかぶれ……老境に入って「もののあはれ」に行き着く。来し方を重ね合わせて微苦笑の人もいることだろう。
  }5 i- K7 B) j6 i, q) z$ }6 m2 ^
, p8 k" y- r" o* T  { 近ごろは、緑帯と赤帯の世代にケータイ小説の愛読者が急増中らしい。電話で配信される小説だ。素人ぽいのだが、人気作が本になるや次々と数十万部を売り、不況の出版業界を驚かせている。
/ J3 }, E5 V/ [4 {$ R" X8 V; X8 j- a* Z
 名作を読まないと嘆く声も聞こえるが、活字離れの一番深刻な「緑と赤」の世代である。まずは書物の世界を覗(のぞ)いてみることが大事だろう。若き日の丸谷さんも「片っ端から歩き回った」という名著の森への道が、ぽっかり口を開けているかもしれない
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2007-7-17 21:27:52 | 显示全部楼层

2007年07月16日(月曜日)付

きのう岩波文庫の創刊80年について書いたら、「一番売れたのは何か」と質問をいただいた。答えは、157万部を数える『ソクラテスの弁明・クリトン』である。  {( F! }5 k. l4 N: u$ K

, u: y, b6 n3 r( d9 P: ] 古代ギリシャの哲人ソクラテスは、「神々を信仰せず青年を堕落させた」と告発される。『弁明』は、その裁判での反論演説の記録だ。彼は死刑を宣告される。逃亡もできたのに拒み、毒杯をあおいで死んだ。「悪法もまた法なり」の言葉を最期に残したとされる。
# V/ p0 c: W5 R6 `1 y5 I8 ^8 D; c9 J; `! n. }' x$ a5 _
 「昭和のソクラテス」と呼ばれた人を思い出す。戦後の食糧難時代に、違法なヤミ米を拒み、極度の栄養失調で死んだ山口良忠判事である。「自分はソクラテスならねど食糧統制法の下、喜んで餓死する」と病床日記に残した。この秋で、亡くなって60年になる。
# z! j7 H5 o2 U( U7 Y- d7 _' \& ~. w! a
 「立派だ」「愚直にすぎる」。感想は分かれよう。だが「ザル法もまた法」とばかりに、事務所費の疑惑に頬被(ほおかむ)りする当節の大臣に比べれば、どれほど「品格」に富むことだろう。論法は同じでも、モラルは天と地ほどに違う。% }8 m* @, P' H) s" e+ ^4 i+ V# f, H
0 v( k$ \  K2 c$ p" U8 k
 「李下(りか)に冠を正さず」と言う。だが赤城農水相は、不自然極まる経理処理で「冠を正し」てしまった。疑惑を晴らすには、李(すもも)を盗んではいないと、手を開いて見せるしかない。この場合は領収書を示すことだろう。, ^* B$ L2 P: |$ [& P3 p, u7 `

& b5 V+ e* G5 {/ i: w2 R かばい続ける安倍首相にも、「仲良し内閣」と批判が募る。首相と赤城氏は、祖父同士も「首相(岸信介)と農林相」の間柄だった。御曹司ゆえの大甘か。ちなみにではあるが、岩波文庫の2位は136万部の『坊っちゃん』である。
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2007-7-17 21:28:26 | 显示全部楼层

2007年07月17日(火曜日)付

 日本エッセイスト・クラブが編んだ『こころを言葉に』(集英社)に寄せた作品「いのち」で、柳澤桂子さんが書いている。「度重なる大量絶滅や、大型動物による捕捉を逃れて、われわれの祖先は進化してきた。それは、奇跡と幸運の積み重ねであり、今、地球上に生きている生物すべてのいのちが尊い所以(ゆえん)である」と。
: T) N* P2 G8 i/ U# `  ^, _/ w! d9 B5 T4 d
 地球と生物のせめぎ合いをいやおうなしに考えさせる、つらい連休になった。7月上陸では最強という台風が過ぎたら震度6強の揺れである。天の叫び、地のうなりは、多くの命と生活手段を奪い去った。: C9 s8 P/ a: f3 N4 [

