近ごろの漫才には、「もうええわ」という言葉が頻発するそうだ。2人が掛け合い、話がかみ合わないと「もうええわ」。捨てぜりふを放って打ち切る。ここで客席はどっと笑うのだろう。/ f8 a- O5 F, ^/ x, E& h$ i
- B& d' N) F4 M; {8 n2 v! |
こちらは笑ってもいられない。長野県に公共事業を評価監視する委員会がある。煙たい意見を述べる委員らに、県は「もう結構」とばかり、任期半ばで辞職を勧告したという。うち1人の有識者は、意思確認もないまま解任されてしまった。
' R- O' U4 {% ~( p3 r9 v" ` w/ E; j/ }4 E2 j. E
長野は昨夏、「脱ダム」を掲げた前知事から、ダムを是とする現職に代わった。県側は否定するが、勧告された委員らは「邪魔者の一掃か」と不信を募らせている。行政と漫才は違う。異なる意見に根気よく耳を傾けるのが、治の王道ではなかったか。% }1 B; e' d, G8 T
0 g, T, ~2 m. b4 e1 y+ U 「議論の必要なし、問答無用。こういう笑いに浸り続けるのは危険なことじゃないですかねえ」。落語の桂歌丸師匠が以前、本紙に意見を寄せていた。結びには「笑いに限った話ではありませんよ」。異質なものを排除しがちな時代への警鐘に、わが意を得たものだ。: m6 i }$ {! K. a" e, q
* y$ p; _& S2 ~$ R9 ^0 M
似たことは、国政にもある。安倍首相肝いりの、集団的自衛権をめぐる懇談会もそうだろう。メンバー13人をぐるり見渡せば、行使の容認に前向きな人ばかりだ。世論を分かつ大テーマなのに、異なる声を聞く耳はないらしい。" x* C2 u r! A8 m+ w' O' b
3 c' ~, t; ?9 T! |% f
論敵について、勝海舟が言ったそうだ。「敵がないと、事が出来ぬ。国家というものは、みンながワイワイ反対して、それでいいのだ」。おおらかさと懐の深さは、今は昔の無い物ねだりだろうか。 |