7.12
みずからをつかむ
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人それぞれに顔、かたちが違うように、人間は誰しも、一人ひとり違った素質、才能を持っている。ただそれらは、顔を鏡にうつすごとくには表面に出にくい。
しかし、そういう自分の素質とか才能というものを自分でハッキリとつかみ、そしてそれを日々の活動に、ひいては人生に生かすことができたら、どれだけ人間としての喜びに満ちた生活が営まれ、人生の妙味というものを味わうことができるだろうか。
一人ひとりが他と違ったものを持ち、そして日々新たに発展していく。そこには苦しみもあろうが、何物にもかえがたい喜びもあるはずである。
把握自己
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正如每个人都有不同的面孔、身体,每个人拥有的素质、才能也是不同的。只是这些特质不是如面容一样,靠镜子是照不出来的。
但,如果可以自己把握自己的素质和才能,并运用在平日的生活、甚至人生中,那可以营造多么美满的生活、体会人生的乐趣啊?
每个人都拥有与他人不同的特质、并每日得到新的发展。之中自然有苦、却也一定会有任何事都无法替代的喜悦。
7.13
世論を超える
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一般に、指導者というものは世論というか多数の意見を大切にしなくてはいけない。世論に耳を傾けず、自分一個の判断で事を進めていけば、往々にして独断に陥り、過ちを犯すことになってしまう。
けれども、それはあくまで平常の場合のことである。非常の場合にはそれだけでは処し切れない面も出てくる。そういう場合には、指導者は世論を超えて、より高い知恵を生み出さなくてはいけない。
常は世論を大切にし、世論を尊重しつつも、非常の場合には、あえてそれに反しても、より正しいことを行なう。それができない指導者ではいけないと思う。
超越舆论
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一般(情况下)、指导者必须重视多数人的意见———舆论。不倾听舆论,只以自我一人判断推行,往往陷入独断、犯下错误。
但,这始终只是平常的的情况下。在非常时候只(倾听舆论)是无法面面具到的。这时,指导者必须超越舆论,创造出更高的智慧。
时时重视舆论,并在非常的时候敢于打破舆论、做更正确的事。指导者没有这样的能力是不行的。
7.14
資本の暴力
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事業を行なう限り、利潤の確保に努めることは当然である。が、それはあくまで適正な競争によるべきであって、手段を選ばぬ過当競争によるものであってはいけない。
ところが現実には、自社製品の市場占有率を高めることのみ考え、損を覚悟で売るという姿が見受けられることがある。これは資本による暴力にほかならないと思う。とくに大企業が、その資本に頼り、暴力的行為に出れば、その業界は大いに混乱する。そしてそればかりか業界の信用をも落とすことになりかねない。今日、いわゆる暴力が禁止されているごとく、資本による横暴も一つの罪悪とみて、厳しく自戒すべきだと思う。
资本暴力
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确保利润是生产销售中所必须致力的。但,这始终应通过正当竞争来获得、不可不择手段过当(非正当)竞争。
但现实中,有公司只为了提高自己的市场占有率,采取了亏本销售的形式。这我只能理解为是资本暴力。特别是大企业如果仰仗自己的资本使用暴力行为,整个业界就会混乱。不仅如此,之后业界的信誉甚至也可能下降。今天,应该禁止暴力、将用资本霸道的活动视为一种罪恶、严肃自律。
7.15
ありがたいお得意さん
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お得意さんの中には、つくったものを持っていくと「これはなかなか苦心してつくってある。よくできている」とこちらが嬉しくなるようなことを言って買ってくださる非常にいいお得意さんもあれば、逆に「こんなものはダメだ。値も高いし、できもよくない。よそのはもっといい」と持って帰れと言わんばかりのお得意さんもあります。
そのときにどちらがありがたいかということです。ほめて買ってくだされば、それが一番いいけれど、そんないいお得意さんばかりでもかえって具合が悪い。世の中を甘く見、勉強しないようになるからです。厳しいお得意さんも、またありがたいお得意さんと言えるでしょう。
该感谢的客户
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在把产品拿给客户的时候,有的非常好,会说:“这个是花了很大苦心做的,做得很好”,这话让我们也高兴;相反,也有说:“这东西不行,价格又高、做得又粗糙。其他公司的都比这好”,几乎是直说我们拿回去的客户。
这时我们该感谢那些客户呢?赞赏并购买我们的产品自然是最好的,但都只是这样的好人客户反而不好。因为那样会使我们变得浅薄、不去学习。所以说严格的客户也是我们该感谢的客户。
7.16
自他相愛の精神
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個人と個人との争い、国と国との争いは、相手を傷つけ、さらには社会全体、世界全体を混乱させる。そういう争いの大きな原因は、自他相愛の精神というか、自分を愛するように他人を愛し、自国を愛するように他国を愛する精神の欠如によるものであろう。
そういう精神の大切さは昔からいろいろな教えによって説かれていながら、いまだに争い事が絶えないのは、人びとが、このことの大切さを真に悟っておらず、その精神に徹していないからだと思う。
