2007年10月07日(日曜日)付
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美食家の北大路魯山人はマスを好んだ。「素人目には一見似たものではあるが、味からいえば鮭(さけ)より鱒(ます)の方がはるかに優(まさ)る」と書く(「星岡(ほしがおか)」昭和7年10月号)。茶漬けにした汁が「とても鮭の及ぶところではない」そうだ。5 H# R8 Z S7 ^& z w
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「味覚は体験に学ぶほかなし」とする魯山人が今に現れたら、この不思議なマスをどう料理しただろう。東京海洋大の研究チームが、ヤマメの両親にニジマスを生ませてみせた。
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生殖にかかわる特殊な細胞をニジマスから取り出し、ヤマメの稚魚に入れる。すると、オスの稚魚はニジマスの精子、メスは卵を持つヤマメに育ち、かけ合わせたらニジマスができた。代理の親から生まれた魚だ。
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研究者は「5年後にはサバからマグロを」と語る。世話のしやすい小型魚に大きな魚を生ませれば、養殖は安上がりとなる。いっそメダカで狙ってほしいが、近縁であることが「手品」の条件らしい。ヤマメとニジマスほどではないものの、サバとマグロも近い。8 K% D7 H4 K$ E8 _9 W& t
9 Z4 t; P6 N& _+ \0 e, n( } 魯山人は、なぜかマグロには冷たかった。「まぐろそのものが下手ものであって、もとより一流の食通を満足させる体(てい)のものではない」と断じている。トロを出され、親はサバなんです先生と講釈を聞けば、ひっくり返るに違いない。: O! m& m6 a( c- T+ N2 [% C
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魚に強弱はあっても上下はない。サバにすれば、マグロの脂身がこうまで珍重されるのは解しがたいことだろう。何をうまいと感じるかは人それぞれだが、多数派の好みで魚の価値が決まり、その序列を科学までが追いかける。なるほど「陸の都合」は全能だ。 |