, d3 Z( e0 a1 c( l) t- V, g  ^ きのうの地震は非情にも、3年前と同じ新潟県を襲った。台風の直後だからと待つこともなく、雨で緩んだ地盤を遠慮なく揺さぶった。原子力発電所から上る黒煙の映像に、肝を冷やした人は多いだろう。
! I  l% o( |3 i9 d7 @
0 g: M5 Q0 k* v4 G$ x+ A 台風も地震も、何十億年と続く地球の営みだ。悔しいが、ヒトの歴史はその万分の一ほど。大気や大地の気まぐれに泣くたび、地球と生物のどうにもならない力関係を思う。
4 p8 N5 J/ ]& t+ v) w
  y7 j( H0 w" p$ K 主人のように振る舞う人類も、実はこの惑星に間借りし、一瞬の文明を築いているにすぎない。とりわけ、天災列島の上で栄える国には、弱者としての自覚と備えがいる。そして、弱者に降りかかる災いを最小にすることこそ、文明を代表する政治の務めである。
5 d) b( F! T" _4 W( h, N7 K9 o$ w9 ~" a" m% }0 h
 長崎市で参院選の遊説中だった安倍首相は、直ちに地震の被災地に飛んだ。非常時の差配と責任は、与党であることの厳しさであり強みでもある。ここは選挙を意識することなく、ことに当たってほしい。
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2007-7-18 12:22:53 | 显示全部楼层

2007年07月18日(水曜日)付

 脚本家の三谷幸喜さんが「理数コースの高校時代、数学のテストは毎回零点だった」と書いている。恩師の「無理せず文系に進め」で救われた。三谷さんを点数で縛り続けていたら「ラヂオの時間」も「古畑任三郎」もなかった。
: ?1 d6 h8 K/ {* Q+ t  q/ C- e: d7 g, H& S6 H" N
 東京都足立区の小学校で、区の学力テストをめぐる不正があった。校長と5人の教師が、誤答している子の問題文を指さして回った。同校ではまた、保護者の了解なく障害児3人の答案を採点から外していた。
" b5 @+ U( a: t) Z, `3 M; M
9 q" X4 o& B8 x! H6 `2 V) m9 R9 { 足立区は学力調査の成績を学校一覧で公表してきた。この小学校は05年が72校中の44位。不正の06年には1位になった。禁を破って前年の問題をコピーし、学校ぐるみで練習を重ねた成果らしい。テスト業者と設問が一新された今年は59位だった。- T. `4 h0 q" e! w+ N3 T4 B4 `
+ B, d9 H0 k; n" v3 l& n
 区教委は学校を競わせ、区の学力を底上げしようとした。校長は点取り競争に走った。指導力を採点されると考えたのか。トントンと児童に合図を送る姿は、粉飾決算に精を出す社長のようで物悲しい。残ったのは基礎学力ではなく、教育不信の赤字である。
% }8 B/ a. W# ]
6 J2 T5 j3 a- s お茶の水女子大の耳塚寛明教授は「学力調査は利点が副作用を上回ることが条件だが、こうなると毒薬だ」と語る。弱い分野を見極めるという薬効は、正しく服用してのことだろう。
5 w& W, \2 t/ X+ v8 Y# X2 ]: }1 k0 A- u/ K# X
 今春、43年ぶりの全国学力調査が行われた。統計上は、日本の公立小中学校を縦一列に並べるだけのデータがそろうことになる。だが、個性は一列に並ばない。「横」に出るべきあまたの才能が、点数に縛られ、列の中で立ち枯れることを恐れる。
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2007-7-19 07:27:23 | 显示全部楼层
2007年07月19日(木曜日)付
; m) P  o# e( c* ~
! h- ~0 b  g4 q$ m  u  X 報道官を待つホワイトハウスの会見場に、予告なく大統領本人が現れた。97年春、けがで松葉づえ姿だったクリントン氏だ。重大発表かと身構える記者団に、重々しく「報道官も階段で転んだ」。4月1日の冗談と気づき、沸いた会場に松葉づえの報道官が笑顔で出てくる趣向だった。; r4 ~+ R  Q" @: h+ I
4 P7 {- E# }) r' J( v9 k
 連休明けの赤城農水相は、左のほおと額にガーゼや絆創膏(ばんそうこう)をはって現れた。会見での質問には「大したことはない」「ご心配には及ばない」「何でもない」の三言だけだった。
, ~# S) K, j* j5 _0 H5 ]
- s, F) D  H: p  q% x! f 実家の事務所費の件もあり、これだけ拒まれると勘ぐりたくもなる。空気を察してか、後から「肌が弱いので、かぶれたのかもしれない」とコメントを出した。それなら会見で言えば済んだ話だろう。) ~: \! X1 a/ ?- a$ h3 p! O