争いはみずからをも傷つけるということを身をもって知り、人類に平和をもたらすために力を合わせていくことが肝要である。
爱己爱人的精神
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人与人的争斗、国与国的争端、相互伤害,并使整个社会、整个世界混乱。这些争斗的一大原因是没有爱己爱人的精神,欠缺如爱自己那样爱护他人,如爱自己国家那样爱护他人的国家的精神。
精神的重要性已经在以往各种教训中得到了证明,但至今争斗仍然不绝,我想是人们还未真正领悟、铭记。
切身体会争斗是伤人伤己,共同为了人类带来和平而努力是必须的。
7.19
会社の病気の早期発見
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癌は早期発見すれば治すことができるということですが、見てもらったときには手遅れであるという場合も少なくないようです。そういうことは、会社の経営においても言えるように思います。“会社の状態がちょっといかんなあ”と気がついたときには、もう末期の状態で手のつけようがないということが往々にしてあるわけです。
ですから、どんなに順調に発展している会社、商店であっても、経営には常に自己診断をすることを怠ってはならないと思います。そして“この点に欠陥があるな”ということを早く知ることができれば、大きな問題にはならず、手当ても可能だと思うのです。
及早发现公司的病情
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癌如果及早发现就可以治好,但受诊时已经太晚的情况也是不少的。公司的经营上也存在这种情况。“公司的状态有点不好啊”,发觉这种情况时,往往已经是晚期症状,无法救治了。
所以,无论公司、商店发展多么顺利,经营上都不能懈怠对自己时常的诊断。如果能及早发现“某点上有缺陷”,那就不会构成重大问题、治愈也是可能的。
7.20
“仕事の上手”に
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日本古来の武道の一つに“弓道”があるが、この道の達人の域に達すると、たとえ眼かくしをして矢を放っても、ピシャリと的を射るという。しかし、こういった名人の域に達するには一朝一夕ではとても覚つかない。一矢射るたびに必ず検討を加え、工夫を重ねていって、一歩一歩、上達していくのである。
私は“仕事”にしても、これと同じことが言えると思う。日々、みずからの仕事の成果を検討することに努めれば、必ずや“仕事の名人”とまではいかなくとも“仕事の上手”にはなれると思う。百本の矢を射れば、少なくとも八十本は的に当たるという“上手”の域にまで、おのおのの仕事を高めたい。
成为“工作的能手”
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日本自古以来武术中有一门叫“弓道”。达到此道高手境界的,即使把眼蒙上射也可以咔嚓一下中的。但这样的高手不是一朝一夕可以成就的。每射一箭必须加以研讨,不断下功夫一步一步地走向精通。
我觉得“工作”也可以说是一样。如果坚持每日检讨自己工作的成果,即使不能成为“工作的高手”也一定能成为“工作的能手”。至少可达到射百支箭中八十支的“能手”境界,提高各项工作的能力。
7.21
世間は神のごときもの
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事業が大きくなってくると、仕事もだんだんと複雑になって、そこにいろいろな問題が起こってくる。
私は、この問題をどう考え、どう解決すべきかと日々の必要に迫られて、その解決策の根本を求めていくうちに、“世間は神のごときもの、自分のしたことが当を得ていると、世間は必ずこれを受け入れてくれるにちがいない”という考えに行きついた。
正しい仕事をしていれば悩みは起こらない。悩みがあれば自分のやり方を変えればよい。世間の見方は正しい、だからこの正しい世間とともに、懸命に仕事をしていこう……こう考えているのである。
世间如神
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事业做大了,工作也越来越复杂,其中各种问题也就随之而来了。
我由于每天工作的必要性在陷于不断考虑这个问题、该如何解决、追求根本解决对策时,最后想到了:“世间如神,自己所为之事如果得当,世间也一定会认同。”
做了正确的工作就不会有烦恼。如果有烦恼就是自己的做法有问题。世间(对世人)的看法是正确的,所以在正确(公正)的世间努力地奋斗吧……这就是我的想法。
7.22
フグの毒でも
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今日のわが国では、せっかくいいものが発明されても、それに万に一つでも欠陥があれば、もうそれでそのものはすべてだめ、としてしまうような傾向が強いように思われます。それは言ってみれば、フグの毒を発見してフグを食べるのを一切やめてしまうようなものだと思います。
科学技術が非常に進歩した今日に生きる私たちは、フグの安全な調理に成功した昔の人に笑われないよう、物事を前向きに考え、せっかくの科学技術の成果を十分に活用できるだけの知恵を、さらに養い高めていくことが必要ではないかと思います。そこに人間としての一つの大きな使命があるのではないかと思うのです。
河豚毒
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现在我们国家有种较强的倾向,好不容易有的发明,只要它有哪怕是万分之一的缺点,就否定它的所有。这换个说法就是知道河豚有毒,就禁止吃河豚一样可笑。
我们生活在科学技术相当发达的今日,为了不被能安全调理河豚的前人所笑,必须向前看。培养能将好不容易获得的科学技术成果充分利用的智慧,这不是很有必要吗?这不正是人类一项重大的使命吗? |