" P# D: a1 w4 Q; i+ n0 C 閣僚であれば、記者会見は大切にしたほうがいい。機転と愛想で「絆創膏疑惑」を軽くさばけば、世評は動いたかもしれないのに、赤城氏は意固地で内向きな印象を深めてしまった。説明責任というより、政治家としての反射神経や器量の問題である。, K" H3 F" c3 K: _4 c

; {5 K  N- G& ^$ `/ P 農水相は2枚だけだったが、大量のガーゼが必要となるような災害現場は、政治と社会の底力を試す。中越沖地震の被災地では、数千人が避難所で3日目の夜を過ごした。仮設住宅が整い始めるのは8月という。
! V7 ~9 y3 S9 f7 E& A: x
. W8 o' p3 d1 j7 L 猛暑の中で、家の解体費用などを案ずるのはつらかろう。足元の苦境と闘う人々の気力は、明日への展望から生じる。まさに、政治家の器量が問われる局面だ。行政が今日の生活を支えるなら、将来を聞き、語り、動かすのが政治の仕事なのだから。
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2007-7-19 08:32:16 | 显示全部楼层

2007年07月19日(木曜日)付

 報道官を待つホワイトハウスの会見場に、予告なく大統領本人が現れた。97年春、けがで松葉づえ姿だったクリントン氏だ。重大発表かと身構える記者団に、重々しく「報道官も階段で転んだ」。4月1日の冗談と気づき、沸いた会場に松葉づえの報道官が笑顔で出てくる趣向だった。
& X% k. x# ^/ {0 @
* l, c* E! u+ m5 ` 連休明けの赤城農水相は、左のほおと額にガーゼや絆創膏(ばんそうこう)をはって現れた。会見での質問には「大したことはない」「ご心配には及ばない」「何でもない」の三言だけだった。: P* g( V, _4 e, e0 {6 G
6 u1 K- r8 ?: A
 実家の事務所費の件もあり、これだけ拒まれると勘ぐりたくもなる。空気を察してか、後から「肌が弱いので、かぶれたのかもしれない」とコメントを出した。それなら会見で言えば済んだ話だろう。! k, Z0 d0 m4 e+ W9 O$ o5 R
3 R. o( L- |# O, W4 ~* j8 D, A( V2 [8 t
 閣僚であれば、記者会見は大切にしたほうがいい。機転と愛想で「絆創膏疑惑」を軽くさばけば、世評は動いたかもしれないのに、赤城氏は意固地で内向きな印象を深めてしまった。説明責任というより、政治家としての反射神経や器量の問題である。
- n6 Q- p, E/ N; z3 ~2 I# s% D2 A
) k# |. @* N& |! u0 U; e 農水相は2枚だけだったが、大量のガーゼが必要となるような災害現場は、政治と社会の底力を試す。中越沖地震の被災地では、数千人が避難所で3日目の夜を過ごした。仮設住宅が整い始めるのは8月という。
4 {0 p5 P" O& f. Y  {3 D
3 p' ]. J8 |& ]4 g; L, @ 猛暑の中で、家の解体費用などを案ずるのはつらかろう。足元の苦境と闘う人々の気力は、明日への展望から生じる。まさに、政治家の器量が問われる局面だ。行政が今日の生活を支えるなら、将来を聞き、語り、動かすのが政治の仕事なのだから。
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2007-7-19 08:34:59 | 显示全部楼层

ああ

ごめん、重複した。。。
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2007-7-21 08:58:39 | 显示全部楼层
2007年07月20日(金曜日)付3 [; _# B8 ~  R5 V9 T/ p* [' `+ v6 v
6 [# D2 S: }* m0 ~# q
 中世の瀬戸内海を支配した村上水軍は、陸の権力に従わない海賊衆だった。平時は船荷の警固や水路案内、戦時には大名と結び、小船と火薬でひと暴れした。秩序に服さず、神出鬼没、正邪を併せ持つその姿は、経済の大海原に出没する投資ファンドに通じる。
7 S- B! x1 {# w' w
1 P" i# w$ A* V, s5 m3 S% F8 } 東京地裁はきのう、解散した村上ファンドの村上世彰被告に懲役2年の実刑判決を下した。ライブドア幹部にニッポン放送株の取得を持ちかけ、買う気を確認したところで同じ株を購入、高値で売り抜けたという。+ Y" S0 @: ?$ w7 ^

$ A/ ^$ Z/ P/ Y' W- [. U1 D 村上被告は逮捕前に「聞いちゃった」と語った。判決は「その気にさせ」「言わせた」くせにと厳しい。9歳から株を始め、長じて数千億円と情報を操る地位をつかんだ被告。特別な立場を悪用した金もうけは「プロによる犯罪」と糾弾された。
* u7 u0 T, T8 C, G
# L- \3 Q" O' J8 s 世界につながる経済の海には、巨万の情報が浮遊する。判決に従えば、少しでも実現の可能性があればインサイダー情報だ。ほとんど夢物語でも「聞いちゃった」ら身動きとれない、日本での情報収集が窮屈になると案じる向きもある。6 r) J1 S: i/ {$ d5 k: r1 V# ^
- T. f5 V$ ]7 D: J
 モノ言う株主は改革者にもなる。株式の持ち合い、同族経営、休眠不動産などを突けば、市場のよどみが晴れることもあるからだ。そんな期待まで裏切ったのが村上被告の罪深さである。
0 K* s2 D3 G% ^7 s% ^
/ P( s0 R8 i, w4 m9 i 身勝手な錬金術を戒めるルールを待ちたい。判決が投資の動きを萎縮(いしゅく)させることになれば、村上流は二重の迷惑として記憶されよう。秀吉による海賊禁止令、徳川幕府の鎖国で水軍が絶え、海洋国家が長い沈滞に入った史実もある。
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2007-7-21 08:59:01 | 显示全部楼层
2007年07月21日(土曜日)付9 c" b1 z; J" {1 m4 s
3 A0 V' x$ A- ~- ~
 小さな小さなイタリア車の話である。フィアット500が発売50周年を祝った。生産終了から30年たつが、ころころと子豚似の姿はチンクエチェント(500)の名で愛され続ける。過日の式典には各国から1500台が集まった。; k& U  e/ F. `! m7 Z
, [: [. `& X: i. W9 I$ n
 虚飾を排した13馬力の豆自動車に改良を重ね、世界で360万台が売れた。「楽しく、可笑(おか)しく、微笑(ほほえ)ましく、そして時に哀(かな)しく……小さな身体(からだ)の中にはイタリアの薫りがぎゅうぎゅうに詰め込まれていた」(岡崎宏司『わが心に残る名車たち』光文社)。
4 T% k2 Y( U5 b2 l  E, b* ]7 Y% @
) h" U! o% [7 E! y; W" Q* U チンクエチェント博物館(愛知県南知多町)の深津浩之さんは語る。「整備なしには走ってくれず、乗り心地も快適ではないが、自動車の機能はすべて備えている。機械の本質を伝える生きた遺産です」+ B( v3 z* e0 F: s* W

, {9 \2 G' B( ~" Z 生産を止めた75年、皮肉にも「簡素を是とする時代」の幕が開く。同じ年、日本の衣料大手レナウンは〈飾らない、自分自身を偽らない生活〉を掲げたブランド「シンプルライフ」を発表した。西友が無印良品を世に問うのは5年後だ。
/ [0 t; X' x2 O) ~6 z/ O$ a! W& X% m3 y" `% Y
 衣食足りれば、関心は楽しみや安らぎに向かう。価値観は枝分かれする。中で一つ確かなのは、資源や環境の制約だ。大きく激しいモノやコトは、存在理由を厳しく問われよう。筆頭はもちろん、戦争である。
- ]8 ]1 O# }) ~& L, v
. D; m- D1 Q8 w( v 欧州の路地裏で出会うチンクは、もともとベソをかいたような前面がつぶれ、大泣きになっていたりする。だが、まとう空気は雄弁だ。道具に飾りは要らぬ/まず人が汗をかけ/暑けりゃ窓を開けよ。それは地球からの伝言にも聞こえる。
回复 支持 反对

使用道具 举报

您需要登录后才可以回帖 登录 | 注~册

本版积分规则

小黑屋|手机版|咖啡日语

GMT+8, 2025-2-6 17:41

Powered by Discuz! X3.4

© 2001-2017 Comsenz Inc.

快速回复 返回顶部 返回列表